(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中心部に吸気道(2)を有すると共に,その吸気道(2)を開閉するスロットルバルブ(3)のバルブ軸(3a)を支承するスロットルボディ(1)に,スロットルバルブ(3)を迂回するように吸気道(2)に接続されるバイパス(13)と,このバイパス(13)に介在するバルブガイド孔(7)と,このバルブガイド孔(7)に嵌装されてバイパス(13)を開閉する制御バルブ(12)と,この制御バルブ(12)を開閉駆動するアクチュエータ(20)とを設け,スロットルボディ(1)の一側に形成される取り付け面(1a)にボルトにより締結される合成樹脂製の制御基体(5)に前記制御バルブ(12)を配設した,スロットルボディのバイパス制御装置であって,
スロットルボディ(1)の前記取り付け面(1a)には,少なくとも一対の第1及び第2ボス(41,42)を互いに離隔して一体に突設する一方,これら第1及び第2ボス(41,42)が嵌合する第1及び第2嵌合孔(43,44)を制御基体(5)に設け,前記第1及び第2ボス(41,42)に第1及び第2ボルト(45,46)を螺着緊締し,その緊締力を第1及び第2ボス(41,42)に負担させながら制御基体(5)を前記取り付け面(1a)との接合状態に保持し,前記第1嵌合孔(43)の内周壁には,前記第1ボス(41)の外周面に密接する3個以上の第1リブ(47)を隆起形成し,また前記第2嵌合孔(44)の内周壁には,前記第2ボス(42)の外周面に密接して制御基体(5)の前記第1ボス(41)周りの回転方向に沿うガタを排除する一対の第2リブ(48)を隆起形成し,スロットルボディ(1)には,バイパス(13)の上流通路(14)と,この上流通路(14)の下流端に連なり前記取り付け面(1a)開口する第1連通部(16)と,バイパス(13)の下流通路(15)と,この下流通路(15)の上流端に連なり前記取り付け面(1a)に開口する第2連通部(17)とを形成し,前記制御基体(5)には,前記バルブガイド孔(7)と,前記第1連通部(16)を前記バルブガイド孔(7)に連通する流入孔(11)と,前記第2連通部(17)を前記バルブガイド孔(7)に連通すると共に前記制御バルブ(12)により開閉される計量孔(10)とを形成し,前記取り付け面(1a)及び制御基体(5)間には,前記第1及び第2連通部(16,17)周りをシールするシール部材(23)を介装したことを特徴とする,スロットルボディのバイパス制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かゝるスロットルボディのバイパス制御装置において,制御基体を合成樹脂製として,これをスロットルボディの取り付け面にボルトで締結すると,制御基体の振動や熱膨張・収縮によりボルトの締結部に緩みが生じる虞がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,スロットルボディの取り付け面に合成樹脂製の制御基体をボルトで締結した場合,そのボルトの締結部に緩みが生じないようにした前記スロットルボディのバイパス制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために,本発明は,中心部に吸気道を有すると共に,その吸気道を開閉するスロットルバルブのバルブ軸を支承するスロットルボディに,スロットルバルブを迂回するように吸気道に接続されるバイパスと,このバイパスに介在するバルブガイド孔と,このバルブガイド孔に嵌装されてバイパスを開閉する制御バルブと,この制御バルブを開閉駆動するアクチュエータとを設け,スロットルボディの一側に形成される取り付け面にボルトにより締結される合成樹脂製の制御基体に前記制御バルブを配設した,スロットルボディのバイパス制御装置であって,スロットルボディの前記取り付け面には,少なくとも一対の第1及び第2ボスを互いに離隔して一体に突設する一方,これら第1及び第2ボスが嵌合する第1及び第2嵌合孔を制御基体に設け,前記第1及び第2ボスに第1及び第2ボルトを螺着緊締し,その緊締力を第1及び第2ボスに負担させながら制御基体を前記取り付け面との接合状態に保持し,前記第1嵌合孔の内周壁には,前記第1ボスの外周面に密接する3個以上の第1リブを隆起形成し,また前記第2嵌合孔の内周壁には,前記第2ボスの外周面に密接して制御基体の前記第1ボス周りの回転方向に沿うガタを排除する一対の第2リブを隆起形成し,スロットルボディには,バイパスの上流通路と,この上流通路の下流端に連なり前記取り付け面に開口する第1連通部と,バイパスの下流通路と,この下流通路の上流端に連なり前記取り付け面に開口する第2連通部とを形成し,前記制御基体には,前記バルブガイド孔と,前記第1連通部を前記バルブガイド孔に連通する流入孔と,前記第2連通部を前記バルブガイド孔に連通すると共に前記制御バルブにより開閉される計量孔とを形成し,前記取り付け面及び制御基体間には,前記第1及び第2通部周りをシールするシール部材を介装したことを第1の特徴とする。