特許第5963202号(P5963202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963202「停止−始動」圧縮点火内燃機関を備える車両用排気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963202
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】「停止−始動」圧縮点火内燃機関を備える車両用排気システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20160721BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20160721BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20160721BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F01N3/28 301P
   F01N3/28ZAB
   B01D53/94 222
   B01D53/86 222
   B01J23/42 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-545440(P2012-545440)
(86)(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公表番号】特表2013-515201(P2013-515201A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】GB2010052148
(87)【国際公開番号】WO2011077125
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年10月22日
(31)【優先権主張番号】0922194.6
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ダビド、ベルジャル
(72)【発明者】
【氏名】ポール、リチャード、フィリップス
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−522094(JP,A)
【文献】 特開2007−239467(JP,A)
【文献】 特開2005−299400(JP,A)
【文献】 米国特許第05258349(US,A)
【文献】 特開2009−285605(JP,A)
【文献】 特開2005−177571(JP,A)
【文献】 特開2007−038072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 53/86
B01D 53/94
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン管理手段を備えた圧縮点火内燃機関と、排気ガス後処理用触媒を有してなる、車両であって、
前記エンジン管理手段が、使用中にアイドル条件を検出し、アイドル条件の存在を決定してエンジンを全体的に停止させるように構成されてなるものであり、
前記触媒が、一種以上の貴金属を含む触媒ウォッシュコートでコーティングされたハニカム基材モノリスを備えてなり、
前記触媒ウォッシュコートが、上流側ウォッシュコート区域から下流側ウォッシュコート区域に渡り延在するものであり
前記上流側ウォッシュコート区域におけるウォッシュコート層が、前記下流側ウォッシュコート区域におけるウォッシュコート層と連続するものであり、
前記上流側ウォッシュコート区域における熱質量が、前記下流側ウォッシュコート区域における熱質量より小さく、
前記上流側ウォッシュコート区域の貴金属の含有量が、前記ハニカム基材モノリスの貴金属の含有量全体の55〜90%であり、
前記ハニカム基材モノリスが全長を有してなり、
前記上流側ウォッシュコート区域が、前記ハニカム基材モノリスの入口端部によって上流端部が定められ、かつ、前記入口端部から測定された前記ハニカム基材モノリスの前記全長の20%〜40%の間の地点によって下流端部が定められてなる、車両。
【請求項2】
前記下流側ウォッシュコート区域における、前記上流側ウォッシュコート区域と比べてより大きい熱質量が、前記下流側ウォッシュコート区域における、前記上流側ウォッシュコート区域と比べてより厚いウォッシュコート層により付与されてなる、請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記より厚いウォッシュコート層が、0.2〜0.6gcm−3(4〜10gin-3のウォッシュコート含有量で付与されてなる、請求項に記載の車両。
【請求項4】
前記上流側ウォッシュコート区域は前記下流側ウォッシュコート区域より薄いウォッシュコート層を有し、前記より薄いウォッシュコート層は0.06〜0.21gcm−3(1〜3.5gin−3のウォッシュコート含有量を有してなる、請求項2又は3に記載の車両。
