(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワーク上のサーバに接続して第1のデータ通信を行いつつ、通信装置に接続して第2のデータ通信を行って、前記サーバと前記通信装置との通信をプロキシ機能を働かせて中継する際に、
前記中継されるデータをフレーム毎に一時記憶手段に一時的に記憶保持しつつ、
前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とをそれぞれ終端して、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とを、それぞれ、前記サーバとの間のセッション及び前記通信装置との間のセッションとして独立して構成しつつ、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信を非同期にかつ並行して制御し、
前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信のいずれか一方により受信するデータを前記一時記憶手段にフレーム毎に逐次的に記憶する際中に、該データの受信に並行して、前記一時記憶手段に逐次的に記憶された前記データの一部であるフレームを、他方の前記データ第2の通信または前記第1のデータ通信により受信側のセッションに対して独立したセッションで逐次的に転送する
携帯端末装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、無線LAN通信と携帯電話通信のルーティング機能を有する携帯端末装置では、通信装置とサーバの間でセッションを確立した際に、携帯電話通信の通信速度が無線LAN通信に比べて遅い場合がある。このような場合、携帯端末装置が無線LAN通信で受信したデータを携帯電話通信によってサーバにアップロードしようとすると、アップロード速度は携帯電話通信の速度によって律速される。その結果、アップロードに長時間を要していても、アップロードが完了するまで通信装置の利用者は次の処理を行えないか、あるいは次の処理に移った場合でも通信装置の処理が重く、スムーズな操作ができないことがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3は、携帯端末装置が無線LAN通信で受信したデータを携帯電話通信によって転送する際に、高速なデータ転送を行うことができない場合があるという課題を解決する手段を開示していない。
【0008】
本発明の目的は、携帯端末装置を経由する外部の通信装置とサーバとの間の通信が、携帯端末装置が備えるそれぞれ異なる通信インタフェースで行われる場合に、高速なデータ転送を行うことができないことがあるという課題を解決するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯端末装置は、ネットワーク上のサーバに接続して第1のデータ通信を行う第1通信手段と、通信装置に接続して第2のデータ通信を行う第2通信手段と、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とプロキシ機能を働かせて中継する際に、前記中継されるデータをフレー
ム毎に一時的に記憶する一時記憶手段と、前記中継の際に、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信を非同期にかつ並行して制御するとともに、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とを終端し、前記第1のデータ通信及び前記第2のデータ通信を、それぞれ、前記サーバとの間のセッション及び前記通信装置との間のセッションとして独立してプロキシ機能を構成する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1通信手段および前記第2通信手段のいずれか一方により受信するデータを前記一時記憶手段にフレー
ム毎に逐次的に記憶する際中に、該データの受信に並行して、前記一時記憶手段に逐次的に記憶された前記データの一部であるフレー
ムを、他方の前記第2通信手段または前記第1通信手段により受信側のセッションに対して独立したセッションで逐次的に転送する。
【0010】
本発明の通信装置は、ネットワーク上のサーバに、携帯端末装置を介して接続し、通信を行う通信手段と、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信を要求する要求手段と、携帯端末装置に、通信手段を介してデータ通信を実行させる制御手段と、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信の通信状況を問合せる問合せ手段と、携帯端末装置から通信状況を受信する受信手段と、受信手段が受信した通信状況を提示する提示手段と、を備える。
【0011】
本発明の携帯端末装置の制御方法は、ネットワーク上のサーバに接続して第1のデータ通信を行いつつ、通信装置に接続して第2のデータ通信を行って、前記サーバと前記通信装置との通信をプロキシ機能を働かせて中継する際に、前記中継されるデータをフレー
ム毎に一時記憶手段に一時的に記憶保持しつつ、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とをそれぞれ終端して、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とを、それぞれ、前記サーバとの間のセッション及び前記通信装置との間のセッションとして独立して構成しつつ、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信を非同期にかつ並行して制御し、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信のいずれか一方により受信するデータを前記一時記憶手段にフレー
ム毎に逐次的に記憶する際中に、該データの受信に並行して、前記一時記憶手段に逐次的に記憶された前記データの一部であるフレー
ムを、他方の前記第2のデータ通信または前記第1のデータ通信により受信側のセッションに対して独立したセッションで逐次的に転送する。
【0012】
本発明の通信装置の制御方法は、ネットワーク上のサーバに、携帯端末装置を介して接続し、通信を行う通信部を備える通信装置の制御方法であって、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信を要求し、携帯端末装置に、通信部を介してデータ通信を実行させ、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信の通信状況を問合せ、携帯端末装置から通信状況を受信し、受信した通信状況を提示する。
【0013】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、携帯端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、携帯端末装置のコンピュータに、ネットワーク上のサーバに接続して第1のデータ通信を行いつつ、通信装置に接続して第2のデータ通信を行う手順、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とをプロキシ機能を働かせて中継する際に、前記中継されるデータをフレー
