(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置100の一例を示す図である。
図2は本発明の実施形態に係る露光装置100の動作の概念図である。
図3はマーキング部4と塗布部としてのスリットコーター5とフィルム2の正面図である。
図4はマーキング部4とスリットコーター5とフィルム2の斜視図である。
図5はマーキング部4とスリットコーター5と乾燥装置6と露光部7の説明図である。尚、マーキング部4、スリットコーター5、乾燥装置6、露光部7の位置や距離などは図示したものに限られるものではない。
【0014】
本発明の実施形態に係る露光装置100は、液体状の有機溶液を含む配向膜形成材51が塗布される被塗布領域52(配向膜塗布領域)の近傍のマーキング領域に、インクにてアライメントマーク41を形成するマーキング部4と、フィルム2上の被塗布領域52に液体状の有機溶液を含む配向膜形成材51を塗布する塗布部としてのスリットコーター5と、アライメントマーク41と被塗布領域52の配向膜形成材51を乾燥させる乾燥装置6と、アライメントマーク41に基づいて、フォトマスク77とフィルム2上の被露光体としての配向膜形成材51との位置調整を行う露光部7と、を有する。本実施形態では、フィルム2上にアライメントマーク41を形成したのち、スリットコーター5で塗工された配向膜形成材51による溶解でアライメントマーク41がにじむ前に、アライメントマーク41を乾燥させる位置に、乾燥装置6が配置されている。
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る露光装置100の各構成要素を詳細に説明する。
本実施形態においては、
図1に示したように、一例として、FPR方式用偏光フィルムを製造する、ロールトゥロール方式のフィルム製造ライン101に本発明に係る露光装置100を適用した場合について説明するが、この形態に限らず、あらゆる露光装置に適用することができる。
【0016】
図1に示したように、ロールトゥロール方式のフィルムの製造ライン101は、フィルム搬送部15と、前処理部3と、マーキング部4と、塗布部としてのスリットコーター5と、乾燥装置6と、露光部7と、温度調節装置8と、後処理部11と、などを有する。
【0017】
フィルム搬送部15は、フィルム2を一方向に沿って搬送する。フィルム搬送部15は、一対の搬送ロール15a,15b、ローラ9などを有し、各搬送ロール15a,15bは駆動モータなどにより駆動され、フィルム2を搬送する。本実施形態では、フィルム搬送部15の搬送ロール15aと搬送ロール15bの間に、前処理部3と、マーキング部4と、塗布部としてのスリットコーター5と、乾燥装置6と、露光部7と、温度調節装置8と、後処理部11と、などが配置されている。
【0018】
被露光体が塗布されるフィルム2は、
図1に示したように、搬送ロール15aから巻き解かれて前処理部3に供給され、前処理部3にてドライ洗浄および表面改質などの前処理が施された後、マーキング部4によりフォトマスクの位置決めの基準となるアライメントマークが形成され、スリットコーター5によりフィルムの表面に、有機溶液を含む配向膜形成材などの規定材料が塗工され、乾燥装置6により乾燥された後、搬送ローラ12により、露光部7内に供給される。フィルム2は、各装置間をローラ9上に支持されて、その回転により搬送される。
【0019】
露光部7の入り口には、モータにより駆動される搬送ローラなどのフィルム供給部が設けられており、フィルム2を露光部7内で、その長さ方向に沿って搬送するように構成されている。露光部7は、フィルム2上の被露光体にマスクパターンを露光する。露光部7は、アライメントマーク41の位置に基づいて、フォトマスクとフィルム2上の被露光体との位置調整を高精度に行い、マスクパターンを高精度に被露光体の規定位置に露光する。
【0020】
その後、フィルム2は温度調節装置8に供給され、所定温度となるように調整された後、後処理部11にて、保護膜の貼着などの所定の後処理が施された後、ローラ12に巻き取られる。
【0021】
上述したように、本実施形態では、基材としてフィルム2を採用している。フィルム2の形成材料としては、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)などが挙げられる。
【0022】
図2に示したように、フィルム2の基材幅(フィルム幅)は、各加工工程で湿分により変動する。各加工工程におけるフィルム2の基材幅について説明する。
【0023】
詳細には、
