特許第5963197号(P5963197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963197
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】交流交流双方向電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/297 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H02M5/297
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-186252(P2012-186252)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-45566(P2014-45566A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大森 洋一
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−007065(JP,A)
【文献】 特開2010−220303(JP,A)
【文献】 特開2012−019645(JP,A)
【文献】 特開2001−298953(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0292697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/297
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電圧源と3相誘導性負荷との間で双方向に電力を転送する電力変換器であって、
スイッチング素子にコンデンサを並列接続しダイオードを逆並列接続したスナバ付きスイッチを2つ逆向きに直列接続したスナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相交流電圧源の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して正極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相交流電圧源の1つの相を該正極端子と導通状態とすることができる電源側正極選択器と、
前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相交流電圧源の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して負極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相交流電圧源の1つの相を該負極端子と導通状態とすることができる電源側負極選択器と、
前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相誘導性負荷の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して正極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相誘導性負荷の1つの相を該正極端子と導通状態とすることができる負荷側正極選択器と、
前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相誘導性負荷の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して負極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相誘導性負荷の1つの相を該負極端子と導通状態とすることができ、該負極端子を前記電源側負極選択器の負極端子に接続された負荷側負極選択器と、
前記3相誘導性負荷の各相間に挿入されたコンデンサによる負荷コンデンサと、
前記電源側正極選択器の正極端子と前記負荷側正極選択器の正極端子との間に接続されたインダクタとで構成され、
前記電源側負極選択器の負極端子からみた前記電源側正極選択器の正極端子の電圧波形である1次電圧波形が0電圧を介して位相γの幅の正と負の電圧となるように前記電源側正極選択器と前記電源側負極選択器の各スナバ付き双方向スイッチがスイッチングされ、
前記負荷側負極選択器の負極端子からみた前記負荷側正極選択器の正極端子の電圧波形である2次電圧波形が前記1次電圧波形より位相が(180度−制御角δ)だけ遅れて、0電圧を介して位相γの幅の正と負の電圧となるように前記負荷側正極選択器と前記負荷側負極選択器の各スナバ付き双方向スイッチがスイッチングされることを特徴とする交流交流双方向電力変換器。
【請求項2】
前記インダクタを2つに分割してその間をトランスで接続することを特徴とする請求項1記載の交流交流双方向電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相交流電圧源と誘導電動機のような3相誘導性負荷との間の双方向の電力変換を行う交流交流双方向電力変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3相交流電圧源と誘導電動機のような3相誘導性負荷との間で双方向に電力を変換する変換器の従来の一例を図3に示す。PWMコンバータ10は、交流リアクトル9を介して直流部コンデンサ85と3相交流電圧源1とに接続されて、直流部コンデンサ85と3相交流電圧源間で双方向に電力を変換することができる。同様にPWMインバータ11は、直流部コンデンサ85と3相誘導性負荷7に接続されて、直流部コンデンサ85と3相誘導性負荷7間で双方向に電力を変換することができる。従って図3の構成によって、3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との間で直流部コンデンサ85を介して双方向に電力を変換することができる。
【0003】
3相交流電圧源と誘導電動機のような3相誘導性負荷との間で双方向に電力を変換する変換器の従来の他の一例であるマトリクスコンバータを図4に示す。スイッチング素子とダイオードが逆並列接続されたものを2個直列に接続して双方向に導通をオンオフできる双方向スイッチが構成され、相選択器12は該双方向スイッチを3つ使って3相交流電圧源1の各相の1つを選択して出力と導通させる。相選択器13と相選択器14も同様に交流電圧源1の1つの相を選択して出力と導通させる。相選択器12〜14の各出力は、3相誘導性負荷7に接続されているため、相選択器12〜14で選択された3相交流電圧源の相電圧が3相誘導性負荷7に印加されることになる。よって、相選択器12〜14は双方向に電流を流すことができるため、相選択器12〜14で構成されるマトリクスコンバータは3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との間で双方向に電力を変換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−94267号公報