ム毎に一時記憶手段に一時的に記憶する手順、前記中継の際に、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信を非同期にかつ並行して制御する手順、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とを終端する手順、前記第1のデータ通信及び前記第2のデータ通信を、それぞれ、前記サーバとの間のセッション及び前記通信装置との間のセッションとして独立して構成する手順、を実行させ、前記コンピュータに、前記第1のデータ通信および前記第2のデータ通信のいずれか一方により受信するデータを前記一時記憶手段にフレー
ム毎に逐次的に記憶する際中に、該データの受信に並行して、前記一時記憶手段に逐次的に記憶された前記データの一部であるフレー
ムを、他方の前記第2のデータ通信または前記第1のデータ通信により受信側のセッションに対して独立したセッションで逐次的に転送させるための携帯端末装置の制御プログラムを記録する。
本発明の携帯端末装置用の制御プログラムは、ネットワーク上のサーバに接続して第1のデータ通信を行う第1通信手段と、通信装置に接続して第2のデータ通信を行う第2通信手段と
、一時記憶手段と、制御手段とを有する携帯端末装置
用の制御プログラムであって、
前記一時記憶手段に、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信
とプロキシ機能を働かせて中継する際に、前記中継されるデータをフレー
ム毎に一時的に記憶
させ、
前記制御手段に、前記中継
する際に、前記第1のデータ通信
及び前記第2のデータ通信を非同期にかつ並行して制御
させるとともに、前記第1のデータ通信と前記第2のデータ通信とを終端
させ、前記第1のデータ通信及び前記第2のデータ通信を、それぞれ、前記サーバとの間のセッション及び前記通信装置との間のセッションとして独立してプロキシ機能を構成
させ、前記第1通信手段
及び前記第2通信手段のいずれか一方により受信するデータを前記一時記憶手段にフレー
ム毎に逐次的に記憶する際中に、該データの受信に並行して、前記一時記憶手段に逐次的に記憶された前記データの一部であるフレー
ムを、他方の前記第2通信手段または前記第1通信手段により受信側のセッションに対して独立したセッションで逐次的に転送させる。
【0014】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、通信装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、通信装置のコンピュータに、ネットワーク上のサーバに、携帯端末装置を介して接続し、通信を行う通信手順と、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信を要求する要求手順と、携帯端末装置に、通信手順におけるデータ通信を実行させる制御手順と、携帯端末装置に対し、サーバとのデータ通信の通信状況を問合せる問合せ手順と、携帯端末装置から通信状況を受信する受信手順と、受信した通信状況を提示する提示手順と、を実行させるための通信装置の制御プログラムを記録する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、携帯端末装置を経由した、サーバと通信装置との間のデータ転送を高速に行うことを可能とするという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0019】
本実施形態の通信システムは、携帯電話機10と、通信装置12と、キャリアサーバ14と、サーバ16と、を備える。通信装置12は、携帯電話機10に無線LAN(図中、「WLAN」(Wireless LAN)と示す)2を介して接続される。キャリアサーバ14は、携帯電話網6上にあり、携帯電話機10に携帯電話回線4を介して接続される。サーバ16は、携帯電話機10と携帯電話網6を介して接続されるインターネット8等のネットワーク上にあるサーバである。
【0020】
ユーザは、たとえば、通信装置12と携帯電話機10とを一緒に携行しているものとする。そして、通信装置12からサーバ16に、携帯電話機10を経由してアクセスする。携帯電話機10は、2つの異なる通信インタフェースを有する。これらの通信インタフェースは、通信装置12に接続するインタフェースと、携帯電話網6を経由してインターネット8上のサーバ16に接続するインタフェースと、を含む。通信装置12および携帯電話機10間では、無線LAN2で通信が行われる。そして、携帯電話機10およびサーバ16間は、携帯電話回線4、携帯電話網6及びインターネット8を経由して接続されて通信が行われる。2つの通信インタフェースは、独立して非同期に並行して通信可能とする。本実施形態において、2つの通信インタフェースは通信速度が異なり、無線LAN2の方が携帯電話回線4より速い速度で通信可能である。ただし、無線LAN2と携帯電話回線4との速度の大小関係は、本実施形態で説明する場合に限定されるものではない。また、携帯電話回線4を経由したサーバ16への接続においては、通信環境によって通信状況が変化しやすく、通信品質が低い可能性がある。本実施形態において、ユーザは、携帯電話機10の存在を意識することなく、あたかも通信装置12が直接サーバ16にアクセスしているかのように操作できる。
【0021】
なお、以下の各図において、本実施形態の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、たとえば、携帯電話機10の構成である通話機能処理部などは図示されていない。
【0022】
また、本実施形態の通信システムの各構成要素は、CPU、メモリ、プログラム、プログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。ここで、CPUは、メモリにロードされたプログラムを実行することで、本実施形態の通信システムの各構成要素の機能を実現する。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0023】
本実施形態では、携帯端末装置として、携帯電話機10を例として説明するが、これに限定されるものではなく、携帯端末装置は、それぞれ独立して動作する2つの異なる通信インタフェースを有していればよく、たとえば、通話機能を有さない、所謂モバイルルータ等でもよい。
【0024】
図2は、
図1の携帯電話機10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、本実施形態の携帯電話機10は、CPU(Central Processing Unit)22と、ROM(Read Only Memory)24と、RAM(Random Access Memory)26と、操作部28と、操作受付部30と、表示部32と、を備える。また、本実施形態の携帯電話機10は、さらに、表示制御部34と、スピーカ36と、音声入出力部38と、3G(3rd Generation)通信部40と、3G通信用アンテナ42と、無線LAN(図中、「WLAN」と示す)部44と、無線LAN用アンテナ46と、を備える。