図2に示したように、フィルム巻出し時(ST1)、フィルム2の基材幅(搬送方向に直交する方向(幅方向)の長さ)は予め規定された長さである。
【0024】
マーキング部4によるマーキング工程(ST2)では、フィルム2の基材幅は略規定の長さとなっている。この安定状態のフィルム2に、マスクパターンの位置決めの基準となるアライメントマークがマーキング部4により形成される。
【0025】
次に、塗布部としてのスリットコーター5による配向膜塗工工程(ST3)にて、有機溶液を含む配向膜形成材がフィルム2上に塗工されると、フィルム2が僅かに膨張し、フィルム2の基材幅が僅かに大きくなる。
【0026】
乾燥装置6による乾燥工程(ST4)では、基材の湿分が最小値(湿度約0%)となり、フィルム2が収縮し、基材幅が最小値となる。
【0027】
加湿搬送工程(ST5)では、フィルム2が乾燥装置6外に搬送されると、乾燥装置6外の空気中の湿分を吸収し始め、フィルム2の基材幅が増大する。
【0028】
その後、露光部7による追従露光工程(ST6)で、アライメントマークの位置に基づいて、フィルム2の露光体に対してマスク位置を随時補正しながら、追従露光を行う。
【0029】
本実施形態では、追従露光工程(ST6)において、それぞれ異なるマスクパターンを露光する追従露光工程A(ST6a)の次に追従露光工程B(ST6b)を行う。その後、所定処理、例えば、温度調整装置による温度調整工程、後処理工程により規定の幅となる。
【0030】
上記工程ST5からST6において、フィルム2が乾燥装置6外に搬送されると、乾燥装置6外の空気中の湿分を吸収し始め、フィルム2の基材幅が増大し、所定時間経過後、湿度の吸収が飽和して、基材幅が規定の長さとなり安定する。この基材幅の増大の速度や安定状態までの時間などは、製造ラインが設置されている室内の空気中の湿度などに影響される。
【0031】
本発明の実施形態では、マーキング工程ST2において、フィルム2の湿分の安定した状態のときに、追従露光において基準となるアライメントマーク41をフィルム2の規定位置に形成している。このため、乾燥装置6による焼成(ベーク)時や、乾燥装置6による焼成(ベーク)後の環境湿度、基材の湿分の変化により、フィルム2の基材幅が変動した場合であっても、追従露光工程ST6において、そのフィルム2に形成されたアライメントマーク41の位置に基づいて、フィルム2の露光体に対してマスク位置を随時補正しながら容易に、且つ、高精度に追従露光を行うことが可能である。
【0032】
すなわち、フィルム2の湿分に応じて、フィルム2の基材幅が変動する場合であっても、高精度にフィルム2の規定位置に規定のマスクパターンを露光することができる。このため、フィルム2の露光パターンの直線性が良好となる。製造ラインが設置されている室内の湿度が±20%程度変動したとしても、フィルム2の露光パターンの直線性が良好である。
【0033】
図3、
図4、
図5に示したように、フィルム2は搬送ローラにより搬送方向に規定の速度で搬送されている。マーキング部4はフィルム2の上流側に配置され、下流側に塗布部としてのスリットコーター5や露光部7などが配置されている。
【0034】
マーキング部4は、フィルム2が規定の基材幅の時、フィルム2上の所定位置にインクによりアライメントマーク41を形成する。本実施形態では、
図3に示すように、フィルム2上の幅方向の略中央に配向膜形成材が塗布される被塗布領域52が設定されている。アライメントマーク41は、被塗布領域52の近傍で、被塗布領域52とフィルム2の端部との間に形成される。詳細には、アライメントマーク41が、フィルム2の幅方向の端部からフィルム内側に規定距離42だけ離れた位置に形成されるように設定されている。
【0035】
図3に示したように、このアライメントマーク41は、被塗布領域52の幅方向に沿った端部からフィルム中央側に所定距離43だけ離れた位置に形成されている。
本実施形態では、マーキング領域は、被塗布領域52の幅方向に沿った端部からフィルム2の端部までの間の領域(縁部)である。
【0036】
アライメントマーク41の形成位置は、配向膜形成材の被塗布領域52に近いほど、マスクパターンとフィルム2上の被露光体としての配向膜形成材の位置調整の精度が高くなる。
【0037】
本実施形態では、マーキング部4は、フィルム基材20の側部に有色のインクを塗布する。有色のインクとしては、有色の顔料や染料等を含有する液状又はペースト状のインク、有色の光硬化性材料を液状又はペースト状としたインク、などを採用することができる。
好ましくは、乾燥装置6で溶媒成分を揮発させて有色の膜を形成できるインク、例えば、油性インクを採用することができる。
