特許第5963167号(P5963167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963167
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】有機色素MK−2の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 23/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   C09B23/00 M
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-188699(P2012-188699)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-47224(P2014-47224A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 泰行
(72)【発明者】
【氏名】土肥 寿文
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/119525(WO,A1)
【文献】 特開2009−046653(JP,A)
【文献】 特表2009−523869(JP,A)
【文献】 特開2001−039898(JP,A)
【文献】 特開2011−057937(JP,A)
【文献】 特開2006−049754(JP,A)
【文献】 Chemical Communications,2005年,No.23,2930-2932
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機色素MK−2の製造方法であって、
(i)3−ヘキシルチオフェンをヨウ素触媒並びにブロモトリメチルシラン、クロロトリメチルシラン、及びトリメチルシリルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種の活性化剤の存在下でカップリングさせて、前記チオフェン2分子がヘッド−トゥ−テイル結合したチオフェン2量体(H−Tビチオフェン)を合成する第1工程、
(ii)第1工程で得られたH−Tビチオフェンの5位をハロゲン化する第2工程、
(iii)第2工程で得られたハロゲン化H−Tビチオフェンと、9−エチルカルバゾールのボロン酸又はボロン酸エステルとをカップリングさせることにより、前記ハロゲン化H−Tビチオフェンの5位のハロゲンを9−エチルカルバゾリル基で置換する第3工程、
(iv)第3工程で得られた9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンの5’位をハロゲン化する第4工程、
(v)第4工程で得られたハロゲン化−9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンと、H−Tビチオフェンの5位をトリブチルスズ化した化合物とをカップリングさせることにより、前記ハロゲン化体にH−Tビチオフェンを結合させて、チオフェン4量体を形成する第5工程、
(vi)第5工程で得られたチオフェン4量体のチオフェン末端をホルミル化する第6工程、及び
(vii)第6工程で得られたホルミル化体とシアノ酢酸とを反応させて、前記ホルミル化体の末端のホルミル基を2−シアノ−2−カルボキシビニル基にすることにより、MK−2を生成する第7工程
を含有する製造方法。
【請求項2】
前記ヨウ素触媒が、超原子価ヨウ素化合物である、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機色素MK−2の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高性能及び低コスト製造の可能性がある次世代太陽電池の候補の一つとして色素増感太陽電池(DSSC:dye sensitized solar cell)が注目されている。DSSCでは、太陽電池特性を決める最も重要な構成要素のうちの一つである光増感剤として、ルテニウム錯体が一般的に用いられている。一方で、金属を含まない有機色素もDSSCの光増感剤として用いることが可能であり、最近では有機色素を用いた太陽電池効率の高いDSSCが開発されている。
【0003】
DSSC用の有機色素として、以下:
【0004】
【化1】
【0005】
の構造を有するMK−2(2-シアノ-3-[5'''-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-3',3'',3''',4-テトラ-n-ヘキシル-[2,2',5',2'',5'',2''']-クオーターチオフェン-5-イル]アクリル酸)が報告されている(非特許文献1及び2)。非特許文献1には、MK−2は、希少金属を含まないカルバゾール系有機色素であり、従来のルテニウム錯体と同等の太陽エネルギー変換効率が達成されることが記載されている。また、非特許文献2には、4−ヘキシルチオフェンボロン酸エステルを順に鈴木カップリングで結合させることにより4つのチオフェン環を形成してMK−2を製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、長時間の加熱及び高価な遷移金属を必要とする鈴木カップリングを4回行い、全体で11〜12工程を要し、製造に1ヶ月以上かかる上に、収率も16%程度(4−ヘキシルチオフェンボロン酸エステルの合成を含まない)と低い。さらに、金属廃棄物が多く、品質向上のため精製に多大な時間がかかっていた。
【0006】
MK−2をより少ない工程数で製造する方法が提案されている(非特許文献3)。非特許文献3には、3−置換チオフェンをノッシェル−ハウザー(Knochel-Hauser)塩基(TMPMgCl-LiCl)で位置選択的に脱プロトン化し、ニッケル触媒を用いてブロモチオフェンとカップリングさせることによりビチオフェンを合成し、このビチオフェン同士をカップリングさせることで4量体を合成してMK−2を製造する方法が記載されている。しかし、この方法は、非特許文献1の方法よりは工程数を減らすことができるが、チオフェンからビチオフェンを合成するのに2工程、約1日程度の時間がかかる上に、MK−2の収率(30%)も十分とはいえない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(44), 14256-14257