【請求項5】
前記下流側ウォッシュコート区域における、前記上流側ウォッシュコート区域と比べてより大きい熱質量が、少なくとも3.50gcm-3の密度を有するウォッシュコート成分により付与されてなる、請求項に記載の車両。
【請求項6】
前記ウォッシュコート成分が、アルファアルミナ、ランタナ、セリウムII酸化物、セリウムIII酸化物及びジルコニアからなる群より選択されてなる、請求項に記載の車両。
【請求項7】
前記上流側ウォッシュコート区域の貴金属の含有量が、前記ハニカム基材モノリスの貴金属の含有量全体の60〜80%である、請求項1〜6の何れか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記ハニカム基材モノリスの体積に対する前記ハニカム基材モノリスにおける貴金属の含有量全体が、0.53〜11kgm−3(15〜300gft−3である、請求項1〜7の何れか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記一種以上の貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀及びこれらの2つ以上の混合物から構成される群より選択されてなる、請求項1〜8の何れか一項に記載の車両。
【請求項10】
前記貴金属が、白金、パラジウム、白金とパラジウムの混合物又はパラジウムと金の組み合わせである、請求項に記載の車両。
【請求項11】
前記上流側ウォッシュコート区域における前記貴金属又は貴金属の組み合わせが、前記下流側ウォッシュコート区域における貴金属又は貴金属の組み合わせと異なるものである、請求項9又は10に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンのような車両の圧縮点火内燃機関用排気システムに関し、特にいわゆるエンジン「停止-始動」システムを含む車両用排気システムに関する。
【0002】
先行技術
一般に、車両と内燃機関からの排気ガスは、世界的に強化されつつある規制の対象である。COの排出と関連した地球温暖化への懸念が、車両からのCO排気ガスを削減するために世界各国で財政的インセンティブに繋がっている。それにより、自家用自動車と小型商用車が、相対的に燃料消費量が少なく、相対的にCOを少なく排出する軽量ディーゼルエンジンをより一層使用されている。
【0003】
ガソリン点火燃焼内燃機関と圧縮燃焼(即ち、ディーゼル)内燃機関の両方に対して燃料消費と排気ガスを何れも改善するために採択されている計画のうち、「停止-始動」がある。停止-始動システムの場合、車両が数秒以上停止していると、エンジンが全体的に停止する。ドライバがもう一度操作する必要があるとき、クラッチを解除したり、ギアスティックを動かしたり、パワーステアリングホイールを回転させたり、自動又は半自動車両において、「ドライブ」にシフトして行う行動はエンジンを再始動させる。たとえ、このような要因がバッテリと始動モータにおいて荷重を更に増加させても、アップグレードされる必要があり、それにより大幅に節約できる。新欧州ドライビングサイクル(New European Drive Cycle)によるテストにおいて、このような節約は停止-始動システムの採択によって燃料消費の5%まで、CO排気ガスの8%にまで達し得る。都市当局は、小都市と中・大都市における排気ガスの低減に頭を悩ましており、また交通混雑による排気ガスの低減にも力を入れている。従って、停止-始動システムを有する多くの新しい車両が使用されることが期待されている。
【0004】
軽量ディーゼルエンジンは、電子制御モジュールと機械的に改善された噴射技術によって更に効率が高まっている。これは、排気ガスの温度がガソリンエンジン又はヘビーデューティ(トラック及びバス)ディーゼルエンジンの場合よりも非常に低いことを意味する。軽い荷重において、例えば都市で「コースティング(coasting)」インギア(in gear)であるとき、最新のライトデューティ・ディーゼルエンジンによれば燃料を殆ど使用することはなく、また、全く使用されず、このことから、排気ガスの温度もまた約100〜200℃と高くないことがあり得る。このような低い温度にも拘らず、最新の触媒技術は、新欧州ドライビングサイクルで実際の都市運転条件、低速加速及び正常運転条件中にライト-オフ(light-off:触媒活性化)を達成できる。「ライト-オフ」は、触媒が好ましい変換活動温度で反応に対する触媒作用を行う温度と定義され得る。例えば、「CO T80」は、特定の触媒が供給ガスの一酸化炭素を少なくとも50%の効率で、例えばCOに変換させる温度である。これと同様に、「HC T80」は炭化水素(オクタン又はプロパンのような特定の炭化水素)が80%以上の効率で、例えば水蒸気又はCOに変換される温度である。
[5]
しかし、ある環境では低い排気ガスの温度によりディーゼル酸化触媒(DOC)が効率的に動作できないということを意味し得る。即ち、DOCは「ライト-オフ」を達成又は維持できないこともあり得る。
