特許第5963168号(P5963168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963168
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電力ケーブルの気中終端接続部
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/064 20060101AFI20160721BHJP
   H02G 15/23 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H02G15/064
   H02G15/23
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-219247(P2012-219247)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2014-73039(P2014-73039A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】502308387
【氏名又は名称】株式会社ビスキャス
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】新延 洋
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−191542(JP,A)
【文献】 特開2003−141939(JP,A)
【文献】 特開2000−115978(JP,A)
【文献】 実開昭56−138416(JP,U)
【文献】 特開平02−273414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/064
H02G 15/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルの終端部が収容され、内部に絶縁充填物が充填される碍管と、
前記電力ケーブルの終端部において露出された外部半導電層の周囲に遮蔽テープの巻き付けにより形成された金属遮蔽層と、
前記金属遮蔽層の上から押さえテープの巻き付けにより形成された押さえテープ層とを備え、
前記押さえテープは、巻き付けの一周ごとに隣接するテープとテープの側縁部同士が隙間なく密接する突き合わせ巻き又は巻き付けの一周ごとに隣接するテープとテープの側縁部同士に隙間を生じるギャップ巻きにより巻き付けられていることを特徴とする電力ケーブルの気中終端接続部。
【請求項2】
前記押さえテープは、前記ギャップ巻きによる螺旋の向きが下層と逆になるように順次重ねて積層する襷巻きで巻き付けられていることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの気中終端接続部。
【請求項3】
前記押さえテープ層よりも下層において、半導電性テープの巻き付けにより形成された半導電性テープ層を備え、
前記半導電性テープは、前記電力ケーブルの周囲に前記突き合わせ巻き又は前記ギャップ巻きで巻き付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電力ケーブルの気中終端接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの気中終端接続部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力ケーブル気中終端接続部(以下、終端接続部)として、エポキシ製の碍管内に電力ケーブルの端部を収容し、この碍管内に絶縁油を充填した油浸式の終端接続部が知られている
図8に示すように、終端接続部110では、シース101,遮蔽層(図示略),外部半導電層102,ケーブル絶縁層103及びケーブル導体104を段剥ぎにより順番に露出させた状態で電力ケーブル100の終端部が碍管120に収容されている。
そして、露出したケーブル導体104の先端部には導体引出棒111が装着され、シース101から外部半導電層102にかけては銅製の金属管112が装着されている。また、外部半導電層102からケーブル絶縁層103にかけてはストレスコーン113が装着されている。
【0003】
上記碍管120は、絶縁材料からなる筒状体であり、その内部に絶縁油123が封入されている。そして、碍管120の外周面には、ほぼ均一な間隔で上下に並んで襞状の傘部121が形成されており、下端部にはフランジ122が設けられている。
碍管120の上端部側には、前述した導体引出棒111を保持する上部金具114が取り付けられており、碍管120の下端部側には、フランジ122と接合される下部金具115が取り付けられている。
