(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御基体(5)に,バルブガイド孔(7)と,このバルブガイド孔(7)の内側面に開口し,前記バルブガイド孔(7)を通してエンジンの吸気が通過する計量孔(10)とを形成し,前記バルブガイド孔(7)には,前記計量孔(10)を開閉する制御バルブ(12)を摺動自在且つ回転不能に嵌装し,この制御バルブ(12)に,これを開閉駆動すべく,前記制御基体(5)に取り付けられる電動モータ(20)の正逆転可能の出力軸(20b)をねじ機構(25)を介して連結してなり,前記ねじ機構(25)が,前記制御バルブ(12)の中空部に回転不能に収容されて,前記制御バルブ(12)の軸方向一端部に設けられる当接部(12c)に当接するスライドピース(27)と,前記出力軸(20b)に連設され,前記スライドピース(27)に前記制御バルブ(12)の摺動方向に沿って設けられたねじ孔(28)に螺合するねじ軸(29)とで構成され,前記スライドピース(27)及び前記制御バルブ(12)間に,前記当接部(12c)を前記スライドピース(27)との当接位置に保持するコイルスプリング(33)を縮設した,エンジンの吸気量制御装置において,
前記スライドピース(27)に設けられる前記ねじ孔(28)を,行き止まり部(28a)を有する袋状に形成すると共に,前記行き止まり部(28a)の近傍で前記ねじ孔(28)を該スライドピース(27)の外周面に開放する横孔(30)を設け,
前記コイルスプリング(33)を前記スライドピース(27)の外周を囲繞するように配置し,このコイルスプリング(33)を,前記横孔(30)を閉鎖するように前記スライドピース(27)の外周面に嵌合しながら該スライドピース(27)に端部を支承される密着巻き部(33a)と,この密着巻き部(33a)よりも大径で前記制御バルブ(12)に支承される大径端部(33b1)を有するスプリング部(33b)とで構成したことを特徴とする,エンジンの吸気量制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載のエンジンの吸気量制御装置では,ねじ機構のねじ孔をスライドピースに貫通孔として設け,ねじ孔の加工時に発生する切粉をねじ孔の先端開口部から排出するようにしている。ところが,こうしたものでは,エンジンの運転中,バックファイヤガスに含まれる煤等のダストがねじ孔に,その先端開口部から入り込み,ねじ孔及びねじ軸の螺合部に侵入してねじ機構の円滑な作動を妨げることがある。そこで,上記特許文献1のものでは,スライドピースの先端部に,ねじ孔を横断する一対のスプリングピンを装着し,その間に,ねじ孔を封緘するグリースを充填しているが,その構造は,部品点数が多い上,組立性が良好とは言えない。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ねじ機構のねじ孔からの切粉の排出が容易であり,しかも部品点数及び組立工数を増やすことなく,ねじ孔へのダストの侵入を防ぎ,ねじ機構の作動を常に良好に維持し得るようにした前記エンジンの吸気量制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,制御基体に,バルブガイド孔と,このバルブガイド孔の内側面に開口し,前記バルブガイド孔を通してエンジンの吸気が通過する計量孔とを形成し,前記バルブガイド孔には,前記計量孔を開閉する制御バルブを摺動自在且つ回転不能に嵌装し,この制御バルブに,これを開閉駆動すべく,前記制御基体に取り付けられる電動モータの正逆転可能の出力軸をねじ機構を介して連結してなり,前記ねじ機構が,前記制御バルブの中空部に回転不能に収容されて,前記制御バルブの軸方向一端部に設けられる当接部に当接するスライドピースと,前記出力軸に連設され,前記スライドピースに前記制御バルブの摺動方向に沿って設けられたねじ孔に螺合するねじ軸とで構成され,前記スライドピース及び前記制御バルブ間に,前記当接部を前記スライドピースとの当接位置に保持するコイルスプリングを縮設した,エンジンの吸気量制御装置において,前記スライドピースに設けられる前記ねじ孔を,行き止まり部を有する袋状に形成すると共に,前記行き止まり部の近傍で前記ねじ孔を該スライドピースの外周面に開放する横孔を設け,前記コイルスプリングを前記スライドピースの外周を囲繞するように配置し,このコイルスプリングを,前記横孔を閉鎖するように前記スライドピースの外周面に嵌合しながら該スライドピースに端部を支承される密着巻き部と,この密着巻き部よりも大径で前記制御バルブに支承される大径端部を有するスプリング部とで構成したことを第1の特徴とする。