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 2008, 130(12), 4202-4203
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 16734-16737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MK−2を短時間で収率よく製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記のような事情を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素を用いてチオフェンのカップリングを行うと短時間でH−Tビチオフェンを得ることができ、このH−Tビチオフェンを用いて反応を行えばMK−2を短時間で収率よく合成できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、下記のMK−2の製造方法を提供するものである。
項1. 有機色素MK−2の製造方法であって、
(i)3−ヘキシルチオフェンをヨウ素触媒及び活性化剤の存在下でカップリングさせて、前記チオフェン2分子がヘッド−トゥ−テイル結合したチオフェン2量体(H−Tビチオフェン)を合成する第1工程、
(ii)第1工程で得られたH−Tビチオフェンの5位をハロゲン化する第2工程、
(iii)第2工程で得られたハロゲン化H−Tビチオフェンの5位のハロゲンを9−エチルカルバゾリル基で置換する第3工程、
(iv)第3工程で得られた9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンの5’位をハロゲン化する第4工程、
(v)第4工程で得られたハロゲン化体にH−Tビチオフェンを結合させて、チオフェン4量体を形成する第5工程、
(vi)第5工程で得られたチオフェン4量体のチオフェン末端をホルミル化する第6工程、及び
(vii)第6工程で得られたホルミル化体とシアノ酢酸とを反応させることにより、MK−2を生成する第7工程
を含有する製造方法。
項2. 前記ヨウ素触媒が、超原子価ヨウ素化合物である、上記項1に記載の製造方法。
項3. 前記活性化剤が、ブロモトリメチルシラン、クロロトリメチルシラン、三フッ化ホウ素及びトリメチルシリルトリフラートからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、出発原料である3−ヘキシルチオフェンから7工程でMK−2を収率よく製造することができる。本発明は、H−Tビチオフェン合成時に遷移金属を使用しないので、全体として廃棄される金属の量の減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、DSSC用の有機色素であるMK−2の製造方法である。本発明の製造方法は、以下の7工程を含有することを特徴としている。以下、7つの工程について詳細に説明する。
【0013】
第1工程
第1工程は、3−ヘキシルチオフェンをヨウ素触媒及び活性化剤の存在下でカップリングさせて、一方の3−ヘキシルチオフェンの2位と他方の3−ヘキシルチオフェンの5位とがヘッド−トゥ−テイル(H−T)結合したチオフェン2量体(H−Tビチオフェン)を合成する工程である。
【0014】
第1工程で、原料である3−ヘキシルチオフェンをカップリングさせてH−Tビチオフェンを合成する。触媒としてヨウ素を用いてチオフェンカップリングを行うことにより、短時間でH−Tビチオフェンを高収率で得ることができる。また、触媒として遷移金属を用いないので、金属廃棄物が低減される。
【0015】
カップリング反応は、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で、ヨウ素触媒の存在下、3−ヘキシルチオフェン同士をカップリングさせる。
【0016】
触媒として用いられるヨウ素は、超原子価ヨウ素化合物であることが好ましい。超原子価ヨウ素化合物は、3価、5価等の超原子価ヨウ素を含む化合物である。超原子価ヨウ素化合物として、具体的には、例えば、ヒドロキシトシロキシヨードベンゼン、フェニルヨージンジアセタート、フェニルヨージンビストリフルオロアセタートを挙げることができる。
【0017】
上記触媒の使用量は、特に限定されないが、3−ヘキシルチオフェンに対して通常0.3〜0.55倍モル程度、好ましくは0.5〜0.55倍モル程度である。
【0018】
溶媒としては、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール)、TFE(2,2,2−トリフルオロエタノール)、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)等の溶媒又はそれらの混合物中で行われる。これらの溶媒の中でも、HFIP及びTFEが好ましい。
【0019】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、3−ヘキシルチオフェンに対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0020】
カップリング反応を加速するため、活性化剤を使用することが必須である。活性化剤として、ブロモトリメチルシラン、クロロトリメチルシラン、三フッ化ホウ素、トリメチルシリルトリフラート等を用いることができる。
【0021】
活性化剤の使用量は、3−ヘキシルチオフェンに対して通常1〜5倍モル程度、好ましくは1〜2倍モル程度である。
【0022】
反応温度は、通常、0〜40℃程度、好ましくは0〜25℃程度である。反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜3時間程度である。
【0023】
第2工程
第2工程は、第1工程で得られたH−Tビチオフェンの5位をハロゲン化剤によりハロゲン化する工程である。
【0024】
H−Tビチオフェンのハロゲン化は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、国際公開第2011/155679A1号に記載の方法を用いることにより、H−Tビチオフェンの5位を選択的に臭素化することができるので、上記方法に準じて臭素化することが好ましい。
【0025】
本工程において、臭素化反応は、例えば、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で、H−Tビチオフェンにリチウム供給源及びハロゲン化剤を反応させることにより行われる。
