(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963138
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】反転運動機構
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-205489(P2012-205489)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-57779(P2014-57779A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148287
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】杉田 義守
【審査官】
瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−284206(JP,A)
【文献】
特開2012−115301(JP,A)
【文献】
特開2009−162367(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/073898(WO,A1)
【文献】
特開2012−170603(JP,A)
【文献】
特開2010−279547(JP,A)
【文献】
特開2000−105544(JP,A)
【文献】
特開昭62−287230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
F16H 19/00−37/16
G03B 19/00−19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって正逆両方向に回転できる駆動回転体と、
この駆動回転体と同軸に軸支された揺動部材と、
これらの駆動回転体と揺動部材との間に懸架され、駆動回転体により付勢されるねじりコイルばねと、
揺動部材をロックするロック爪と、
駆動回転体の回転前後あるいは回転途中でロック爪を係合・離脱可能な解除手段とからなり、
ねじりコイルばねを付勢した状態でロック爪を解除することにより、揺動部材をねじりコイルばねによって揺動させることを特徴とする反転運動機構。
【請求項2】
ロック爪の解除手段がソレノイドであることを特徴とする請求項1記載の反転運動機構。
【請求項3】
揺動部材の揺動が、ねじりコイルばねと、駆動回転体とによって行われることを特徴とする請求項1記載の反転運動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技台の盤面に配置された役物を高速で昇降させたり揺動させたりするために適した反転運動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技台の盤面には各種の役物が配置されており、昇降あるいは揺動運動を行うことによって大当たり状態への期待を高めるものがある。
【0003】
このような可動式の役物は、軽量小型であればその駆動は容易であるが、最近では発光装置を搭載するなど重量が増加しており、また大型化する傾向がある。このため遊技盤に組み込める小型のモータによっては低速でしか動かすことができず、興趣に欠けるという問題がある。
【0004】
そこで特許文献1に示すように、低速で上昇させておいた役物を落下させることにより下向きの移動速度を高めた運動機構が提案されている。しかしこの運動機構は重力を利用するものであるため、高速で上昇させることはできなかった。また上下方向の運動に限られており、左右方向に高速移動させることもできなかった。さらに、高速運動と低速運動を組み合わせることもできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−312901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、遊技盤に組み込める小型のモータによって質量の大きい役物を正方向及び逆方向に高速で、あるいは高速と低速を組み合わせて移動させることができる反転運動機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の反転運動機構は、モータによって正逆両方向に回転できる駆動回転体と、この駆動回転体と同軸に軸支された揺動部材と、これらの駆動回転体と揺動部材との間に懸架され、駆動回転体により付勢されるねじりコイルばねと、揺動部材をロックするロック爪と、駆動回転体の回転前後あるいは回転途中でロック爪を係合・離脱可能な解除手段とからなり、ねじりコイルばねを付勢した状態でロック爪を解除することにより、揺動部材をねじりコイルばねによって揺動させることを特徴とするものである。
【0008】
なお請求項2のように、ロック爪の解除手段がソレノイドであることが好ましい。また請求項3のように、揺動部材の揺動を、ねじりコイルばねと、駆動回転体とによって行わせることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の反転運動機構は、揺動部材をロック爪によってロックした状態でモータによって駆動回転体を低速で回転させ、ねじりコイルばねに弾性エネルギを徐々に蓄積したうえ、ロック爪を解除することにより、揺動部材をねじりコイルばねによって揺動させる。ねじりコイルばねの能力を適切に設定しておけば、質量の大きい揺動部材をも高速で動かすことができる。またその動作は正方向と逆方向に交互に行わせることができる。