【0026】
CPU22は、携帯電話機10の各要素とバス48を介して接続され、各要素とともに携帯電話機10全体を制御する。ROM24は、携帯電話機10を動作させるためのプログラムや、そのプログラムが動作する際に使用する各種設定データなどを記憶する。そして、ROM24は、送受信メールや設定情報を含むメール関連データ、アドレス帳、動画像を含む画像データ、音楽(楽曲、メロディ、音声等)データ、アプリケーションデータ等の各種データを含むユーザデータを記憶する。RAM26は、プログラムが動作するための作業領域や、送受信メールのバッファなど一時的にデータを記憶する領域を有する。また、携帯電話機10は、図示されない記録媒体を読み書きするアクセス部を備えてもよく、各種のユーザデータを記録媒体に記録することもできる。
【0027】
操作部28としては、操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパッド、マウスなどのいずれかが用いられる。しかし、操作部28の具体的な構成は、これらに限定されない。操作受付部30は、ユーザによる操作部28の操作を受け付け、CPU22に通知する。表示部32としては、LED(Light Emitting Diode)表示器や、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどのいずれかが用いられる。しかし、表示部32の具体的な構成は、これらに限定されない。表示制御部34は、CPU22からの指示に従い、表示部32に各種画面表示を行う。音声入出力部38は、CPU22からの指示に従い、スピーカ36から音声出力を行うとともに、図示されないマイクから音声入力を行う。
【0028】
3G通信部40は、3G通信用アンテナ42を介して、携帯電話回線4に基地局(不図示)を介して無線通信にて接続し、携帯電話網6上のキャリアサーバ14と通信する。無線LAN部44は、無線LAN用アンテナ46を介して通信装置12に無線通信にて接続し、通信する。3G通信部40は、キャリアサーバ14に接続し、キャリアサーバ14を経由してインターネット8に接続し、サーバ16にアクセスすることができる。
【0029】
本実施形態の通信装置12は、たとえば、カメラ、ゲーム機、モバイルPC、PDA(Personal Digital Assistants)などの電子機器である。本実施形態では、カメラを例として説明する。
【0030】
本実施形態では、通信装置12は、携帯電話機10を経由して、インターネット8上のサーバ16にデータをアップロードする。この場合、たとえば、ユーザは、携帯電話機10をユーザが携行している鞄の中や衣類のポケットの中に入れたままにしておいてよい。そして、ユーザは、通信装置12を操作して携帯電話機10の存在を意識することなく、サーバ16に画像データ等をアップロードすることができる。
【0031】
あるいは、通信装置12は、サーバ16に携帯電話機10を経由してアクセスして、通信装置12の更新ファームウェアや各種アプリケーションプログラム、その他のデータ、たとえば、画像フレームデータ等をサーバ16からダウンロードすることなどができる。すなわち、通信装置12は、無線LAN機能を使用して、携帯電話機10に接続し、携帯電話網6を経由してサーバ16と通信することができる。通信装置12とサーバ16間で送受信されるデータの種類や内容は、特に限定されない。
【0032】
キャリアサーバ14は、携帯電話機10の通信サービスを提供しているキャリア各社のサーバである。携帯電話機10は、キャリアサーバ14を経由して、インターネット8に接続することができる。通信装置12は、キャリアサーバ14の存在は意識する必要はない。以下、説明を簡単にするために、携帯電話機10がインターネット8に接続する際、携帯電話網6およびキャリアサーバ14を経由することについては、説明を省略する。
【0033】
サーバ16は、たとえば、通信装置12のメーカのウェブサイトやユーザが任意に指定したウェブサイトを含むウェブサーバやFTP(File Transfer Protocol)サーバなどである。通信装置12は、携帯電話機10を介して、任意のウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)やFTPサーバの接続先のアドレスの情報を指定して接続することができる。本実施形態では、通信装置12の接続先のサーバをインターネット8上のサーバ16としたが、これに限定されず、企業内ネットワークなど他のネットワーク上のサーバでもよい。
【0034】
図3は、
図1の通信装置12のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態の通信装置12は、CPU52と、ROM54と、RAM56と、操作部58と、操作受付部60と、を備える。通信装置12は、さらに、表示部62と、表示制御部64と、スピーカ66と、音声入出力部68と、無線LAN(図中、「WLAN」と示す)部70と、無線LAN用アンテナ72と、撮像部74と、を備える。
【0036】
CPU52は、通信装置12の各要素とバス76を介して接続され、各要素及び通信装置12全体を制御する。ROM54は、通信装置12を動作させるためのプログラムや、そのプログラムが動作する際に使用する各種設定データなどを記憶するとともに、撮像部74で撮像された静止画像および動画像を含む画像データ等を記憶する。RAM56は、プログラムが動作するための作業領域や、送信データのバッファなど一時的にデータを記憶する領域を有する。また、通信装置12は、図示されない記録媒体を読み書きするアクセス部を備えてもよく、画像データを記録媒体に記録することもできる。
【0037】
操作部58としては、操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパッド、マウスなどのいずれかが用いられる。しかし、操作部58の具体的な構成は、これらに限定されない。操作受付部60は、ユーザによる操作部58の操作を受け付け、CPU52に通知する。表示部62としては、LED表示器や、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのいずれかが用いられる。しかし、表示部62の具体的な構成は、これらに限定されない。表示制御部64は、CPU52からの指示に従い、表示部62に各種画面表示を行う。ここで、操作部58としてマウスのようなポインティングデバイスを用いて、表示部62に表示させたボタンを、ポインティングデバイスを用いて操作できるようにしてもよい。音声入出力部68は、CPU52からの指示に従い、スピーカ66から音声出力を行うとともに、図示されないマイクから音声入力を行う。
【0038】
無線LAN部70は、無線LAN用アンテナ72を介して携帯電話機10に無線通信によって接続し、通信する。撮像部74は、静止画像および動画像を含む画像データ等を撮像する。撮像された画像データは、RAM56、あるいは、図示されない記録媒体に記憶される。
【0039】