尚,前記第1及び第2連通部は,後述する本発明の実施形態中の第1及び第2連通溝16,17に対応する。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記バルブガイド孔,制御バルブ及びアクチュエータを,それらの共通軸線が前記バルブ軸の軸線と平行するように配置し,前記第1及び第2ボスを,これらが前記共通軸線及び吸気道の軸線を斜めに跨ぐように配置すると共に,吸気道の下流側に位置する第1ボス又は第2ボスと前記第2連通部とを,これらが吸気道の軸線を挟むように配置し,前記第2連通部に開口する前記下流通路を屈曲させたことを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,位置決めボスを,前記第1及び第2ボスのみとし,吸気道の上流側に位置する第1ボス又は第2ボスと前記第1連通部とを,これらが吸気道の軸線を挟むように配置したことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,スロットルボディの前記取り付け面には,少なくとも一対の第1及び第2ボスを互いに離隔して一体に突設する一方,これら第1及び第2ボスが嵌合する第1及び第2嵌合孔を制御基体に設け,前記第1及び第2ボスに第1及び第2ボルトを螺着緊締し,その緊締力を第1及び第2ボスに負担させながら制御基体を前記取り付け面との接合状態に保持したので,第1及び第2ボルトの第1及び第2ボスに対する締結は,制御基体の振動や熱膨張・収縮によって緩むことはない。しかも前記第1嵌合孔の内周壁には,前記第1ボスの外周面に密接する3個以上の第1リブを隆起形成し,また前記第2嵌合孔の内周壁には,前記第2ボスの外周面に密接して制御基体の前記第1ボス周りの回転方向に沿うガタを排除する一対の第2リブを隆起形成したので,制御基体には強力の緊締力が加えられないにも拘らず,第1及び第2ボスの各半径方向における制御基体の振動を第1及び第2リブにより効果的に抑えることができると共に,第1及び第2嵌合孔に第1及び第2ボスを挿入する際に,制御基体に過剰な負荷が作用しないので,制御基体の振動や熱膨張・収縮によって第1及び第2ボルトが緩むことや破壊されることがなく,制御基体を常に確実に保持し,制御バルブによるバイパス制御を安定させることができる。その上,スロットルボディには,バイパスの上流通路と,この上流通路の下流端に連なり前記取り付け面に開口する第1連通部と,バイパスの下流通路と,この下流通路の上流端に連なり前記取り付け面に開口する第2連通部とを形成し,前記制御基体には,前記バルブガイド孔と,前記第1連通部を前記バルブガイド孔に連通する流入孔と,前記第2連通部を前記バルブガイド孔に連通すると共に前記制御バルブにより開閉される計量孔とを形成し,前記取り付け面及び制御基体間には,前記第1及び第2連通部周りをシールするシール部材を介装し,第1及び第2嵌合孔に第1及び第2ボスを挿入し,第1及び第2ボスに第1及び第2ボルトを螺着緊締したので,バイパスを簡単に形成することができると共に,バイパス制御装置を簡単にスロットルボディに組み付けることができる。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば,前記バルブガイド孔,制御バルブ及びアクチュエータを,それらの共通軸線が前記バルブ軸の軸線と平行するように配置し,前記第1及び第2ボスを,これらが前記共通軸線及び吸気道の軸線を斜めに跨ぐように配置すると共に,吸気道の下流側に位置する第1ボス又は第2ボスと前記第2連通部とを,これらが吸気道の軸線を挟むように配置し,前記第2連通部に開口する前記下流通路を屈曲させたので,前記取り付け面のスペースを有効に利用して第1及び第2ボス間の間隔を充分に確保して,制御基体の第1ボス周りの回転振動をより効果的に抑えることができる。
【0011】