【0026】
溶媒として、例えば、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、アセトニトリル(CHCN)等の溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。これらの溶媒の中でも、THF及びジエチルエーテルが好ましい。
【0027】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、H−Tビチオフェンに対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0028】
リチウム供給源として、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等を用いることができる。
【0029】
臭素化剤として、臭素(Br)、1,2−ジブロモエタン、N−ブロモスクシンイミド(NBS)等が挙げられる。
【0030】
上記リチウム供給源の使用量は、特に限定されないが、H−Tビチオフェンに対して通常1〜3倍モル程度、好ましくは1.1〜1.5倍モル程度である。また、リチウム供給源と臭素化剤とのモル比は、通常0.8〜1.5:1程度、好ましくは0.8〜1.1:1程度である。
【0031】
反応温度は、通常、−78〜0℃程度、好ましくは−78〜−40℃程度である。
【0032】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜2時間程度である。
【0033】
第3工程
第3工程は、第2工程で得られたハロゲン化H−Tビチオフェンの5位のハロゲンを9−エチルカルバゾリル基で置換する工程である。
【0034】
第3工程において、H−Tビチオフェンと9−エチルカルバゾールとをカップリングさせる。チオフェンダイマーを用いることで、9−エチルカルバゾールとのカップリング反応が短時間かつ定量的に起こすことができる。これにより、チオフェンと9−エチルカルバゾールとのカップリングの収率が低かった、上述の非特許文献1及び2に記載の反応と比較して、最終生成物(MK−2)の収率を向上させることができる。
【0035】
本工程で、第2工程で得られたハロゲン化H−Tビチオフェンと、9−エチルカルバゾールのボロン酸又はボロン酸エステルとをカップリングさせる。
【0036】
9−エチルカルバゾールのボロン酸又はボロン酸エステルは、当業者に公知の方法で適宜合成することができるが、市販されているものを使用してもかまわない。
【0037】
9−エチルカルバゾールのボロン酸又はボロン酸エステルの使用量は、特に限定されないが、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常1〜1.5倍モル程度、好ましくは1〜1.2倍モル程度である。
【0038】
必要に応じて、溶媒を使用してもよい。使用できる溶媒として、例えば、THF(テトラヒドロフラン)、トルエン、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。これらの溶媒の中でも、THF及びトルエンが好ましい。
【0039】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0040】
カップリング反応を加速するために貴金属触媒、相間移動触媒等の触媒を使用することが好ましい。特に貴金属触媒と相間移動触媒とを併用することが好ましい。
【0041】
貴金属触媒としては、パラジウム(Pd)錯体触媒が使用される。Pd錯体触媒は、酢酸パラジウムまたは塩化パラジウムに三置換ホスフィンを反応させて系内で調製することができ、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジ酢酸、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、トリス(ジベンジルデンアセトン)ジパラジウム等を使用することができる。
【0042】
Pd錯体触媒の使用量は、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常0.01〜0.3倍モル程度、好ましくは0.05〜0.1倍モル程度である。
【0043】
相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩、環状エーテル類、4級ホスホニウム塩等を使用することができる。これらの中でも、経済性の面で4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩として、テトラブチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロオキシド、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルエチルアンモニウムブロミド、トリオクチルエチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド等を使用することができる。
【0044】
相間移動触媒の使用量は、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常0.2〜3倍モル程度、好ましくは0.5〜1.5倍モル程度である。
【0045】
本工程では、ハロゲン化H−Tビチオフェンのハロゲンを脱離させるために、反応系中に塩基の存在が必要である。使用される塩基として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等を挙げることができる。これらの塩基は1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0046】
塩基の使用量は、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常1〜3倍モル程度、好ましくは1.5〜2倍モル程度である。
【0047】
反応温度は、通常、50〜110℃程度、好ましくは80〜110℃程度である。
【0048】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常6〜12時間程度である。
【0049】
第4工程
第4工程は、第3工程で得られた9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンの5’位をハロゲン化する工程である。
【0050】