【0010】
また本発明の反転運動機構は、駆動回転体の回転前後あるいは回転途中でソレノイド等の解除手段によってロック爪を係合・離脱させることができるので、揺動部材をねじりコイルばねによって高速で揺動させることができるのみならず、揺動運動の一部を駆動回転体によって低速で行わせることもできる。このように同一の機構によって高速運動と低速運動とを組み合わせて行なわせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】高速運動の初期状態を示す作動説明図である。
【
図6】回転駆動体の回転開始状態を示す作動説明図である。
【
図7】ねじりコイルばねを付勢した状態を示す作動説明図である。
【
図8】ロック爪を外した瞬間を示す作動説明図である。
【
図9】揺動部材の揺動途中の状態を示す作動説明図である。
【
図10】揺動部材が反転位置に達した状態を示す作動説明図である。
【
図12】低速運動の初期状態を示す作動説明図である。
【
図13】回転駆動体の回転開始状態を示す作動説明図である。
【
図14】回転駆動体の回転開始状態を示す作動説明図である。
【
図15】回転駆動体の回転途中状態を示す作動説明図である。
【
図16】揺動部材が反転位置に達した状態を示す作動説明図である。
【
図18】他の実施形態における初期状態を示す作動説明図である。
【
図19】ロック爪を外した状態を示す作動説明図である。
【
図20】回転駆動体の回転開始状態を示す作動説明図である。
【
図21】回転駆動体の回転途中状態を示す作動説明図である。
【
図22】ロック爪の後退を解除した状態を示す作動説明図である。
【
図23】ロック爪が途中の係合部に係合した状態を示す作動説明図である。
【
図24】回転駆動体を回転させた状態を示す作動説明図である。
【
図25】ロック爪を外した状態を示す作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態を示す全体斜視図であり、1はケース、2は基部をケース1の内部に軸支された揺動部材である。ケース1の開口部の両側にはストッパ3、3が形成され、揺動部材2の揺動角度を規制している。揺動部材2はそれ自体の装飾を付して役物として使用することができ、あるいは他の役物の駆動用レバーとして使用することもできる。また、揺動部材2はレバー形状に限定されず、ギヤやプーリー等であってもよい。
【0013】
図2〜
図4に示されるように、揺動部材2の基部は軸4によってケース2に揺動自在に軸支されているが、この軸4と同軸上に駆動回転体5も軸支されている。この実施形態では駆動回転体5は歯車6を備え、モータ7、中間歯車8によって正逆両方向に回転できるようになっている。
【0014】
この駆動回転体5と揺動部材2との間には、
図3に示されるようにねじりコイルばね9が懸架されている。このねじりコイルばね9は揺動部材2の円筒軸10に回転可能に支持されており、外側に突出した2つの端部11、12を備えている。そして揺動部材2の基部にはこれらの端部11、12の間に延びる突片13が突設されている。また
図4に示されるように、駆動回転体5にもこれらの端部11、12の間に延びる駆動用突片14が突設されている。ねじりコイルばね9はこれらの突片13と駆動用突片14とによって作動するが、その作動手順については後述する。
【0015】
揺動部材2の基部の外周は円弧状の突出部23を備え、その両側に段状の係合部15、16が形成されている。17はその近傍に設けられたロック爪である。このロック爪17は軸18を中心として揺動するもので、ばね19によって突出部23の方向に付勢されているが、解除手段であるソレノイド20によって駆動回転体の回転前後であっても、あるいは回転途中であっても、任意のタイミングで係合・離脱させることができる。なお21は駆動回転体5の回転角度を検出するためのフォトセンサである。
【0016】
次に本発明の反転運動機構の動きについて説明する。
先ず
図5のようにロック爪17を揺動部材2の係合部15に係合させ、揺動部材2をストッパ3に当てた初期位置にロックする。このときねじりコイルばね9の端部11は駆動回転体5の駆動用突片14の左端に接しており、他方の端部12は揺動部材2の突片13の右端に接している。
【0017】
図5の状態からモータ7により駆動回転体5を時計方向に回転させると、
図6のように駆動用突片14がねじりコイルばね9の端部12を右方向に移動させる。ねじりコイルばね9の端部11は揺動部材2の突片13に当るが、揺動部材2はロックされているため動かない。この状態からさらに
図7のように駆動回転体5を回転させ、ねじりコイルばね9を押し広げて十分に弾性エネルギを蓄積する。なおこの動作は時間を掛けて行えばよいため、モータ7が小型であっても支障なく行うことができる。
【0018】
図8はソレノイド20によりロック爪17を外した瞬間を示している。上記のようにねじりコイルばね9の端部11は揺動部材2の突片13に当っており、ねじりコイルばね9には端部11、12を近付ける方向に付勢されているため、揺動部材2は