尚,前記制御バルブの当接部は,後述する本発明の実施形態中の制御バルブ12の前端壁12cに対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記スライドピースを,これが前記行き止まり部と,前記制御バルブの当接部に当接する押圧部と,この押圧部の背面側で前記コイルスプリングの一端を支承する第1スプリング座とを一体に備える単一部品に構成し,また前記制御バルブを,これが前記当接部と,該制御バルブの軸方向他端部に配置されて前記コイルスプリングの他端を支承する第2スプリング座とを一体に備える単一部品に構成し,前記制御バルブの一側面には,その中空部に前記スライドピース及びコイルスプリングを収容するための開放面を設け,前記スライドピースには,その外周の相対向する両側面に開口し且つ前記開放面と並行するする同軸一対の前記横孔を設けたことを第2の特徴とする。尚,前記押圧部は,後述する本発明の実施形態中のスライドピース27の閉鎖端壁27bに対応する。
【0008】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記ねじ軸の先端を前記行き止まり部に当接することにより,制御バルブの基準位置となる全開又は全閉位置を規制することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,スライドピースに設けられるねじ孔を,行き止まり部を有する袋状に形成すると共に,行き止まり部の近傍でねじ孔をスライドピースの外周面に開放する横孔を設けたので,ねじ孔の加工時に発生する切粉を横孔から排出することができる。しかも,前記当接部をスライドピースとの当接位置に保持するコイルスプリングをスライドピースの外周を囲繞するように配置し,このコイルスプリングを,前記横孔を閉鎖するように前記スライドピースの外周面に嵌合しながら該スライドピースに端部を支承される密着巻き部と,この密着巻き部よりも大径で前記制御バルブに支承される大径端部を有するスプリング部とで構成したので,コイルスプリングの大径端部により,制御バルブ内でのコイルスプリングの姿勢を安定させると共に,コイルスプリングの密着巻き部により,制御バルブ内に侵入したダストの横孔への侵入を防ぐことができ,したがって部品点数及び組立工数の増加を伴ないことなく,ダストのねじ孔及びねじ軸の螺合部への侵入を防ぎ,ねじ機構のスムーズな作動を確保し得る。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば,スライドピースを,これが行き止まり部と,制御バルブの当接部に当接する押圧部と,この押圧部の背面側でコイルスプリングの一端を支承する第1スプリング座とを一体に備える単一部品に構成し,また制御バルブを,これが前記当接部と,制御バルブの軸方向他端部に配置されてコイルスプリングの他端を支承する第2スプリング座とを一体に備える単一部品に構成したので,吸気量制御装置を,部品点数が少なく構造が簡単なものとすることができる。また制御バルブの一側面には,その中空部にスライドピース及びコイルスプリングを収容するための開放面を設けので,制御バルブ内へのスライドピース及びコイルスプリングの組み付けを容易に行うことができる。さらにスライドピースには,その外周の相対向する両側面に開口する同軸一対の横孔を設けたので,ねじ孔の加工時,横孔からの切粉の排出性を良好にすることができる。しかも,上記横孔は,制御バルブの開放面と並行に配置されるので,開放面から侵入したダストが横孔に直接向かうことがなく,ねじ孔へのダスト侵入防止に寄与し得る。
【0011】
本発明の第3の特徴によれば,ねじ軸の先端を前記行き止まり部に当接することにより,制御バルブの基準位置となる全開又は全閉位置を規制するので,ねじ孔の行き止まり部へのねじ軸の付き当てを利用して制御バルブの基準位置を設定することができ,その設定のための部材の追加が不要で,構造の簡素化に寄与し得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。