第4工程において、ハロゲン化剤によって9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンの5’位をハロゲン化する。
【0051】
ハロゲン化として、塩素化、臭素化又はヨウ素化が挙げられる。これらの中で、次工程の収率の点から臭素化が好ましい。
【0052】
臭素化剤として、臭素(Br)、臭化水素、四臭化チタン、臭化亜鉛、三臭化リン、五臭化リン、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、四臭化炭素、N−ブロモアセトアミド(NBA)、臭化チオニル、臭化トリメチルシリル等を使用することができる。これらのうち、取り扱い易さ、安定性、経済性及び入手の容易さの点から、N−ブロモスクシンイミド(NBS)及び臭素(Br)が好ましい。
【0053】
上記臭化剤の使用量は、特に限定されないが、9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンに対して通常1〜2倍モル、好ましくは1.1〜1.5倍モル程度である。
【0054】
本工程では溶媒を用いてもよい。溶媒として、メタノール、エタノール、THF、アセトニトリル、ジエチルエーテル、酢酸、酢酸エチル、DMF等を挙げることができる。これらの溶媒は1種単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。これらの溶媒の中でも、THF及びアセトニトリルが好ましい。
【0055】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンに対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0056】
反応温度は、通常、−20〜30℃程度、好ましくは0〜20℃程度である。
【0057】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜3時間程度である。
【0058】
第5工程
第5工程は、第4工程で得られたハロゲン化体にH−Tビチオフェンを結合させて、チオフェン4量体を形成する工程である。
【0059】
第5工程において、ハロゲン化−9−エチルカルバゾリルH−TビチオフェンとH−Tビチオフェンとをカップリングさせる。
【0060】
詳細には、第4工程で得られたハロゲン化−9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンと、H−Tビチオフェンの5位をトリブチルスズ化した化合物、あるいはH−Tビチオフェンのボロン酸又はボロン酸エステルとをカップリングさせる。
【0061】
H−Tビチオフェンの5位をトリブチルスズ化した化合物、及びH−Tビチオフェンの5位をボロン酸又はボロン酸エステルは、当業者に公知の方法で適宜合成することができる。H−Tビチオフェンの5位をトリブチルスズ化した化合物は、例えば、工程(2)で得られたハロゲン化H−Tビチオフェンを有機リチウム等の塩基存在下、有機スズハロゲン化物をTHF等のエーテル溶媒中、低温(約−78〜0℃)下でスタニル化することにより製造することができる。
【0062】
H−Tビチオフェンのトリブチルスズ化物、又はH−Tビチオフェンのボロン酸又はボロン酸エステルの使用量は、特に限定されないが、ハロゲン化H−Tビチオフェンに対して通常1〜2倍モル程度、好ましくは1.1〜1.5倍モル程度である。
【0063】
必要に応じて、溶媒を使用する。使用できる溶媒として、例えば、THF(テトラヒドロフラン)、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)、トルエン等の溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。これらの溶媒の中でも、THF及びトルエンが好ましい。
【0064】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、ハロゲン化−9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンに対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0065】
カップリング反応を加速するために貴金属触媒を使用することが好ましい。貴金属触媒としては、パラジウム(Pd)錯体触媒が使用される。Pd錯体触媒は、酢酸パラジウムまたは塩化パラジウムに三置換ホスフィンを反応させて系内で調製することができ、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジ酢酸、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、トリス(ジベンジルデンアセトン)ジパラジウム等を使用することができる。
【0066】
Pd錯体触媒の使用量は、ハロゲン化−9−エチルカルバゾリルH−Tビチオフェンに対して通常0.01〜0.3倍モル程度、好ましくは0.05〜0.2倍モル程度である。
【0067】
反応温度は、通常、50〜110℃程度、好ましくは80〜110℃程度である。
【0068】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常6〜12時間程度である。
【0069】
第6工程
第6工程は、チオフェン4量体のチオフェン末端をホルミル化する工程である。
【0070】
第5工程で得られたチオフェン4量体に、ヴィルスマイヤー(Vilsmeier)試薬を反応させ、加水分解させることにより行われる。
【0071】
ヴィルスマイヤー試薬は、アミドとオキシ塩化リン(POCl)又は塩化チオニル(SOCl)の反応で得られるクロロメチルイミニウム塩形式の試薬をいい、DMFとオキシ塩化リンとの反応で得られるものが多く用いられる。
【0072】
DMFとオキシ塩化リンとのモル比は、通常10〜30:1程度、好ましくは10〜20:1程度であり、得られたヴィルスマイヤー試薬を、チオフェン4量体に対して通常1〜3倍モル程度、好ましくは1.5〜2倍モル程度添加する。
【0073】
必要に応じて、溶媒を使用してもよい。使用できる溶媒として、例えば、DMF、THF(テトラヒドロフラン)、アセトニトリル(CHCN)、ジクロロメタン(CHCl)、クロロホルム(CHCl)等の溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。これらの溶媒の中でも、DMFが好ましい。