【0038】
また、マーキング部4で用いられるインクとしては、速乾性のインク材料を採用することが好ましい。速乾性のインクを用いることで、配向膜形成材塗工時のインクのにじみを低減することができる。
【0039】
マーキング部4のインクの塗布方式としては、例えば、滴化したインクをフィルムに吹き付ける、いわゆるインクジェット方式、インクを滴下する方式、フェルト質の繊維等により形成された塗布部材にインクを浸透させてこの塗布部材を送給されてくるフィルム2の側部の被露光体を塗布しない領域に接触させる方式、などを採用することができる。
【0040】
アライメントマーク41の形状は、
図4、
図5に示したように、搬送方向に沿って所定間隔で点線状に形成してもよいし、直線状、十字形状など所定形状であってもよい。
【0041】
塗布部としてのスリットコーター5は、表面に所定の材料をフィルムの表面に所定の材料を塗工する。スリットコーター5は、配向膜形成材とその配向膜形成材を溶解する有機溶液との混合液をフィルム2上の被塗布領域52に塗工する。
【0042】
配向膜形成材51としては、公知の配向膜形成用材料、例えば、アゾベンゼン化合物、桂皮酸化合物、ヒドラゾノ−β−ケトエステル化合物、スチルベン化合物、スピロピラン化合物、などが挙げられる。有機溶液としては、アセトンなどを採用することができる。また、有機溶液としては、非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、などを採用することができる。
【0043】
次に、乾燥装置6は、フィルム2、フィルム2上の被露光体としての配向膜形成材51、および、アライメントマーク41を乾燥させる。
【0044】
スリットコーター5により有機溶液を含む配向膜形成材51を被塗布領域52に塗工したとき、例えば、被塗布領域52の近傍に形成されたアライメントマーク41が、上記スリットコーター5により塗布された有機溶液に接触した場合、インクで形成されたアライメントマーク41がにじむ可能性がある。
本発明の実施形態では、有機溶液がアライメントマーク41に接触することによりアライメントマーク41がにじむ前に、乾燥装置6がフィルム2上に形成されたインクのアライメントマーク41および配向膜形成材51を乾燥させる。こうすることで、アライメントマーク41のにじみによるアライメントマーク41の位置の判別不能を防止し、アライメントマーク41の位置に基づいて、マスクとフィルムとの位置調整を高精度に行うことができる。
【0045】
図6は、本発明の実施形態に係る露光装置100の露光部7の一例を示す図である。
露光部7は、光源71と、反射ミラー72,73と、フライアイレンズ(インテグレータ)74と、コンデンサレンズ75と、偏光ビームスプリッタ等の偏光変換素子76と、などを有する。露光部7の各構成要素は、筐体7a内に配置されている。
【0046】
光源71は、例えば、紫外線などを出射する。光源71としては、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、紫外線LEDなどを採用することができる。
【0047】
光源71から出射された光は、反射ミラー72,73により反射され、フライアイレンズ(インテグレータ)74によりその強度を光軸に垂直な面内で均一化される。そして、フライアイレンズ74の透過光がコンデンサレンズ75にて平行光に変換される。
コンデンサレンズ75の透過光は、マスク保持部78により保持されたフォトマスク77のマスクパターン77aに対応した開口を介して、フィルム2上の被露光体としての配向膜形成材51に照射される。
【0048】
本実施形態では、
図5に示したように、フォトマスク77にはフィルム2のスキャン方向である搬送方向に長手方向を有するような光透過領域のパターン(開口)が一定間隔に形成され、詳細には、透過光の照射領域が画素の幅ずつ離隔するように複数本形成されている(光透過領域群)。露光装置100は、光透過領域群に露光光を連続的に照射しながら、フィルム上に形成された被露光体をスキャン方向に移動させることにより、同一の方向に配向した配向膜をスキャン方向に帯状に形成する。
また、本実施形態に係る露光装置100は、帯状に形成された配向膜間の未露光領域に、照射する露光光の偏光方向を変える、または、異なる方向から露光光を照射することで、配向方向が異なる帯状の配向膜を、それらが相互に隣接するようにフィルム2上に形成することができる。
【0049】