【0014】
先ず,
図1〜
図3に示す本発明の第1実施形態の説明より始める。
図1において,符号1は,例えば自動二輪車用のエンジンに取り付けられるスロットルボディであって,エンジンの吸気ポートに連通する吸気道2を中心部に有し,その吸気道2を開閉するバタフライ型のスロットルバルブ3がスロットルボディ1に軸支される。スロットルボディ1の上側壁には支持台4が一体に形成され,この支持台4上に制御基体5が重ねられ,図示しないボルトにより締結される。
【0015】
図1〜
図3において,制御基体5には,有底シリンダ状のバルブガイド孔7が形成され,このバルブガイド孔7は,横断面が多角形(
図3参照,図示例では正方形)をなしており,このバルブガイド孔7の,重力方向に沿う下側の内側面は制御内側面8aとされる。制御基体5には,上記制御内側面8aに開口する計量孔10と,この計量孔10よりバルブガイド孔7の底部側で制御内側面8aに開口する入口孔11とが設けられる。計量孔10は,長径がバルブガイド孔7の軸線方向に沿って配置される長孔状をなしており,この計量孔10を開閉する制御バルブ12がバルブガイド孔7に摺動自在に嵌装される。
【0016】
一方,スロットルボディ1には,スロットルバルブ3より上流の吸気道2を前記入口孔11に接続するバイパス上流通路14と,前記計量孔10を,スロットルバルブ3より下流の吸気道2に接続するバイパス下流通路15とが設けられる。スロットルボディ1及び制御基体5の接合面間には,バイパス上流通路14及び入口孔11間の接続部,並びにバイパス下流通路15及び計量孔10間の接続部をそれぞれ囲繞するシール部材16が介装される。而して,バイパス上流通路14,入口孔11,バルブガイド孔7,計量孔10及びバイパス下流通路15は,スロットルバルブ3を迂回して吸気道2に接続されるバイパス17を構成する。
【0017】
前記制御バルブ12は,下側面を制御外側面8bとして前記バルブガイド孔7の制御内側面8aに摺接させる制御壁12aと,この制御壁12aの左右両側端部より起立してバルブガイド孔7の左右両内側面に対面する一対の側壁12b,12bと,制御壁12aの,バルブガイド孔7の底部側の前端より起立して両側壁12b,12bの前端部間を連結する前端壁12cと,制御壁12a及び両側壁12a,12aの後端部から内方に突出するU字状の内向き鍔12dとよりなっていて,制御壁12aと反対側の面を開放面12eとした箱形をなしており,したがってこの制御バルブ12は,横断面正方形のバルブガイド孔7内では,その軸方向に摺動自在であるが,回転は不能である。
【0018】
制御基体5には,前記バルブガイド孔7の開口端に段部18を介して連なる,バルブガイド孔7より大径のモータ取り付け孔19が設けられ,それに電動モータ20のステータ20aが装着される。その際,ステータ20aの前端面と段部18との間には,電動モータ20の出力軸20bの外周面に密接するシール部材21が挟持される。電動モータ20の出力軸20bは,正逆転が可能であり,この出力軸20bに前記制御バルブ12がねじ機構25を介して連結される。
【0019】
上記ねじ機構25は,制御バルブ12に回り止め手段26を介し連結されて制御バルブ12を同期的に開閉駆動するスライドピース27と,電動モータ20の出力軸20bに連設され,スライドピース27に制御バルブ12の摺動方向に沿って設けられたねじ孔28に螺合するねじ軸29とで構成される。上記ねじ孔28は,行き止まり部28aを有する袋状に形成される。スライドピース27は,制御バルブ12のU字状の内向き鍔12d内を貫通して制御バルブ12内に配置される筒軸27aと,この筒軸27a前端の閉鎖端壁27bの外周に形成されるフランジ27cとよりなっており,筒軸27aには,前記ねじ軸29が螺合する袋状の前記ねじ孔28が設けられる。また筒軸27aには,ねじ孔28の行き止まり部28a近傍で,ねじ孔28を筒軸27a外周の両対向面に開放し且つ制御バルブ12の開放面12eと並行する同軸一対の横孔30,30が設けられる。
【0020】