図4は、本実施形態の通信システムの携帯電話機10の要部構成を示す機能ブロック図である。
図2におけるCPU22は、プログラムに従ってROM24及びRAM26との間でデータを読み出しあるいは書き込み、また、バス48を介してハードウエアブロック間で格納データを送受信することで、
図4に示すプロキシ機能部100の機能を実現する。
【0040】
本実施形態の携帯電話機10は、第1通信部(3G通信部132)と、第2通信部(無線LAN通信部134)と、一時記憶部110と、制御部140と、を備える。第1通信部(3G通信部132)は、ネットワーク(
図1のインターネット8)上のサーバ16(
図1)に接続し、データ通信を行う。第2通信部(無線LAN通信部134)は、通信装置12(
図1)に接続し、データ通信を行う。一時記憶部110は、3G通信部132と無線LAN通信部134を用いて、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を中継する際、データを一時的に記憶する。制御部140は、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を携帯電話機10が中継する際、3G通信部132および無線LAN通信部134のデータ通信を非同期にかつ並行して制御する。
【0041】
具体的には、本実施形態の携帯電話機10は、プロキシ機能部100と、3G通信部132と、無線LAN通信部134と、を有する。さらに、プロキシ機能部100は、第1通信監視部102と、第2通信監視部104と、UL(Up Load)通信バッファ112およびDL(Down Load)通信バッファ114を有する一時記憶部110と、を備える。プロキシ機能部100は、さらに、アドレス管理テーブル120と、ポート番号管理テーブル122と、制御部140と、を備える。なお、制御部140と各ユニットとの制御やデータの流れを示すラインは、図中では省略されている。
【0042】
一時記憶部110、アドレス管理テーブル120、およびポート番号管理テーブル122は、
図2のRAM26に含むことができる。UL通信バッファ112は、サーバ16へのアップリンク用のデータを一時的に格納するバッファである。DL通信バッファ114は、サーバ16からのダウンリンク用のデータを一時的に格納するバッファである。
【0043】
アドレス管理テーブル120は、無線LAN側と3G側とのIPアドレスの対応関係を管理する。ポート番号管理テーブル122は、無線LAN側と3G側とのポート番号の対応関係を管理する。本実施形態において、携帯電話機10の無線LAN側のIPアドレスは、192.168.0.254とし、3G側のIPアドレスは、10.0.0.254とする。また、アドレス管理テーブル120には、キャリアサーバ14のIPアドレスも記憶されている。キャリアサーバ14については、説明を省略する。
【0044】
なお、本実施形態では、通信装置12のIPアドレスは、192.168.0.1とし、データ送信用のポートのポート番号は1024で、データ送信状況の問合せおよび応答受信用のポートのポート番号は1025とする。サーバ16のポート番号は80とする。また、携帯電話機10の無線LAN側のポート番号は、8080であり、3G側のポート番号は、2001とする。
【0045】
3G通信部132は、携帯電話回線4に接続し、携帯電話網6上のキャリアサーバ14と通信する。3G通信部132は、
図2の3G通信部40および3G通信用アンテナ42に相当する。無線LAN通信部134は、通信装置12と無線通信する。無線LAN通信部134は、
図2の無線LAN部44および無線LAN用アンテナ46に相当する。
【0046】
本実施形態において、携帯電話機10は、3G通信部132および無線LAN通信部134の2つの異なる通信部を有している。ここで、3G通信部132の通信速度に比較して、無線LAN通信部134の通信速度は速い。したがって、携帯電話機10において、通信装置12から無線LAN通信部134で受信した画像データを、3G通信部132でサーバ16に送信する場合、この通信速度の差の分だけ、携帯電話機10に画像データが一時的に留まることになる。携帯電話機10では、通信装置12から無線LAN通信部134で高速に受信した画像データを一時的に保存しつつ、並行して3G通信部132側の通信速度に合わせて順次送出していくこととなる。
【0047】
本実施形態の携帯電話機10において、制御部140は、3G通信部132および無線LAN通信部134のいずれか一方により受信したデータの少なくとも一部を一時記憶部110に一時的に記憶する。そして、制御部140は、データの受信を継続しつつ、一時記憶部110に一時的に記憶されたデータを、並行して他方の3G通信部132または無線LAN通信部134により転送する。
【0048】
アップリンク側のアップロードデータは、無線LAN通信部134のプロトコルスタックにおいてWLAN、IPレイヤ、TCPレイヤを経て、プロキシ機能部100のUL通信バッファ112に一旦保存される。UL通信バッファ112はFIFO(First-In First-Out)形になっており、UL通信バッファ112に一時的に格納されたアップロードデータは、順次3G側に送信される。制御部140は、無線LANからのデータ受信と、3Gへのデータ送信とを非同期で制御する。
【0049】
第1通信監視部102は、UL通信バッファ112から3G通信部132に送信したデータ量を計測し、3G通信部132の通信状況を監視する。第1通信監視部102は、無線LAN通信部134を介した通信装置12からのデータ転送状況の問合せに呼応して、無線LAN通信部134を介してUL通信バッファ112のデータ転送状況を応答する。
また、携帯電話機10は、表示部32に転送状況を表示させ、あるいはスピーカ36から通知音や音声メッセージを報知し、あるいは終了させることができる。
【0050】
ダウンリンク側のデータはアップリンク側のデータとは逆に、3G通信部132の3Gレイヤ、IPレイヤ、TCPレイヤを経て、プロキシ機能部100のDL通信バッファ114に一旦保存される。DL通信バッファ114もFIFO型になっており、DL通信バッファ114に一時的に格納されたダウンロードデータは、順次無線LAN側に送出される。
【0051】
第2通信監視部104は、DL通信バッファ114から無線LAN通信部134に送信したデータ量や無線LAN通信部134の通信状況を監視する。第2通信監視部104は、無線LAN通信部134を介した通信装置12からのデータ転送状況の問合せに呼応して、無線LAN通信部134を介してDL通信バッファ114のデータ転送状況を応答する。また、携帯電話機10では、表示部32に転送状況を表示させ、あるいはスピーカ36から通知音や音声メッセージを報知し、あるいは終了させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、第1通信監視部102および第2通信監視部104によりモニタされている通信状況や転送状況は、通信装置12からの問合せに対して応答する場合について説明している。しかし、第1通信監視部102および第2通信監視部104の動作はこれに限定されるものではない。例えば、第1通信監視部102および第2通信監視部104は、3G通信部132および無線LAN通信部134のいずれの側に接続される他の装置からの問合せにも同様に応答することができる。また、通信状況や転送状況は、たとえば、送受信済みデータ容量、そのパーセンテージや送受信完了、転送済みデータ容量、そのパーセンテージや転送完了、送受信エラー、転送エラー、リトライ中、等を含んでもよい。携帯電話機10は、通信状況や転送状況をユーザに報知する報知部(不図示)を有する。たとえば、携帯電話機10は、通信状況や転送状況を表示部32に表示させたり、スピーカ36に報知音や音声メッセージで報知させたりする。
