【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1を表した回路図である。3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7とを、電源側正極選択器2と電源側負極選択器3とリアクトル8と負荷側正極選択器4と負荷側負極選択器5と負荷コンデンサ6とを介して接続することで、3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との間で双方向に電力を変換することができる。
【0014】
電源側正極選択器2は、スイッチング素子にコンデンサを並列接続しダイオードを逆並列接続したスナバ付きスイッチを2つ逆向きに直列接続したスナバ付き双方向スイッチを3つ有する。該3つのスナバ付き双方向スイッチの端子は、3相交流電圧源1のR相端子、S相端子、T相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相交流電圧源1と接続されていない端子は、短絡接続されて電源側正極選択器2の正極端子となる。
【0015】
電源側正極選択器2の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相交流電圧源1側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
RP、Q
SP、Q
TPと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが正極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
PR、Q
PS、Q
PTと称する。電源側正極選択器2は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相交流電圧源1の3つの相電圧の中から1つを選択して正極端子と導通させることができる。
【0016】
同様に電源側負極選択器3は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相交流電圧源1の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相交流電圧源1に接続されていない各端子は短絡接続されて電源側負極選択器3の負極端子となる。
【0017】
電源側負極選択器3の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相交流電圧源1側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
RN、Q
SN、Q
TNと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが負極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
NR、Q
NS、Q
NTと称する。電源側負極選択器3は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相交流電圧源1の3つの相電圧の中から1つを選択して負極端子と導通させることができる。
【0018】
同様に負荷側正極選択器4は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相誘導性負荷7のU相、V相、W相の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相誘導性負荷7に接続されていない各端子は短絡接続されて負荷側正極選択器4の正極端子となる。
【0019】
負荷側正極選択器4の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相誘導性負荷7に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
UP、Q
VP、Q
WPと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが正極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
PU、Q
PV、Q
PWと称する。負荷側正極選択器4は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相誘導性負荷7の3つの相電圧の中から1つを選択して正極端子と導通させることができる。
【0020】
同様に負荷側負極選択器5は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相誘導性負荷7のU相、V相、W相の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相誘導性負荷7に接続されていない各端子は短絡接続されて負荷側負極選択器5の負極端子となる。
【0021】
負荷側負極選択器5の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相誘導性負荷7に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
UN、Q
VN、Q
WNと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが負極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQ
NU、Q
NV、Q
NWと称する。負荷側負極選択器5は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相誘導性負荷7の3つの相電圧の中から1つを選択して負極端子と導通させることができる。
【0022】
負荷コンデンサ6は、3相誘導性負荷7の各相間に挿入されたコンデンサ群であり、
図1に示されるようにY結線でもいいし、Δ結線でもよい。
【0023】
3相交流電圧源1の各相電圧において、例えばR相電圧V
RがS相電圧V
Sより正の方向に大きい場合を想定する。電源側負極選択器3の負極端子からみた電源側正極選択器2の正極端子の電位であるV
1をV
R−V
Sとしようとすると、Q
RPとQ
PRとQ
SNとQ
NSをオンし、電源側負極選択器3と電源側正極選択器2のその他のスナバ付きスイッチはオフすればよい。この状態からV
1=0とするためには、例えばQ
RPとQ
PRをターンオフしてQ
SPとQ
PSをターンオンすればよい。その手順を以下に示す。なおこの時にリアクトル8に流れる電流の向きは電源側正極選択器2の正極端子から負荷側正極選択器4の正極端子に向かう方向を正とした場合に正の向きとする。V
1=V
R−V
Sの状態において、Q
RPとQ
PRとQ
SPに並列接続された各コンデンサの電圧は0であり、Q