【0074】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、チオフェン4量体に対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0075】
反応温度は、通常、30〜80℃程度、好ましくは50〜70℃程度である。
【0076】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常3〜8時間程度である。
【0077】
その後、塩基を用いて加水分解を行う。塩基としては、反応に関与しないものが用いられるが、好ましくは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等の有機塩基等を用いることができる。
【0078】
上記塩基の使用量は、特に限定されないが、チオフェン4量体に対して通常1倍モル以上、好ましくは1.5〜2倍モル程度である。
【0079】
第7工程
第7工程は、第6工程で得られたホルミル化体とシアノ酢酸とを反応させることにより、MK−2を生成する工程である。
【0080】
シアノ酢酸の使用量は、特に限定されないが、ホルミル化体に対して通常1〜3倍モル程度、好ましくは1.5〜2倍モル程度である。
【0081】
溶媒としては、アセトニトリル、トルエン、ピペリジン、クロロホルム等の溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。
【0082】
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、ホルミル化体に対して通常10〜100倍重量程度、好ましくは20〜50倍重量程度である。
【0083】
反応温度は、通常、50〜110℃程度、好ましくは70〜100℃程度である。
【0084】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常0.5〜2時間程度である。
【0085】
本発明によれば、上記の7工程で、出発原料である3−ヘキシルチオフェンから7工程でMK−2を製造することができる。この方法を用いれば、7工程という短い工程数で、目的物であるMK−2を収率よく合成することができる。さらに、本発明は、H−Tビチオフェン合成時に遷移金属を使用しないので、全体として廃棄される金属の量の減らすことができる。
【実施例】
【0086】
以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0087】
実施例における各物性の測定方法は以下のとおりである。融点 (mp) は、Stuart(登録商標)融点測定装置 SMP3 AC input 100 Vを用いて測定した。 1H NMR 及び 13C NMR スペクトルは、JEOL JMN-400 スペクトロメーターを用いて、内部標準としてテトラメチルシランを含む溶媒CDCl3 中で測定した。データは、化学シフトは ppm (δ)で示し、積分し、多重度は、s = singlet(一重線), d = doublet(二重線), t = triplet(三重線), q = quartet(四重線), quin = quintet(五重線), brs = broad singlet(幅広い一重線), m = multiplet(多重線)で示し、結合定数はHzで表した。赤外スペクトル(IR)は、JASCO FT/IR-4200 スペクトロメーターで測定し、吸収はセンチメートルの逆数 (cm-1)で表した。質量スペクトルは、Shimadzu GCMS-QP 5000 測定装置を用いて、イオン化電圧70 eVで測定した。元素分析及び高分解能質量スペクトルは、大阪大学の元素分析セクションで行った。カラムクロマトグラフィー及びTLCは、Merck Silica gel 60 (230-400メッシュ)及び and Merck Silica gel F254 プレート(0.25 mm)でそれぞれ行った。スポット及びバンドは、UV照射(254, 365 nm)により検出した。
【0088】
実施例で使用したPhI(OH)OTs (HTIB), TMSBr, 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)は市販品を購入後そのまま使用した。上記以外の原料もすべて市販されており、購入後それらを精製することなく使用した。
【0089】
(1)3,4’-ジヘキシル-2,2’-ビチオフェンの合成(第1工程)
【0090】
【化2】
【0091】
25mLの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に1.68 g(10.0 mmol)の3-ヘキシルチオフェンを溶解し、室温下で1.96 g(5 mmol)のヒドロキシトシロキシヨードベンゼン(PhI(OH)OTs)を加えた。続いてこの混合溶液に1.53 g(10 mmol)のブロモトリメチルシラン(TMSBr)を加え、薄層クロマトグラフィーにて反応の進行を確認し、3時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水を加え塩化メチレンにて抽出操作を行い、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥後、塩化メチレンを留去し、カラムクロマトグラフィーによって薄黄色の液体をした目的のH-Tビチオフェンを78%(1.30 g、3.90 mmol)の収率で得た。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 0.84-0.92 (m, 6H), 1.20-1.35 (m, 12H), 1.52-1.70 (m, 4H), 2.63 (t, 2H, J = 8.4 Hz), 2.74 (t, 2H, J = 8.4 Hz), 6.89-6.92 (m, 2H), 7.03 (s, 1H), 7.12 (1H, d, J = 5.5 Hz) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.1, 22.6, 29.0, 29.1, 29.2, 29.7, 30.4, 30.5, 30.7, 31.6, 31.7, 119.9, 123.4, 127.3, 129.9, 130.9, 135.8, 139.3, 143.5 ppm; HRMS (FAB) Calcd for C20H30S2[M] + 334.1789, found 334.1784.
