(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、収集されたデータに所定の前処理を施して投影データを生成する前処理部と、生成された投影データに再構成処理を施して画像データを生成する再構成処理部と、生成された前記画像データに所定の処理を施すデータ処理部とを含み、
前記制御部は、前記X線の照射が行われているときに前記生体反応情報が入力された場合に、当該生体反応情報に基づく所定の付加情報を前記画像データに付加する処理を前記データ処理部に実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る医用画像診断装置について図面を参照しながら説明する。以下、X線CT装置の実施形態について詳述するが、同様の構成をX線撮影装置に適用することも可能である。
【0013】
[構成]
図1及び
図2を参照して、実施形態に係るX線CT装置1の構成例を説明する。なお、「画像」と「画像データ」を同一視することがある。
【0014】
X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40と、生体反応検知部50とを含んで構成される。
【0015】
(架台装置)
架台装置10は、被検体Eに対してX線を曝射し、被検体Eを透過したX線の検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18とを有する。
【0016】
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成される。発生されたX線は被検体Eに対して曝射される。
【0017】
X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成される。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)をX線検出素子で検出し、その検出データを電流信号として出力する。
【0018】
X線検出部12としては、たとえば、互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数の検出素子が配置された2次元X線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の領域を撮影することができる(ボリュームスキャン)。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
【0019】
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向する位置に支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部を有する。開口部には、被検体Eが載置された天板が挿入される。回転体13は、架台駆動部15によって、被検体Eを中心とした円軌道に沿って回転される。
【0020】
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する。X線発生部11は、この高電圧に基づいてX線を発生させる。X線絞り部16は、スリット(開口)を形成し、このスリットのサイズ及び形状を変えることで、X線発生部11から出力されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線絞り部16を駆動して、スリットのサイズ及び形状を変更する。
【0021】
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。更に、データ収集部18は、収集された検出データ(電流信号)を電圧信号に変換し、この電圧信号を周期的に積分して増幅し、デジタル信号に変換する。そして、データ収集部18は、デジタル信号に変換された検出データをコンソール装置40に送信する。
【0022】
(寝台装置)
寝台装置30の天板(図示せず)には被検体Eが載置される。寝台装置30は、被検体Eが載置された天板を、被検体Eの体軸方向に移動させる。また、寝台装置30は、天板を上下方向に移動させる。
【0023】
(コンソール装置)
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10から入力された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する。コンソール装置40は、制御部41と、スキャン制御部42と、処理部43と、記憶部44と、表示部45と、操作部46とを含んで構成される。
【0024】
制御部41、スキャン制御部42及び処理部43は、たとえば処理装置と記憶装置を含んで構成される。処理装置としては、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)が用いられる。記憶装置は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)を含んで構成される。記憶装置には、X線CT装置1の各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。処理装置は、これらコンピュータプログラムを実行することで、上記機能を実現する。制御部41は、装置各部を制御する。
【0025】
制御部41は、主制御部411と、収集制御部412と、表示制御部413と、処理制御部414とを有する。
【0026】
主制御部411は、X線CT装置1の全体的な制御を行う。たとえば、主制御部411は、収集制御部412、表示制御部413及び処理制御部414を制御する。主制御部411は、各構成部位412〜414に対する制御を独立に行うこともできるし、これら構成部位412〜414のうちの2つ以上に対する制御を連係させて行うこともできる。
【0027】
収集制御部412は、主制御部411による制御を受けてスキャン用の制御信号を生成し、これをスキャン制御部42に送る。スキャン制御部42は、この制御信号に基づいて、高電圧発生部14、架台駆動部15、絞り駆動部17及び寝台装置30に対して後述の制御を行うことにより、被検体EをX線でスキャンさせる。この制御信号は、所定のスキャン条件の設定値を含む。
【0028】
スキャン条件には、管電圧、管電流、撮影時間、照射間隔などがある。管電圧は、X線発生部11(X線管球)における電子の加速電圧である。管電流は、X線発生部11における電子流による電流である。撮影時間は、X線を曝射する時間である。照射間隔は、X線を照射する時間間隔である。なお、照射間隔=0は連続照射を意味し、照射間隔≠0は間欠照射を意味するものとする。このようなスキャン条件は、X線の照射に関して設定される条件(X線照射条件)の例である。
