(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963189
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】回転角度検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20160721BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20160721BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01D5/14 E
G01B7/30 H
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-63469(P2012-63469)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-195262(P2013-195262A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 龍一
(72)【発明者】
【氏名】大沼 倫郎
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−271175(JP,A)
【文献】
実開平5−30619(JP,U)
【文献】
特開2010−256061(JP,A)
【文献】
特開2001−4405(JP,A)
【文献】
特開平7−260511(JP,A)
【文献】
特開平8−145222(JP,A)
【文献】
特開平7−317572(JP,A)
【文献】
特開2004−84503(JP,A)
【文献】
特開2009−145293(JP,A)
【文献】
特開2010−90748(JP,A)
【文献】
特開2004−92425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
F02D 9/00−9/18、
45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットル弁(3)の回転軸(2)に取り付けられてそれと共に回転する回転子(12)と,該回転子(12)が有する磁石(16)と協働して前記回転軸(2)の回転角度を磁電変換的に検出するよう前記回転子(12)に対置される非回転の磁電変換素子(22,22′)とを備えてなる回転角度検出装置において,
前記回転子(12)は,非磁性材料のねじ部材(15)と,合成樹脂製の前記磁石(16)とからなり,前記磁石(16)は,前記ねじ部材(15)の頭部(15a)外周に,環状にモールド成形されて前記ねじ部材(15)と一体化された合成樹脂からなり,前記ねじ部材(15)が前記回転軸(2)に同軸状に螺合締結されることで回転子(12)が回転軸(2)に取り付けられていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転角度検出装置において,
前記ねじ部材(15)の前記頭部(15a)が有する工具係合溝(17)の一部に前記磁石(16)の一部が食い込むことにより,工具係合溝(17)に工具係合の機能を残したまま,前記磁石(16)と前記ねじ部材(15)とが一体化されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の回転角度検出装置において,
前記頭部(15a)の外周に環状のアンカ突起(18)が形成され,該アンカ突起(18)が前記磁石(16)の内周面に食い込んで一体化されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項4】
請求項1−3のいずれかに記載の回転角度検出装置において,
前記磁石(16)が,前記スロットル弁(3)の取り付け位置を基準とした所定の直径線上にN,S極が来るように着磁されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかに記載の回転角度検出装置において,
前記磁電変換素子(22′)は,検出角度を90°ずらした一対の磁電変換素子と,この一対の磁電変換素子から得られる出力電圧を前記磁石(16)の回転角度の変化に比例する出力電圧にするリニアライザ部とからなり,360°にわたる前記磁石(16)の回転角度の変化に比例する出力電圧を出力可能とされていることを特徴とする回転角度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,回転軸に取り付けられてそれと共に回転する,磁石を有する回転子と,前記磁石と協働して前記回転軸の回転角度を磁電変換的に検出するよう前記回転子に対置される非回転の磁電変換素子とを備えてなる回転角度検出装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる回転角度検出装置は,例えば,エンジンのスロットル弁の開度検出に使用されるもので,特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4509025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された回転角度検出装置では,磁石を有する回転子は,ねじによって回転軸に固着されるので,ねじの頭部が回転子の上面より突出してしまい,その頭部が磁電変換素子の回転子への近接を妨げることになり,これが回転角度検出装置のコンパクト化の障害となる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,回転子となる磁石を回転軸へ容易にねじ止めすることができ,しかもねじの頭部に干渉されることなく,磁電変換素子の磁石への近接配置を可能にしたコンパクトな前記回転角度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,
スロットル弁の回転軸に取り付けられてそれと共に回転す
る回転子と,
該回転子が有する磁石と協働して前記回転軸の回転角度を磁電変換的に検出するよう前記回転子に対置される非回転の磁電変換素子とを備えてなる回転角度検出装置において,
