特許第5963132号(P5963132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963132ダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963132
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/32 20060101AFI20160721BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C23C14/32 A
   C23C14/06 F
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-116559(P2012-116559)
(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公開番号】特開2013-241658(P2013-241658A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴之
【審査官】 吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−156087(JP,A)
【文献】 特開2007−247032(JP,A)
【文献】 特開2005−350763(JP,A)
【文献】 特開2004−256837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空状態の反応器内に陰極および陽極を設け、両電極の少なくとも一方を炭素源とし、両電極間でアーク放電を起こすことにより、炭素含有気体または炭素含有液体を用いることなく、該炭素源とした電極から生成したイオン化炭素を基板に照射し、該基板表面にダイヤモンドを合成させるダイヤモンド合成方法であって、電圧100V以上、電流15A以上の電源から電力供給され、該陰極および陽極を1000℃以上に加熱するアーク放電発生可能なアーク源としてアーク溶接機を用いることを特徴とする、ダイヤモンド合成方法。
【請求項2】
前記反応器内の真空状態は100Pa以下とすることを特徴とする、請求項に記載のダイヤモンド合成方法。
【請求項3】
前記陰極の材料(以下「陰極材料」という。)として純度99%以上の固体炭素、または炭素由来材料のいずれかを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のダイヤモンド合成方法。
【請求項4】
前記陽極の材料(以下「陽極材料」という。)として前記陰極材料と同じ材料、炭素含有金属材料、または金属材料のいずれかを用いることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載のダイヤモンド合成方法。
【請求項5】
前記陰極材料または陽極材料の少なくとも一方の形状が棒状または板状であることを特徴とする、請求項またはに記載のダイヤモンド合成方法。
【請求項6】
前記基板として
〔A〕モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、タングステン、バナジウム、ハフニウム、ケイ素等の炭化物を形成する元素、
〔B〕金、イリジウム、オスミウム、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀等の貴金属元素、または
〔C〕〔A〕もしくは〔B〕のうち少なくとも一種類の元素を含む材料、
のいずれかを用いることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載のダイヤモンド合成方法。
【請求項7】
100Pa以下の真空状態を達成できる反応器と、該反応器内に設けられた陰極および陽極と、両電極間にアーク放電を起こすためのアーク源と、および該電極から生成するイオン化炭素が照射される基板とからなるダイヤモンド合成装置であって、両電極の少なくとも一方を炭素源とし、
該アーク源として、電圧100V以上、電流15A以上の電源から電力供給され、陰極および陽極を1000℃以上に加熱するアーク放電発生可能なアーク溶接機を用い、
これにより炭素含有気体または炭素含有液体を用いることなく該基板上にダイヤモンドを合成することのできる、ダイヤモンド合成装置。
【請求項8】
前記炭素源とする電極の材料として、純度99%以上の固体炭素、または炭素由来材料料のいずれかを用いることを特徴とする、請求項に記載のダイヤモンド合成装置。
【請求項9】
前記陰極材料または陽極材料の少なくとも一方の形状が棒状または板状であることを特徴とする、請求項7または8に記載のダイヤモンド合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置に係り、特にダイヤモンドを簡易な装置と手法で合成することのできる、ダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、高硬度、耐摩耗性、半導体特性など独特な特性を有する炭素材料であり、研磨剤や種々の工具類に利用されている。従来のダイヤモンド合成方法には高圧合成法と低圧合成法がある。高圧合成法は、1200〜2400℃の温度下で、かつ55000〜100000気圧の環境下で行なう必要がある。一方、低圧合成法では大気圧付近での合成が可能であり、炭素含有ガスを原料とする気相合成法が主流である。
【0003】
前記気相合成法には、熱フィラメント法、直流プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、燃焼炎法、直流プラズマジェットCVD法などがあるが、いずれも、プラズマにより低圧下で供給したメタンなどの炭素含有ガスが分解され、基板上に炭素のみが析出し、最終的にダイヤモンドが合成されるというものである。
【0004】