【0029】
表示制御部413は、主制御部411による制御を受けて表示用の制御信号を生成し、これを表示部45に送る。また、表示制御部413は、主制御部411による制御を受けて表示に供される情報を加工し、この加工された情報を表示部45に送る。表示部45は、この制御信号及び/又は加工された情報に基づいて、各種画面、画像、テキスト等の情報を表示する。
【0030】
処理制御部414は、主制御部411による制御を受けて処理用の制御信号を生成し、これを処理部43に送る。この実施形態では、この制御信号の送信先は再構成処理部432及び/又は情報付加部434であるとする。再構成処理部432は、この制御信号を受けて、たとえば再構成条件の設定を行う。また、情報付加部434は、この制御信号を受けて、所定の付加情報を画像データに付加する。これらの処理については後述する。
【0031】
なお、処理部43における他の構成部位、たとえば前処理部431やレンダリング処理部433に対して制御信号を送るように構成することも可能である。その場合、前処理部431は、データ収集部18からの検出信号から投影データを生成するいわゆる前処理の条件を、この制御信号に基づいて設定する。また、レンダリング処理部433は、ボリュームデータから他の画像データを生成するレンダリング処理の条件を、この制御信号に基づいて設定する。また、処理部43に他の構成部位が設けられている場合も同様に、この構成部位は、処理制御部414からの制御信号に基づいて所定の処理を実行したり、所定の処理の条件を設定したりする。
【0032】
スキャン制御部42は、X線によるスキャンに関する動作を統合的に制御する。この統合的な制御は、高電圧発生部14の制御と、架台駆動部15の制御と、絞り駆動部17の制御と、寝台装置30の制御とを含む。高電圧発生部14の制御は、X線発生部11に対して所定の高電圧を所定のタイミングで印加させるように高電圧発生部14を制御するものである。架台駆動部15の制御は、所定のタイミング及び所定の速度で回転体13を回転駆動させるように架台駆動部15を制御するものである。絞り制御部17の制御は、X線絞り部16が所定のサイズ及び形状のスリットを形成するように絞り駆動部17を制御するものである。寝台装置30の制御は、所定の位置に所定のタイミングで天板を移動させるように寝台装置30を制御するものである。なお、ボリュームスキャンでは、天板の位置を固定した状態でスキャンが実行される。また、ヘリカルスキャンでは、天板を移動させながらスキャンが実行される。
【0033】
処理部43は、架台装置10(データ収集部18)から送信された検出データに対して各種処理を実行する。処理部42は、前処理部431と、再構成処理部432と、レンダリング処理部433と、情報付加部434とを含んで構成される。
【0034】
前処理部431は、架台装置10からの検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等を含む前処理を行って、投影データを生成する。
【0035】
再構成処理部432は、前処理部431により生成された投影データに基づいて、CT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を生成する。断層画像データの再構成処理としては、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を適用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより生成される。ボリュームデータの再構成処理としては、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を適用することができる。上述した多列のX線検出器を用いたボリュームスキャンにおいては、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。
【0036】
再構成処理は、あらかじめ設定された再構成条件に基づいて実行される。再構成条件には、様々な項目(条件項目ということがある)が含まれる。条件項目の例として、FOV(field of view)、再構成関数、断面間隔などがある。FOVは視野サイズを規定する条件項目である。再構成関数は、コントラスト、分解能等の画質特性などを規定する条件項目である。断面間隔は、再構成される断層像が描写する断面の間隔、つまり互いに平行な隣接する断面の間の距離を規定する条件項目である。
【0037】
再構成条件は、自動で設定されてもよいし、手動で設定されてもよい。自動設定の例として、撮影部位ごとにあらかじめ設定された内容を、撮影部位の指定等に対応して選択的に適用する方法がある。また、詳細は後述するが、この実施形態では、被検体Eの生体反応の検知結果に応じて断面間隔が自動で設定される。なお、断面間隔だけでなくFOVや再構成関数についても、生体反応の検知結果に応じて自動で設定できるようにしてもよい。また、手動設定の例として、所定の再構成条件設定画面を表示部45に表示させ、操作部46を用いて再構成条件設定画面を操作する方法がある。
【0038】
レンダリング処理部433は、たとえば、MPR処理とボリュームレンダリングを実行可能である。MPR処理は、再構成処理部432により生成されたボリュームデータに任意の断面を設定してレンダリング処理を施すことにより、この断面を表すMPR画像データを生成する画像処理である。ボリュームレンダリングは、任意の視線(レイ)に沿ってボリュームデータをサンプリングし、その値(CT値)を加算していくことにより、被検体Eの3次元領域を表す擬似的3次元画像データを生成する画像処理である。
【0039】
情報付加部434は、被検体Eの生体反応の検知結果に応じた所定の付加情報を画像データに付加する。この画像データは、たとえば、再構成処理部432により生成されたボリュームデータ若しくは断層像データ、又は、レンダリング処理部433により生成された画像データである。また、この画像データは、再構成処理部432又はレンダリング処理部433により画像データに対して処理部43が任意の画像処理を施して生成された画像データであってもよい。この画像処理により得られる画像データの例として、2つの画像データの差分として得られるサブトラクション画像、X線CT装置1により生成された画像データと他のモダリティにより生成された画像データとを合成して得られるフュージョン画像などがある。また、付加情報とは、画像データとともに処理される任意の情報を意味する。ここに言う「付加」とは、画像データの外部に付加することと、画像データの内部に付加することの双方を含む。情報付加部434は「データ処理部」の一例として機能する。以下、情報付加部434が実行する処理の例を説明する。なお、ここでは付加情報の付加方法の説明を行うこととし、生体反応の検知結果に応じた処理の具体例については後述するものとする。