前記回転子は,非磁性材料のねじ部材と,合成樹脂製の前記磁石とからなり,前記磁石は,前記ねじ部材の頭部外周に,環状にモールド成形されて前記ねじ部材と一体化された合成樹脂からなり,前記ねじ部材が前記回転軸に同軸状に螺合締結されることで回転子が回転軸に取り付けられていることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ねじ部材の前記頭部が有する工具係合溝の一部に前記磁石の一部が食い込
むことにより,工具係合溝に工具係合の機能を残したまま,前記磁石と前記ねじ部材とが一体化されていることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は,第1または第2の特徴に加えて,前記頭部の外周に環状のアンカ突起が形成され,該アンカ突起が前記磁石の内周面に食い込んで一体化されていることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は,第1−3のいずれかの特徴に加えて,前記磁石が,前記スロットル弁の取り付け位置を基準とした所定の直径線上にN,S極が来るように着磁されていることを第4の特徴とする。
【0010】
また本発明は,第1−4のいずれかの特徴に加えて,前記磁電変換素子は,検出角度を90°ずらした一対の磁電変換素子と,この一対の磁電変換素子から得られる出力電圧を前記磁石の回転角度の変化に比例する出力電圧にするリニアライザ部とからなり,360°にわたる前記磁石の回転角度の変化に比例する出力電圧を出力可能とされていることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば,
スロットル弁の回転軸にそれと同軸状に螺合締結される,非磁性材料製のねじ部材と,このねじ部材の頭部外周にモールド成形される合成樹脂製の磁石とで回転子を構成したことで,ねじ部材の頭部に干渉されることなく,磁電変換素子を磁石に近接配置することが可能となり,回転角度検出装置のコンパクト化を図ることができる。またねじ部材は非磁性材料で構成されるので,磁石による回転軸の磁化がねじ部材によって防ぐことができる。またねじ部材及び磁石は一体不可分の単一部品となり,ねじ部材を回転軸に螺合緊締するだけで磁石を定位置に連結することができ,その取り付けが容易になると共に,分解時には,ねじ部材等の紛失を防ぐことができる。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば,ねじ部材の頭部が有する工具係合溝の一部に磁石の一部を食い込ませたので,工具係合溝が磁石の一部を食い込ませるアンカ溝の役割を果たすことになり,簡単な構造により,
工具係合溝に工具係合の機能を残したまま,ねじ部材の頭部と磁石との結合強度を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る回転角度検出装置の縦断面図。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る回転角度検出装置の縦断面図。
【
図4】
図3中の集積磁電変換素子の出力信号特性図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1及び
図2に示す本発明の第1実施形態の説明より始める。先ず
図1において,符号1は,エンジンの吸気系の一部を構成するスロットルボディであり,内部にエンジンの吸気ポート(図示せず)に連通する吸気道1aを有する。このスロットルボディ1には,吸気道1aを横断するように配置される回転軸2が回転自在に支承され,この回転軸2に,吸気道1aを開閉するバタフライ型のスロットル弁3がねじ止めされる。回転軸2の一端部には,これをマニュアル操作するためのスロットルレバー又は自動操作するための電動モータ(何れも図示せず。)が連結され,その他端部には,スロットル弁3の開度を検出する本発明の回転角度検出装置5が接続される。
【0016】
この回転角度検出装置5について,
図1〜
図3により詳細に説明する。
【0017】
スロットルボディ1の両側面には,吸気道1aの半径方向外方に突出する一対の円筒状の軸受ボス6(図には,その一方のみ示す。)が形成され,その軸受ボス6の軸受孔6aによって前記回転軸2が回転自在に支持される。回転軸2には,軸受ボス6の内周面に密接させるシール部材7を装着する環状のシール溝8が形成されている。また軸受ボス6の端面には,軸受孔6aと同軸で,それより大径の環状凹部9が形成されており,この環状凹部9の底面に当接する止環10が回転軸2に係止され,これにより回転軸2の軸方向位置が規制される。
【0018】
回転角度検出装置5は,回転軸2の端部にねじ止めされる回転子12と,軸受ボス6に取り付けられる磁電変換ユニット13とよりなっている。
【0019】
回転子12は,回転軸2の一端面に開口するねじ孔14にそれと同軸状に螺合緊締される非磁性材料製のねじ部材15と,
合成樹脂製の磁石16とからなり,磁石16は,このねじ部材15の頭部15a外周にモールド成形
することにより一体化したものであり,その磁石16は,回転軸2と同軸の環状をなしており,その磁石16は,その頂面がねじ部材15の頭部15aの頂面と略同一高さになるように配置される。また
ねじ部材15の頭部15aの頂面には,ドライバ用の工具係合溝17が形成されており,磁石16のモールド成形時,この工具係合溝17
の一部に前記磁石16の一部が食い込ませて
ある。また前記頭部15aの外周には環状のアンカ突起18が形成されており,それが環状の磁石16の内周面に食い込ませてある。これらによってねじ部材15の頭部15aと磁石16との結合強度が強化される。したがって,工具係合溝17は,
ドライバ用の工具係合の機能を残したまま頭部15aと磁石16との結合強度を強化するアンカ溝の役割を果たす。
【0020】
ねじ部材15を構成する非磁性材料としては,例えばアルミニュームが好適である。また合成樹脂製の磁石16は,磁性粉末をゴムやプラスチック等のバインダ材と混合してなるもので,ねじ部材15の頭部15a外周にモールド成形した後,ねじ部材15を回転軸2に螺合,緊締してから,回転軸2おけるスロットル弁3の取り付け位置を基準にしてN,S極が所定の直径線上に来るように着磁される。