【0053】
プロキシ機能部100において、制御部140は、通信装置12より無線LAN経由で送信されたアップリンクデータのパケットを解析する。そして、制御部140は、アップリンクデータのパケットに含まれる送信元及び送信先のIPアドレスを、アドレス管理テーブル120に登録する。また、制御部140は、アップリンクデータのパケットに含まれる送信元及び送信先のポート番号を、ポート番号管理テーブル122に登録する。さらに、制御部140は、アップリンクデータをUL通信バッファ112に格納する。UL通信バッファ112に格納されたアップリンクデータの宛先IPアドレスには、携帯電話機10のIPアドレスが指定されている。プロキシ機能部100は、アップリンクデータの宛先となっているIPアドレス及びポート番号を、アップリンクデータの転送先のIPアドレス及びポート番号に付け替えて3G側に送信する。ここで、アップリンクデータの転送先のIPアドレス及びポート番号は、アップリンクデータのデータ領域に記載されている。無線LAN通信部134による3G通信部132への送信は、無線LANの通信状況とは独立に行われる。
【0054】
具体的には、通信装置12は、携帯電話機10のIPアドレス192.168.0.254を指定して、画像データを携帯電話機10にアップロードする。携帯電話機10は、画像データの宛先アドレスを、携帯電話機10のIPアドレス192.168.0.254からキャリアサーバ14のIPアドレスに付け替える。そして、携帯電話機10は、携帯電話網6のキャリアサーバ14と接続する。その結果、携帯電話機10はインターネット8にアクセスできるようになる。なお、通信装置12では、サーバ16のURLを指定して携帯電話機10に接続しているので、携帯電話機10は、通信装置12で指定されたサーバ16のURLにアクセスする。あるいは、他の実施形態として、携帯電話機10は、通信装置12から指定されたサーバ16のURLを他のURLに変更することもできる。
【0055】
図5は、汎用の通信システムの構成とプロトコルスタックを示す図であり、
図6は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成とプロトコルスタックを示す図である。
【0056】
図5に示す汎用の通信システムでは、携帯電話機10はルーティング機能を有しており、TCPのセッションは通信装置12とサーバ16の間で確立されている。その結果、通信装置12からサーバ16にデータを送信した場合、3Gの遅い通信速度の影響により、通信装置12からサーバ16へのデータ通信速度が遅くなり、サーバ16から通信装置12への応答速度も遅くなる。これに対して、本実施形態の通信システムでは、
図6に示すように、携帯電話機10は上述したプロキシ機能を有し、TCPのセッションは、携帯電話機10で終端される。そして、通信装置12と携帯電話機10間と、携帯電話機10とサーバ16間では各々独立してTCPセッションが確立される。その結果、本実施形態の通信システムは、通信装置12と携帯電話機10間のセッションを、通信速度が速い無線LAN通信に基づいて早く終了させることができる。
【0057】
携帯電話機10の上記各ユニットの各種機能は、携帯電話機10のCPU22がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。本実施形態の携帯電話機10の制御プログラムは、コンピュータに、インターネット8上のサーバ16に接続し、データ通信を行う第1通信手順と、通信装置12に接続し、データ通信を行う第2通信手順とを実行させるように記述されている。そして、携帯電話機10の制御プログラムは、第1通信手順と第2通信手順において、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を中継する際、データを一時記憶部110に一時的に記憶する一時記憶手順を実行させるように記述されている。さらに、携帯電話機10の制御プログラムは、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を中継する際、第1通信手順および第2通信手順におけるデータ通信を非同期にかつ並行して制御できる制御手順と、を実行させるように記述されている。
【0058】
本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶してもよい。
【0059】
図7は、本実施形態の通信システムの通信装置12の要部構成を示す機能ブロック図である。
【0060】
本実施形態の通信装置12は、通信部(インタフェース部212)と、要求部(送信部210)と、制御部(送信部210)と、問合せ部214と、受信部(通知部216)と、提示部(通知部216、表示部62、スピーカ66)と、を備える。
【0061】
通信部(インタフェース部212)は、インターネット8上のサーバ16に、携帯電話機10を介して接続し、サーバ16と通信を行う。要求部(送信部210)は、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信を要求する。制御部(送信部210)は、携帯電話機10に、インタフェース部212を介してデータ通信を実行させる。問合せ部214は、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信の通信状況を問合せる。受信部(通知部216)は、携帯電話機10から通信状況を受信する。提示部(通知部216、表示部62、スピーカ66)は、受信した通信状況を提示する。
【0062】
図7に示すように、本実施形態の通信装置12は、さらに、データ記憶部202と、データ選択受付部204と、送信バッファ部206と、指示受付部208と、を備えている。
【0063】
ここで、
図3に記載したCPU52は、
図7におけるデータ記憶部202と、データ選択受付部204と、送信バッファ部206と、指示受付部208、送信部210、問合せ部214及び通知部216の機能を、プログラムに従って実現させる。すなわち、CPU52は、プログラムに従って、ROM54及びRAM56との間でデータを読み出しあるいは書き込み、また、バス76を介してハードウエアブロック間で格納データを送受することでこれらの各部の機能を実現する。
【0064】
なお、本実施形態では、通信装置12からサーバ16に通信装置12で撮像された画像データをアップロードする場合を例に説明する。しかし、サーバ16から通信装置12にデータをダウンロードすることも可能である。そして、通信装置12は、指定されたデータをサーバ16からインタフェース部212を介して受信する受信部(不図示)と、受信したデータを一時的に格納する受信バッファ(不図示)と、を備えてもよい。
