特許第5963207号(P5963207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963207上皮形成方法、ドレッシング、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963207
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】上皮形成方法、ドレッシング、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20160721BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61B17/00
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-500126(P2013-500126)
(86)(22)【出願日】2011年3月14日
(65)【公表番号】特表2013-521940(P2013-521940A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011028352
(87)【国際公開番号】WO2011115911
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】13/045,663
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/314,236
(32)【優先日】2010年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/314,274
(32)【優先日】2010年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マンウェリング,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクス,ロバート ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】レオン,ブレーデン
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0275409(US,A1)
【文献】 特開2007−130417(JP,A)
【文献】 特表2003−532504(JP,A)
【文献】 特開2006−149818(JP,A)
【文献】 特表平10−500031(JP,A)
【文献】 特表2010−525873(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/141228(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61B 17/00
A61M 1/00
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生上皮組織と、隣接する組織層との間にアンカー点を形成する上皮形成ドレッシングにおいて、
第1の側面と第2の組織面側面とを有するドレッシング本体;
近位端部と遠位端部とをそれぞれ有する複数の突起であって、各遠位端部が複数の細孔を有し、各近位端部が前記ドレッシング本体の前記第2の組織面側面に結合されており、および各突起の縦方向長さが、10〜5000ミクロンの範囲にある、複数の突起;
前記ドレッシング本体の前記第1の側面および前記第2の組織面側面を通って配置された複数のアパーチャであって、前記複数の突起が前記複数のアパーチャの間に配置される、複数のアパーチャ;および
前記複数の突起の各々の前記遠位端部に形成されたサブ構造
を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項2】
請求項1に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記サブ構造が、前記複数の突起の各突起の前記遠位端部に形成された溝を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項3】
請求項1に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記サブ構造が、前記複数の突起の各突起の前記遠位端部に形成された複数の隆起を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項4】
請求項1に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記サブ構造が、前記複数の突起の各突起の前記遠位端部に形成された波形を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項5】
請求項1または請求項2〜4のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記複数のアパーチャが複数のスリットを含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項6】
請求項1または請求項2〜5のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、各突起が、内部部分と外部部分とを有し、および前記細孔が、前記内部部分と前記外部部分との間に流体連通をもたらすことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項7】