前記外向きフランジ27cの内面には第1スプリング座31が,また前記内向き鍔12dの内面には第2スプリング座32がそれぞれ形成され,この両スプリングスプリング座31,32間にコイルスプリング33が縮設され,このコイルスプリング33のセット荷重により制御バルブ12はスライドピース27に対して後方,即ち電動モータ20側へ付勢され,それによりスライドピース27の前端壁12cが外向きフランジ27cとの当接状態に保持される。これにより,スライドピース27及び制御バルブ12は,互いに軸方向にガタ無く連結される。
【0021】
コイルスプリング33は,第1スプリング座31に支承されながら筒軸27aの,前記横孔30,30が穿設される外周部に嵌合される密着巻き部33aと,これに一体に接続されると共に,この密着巻き部33aよりも大径で制御バルブ12に支承される大径端部33b1を有するコーンスプリング部33bとより構成され,上記密着巻き部33aは,横孔30,30の外端開口部を閉鎖するようになっている。
【0022】
図2及び
図3に示すように,前記回り止め手段26は,スライドピース27のフランジ27c付きの閉鎖端壁27bの外端面に一体に突設される加圧突起35と,制御バルブ12の制御壁12aの内面から起立するように,その前端壁12cの内面に突設される受圧突起36とより構成される。その加圧突起35には,受圧突起36をねじ軸29の回転方向に沿って挟むようにV字状に配置される一対の加圧面35a1,35b1を有する第1及び第2加圧部35a,35bが設けられ,上記V字状に配置される一対の加圧面35a1,35b1間の開き角度θは90°以上に設定される。こうすると,互いに対向する第1及び第2加圧部35a,35bの加圧面35a1,25b1を,エンドミルにより容易に加工することができる。
【0023】
一方,受圧突起36には,上記加圧面35a1,35b1にそれぞれ対面する凸状の第1及び第2受圧部36a,36bが設けられる。
【0024】
次に,この第1実施形態の作用について説明する。
【0025】
スロットルバルブ3の全閉時に,図示しない電子制御ユニットが,スロットルバルブ開度,エンジンの吸気負圧,吸気温,エンジン温度,エンジン回転数等のエンジンの運転条件に関する情報に基づいて,エンジン始動時,ファストアイドリング時,通常アイドリング時,エンジンブレーキ時など,エンジンの運転条件に対応した制御バルブ12の最適開度を得べく,電動モータ20への通電を制御して,電動モータ20の出力軸20bを正転又は逆転させる。出力軸20bが回転又は逆転すると,その回転はねじ機構により減速されながらスライドピース27を介して制御バルブ12に軸方向変位として伝達されるので,制御バルブ12は,その軸方向変位により計量孔10のバルブガイド孔7への開口面積をきめ細かく調節することができる。これにより,バイパス17を流れるエンジンの吸気量がきめ細かく制御され,エンジン始動,ファストアイドリング,通常アイドリング,エンジンブレーキ等に対応することができる。
【0026】
ところで,
図3(A)に示すように,電動モータ20の出力軸20bの正転時には,出力軸20bの正転トルクT1がねじ軸29及びねじ孔28間の摩擦を介してスライドピース27に伝達し,第1加圧部35aの加圧面35a1が第1受圧部36aをバルブガイド孔7の制御内側面8aに対して斜めに押圧する。したがって,第1受圧部36aに加えられる押圧力Fは,制御内側面8aに垂直な第1分力と,制御内側面8aに平行な第2分力F2とに分解され,第1分力F1は制御バルブ12を制御内側面8aに押しつけ,第2分力F2は制御バルブ12をバルブガイド孔7の一方の内側面に押しつけることになる。また,
図3(B)に示すように,電動モータ20の出力軸20bの逆転時には,出力軸20bの逆転トルクT2がねじ軸29及びねじ孔28間の摩擦を介してスライドピース27に伝達し,第2加圧部35bの加圧面35b1が第2受圧部36bをバルブガイド孔7の制御内側面8aに対して,先刻とは反対方向の斜めに押圧する。したがって,第2受圧部36bに加えられる押圧力Fは,制御内側面8aに垂直な第1分力と,制御内側面8aに平行な第2分力F2の分かれ,第1分力F1は制御バルブ12を制御内側面8aに押しつけ,第2分力F2は制御バルブ12をバルブガイド孔7の他方の内側面に押しつけることになる。
【0027】