【0040】
第1の処理例は、画像データの外部に付加される付加情報の例である。第1の処理例の付加情報は、画像データの保存及び通信に関する標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)における付帯情報である。この付帯情報は一般に「DICOM Tag(ダイコム タグ)」と呼ばれる。DICOM Tagには、任意の情報を記録可能な領域が設けられている。情報付加部434は、DICOM Tag中の当該記録領域に所定の付帯情報を記録することにより、付加情報の外部的な付加を行う。
【0041】
第2の処理例は、画像データの内部に付加される付加情報の例である。第2の処理例の付加情報は、画像データに埋め込まれる所定形式の情報である。この情報を「埋め込み情報」と呼ぶ。ここで「埋め込み」とは、画像データの一部を他の情報に置換すること、及び、他の情報が記録される領域(つまり画素)を画像データに加えて新たな画像データを生成すること、の少なくともいずれかを意味する。情報付加部434は、このような埋め込み処理を画像データに対して実行することにより、付加情報の内部的な付加を行う。
【0042】
画像データに基づく画像を表示させたときに、埋め込み情報は不可視的であってもよいし可視的であってもよい。不可視的な埋め込み情報を適用する場合、この埋め込み情報を参照して、当該画像とは別に又は当該画像とともに、可視的情報を表示させることができる。
【0043】
可視的な埋め込み情報を適用する場合の例として、画像データに基づく画像において、診断の邪魔にならない領域に情報を埋め込むことができる。診断の邪魔にならない領域とは、被検体Eを描画している領域以外の領域、体内に挿入されている器具(穿刺針等)を描画している領域以外の領域、被検体Eの体表に付されている器具(心電計の電極、位置を示すマーカ等)を描画している領域以外の領域などである。
【0044】
画像データがボリュームデータである場合における可視的な埋め込み情報の例を説明する。この例において、情報付加部434は、ボリュームデータの任意の断面に含まれる当該ボリュームデータ内の位置に埋め込み情報を埋め込む。任意の断面は、MPR処理により得られる直交3軸画像の直交3断面と、任意のオブリーク画像の断面の少なくとも一方を含むものとする。このような条件を満足するボリュームデータ内の位置は、たとえば、ボリュームデータの全外周面及び/又はその近傍内部(つまり外周面から所定の画素数だけ内側)の位置である。なお、スキャンされた領域よりも真に小さいFOVのボリュームデータが生成された場合、それよりも大きなFOVのボリュームデータ(たとえばスキャンされた領域全体をFOVとするボリュームデータ)に埋め込まれた情報から小さいFOVのボリュームデータに対する埋め込み情報を生成することが可能である。
【0045】
生体反応検知部50が生体反応の程度を検出できるように構成されている場合(後述)、情報付加部434は次のような処理を行うことができる。ここで、「生体反応の程度」とは生体反応の強さ、度合い、頻度等を表すものであり、その例として痛みの強さ、心拍数の多さ、呼吸の頻度などがある。生体反応検知部50は、このような生体反応の程度を検出し、それに応じた検出信号(程度情報)を生成して出力する。情報付加部434は、この程度情報が示す生体反応の程度に応じて異なる付加情報を画像データに付加する。その具体例として、生体反応の程度の高さに応じ、画像情報や文字列情報としての付加情報の色、階調、サイズ、埋め込み位置などを違えることができる。また、生体反応の程度に応じて付加情報の内容自体(画像自体、文字列自体)を違えることもできる。
【0046】
記憶部44は、検出データ、投影データ、再構成処理後の画像データ等を記憶する。表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスによって構成される。操作部46は、X線CT装置1に対する各種の指示入力や情報入力に用いられる。操作部46は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。また、操作部46は、表示部45に表示されたGUI(Graphical User Interface)を含んでいてもよい。
【0047】
(生体反応検知部)
生体反応検知部50は、被検体Eの状態を監視し、生体反応を検知することで、生体反応情報としての信号を入力する。対象となる生体反応には、発声、表情、呼吸、発汗、心電図、血圧、筋電図、脳波、瞳孔径、まばたきなどがある。検知対象の生体反応は、たとえば痛みに伴うものである。
【0048】
発声はマイクロフォンを用いて検知することができる。このときの検知内容としては、発声の内容、声量などがある。発声の内容の検知は、たとえば、生体反応検知部50に設けられたマイクロプロセッサ(図示せず)が公知の音声認識技術を実行することによって行うことができる。このマイクロプロセッサは、あらかじめ記憶された内容が発声されたか否かをマイクロフォンから出力される電気信号を解析することで判断する。その内容が発生されたと判断されると、マイクロプロセッサは信号を主制御部411に入力する。声量の検知は、たとえば、生体反応検知部50に設けられたマイクロプロセッサ(図示せず)が、マイクロフォンから出力される電気信号を解析することによって行うことができる。このマイクロプロセッサは、この電気信号に基づいて、その音量が所定の閾値以上であるか判断する。音量が閾値以上であると判断されると、マイクロプロセッサは信号を主制御部411に入力する。
【0049】
