(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963171
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】液体燃料処理方法
(51)【国際特許分類】
C10L 1/00 20060101AFI20160721BHJP
C10L 1/04 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
C10L1/00
C10L1/04
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-72492(P2013-72492)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196404(P2014-196404A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】598063982
【氏名又は名称】恒松 年明
(73)【特許権者】
【識別番号】592163642
【氏名又は名称】岡崎 正晃
(74)【復代理人】
【識別番号】100171354
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100071663
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 保夫
(72)【発明者】
【氏名】恒松 年明
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 正晃
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−111839(JP,A)
【文献】
特開2010−138362(JP,A)
【文献】
特開2009−215524(JP,A)
【文献】
特開2009−102600(JP,A)
【文献】
特開2014−001275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00− 1/32
CAplus(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油をアスピレータの細い噴出口から高圧で噴出させて燃料油中に放電を発生させ、放電により燃料油を構成している炭化水素の結合の一部が切断された燃料油とし、該燃料油を水と微粒子混合させ、得られた混合物を、ドーナッツ状磁石と該ドーナッツ状磁石の中央空間を貫通するパイプをそなえた高周波装置に導き、パイプ中で高周波装置で発生する磁界により水の分子を酸素−水素結合の基準振動数下に置いて水を分解して、分解生成物を燃料油に取り込ませることを特徴とし、燃料油の増量化と単位重量当たりの発熱量と重量の積である発熱総量の増大化を図り、燃料油の増量と発熱総量の増大をその比率が夫々10%以上であることも含め可能とする液体燃料処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料処理方法、詳しくは、液体燃料の増量化及び総発熱量の増大化を図ることを可能とする液体燃料処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料において、水を何らかの手法で微粒子化して液体燃料に分散混入させるエマルジョン燃料は存在し主としてボイラー用に採用されているが、水の分離が発生すること等の難点があるため内燃機関に用いることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、水を微粒子化して液体燃料に混入させるのではなく、水を分解してその分解生成物を液体燃料に化学的、物理的に取り込ませることを主体とする液体燃料の処理手法であり、その目的はボイラーのみならず内燃機関にも用いることができ、しかも燃料油の増量化と発熱総量の増大化を同時に図ることを可能とする液体燃料処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための請求項1による液体燃料処理方法は、
燃料油の増量化と単位重量当たりの発熱量と重量の積である発熱総量の増大化を図り、燃料油の増量と発熱総量の増大をその比率が夫々10%以上であることも含め可能とする液体燃料処理方法であり、燃料油をアスピレータの細い噴出口から高圧で噴出させて燃料油中に放電を発生させ、放電により燃料油を構成している炭化水素の結合の一部が切断された燃料油とし、該燃料油を水と微粒子混合させ、得られた混合物を、ドーナッツ状磁石と該ドーナッツ状磁石の中央空間を貫通するパイプをそなえた高周波装置に導き、パイプ中で高周波装置で発生する磁界により水の分子を酸素−水素結合の基準振動数下に置いて水を分解して、分解生成物を燃料油に取り込ませることを特徴とする。
【0005】
水分子は1個の酸素原子と2個の水素原子とで構成されているが、常温下においては静止状態ではなく、大きい粒子である酸素原子を中心として2個の水素原子が対称伸縮振動、逆対称伸縮振動あるいは変角振動をしていることが分かっている。
【0006】
水分子が酸素−水素結合の基準振動数で振動している時に特定レベルの電圧を印加すると、不安定な状態に置かれていることで、より少ないエネルギーで水分子は水素原子と水酸化物イオンあるいは酸素原子に分解することが知られている。
【0007】
このようにして分離された水素原子のうち、一部は水素原子同士の共有結合により水素分子となって水に溶解し、また一部は水分子と配位結合をしてオキソニウムイオンとなり水中に留まる。
【0008】
一方、水酸化物イオンは極性があるため周囲の水分子との水素結合により水和して水に溶け込むとともに、分離された酸素原子の一部は共有結合により酸素分子として水に溶解する。
【0009】
また、液体燃料の処理過程で液体燃料がプラスに帯電することにより一部に放電が発生するが、その際にはHOxラジカルが産生されて周囲の液体燃料に混和する。この放電は
高電圧回路を用いて発生させることも可能である。
【0010】
更に、このHOxラジカルにより液体燃料を構成している炭化水素の結合の一部が切断され、そこに水素原子が結合されるといった反応もあり、燃料としては燃焼性の向上に繋がることになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による液体燃料処理方法で処理した液体燃料は、処理前に比べて体積が増加し、しかも燃料の容積当たりの発熱量に大きな差のない改質燃料が得られる。すなわち、水からエネルギーを得ることが可能となる。その効果を確認するために行った軽油の改質例を示すと表1〜2のようになる。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
この一連の処理により、量的には20%増加した改質軽油が得られ、しかも性状は処理前の市販軽油と何ら遜色はなく内燃機関の燃料として使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による液体燃料処理方法のプロセスを示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
原料となる水の水質は、酸化還元電位が+200〜+300以下で清浄な軟質の水が望ましいが、これに拘るものではない。
【0017】
また、取水した水はクラスター状になっていると思われるが、反応性を高めるために撹拌や衝撃波等によりクラスターを分断することが望ましい。
【0018】
処理前の液体燃料と水との混合は反応収益性の面から重要であり、十分混ぜ合わせることが望ましい。
【実施例】
【0019】
以下に磁気的手法を用いた本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく循環の回路とすること、水や液体燃料に対して帯電電位の調整用高電圧発生装置を設けること又他の付帯、補助装置を設置すること、更には基準振動数の発生源として電界あるいは超音波を用いることもできる。
【0020】
図1において、配管は内径16.8mmの金属管を用いた。水は浄化処理後20気圧程度の送水ポンプにより8段スパイラルミキシングエレメント1に送り、分割、反転、転換させた後、20KHzの超音波発生装置2に導く。
【0021】
市販軽油は、60気圧程度の送油ポンプを用いてアスピレータ3により後段に噴出させて超音波処理を終えた水と微粒子混合させる。その混合物を更に撹拌させる目的で18段のスパイラルミキシングエレメント4を通過させて高周波装置5に導く。
【0022】
高周波装置5はその内部に12個のドーナツ状磁石を配し、各磁石は可変タップにより40〜800KHzの間の磁界を発生させることができる。
【0023】
水と混合され高電位の静電気を帯びた液体燃料はドーナツ状磁石の中央空間を貫通するステンレスパイプを通り取出口の外へ送られた後油水分離装置6で油分と白濁液とに分離される。
【0024】
液体燃料中に放電が発生したことは、得られた白濁液の液面に浮遊している若干量のすすの存在で確認することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 8段スパイラルミキシングエレメント
2 超音波発生装置
3 アスピレータ
4 18段スパイラルミキシングエレメント
5 高周波装置
6 油水分離装置