【0092】
(2)5-ブロモ-3,4’-ジヘキシル-2,2’-ビチオフェンの合成(第2工程)
【0093】
【化3】
【0094】
本工程は、Lee, Jae-Suk et al., PCT Int. Appl., 2011155679, 15 Dec 2011を参照して行った。
【0095】
窒素雰囲気下、50 mLの脱水THFに1.68 g(10.0 mmol)の 3,4’-ジヘキシル-2,2’-ビチオフェンを溶解し−78℃まで冷却した。この溶液に4.0 mL(10 mmol)のn-BuLi(2.5 M、ヘキサン溶液)を1時間半かけて滴下した。同じ温度下にてさらに1時間反応溶液を攪拌し、1.68 g(10.5 mmol)の臭素のTHF溶液(5 mL)を15分かけて滴下した。さらに20分間攪拌後、−78℃で数滴のチオ硫酸ナトリウムのメタノール水溶液を加え、室温まで昇温した。混合溶液を氷水へと注ぎ、ジエチルエーテルを用いて抽出操作を行った。有機層を3%チオ硫酸ナトリウム水溶液および10%の塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥後、ジエチルエーテルを留去し、中性シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって無色透明の液体をした目的の化合物を90%(3.71 g、0.90 mmol)の収率で得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.84-0.89 (m, 6H), 1.27-1.30 (m, 12H), 1.54-1.62 (m, 4H), 2.57 (t, 2H, J = 8.4 Hz), 2.64 (t, 2H, J = 8.4 Hz), 6.85 (s, 2H), 6.87 (s, 1H) ppm.
【0096】
(3)9-エチル-3-(3,4'-ジ-n-ヘキシル-[2,2']ビチオフェン-5-イル)-9H-カルバゾールの合成(第3工程)
【0097】
【化4】
【0098】
206.2 mg(0.50 mmol)の5-ブロモ-3,4’-ジヘキシル-2,2’-ビチオフェンと184.7 mg(0.58 mmol)のカルバゾールのボロン酸ピナコールエステルおよび23.1 mg(0.02 mmol)のPd(PPh3)4の混合溶液に数滴のAliquat 336を含んだ2 mLのトルエンと0.33 mLの2M炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応溶液を激しく攪拌しながら12時間還流した。反応溶液を放冷後、水に注ぎ酢酸エチルを用いて抽出操作を行った。有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した。酢酸エチルを留去し、カラムクロマトグラフィーによって294 mgの薄黄色の液体をした目的の化合物を100%(294 mg、0.50 mmol)の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.31 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.15 (1H, br d, J = 7.7 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 7.50 (1H, ddd, J = 8.2, 7.0, 1.2 Hz), 7.42 (1H, br d, J = 8.2 Hz), 7.40 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.26 (1H, ddd, J = 7.7, 7.0, 1.0 Hz), 7.20 (1H, s), 7.01 (1H, d, J = 1.5 Hz), 6.90 (1H, d, J = 1.5 Hz), 4.37 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.81 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 2.64 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 1.77-1.63 (4H, m), 1.45 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.42-1.31 (12H, m), 0.92 (6H, t, J = 7.0 Hz), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 143.5, 143.0, 140.3, 140.2, 139.4, 136.2, 129.2, 126.7, 125.9, 125.3, 124.8, 123.8, 123.3, 122.8, 120.5, 119.4, 119.0, 117.4, 108.6, 108.6, 37.5, 31.7, 31.7, 30.6, 30.5, 30.4, 29.5, 29.3, 29.0, 22.64, 22.62, 14.1, 14.1, 13.7. Anal. Calcd for C34H41NS2: C, 77.37; H, 7.83; N, 2.65, S, 12.15. Found. C, 77.96; H, 8.22; N, 2.61, S, 11.81.