表情、瞳孔径及びまばたきについては、患者の顔や眼を撮影し、その撮影画像を解析することにより検知できる。表情の検知は、生体反応検知部50に設けられたマイクロプロセッサ(図示せず)が、撮影画像を解析してあらかじめ記憶された表情の特徴点(たとえば痛みの発生に伴う表情筋の特徴的変化を表す点)を特定し、これら特徴点の位置関係が当該生体反応に対応する位置関係に合致するか判断することにより行うことができる。当該生体反応に対応する位置関係に合致すると判断されると、マイクロプロセッサは信号を主制御部411に入力する。瞳孔径の検知は、生体反応検知部50に設けられたマイクロプロセッサ(図示せず)が、撮影画像を解析して眼に相当する画像領域(眼領域)を抽出し、この眼領域を解析して瞳孔に相当する画像領域(瞳孔領域)を特定し、この瞳孔領域の径を算出することにより行うことができる。マイクロプロセッサは、瞳孔径が所定の許容範囲内にあるか判断する。瞳孔径が許容範囲外であると判断されると、マイクロプロセッサは信号を主制御部411に入力する。まばたきの検知は、たとえば、順次に得られる画像から上記瞳孔領域が特定されるか否か判定し、特定されないタイミングがまばたきのタイミングであると判断することで実現できる。マイクロプロセッサは、まばたきが検知されたタイミングで信号を主制御部411に入力する。
【0050】
呼吸、発汗、心電図、血圧、筋電図及び脳波については、それぞれ、公知の呼吸モニタ装置、発汗モニタ装置、心電計、血圧測定器、筋電計、脳波計を用いることで検知できる。これら装置による検知結果を示す電気信号は、生体反応検知部50に設けられたマイクロプロセッサ(図示せず)に入力される。マイクロプロセッサは、たとえば、この検知結果と所定の閾値とを比較することにより、生体反応が発生したか否か判断する。生体反応が発生したと判断されると、マイクロプロセッサは信号を主制御部411に入力する。
【0051】
生体反応検知部50は、生体反応の発生だけでなく、生体反応の程度を検知できるように構成されていてもよい。生体反応の程度の例として、声量、表情の崩れ度合い、呼吸の速さ、発汗量、心拍数、血圧値、筋肉の緊張度、脳波の周波数、瞳孔径の大きさ、まばたきの頻度などがある。これら生体反応の程度を表す情報(程度情報)は、生体反応情報としての信号に含まれて主制御部411に入力される。
【0052】
[動作]
この実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。以下、第1〜第7の動作例を説明する。第1の動作例では、生体反応情報の入力に対応してスキャンを開始/停止させる制御を説明する。第2の動作例では、生体反応情報の入力に対応してX線の照射間隔(スキャン条件)を変更する制御を説明する。第3の動作例では、生体反応情報の入力に対応して管電流値(スキャン条件)を変更する制御を説明する。第4の動作例では、生体反応情報の入力に対応して断面間隔(再構成条件)を変更する制御を説明する。第5の動作例では、生体反応情報の入力に対応して画像データに付帯情報を付帯する制御を説明する。第6の動作例では、生体反応情報の入力に対応して画像データに埋め込み情報を埋め込む制御を説明する。第7の動作例では、生体反応の程度情報に応じて異なる付加情報を画像データに付加する制御を説明する。第1〜第7の動作例のうちの任意の2つ以上を組み合わせることができる。
【0053】
〔第1の動作例〕
第1の動作例は、生体反応情報の入力に対応してスキャンを開始/停止させるものである。ここでは、息継ぎを挟みつつ息を止めた状態でのスキャンを繰り返し行う検査への適用例を説明する。なお、検査の準備は既になされているものとする。すなわち、被検体Eは寝台装置30に載置されて架台装置10の開口部に挿入されており、かつ、生体反応検知部50(呼吸モニタ装置)が被検体Eに装着されているものとする。第1の動作例の流れを
図3に示す。
【0054】
(S1:呼吸状態の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの呼吸状態の検知を開始する。この段階では、被検体Eは通常のように呼吸しているものとする。ユーザ(医師、看護師、放射線技師等)は、任意のタイミングで、呼吸を止めるよう被検体Eに指示する。
【0055】
(S2:呼吸の停止を検知)
生体反応検知部50は、被検体Eの呼吸の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報(呼吸状態情報)を主制御部411に入力する(S2:YES)。
【0056】
(S3:検出データの収集)
この呼吸状態情報を受けた主制御部411は、収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、スキャン制御部42を制御して被検体Eに対するX線スキャンを開始させる。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出する。データ収集部18は、スキャンに伴いX線検出器12から逐次に生成される検出データを収集する。データ収集部18は、収集された検出データを前処理部431に送る。
【0057】
(S4:投影データの生成)
前処理部431は、データ収集部18からの検出データに対して前述の前処理を施して投影データを生成する。
【0058】
(S5:ボリュームデータの生成)
再構成処理部432は、投影データに再構成処理を施すことにより、ボリュームデータを生成する。
【0059】
(S6:MPR画像データの生成)
レンダリング処理部433は、ボリュームデータに基づくMPR画像データを生成する。MPR画像データは、直交3軸画像のいずれかの画像データでもよいし、任意に設定された断面に基づくオブリーク画像の画像データでもよい。
【0060】
(S7:MPR画像の表示)
表示制御部413は、生成されたMPR画像データに基づく画像(MPR画像)を表示部45に表示させる。MPR画像の表示態様は動画表示でも静止画表示でもよい。この動作例では、呼吸が止まっている間スキャンを反復的に行うことにより(S8:NO)、動画表示がなされるものとする。
【0061】
(S8:呼吸の開始を検知)
生体反応検知部50は、被検体Eの呼吸の開始を検知すると、その旨を示す生体反応情報(呼吸状態情報)を主制御部411に入力する(S8:YES)。
【0062】
(S9:スキャンの停止)
この呼吸状態情報を受けた主制御部411は、収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、スキャン制御部42を制御して被検体Eに対するX線スキャンを停止させる。この制御は、スキャンに関わる構成部位の全ての動作を停止させるものでもよいし、これらの一部の動作のみを停止させるものでもよい。後者の例として、架台駆動部15による回転体13の回転動作を継続させつつ、高電圧発生部14によるX線発生部11への電力供給を停止させることができる。
【0063】
(S10:検査終了?)