請求項1または請求項2〜4のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記複数の突起が複数の円錐状の突起を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項8】
請求項1または請求項2〜7のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項9】
請求項1または請求項2〜8のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含み、および前記供給溜めが可溶性因子を含むことを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項10】
請求項1または請求項2〜8のいずれか一項に記載の上皮形成ドレッシングにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含み、および前記複数の突起および前記ドレッシング本体が生体再吸収性材料で形成されていることを特徴とする、上皮形成ドレッシング。
【請求項11】
創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、
上皮形成ドレッシングにおいて、
第1の側面と第2の組織面側面とを有するドレッシング本体、
近位端部と遠位端部とをそれぞれ含む複数の突起であって、前記遠位端部が複数の細孔を有し、前記近位端部が前記ドレッシング本体の前記第2の組織面側面に結合されている、複数の突起、
前記ドレッシング本体の前記第1の側面および前記第2の組織面側面を通って配置された複数のアパーチャであって、前記複数の突起が前記複数のアパーチャの間に配置される、複数のアパーチャ、
を含む上皮形成ドレッシング;
前記創傷および前記上皮形成ドレッシングを覆って流体シールを形成するシール部材;
前記上皮形成ドレッシングに減圧を提供する減圧インターフェース;および
前記減圧インターフェースに流体結合されるよう構成された減圧源
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項12】
請求項11に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記突起の前記遠位端部に形成されたサブ構造を更に含み、前記サブ構造が、溝を含むことを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項11に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記突起の前記遠位端部に形成されたサブ構造を更に含み、前記サブ構造が、複数の隆起を含むことを特徴とする、システム。
【請求項14】
請求項11または12または13に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記複数のアパーチャが複数のスリットを含むことを特徴とする、システム。
【請求項15】
請求項1114のいずれか一項に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記複数の突起が複数の円錐状の突起を含むことを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項11または請求項1215のいずれか一項に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項17】
請求項11または請求項1215のいずれか一項に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含み、および前記供給溜めが可溶性因子を含むことを特徴とする、システム。
【請求項18】
請求項11または請求項1215のいずれか一項に記載の創傷の上皮形成を促進するシステムにおいて、前記複数の突起が、前記突起の内部部分に形成された供給溜めをさらに含み、および前記複数の突起および前記ドレッシング本体が生体再吸収性材料で形成されていることを特徴とする、システム。
【請求項19】
上皮形成ドレッシングの製造方法において、
医療グレードのポリマーから、第1の側面と第2の側面とを有するドレッシング本体を形成するステップと;
医療グレードのポリマーから複数の突起を形成するステップにおいて、前記突起が、内部部分と、前記突起の前記内部部分と外部部分とを流体的に結合する複数の細孔とを有して形成されるステップと;
前記ドレッシング本体の前記第2の側面に前記複数の突起を結合させるステップと;
前記複数の突起の間で前記ドレッシング本体にアパーチャを形成するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の製造方法において、ドレッシング本体を形成する前記ステップ、複数の突起を形成する前記ステップ、および前記複数の突起を結合させる前記ステップが、前記複数の突起を備える前記ドレッシング本体を成形することを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、35USC§119(e)下において、2010年3月16日出願の米国仮特許出願第61/314,236号(「Epithelialization Methods,Dressings,and Systems」)(あらゆる点において本願明細書に援用する)、および2010年3月16日出願の米国仮特許出願第61/314,274号(「Patterned Neo−Epithelialization Dressings,Systems,and Methods」)(これも、あらゆる点において本願明細書に援用する)の出願の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概して医療的創傷ケアシステムに関し、より詳細には、減圧を使用する上皮形成方法、ドレッシング、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