このように,出力軸20bの正転,逆転の何れのときも,制御バルブ12は,前記第1分力F1によりバルブガイド孔7の制御内側面8a側に押しつけられるため,その制御外側面8bをバルブガイド孔7の制御内側面8aに密着させることができる。即ち,制御内側面8aと制御外側面8bとの間から隙間を排除することができ,その状態で,制御バルブ12は,制御内側面8aに開口する計量孔10を開閉するので,バルブガイド孔7及び制御バルブ12間の隙間による吸気の漏れを無くすることができ,したがって制御バルブ12の全閉時や部分開度時でも,その開度に対応した適正なバイパス吸気量をエンジンに供給することができる。しかも,制御バルブ12により開閉される計量孔10は,制御バルブ12の摺動方向に長径を向けた長孔状をなしているから,その有効開口面積を制御バルブ12の摺動に応じてきめ細かく調節することができる。
【0028】
この場合,制御バルブ12には,重力による制御内側面8a側への押圧力と,計量孔10から制御バルブ12の制御外側面8bに働くエンジンの吸気負圧による吸引力とが同時に作用し,これらによって制御外側面8b及び制御内側面8a間の密着力は一層強められる。
【0029】
ねじ機構25のねじ軸29がスライドピース27を後方へ引き寄せて,その先端部をスライドピース27のねじ孔28の行き止まり部28aに突き当てることで,スライドピース27に同期する制御バルブ12の全開位置が規制され,計量孔10は全開となる。この全開位置が制御バルブ12の基準位置となり,この基準位置からの電動モータ20の出力軸20bの回転角度によって制御バルブ12の閉じ位置が決定され,計量孔10の開度が制御される。
【0030】
スロットルバルブ3を開放していけば,その開度に応じた量の吸気が吸気道2を通してエンジンに供給され,エンジンは出力運転域に移っていく。
【0031】
ところで,スライドピース27及び制御バルブ12は,コイルスプリング33により軸方向にガタ無く連結され,制御バルブ12はスライドピース27の軸方向移動に遅れなく同期して追従することができる。
【0032】
しかも,スライドピース27及び制御バルブ12間を連結する回り止め手段26は,スライドピース27のフランジ27c付きの閉鎖端壁27bの外端面に一体に突設される加圧突起35と,制御バルブ12の制御壁12aの内面から起立するように,その前端壁12cの内面に突設される受圧突起36とより構成されるので,回り止め手段26による部品点数の増加もなく,吸気量制御装置の構造の簡素化に寄与し得る。しかも,回り止め手段26は,制御バルブ12の前端壁12cと,制御バルブ12内に収容されるスライドピース27の閉鎖端壁27bの外端面との間に,コンパクトに構成することができ,吸気量制御装置の大型化を避けることができる。
【0033】
また上記ねじ軸29が螺合するねじ孔28をスライドピース27に加工する際には,それに先立って先ずねじ孔28の下孔を,次いでその下孔と交差するように同軸一対の横孔30,30をドリル加工し,その後,上記下孔にねじ孔をリーマ加工するもので,そうすることにより,横孔30,30が加工によるバリ(加工残り)を切断し,ねじ孔28の加工不足を確実に防ぐことができるのみならず,その際に発生する切粉を横孔30,30からスムーズに排出することができ,またねじ孔28の洗浄時には,残留する切粉を同軸一対の横孔30,30からスムーズに排出することができるので,高精度のねじ孔28を得ることができる。またねじ孔28の下孔の底部により行き止まり部28aを構成することができ,構造の簡素化を図ることができる。尚,横孔30,30を,上記下孔より大径に形成すれば,前記バリの切断効果と排出効果を高めることができる。
【0034】
さらに,スライドピース27及び制御バルブ12間を軸方向で連結すべく,スライドピース27の筒軸27aを囲繞するように配置したコイルスプリング33は,横孔30,30を閉鎖するようにスライドピース27の外周面に嵌合しながらスライドピース27の第1スプリング座31に端部を支承される密着巻き部33aと,この密着巻き部33aよりも大径で制御バルブ12の第2スプリング座32に支承される大径端部33b1を有するコーンスプリング部33bとで構成されるので,コイルスプリング33の大径端部33e1により制御バルブ12内でのコイルスプリング33の姿勢を安定させると共に,密着巻き部33aにより,制御バルブ12内に侵入したダストの横孔30,30への侵入を防ぐことができ,しかも,上記横孔30,30は,制御バルブ12の開放面12eと並行に配置されるので,開放面12eから侵入したダストが横孔30,30に直接向かうことがなく,ねじ孔28へのダスト侵入防止に寄与し得る。したがって部品点数及び組立工数の増加を伴ないことなく,ダストのねじ孔28及びねじ軸29の螺合部への侵入を防ぎ,ねじ機構25のスムーズな作動が保証される。