例えば、3Dディスプレイ用偏光フィルムを製造する際、露光装置100は、1回目の露光による配向膜の形成領域を3Dディスプレイ装置の画素の幅ごとに隔離するように構成し、2回目に照射する露光光の偏光方向を、隣接する画素となる領域ごとにP偏光およびS偏光の直線偏光にする。尚、フィルム2上の被露光体への露光方法は、上述した形態に限られるものではない。
【0050】
露光装置100は、フィルム搬送方向の下流側にアライメントマーク検出部90が設けられている。アライメントマーク検出部90は、マーキング部4によりフィルム2の縁部に形成したインクによるアライメントマーク41の位置、具体的には、アライメントマーク41のフィルム2の幅方向の位置などを検出する。アライメントマーク検出部90は、フォトマスク77の近傍、且つ、フィルム2の縁部に形成されたアライメントマーク41上に配置されている。また、アライメントマーク検出部90は、CCDカメラなどの撮像装置であり、撮像した画像などを制御装置80に出力する。
【0051】
図7は本発明の実施形態に係る露光装置100の制御装置80の一例を示すブロック図である。制御装置80は、露光装置100の各構成要素を統括的に制御する。
制御装置80は、詳細には、
図7に示したように、制御部81と、演算部82と、記憶部としてのメモリ83と、位置調整部としてのマスクステージ駆動制御部84と、画像処理部85と、モータ駆動制御部86と、光源駆動部87と、などを有する。
【0052】
メモリ83は、RAM、ROM、ハードディスクドライブなどの記憶装置を有し、露光装置100の制御用のプログラムや、各加工工程で用いられる各種データを記憶する。メモリ83は、制御部81によるワークメモリとしても用いられる。
【0053】
制御部81は、メモリ83から読み出した制御用のプログラムを実行することにより、各構成要素を統括的に制御し、露光装置100に本発明に係る機能を実現する。
【0054】
画像処理部85は、アライメントマーク検出部90により撮像されたアライメントマーク41の画像処理を行い、例えば、アライメントマーク41のフィルム幅方向における中心位置を検出する。
【0055】
演算部82は、画像処理部85から出力されたアライメントマーク41の中心位置とフォトマスク77のマスクパターンの開口部との間の距離と、予め規定された距離とのずれ量を算出し、メモリ83に記憶する。また、演算部82は、アライメントマーク41の中心位置と、規定された基準位置とのずれを算出量し、メモリ83に記憶する。
【0056】
マスクステージ駆動制御部84は、制御部81の制御により、露光部7のフォトマスク77を保持するマスクステージとしてのマスク保持部78の移動方向、移動量を制御する。
【0057】
モータ駆動制御部86は、制御部81の制御により、フィルム搬送部15の搬送ロール15bの駆動、停止、回転速度などを制御する。
光源駆動部87は、光源71の点灯、消灯、出力、発振周波数などを制御する。
【0058】
制御部81は、アライメントマーク検出部90、画像処理部85、および演算部82により検出されたアライメントマーク41に基づいて、フォトマスク77と被露光体との位置調整をマスクステージ駆動制御部84(位置調整部)により行う。
【0059】
図8は、インクによるアライメントマーク41の一例を示す図である。詳細には、
図8(a)は、にじみのないアライメントマーク41の一例を示す図、
図8(b)は
図8(a)に示したアライメントマーク41を撮像した画像の画素値を示す図、
図8(c)は僅かににじんだ状態のアライメントマーク41の一例を示す図、
図8(d)は
図8(c)に示したアライメントマーク41を撮像した画像の画素値を示す図、
図8(e)は大きくにじんだ状態のアライメントマーク41の一例を示す図、
図8(f)は
図8(c)に示したアライメントマーク41を撮像した画像の画素値を示す図である。
図8において、横軸は画素値を示し、横軸はY軸方向(フィルム幅方向)の距離を示す。
図9は、アライメントマーク41を撮像した画像のコントラスト(エッジの鮮明度)と搬送方向(X軸方向)への移動距離(移動時間)の一例を示す図である。
【0060】
図8(a)に示したように、フィルム2上に、マーキング部4がインクによりアライメントマーク41を形成した時、撮像部などで撮像して得られる画像は、
図8(b)に示したように、アライメントマーク41の存在する位置では最高画素値PHを示し、それ以外では最低画素値PLを示す。アライメントマーク41のエッジYeが鋭い。
この時、
図9に示したように、最高画素値PHと最低画素値の差であるコントラストは、最大値A
0を示す。アライメントマーク41のY軸方向(フィルム幅方向)に沿った中心位置Yaは、立ち上がりエッジと立下りエッジYeの間の位置とする。
【0061】