各種合成法の中で、短時間の合成法としては前記直流プラズマジェットCVD法があげられ、簡易装置による合成法としては前記熱フィラメント法があげられる。直流ジェットプラズマジェットCVD法は、直流アーク放電または高周波アーク放電により数千度の高温プラズマを発生させ、これをジェット状に基板に照射することによってダイヤモンド膜を高速に成膜できる方法である(後掲特許文献1、2)。また熱フィラメント法は、メタノールを熱フィラメントにより分解させてダイヤモンドとして析出させる簡易合成法である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−238886号公報「ダイヤモンドの気相合成方法」
【特許文献2】特開平5−24982号公報「ダイヤモンドの気相合成方法」
【特許文献3】特開平8−120449号公報「ダイヤモンド又は硬質炭素膜の合成装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、ダイヤモンドは、大気中で700℃、真空中で1300℃を超えて加熱されると、グラファイトに変換される。前記直流ジェットプラズマジェットCVD法においてダイヤモンド合成を効率化するためには、高電圧のアーク放電で炭素含有ガスを高温にして効率良く分解させる必要があるが、放電電圧が高くなると電極が高温で融解することに加え、電圧制御が難しくなるなど問題点も多い。
【0007】
また、一般的なアーク放電装置は大電力を必要とする大規模装置であり、家庭用の100V電源ではなく、専用電源を必要とする。さらに炭素含有ガスは、酸素共存では放電により爆発するため、真空中あるいは不活性ガス共存下で反応させることが必須であり、取り扱いに危険を伴う。そのため、一般的な合成装置は、耐圧性の反応器に電極を冷却させる構造を備えるなど総じて複雑な装置構成となるため、合成装置を簡易化することが望まれていた。
【0008】
一方、熱フィラメント法は、三角フラスコやアルコールランプを使用する極めて単純な構造の装置であり、家庭用電源を使用できる。また熱フィラメント法は、メタノールのみを原料として使用するため、複雑な構造を必要としない簡易ダイヤモンド合成法としては優れた方法である。しかしながら、反応時間が数時間となるため、反応を高速化することが望まれていた。
【0009】
本発明の課題は、これら従来技術における種々の問題点に鑑み、高品質で信頼性の高いダイヤモンドを、従来よりも安価な装置と方法によって高速に合成することのできる、ダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は上記課題について検討した結果、真空状態の反応器内において、電極間でアーク放電を起こし、電極から生成したイオン化炭素を基板に照射することにより基板表面にダイヤモンドを合成させることができることを想到し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0011】
(1) 真空状態の反応器内に陰極および陽極を設け、両電極の少なくとも一方を炭素源とし、両電極間でアーク放電を起こすことにより、炭素含有気体または炭素含有液体を用いることなく、該炭素源とした電極から生成したイオン化炭素を基板に照射し、該基板表面にダイヤモンドを合成させるダイヤモンド合成方法であって、電圧100V以上、電流15A以上の電源から電力供給され、該陰極および陽極を1000℃以上に加熱するアーク放電発生可能なアーク源としてアーク溶接機を用いることを特徴とする、ダイヤモンド合成方法。
(2) 前記反応器内の真空状態は100Pa以下とすることを特徴とする、(1)に記載のダイヤモンド合成方法。
(3) 前記陰極の材料(以下「陰極材料」という。)として純度99%以上の固体炭素、または炭素由来材料のいずれかを用いることを特徴とする、(1)または(2)に記載のダイヤモンド合成方法。
【0012】
(4) 前記陽極の材料(以下「陽極材料」という。)として前記陰極材料と同じ材料、炭素含有金属材料、または金属材料のいずれかを用いることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のダイヤモンド合成方法。
(5) 前記陰極材料または陽極材料の少なくとも一方の形状が棒状または板状であることを特徴とする、(3)または(4)に記載のダイヤモンド合成方法。
(6) 前記基板として
〔A〕モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、タングステン、バナジウム、ハフニウム、ケイ素等の炭化物を形成する元素、
〔B〕金、イリジウム、オスミウム、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀等の貴金属元素、または
〔C〕〔A〕もしくは〔B〕のうち少なくとも一種類の元素を含む材料、
のいずれかを用いることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載のダイヤモンド合成方法。
【0013】
(7) 100Pa以下の真空状態を達成できる反応器と、該反応器内に設けられた陰極および陽極と、両電極間にアーク放電を起こすためのアーク源と、および該電極から生成するイオン化炭素が照射される基板とからなるダイヤモンド合成装置であって、両電極の少なくとも一方を炭素源とし、該アーク源として、電圧100V以上、電流15A以上の電源から電力供給され、陰極および陽極を1000℃以上に加熱するアーク放電発生可能なアーク溶接機を用い、これにより炭素含有気体または炭素含有液体を用いることなく該基板上にダイヤモンドを合成することのできる、ダイヤモンド合成装置。
(8) 前記炭素源とする電極の材料として、純度99%以上の固体炭素、または炭素由来材料料のいずれかを用いることを特徴とする、(7)に記載のダイヤモンド合成装置。