【0005】
エンジン「停止-始動」システムを備えていない車両の場合、このような軽荷重状態でのエンジンの動作によって発生する追加の問題は、エンジンの作動中に、主に空気を含む相対的に冷たい排気ガスがエンジンからDOC又は他の触媒を経て通過し続けることにある。例えば、加速のような荷重が再び加えられたとき、触媒は即刻的な汚染ガスの好適な変換率を満足させることができず、結果として、汚染した排気ガスは暫く規制水準を超えるおそれがある。適当な時に、より高い温度の排気ガスは触媒温度をもう一度ライトオフ温度以上に上げるようになる。
【0006】
第一、第二及び第三白金族金属含有ウォッシュコート区域(上流から下流側に順にナンバリングされる)を含む流動-貫通モノリスを備えるDOC構造がWO 2007/077462に開示されている。第一及び第三区域のそれぞれにおける白金族金属含有量は、空間的に第一区域と第三区域との間に位置する第二区域で更に高い。使用時にエンジンから最も遠くに位置する区域である第三区域は、例えば、より厚いウォッシュコート又は高密度のジルコニアのような本質的に、より高い熱(質)量を有するウォッシュコート物質を利用することによって、第一、第二区域よりも更に高い熱質量を有するウォッシュコートを含むことができる。高密度のジルコニアは、3.5g/cmの密度を有し得る。3つの区域の配置は、全体的に減少した白金族金属費用全体で触媒性能を維持するように設計される。
【0007】
アイドル状態で動作を維持する従来のディーゼルエンジンに比べて、触媒がアイドル状態で相対的に低温である排気ガスとの接触により冷却されないため、「停止/始動」技術が備えられた車両ディーゼルエンジンのための運転サイクルにかけて触媒温度の変化が一般的に少ない。本発明の発明者らは、このような「停止/始動」技術が装着されているディーゼル車両から排出される排気ガスの処理のために、改善された活動度を有するディーゼル酸化触媒を考案した。特に、発明者らは、コールド-スタート(cold-start)排気ガスをできるだけ速く処理するための低い触媒ライト-オフ(light-off)温度に対する競合的要求と、触媒がコールド-スタート後に既に「ライト-オフした(light-off)」後で運転サイクルの低温期間中に所望の活動度を下回る「ライトアウト(light-out)」とのバランスを取る装置を考案した。
【0008】
発明の概要
本発明は、エンジン管理手段を備える圧縮点火内燃機関と排気ガスの後処理のための触媒を備える車両を提供し、前記エンジン管理手段は、使用時にアイドル条件を検出し、アイドル条件の存在を決定してエンジンを全体的に停止させ、前記触媒は一種以上の貴金属を含む触媒ウォッシュコートでコーティングされたハニカム基材モノリスを含み、前記触媒ウォッシュコートは第一の上流ウォッシュコート区域と第二の下流ウォッシュコート区域との間に位置し、前記第一のウォッシュコート区域の熱質量は、前記第二のウォッシュコート区域の熱質量と異なり、前記第一の上流ウォッシュコート区域のウォッシュコート層は、前記第二の下流ウォッシュコート区域のウォッシュコート層と実質的に連続する。
[10]
好適な圧縮点火内燃機関は、ディーゼル燃料を用いるが、天然ガス(NG)とディーゼルとバイオ燃料の混合又はフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)過程誘導燃料を含む他の形態の燃料も可能である。
[11]
前記ハニカム基材モノリスは、コーディエライト又は炭化珪素のようなセラミック物質又はFecralloy(商品名)のような金属で製造され得る。このような装置は好ましくは、いわゆる流動-貫通の構成であるが、ここには開放された入口端部から開放された出口端部まで多数のチャネルが平行に延びる。しかし、前記ハニカム基材モノリスは、いわゆる壁-流動フィルタ又はセラミックフォームのようなフィルタリング基材の形態をなしてもよい。

【0009】
一実施形態において、前記第一の上流ウォッシュコート区域の前記熱質量は、前記第二の下流ウォッシュコート区域の熱質量よりも大きい。しかし、ここで好適な実施形態において、前記第一の上流ウォッシュコート区域での熱質量は、前記第二の下流ウォッシュコート区域での熱質量よりも小さい。
【0010】
前記実施形態の1つにおいて、前記ハニカム基材モノリスは全長を有する。実施形態において、前記第一の上流ウォッシュコート区域は、前記ハニカム基材モノリスの入口端部での上流端部と前記入口端部から測定された前記基材モノリスの全長の15%〜80%の間(例えば、20%〜30%又は20%〜40%の間)のような10%〜90%間の地点での下流端部で定義される。好適な実施形態では、前記入口区域の長さは前記出口区域よりも小さい。
【0011】