【0035】
また,ねじ軸29の先端を前記行き止まり部に当接することにより,制御バルブの基準位置となる全開位置を規制するようにしたので,ねじ孔28の行き止まり部28aへのねじ軸29の付き当てを利用して制御バルブ12の基準位置を簡単に設定することができ,その設定のための部材の追加が不要で,構造の簡素化に寄与し得る。
【0036】
この吸気量制御装置の組み立てに際しては,先ずコイルスプリング33を装着したスライドピース27を,コイルスプリング33を縮めながら,制御バルブ12内にその開放面12eから収納して,スライドピース27の加圧突起35を制御バルブ12の受圧突起36に係合させ,同時にコイルスプリング33を解放してコーンスプリング部33bを制御バルブ12の第2スプリング座32に支承させる。
【0037】
次いで,電動モータ20側のねじ軸29をスライドピース27のねじ孔28に螺合して,電動モータ20及び制御バルブ12の組立体を構成する。尚,最初にスライドピース27のねじ孔28にねじ軸29を螺合し,その後,スライドピース27をコイルスプリング33と共に,制御バルブ12内に開放面12eから収納してもよい。何れにせよ,制御バルブ12の開放面12eを利用して,制御バルブ12内へのスライドピース27及びコイルスプリング33の組み付けを容易に行うことができる。
【0038】
次に,上記制御バルブ12を制御基体5のバルブガイド孔7に嵌装する。このとき,制御バルブ12の開放面12eはバルブガイド孔7の上側面で閉鎖されるから,制御バルブ12の開放面12eからのスライドピース27の離脱を防ぐことができ,したがってスライドピース27のための特別な離脱防止手段が不要であり,組立性を良好にすると共に,構造の簡素化を図ることができる。しかも,上側面を開放面12eとした箱形の制御バルブ12内の収容空間は,上側面を開放面12eとした分,広い横断面を持つことになるので,制御バルブ12のコンパクト化を図りながら,その収容空間にコイルスプリング33及びスライドピース27を容易に収容することができる。
【0039】
続いて,電動モータ20を制御基体5のモータ取り付け孔19に嵌装した後,ボルト(図示せず)で電動モータ20を制御基体5に締結する。
【0040】
しかも制御バルブ12及びバルブガイド孔7の横断面が多角形であることから,キー及びキー溝のような特別は回り止め手段を用いることなく制御バルブ12の回転を防ぎ,ねじ機構25の安定した作動を得ることができる。
【0041】
次に,
図4に示す本発明の第2実施形態について説明する。
【0042】
この第2実施形態は,バルブガイド孔7及び制御バルブ12を,横断面が等脚台形となるように形成すると共に,それぞれの下底に制御内側面8a及び制御外側面8bを配置した点を除けば,前実施形態と同様の構成であり,
図4中,前実施形態と対応する部分には同一の参照を付して,重複する説明を省略する。
【0043】
この第2実施形態によれば,出力軸20bの正転時又は逆転時,第1及び第2加圧部35a,35bの何れかが対応する第1受圧部36a又は第1受圧部36bに押圧力Fを加えたとき,第1受圧部36a又は第1受圧部36bに発生する制御内側面8aに平行な第2分力F2は,制御バルブ12をバルブガイド孔7の左右何れかの内側面に押圧するが,その内側面は,上端を内向きに傾斜させているので,その内側面では,上記第2分力F2を受けると,制御バルブ12に制御内側面8aに向かう反力を発生することになり,その結果,制御バルブ12の制御外側面8bを上記制御内側面8aに,より強く密着させ,制御内側面8a及び制御外側面8b間からの隙間排除の効果を高めることができる。
【0044】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば前記電動モータ20に代えてステップモータ,その他の形式のモータを使用することができる。またねじ軸29の先端がねじ孔28の行き止まり部28aに突き当たったときの制御バルブ12の基準位置では,制御バルブ12の全閉位置とすることもできる。またコイルスプリング33のコーンスプリング部33bは,その全体を大径端部33b1と同径の円筒状に形成することもできる。