主制御部411は、ステップ2〜9の動作を検査の終了(S10:YES)まで繰り返し実行させる。
【0064】
この動作例によれば、被検体Eの呼吸状態に応じてスキャン動作を自動で制御することができる。つまり、被検体Eの呼吸が止まっているときにスキャンを行なって画像を取得し、呼吸しているときにはスキャンを停止させることができる。したがって、呼吸が止まっている状態における画像を確実に取得できるとともに、不要なX線被曝を抑えることができる。更に、呼吸状態を確認してスキャンの開始/停止の操作を行う必要がなくなる。なお、この動作例ではボリュームデータを生成する場合を説明したが、ボリュームデータを生成せずに或る断面の断層像データを生成するようにしてもよい。
【0065】
〔第2の動作例〕
第2の動作例は、生体反応情報の入力に対応してX線の照射間隔(スキャン条件)を変更するものである。第2の動作例の流れを
図4に示す。なお、第1の動作例と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0066】
(S11:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、
図3のステップ3〜7の処理を実行させる。つまり、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。なお、この段階のスキャンでは、第1の照射間隔でX線が被検体Eに照射されるものとする。第1の照射間隔は、生体反応が発生していないときに適用されるものであり、比較的長く設定されている。
【0067】
(S12:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0068】
(S13:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S13:YES)。
【0069】
(S14:X線照射間隔を減少させてスキャンを継続)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、X線照射間隔を第2の照射間隔に切り替えるための制御信号を生成してスキャン制御部42に送る。スキャン制御部42は、高電圧発生部14を制御し、X線照射間隔を第1の照射間隔から第2の照射間隔に切り替えさせてスキャンを継続させる。第2の照射間隔は、第1の照射間隔より短いものとする。つまり、ステップ14により、X線照射間隔が減少される。なお、第1及び第2の照射間隔はあらかじめ設定された値である。
【0070】
(S15〜S17:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S15:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S16:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S16:NO)、主制御部411は収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、X線照射間隔を第1の照射間隔に切り替えるための制御信号を生成してスキャン制御部42に送る。スキャン制御部42は、高電圧発生部14を制御し、X線照射間隔を第2の照射間隔から第1の照射間隔に切り替えさせてスキャンを継続させる(S17)。
【0071】
(S15、S18:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ15において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S15:NO)、検査終了の指示がなされると(S18:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S18:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S15:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理が継続される。
【0072】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応の状態(発生/停止)に応じてスキャン条件におけるX線照射間隔を自動で制御することができる。具体的には、生体反応が発生していないときには比較的長い照射間隔でスキャンを行なって画像を取得し、生体反応が発生しているときには比較的短い照射間隔でスキャンを行なって画像を取得することができる。したがって、生体反応が発生している状態における画像を確実に取得できるとともに、生体反応が発生していないときのX線被曝を抑えることができる。更に、生体反応の発生状態を確認してスキャン条件(X線照射間隔)の切り替え操作を行う必要がなくなる。
【0073】
〔第3の動作例〕
第3の動作例は、生体反応情報の入力に対応して管電流値(スキャン条件)を変更するものである。第3の動作例の流れを
図5に示す。なお、上記と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0074】
(S21:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。なお、この段階のスキャンでは、第1の管電流値が適用されているものとする。第1の管電流値は、生体反応が発生していないときに適用されるものであり、比較的小さく設定されている。
【0075】
(S22:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0076】
(S23:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S23:YES)。
【0077】
(S24:管電流値を増加させてスキャンを継続)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、管電流を第2の管電流値に切り替えるための制御信号を生成してスキャン制御部42に送る。スキャン制御部42は、高電圧発生部14を制御し、管電流を第1の管電流値から第2の管電流値に切り替えさせてスキャンを継続させる。第2の管電流値は、第1の管電流値より大きいものとする。つまり、ステップ24により、管電流値が増加される。なお、第1及び第2の管電流値はあらかじめ設定された値である。
【0078】
(S25〜S27:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S25:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S26:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S26:NO)、主制御部411は収集制御部412に制御信号を送る。収集制御部412は、管電流を第1の管電流値に切り替えるための制御信号を生成してスキャン制御部42に送る。スキャン制御部42は、高電圧発生部14を制御し、管電流を第2の管電流値から第1の管電流値に切り替えさせてスキャンを継続させる(S27)。
【0079】
(S25、S28:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ25において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S25:NO)、検査終了の指示がなされると(S28:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S28:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S25:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理が継続される。
【0080】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応の状態(発生/停止)に応じてスキャン条件における管電流値を自動で制御することができる。具体的には、生体反応が発生していないときには比較的小さい管電流値でスキャンを行なって画像を取得し、生体反応が発生しているときには比較的大きい管電流値でスキャンを行なって画像を取得することができる。したがって、生体反応が発生しているときには高画質の画像を取得できるとともに、生体反応が発生していないときにはX線被曝を抑えることができる。更に、生体反応の発生状態を確認してスキャン条件(管電流)の切り替え操作を行う必要がなくなる。