また、上記碍管120は、フランジ122の下部金具115よりも外側の部分で支持碍子116を介して架台117に支持されている。
また、下部金具115には、その中央部を貫通する金属管112が取り付けられており、金属管112の下端部には油止め用のテープ巻き層119が形成され、金属管112の上端部にはケーブル遮蔽用のテープ巻き層118が設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−027828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の終端接続部にあっては、金属管112からストレスコーン113にかけて遮蔽を行うために、テープ巻き層118において遮蔽テープの巻き付けが行われ、さらに、その上から押さえテープの巻き付けが行われている。
これらの遮蔽テープ及び押さえテープは、図9に示すように、巻き付けの一周ごとに隣接するテープとテープの幅方向における側縁部同士を重ねるいわゆるラップ巻きという方法で電力ケーブルの長手方向に沿って巻き付けられている。
このようにラップ巻きを行うと、相互のテープの重なり部分にテープの厚みにより隙間Vが生じる恐れがある。
このような隙間Vが遮蔽テープや押さえテープの各層に存在すると、テープを巻いたときに隙間Vに入った空気が、電力ケーブルの運用時に徐々に絶縁油123中に気泡となって漏出することが考えられる。電力ケーブル100への通電時に絶縁油123中に漏出した気泡が絶縁油123の対流により、電位傾度の高いストレスコーン113の近傍などに移動すると放電が生じる可能性があり、これによって絶縁油123に変質を生じてその絶縁性を低下させることが懸念される。
【0006】
本発明は、碍管内における気泡による放電の発生を抑制することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電力ケーブルの気中終端接続部にかかる本発明は、電力ケーブルの終端部が収容され、内部に絶縁充填物が充填される碍管と、前記電力ケーブルの終端部において露出された外部半導電層の周囲に遮蔽テープの巻き付けにより形成された金属遮蔽層と、前記金属遮蔽層の上から押さえテープの巻き付けにより形成された押さえテープ層とを備え、前記押さえテープは、巻き付けの一周ごとに隣接するテープとテープの側縁部同士が隙間なく密接する突き合わせ巻き又は巻き付けの一周ごとに隣接するテープとテープの側縁部同士に隙間を設けたギャップ巻きにより巻き付けられていることを特徴とする。
【0008】
上記発明では、押さえテープを金属遮蔽層の上から突き合わせ巻き又はギャップ巻きによって巻き付けている。この押さえテープを突き合わせ巻きとした場合には、隣接するテープとテープの間における隙間が生じても開放されたものになる。また、ギャップ巻きとした場合も同様、隣接するテープとテープの間における隙間は開放されたものになる。
従って、いずれの場合も、終端接続部を組み立てる際にテープ同士の隙間にある空気は速やかに排出され、電力ケーブルの運用中にテープ間から気泡が漏出するのを回避できる。すなわち、電力ケーブル運用中に絶縁充填物中に気泡が発生するのを抑止することができ、気泡に起因する放電を抑制することが可能となる。
【0009】
また、上記発明において、前記押さえテープを、前記ギャップ巻きによる螺旋の向きが下層と逆になるように順次重ねて積層する襷巻きで巻き付けるようにしても良い。
その場合、巻き付けによりテープとテープとが重なって隙間空間が生じた場合でも、重なり合う上下のテープの方向が異なるため、隙間空間が密閉されることを回避することが出来る。従って、隙間内の空気は容易に脱気することができ、電力ケーブルの運用中に絶縁充填物内に気泡が発生するのを抑止して、気泡に起因する放電を抑制することが可能となる。
【0010】
また、上記発明において、前記押さえテープ層よりも内側で、半導電性テープの巻き付けにより形成された半導電性テープ層を備え、前記半導電性テープは、前記電力ケーブルの周囲に前記突き合わせ巻き又は前記ギャップ巻きで巻き付けるようにしても良い。
この場合も、突き合わせ巻き又はギャップ巻きによって、半導電性テープ層に空気が封じ込められることが抑制されるので、絶縁充填物内の気泡の発生を抑止することができ、気泡に起因する放電を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明は、碍管内の絶縁充填物内の気泡による放電を抑制することができ、気中終端接続部の絶縁性の低下の可能性を低減すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発明の実施形態である電力ケーブルの気中終端接続部の断面図である。