(9) 前記陰極材料または陽極材料の少なくとも一方の形状が棒状または板状であることを特徴とする、(7)または(8)に記載のダイヤモンド合成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置は上述のように構成されるため、これらによれば、従来のように特殊な装置を必要とすることなく、また容易に入手可能な市販品により構成できる装置および容易に入手可能な材料を用いて、高品質で信頼性の高いダイヤモンドを、従来よりも簡易、安価かつ高速に合成することができる。
【0015】
本発明によれば、アーク源として家庭用の100V電源を使用できるアーク溶接機を用いることが可能であり、特殊な電源・装置を準備することなくダイヤモンド合成装置を構築できる。また本発明によれば、原料の炭素源は固体炭素か、または固体の炭素材料を用いることができ、従来の合成法で用いられているメタンなど水素を含むガスや液体メタノールなどを使用しないため、グラファイト以外の副生成物を生成させずにダイヤモンドを合成することが容易に行える。
【0016】
さらに、基板としてモリブデンなどの炭化物を形成する元素を用いるか、またはかかる元素を含む材料を用いることによって、ダイヤモンド合成を短時間、高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明ダイヤモンド合成装置の基本構成を示す概念図である。
図2】本実施例に係るダイヤモンド合成装置の構成を示す概念図である。
図3】実施例1により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。
図4図3に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。
図5】実施例2により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。
図6図5に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。
図7】実施例3により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。
図8図7に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。
図9】実施例4により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。
図10図9に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について図面を用いつつ、より詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明ダイヤモンド合成装置の基本構成を示す概念図である。図示するように本ダイヤモンド合成装置10は、反応器1内を真空状態にするための真空引き手段(図示せず)によって所定の真空状態を達成することのできる反応器1と、反応器1内に設けられた陰極3Aおよび陽極3Bと、両電極3A、3B間にアーク放電を起こすためのアーク源7と、および電極から生成するイオン化炭素が照射される基板2とからなり、両電極3A、3Bの少なくとも一方を炭素源とすることを、主たる構成とする。
【0020】
かかる構成により本ダイヤモンド合成装置10では、真空引き手段によって反応器1内が所定の真空状態となり、反応器1内に設けられた陰極3Aおよび陽極3B間において、アーク源7の作用によりアーク放電が発生する。陰極3Aまたは陽極3Bの少なくとも一方が炭素源であるため、アーク放電によって電極からイオン化炭素が生成し、イオン化炭素は基板2上に照射され、ダイヤモンドとして付着する。つまり本発明装置10によれば、炭素含有気体または炭素含有液体を用いることなく基板2上にダイヤモンドを合成することができる。
【0021】
なお本装置10においては、反応器1内を100Pa以下の真空状態とすることができるような真空引き手段および反応器1とすることが、本発明の目的達成上、望ましい。かかる条件によってダイヤモンドを、質的にも量的にも良好に合成することができるからである。また反応器1は、上述のダイヤモンド合成を行えるものである限り、実施例に後述するフラスコのみならず、いかなる材質や形態のものであっても用いることができる。
【0022】
本ダイヤモンド合成装置10のアーク源7としては、従来公知の機器や電源を限定なく用いることができるが、特に、電圧100V以上、電流15A以上の電源から電力供給され、陰極および陽極を1000℃以上に加熱するアーク放電発生可能なアーク溶接機を用いるものとすることができる。かかるアーク溶接機であれば家庭用電源により使用することができ、ダイヤモンド合成を簡易に行うことができる。
【0023】
本発明において炭素源とする電極の材料としては、純度99%以上の固体炭素、または炭素由来材料のいずれかを用いるものとすることができる。このうち、炭素由来材料としては、たとえば炭素繊維、C/Cコンポジット(炭素繊維強化炭素複合体)などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
なお、陽極3Bの材料としては、陰極3Aの材料と同じ材料、炭素含有金属材料、または金属材料のいずれかを用いるものとすることができる。前者とした場合は、両電極3A、3Bいずれもが、ダイヤモンド合成のための炭素源となる。
【0025】
本ダイヤモンド合成装置10において用いる電極の形状は限定されるものではない。しかしながら、陰極3Aの材料または陽極3Bの材料の少なくとも一方の形状を、棒状または板状とすることができる。かかる形状は、取り扱い上便宜である。なお、棒状または板状いずれの場合も、形態の詳細やサイズは適宜設計することができる。
【0026】
また、イオン化炭素が照射されてダイヤモンド合成の基板となる基板2としては、
〔A〕モリブデン等の炭化物を形成する元素、
〔B〕金、イリジウム、オスミウム等の貴金属元素、または
〔C〕〔A〕もしくは〔B〕のうち少なくとも一種類の元素を含む材料、