医療状況に応じて、とりわけ減圧療法においては減圧を使用して、組織部位における肉芽形成を促し得る。創傷の通常の治癒過程では、上皮形成(または、上皮が実際には、失われた上皮の代わりに成長するため、再上皮形成)は肉芽形成後に起こるため、いくつもの問題をもたらし得る。
【発明の概要】
【0004】
説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、創傷床に肉芽組織を有する創傷の治療方法は、創傷床の肉芽組織に近接して上皮形成ドレッシングを展開配置するステップと、上皮形成ドレッシングに圧縮力を発生させて、肉芽組織に複数の突起がぶつかるようにするステップと、上皮組織が突起に近接して形成される十分な時間を確保するステップとを含む。上皮形成ドレッシングは、ドレッシング本体および複数の突起を含む。各突起は、近位端部と遠位端部とを有し、および近位端部は、ドレッシング本体の第2の組織面側面に結合されている。
【0005】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、創傷床を有する創傷の治癒を促進する方法は、肉芽形成を促すシステムによって創傷床に肉芽組織を形成するステップと、上皮形成ドレッシングによって肉芽組織に複数の空洞を生成するステップと、上皮組織が空洞に移動する際に複数の円柱上皮を生成するステップとを含む。上皮形成ドレッシングは、肉芽組織に複数の空洞を生成する複数の突起を含む。
【0006】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、創傷の肉芽組織と上皮との間に、シミュレーションした乳頭間隆起(simulated rete pegs)を形成する方法は、複数の突起を提供すること、肉芽組織に近接して複数の突起を配置すること、複数の突起が肉芽組織にぶつかるようにすること、および複数の突起の周りに上皮が移動する十分な時間を確保し、それにより、シミュレーションした乳頭間隆起が形成されることを含む。シミュレーションした乳頭間隆起は、隣接する組織層を固定するのを助ける。
【0007】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、2つの隣接する組織層間にアンカー点を形成するための上皮形成ドレッシングは、ドレッシング本体および複数の突起を含む。ドレッシング本体は、第1の側面と第2の組織面側面とを有する。各突起は、近位端部と遠位端部とを有し、および各近位端部は、ドレッシング本体の第2の組織面側面に結合されている。上皮形成ドレッシングは、ドレッシング本体の一部分に形成された第1の複数のアパーチャと、複数の突起の各々の遠位端部に形成されたサブ構造とをさらに含む。
【0008】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、創傷の上皮形成を促進するシステムは、上皮形成ドレッシング、創傷および上皮形成ドレッシングを覆って流体シールを形成するシール部材、上皮形成ドレッシングに減圧を提供する減圧インターフェース、および減圧インターフェースに流体結合された減圧源を含む。上皮形成ドレッシングは、ドレッシング本体および複数の突起を含む。ドレッシング本体は第1の側面および第2の組織面側面を含む。各突起は近位端部および遠位端部を有する。各近位端部は、ドレッシング本体の第2の組織面側面に結合されている。ドレッシング本体はまた、ドレッシング本体の一部分に形成された複数のアパーチャと、複数の突起の各々の遠位端部に形成されたサブ構造とを含む。
【0009】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、上皮形成ドレッシングの製造方法は、医療グレードのポリマーから、第1の側面と第2の側面とを有するドレッシング本体を形成するステップと、医療グレードのポリマーから、アスペクト比(複数の突起の平均的な突起の長い方の寸法を、複数の突起の平均的な突起の短い方の寸法で割ったもの)が1/10〜10の範囲にある複数の突起を形成するステップとを含む。突起は、内部部分と、突起の内部部分と外部部分との間を流体的に結合する複数の細孔とを有して形成される。方法は、ドレッシング本体の第2の側面に複数の突起を結合するステップをさらに含む。
【0010】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態によれば、創傷の上皮形成を促進する上皮形成ドレッシングは平面的な部材を含み、平面的な部材は、医療グレードのポリマーから形成され、かつ第1の側面と第2の組織面側面とを有し、第1の側面と第2の組織面側面との間の流体連通を可能にするように動作可能な複数のアパーチャを有して形成されている。上皮形成ドレッシングは、第2の組織面側面に結合された複数のペグ(pegs)をさらに含む。複数のペグの各ペグは、10〜5000ミクロンの範囲の縦方向長さを有し、および1/10〜10の範囲のアスペクト比(複数のペグの平均的なペグの長い方の寸法を、複数のペグの平均的なペグの短い方の寸法で割ったもの)を有する。
【0011】
説明に役立つ実施形態の他の特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照にすることから明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、上皮形成ドレッシングの説明に役立つ非限定的な実施形態の概略的な斜視図である。