【0065】
データ記憶部202は、たとえば、通信装置12の撮像部74(
図3)で撮像された画像データを記憶している。データ選択受付部204は、データ記憶部202に記憶されている画像データの中から選択された、サーバ16に送信する画像データの指定を受け付ける。ユーザは、表示部62(
図3)に表示された操作画面(不図示)に従って操作部58を操作して、少なくとも1つの画像データを選択して指定することができる。操作受付部60は、操作部58の操作を受け付け、データ選択受付部204に選択指定された画像データを通知する。そして、データ選択受付部204は、選択指定された画像データをデータ記憶部202から読み出し、送信バッファ部206に一時的に格納する。
【0066】
指示受付部208は、選択されたアップロード用の画像データのサーバ16への送信開始指示を受け付ける。ユーザは、表示部62(
図3)に表示された操作画面(不図示)に従って、操作部58を操作して、送信開始を指示することができる。操作部58の操作を操作受付部60が受け付け、指示受付部208に送信開始指示を通知する。
【0067】
送信部210は、指示受付部208が受け付けた指示に従って、送信バッファ部206に格納されている画像データを、インタフェース部212を介して携帯電話機10に送信する。また、送信部210は、携帯電話機10へのデータ送信が完了したか否かを判定し、データ送信が完了した場合に、通知部216に通知する。
【0068】
インタフェース部212は、無線LAN部70により携帯電話機10に接続して無線通信を行う。問合せ部214は、サーバ16への画像データのアップロード状況の問合せ指示を受け付けたとき、あるいは、定期的に、サーバ16へのアップロード状況を携帯電話機10にインタフェース部212を介して問合せる。ユーザは、表示部62(
図3)に表示された操作画面(不図示)に従って、操作部58を操作して、アップロード状況の問合せを指示することができる。操作部58の操作を操作受付部60が受け付け、指示受付部208にアップロード状況の問合せ指示を通知する。
【0069】
通知部216は、問合せ部214が問合せたサーバ16へのアップロード状況を携帯電話機10からインタフェース部212を介して受信し、その結果を表示部62に画面表示するよう表示制御部64に指示する。または、通知部216は、スピーカ66から通知音や音声メッセージを出力するよう音声入出力部68に指示する。また、通知部216は、送信部210からの携帯電話機10へのデータ送信完了の通知を受けて、データ送信完了通知を表示部62に画面表示するよう表示制御部64に指示する。または、通知部216は、スピーカ66から通知音や音声メッセージを出力するよう音声入出力部68に指示する。
【0070】
インタフェース部212は、送信部210による携帯電話機10へのデータ送信用のポートと、問合せ部214および通知部216による携帯電話機10へのデータ送信状況の問合せとその応答受信用のポートを別々に有するものとする。本実施形態では、通信装置12のデータ送信用のポートのポート番号は、1024とし、データ送信状況の問合せおよび応答受信用のポートのポート番号は、1025とする。
【0071】
通信装置12の上記各ユニットの各種機能は、通信装置12のCPU52がコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。本実施形態の通信装置12の制御プログラムは、コンピュータに、インターネット8上のサーバ16に、携帯電話機10を介して接続し、通信を行う通信手順を実行させるように記述されている。通信装置12の制御プログラムは、さらに、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信を要求する要求手順を実行させるようにも記述されている。通信装置12の制御プログラムは、さらに、携帯電話機10に、通信手順におけるデータ通信を実行させる制御手順と、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信の通信状況を問合せる問合せ手順と、を実行させるように記述されている。通信装置12の制御プログラムは、さらに、携帯電話機10から通信状況を受信する受信手順と、受信した通信状況を提示する提示手順と、を実行させるように記述されている。
【0072】
本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶してもよい。
【0073】
このように構成された本実施形態の通信システムの動作について、以下に説明する。
【0074】
図8は、本実施形態の通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。また、
図9は、本実施形態の通信システムの各装置の画面の例を示す図である。
図10は、本実施形態の通信システムのアップロードシーケンスの一例を示す図である。以下、
図1乃至
図10を用いて説明する。
【0075】
本実施形態の携帯電話機10の制御方法においては、携帯電話機10は、3G通信部132と無線LAN通信部134を用いて、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を中継する。この際、携帯電話機10は、通信装置12から受信したデータを一時記憶部110に一時的に記憶する(
図8のステップS204)。そして、3G通信部132は、一時記憶部110に格納されている画像データをサーバ16に順次転送する(
図8のステップS206)。ここで、携帯電話機10は、サーバ16と通信装置12の間でのデータの通信を一時記憶部110を介して中継する際に、3G通信部132および無線LAN通信部134との間のデータ通信を非同期にかつ並行して行ってもよい。すなわち、携帯電話機10は、
図8のステップS204およびS206の処理を非同期かつ並行に行ってもよい。
【0076】
本実施形態の通信装置12の制御方法においては、通信装置12は、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信を要求する(
図8のステップS104)。そして、通信装置12は、携帯電話機10に、通信装置12のインタフェース部212から送信されるデータのデータ通信を実行させる(
図8のステップS104)。さらに、通信装置12は、携帯電話機10に対し、サーバ16とのデータ通信の通信状況を問合せ(
図8のステップS112)、携帯電話機10から通信状況を受信し、受信した通信状況を表示する(
図8のステップS116)。
【0077】
ここで、通信装置12では、サーバ16に送信する画像データがユーザによって選択されており、データ選択受付部204によって画像データがデータ記憶部202から読み出され送信バッファ部206に一時的に格納されているものとする。そして、通信装置12の表示部62には、