【0099】
(4)9-エチル-3-(5'-ブロモ-3,4'-ジ-n-ヘキシル-[2,2']ビチオフェン-5-イル)-9H-カルバゾールの合成(第4工程)
【0100】
【化5】
【0101】
10 mLのTHFに 173 mg(0.33 mmol)の9-エチル-3-(3,4'-ジ-n-ヘキシル-[2,2']ビチオフェン-5-イル)- 9H-カルバゾールを溶解し、室温下にて61 mg(0.34 mmol)の N-ブロモスクシンイミド(NBS)を加えた。30分攪拌後、10%の炭酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出操作を行った。有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した。酢酸エチルを留去し、カラムクロマトグラフィーによって薄黄色の液体をした目的の化合物を97%(193 mg、0.32 mmol)の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.13 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 7.70 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 7.49 (1H, ddd, J = 8.2, 7.0, 1.2 Hz), 7.42 (1H, br d, J = 8.2 Hz), 7.40 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.26 (1H, ddd, J = 7.6, 7.0, 1.0 Hz), 7.17 (1H, s), 6.85 (1H, s), 4.38 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.75 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 2.58 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 1.74-1.60 (4H, m), 1.45 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.42-1.31 (12H, m), 0.91 (6H, t, J = 7.0 Hz), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 143.5, 142.3, 140.7, 140.2, 139.4, 136.1, 128.1, 126.0, 125.9, 125.0, 124.7, 123.7, 123.2, 122.7, 120.4, 119.0, 117.3, 108.6, 108.5, 107.9, 37.4, 31.7, 31.6, 30.6, 29.6, 29.5, 29.5, 29.3, 28.9, 22.63, 22.60, 14.1, 14.1, 13.7. Anal. Calcd for C34H40BrNS2: C, 67.31; H, 6.65; N, 2.31, S, 10.57. Found. C, 67.57; H, 6.83; N, 2.33, S, 10.56.
【0102】
(5)9-エチル-3-(3,4',4'',4'''-テトラ-n-ヘキシル-[2,2',5',2'',5'',2''']クオーターチオフェン-5-イル)-9H-カルバゾールの合成(第5工程)
【0103】
【化6】
【0104】
242.3mg(0.40 mmol)の9-エチル-3-(5'-ブロモ-3,4'-ジ-n-ヘキシル-[2,2']ビチオフェン-5-イル)-9H- カルバゾールと261.3mg(0.42 mmol)の5-トリブチルスタニルTributylstannyl-3,4’-ジヘキシル-2,2’-ビチオフェンを4 mLの脱気したトルエンに溶解し、11.6 mg(2.5 mol%、0.01mmol)のPd(PPh3)4を加えた。反応溶液を12時間加熱還流し、放冷後0.4 mLのテトラブチルアンモニウム(1M、THF溶液)を加え、溶媒を留去した。得られた反応混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、橙色の液体をした目的の化合物を99%(339 mg、0.399 mmol)の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.32 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.15 (1H, br d, J = 7.5 Hz), 7.73 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 7.50 (1H, ddd, J = 8.2, 7.0, 1.2 Hz), 7.43-7.39 (2H, m), 7.27 (1H, ddd, J = 7.5, 7.0, 1.0 Hz), 7.21 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.00 (1H, d, J = 1.3 Hz), 6.99 (1H, s), 6.91 (1H, d, J = 1.3 Hz), 4.38 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.87-2.75 (6H, m), 2.63 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 1.80-1.62 (8H, m), 1.46 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.44-1.30 (24H, m), 0.95-0.89 (12H, m), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 143.6, 143.1, 140.4, 140.3, 139.6 139.5, 139.4, 135.5, 134.3, 133.6, 130.8, 129.9, 128.8, 128.2, 128.1, 127.0, 125.9, 125.2, 125.0, 123.7, 123.3, 122.8, 120.5, 119.9, 119.0, 117.4, 108.65, 108.59, 37.5, 31.72, 31.69, 31.68, 31.68, 31.66, 30.6, 30.54, 30.49, 30.47, 30.4, 29.7, 29.5, 29.35, 29.27, 29.24, 29.0, 22.7, 22.64, 22.63, 22.61, 14.14, 14.11, 14.09, 14.09, 14.09, 13.8. Anal. Calcd for C54H69NS4: C, 75.38; H, 8.08; N, 1.63, S, 14.91. Found. C, 75.90; H, 8.19; N, 1.69, S, 14.45.