【0021】
磁電変換ユニット13は,絶縁性合成樹脂製で円筒状のパッケージ20と,このパッケージに,その外周面より突出するように一体成形されるカプラ21と,パッケージ20の中心部に埋設される磁電変換素子22と,これら素子の出力信号を外部に取り出すべくカプラ21に保持される複数の信号端子23とよりなっており,磁電変換素子22には,例えばホール素子が使用される。
【0022】
円筒状のパッケージ20の内端面には,前記回転子12を無接触で収容し得る円筒状の収容凹部25と,この収容凹部25を囲むようにして突出する位置決め筒部26と,この位置決め筒部26を囲繞しながらシール部材19を装着する環状のシール溝24とが形成され,またパッケージ20の外周面には複数の耳部27(図には,その一つのみを示す。)が一体に突設される。而して,収容凹部25に回転子12を収めながら位置決め筒部26を軸受ボス6の環状凹部9の内周面に嵌合し,シール部材19を軸受ボス6の端面に密接させた状態で,耳部27のボルト孔28に挿通したボルト29を,軸受ボス6の端面の所定位置に開口するねじ孔30に螺合緊締する。こうして,パッケージ20は,軸受ボス6の端面上の所定定位置に取り付けられる。この取り付け状態において,磁電変換素子22は,回転子12の磁石16の磁界に配置される。
【0023】
而して,スロットル弁3,即ち回転軸2が回転すると,それと共に磁石16を備えた回転子12が回転し,磁電変換素子22周りの磁石16の磁界の方向が変化すると,磁電変換素子22が感受する磁気量が変化するので,磁電変換素子22は,その磁気量に応じた電圧信号を発生し,その電圧信号が,信号端子23に接続される電子制御ユニットに出力され,そこでスロットル弁3の開度に演算され,そのデータは,回転軸2を駆動する電動モータや,エンジンの燃料噴射量,点火時期等の制御に利用される。
【0024】
このような回転角度検出装置5において,回転子12は,回転軸2にそれと同軸状に螺合締結される,非磁性材料製のねじ部材15と,このねじ部材15の頭部15a外周にモールド成形される合成樹脂製の磁石16とで構成されるので,ねじ部材15及び磁石16は一体不可分の単一部品となり,ねじ部材15を回転軸2に螺合緊締するだけで磁石16を定位置に連結することができ,その取り付けが容易になると共に,分解時には,ねじ部材15等の紛失を防ぐことができる。しかも,磁石16の頂面からねじ部材15の頭部15aが突出しないようにできるので,ねじ部材15の頭部15aに干渉されることなく,磁電変換素子22及びそれを埋設するパッケージ20を磁石16に近接することが可能となり,回転角度検出装置5のコンパクト化を図ることができる。またねじ部材15は非磁性材料で構成されるので,磁石16による回転軸2の磁化がねじ部材15によって防ぐことができる。
【0025】
ところで,
図2(A)に示すように,磁電変換素子22の出力電圧は,磁石16の回転角度の変化に応じて正弦波を描くように変化するので,スロットル弁3の全閉から全開に至る90°未満の検出領域では,
図2(B)に示すように,磁電変換素子22の出力電圧のリニアライズされたものがスロットル弁3の開度増加に比例することが要求される。そこで,スロットル弁3の全閉から全開に至る90°未満の検出領域を上記正弦波の上り勾配領域a又は下り勾配領域bに対応させるべく,回転子12の回転軸2への取り付け後,回転
軸2におけるスロットル弁3の取り付け位置を基準にして,磁石16の素材に,その所定の直径線上にN,S極が来るように着磁する。
【0026】
次に,
図3及び
図4に示す本発明の第2実施形態について説明する。
【0027】
この第2実施形態は,
図3に示すように,回転子12において,磁石16を,その頂面がねじ部材15の頭部15aの頂面より高くなるように形成して,頭部15aの上方に磁石16に囲まれる空所31を形成し,この空所31に集積磁電変換素子22′が配置されるようにパッケージ20は形成される。
【0028】
上記集積磁電変換素子22′は,それぞれの検出軸を90°ずらした一対の磁電変換素子と,この両磁電変換素子から得られる出力電圧を磁石16の回転角度の変化に比例する出力電圧にするリニアライザ部(図示せず)とを備えている。この集積磁電変換素子22′における一対の磁電変換素子から得られる正弦波形の出力電圧X,Yは,
図4(A)に示すように,互いに90°ずれており,これら出力電圧X,Yが前記リニアライザ部に入力され,そのリニアライザ部は,上記電圧X,Yに基づいて,
図4(B)に示すように,360°にわたり磁石16の回転角度の変化に比例する出力電圧を出力する。尚,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であるので,
図3中,第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0029】
この第2実施形態によれば,集積磁電変換素子22′が磁石16に囲繞され,その磁界の安定した箇所に配置されることになり,集積磁電変換素子22′から安定した電圧信号を取り出すことができる。しかもその出力電圧を磁石16の回転角度を360°にわたり希望通り検出し得るから,前記第1実施形態のように,スロットル弁3の全閉から全開に至る検出領域を集積磁電変換素子22′の正弦波の上り又は下り勾配領域に対応させるべく磁石2のN,S極が回転軸2の所定の所定の直径線上に来るように磁石2の素材に着磁するといった必要がなくなり,スロットル弁3を支持する回転軸2に回転子12を,またスロットルボディ1に磁電変換ユニット13をそれぞれ取り付ける作業が極めて簡単なものとなる。さらに,ねじ部材15の頭部15aに干渉されることなく,磁石16及び集積磁電変換素子22′が相互に近接することで,第1実施形態と同様に回転角度検出装置5のコンパクト化を図ることができる。
【0030】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
2・・・・・回転軸
12・・・・回転子
15・・・・ねじ部材
15a・・・頭部
16・・・・磁石
17・・・・工具係合溝
22・・・・磁電変換素子
22′・・・磁電変換素子(集積磁電変換素子)