図2図2は、突起の遠位端部を示す、図1の上皮形成ドレッシングの一部分の平面図である。
図3図3は、図1の上皮形成ドレッシングの一部分の概略的な断面図である。
図4図4は、供給溜めを示す、説明に役立つ上皮形成ドレッシングの、説明に役立つ突起の概略的な断面図である。
図5図5は、説明に役立つ上皮形成ドレッシングの、説明に役立つ突起の概略的な断面図である。
図6図6は、説明に役立つ上皮形成ドレッシングの、説明に役立つ突起の概略的な平面図である。
図7図7は、説明に役立つ上皮形成ドレッシングの、説明に役立つ突起の概略的な断面図である。
図8図8は、説明に役立つ上皮形成ドレッシングの概略的な斜視図である。
図9図9は、肉芽形成を促進する、説明に役立つシステムの断面を示す部分の概略図である。
図10図10は、上皮形成を促進する、説明に役立つシステムの断面を示す部分の概略図である。
図11図11は、説明に役立つ一実施形態による上皮形成ドレッシングによって上皮形成を促すように治療された創傷の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
非限定的な説明に役立つ実施形態の以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるのに十分な程度、詳細に説明し、および他の実施形態を使用し得ること、および本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、論理的な構造、機械、電気および化学的な変更がなされ得ることが理解される。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細を避けるために、説明では、当業者に公知の特定の情報を省略し得る。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定ととられるべきではなく、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0014】
皮膚の最外層または最浅層部は表皮であり、表皮自体が多数の層を有している。表皮は真皮に隣接している。表皮は、真皮乳頭とかみ合う、内向きの延長部であるマルピーギ層を有し得る。これらの延長部を「乳頭間隆起」と呼ぶことがある。乳頭間隆起は、隣接層のせん断誘起分離に対する抵抗をもたらし得る。対照的に、再上皮化した創傷は、せん断に対する抵抗をあまり有しないことが多い。
【0015】
創傷の治癒過程では、表皮は再生し得るが、新しく形成された上皮は、少なくとも初めは、乳頭間隆起が無いことが多い。このため、新しく形成された上皮は、簡単に破壊され得るかまたははがれ得る。ここで主に図1〜3を参照すると、健康な乳頭間隆起として有効に機能するために、層をより強力に接続するまたはつなぐことを促すための上皮形成ドレッシング100を使用し得る。上皮形成ドレッシング100は、上皮形成ドレッシング100上の表面構造を使用することにより、表皮の下にある組織層との、上皮のアンカー点を誘発し得る。
【0016】
さらに、上皮形成ドレッシング100は、下にある組織と共に上皮を保持または固定し、それにより、せん断力による損傷から上皮を保護し得る。加えて、上皮形成ドレッシング100はバリヤーを維持し、上皮を繰り返し修復する必要性を除去し得る。上皮形成ドレッシング100はまた、上皮形成過程を加速し得る。
【0017】
上皮形成ドレッシング100は多数の機能を果たし得る。例えば、上皮形成ドレッシング100は、創傷に流体があるようにして、上皮形成を促すのを助けるように機能し得る。別の例として、上皮形成ドレッシング100は、上皮形成ドレッシング100の物理的、化学的、または機械的特性を使用して、下にある組織構造の発達を方向付けして、再生表皮の強度を高めるようにし得る。本明細書では、他に指定のない限り、「または」は、相互排他性を必要としない。
【0018】
上皮形成ドレッシング100は、第1の側面104と第2の組織面側面106とを有するドレッシング本体102を有して形成され得る。ドレッシング本体102は、多数の形状を取り得るが、薄層状体として示す、すなわち、長手方向断面および横方向断面の双方においてアスペクト比(長い方の寸法を短い方の寸法で割ったもの)が1を超える。換言すると、ドレッシング本体102を、平坦なまたは実質的に平坦な部材として示す。ドレッシング本体102には、丸みの付けられた部材など他の形状も使用し得る。
【0019】
ドレッシング本体102は、ドレッシング本体102の第2の組織面側面106に結合され得る複数の突起108を有し得る。各突起108は、近位端部110および遠位端部112を有する。各突起108の近位端部110は、ドレッシング本体102の第2の組織面側面106に結合されている。ドレッシング本体102の一部分には複数のアパーチャ114、例えばスリット116または窓が形成されていてもよい。アパーチャ114はスリット116(実質的に材料が全く取り除かれない長手方向開口部)としてもよいし、または丸い穴、角穴、または減圧を含め、流体の移行をもたらす任意の形状の開口部としてもよい。
【0020】
突起108または他の微細構造は、肉芽組織に配置するためのものであり、および乳頭間隆起のように機能し得る円柱上皮166(図11)の形成に役立つように機能する。突起108は、多数の形状およびサイズを取り得る。突起108は、例えばロッド、円錐体、円柱、隆起、溝、波形、または空洞162(図10)を形成する他の構造とし得る。例えば、図1〜5は、円錐部材として突起108を示し、図6は、平面図で三角形の突起108を示し、および図7は、突起108の断面をシリンダー状部材として示す。図8は、連続的な棒または直交部材のように形成された突起108を示す斜視図を示す。突起108は、ドレッシング本体102上でランダムに離間していてもよいし、またはパターン状に離間していてもよい。図5に示すように、突起内部には、供給溜め117が形成されていてもよい。