図9(a)の画面300aが表示されている。なお、携帯電話機10の表示部32および通信装置12の表示部62に表示される各通知画面や音声出力による通知は、必ずしも表示する必要はなく、ユーザの要求や予め設定で表示するか否かを随時選択できるものとする。また、各画面や画面上に表示されるメッセージはこれに限定されるものではなく、各表示部にアイコンや画像、マークを状況に応じて表示させてもよいし、LED表示器を所定の色や発光動作で表示させることで通知してもよい。あるいは、図示されない振動部により振動動作で通知してもよい。これらの手順は自由に組み合わせることができるし、ユーザによって手順を設定することもできる。
【0078】
また、通信装置12において、サーバ16のURLは、予め指定されていてもよいし、ユーザがその都度入力またはリストの中から選択してもよいし、ユーザが予め設定してもよい。
【0079】
以下では、通信装置12において、ユーザは、操作部58としてマウス等のポインティングデバイスを使用する場合を例にして説明する。画面300aに表示されたデータUL開始ボタン302を、ユーザがマウス等の操作部58を用いて操作すると、操作受付部60を介して指示受付部208がデータ送信開始指示を受け付ける(
図8のステップS102のYES)。そして、送信部210は、送信バッファ部206に格納されている画像データを、インタフェース部212を介して携帯電話機10に無線LAN部70により送信する(
図8のステップS104)。このとき、通信装置12は、サーバ16のURLを指定して、携帯電話機10に接続する。
【0080】
図10では、送信する
1枚の画像データが、Data1/20〜20/20の20フレームで構成されている場合を示す。また、本実施形態の通信システムにおいて、無線LAN側および3G側の通信のいずれもが、3フレーム毎及び全てのフレームの受信終了後にBlock Ack(Block Acknowledgement)を受信しているものとする。
【0081】
携帯電話機10では、無線LAN通信部134が通信装置12から画像データを順次受信し、UL通信バッファ112に一時的に格納する(
図8のステップS202のYES、およびS204)。このとき、通信装置12では、表示部62に
図9(b)の画面300bにアップロード状況310が表示される。また、携帯電話機10では、表示部32に
図9(f)の画面350fに受信状況352が表示される。
【0082】
図8のステップS104からS202、S204に至るフローは、通信装置12から携帯電話機10に画像データが送信される手順を示す。携帯電話機10は、データを通信装置12から受信すると(
図8のステップS204)、3G通信部132により、通信装置12からURLで指定されたサーバ16にUL通信バッファ112に格納されている画像データを順次転送する(
図8のステップS206)。このとき、携帯電話機10の表示部32には、
図9(g)の画面350gに転送状況362がさらに表示される。
【0083】
図10に示されるように、携帯電話機10では、3Gに比べて無線LANの通信速度が速いので、通信装置12と携帯電話機10間の通信は短期間で完了し、携帯電話機10のUL通信バッファ112に溜まったデータは、3G側の通信速度にあわせて順次送出されていく。
【0084】
通信装置12は、携帯電話機10への画像データの送信が完了したとき(
図8のステップS106のYES)、通知部216にアップロード完了を通知させる(
図8のステップS108)。このとき、通信装置12の表示部62には、
図9(c)の画面300cにアップロード完了通知312が表示される。同図に示すように、この画面300cには、転送状況確認ボタン320が設けられ、ユーザの指示を受け付けることができる。また、携帯電話機10の表示部32には、
図9(h)の画面350hに受信完了通知354が表示される。なお、携帯電話機10および通信装置12のいずれも画面表示だけでなく、通知音や音声メッセージにより、受信完了を通知してもよい。
【0085】
通信装置12において、
図9(c)の画面300cの転送状況確認ボタン320をユーザが操作すると、操作受付部60(
図3)が問合せ指示を受け付け(
図8のステップS110のYES)、問合せ部214(
図7)がインタフェース部212を介して携帯電話機10に転送状況を問合せる(
図8のステップS112)。携帯電話機10では、通信装置12からの問合せを、第1通信監視部102が無線LAN通信部134を介して受け付ける(
図8のステップS208のYES)。第1通信監視部102は、UL通信バッファ112から3G側への転送状況をモニタしている。問合せに呼応して、第1通信監視部102は、転送状況を通信装置12に応答する(
図8のステップS210)。
【0086】
通信装置12は、通知部216がインタフェース部212を介して携帯電話機10からの応答を受信し、携帯電話機10におけるサーバ16への転送が完了したか否かを判定する(
図8のステップS114)。転送が完了していない間は(
図8のステップS114のNO)、通信装置12の表示部62に、
図9(d)の画面300dを表示し、転送状況330を表示する(
図8のステップS116)。このとき、携帯電話機10の表示部32では、
図9(h)や
図9(i)の画面350hや画面350iに転送状況362を表示してもよい。通信装置12では、携帯電話機10におけるサーバ16への転送が完了するまでは(
図8のステップS114のNO)、ステップS116の後、ステップS110に戻り、随時ユーザからの転送状況の問合せを受け付ける。
【0087】
ただし、上記フローの途中で、ユーザの指示により、たとえば、キャンセルボタン306やキャンセルボタン356の操作により、通信を中断した場合は、携帯電話機10も通信装置12も処理を終了する。また、通信装置12のステップS110以降のフローでは、ユーザが
図9の各画面300で、戻るボタン304を操作した場合、あるいは、画面表示の省電力モード時に所定の時間経過後に、画面300の表示をやめ、処理を終了してもよい。また、通信装置12のステップS110以降のフローでは、ユーザの指示により、随時画面300に戻り、転送状況の問合せや表示を行ってもよい。さらに、通信環境の悪化などにより携帯電話機10との間の通信が中断してしまった場合は、通信装置12は通信環境が良好になったときにリトライして、携帯電話機10との間の通信を継続してもよい。あるいは、通信装置12は、ユーザに通信エラーを通知し、ユーザの指示により通信をやり直してもよい。
【0088】
携帯電話機10では、
図10に示すように、3G通信部132は、順次データフレームをサーバ16に送出する。そして、3G通信部132は、最後のフレームData20/20をサーバ16に送出し、サーバ16からAckを受け取ると、第1通信監視部102が、サーバ16への転送が完了したと判定し(
図8のステップS212のYES)、本処理を終了する。
【0089】
なお、このとき、携帯電話機10の表示部32には、
図9(j)の画面350jに転送完了通知366が表示される。なお、携帯電話機10において、サーバ16への転送が完了するまでの間は(
図8のステップS212のNO)、通信装置12からの画像データの受信が完了するまでは(
図8のステップS214のNO)、ステップS204に戻り、通信装置12からの画像データの受信が完了しているときは(
図8のステップS214のYES)、ステップS206に戻る。
【0090】