しかも,第2ボスと前記第2連通溝とは,吸気道の軸線を挟むように配置され,前記第2連通溝に開口する前記下流通路は屈曲部を有することで,第2ボスと前記第2連通溝との干渉を容易に回避しながら,下流通路に屈曲部を形成することが容易となり,エンジンの吹き返しガスの計量孔への侵入を防ぐことができる。また第1及び第2ボス間外に比較的重いアクチュエータが配置された場合に,制御基体の振動を効果的に抑え留ことができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば,位置決めボスを,前記第1及び第2ボスのみとすることで,最小の部品をもって制御基体の保持を確実に行うことができる。また吸気道の上流側に位置する第1ボス又は第2ボスと前記第1連通部とを,これらが吸気道の軸線を挟むように配置したので,第1ボスと前記第2連通溝との干渉を容易に回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。
【0015】
先ず,
図1〜
図3において,符号1は,例えば自動二輪車用のエンジンの吸気管35に接続されるスロットルボディであって,吸気管35内と連通する吸気道2を中心部に有し,その吸気道2を開閉するバタフライ型のスロットルバルブ3のバルブ軸3aがスロットルボディ1に回転自在に支承される。このバルブ軸3aの一端部には,操縦者によりスロットルワイヤを介して操作されるスロットルドラム4が固着され,またバルブ軸3aの他端部の回転をスロットルバルブ3の開度として検出するスロットルセンサ9がスロットルボディ1に取り付けられる。以上によりスロットルボディ組立体Aが構成される。
【0016】
上記スロットルドラム4及びスロットルセンサ9間において,スロットルボディ1の一側に,吸気道2の軸線Xと平行な取り付け面1aが形成され,この取り付け面1aに,バイパス制御装置Bの制御基体5が重ねられ,複数,図示例では一対の第1及び第2ボルト45,46により締結され,その締結構造については後述する。スロットルボディ1は軽合金製,制御基体5は合成樹脂製である。
【0017】
スロットルボディ1から制御基体5にわたり,スロットルバルブ3を迂回して吸気道2に接続されるバイパス13が形成され,そのバイパス13の構成を以下に説明する。
【0018】
スロットルボディ1には,スロットルバルブ3より上流の吸気道2に上流端を開口する上流通路14と,スロットルバルブ3より下流の吸気道2に下流端を開口する下流通路15とが形成され,また前記取り付け面1aには,上流通路14の下流端に連なる第1連通溝16と,下流通路15の上流端に連なる第2連通溝17とが形成される。取り付け面1aには,第1及び第2連通溝16,17をそれぞれ囲繞するシール部材23が装着され,制御基体5の接合面に密接するようになっている。
【0019】
また前記下流通路15は,
図2に明示するように,前記第2連通溝17の下流端より下方へ直角に屈曲して吸気道2側に延びる縦孔15aと,この縦孔15aの下流端より水平方向へ直角に屈曲する横孔15bと,この横孔15bの下流端より下方へ直角に延びて吸気道2に達する縦溝15cとで構成され,その縦溝15cは,スロットルボディ1の,エンジンの吸気管35が接合される接合端面1bに形成される。この接合端面1bには,吸気道2及び縦溝15cを囲繞するOリング24が装着され,上記吸気管35の接合端面に密接するようになっている。
【0020】
一方,制御基体5には,吸気道2の軸線Xと直交する方向,即ちバルブ軸3aの軸線Y1と平行に自身の軸線Y2を向ける方形断面のバルブガイド孔7と,このバルブガイド孔7に前記第1連通溝16を連通する流入孔11と,同バルブガイド孔7に前記第2連通溝17を連通する計量孔10とが形成される。こうしてバイパス13は,上流通路14,第1連通溝16,流入孔11,バルブガイド孔7,第2連通溝17及び下流通路15(縦孔15a,横孔15b及び縦溝15c)より構成される。
【0021】
前記計量孔10は,長径がバルブガイド孔7の軸線Y2の方向に向く長孔状をなしており,この計量孔10を開閉すべく全開位置A及び全閉位置B間(
図3の上半部及び下半部参照)を移動する制御バルブ12がバルブガイド孔7に摺動自在に嵌装される。
【0022】
こうして,制御バルブ12により開閉される計量孔10と,吸気道2に開口するバイパス13の下流端部,即ち縦溝15cとは,吸気道2の軸線Xに沿って互いにオフセットSして配置され,その間の途中通路が屈曲するように形成される。また下流通路15の中間部の縦孔15aは,スロットルボディ1の取り付け面1a側から見たスロットルボディ1の平面視で,バルブ軸3aと重なるように配置される。
【0023】