図2図1の気中終端接続部の下部の拡大断面図である。
図3図1の気中終端接続部の中間部の拡大断面図である。
図4図3上側テープ巻き層におけるさらなる拡大断面図である。
図5】テープの突き合わせ巻きを示す説明図である。
図6】テープのギャップ巻きを示す説明図である。
図7】テープの襷巻きを示す説明図である。
図8】従来の電力ケーブルの気中終端接続部の断面図である。
図9】テープのラップ巻きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電力ケーブルの気中終端接続部の一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図に示すように、この気中終端接続部10も図8の例と同様に、段剥ぎされた電力ケーブル90の終端部が碍管20の下端から挿入されている。
上記碍管20は、電気絶縁性材料、例えば磁器からなり、下部は等径円筒状、上部は上端に向かって縮径する円筒状となっている。さらに、碍管20の外周面には、ほぼ全長に渡って襞状の傘部21が形成されている。傘部21は、上下方向に交互に並んで形成された小型及び中型の傘部21a,21bと、これらよりも疎らな間隔で形成された大型の傘部21cとから構成されている。
なお、碍管20は、磁器に限らず他の絶縁性の高い他の材料で形成することも可能である。例えば、碍管20の内側を繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)製の筒体とし、傘部21を含む外周面全体を絶縁性の高いシリコーン等から形成しても良い。
【0014】
碍管20の上端部には、ケーブル導体91の先端部と接続される導体引出棒11を支持する上部金具22が装備され、下端部には底板23が装備されている。
底板23の中央部には電力ケーブル90を挿入するケーブル受容口231が形成され、その下面には下方に延びた脚部232を介して取付金具233が設けられている。そして、この取付金具233は支持碍子24を介して架台25に連結されている。これにより、碍管20は立設状態で架台25上に固定される。
【0015】
また、底板23のケーブル受容口231には取り付けフランジを有する円筒状のケーブル保護金具26が装備されている。このケーブル保護金具26の内側には、シールパイプ27が配置されている。シールパイプ27は、電力ケーブル90の外部半導電層93から遮蔽層94にかけて装着されている。
【0016】
図2に示すように、シールパイプ27の下端部はケーブル保護金具26の下端部よりも幾分下方まで延びている。そして、ケーブル保護金具26の下端部とシールパイプ27の下端部と電力ケーブル90のシース95とを包むように油止め用の下側テープ巻き層40が形成されている。
【0017】
下側テープ巻き層40は、シールパイプ27の外周面上に固定された突起271に当接したケーブル保護金具26の下端部全周とシールパイプ27の外周面とを接合する鉛工部41と、鉛工部41の表面に塗布されたエポキシパテ42と、エポキシパテ42の表面全体を被覆する平網銅線43とを有している。この平網銅線43は、上部がケーブル保護金具26の外周面上に半田付けで固着され、下部がシールパイプ27の下端部より下方まで伸びて電力ケーブル90の遮蔽層94の外周面上に半田付けで固着されている。
【0018】
さらに、下側テープ巻き層40では、平網銅線43の表面全体を被覆するようにエポキシ含浸ガラステープ層44、遮水収縮チューブ45、絶縁性の防水テープ層46、粘着ビニルテープ層47が順番に積層されている。
上記遮水収縮チューブ45の上端部と下端部とにはエポキシテープ48,48が巻き付け固定されている。
【0019】
また、シールパイプ27と電力ケーブル90の遮蔽層94の相互間の隙間の上下二箇所には、絶縁性合成樹脂からなる絶縁テープをその側縁部がズレないように重ねて巻き付ける、いわゆる座巻きによる絶縁テープ層272,272が形成されている(上側の絶縁テープ層272は図3に図示されている)。
【0020】
上記電力ケーブル90の遮蔽層94は、平滑アルミ被膜から形成されており、その上には図示を省略したポリ塩化ビニルテープによる幅1/2で重ねた一層のラップ巻きが行われている。
また、図3に示すように、外部半導電層93と遮蔽層94との境界部には、双方の外周面に渡って金属細線がメッシュ状に編み込まれてなるシールドメッシュテープのテープ層931とこれを被覆する布テープのテープ層932とが形成されている。なお、以下の説明において、「シールドメッシュテープ」という場合には全て上記のテープを示すものとする。