携帯電話機10からサーバ16へのデータ転送が完了した後、通信装置12において、ユーザが画面300の転送状況確認ボタン320を操作したとき、上述したように、操作受付部60は転送状況問合せを受け付ける(
図8のステップS110のYES)。そして、問合せ部214は携帯電話機10に転送状況を問合せる(
図8のステップS112)。サーバ16への転送が完了している場合(
図8のステップS114のYES)、通信装置12の表示部62では、
図9(e)の画面300eに転送完了332が表示される(
図8のステップS118)。
【0091】
上記アップロード時の処理とは逆に、サーバ16から通信装置12に携帯電話機10を経由してデータをダウンロードする場合には、携帯電話機10と通信装置12間に比べ、サーバ16と携帯電話機10間の通信速度の方が遅い。このため、携帯電話機10は、サーバ16からフレームを受信する毎にそのまま通信装置12に転送してもよい。あるいは、携帯電話機10は、受信した複数のフレームデータをDL通信バッファ114の一定容量、または所定フレーム数までバッファリングしてから、通信装置12に転送することを繰り返してもよい。あるいは、携帯電話機10のDL通信バッファ114の容量が受信データに比べて
比較的大きい場合は、サーバ16からすべてのフレームを受信した後、通信装置12に通知して、通信装置12からの要求に応じて一括して通信装置12に転送してもよい。
【0092】
以上説明したように、本発明の実施の形態の通信システムは、携帯電話機10にプロキシ機能部100を備えたことで、異なる通信部である無線LAN通信と3G通信のセッションを分離でき、そしてこれらのセッションを個別に制御できる。従って、本発明の実施の形態の通信システムは、携帯電話機10でデータを中継する際、異なる通信部の通信状況に互いに影響されずに独立して通信を行うことができる。その結果、本発明の実施の形態の通信システムは、携帯端末装置を経由して外部の通信装置との通信及びサーバとの通信をそれぞれ異なる通信インタフェースで行う場合に、待ち時間を削減し、高速なデータ転送を可能とするという効果を奏する。上記の実施形態では、通信装置は、携帯電話機10へ無線LANによるデータの送出が完了すれば、アップロードするデータのサーバ16への転送が完了していなくとも、短時間でデータのアップロード処理を完了することができる。このため、ユーザは別の処理を開始することが可能であり、使い勝手が向上する。また、サーバ16へのアップロード状況については、携帯電話機10より情報を取得して通知することで、ユーザが知ることが可能である。
【0093】
なお、
図4に示した携帯電話機10において、3G通信部132、無線LAN通信部134、一時記憶部110及び制御部140を備えた最小構成も、効率のよい通信が可能となるという効果を奏する。すなわち、3G通信部132は第1の通信手段としてネットワーク上のサーバに接続してデータ通信を行い、無線LAN通信部134は第2の通信手段として通信装置に接続してデータ通信を行うように構成することが可能である。そして、一時記憶部110は、第1通信手段と第2通信手段を用いて、サーバと通信装置の間でのデータの通信を中継する際、データを一時的に記憶する。さらに、制御部は、携帯電話機10がサーバと通信装置の間で一時記憶部110を介してデータの通信を中継する際、第1の通信手段および第2の通信手段のデータ通信を非同期にかつ並行して制御する。
【0094】
このように構成された本実施形態の最小構成の通信システムは、携帯電話機10でデータを中継する際、異なる通信部の通信状況に互いに影響されずに独立して通信を行うことができる、効率のよい通信が可能となるという効果を奏する。
【0095】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0096】
上記実施形態では、携帯電話機10と通信装置12間は、無線LAN通信を用い、携帯電話機10とサーバ16間より通信速度が速い通信インタフェースを用いていたが、これに限定されるものではない。たとえば、携帯電話機10と通信装置12間に、Bluetooth等の携帯電話機10とサーバ16間より通信速度が遅い通信インタフェースを用いることもできる。
【0097】
また、上記実施形態では、本発明の携帯端末装置として携帯電話機10を例として説明し、携帯電話機10は、携帯電話回線4を介して携帯電話網6に接続し、キャリアサーバ14を介してインターネット8に接続する構成としたが、これに限定されない。たとえば、
図11に示すように、携帯端末装置は、IP電話410でもよく、直接インターネット8に接続する構成であってもよい。この場合、IP電話410は、2つの無線LAN通信インタフェース部(不図示)を備える。そして、IP電話410は、一方の無線LAN通信インタフェース部を通信装置12との通信に使用し、他方をブロードバンドルータなどのようなアクセスポイント(AP:Access Point)414を経由したインターネット8上のサーバ16との通信に使用することができる。この場合も、通信装置12との通信に比較して、インターネット8上のサーバ16との通信の方が、たとえば、アクセスポイント414とIP電話410との間の電波状態が悪かったり、不安定であったりすることにより、通信状況が悪く、通信速度が遅くなる可場合がある。また、サーバ16の処理速度や、インターネット8の混み具合等によっても、通信速度が遅くなる可能性が高い。これらのような通信状況が悪い場合においても、本発明の通信システムを適用することで、サーバ16側の通信状況の影響を通信装置12の動作に及ぼさないようにすることができる。
【0098】
また、上記の実施形態における携帯端末装置は、携帯可能な端末装置に限定されない。そして、端末装置が、一般の電話回線及び電話網に接続するような構成であっても上記の実施形態と同様の作用により同様の効果が得られることは明らかである。
【0099】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0100】
なお、以上の実施形態における構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の実施形態の態様として有効である。
【0101】
また、以上の実施形態における各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0102】
また、以上の実施形態における方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、以上の実施形態に記載した方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0103】
さらに、以上の実施形態における方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0104】
なお、本発明において利用者に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。
【0105】
この出願は、2009年6月8日に出願された日本出願特願2009−137659を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。