制御バルブ12は,下側面を制御外側面8bとして前記バルブガイド孔7の制御内側面8aに摺接させる制御壁12aと,この制御壁12aの左右両側端部より起立してバルブガイド孔7の左右両内側面に対面する一対の側壁12b,12bと,制御壁12aの,バルブガイド孔7の底部側の前端より起立して両側壁12b,12bの前端部間を連結する前端壁12cと,制御壁12a及び両側壁12a,12aの後端部から内方に突出する内向き鍔12dとよりなっていて,制御壁12aと反対側の面を開放面12eとした箱形をなしており,したがってこの制御バルブ12は,方形断面のバルブガイド孔7内では,その軸方向に摺動自在であるが,回転は不能である。
【0024】
また制御基体5には,前記バルブガイド孔7の開口端に段部18を介して連なる,バルブガイド孔7より大径のモータ取り付け孔19が設けられ,それに電動モータ20のステータ20aが装着される。その際,ステータ20aの前端面と段部18との間には,電動モータ20の出力軸20bの外周面に密接する,ゴム等の弾性材よりなるシール部材21が挟持される。電動モータ20の出力軸20bは,正逆転が可能であり,この出力軸20bに前記制御バルブ12がねじ機構25を介して連結される。
【0025】
上記ねじ機構25は,制御バルブ12に回り止め手段を介し連結されて制御バルブ12を同期的に開閉駆動するスライドピース27と,電動モータ20の出力軸20bに連設され,スライドピース27に制御バルブ12の摺動方向に沿って設けられたねじ孔28に螺合するねじ軸29とで構成される。上記ねじ孔28は,行き止まり部28aを有する袋状に形成される。スライドピース27は,制御バルブ12のU字状の内向き鍔12d内を貫通して制御バルブ12内に配置される筒軸27aと,この筒軸27a前端の閉鎖端壁27bの外周に形成されるフランジ27cとよりなっており,筒軸27aには,前記ねじ軸29が螺合する袋状の前記ねじ孔28が設けられる。
【0026】
前記外向きフランジ27cと前記内向き鍔12dとの間にはコイルスプリング33が縮設され,このコイルスプリング33のセット荷重により制御バルブ12はスライドピース27に対して後方,即ち電動モータ20側へ付勢され,それによりスライドピース27の前端壁12cが外向きフランジ27cとの当接状態に保持される。これにより,スライドピース27及び制御バルブ12は,互いに軸方向にガタ無く連結される。
【0027】
而して,バルブガイド孔7の軸線Y2は,バルブ軸3aの軸線Y1と平行に延びている。
【0028】
前記回り止め手段は,スライドピース27の閉鎖端壁27bの外端面に形成されるキー溝36と,制御バルブ12の前端壁12cの内端面に突設されて上記キー溝36に係合するキー37とより構成され,これらキー溝36及びキー37の係合により,スライドピース27及び制御バルブ12の相対回転が阻止されるようになっている。以上によりバイパス制御装置Bが構成される。
【0029】
さて,スロットルボディ1の取り付け面1aへの制御基体5の締結構造について,
図2及び
図4により説明する。
【0030】
スロットルボディ1の前記取り付け面1aには,一対の第1及び第2ボス41,42が一体に形成され,これら第1及び第2ボス41,42は,前記共通軸線Y2及び吸気道2の軸線Xを斜めに跨ぐように配置される。図示例では,吸気道2の下流側に位置するものを第1ボス41,同上流側に位置するものを第2ボス42と言い,第1ボス41と前記第1連通溝16とは,吸気道2の軸線Xを挟んで配置され,また第2ボス42と前記第2連通溝17も,吸気道2の軸線Xを挟んで配置される。
【0031】
一方,制御基体5には,第1及び第2ボス41,42が嵌合する第1及び第2嵌合孔43,44が設けられる。そして,第1及び第2ボス41,42に第1及び第2ボルト45,46が螺着緊締され,その緊締力を第1及び第2ボス41,42に負担させながら,制御基体5は取り付け面1aとの接合状態に保持される。
【0032】
前記第1嵌合孔43の内周壁には,第1ボス41の外周面に密接する3個以上(図示例では3個)の第1リブ47,47…が隆起形成され,また前記第2嵌合孔44の内周壁には,第2ボス42の外周面に密接して制御基体5の第1ボス41周りの回転方向に沿うガタを排除する一対の第2リブ48,48が隆起形成される。具体的には,一対の第2リブ48,48は,第1及び第2ボス41a42の中心を通る直線L1に直交しながら第2ボス42の中心を通る直線L2上に配置される。その際,第2リブ48及び第2ボス42の当接面の少なくとも一方を平坦面49とすることが,当接部の面圧を下げる上で好ましい。