低いウォッシュコート含有量の好ましい特徴は、その相対的に低い熱質量がより迅速に加熱し、それによりコールド-スタートに次いで、より効率的に「ライト-オフ」できるという点にある。しかし、低い熱質量により、前記触媒は更に迅速に冷却されることもでき、これと関連して初期のウォーミングアップ後に運転サイクルの中間(即ち、ポスト-「ライト-オフ」)での「ライト-アウト」は好ましくないことに特徴がある。更に高いウォッシュコートの含有量は、支持貴金属に更に多くの支持物質が存在し、より高い貴金属の分散が可能であるという長所を有する。より高いウォッシュコートの含有量は、使用時に熱的エージングに対するより大きい耐性、即ち、より高い熱的耐久性を提供できる。
【0012】
特定の実施形態において、前記第二又は第一区域のそれぞれに対して前記第一又は第二区域での他の熱質量が他の区域で使用されるよりは、より厚いウォッシュコート層により提供される。このような実施形態において、より厚いウォッシュコート層でのウォッシュコートの含有量は0.3〜0.5gcm−3(5〜8gin−3のような0.2〜0.6gcm−3(4〜10gin-3であり得る。反対に、他の区域で相対的に、より薄いウォッシュコート層でのウォッシュコートの含有量は0.1〜0.2gcm−3(2〜3gin−3のような0.06〜0.21gcm−3(1〜3.5gin−3であり得る。
【0013】
これとは異なり、他の実施形態によれば、第二又は第一区域のそれぞれに対して前記第一又は第二区域での他の熱質量である少なくとも3.50gcm-3の密度を有するウォッシュコート成分により提供され得る。適切な密度を有する物質が高密度のアルファアルミナ、高密度の酸化ランタン、高密度のセリウムII酸化物、高密度のセリウムIII酸化物及び高密度のジルコニアからなる群より選択され得る。
【0014】
好適な実施形態において、貴金属の含有量全体は第一の上流ウォッシュコート区域でウォッシュコートの単位体積当たりの貴金属の単位質量で測定されたとき、第二の下流ウォッシュコート区域での貴金属の含有量全体よりも多い。
【0015】
一実施形態において、例えば、第一の上流ウォッシュコート区域は、ハニカム基材モノリスの貴金属の含有量全体の55〜9%を含む。他の実施形態において、第一の上流ウォッシュコート区域は、ハニカム基材モノリスの貴金属の含有量全体の60〜80%を含む。

【0016】
前記ハニカム基材モノリス上での貴金属の含有量全体は1.1〜5.3kgm−3(30〜150gft−3(例えば、1.4〜4.2kgm−3(40〜120gft-3)のような0.53〜11kgm−3(15〜300gft−3であり得る。
【0017】
本発明で使用するための貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀又はそれらの2つ以上の混合物から選択された一種以上を含む。本発明で使用するための貴金属の好適な実施形態のサブセットは白金族金属である。
【0018】
特に好適な貴金属の選択は、白金、パラジウム、白金とパラジウム混合物(選択的に合金として存在)又はパラジウムとの組み合わせ、混合物であって、合金又は混合物と合金を何れも含む。
【0019】
特定の実施形態において、前記第一の上流区域での前記貴金属又は貴金属の組み合わせは、前記第二の上流区域での前記貴金属又は貴金属の組み合わせと異なるものである。
【0020】
一般に、前記貴金属は、高表面積の耐火酸化物成分上に支持される。適切な貴金属支持成分は、アルミナ、シリカ、非結晶質アルミノ珪酸塩、アルミノ珪酸塩ゼオライト、チタニア、マグネシア、マグネシウム、アルミン酸塩、酸化セリウム、ジルコニアなどのような分子体、混合物、複合酸化物及びこれらのうち2つ以上の混合酸化物、選択的には、一種以上の希土類成分で安定化したものを含む。特に好適な混合酸化物は、酸化セリウム-ジルコニアを含むが、これは(酸化セリウムの内容によって)一種以上の希土類金属とシリカでドーピングされたアルミナを含むこともできる。
【0021】
本発明で使用するための触媒は、パッケージング及び車両の空間的制限を考慮して車両における適切な所に位置し得る。一般的な位置は、できるだけエンジンの排気マニホールドの近くに位置する隣接結合位置であって、最も熱い排気ガスの温度による長所を有する。他の一般的な位置は、いわゆる「アンダフロア」位置である。
【0022】
本発明を更に十分に理解できるように、添付の図面を参照して以下の実施形態が単に説明のために提供される。
【0023】
図1は、時間に対してMVEG-B欧州ドライビングサイクルにかけて2.4リットルユーロIVベンチマウンティング車両ディーゼルエンジンにおけるコンピュータモデリングされた質量流量、隣接結合DOCの入口温度、排気ガスの一酸化炭素及び炭化水素を比較したグラフである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、質量流量、隣接結合DOCの入口温度、排気ガスの一酸化炭素及び炭化水素を比較したグラフである。
【0025】
実施形態
次の実施形態はコンピュータモデルの結果を示すが、平方インチ当たりの円筒形400セルの大きさ143×98×135mmと体積1.50Lを有するコーディエライト流動-貫通のハニカムモノリス基材が、全体にかけて低(0.15gcm−3(2.5gin−3)又は高(0.43gcm−3(7.0gin−3)のウォッシュコート含有量と均一な白金含有量(比較例)の均質なディーゼル酸化触媒ウォッシュコート層でコーティングされる。本発明に係る区域化されたディーゼル酸化触媒は、同じベアハニカム基材モノリスを用いて製造され、表1に示す。