図8(c)に示したように、有機溶液を含む配向膜形成材を被塗布領域52に塗工し、有機溶剤によりアライメントマーク41が僅かににじむ場合、撮像部などで撮像して得られる画像は、
図8(d)に示したように、アライメントマーク41の存在する位置では最高画素値PHを示し、エッジ部分が僅かに幅Ydを有し、つまり、エッジ部分の画素値の変化量(Y軸方向に沿った変化量)が小さく、それ以外では最低画素値PLを示す。
エッジ部分の幅Ydは、エッジ部分の最高画素値を示す画素と最高画素値を示す画素との間のY軸方向の距離に相当する。このエッジ部分の幅Ydの逆数などをエッジの鮮明度として用いてもよい。
【0062】
図8(e)に示したように、有機溶剤によりアライメントマーク41が溶解して大きくにじむ場合、撮像部などで撮像して得られる画像は、
図8(f)に示したように、アライメントマーク41の存在する位置の最高画素値PHとそれ以外の位置の最低画素値PLとの差(コントラスト)が小さい。また、アライメントマーク41のエッジ部分の画素値の変化量が非常に小さく、エッジ部分の幅Ydが大きく、エッジの鮮明度が小さい。
このため、アライメントマーク41のY軸方向(フィルム幅方向)に沿った中心位置Yaを特定するのが困難となる。
【0063】
上述したように、本発明に係る乾燥装置6の設置位置は、インクのアライメントマーク41が配向膜形成材による溶解でにじむ前に、アライメントマーク41を乾燥させる位置に配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る乾燥装置6の設置位置は、インクのアライメントマーク41が配向膜形成材による溶解でにじむ場合であっても、アライメントマーク41の中心位置が判別可能な位置であってもよい。
【0064】
詳細には、
図9に示したように、マーキング部4によりインクのアライメントマーク41が形成されたとき、アライメントマーク41のコントラストが最大値A
0を示す。
被塗布領域52に有機溶液を含む配向膜形成材が塗工された直後から所定距離(所定時間)までは、アライメントマーク41のコントラストが最大値A
0である。
その後、有機溶液によりアライメントマーク41のにじみが開始すると、コントラストが徐々に低下する。
乾燥装置6により、フィルム2上のアライメントマーク41および配向膜形成材51に対して、乾燥が完了したとき、アライメントマーク41のコントラストが値A
1を示す。
【0065】
例えば、
図8(e)、
図8(f)に示したように、アライメントマーク41のにじみが非常に大きい、つまり、アライメントマーク41のコントラストが値A
tよりも小さい場合、アライメントマーク41のY軸方向(フィルム幅方向)に沿った中心位置Yaを特定するのが困難となる。
このため、乾燥装置6による乾燥完了時に、アライメントマーク41のコントラストが値A
t以上となるように、乾燥装置6の位置を規定してもよい。
【0066】
すなわち、乾燥装置6は、アライメントマーク41の乾燥完了時に、アライメントマーク41のコントラストが最大値A
0となる位置であってもよいし、アライメントマーク41のコントラストが最大値A
0より小さく、値A
t以上となる位置としてもよい。
【0067】
尚、
図9において縦軸にアライメントマーク41のコントラストを示したが、縦軸にエッジの鮮明度を示してもよい。
【0068】
また、インクにより形成されたアライメントマーク41のにじみの速度は、インクの種類、有機溶液の種類、配向膜形成材の種類、フィルム2の形成材料などにより規定される。
【0069】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る露光装置100は、フィルム2上の被露光体にマスクパターンを露光する。
また、露光装置100は、フィルム2を一方向に沿って搬送するフィルム搬送部15と、フィルム搬送部15に配置され、フィルム2上へ、液体状の有機溶液を含む配向膜形成材51が塗布される被塗布領域52(配向膜塗布領域)の近傍のマーキング領域に、インクにてアライメントマーク41を形成するマーキング部4と、アライメントマーク41が形成されたフィルム2上の被塗布領域52に液体状の有機溶液を含む配向膜形成材を塗布する塗布部としてのスリットコーター5と、フィルム2に形成されたアライメントマーク41と被塗布領域52の配向膜形成材51を乾燥させる乾燥装置6と、乾燥装置6により乾燥されたフィルム上の被露光体としての配向膜形成材51に近接配置されるフォトマスク77と、フォトマスク77のマスクパターン77aの開口を介して光を照射する光照射部としての光源71と、フォトマスク77を保持するマスク保持部78と、アライメントマーク41に基づいて、フォトマスク77と被露光体としての配向膜形成材51との位置調整を行う位置調整部としてのマスクステージ駆動制御部84と、を有する。