【0033】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0034】
スロットルバルブ3の全閉時には,図示しない電子制御ユニットが,スロットルバルブ開度,エンジンの吸気負圧,吸気温,エンジン温度,エンジン回転数等のエンジンの運転条件に関する情報に基づいて,エンジン始動時,ファストアイドリング時,通常アイドリング時,エンジンブレーキ時など,エンジンの運転条件に対応した制御バルブ12の最適開度を得べく,電動モータ20への通電を制御して,電動モータ20の出力軸20bを正転又は逆転させる。出力軸20bが回転又は逆転すると,その回転はねじ機構25により減速されながらスライドピース27を介して制御バルブ12に軸方向変位として伝達されるので,制御バルブ12は,その軸方向変位により計量孔10のバルブガイド孔7への開口面積をきめ細かく調節することができる。これにより,バイパス13を流れるエンジンの吸気量がきめ細かく制御され,エンジン始動,ファストアイドリング,通常アイドリング,エンジンブレーキ等に対応することができる。
【0035】
特に,制御バルブ12により開閉される計量孔10は,制御バルブ12の摺動方向に長径を向けた長孔状をなしているから,その有効開口面積を制御バルブ12の摺動に応じてきめ細かく調節することができる。
【0036】
この場合,制御バルブ12には,重力による制御内側面8a側への押圧力と,計量孔10から制御バルブ12の制御外側面8bに働くエンジンの吸気負圧による吸引力とが同時に作用し,これらによって制御外側面8b及び制御内側面8a間の密着力は強められる。
【0037】
スロットルバルブ3を開放していけば,その開度に応じた量の吸気が吸気道2を通してエンジンに供給され,エンジンは出力運転域に移っていく。
【0038】
このようなスロットルボディ組立体Aのバイパス制御装置Bにおいて,スロットルドラム4及びスロットルセンサ9間に設けられるスロットルボディ1の取り付け面1aに,それと別体の制御基体5を接合し,その取り付け面1aには,バイパス13の上流通路14の下流端に連なる第1連通溝16と,バイパス13の下流通路15の上流端に連なる第2連通溝17とを形成し,制御基体5には,バルブガイド孔7と,第1連通溝16をバルブガイド孔7に連通する流入孔11と,第2連通溝17をバルブガイド孔7に連通すると共に制御バルブ12により開閉される計量孔10とを形成し,バルブガイド孔7,制御バルブ12及び電動モータ20を,それらの共通軸線Y2がバルブ軸3aの軸線Y1と平行するように配置すると共に,計量孔10を前記共通軸線Y2の方向に長径を向ける長孔状に形成したので,バイパス13を分割してスロットルボディ1及び制御基体5に加工することになり,その加工を容易に行うことができ,しかも制御基体5には,スロットルボディ組立体Aとは別個に,制御バルブ12やねじ機構25,電動モータ20を組み込んでバイパス制御装置Bを構成するので,スロットルボディ組立体Aの組立てと,バイパス制御装置Bの組立てを並行して行うことが可能となり,それらの組立て後,両者を結合して組立てを完成させることで,組立性が良好となり,組立能率も上がる。しかもバイパス制御装置Bは,スロットルドラム4及びスロットルセンサ9間の配置されることになるから,バイパス制御装置Bのスロットルボディ組立体Aからの張り出し量を極力小さく抑えて,バイパス制御装置B付きのスロットルボディ組立体Aのコンパクト化を図ることができる。
【0039】
またバイパス13において,計量孔10及び縦溝15cは,吸気道2の軸線Xに沿って互いにオフセットSして配置され,その間を結ぶ下流通路15は,第2連通溝17の下流端より直角に屈曲して吸気道2側に延びる縦孔15aと,この縦孔15aの下流端より屈曲する横孔15bと,この横孔15bの下流端より屈曲して吸気道2に開口する縦溝15cとで構成されるので,例えばスロットルバルブ3を閉じて,エンジンの減速運転を行ったとき,エンジンの吹き返しガスが縦溝15cに勢いよく侵入して下流通路15を逆流しても,その吹き返しガスは,計量孔10に達するまでに,長い流路を通過しながら複数の曲がり角に衝突することにより,エネルギを効果的に減衰され,その結果,吹き返しガスに含まれる煤等の異物は途中で分離され,その異物による計量孔10の詰まりを防ぐことができる。
【0040】