【0026】
区域化されたハニカム基材モノリスの製造方法は、本発明の技術分野に提示されており、本発明の出願人により出願されたWO 99/47260を含むが、即ち、前記方法は、(a)密閉手段を支持体の上部に位置させる段階、(b)予め設定された液体成分の量を前記密閉手段に提供する段階((a)と(b)の順序は変わり得る)及び(c)圧力を加えたり、真空を形成することによって、前記液体成分を前記支持体の少なくとも一部にドローイングし、前記支持体内に前記量全体を実質的に維持させる段階とを含む。
【0027】
表1の「ウォッシュコート含有量」の列に示された百分率数字は、基材モノリスの入口
端部から測定された基材全長に対する第一の上流区域(最左側列)と第二の下流区域の長さを示す。「Pt含有量」の列は、左側から右側へそれぞれ第一の上流区域(左側列)と第二の下流区域での白金含有量を示す。CO(g)及びHC(g)の数字は、ディーゼル酸化触媒の出口で測定された一酸化炭素と炭化水素に対するものである。「標準化されたCO(g)変換率」と「標準化されたHC(g)変換率」は、均一にコーティングされた低ウォッシュコート含有量(1.4kgm−3(40gft−3)(比較例2)に対するものである。全ての実施形態において全体の白金含有量は一定であった。
【0028】
質量流量、温度及び2.4リットルユーロIVベンチマウンティング車両ディーゼルエンジンからの排気ガスのエンジン-アウト一酸化炭素(CO(g))と炭化水素(HC(g))の総含有量が、(与えられた空間的制約で)できるだけエンジンの排気マニホールドに隣接して位置する、いわゆる隣接結合位置に装着されている車両動力計を用いて記録され、このようなデータはモデリングされた触媒構造を用いてコンピュータモデルを実現するのに使用された。たとえ、使用エンジンが「停止-始動」技術を装着してはいなくても、このようなシステムの効果はMVEG-Bユーロピアン運転サイクルがアイドルに到達した度にエンジンを停止させることで摸倣された。質量流量、触媒入口の温度、排気ガスでの一酸化炭素(CO)及び総炭化水素(THC)が図1に示されている。
【0029】
結果が表1に示されているが、これから均一な低ウォッシュコートの含有量(比較実施形態2)の代りに、均一な高ウォッシュコートの含有量(比較実施形態1)の使用がMVEG-Bサイクル全体にかけてCO及びHCの変換率を下げることが確認され得る。これは、触媒の増加した熱質量によりテスト始動時に触媒がCO及びHC変換のためのライト-オフにより遅く到達するためであることが分かる。
【表1】
【0030】
基材モノリスの上流側半分が低ウォッシュコートの含有量でコーティングされ、下流側半分が高ウォッシュコートの含有量でコーティングされて残ったとき(実施形態3)、区域間の相対的な白金金属含有量の調節なしに、CO酸化が改善された。テストされた車両に対して、このような構成の逆配列(上流側50%が高ウォッシュコートの含有量であり、下流側半分が低ウォッシュコートの含有量(即ち、実施形態4))は制御より更に活動度が悪い。しかし、テストされた車両は、特にコールド-ランニングエンジンを備え、発明者は実施形態4の構造がより高温で動作するエンジン(他の車両メーカーで提供する製品は、MVEG-Bオンサイクル排気ガスの温度が異なり得る)を備える車両で特に有用であり得ると考えられる。従って、実施形態4の構造は、本発明の範囲に属するものと判断される。しかし、表1の残り(即ち、実施形態5〜8)の結果は、低含有量上流区域を有するが、上流区域の長さと白金金属の含有量が変わる構成に関するものである。
【0031】
上流の低ウォッシュコート含有量区域の長さを25%まで短くすることによって(実施形態5)、実施形態4の構造よりもCO酸化において更に改善される。残りの実施形態(実施形態6〜8)は25%長さの入口区域低のウォッシュコートの含有量/75%長さの出口区域の高ウォッシュコート含有量の配列を維持し、両区域間の白金金属含有量の分配の変化を調べた。
【0032】
低(0.71kg/m(20g/ft)出口区域の白金含有量に比べて高(3.5kg/m(100g/ft)入口区域の白金含有量は、CO変換率を改善させたが、均一な含有量の実施形態に比べてHC変換率を若干低下させた(実施形態6に対する表1の結果参照)。しかし、白金分配2.5kg/m(70g/ft上流区域/1.1kg/m(30g/ft下流区域(実施形態7)及び、3.0kg/m(85g/ft上流区域/0.88kg/m(25g/ft下流区域(実施形態8))の追加的な繰り返しは、均一な含有量の触媒に対して類似するHC変換率を提供するが、驚いたことに、高PGM含有量の上流区域の実施形態(即ち、3.5kg/m(100g/ft上流区域の実施形態)に比べてCO変換率を改善させた。
【0033】
疑問の余地を無くすために、ここで引用された文献の全体内容が参照としてここに含まれる。
図1