【0081】
〔第4の動作例〕
第4の動作例は、生体反応情報の入力に対応して断面間隔(再構成条件)を変更するものである。第4の動作例の流れを
図6に示す。なお、上記と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0082】
(S31:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成(再構成処理)、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。なお、この段階の再構成処理では、第1の断面間隔が適用されているものとする。第1の断面間隔は、生体反応が発生していないときに適用されるものであり、比較的広く設定されている。
【0083】
(S32:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0084】
(S33:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S33:YES)。
【0085】
(S34:断面間隔を減少させて再構成処理を継続)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、断面間隔を第2の断面間隔に切り替えるための制御信号を生成して再構成処理部432に送る。再構成処理部432は、断面間隔を第1の断面間隔から第2の断面間隔に切り替えて再構成処理を継続する。第2の断面間隔は、第1の断面間隔より狭いものとする。つまり、ステップ34により、断面間隔が減少される。なお、第1及び第2の断面間隔はあらかじめ設定された値である。
【0086】
(S35〜S37:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S35:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S36:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S36:NO)、主制御部411は処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、断面間隔を第1の断面間隔に切り替えるための制御信号を生成して再構成処理部432に送る。再構成処理部432は、断面間隔を第2の断面間隔から第1の断面間隔に切り替えて再構成処理を継続する(S37)。
【0087】
(S35、S38:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ35において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S35:NO)、検査終了の指示がなされると(S38:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S38:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S35:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理が継続される。
【0088】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応の状態(発生/停止)に応じて再構成条件における断面間隔を自動で制御することができる。具体的には、生体反応が発生していないときには比較的広い断面間隔で再構成処理を行なって画像を形成し、生体反応が発生しているときには比較的狭い断面間隔で再構成処理を行なって画像を形成することができる。したがって、生体反応が発生しているときには被検体Eを細かく観察可能な複数の画像を取得できるとともに、生体反応が発生していないときにはX線被曝を抑えることができる。更に、生体反応の発生状態を確認して再構成条件(断面間隔)の切り替え操作を行う必要がなくなる。
【0089】
〔第5の動作例〕
第5の動作例は、生体反応情報の入力に対応して画像データに付帯情報を付帯するものである。第5の動作例の流れを
図7に示す。なお、上記と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0090】
(S41:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。この段階では、ボリュームデータに付帯情報を付帯する処理は実行されていないものとする。
【0091】
(S42:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0092】
(S43:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S43:YES)。
【0093】
(S44:付帯情報の付帯を開始)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、ボリュームデータに付帯情報を付帯させるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、再構成処理部432により生成されたボリュームデータに対して所定の付帯情報を付帯させる。この動作例ではボリュームデータが繰り返し生成される。情報付加部434は、生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく各ボリュームデータに対して付帯情報を付帯させる。また、この動作例では、ボリュームデータに対して付帯情報を付帯させているが、MPR画像データに付帯情報を付帯させるようにしてもよい。
【0094】
(S45〜S47:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S45:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S46:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S46:NO)、主制御部411は処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、ボリュームデータに対して付帯情報を付帯させる処理を停止させるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、ボリュームデータに対して付帯情報を付帯させる処理を停止する(S47)。
【0095】
(S45、S48:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ45において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S45:NO)、検査終了の指示がなされると(S48:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S48:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S45:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理と付帯情報を付帯させる処理とが継続される。
【0096】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく画像データに対して付帯情報を付帯することができる。したがって、任意の画像データについて、生体反応が発生しているときの被検体Eの状態を表すものであるか、生体反応が発生していないときの状態を表すものであるか容易に判別することが可能となる。また、生体反応の発生状態を確認して付帯情報を付帯させる操作を行う必要がなくなる。更に、主制御部411は、画像データと付帯情報とを関連付けて記憶部44や外部の記憶装置に記憶させ、後に画像を閲覧するときに、付帯情報の有無に応じて表示態様を切り替えることができる。それにより、後の画像閲覧においても、その画像が生体反応の発生中に得られたものか否か容易に判別できる。これは、他の装置により画像を閲覧する場合にも同様である。なお、生体反応の発生の有無は、付帯情報に基づく表示情報を表示させることにより把握される。
【0097】
〔第6の動作例〕