【特許文献2】特開2005−102387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3に示されたPWMコンバータ10やPWMインバータ11、および図4に示された相選択器12〜14から成るマトリックスコンバータの各スイッチング素子は、任意のタイミングでスイッチングするため、スイッチング動作をする際に必ずしもスイッチング素子に流れている電流が0であったり、スイッチング素子の両端の電圧が0であったりしない。つまりハードスイッチングとなってしまうので、スイッチング時点において回路内の電流や電圧の時間的変化率が非常に大きくなり、スイッチングに伴う大きな電磁波ノイズが発生してしまうことが問題である。また大きなスイッチング損失もある。
【0006】
また図3図4の従来技術において、3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との電気的絶縁が必要な場合、3相交流電圧源1の出力にトランスを挿入することが考えられるが、このトランスは3相交流電圧源1の周波数で一般的には50または60Hzのような低周波数対応となるので、体積及び重量が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するために、3相交流電圧源と3相誘導性負荷との間で双方向に電力を転送する電力変換器であって、スイッチング素子にコンデンサを並列接続しダイオードを逆並列接続したスナバ付きスイッチを2つ逆向きに直列接続したスナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を3相交流電圧源の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して正極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相交流電圧源の1つの相を該正極端子と導通状態とすることができる電源側正極選択器と、前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相交流電圧源の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して負極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相交流電圧源の1つの相を該負極端子と導通状態とすることができる電源側負極選択器と、前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相誘導性負荷の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して正極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相誘導性負荷の1つの相を該正極端子と導通状態とすることができる負荷側正極選択器と、前記スナバ付き双方向スイッチを3つ有し、該3つのスナバ付き双方向スイッチの3つの端子を前記3相誘導性負荷の各相に接続し、残りの3つの端子を短絡接続して負極端子とした構成で、該3つのスナバ付き双方向スイッチの中の1つをオンすることで前記3相誘導性負荷の1つの相を該負極端子と導通状態とすることができ、該負極端子を前記電源側負極選択器の負極端子に接続された負荷側負極選択器と、前記3相誘導性負荷の各相間に挿入されたコンデンサによる負荷コンデンサと、前記電源側正極選択器の正極端子と前記負荷側正極選択器の正極端子との間に接続されたインダクタとで構成され、前記電源側負極選択器の負極端子からみた前記電源側正極選択器の正極端子の電圧波形である1次電圧波形が0電圧を介して位相γの幅の正と負の電圧となるように前記電源側正極選択器と前記電源側負極選択器の各スナバ付き双方向スイッチがスイッチングされ、前記負荷側負極選択器の負極端子からみた前記負荷側正極選択器の正極端子の電圧波形である2次電圧波形が前記1次電圧波形より位相が(180度−制御角δ)だけ遅れて、0電圧を介して位相γの幅の正と負の電圧となるように前記負荷側正極選択器と前記負荷側負極選択器の各スナバ付き双方向スイッチをスイッチングする。
【0008】
また前記インダクタを2つに分割してその間をトランスで接続する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、各スイッチング素子がターンオフする際は、該スイッチング素子に並列接続されたコンデンサによりdV/dtが小さく抑制されるため、電磁波ノイズの発生を抑制できる。また0電圧スイッチングとなるのでスイッチング損失を大きく低減できる。また各スイッチング素子のターンオンは、必ず該スイッチング素子の逆並列に接続されたダイオードに電流が流れている時に行われるので、0電流スイッチングとなり、電磁波ノイズとスイッチング損失を0とすることができる。
【0010】
また3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7とを電気的に絶縁するために挿入されたトランスには、スイッチング周波数と同じ高い周波数の交流電流が流れるため、該トランスの体積や重量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1を表した回路図である。
図2】本発明の実施例2を表した回路図である。
図3】従来のPWMコンバートとインバータによる交流交流双方向電力変換器の例を表した図である。
図4】従来のマトリックスコンバータによる交流交流双方向電力変換器の例を表した図である。
図5】本発明実施例1および実施例2の各部電圧と電流の波形例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を表した図1図2に基づいて、各実施例について以下で詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1を表した回路図である。3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7とを、電源側正極選択器2と電源側負極選択器3とリアクトル8と負荷側正極選択器4と負荷側負極選択器5と負荷コンデンサ6とを介して接続することで、3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との間で双方向に電力を変換することができる。
【0014】