PSに並列接続された電圧はV
1となっている。よってまずQ
SPをターンオンするが、これは0電圧で0電流でのターンオンとなる。次にQ
RPをターンオフさせる。するとQ
RPに並列接続されたコンデンサがリアクトル電流によって徐々に充電されるのでQ
RPの両端電圧が急峻に上昇することがなく、このQ
RPのターンオフ動作も0電圧での動作となる。Q
RPに並列接続されたコンデンサが充電されると同時にQ
PS並列コンデンサは放電され、Q
PS並列コンデンサ電圧が0となるとQ
RP並列コンデンサの充電が終了して、リアクトル8の電流は全てQ
SPとQ
PSのダイオードを流れるようになる。Q
RPのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQ
PSをターンオンし、Q
PRをターンオフする。このQ
PSをターンオンは、Q
PSの逆並列ダイオードに電流が流れている状態でのターンオンなので、0電流かつ0電圧でのターンオンとなる。またQ
PRのターンオフは、電流が流れていない状態でのターンオフなので0電流でのターンオフとなる。
【0024】
次にV
1=V
S−V
Rとなるように、Q
SNとQ
NSをターンオフしてQ
RNとQ
NRをターンオンする場合を説明する。この場合もリアクトル8の電流は正の向きとする。スイッチングする前は、Q
SNとQ
NSとQ
NRに並列接続されたコンデンサの電圧は0であり、Q
RNに並列接続されたコンデンサの電圧はV
R−V
Sである。まずQ
NRをターンオンするが、これによってQ
NRに電流は流れないので、0電圧で0電流のターンオンとなる。次にQ
NSをターンオフする。するとリアクトル8の電流によってQ
NS並列コンデンサが充電され同時にQ
RN並列コンデンサが放電される。Q
RN並列コンデンサ電圧が0となった後は、リアクトル8の電流はQ
NRとQ
RNの逆並列ダイオードに流れるようになる。Q
NSのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQ
RNをターンオンして、Q
SNをターンオフする。この時Q
RNは0電流0電圧でのターンオンとなり、Q
SNは0電流でのターンオフとなる。
【0025】
次にV
1=0となるように、Q
SPとQ
PSをターンオフしてQ
RPとQ
PRをターンオンする場合を説明する。この場合はリアクトル8の電流は負の向きとする。スイッチングする前は、Q
SPとQ
PSとQ
PRに並列接続されたコンデンサの電圧は0であり、Q
RPに並列接続されたコンデンサの電圧はV
R−V
Sである。まずQ
PRをターンオンするが、これによってQ
PRに電流は流れないので、0電圧で0電流のターンオンとなる。次にQ
PSをターンオフする。するとリアクトル8の電流によってQ
PS並列コンデンサが充電され同時にQ
RP並列コンデンサが放電される。Q
RP並列コンデンサ電圧が0となった後は、リアクトル8の電流はQ
PRとQ
RPの逆並列ダイオードに流れるようになる。Q
PSのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQ
RPをターンオンして、Q
SPをターンオフする。この時Q
RPは0電流0電圧でのターンオンとなり、Q
SPは0電流でのターンオフとなる。
【0026】
次にV
1=V
R−V
Sとなるように、Q
RNとQ
NRをターンオフしてQ
SNとQ
NSをターンオンする。この場合もリアクトル8の電流は負の向きとすれば、全てのターンオンとターンオフのスイッチングにおいて、0電圧や0電流のスイッチングとなる。
【0027】
つまり、V
1の電圧を正の方から負の方へスイッチングする場合はリアクトル8の電流が正であれば、そのスイッチングを0電圧や0電流でのソフトスイッチングとすることができ、V1の電圧を負の方から正の方へスイッチングする場合にリアクトル8の電流が負であればソフトスイッチングとすることができる。
【0028】
同様に、負荷側負極選択器5の負極端子からみた負荷側正極選択器4の正極端子の電位であるV
2の電圧を正の方から負の方向へスイッチングする場合は、リアクトル8の電流が負で、V2の電圧を負の方から正の方へスイッチングする場合は、リアクトル8の電流が正であれば、負荷側正極選択器4や負荷側負極選択器5の各スナバ付きスイッチのスイッチングをソフトスイッチングとすることができる。
【0029】
図5は、V
1とV
2とリアクトル8の電流Iの波形例を示している。ここでE
1は、3相交流電圧源1の選択された2相間の電位差であり、E
2は3相誘導性負荷7の選択された2相間の電位差である。V
1は0電圧を介して幅γのE
1と−E
1を繰り返し、V2は0電圧を介して幅γのE
2と−E
2を繰り返す波形となっている。またV
2はV
1よりも(π−δ)だけ遅れている。V
1が0電圧からE
1に変化する時点のリアクトル8の電流IをI
1とし、V
2が−E
2から0電圧になる時点のIをI
2とし、V
2が0からE
2になる時点のIをI
3とし、V
1がE
1から0になる時点のIをI
4とすると、I
1〜I
4は式(1)〜(4)で表される。また3相交流電圧源1から3相誘導性負荷7へ転送される電力は式(5)で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】
【数4】
【0034】
【数5】
【0035】
ここで、角周波数ω=2πfでありfはスイッチング周波数、Lはリアクトル8のインダクタンスである。式(5)より伝送電力Pはδを使って制御できることが分かるので、δは伝送電力Pの制御角として使用することができる。
【0036】
ソフトスイッチングを行う為には、I
1<−I
min、I
2>I
min、I
3>I
min、I
4>I
minである必要がある。ここでI
minは、スイッチング素子がターンオフしてからデッドタイムに相当する所定時間でスイッチング素子に並列接続されているコンデンサの充放電が完了するための最小電流である。つまり|I
1|>I
min、|I
2|>I
min、|I
3|>I
min、|I
4|>I
minであればよく、|I
3|や|I
4|は|I
1|や|I
2|よりも大きいので、|I
1|>I
min、|I
2|>I
minを満たせばいいことになる。すると式(1)や式(2)より式(6)が導き出され、γとδの関係を式(7)で表すことができる。ここでβは式(8)であり、Gは式(9)となる。
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
つまり、γとδの関係を式(7)とすることで、電源側正極選択器2や電源側負極選択器3や負荷側正極選択器4や負荷側負極選択器5のスナバ付きスイッチのスイッチングにおいて、0電流や0電圧のスイッチングであるソフトスイッチングとすることができる。よって電磁波ノイズが抑制され、スイッチング損失も低減できる。