第6の動作例は、生体反応情報の入力に対応して画像データに埋め込み情報を埋め込むものである。第6の動作例の流れを
図8に示す。なお、上記と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0098】
(S51:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。この段階では、ボリュームデータに付帯情報を付帯する処理は実行されていないものとする。
【0099】
(S52:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0100】
(S53:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S53:YES)。
【0101】
(S54:埋め込み情報の埋め込みを開始)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、ボリュームデータに埋め込み情報を埋めこませるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、再構成処理部432により生成されたボリュームデータに対して所定の埋め込み情報を埋め込む。この動作例ではボリュームデータが繰り返し生成される。情報付加部434は、生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく各ボリュームデータに対して埋め込み情報を埋め込む。また、この動作例では、ボリュームデータに対して埋め込み情報を埋めこんでいるが、MPR画像データに埋め込み情報を埋め込むようにしてもよい。
【0102】
(S55〜S57:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S55:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S56:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S56:NO)、主制御部411は処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、ボリュームデータに対する埋め込み情報の埋め込み処理を停止させるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、ボリュームデータに対する埋め込み情報の埋め込み処理を停止する(S57)。
【0103】
(S55、S58:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ55において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S55:NO)、検査終了の指示がなされると(S58:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S58:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S55:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理と埋め込み情報を埋め込む処理とが継続される。
【0104】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく画像データに対して埋め込み情報を埋め込むことができる。したがって、任意の画像データについて、生体反応が発生しているときの被検体Eの状態を表すものであるか、生体反応が発生していないときの状態を表すものであるか容易に判別することが可能となる。また、生体反応の発生状態を確認して埋め込み情報を埋めこませる操作を行う必要がなくなる。更に、主制御部411は、埋め込み情報が埋め込まれた画像データを記憶部44や外部の記憶装置に記憶させることができる。それにより、後の画像閲覧においても、その画像が生体反応の発生中に得られたものか否か容易に判別できる。これは、他の装置により画像を閲覧する場合にも同様である。なお、生体反応の発生の有無は、埋め込み情報に基づく表示情報を表示させることにより把握される。
【0105】
〔第7の動作例〕
第7の動作例は、生体反応の程度情報に応じて異なる付加情報を画像データに付加するものである。第7の動作例の流れを
図9に示す。なお、上記と同様の動作については簡単な説明に留める。
【0106】
(S61:スキャン〜画像表示を開始)
所定のスキャン開始指示が入力されると、主制御部411は、スキャン、投影データの生成、ボリュームデータの生成、MPR画像データの生成、及びMPR画像の表示を開始させる。この段階では、ボリュームデータに付帯情報を付帯する処理は実行されていないものとする。
【0107】
(S62:生体反応の検知を開始)
生体反応検知部50による被検体Eの生体反応の検知を開始する。
【0108】
(S63:生体反応の発生を検知)
生体反応検知部50は、生体反応の発生を検知すると、その生体反応の程度を示す程度情報を含む生体反応情報を主制御部411に入力する(S63:YES)。
【0109】
(S64:生体反応の程度に応じた付加情報の付加を開始)
この生体反応情報を受けた主制御部411は、これに含まれる程度情報に基づいて制御信号を生成し処理制御部414に送る。処理制御部414は、この制御信号に応じた付加情報、つまり生体反応の程度に応じた付加情報をボリュームデータに付加させるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。ここで、処理制御部414は、たとえば生体反応の程度と付加情報の態様とを対応付けたテーブル情報をあらかじめ記憶しており、F程度情報に示す程度に対応する付加情報をこのテーブル情報を参照して特定する。そして、処理制御部414は、特定された付加情報に応じた制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、再構成処理部432により生成されたボリュームデータに対して当該付加情報を付加する。この動作例ではボリュームデータが繰り返し生成される。情報付加部434は、生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく各ボリュームデータに対して、そのデータ収集時における程度情報に応じた付加情報を付加する。また、この動作例では、ボリュームデータに対して付加情報を付加しているが、MPR画像データに付加情報を付加するようにしてもよい。
【0110】
(S65〜S67:生体反応の停止に伴う処理)
生体反応検知部50は、生体反応の停止を検知すると、その旨を示す生体反応情報を主制御部411に入力する(S65:YES)。検査終了の指示がなされた場合(S66:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S66:NO)、主制御部411は処理制御部414に制御信号を送る。処理制御部414は、ボリュームデータに対する付加情報の付加処理を停止させるための制御信号を生成して情報付加部434に送る。情報付加部434は、ボリュームデータに対する付加情報の付加処理を停止する(S67)。
【0111】
(S65、S68:生体反応が継続している場合の処理)
ステップ65において生体反応の停止が検知されない場合、つまり生体反応が継続している場合において(S65:NO)、検査終了の指示がなされると(S68:YES)、この動作例の処理は終了となる。一方、この段階で検査終了の指示がなされない場合(S68:NO)、生体反応の停止が検出されるまで(S65:YES)、現在のスキャン〜画像表示の処理と、程度情報に基づく付加情報の付加処理とが継続される。
【0112】
この動作例によれば、被検体Eの生体反応が発生している間に収集された検出データに基づく画像データに対して付加情報を付加することができる。したがって、任意の画像データについて、生体反応が発生しているときの被検体Eの状態を表すものであるか、生体反応が発生していないときの状態を表すものであるか容易に判別することが可能となる。更に、この動作例では、生体反応の程度に応じて異なる付加情報を付加することができるので、その画像データを取得するためのスキャン時における生体反応の程度を把握することが可能である。また、生体反応の発生状態(発生の有無、程度)を確認して付加情報を付加させる操作を行う必要がなくなる。更に、主制御部411は、付加情報が付加された画像データを記憶部44や外部の記憶装置に記憶させることができる。それにより、後の画像閲覧においても、その画像が生体反応の発生中に得られたものか否か判別でき、更に、その画像が得られたときの生体反応の程度を容易に把握できる。これは、他の装置により画像を閲覧する場合にも同様である。なお、生体反応の発生の有無は、付加情報に基づく表示情報を表示させることにより把握される。また、生体反応の程度は、程度情報に応じて付加された付加情報に基づく表示情報(程度に応じて表示態様を違える)を表示させることにより把握される。