乾燥装置6は、アライメントマーク41が配向膜形成材による溶解でにじむ前に、アライメントマーク41を乾燥させる位置に配置されている。
【0070】
このため、本発明によれば、配向膜形成材の被塗布領域の近傍にマスク位置調整用のアライメントマークをインクにより形成した後、被塗布領域に液体状の配向膜形成材を塗布する場合であっても、マスクとフィルム2との位置調整を高精度に行うことができる。
また、本発明によれば、フィルム2に所定のマスクパターンを高精度に被露光体に露光することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態によれば、マーキング部4が有色インクにてアライメントマーク41を形成し、CCDカメラなどのアライメントマーク検出部90により、有色インクにてアライメントマーク41を撮像し、制御部81がアライメントマーク検出部90、画像処理部85、演算部82を介して、アライメントマーク41の位置を検出するので、簡単な構造で、アライメントマーク41の位置を高精度に検出することができる。
【0072】
また、マーキング部4は、黒などの濃色の有色インクにてアライメントマーク41を形成することで、インクのにじみがある場合であっても、アライメントマーク検出部90により、アライメントマーク41の位置を高精度に検出することができる。
また、黒などの濃色の有色インクを採用することで、塗布部としてのスリットコーター5と乾燥装置6との間の距離が比較的長い場合であっても、アライメントマーク検出部90により、アライメントマーク41の位置を高精度に検出することができる。
【0073】
また、速乾性の有色インクを採用することで、マーキング部4とスリットコーター5との間の距離を短く設定することができる。また、マーキング部4と乾燥装置6との間の距離を短く設定することができる。
すなわち、露光装置100を採用したロールトゥロール方式のフィルム製造ラインを小型化することができる。
速乾性の有色インクとしては、例えば、具体的には、マジックインク、MK−10(キーエンス社製)、などを挙げることができる。
【0074】
上記実施形態では有色インクを採用したが、この形態に限られるものではなく、例えば、紫外線非照射時に無色で、紫外線を照射すると発色する紫外線発色インクを採用してもよい。
【0075】
また、本発明の実施形態では、乾燥装置6は、アライメントマーク41の乾燥完了時に、アライメントマーク41のコントラスト(エッジの鮮明度)が最大値A
0となる位置に設けたが、アライメントマーク41のコントラストが最大値A
0より小さく、値A
t以上となる位置に乾燥装置6を設けてもよい。
こうすることで、有機溶液によりアライメントマーク41ににじみが生じた場合であっても、制御部81はアライメントマーク41の位置を特定することができる。すなわち、マスクとフィルム2との位置調整を高精度に行うことができる。
【0076】
また、本発明の実施形態では、マーキング工程ST2において、フィルム2の湿分の安定した状態のときに、追従露光において基準となるアライメントマーク41をフィルム2の規定位置に形成している。このため、乾燥装置6による焼成(ベーク)時や、乾燥装置6による焼成(ベーク)後の環境湿度、基材の湿分の変化により、フィルム2の基材幅が変動した場合であっても、追従露光工程ST6において、そのフィルム2に形成されたアライメントマーク41の位置に基づいて、フィルム2の露光体に対してマスク位置を随時補正しながら容易に、且つ、高精度に追従露光を行うことが可能である。
【0077】
また、上記実施形態では、フィルム2の幅方向片側の縁部にアライメントマーク41を設けたが、この形態に限られるものではなく、フィルム2の両側の縁部にアライメントマーク41を設けてもよい。
【0078】
また、本発明の実施形態では、マーキング部4がインクをフィルム2に塗布することでマーキングを行ったが、この形態に限られるものではない。例えば、マーキング部4は、速乾性の有色インクを連続して帯状に、フィルム2の規定位置に塗布し、且つ、レーザ装置から出射したレーザー光で、フィルム2の上記規定位置を加工することで、上記マーキングを行ってもよい。こうすることで、容易に(低エネルギーで)マーキングを形成することができ、エッジの判別も容易となる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。