(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
画像診断支援システムの一実施形態について各図を参照して説明する。
図1は画像診断支援システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、画像診断支援システムは、ネットワークにより相互に接続された、病院情報システム(HIS;Hospital Information System)1、モダリティ(医用画像撮影装置)2、画像保存通信システム(PACS;Picture Archiving and Communication System)3、レポート操作端末4、及びウエブサーバ5を有する。ここで、画像診断支援システムは、上記以外の装置又はシステムを1以上組み合わせることにより構成されてもよい。
【0014】
HIS1の端末を用いて、診療科医師が被検者の容態を勘案しながらで、検査依頼(検査オーダー)を発行する。HIS1は、被検者の電子カルテ(検査情報、治療情報、経過情報等)を例えばデータベースなどの記憶装置に記憶させ、それらの情報の管理をする。
【0015】
撮影技師が検査オーダーを確認し、モダリティ2を用いて被検者を撮影する。モダリティ2で生成された医用画像は、医用情報の標準通信規格であるDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)にてPACS3に転送される。PACS3は、被検者の診療情報を例えばデータベースなどの記憶装置に記憶させ、それら情報の管理をする。
【0016】
レポート操作端末4を用いて、読影医が転送された医用画像を観察しながら、読影(医用画像に写っている所見をスクリーニング作業)を行い、その読影時の結果をまとめた読影レポート(レポート情報)を作成する。作成された読影レポートはPACS3に転送される。PACS3は読影レポートを記憶装置に記憶させ、読影レポートの管理をする。
【0017】
画像診断支援システムは一つの医用機関(病院、医用施設等)に構築してもよく、複数の医用機関の間で構築してもよい。また、各画像診断支援システムを専用回線で相互に接続してもよく、その専用回線に他の病院6及びデータセンタ7を接続してもよく、インターネット8を接続してもよい。
【0018】
図2及び
図3は被検者の診療情報を示す図である。
図2及び
図3に示すように、PACS3の記憶装置には、被検者の識別番号である被検者ID、被検者が受けた検査の種別、被検者が受けた治療の方法、検査ID、被検者が受けた検査の実施登録日付、検査により取得された医用画像の識別番号、病名を含む被検者の診療情報が記憶される。
【0019】
ここで、ネットワークに接続された例えばレポート操作端末4のようなクライアント端末及びPACS3によりデータ操作手段9が構成されている。
【0020】
次に、データ操作手段9について簡単に説明する。
図4はデータ操作手段9のブロック図である。
図4に示すように、データ操作手段9は、検索手段(抽出手段)91、更新手段92、追加手段93及び削除手段94を有している。検索手段91は、データベースの表(テーブル)から特定の列を抽出する選択手段、表から列を取り出す射影手段、及び、表を結合する結合手段を有している。更新手段92は、列のデータを更新する。追加手段93は表のデータ(行)を追加する。削除手段94は表のデータ(行)を削除する。
【0021】
以下、検索手段91の一例について説明する。PACS3は例えばレポート操作端末4のようなネットワークに接続されたクライアント端末からの検索指示を受けて、記憶装置に記憶された被検者の診療情報から被検者が受けた各種の検査の順番を抽出する。例えば、PACS3は、被検者ID12345の入力を受けて、実施登録日時を参照して、被検者が受けた各種の検査の順番である、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図を抽出する(
図2参照)。
【0022】
また、PACS3は、各種の検査の順番を指定した検索をクライアント端末から受けて、その検査の順番と全部または一部が一致する検査を受けた被検者の病名を被検者の治療情報から抽出する。ここで、検査の順番と全部が一致するとは、検査の順番が完全に一致するときをいう。また、検査の順番の一部が一致するとは、検査の順番の中の前方部分が一致(前方一致)、後方部分が一致(後方一致)、中央部分が一致、その中に含まれる検査の種別のうち予め定められた割合以上が一致することをいう。
【0023】
全部が一致するときの抽出において、例えば、PACS3は、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図を指定した検索を受けて、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図の順番で各種の検査を受けた被検者の病名である狭心症、及び被検者ID98765を抽出する(