電源側正極選択器2は、スイッチング素子にコンデンサを並列接続しダイオードを逆並列接続したスナバ付きスイッチを2つ逆向きに直列接続したスナバ付き双方向スイッチを3つ有する。該3つのスナバ付き双方向スイッチの端子は、3相交流電圧源1のR相端子、S相端子、T相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相交流電圧源1と接続されていない端子は、短絡接続されて電源側正極選択器2の正極端子となる。
【0015】
電源側正極選択器2の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相交流電圧源1側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQRP、QSP、QTPと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが正極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQPR、QPS、QPTと称する。電源側正極選択器2は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相交流電圧源1の3つの相電圧の中から1つを選択して正極端子と導通させることができる。
【0016】
同様に電源側負極選択器3は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相交流電圧源1の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相交流電圧源1に接続されていない各端子は短絡接続されて電源側負極選択器3の負極端子となる。
【0017】
電源側負極選択器3の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相交流電圧源1側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQRN、QSN、QTNと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが負極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQNR、QNS、QNTと称する。電源側負極選択器3は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相交流電圧源1の3つの相電圧の中から1つを選択して負極端子と導通させることができる。
【0018】
同様に負荷側正極選択器4は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相誘導性負荷7のU相、V相、W相の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相誘導性負荷7に接続されていない各端子は短絡接続されて負荷側正極選択器4の正極端子となる。
【0019】
負荷側正極選択器4の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相誘導性負荷7に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQUP、QVP、QWPと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが正極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQPU、QPV、QPWと称する。負荷側正極選択器4は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相誘導性負荷7の3つの相電圧の中から1つを選択して正極端子と導通させることができる。
【0020】
同様に負荷側負極選択器5は、3つのスナバ付き双方向スイッチによって構成され、該3つのスナバ付き双方向スイッチの各端子は3相誘導性負荷7のU相、V相、W相の各相端子に接続される。また該3つのスナバ付き双方向スイッチの3相誘導性負荷7に接続されていない各端子は短絡接続されて負荷側負極選択器5の負極端子となる。
【0021】
負荷側負極選択器5の3つのスナバ付き双方向スイッチにおいて、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが3相誘導性負荷7に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQUN、QVN、QWNと称し、スナバ付きスイッチのダイオードのカソードが負極端子側に向いているスナバ付きスイッチをそれぞれQNU、QNV、QNWと称する。負荷側負極選択器5は、3つのスナバ付き双方向スイッチの1つだけをオンさせることで3相誘導性負荷7の3つの相電圧の中から1つを選択して負極端子と導通させることができる。
【0022】
負荷コンデンサ6は、3相誘導性負荷7の各相間に挿入されたコンデンサ群であり、図1に示されるようにY結線でもいいし、Δ結線でもよい。
【0023】
3相交流電圧源1の各相電圧において、例えばR相電圧VがS相電圧Vより正の方向に大きい場合を想定する。電源側負極選択器3の負極端子からみた電源側正極選択器2の正極端子の電位であるVをV−Vとしようとすると、QRPとQPRとQSNとQNSをオンし、電源側負極選択器3と電源側正極選択器2のその他のスナバ付きスイッチはオフすればよい。この状態からV=0とするためには、例えばQRPとQPRをターンオフしてQSPとQPSをターンオンすればよい。その手順を以下に示す。なおこの時にリアクトル8に流れる電流の向きは電源側正極選択器2の正極端子から負荷側正極選択器4の正極端子に向かう方向を正とした場合に正の向きとする。V=V−Vの状態において、QRPとQPRとQSPに並列接続された各コンデンサの電圧は0であり、QPSに並列接続された電圧はVとなっている。よってまずQSPをターンオンするが、これは0電圧で0電流でのターンオンとなる。次にQRPをターンオフさせる。するとQRPに並列接続されたコンデンサがリアクトル電流によって徐々に充電されるのでQRPの両端電圧が急峻に上昇することがなく、このQRPのターンオフ動作も0電圧での動作となる。QRPに並列接続されたコンデンサが充電されると同時にQPS並列コンデンサは放電され、QPS並列コンデンサ電圧が0となるとQRP並列コンデンサの充電が終了して、リアクトル8の電流は全てQSPとQPSのダイオードを流れるようになる。QRPのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQPSをターンオンし、QPRをターンオフする。このQPSをターンオンは、QPSの逆並列ダイオードに電流が流れている状態でのターンオンなので、0電流かつ0電圧でのターンオンとなる。またQPRのターンオフは、電流が流れていない状態でのターンオフなので0電流でのターンオフとなる。