また下流通路15の中間部の縦孔15aは,スロットルボディ1の取り付け面1a側から見たスロットルボディ1の平面視で,バルブ軸3aと重なるように配置されるので,スロットルボディ1において,バルブ軸3aの上方スペースを縦孔15aの形成に有効に利用することができ,スロットルボディ1を吸気道2の軸線X方向に長く形成することなく,比較的流路の長い下流通路15をスロットルボディ1に設けることが可能となり,スロットルボディ1のコンパクト化に寄与し得る。
【0041】
またスロットルボディ1の前記取り付け面1aには,少なくとも一対の第1及び第2ボス41,42を互いに離隔して一体に突設する一方,これら第1及び第2ボス41,42が嵌合する第1及び第2嵌合孔43,44を制御基体5に設け,前記第1及び第2ボス41,42に第1及び第2ボルト45,46を螺着緊締し,その緊締力を第1及び第2ボス41,42に負担させながら制御基体5を前記取り付け面1aとの接合状態に保持したので,第1及び第2ボルト45,46の第1及び第2ボス41,42に対する締結は,制御基体5の振動や熱膨張・収縮によって緩むことはない。しかも第1嵌合孔43の内周壁には,第1ボス41の外周面に密接する3個以上の第1リブ47,47…を隆起形成し,また第2嵌合孔44の内周壁には,第2ボス42の外周面に密接して制御基体5の第1ボス41周りの回転方向に沿うガタを排除する一対の第2リブ48,48を隆起形成したので,制御基体5には強力の緊締力が加えられないにも拘らず,第1及び第2ボス41,42の各半径方向における制御基体5の振動を第1及び第2リブ47,48により効果的に抑えることができると共に,第1及び第2嵌合孔43,44に第1及び第2ボス41,42を挿入する際に,制御基体5に過剰な負荷が作用しないので,制御基体5の振動や熱膨張・収縮によって第1及び第2ボルト45,46が緩むことや破壊されることがなく,制御基体を常に確実に保持し,制御バルブ12によるバイパス制御を安定させることができる。
【0042】
その上,スロットルボディ1には,バイパス13の上流通路14と,この上流通路14の下流端に連なり前記取り付け面1aに開口する第1連通部と,バイパスの下流通路と,この下流通路の上流端に連なり取り付け面1aに開口する第2連通溝17とを形成し,制御基体5には,バルブガイド孔7と,第1連通溝16をバルブガイド孔7に連通する流入孔11と,第2連通溝17をバルブガイド孔7に連通すると共に制御バルブ12により開閉される計量孔10とを形成し,取り付け面1a及び制御基体5間には,第1及び第2連通溝16,17周りをシールするシール部材23を介装し,第1及び第2嵌合孔43,44に第1及び第2ボス41,42を挿入し,第1及び第2ボス41,42に第1及び第2ボルト45,46を螺着緊締したので,バイパス13を簡単に形成することができると共に,バイパス制御装置Bを簡単にスロットルボディ1に組み付けることができる。
【0043】
かくして,第1及び第2ボルト45,46の第1及び第2ボス41,42に対する締結は,制御基体5の振動や熱膨張・収縮によって緩むことはなく,制御基体5を常に確実に保持し,制御バルブ12によるバイパス制御を安定させることができる。
【0044】
また第1及び第2ボス41,42は,前記共通軸線Y2及び吸気道2の軸線Xを斜めに跨ぐように配置されるので,前記取り付け面1aのスペースを有効に利用して第1及び第2ボス41,42間の間隔を充分に確保でき,制御基体5の第1ボス41周りの回転振動をより効果的に抑えることができる。
【0045】
加えて,吸気道2の下流側に位置する第2ボス42と前記第2連通溝17とは,吸気道2の軸線Xを挟むように配置され,前記第2連通溝17に開口する前記下流通路15は屈曲部を有するので,第2ボス42と前記第2連通溝17との干渉を容易に回避しながら,下流通路15に屈曲部を形成することが容易となり,エンジンの吹き返しガスの計量孔10への侵入を防ぐことができる。
【0046】
また吸気道2の上流側に位置する第1ボス41と前記第1連通溝16とは,吸気道2の軸線Xを挟むように配置されるので,第1ボス41と前記第2連通溝17との干渉を容易に回避することができる。また位置決めボスを,前記第1及び第2ボス41,42のみとすれば,最小の部品をもって制御基体5の保持を確実に行うことができる。
【0047】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,ボルト45,46による締結部を3箇所以上とすることもできる。またボルト45,46の緩みを効果的に防ぐべく,各ボス41,42の上端面に,ボルト45,46の締結により圧潰される突起を形成することもできる。