図9のように急速に時計方向に揺動し、右側のストッパ3に当る
図10の反転位置で停止する。このように揺動部材2はねじりコイルばね9に蓄積された弾性エネルギによって瞬時に揺動するため、パチンコ台の盤面に適用すれば役物を上下左右の任意の方向に高速移動させることができる。
【0019】
その後、
図11のようにロック爪17によって揺動部材2を反転位置のロックしたうえ、モータ7を反転させれば、駆動用突片14がねじりコイルばね9の端部11を反時計方向に動かし、コイルばね9の端部12は揺動部材2の突片13に当った位置に停止し、再びコイルばね9に弾性エネルギが蓄積される。その後にロック爪17を解除すれば、揺動部材2は
図10、
図11の反転位置から
図7に示す初期位置まで瞬時に復帰する。このようにして本発明の反転運動機構は、質量の大きい揺動部材2をも高速で正方向及び逆方向に揺動させることができる。
【0020】
以上に説明した実施形態では、揺動部材2を初期位置と反転位置との間で高速移動させたが、
図12以下に示すようにロック爪17を解除するタイミングを変更すれば、低速移動と高速移動を組み合わせることもできる。
【0021】
先ず
図12の初期状態から、
図13のようにロック爪17を外し、駆動回転体5を時計方向に回転させる。
図14のように駆動用突片14が揺動部材2の突片13と揃った状態となったままさらに駆動回転体5を回転させると、ねじりコイルばね9の端部11が揺動部材2の突片13を押圧し、揺動部材2は
図15のように駆動回転体5とともに回転する。このため揺動部材2は低速で揺動し、
図16の反転位置でストッパ3に当り停止する。この状態で
図17のようにロック爪17で揺動部材2をロックし、その後は前記と同様にねじりコイルばね9に弾性エネルギを蓄積すれば、初期位置から反転位置までは低速移動、逆方向には高速移動を行わせることができる。このような動作は、例えば役物を低速で上昇させ、高速で落下させるために利用することができる。
【0022】
図18以下に示される他の実施形態では、揺動部材2の基部の円弧状の突出部23に、多数の凹凸が形成されている。これらの凹凸はロック爪17の係合部22として機能するものである。なお、始端と終端は前記のとおりそれぞれ係合部15、16である。次に本実施形態の反転運動機構の動きについて説明する。
【0023】
先ず
図18のようにロック爪17を揺動部材2の始端側の係合部15に係合させ、揺動部材2をストッパ3に当てた初期位置にロックする。このときねじりコイルばね9の端部11は駆動回転体5の駆動用突片14の左端に接しており、他方の端部12は揺動部材2の突片13の右端に接している。
【0024】
この初期状態から、
図19のようにロック爪17を外し、駆動回転体5を時計方向に回転させる。
図20のように駆動用突片14が揺動部材2の突片13と揃った状態となったままさらに駆動回転体5を回転させると、ねじりコイルばね9の端部11が揺動部材2の突片13を押圧し、揺動部材2は
図21のように駆動回転体5とともに回転する。この間は揺動部材2は低速で揺動する。この低速運動の途中の任意のタイミングで
図22のようにソレノイド20によりロック爪17の後退を解除すれば、ロック爪17はばね19によって揺動部材2の係合部22と接触する位置まで前進し、途中の係合部22がロック爪17と一致したときに
図23のように揺動部材2をロックし停止させる。
【0025】
このように揺動部材2を途中でロックしたまま
図24のように駆動回転体5を回転させると、その駆動用突片14がねじりコイルばね9の端部12を右方向に移動させ、ねじりコイルばね9を押し広げて弾性エネルギを蓄積する。その後にロック爪17を解除すれば、
図25に示すように揺動部材2はねじりコイルばね9に蓄積された弾性エネルギによって瞬時に揺動し、右側のストッパ3に当る
図25の反転位置で停止する。その後は駆動回転体5を反転させて初期位置まで戻せばよいが、低速移動のまま戻すことも、途中で一度停止させることもできる。
【0026】
このように本発明の反転運動機構によれば、ロック爪17を係合部15、16や中間の係合部22に係合させるタイミングを選択することにより、揺動部材2に様々な運動を行わせることができる。例えば途中で揺動部材2を停止させた状態から駆動回転体5を逆方向に回転させて、所期位置の方向に戻したりすることもできる。また前記したように、ねじりコイルばね9を付勢しない状態でロック爪17を解除すると、揺動部材2をモータ7によって低速で揺動させることも可能であり、揺動部材2に様々な運動を行わせることができる。
【0027】
以上に説明したように、本発明によれば、遊技盤に組み込める小型のモータ7によって質量の大きい役物を正方向や逆方向に高速または高速と低速で移動させることができる利点がある。
【符号の説明】
【0028】
1 ケース
2 揺動部材
3 ストッパ
4 軸
5 駆動回転体
6 歯車
7 モータ
8 中間歯車
9 ねじりコイルばね
10 円筒軸
11 端部
12 端部
13 突片
14 駆動用突片
15 係合部
16 係合部
17 ロック爪
18 軸
19 ばね
20 ソレノイド
21 フォトセンサ
22 係合部
23 突出部