【0105】
(6)5'''-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-3',3'',3''',4-テトラ-n-ヘキシル-[2,2',5',2'',5'',2'''] クオーターチオフェン-5-カルバルデヒドの合成(第6工程)
【0106】
【化7】
【0107】
本工程は、 N. Koumura, K. Hara et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128 (44), pp 14256-14257; additions and corrections, J. Am. Chem. Soc., 2008, 130 (12), pp 4202-4203を参照して行った。
【0108】
氷冷下、231 mg(0.27 mmol)の4量体チオフェンの脱水DMF(1 mL)溶液に0.1 mLの塩化ホスホリルと0.5 mL のDMFを混合して調製したVilsmeier試薬を加えた。反応溶液を70℃で7時間攪拌し、放冷後、30 mL の10%酢酸ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルを用いて抽出操作を行い、有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した。酢酸エチルを留去し、カラムクロマトグラフィーによって黒橙色の液体をした目的の化合物を83%(197 mg、0.22 mmol)の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.02 (1H, s), 8.31 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.14 (1H, br d, J = 7.9 Hz), 7.72 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 7.50 (1H, ddd, J = 8.2, 7.1, 1.1 Hz), 7.43-7.39 (2H, m), 7.27 (1H, ddd, J = 7.9, 7.1, 0.9 Hz), 7.21 (1H, s), 7.06 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.01 (1H, s), 4.38 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.95 (2H, br t, J = 7.8 Hz), 2.86-2.79 (6H, m), 1.80-1.68 (8H, m), 1.46 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.42-1.29 (24H, m), 0.95-0.88 (12H, m), 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 181.4, 153.2, 145.1, 143.3, 142.4, 140.6, 140.4, 140.3, 139.4, 136.0, 135.9, 135.1, 129.15, 129.08, 128.44, 128.42, 128.0, 127.7, 125.9, 125.0, 124.9, 123.6, 123.2, 122.7, 120.4, 119.0, 117.3, 108.6, 108.5, 37.5, 31.66, 31.63, 31.60, 31.5, 31.3, 30.4, 30.3, 30.1, 29.8, 29.7, 29.5, 29.3, 29.23, 29.21, 28.9, 28.3, 22.62, 22.59, 22.56, 22.5, 14.09, 14.06, 14.02, 14.00, 13.7. Anal. Calcd for C55H69NOS4: C, 74.36; H, 7.83; N, 1.58, S, 14.44. Found. C, 74.53; H, 8.20; N, 1.59, S, 14.16.
【0109】
(7)2-シアノ-3-[5'''-(9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-3',3'',3''',4-テトラ-n-ヘキシル- [2,2',5',2'',5'',2'''] クオーターチオフェン-5-イル]アクリル酸 (MK-2) の合成(第7工程)
【0110】
【化8】
【0111】
197 mg(0.22 mmol)のアルデヒドと38 mg(0.44 mmol)のシアノ酢酸を1 mLの脱水トルエン、2 mLの脱水トルエン、1 mLのピペリジンの混合溶媒に溶解し、20分間還流した。放冷後、クロロホルムを加えて反応溶液を希釈し、有機層を1 M塩酸、水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、酢酸エチルを留去した。カラムクロマトグラフィーによって黒赤色の固体をした目的の化合物MK-2を86%(182 mg、0.19 mmol)の収率で得た。1H NMR (400 MHz, THF-d8) δ 8.41 (1H, s), 8.40 (1H, br s), 8.15 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.73 (1H, br d, J = 8.5 Hz), 7.52-7.48 (2H, m), 7.43 (1H, ddd, J = 8.0, 7.2, 0.8 Hz), 7.32 (1H, s), 7.24 (1H, s), 7.17 (1H, br t, J = 7.2 Hz), 7.13 (1H, s), 7.09 (1H, s), 4.43 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.93-2.82 (8H, m), 1.81-1.63 (8H, m), 1.51-1.28 (24H, m), 1.41 (3H, t, J = 7.2 Hz), 0.94-0.90 (12H, m), 13C NMR (100 MHz, THF-d8) δ 164.6, 155.3, 144.7, 144.6, 143.8, 143.4, 141.6, 141.53, 141.50, 140.6, 137.1, 136.3, 130.7, 130.3, 130.1, 130.0, 129.1, 129.0, 128.2, 126.8, 126.0, 125.9, 124.40, 124.38, 123.9, 121.2, 119.8, 117.9, 117.0, 109.8, 109.6, 98.1, 38.2, 32.73, 32.68, 32.5, 32.2, 31.5, 31.4, 31.3, 30.8, 30.6, 30.4, 30.3, 30.22, 30.20, 30.1, 29.9, 29.5, 29.1, 23.58, 23.55, 23.54, 23.47, 14.53, 14.51, 14.50, 14.4, 14.1. Anal. Calcd for C58H70N2O2S4: C, 72.91; H, 7.38; N, 2.93, S, 13.42. Found. C, 73.19; H, 7.42; N, 2.98, S, 13.42.
【0112】
上記の7工程により、原料の3−ヘキシルチオフェンから、約10日間でMK−2を48%の収率で製造することができた。