【0021】
図3に示すように、前述したシールパイプ27の上部は、途中で縮径して外部半導電層93の中間部まで延びており、その上端部において、シールパイプ27と外部半導電層93との隙間を埋めるために、半導電性テープを座巻きにしてなる半導電性テープ層273が設けられている。
上記半導電性テープは、ブチルゴムベースの導電性加硫ゴムシートの片面に半導電性を有する粘着剤層を形成することで半導電性を持たせたテープである。なお、以下の説明において、「半導電性テープ」という場合には全て上記のテープを示すものとする。
なお、外部半導電層93の外周面上であってシールパイプ27の内側領域内には、半導電性テープを幅1/2で重ねたラップ巻きにして1〜2層で形成した半導電性テープ層を形成しても良い。
【0022】
さらに、図1及び図3に示すように、電力ケーブル90の外部半導電層93の上端部にはテーパ部933が形成されている。この外部半導電層93と絶縁層92との境界位置には、ストレスコーン50が装着されている。このストレスコーン50は、予めモールド成形されたもので、半導電ゴム部51と絶縁ゴム部52で構成されている。
また、絶縁ゴム部52の表面には、予めオイルの塗布により油膜53が形成されており、これにより、絶縁油28の気泡が表面に付着することを抑制している。
【0023】
そして、シールパイプ27の上部からストレスコーン50の半導電ゴム部51の下部までの間には、ケーブル遮蔽用の上側テープ巻き層60が形成されている。
この上側テープ巻き層60には、図3及び図4に示すように、まず、シールパイプ27の上端部と外部半導電層93との境界位置を中心として徐々に上下方向に範囲を広げながら絶縁テープ層61と収縮チューブ62の組が、3重に形成されている。
上記各絶縁テープ層61は、それぞれが絶縁テープを幅1/2で重ねたラップ巻きにして六層に重ねて形成している。
上記各収縮チューブ62は、絶縁性のチューブであり、その収縮性により内側の絶縁テープ層61を保持する。
【0024】
さらに、上側テープ巻き層60には、前述したストレスコーン50の半導電ゴム部51と外部半導電層93との段差を埋める谷埋め部63が形成されている。谷埋め部63は、半導電性テープを幅1/2で重ねたラップ巻きにして四層に重ねることでテーパ状に形成されている。
そして、上側テープ巻き層60には、さらに、半導電性テープ層64、シールドメッシュテープ層65および押さえテープ層66が設けられている。半導電性テープ層64は、最も外側の収縮チューブ62の外周には、この収縮チューブより上下方向について広範に形成されている。シールドメッシュテープ層65は、金属遮蔽層として設けられたもので、半導電性テープ層64の外周に上下方向にさらに広範に形成されている。押さえテープ層66は、シールドメッシュテープ層65の外周に上下方向にさらに広範に形成されている。
【0025】
上記半導電性テープ層64は、図5に示すように、半導電性テープを突き合わせ巻きにして一層で形成されており、電力ケーブル90の外部半導電層93の外周面から谷埋め部63を超えて半導電ゴム部51まで形成されている。
突き合わせ巻きとは、図5に示すように、テープの側端部同士が重なりを生じることなく突き当てるようにして巻き付けられた状態をいう。
なお、半導電性テープ層64の半導電性テープは、突き合わせ巻きに限らず、ギャップ巻きとしても良い。
ギャップ巻きとは、図6に示すように、テープの側端部同士が一定のギャップAを生じた状態で巻き付けられた状態をいう。半導電性テープのギャップは、0以上(0であれば突き合わせ巻きとなる)5mm以下となる範囲が好ましい。
【0026】
上記シールドメッシュテープ層65は、図3及び図4に示すように、遮蔽テープとしてのシールドメッシュテープを幅の1/2分を重ねて一層巻くことで形成されており、上下方向に一定間隔で重ねた部分を半田付けにより固定されている。このシールドメッシュテープは、下方でシールパイプに直接接している。
また、このシールドメッシュテープは、前述した谷埋め部63の下端部あたりの位置から上方に向かって巻き付けが開始され、半導電ゴム部51の下部あたりで折り返して下方に向かって巻き付けが行われるので、谷埋め部63の周辺では二層となっている。
【0027】
上記押さえテープ層66は、押さえテープを襷巻きにして形成されている。この押さえテープは、絶縁性の高いテフロン(「テフロン」は登録商標)の粉末を未焼成のままテープにしたいわゆる生テフロンテープである。
襷巻きとは、図7に示すように、ギャップを大きくしてギャップ巻き(図6参照)を行い、その外側にさらに螺旋の巻き方向を逆向きにして同じギャップでギャップ巻きを重ねて行う巻き付け方法である。この場合、ギャップの大きさは例えば、テープ幅よりも広く(例えば、テープ幅の1〜2倍程度)することが好ましい。また、ここでは、二層を例示したが、三層以上とすることも可能である。