図3参照)。また、一部が一致するときの抽出において、検索手段は、LIKE演算子を用いたパターンマッチングにより行う。例えば、後方一致では、PACS3は、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図を指定した検索を受けて、超音波検査、内視鏡検査、ホルダー心電図の順番で各種の検査を受けた被検者の病名及び被検者IDを抽出する。前方一致では、PACS3は、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図を指定した検索を受けて、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルダー心電図、超音波検査の順番で各種の検査を受けた被検者の病名及び被検者IDを抽出する。ここで、クライアント端末及びPACS3が第1検索手段の一例である。
【0024】
図5は被検者の病名情報を示す図である。
図5に示すように、記憶装置には、被検者ID、病名、その病名を診断するときに基とした医用画像であるキー画像が記憶される。
【0025】
PACS3は、被検者ID及び病名を指定した検索をクライアント端末から受けて、その病名に係るキー画像を抽出する。例えば、PACS3は、被検者ID98765及び狭心症を指定した検索を受けて、キー画像の識別番号である007を抽出する。ここで、クライアント端末及びPACS3が第2検索手段の一例である。
【0026】
図6は検索手段の機能ブロック図である。
図6に示すように、検査手段はHIS1、PACS3、及び例えばレポート操作端末4のようなクライアント端末を有する。各種の検査の順番を指定した検索をクライアント端末から受けると、PACS3が被検者の診療情報から病名を抽出する。また、病名を指定した検索をクライアント端末から受けると、PACS3が被検者の病名情報から被検者ID及びキー画像を抽出する。さらに、PACS3からの被検者ID及びキー画像の識別番号を受けて、HIS1はその被検者の電子カルテ(検査情報、治療情報、経過情報等)を抽出する。
【0027】
次に、検索手段の動作について
図7を参照して説明する。
図7は検索手段の一連の動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、検索手段の一連の動作は、一の被検者の第1情報の検索(ステップS101)、他の被検者の第2情報及び第3情報の検索(ステップS102)、他の被検者の第2情報及び第3情報を出力(ステップS103)から成る。ここで、第1情報とは一の被検者が受けた各種検査の順番である。第2情報とは他の被検者が病名を診断するときに基にしたキー画像である。第3情報とは検査結果を基に被検者が受けた治療の内容である。
【0028】
次に、一の被検者の第1情報の検索(ステップS101)の詳細について
図8を参照して説明する。
図8は一の被検者の識別情報を入力してから各種検査の順番を抽出するまでの動作を示すフローチャートである。なお、第1情報(各種の検査の順番)を診療パスという場合がある。
【0029】
図8に示すように、クライアント端末からPACS3に一の被検者の識別情報を入力する(ステップS201)。例えば、被検者ID12345を入力する。
【0030】
PACS3は、被検者の診療情報の中に診療パスがあるかどうかを検索する(ステップS202)。診療パスがないとき(ステップS202:No)、診療パスの検索を終了する。
【0031】
診療パスがあるとき(ステップS202:Yes)、診療パスを抽出する(ステップS203)。例えば、識別情報が被検者ID12345である一の被検者の診療パス(アンギオ検査、内視鏡検査、ホルター心電図)を抽出する(
図2参照)。
【0032】
次に、他の被検者の第2情報及び第3情報の検索(ステップS102)の詳細について
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は検索手段の動作において、クライアント端末とPACS3とのデータのやりとりを示す図、
図10は、一の被検者が受けた各種検査の順番を指定した検索からキー画像の識別番号等を表示するまでの動作を示すフローチャートである。
【0033】
(診療パスを指定した検索:ステップS401)
図9及び
図10に示すように、クライアント端末からPACS3に対して一の被検者の診療パス(各種検査の順番)を指定した検索を受ける。例えば、ステップS203で抽出された一の被検者の診療パス(アンギオ検査、内視鏡検査、ホルター心電図)を指定した検索を受ける。
【0034】
(他の被検者の診療パスの有無の判断:(ステップS402)
次に、PACS3は、記憶装置に記憶された診療情報の中に検索すべき他の被検者の診療パスがあるかどうかを判断する。検索すべき他の被検者の診療パスがないとき(ステップS402:No)、キー画像の検索は終了する。検索すべき他の被検者の診療パスがあるとき(ステップS402:Yes)、診療パスの検索に移行する。
【0035】
(診療パスの検索:(ステップS403)
PACS3は、検索すべき他の被検者の診療情報の中から、抽出された一の被検者の診療パス(アンギオ検査、内視鏡検査、ホルター心電図)と全部または一部が一致する診療パスを受けた他の被検者の被検者IDを抽出する。ここでは、一の被検者の診療パスと一部が一致(後方一致)する診療パス(超音波検査、アンギオ検査、内視鏡検査、ホルター心電図)を受けた他の被検者の識別情報である被検者ID98765を抽出する。