【0113】
[変形例]
実施形態に係るX線CT装置の変形例について説明する。
【0114】
上記の実施形態では、生体反応検知部50(検知部)を用いて被検体Eの生体反応を自動検知しているが、この構成には限定されない。たとえば、被検体E本人、医師、看護師、放射線技師等が操作部46を用いて生体反応の状態を手動で入力するようにしてもよい。この場合、所定の操作を行うことによって生体反応の発生/停止を入力することができる。また、操作頻度(たとえばボタンを押下する頻度)を変えることによって、又は操作強度(たとえばボタンを押下する強さ)を変えることによって、生体反応の程度を入力することができる。
【0115】
この変形例に係るX線CT装置100の構成を
図10及び
図11に示す。
図10に示す構成は
図1に示す構成から生体反応検知部50を除いたものであり、
図11に示す構成は
図2に示す構成における生体反応検知部50を操作部46に置換したものである。生体反応情報の入力元が生体反応検知部50から操作部46に代わっただけであるので、詳しい説明は割愛する。
【0116】
[作用・効果]
実施形態及び変形例に係るX線CT装置の作用及び効果を説明する。
【0117】
X線CT装置は、収集部、処理部、入力部、表示部、表示制御部及び制御部を有する。収集部は、架台装置10(及び寝台装置30)を含んで構成され、被検体EにX線を照射してデータを収集する。より詳しくは、この収集部は、被検体EをX線でスキャンしてデータを収集する。処理部は、処理部43(特に再構成処理部432と情報付加部434)を含んで構成され、収集部により収集されたデータを処理して被検体Eの画像を形成する。入力部は、生体反応検知部50又は操作部46を含んで構成され、被検体Eの所定の生体反応の状態を表す生体反応情報を入力する。表示制御部は、表示制御部413を含んで構成され、表示部45に情報を表示させる。制御部は、制御部41を含んで構成され、入力部により入力された生体反応情報に基づいて収集部、処理部及び表示制御部のうちの少なくとも1つを制御する。このX線CT装置によれば、生体反応情報に基づいて装置各部を制御することができるので、被検者Eの生体反応の状態に応じた制御が可能である。
【0118】
制御部は、入力された生体反応情報に基づき収集部を制御してスキャンを開始又は停止させることができる。更に、制御部が、生体反応の発生を示す生体反応情報が入力されたことに対応してスキャンの開始又は停止を行わせるように構成することができる。加えて、入力部が、生体反応情報として呼吸状態を示す呼吸状態情報を入力し、制御部が、呼吸の停止を示す呼吸状態情報が入力されたことに対応してスキャンを開始させ、呼吸の開始を示す呼吸状態情報が入力されたことに対応してスキャンを停止させるように構成することができる。このX線CT装置によれば、被検者Eの生体反応の状態に応じてスキャンの開始/停止を制御することが可能である。
【0119】
制御部は、スキャンが行われているときに入力された生体反応情報に基づきスキャン条件を変更してスキャンを継続させることができる。更に、スキャン条件がX線を照射する時間間隔(照射間隔)を含み、制御部が、スキャンが行われているときに生体反応の発生を示す生体反応情報が入力されたことに対応して照射間隔を減少させるように構成することができる。また、スキャン条件が管電流値を含み、制御部が、スキャンが行われているときに生体反応の発生を示す生体反応情報が入力されたことに対応して管電流値を増加させるように構成することができる。このX線CT装置によれば、被検者Eの生体反応の状態に応じてスキャン条件を制御してスキャンを行うことが可能である。
【0120】
制御部は、スキャンが行われているときに生体反応情報が入力された場合に、当該生体反応情報の入力前に収集されたデータに基づく投影データに対する再構成処理における再構成条件と、入力後に収集されたデータに基づく投影データに対する再構成処理における再構成条件とを違えるように再構成処理部432を制御することができる。このとき、再構成条件が断面間隔を含み、制御部が、スキャンが行われているときに生体反応の発生を示す生体反応情報が入力されたことに対応して断面間隔を減少させるように構成することができる。このX線CT装置によれば、被検者Eの生体反応の状態に応じて再構成条件を制御して再構成処理を行うことが可能である。
【0121】
制御部は、スキャンが行われているときに生体反応情報が入力された場合に、当該生体反応情報に基づく所定の付加情報を画像データに付加する処理を情報付加部434(データ処理部)に実行させることができる。更に、制御部が、付加情報としての所定の付帯情報を画像データに付帯させる処理を情報付加部434に実行させるように構成することができる。また、制御部が、付加情報としての所定の埋め込み情報を画像データに埋め込む処理を情報付加部434に実行させるように構成することができる。加えて、再構成処理部が画像データとしてボリュームデータを生成する場合に、制御部が、ボリュームデータの任意の断面に含まれるボリュームデータ内の位置に埋め込み情報を埋め込む処理を情報付加部434に実行させるように構成することができる。このX線CT装置によれば、被検体Eの生体反応に応じた付加情報を画像データに付加することができるので、その画像データがどのような生体反応の状態において取得されたものであるのか把握することが可能である。また、画像データに基づく画像と付加情報に基づく表示情報とを表示部46に表示させるように構成することにより、その画像データがどのような生体反応の状態において取得されたものであるか一目で把握することができる。
【0122】
生体反応情報が程度情報を含む場合、制御部は、程度情報が示す生体反応の程度に応じて異なる付加情報を付加させるようにデータ処理部を制御することができる。更に、制御部が、画像データに基づく画像と程度情報に応じた態様の表示情報とを表示部に表示させるように表示制御部を制御するように構成することができる。このX線CT装置によれば、どの程度の生体反応が発生しているときにその画像データが取得されたか把握することができる。
【0123】
入力部は、被検体Eの状態を監視し、生体反応を検知して生体反応情報としての信号を入力する生体反応検知部50(検知部)を含んでいてもよい。このX線CT装置によれば、生体反応を自動で検知し、その検知結果に応じて装置各部を制御することができる。このX線CT装置は、特に客観的に判断すべき生体反応を参照して行う検査において有効である。
【0124】
入力部は、操作者による操作に対応して生体反応情報としての信号を入力する操作部46(操作部)を含んでいてもよい。このX線CT装置は、特に主観的に判断すべき生体反応を参照して行う検査において有効である。
【0125】
痛みの発生状態に伴う生体反応を示す痛み状態情報を生体反応情報として入力するように入力部を構成することができる。このX線CT装置によれば、痛みの状態と画像データとを対応付けることが可能である。
【0126】
以上ではX線CT装置の実施形態について説明したが、同様の構成をX線撮影装置に適用することが可能である。X線撮影装置の実施形態においては、収集部は、X線管を含むX線発生部と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器(平面検出器)とを含んで構成される。処理部、入力部、表示部、表示制御部及び制御部については、X線CT装置の実施形態とほぼ同様である。ただし、処理部の具体的な構成は異なる。つまり、X線撮影装置の処理部は、X線検出器により収集されたデータを処理して被検体の画像を形成するものとされる。このようなX線撮影装置の実施形態によれば、上記したX線CT装置と同様の作用・効果を得ることができる。また、上記したX線CT装置の実施形態に記載された任意の構成や制御をX線撮影装置に適用して実施することが可能である。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。