のいずれかを用いるものとすることができる。これらはその表面に炭化物を形成しやすいからである。なお、モリブデン以外の元素としては、たとえばニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、タングステン、バナジウム、ハフニウム、ケイ素、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀などが、また〔C〕としてはたとえば、モリブデンカーバイド、モリブデン-タングステン合金、ジルコニウム-ニオブ合金が挙げられるが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
本発明の実施例について説明するが、本発明がかかる実施例に限定されるものではない。
<装置と方法>
図2は、本実施例に係るダイヤモンド合成装置の構成を示す概念図である。図示するように、本ダイヤモンド合成装置210の反応器としてはガラス製三ツ口セパラブルフラスコ21を用いた。フラスコ21の各口にはゴム栓29A等をした。左の口29Aと中心の口29Bには金属棒24A、24B(タングステン棒を使用)を差し込み、右の口29Cには脱気管25としてステンレス管を差し込んだ。2つのタングステン棒の先にはいずれも、純度99.5%の炭素角棒23A、23Bをタングステン線で固定した。
【0028】
炭素角棒23A、23Bの真下には、基板22として金属板を置いた。なお基板22は、耐熱レンガ上に載置した。各タングステン棒24A、24Bのフラスコ21外突出部分には、それぞれアーク溶接機の陰極と陽極(図示せず)を接続した。なおアーク溶接機には市販品を用いた。脱気管25は真空チューブを介して真空ポンプ(図示せず)と接続した。フラスコ21内部を真空ポンプにより0.1Paまで脱気した後、アーク溶接用の紫外線遮断保護マスクと感電防止用の革手袋(いずれも市販品)を着用し、所定条件にてアーク放電を行った。
【0029】
<実施例1>
基板22としてモリブデンを使用し、炭素角棒−基板距離4.0mm、出力電流40A、放電時間30秒の条件にて、交流アーク放電を行った。放電後、基板を取り出し、光学顕微鏡で観察した。
図3は、実施例1により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。また、
図4は、図3に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。図3に示すように、基板上には、黒色のグラファイトと一緒に径2μm程度の微粒子が付着しているのが認められた。また図4に示すように、微粒子近辺のラマン分析によって、グラファイトのピーク以外にダイヤモンドのピークが認められ、本実施例によってダイヤモンドが合成されたことが確認できた。
【0030】
<実施例2>
基板22としてモリブデンを使用し、炭素角棒−基板距離3.0mm、出力電流40A、放電時間10秒で、直流アーク放電を行った。放電後、基板を取り出し、光学顕微鏡で観察した。
図5は、実施例2により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。また、
図6は、図5に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。図5に示すように、基板上には、黒色のグラファイトと一緒に結晶性微粒子が付着しているのが認められた。また図6に示すように、微粒子近辺のラマン分析によって、グラファイトのピーク以外にダイヤモンドのピークが認められ、本実施例によってダイヤモンドが合成されたことが確認できた。
【0031】
<実施例3>
基板22としてニオブを使用し、炭素角棒-基板距離3.0mm、出力電流40A、放電時間20秒で、直流アーク放電を行った。放電後、基板を取り出し、光学顕微鏡で観察した。
図7は、実施例3により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。また、図8は、図7に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。図7に示すように、基板上は、微粒子の膜により一面が覆われていることが認められた。また、図8に示すように、微粒子近辺のラマン分析によって、グラファイトのピーク以外にダイヤモンドのピークが認められ、本実施例によってダイヤモンドが合成されたことが確認できた。
【0032】
<実施例4>
基板22としてタンタルを使用し、炭素角棒-基板距離3.0mm、出力電流40A、放電時間20秒で、直流アーク放電を行った。放電後、基板を取り出し、光学顕微鏡で観察した。
図9は、実施例4により得られた微粒子の光学顕微鏡写真である。また、図10は、図9に示す微粒子近辺をラマン分析した結果を示すラマンスペクトルのグラフである。図9に示すように、基板上は、微粒子により一面が覆われていることが認められた。また、図10に示すように、微粒子近辺のラマン分析によって、グラファイトのピーク以外にダイヤモンドのピークが認められ、本実施例によってダイヤモンドが合成されたことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のダイヤモンド合成方法およびダイヤモンド合成装置によれば、高品質で信頼性の高いダイヤモンドを、従来よりも簡易、安価かつ高速に合成することができる。したがって、ダイヤモンド製造・利用する全ての分野および関連する全産業分野において、利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0034】
1…反応器
2、22…基板
3A…陰極、 3B…陽極
7…アーク源
10、210…ダイヤモンド合成装置
21…ガラス製三ツ口セパラブルフラスコ
23A、23B…炭素角棒
24A、24B…金属棒
25…脱気管
29A、29B、29C…ゴム栓






















図1
図2
図4
図6
図8
図10
図3
図5
図7
図9