なお、押さえテープ層66の押さえテープは、突き合わせ巻きやギャップ巻きとすることも可能である。ギャップは、前述と同様に0〜5mmの範囲とすることも出来るが、テープ幅以上(例えば、テープ幅の1〜2倍程度)としても良い。
【0028】
また、この押さえテープ層66の場合も、前述した谷埋め部63の下端部あたりの位置から上方に向かって押さえテープの巻き付けが開始され、シールドメッシュテープ層65の上端よりも上の位置で折り返して下方に向かって巻き付けが行われるので、谷埋め部63の周辺でのみ三層となっている。
なお、この押さえテープ層66の場合には、巻き付け開始位置から上端折り返し位置までは、突き合わせ巻き(図5参照)されている。
【0029】
以上のように、電力ケーブル90の気中終端接続部10では、上側テープ巻き層60において、最外層である押さえテープ層66が押さえテープを襷巻きとしているため、テープとテープとの間に隙間を生じた場合でも、当該隙間はラップ巻きのように密閉状態とはならず、開放された状態である。このため、終端接続部10を製作するときに、隙間にある空気を速やかに排出できる。すなわち、絶縁油中からの脱気を容易に行うことが可能である。このため、電力ケーブル90の通電時に絶縁油中に発生する気泡を低減することが可能であり、気泡による放電及びこれによる絶縁油の絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。
なお、押さえテープ層66の押さえテープは、突き合わせ巻きやギャップ巻きとすることも可能である。この場合でも、テープ同士の隙間はケーブルの周方向に開放された状態なので気泡の発生を低減し、絶縁油の絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。但し、テープの巻き付けを二層以上重ねて押さえテープ層66の形成を行う場合には、突き合わせ巻きやギャップ巻きよりも脱気に有利な襷巻きが好適である。
【0030】
さらに、電力ケーブル90の気中終端接続部10では、最も外側に設けた収縮チューブ62の外周に設けた半導電性テープ層64も半導電性テープを突き合わせ巻きとしているため、前記押さえテープ層66と同様に、テープとテープとの間の隙間が開放された状態になり、電力ケーブルを運用しているときの気泡発生を低減することが可能である。このため、気泡による放電及びこれによる絶縁油の絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。
この場合も、半導電性テープ層64の半導電性テープは、ギャップ巻きとすることも可能である。その場合でも、テープ同士の隙間の発生を回避して気泡の発生を低減し、絶縁油の絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。
【0031】
なお、前記シールドメッシュテープ層65はラップ巻きとしているが、これは、シールドメッシュテープが金属細線をメッシュ状に編み込んだ隙間のある構造であり、テープとテープとの間に気泡が封じ込まれることがほとんどないので、突き合わせ巻きやギャップ巻きにする必要性が低いからである。
【0032】
なお、上述した電力ケーブルの気中終端接続部10の各部の構成は一例であり、これに限定するものではない。
例えば、碍管20内に封入される絶縁油は、日本工業規 JIS C 2320に定められる各種の電気絶縁油としても良い。また、絶縁油に限らず、封入可能な他の絶縁充填物、例えば、シリコーンゲル、シリコーンオイルとシリコーンゴムの混合物、ジメチルシリコーンオイルとシリコーンゲルの混合物、シリコーンオイルとシリコーンゴムとシリコーンゲルの混合物等であって絶縁性を有するものを利用しても良い。
【0033】
また、電力ケーブルの外部半導電層に形成する電界緩和層としてストレスコーンを例示したが、これに限らず、例えばコンデンサコーンを利用しても良い。
【符号の説明】
【0034】
10 気中終端接続部
20 碍管
28 絶縁油(絶縁充填物)
50 ストレスコーン
51 半導電ゴム部(電界緩和層)
40 下側テープ巻き層層
60 上側テープ巻き層層
61 絶縁テープ層
62 収縮チューブ
64 半導電性テープ層
65 シールドメッシュテープ層(金属遮蔽層)
66 押さえテープ層
90 電力ケーブル
91 ケーブル導体
92 絶縁層
93 外部半導電層
94 遮蔽層
95 シース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9