【0024】
次にV=V−Vとなるように、QSNとQNSをターンオフしてQRNとQNRをターンオンする場合を説明する。この場合もリアクトル8の電流は正の向きとする。スイッチングする前は、QSNとQNSとQNRに並列接続されたコンデンサの電圧は0であり、QRNに並列接続されたコンデンサの電圧はV−Vである。まずQNRをターンオンするが、これによってQNRに電流は流れないので、0電圧で0電流のターンオンとなる。次にQNSをターンオフする。するとリアクトル8の電流によってQNS並列コンデンサが充電され同時にQRN並列コンデンサが放電される。QRN並列コンデンサ電圧が0となった後は、リアクトル8の電流はQNRとQRNの逆並列ダイオードに流れるようになる。QNSのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQRNをターンオンして、QSNをターンオフする。この時QRNは0電流0電圧でのターンオンとなり、QSNは0電流でのターンオフとなる。
【0025】
次にV=0となるように、QSPとQPSをターンオフしてQRPとQPRをターンオンする場合を説明する。この場合はリアクトル8の電流は負の向きとする。スイッチングする前は、QSPとQPSとQPRに並列接続されたコンデンサの電圧は0であり、QRPに並列接続されたコンデンサの電圧はV−Vである。まずQPRをターンオンするが、これによってQPRに電流は流れないので、0電圧で0電流のターンオンとなる。次にQPSをターンオフする。するとリアクトル8の電流によってQPS並列コンデンサが充電され同時にQRP並列コンデンサが放電される。QRP並列コンデンサ電圧が0となった後は、リアクトル8の電流はQPRとQRPの逆並列ダイオードに流れるようになる。QPSのターンオフから所定デッドタイム時間経過後にQRPをターンオンして、QSPをターンオフする。この時QRPは0電流0電圧でのターンオンとなり、QSPは0電流でのターンオフとなる。
【0026】
次にV=V−Vとなるように、QRNとQNRをターンオフしてQSNとQNSをターンオンする。この場合もリアクトル8の電流は負の向きとすれば、全てのターンオンとターンオフのスイッチングにおいて、0電圧や0電流のスイッチングとなる。
【0027】
つまり、Vの電圧を正の方から負の方へスイッチングする場合はリアクトル8の電流が正であれば、そのスイッチングを0電圧や0電流でのソフトスイッチングとすることができ、V1の電圧を負の方から正の方へスイッチングする場合にリアクトル8の電流が負であればソフトスイッチングとすることができる。
【0028】
同様に、負荷側負極選択器5の負極端子からみた負荷側正極選択器4の正極端子の電位であるVの電圧を正の方から負の方向へスイッチングする場合は、リアクトル8の電流が負で、V2の電圧を負の方から正の方へスイッチングする場合は、リアクトル8の電流が正であれば、負荷側正極選択器4や負荷側負極選択器5の各スナバ付きスイッチのスイッチングをソフトスイッチングとすることができる。
【0029】
図5は、VとVとリアクトル8の電流Iの波形例を示している。ここでEは、3相交流電圧源1の選択された2相間の電位差であり、Eは3相誘導性負荷7の選択された2相間の電位差である。Vは0電圧を介して幅γのEと−Eを繰り返し、V2は0電圧を介して幅γのEと−Eを繰り返す波形となっている。またVはVよりも(π−δ)だけ遅れている。Vが0電圧からEに変化する時点のリアクトル8の電流IをIとし、Vが−Eから0電圧になる時点のIをIとし、Vが0からEになる時点のIをIとし、VがEから0になる時点のIをIとすると、I〜Iは式(1)〜(4)で表される。また3相交流電圧源1から3相誘導性負荷7へ転送される電力は式(5)で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】
【数4】
【0034】
【数5】
【0035】
ここで、角周波数ω=2πfでありfはスイッチング周波数、Lはリアクトル8のインダクタンスである。式(5)より伝送電力Pはδを使って制御できることが分かるので、δは伝送電力Pの制御角として使用することができる。
【0036】
ソフトスイッチングを行う為には、I<−Imin、I>Imin、I>Imin、I>Iminである必要がある。ここでIminは、スイッチング素子がターンオフしてからデッドタイムに相当する所定時間でスイッチング素子に並列接続されているコンデンサの充放電が完了するための最小電流である。つまり|I|>Imin、|I|>Imin、|I|>Imin、|I|>Iminであればよく、|I|や|I|は|I|や|I|よりも大きいので、|I|>Imin、|I|>Iminを満たせばいいことになる。すると式(1)や式(2)より式(6)が導き出され、γとδの関係を式(7)で表すことができる。ここでβは式(8)であり、Gは式(9)となる。
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
つまり、γとδの関係を式(7)とすることで、電源側正極選択器2や電源側負極選択器3や負荷側正極選択器4や負荷側負極選択器5のスナバ付きスイッチのスイッチングにおいて、0電流や0電圧のスイッチングであるソフトスイッチングとすることができる。よって電磁波ノイズが抑制され、スイッチング損失も低減できる。
【実施例2】
【0042】
図2は、本発明の実施例2を表した回路図である。図1と異なる点は、リアクトル8がリアクトル81とリアクトル82に分かれて、その間にトランス20が挿入されていることである。動作は図1の場合と同じであるがトランスを使うことで3相交流電圧源1と3相誘導性負荷7との電気的絶縁が可能となる。またソフトスイッチングとなるために高いスイッチング周波数とすることができるのでトランス20の周波数を高くすることができ、トランスの小型化と軽量化が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
交流電圧間の電力転送は、例えば電力回生有りのモータドライブシステムや風力発電と系統との連系システム、また50Hz系統と60Hz系統の電力交換にも使われ、本発明をこれらのシステムに適用することで、スイッチング損失低減による高効率化や、高周波数化によるリアクトル等の小型化での装置の小型化を図れる。また高周波トランスを用いることで装置を大型化することなくシステムの安全性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 3相交流電圧源
2 電源側正極選択器
3 電源側負極選択器
4 負荷側正極選択器
5 負荷側負極選択器
6 負荷コンデンサ
7 3相誘導性負荷
8、81、82 リアクトル
20 トランス
9 交流リアクトル
10 PWMコンバータ
11 PWMインバータ
85 直流部コンデンサ
12、13、14 相選択器
図1
図2
図3
図4
図5