【0036】
(他の被検者の識別情報の表示、指定:(ステップS404)
クライアント端末は抽出された被検者ID98765をモニタに表示する。操作手段(図示省略)の操作を受けて、クライアント端末が被検者ID98765を指定すると、PACS3が被検者の診療情報から病名を検索する。ここで、PACS3を利用して病名を検索する機能が第1情報検索機能の一例である。
【0037】
(病名の有無の判断:(ステップS405)
モニタに表示された被検者IDを指定したとき、病名が抽出されないときは(ステップS405:No)、抽出された診療パスに対応して記憶装置に記憶された病名が存在しないことを表している。このときは、他の被検者の診療情報の有無の判断(ステップS402)に戻る。
【0038】
(病名の表示、選択:(ステップS406)
PACS3が病名を抽出したとき(ステップS405:Yes)、クライアント端末はモニタに病名を表示させる。ここでは、被検者ID98765に対応する病名である糖尿病及び狭心症(
図5参照)をモニタに表示させる。操作手段(図示省略)の操作を受けて、クライアント端末が病名を選択する。ここで、PACS3及びクライアント端末を利用して病名をモニタに表示させる機能が第1情報表示機能の一例である。
【0039】
(キー画像の検索:(ステップS407)
選択された病名を基に、PACS3は被検者の病名情報(
図5参照)からキー画像を検索する。キー画像の識別番号がないとき(ステップS407:N0)、他の被検者の診療情報の有無の判断(ステップS402)に戻る。キー画像の識別番号があるとき(ステップS407:Yes)、PACS3はキー画像の識別番号を抽出する。ここで、PACS3を利用してキー画像を検索する機能が第2情報検索機能の一例である。なお、第2情報検索機能に、キー画像を検索する機能の他に、検査結果を基に被検者が受けた治療の内容を検索する機能が含まれてもよい。
【0040】
(キー画像の表示:(ステップS408)
クライアント端末は、抽出された被検者ID、及びキー画像の識別番号をモニタに表示させる。
【0041】
次に、他の被検者の第2情報を出力(ステップS103)の詳細について
図11を参照して説明する。
【0042】
図11に示すように、クライアント端末は、表示された複数のキー画像の識別番号の指定(操作手段による選択操作)する(ステップS501)。識別番号の指定を受けて、PACS3はその識別番号に係るキー画像をクライアント端末に出力し、クライアント端末は、キー画像を取得する(ステップS502)。
【0043】
クライアント端末は、そのキー画像をモニタに表示させる(ステップ503)。このとき、クライアント端末は、キー画像に係るレポート情報をPACS3から読み出してモニタに表示させる。また、クライアント端末は、指定されたキー画像の識別番号を受けてHIS1から電子カルテ(検査情報、治療情報、経過情報等)を読み出してモニタに表示させる(
図6参照)。ここで、PACS3及びクライアント端末を利用してキー画像をモニタに表示させる機能が第2情報表示機能の一例である。なお、第2情報表示機能に、キー画像をモニタに表示させる機能の他に、検査結果を基に被検者が受けた治療の内容を表示させる機能が含まれてもよい。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、例えば、一の被検者の診療パスと全部または一部が一致する診療パスを受けた他の被検者の病名を抽出し、病名を基にキー画像を効率的に収集することが可能となる。読影医等はキー画像を参照することで、一の被検者の病名を的確に診断することが可能となる。さらに、レポート情報及び電子カルテを参照することで、病名を診断したときの状況を把握することが可能となる。
【0045】
なお、前記する実施形態では、他の被検者の診療情報から病名を検索するとき、一の被検者が受けた診療パスが後方一致または前方一致するかどうかを条件としたが、他の検索条件としてもよい。一の被検者が受けた診療パスの中に含まれる検査の種別のうち予め定められた割合以上が一致する部分一致の例では、一の被検者が受けた診療パスがアンギオ検査、内視鏡検査、ホルター心電図であり、他の被検者が受けた診療パスの各種検査の順番がホルター心電図、アンギオ検査のときである。なお、部分一致の例では、各種の検査の順番が一致するかどうかは検索条件としない。
【0046】
また、前記実施形態においては、一の被検者の診療パスを検索条件として、他の被検者の診療情報を検索したが、これに限定することなく、例えば、検査ID(
図2及び
図3参照)を検索条件としてもよい。
【0047】
さらに、前記実施形態では、他の被検者の診療情報から病名を抽出し、病名を検索条件としてキー画像を検索したが、これに限らず、例えば、治療方法(
図2及び
図3参照)を検索条件としてもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。