【0021】
ここで主に図3を参照すると、各突起108は、縦方向長さ118(第2の組織面側面106から測定される)と、近位端部110での横方向幅すなわち直径120と、遠位端部112での横方向幅すなわち直径122とを有し得る。各突起108のアスペクト比(縦方向長さ118/平均横方向幅)は1/10〜10の範囲、より典型的には1/2〜2の範囲とし得る。複数の突起108の平均的な突起のアスペクト比(複数の突起の平均的な突起の長い方の寸法を、複数の突起の平均的な突起の短い方の寸法で割ったもの)は、1/10〜10の範囲、より典型的には1/2〜2の範囲とし得る。他の非限定的な例では、アスペクト比は3/10、5/10、8/10、2、3、4、5、6、7、8、または9とし得る。アスペクト比は、下の組織にかけられる歪みのレベルを制御するのを助けかつ歪み勾配を制御するのを助けるように調整し得る。誘発された歪みの制御は、組織の再構築の制御を助け、かつ幹細胞の分化に影響を与え得る。突起108の遠位端部112にある縁部124または前縁部は、同様に歪みを制御する助けとなるように、鋭くてもよいし(直角、90度、または実質的に90度)、または丸みを帯びていてもよい。突起108は全て、同じ寸法または特性を有してもよいし、または互いに異なってもよい。
【0022】
図2に示すように、突起108の遠位端部112には複数の細孔126または小型アパーチャが形成され得る。同様にまたは代わりに、細孔126は、突起108またはドレッシング本体102の他の場所に形成され得る。細孔126は、上皮形成ドレッシング100付近からの流体の除去を促す、減圧を供給する、流体の供給を可能にする、または意図的な組織の内方成長をもたらし得る。細孔(図示せず)はまた、突起108間のドレッシング本体102の第2の組織面側面106にも形成され得る。図4を参照すると、細孔126は、流体または他の物質、例えば成長因子を、供給溜め117から突起108付近の部位まで送出する助けをし得る。
【0023】
主に図5を参照すると、細孔126は、突起108付近での減圧の供給および流体の除去を促すように示されている。ドレッシング本体102を貫通するアパーチャ115によって、ドレッシング本体102の第1の側面104から供給溜め117まで減圧を供給できる。細孔126(この実施形態では突起108の遠位端部および側面部分にある)は、供給溜め117から突起108の外部へ減圧を移す。この実施形態では、ドレッシング本体102の第1の側面104は、突起108の外部と流体連通している。別の実施形態では、突起108は二室性の溜め室(図示せず)を備えて形成され、一方の部分が物質を供給し、かつ別の部分が減圧を提供し得る。
【0024】
図6に示すように、一部の実施形態では、一般に遠位端部112にある突起108に、マイクロスケールまたはナノスケールの構造128、またはサブ構造が追加され得る。サブ構造128は、例えば、溝130、隆起、または波形とし得る。サブ構造128は一般に細孔126とは分離しているが、他の実施形態では、サブ構造128に細孔として開口部を含ませることができる。マイクロスケールまたはナノスケールの構造128は、サブ構造128に吸収されるかまたは細胞の高さを高めてタンパク質をパターン化し、かつ向きおよび移動を方向付けることができ得る。サブ構造128が溝、例えば、溝130である場合、線維芽細胞が付着し、構造に従って向きが決定されるようになり、および類似のパターンでマトリックスタンパク質を分泌する。これはさらに、組織発達の制御を可能にし得る。
【0025】
突起108のサイズおよび形状、細孔126またはサブ構造128のサイズおよび間隔を使用して組織発達を制御し、成熟を促し、かつせん断応力に対する回復期創傷の強度を高め得る。突起108または他の微細構造は、細胞の方向性および組織化を含め、組織の増殖および再構築を誘導し得る。突起108または微細構造の幾何学的形状は、組織において特定の負荷および歪みの分布および勾配を誘発するように修正し得る。これらの修正は、アスペクト比、サイズ、間隔、接触域(%)、接触点での曲率、代わりの構造の形状およびサイズ、生体模倣パターン、および微細構造およびサブ構造128のオーバーレイを含み得る。突起108のサイズおよびアスペクト比は、所望通りに、組織境界面での応力および歪みを制御するように修正され得る。
【0026】
多数の材料、例えば医療グレードのポリマー、例えば、シリコーンまたはポリウレタン、または生体高分子、例えば、コラーゲンを使用して、上皮形成ドレッシング100を形成し得る。上皮形成ドレッシング100を形成し得る他の材料は、生体再吸収性(bioresorbable)(または再吸収性(resorbable))材料、生物材料、または非再吸収性材料を含む。本明細書では、「生体再吸収性」は、生体内で単純な化学種に酵素的にまたは化学的に分解し、かつこれら化学種を、排出または代謝によって体から除去し得る材料を含む。材料は閉塞性の材料とし得る。上皮形成ドレッシング100は、組織の増殖物に付着しなくてもよい。上皮形成ドレッシング100は、ドレッシング本体102用の非吸収性材料から形成し得る。突起108は、生体再吸収性材料から形成し得る。別の実施形態では、上皮形成ドレッシング100全体を、生体再吸収性材料から形成する。上皮形成ドレッシング100の第2の組織面表面106は、発泡体表面と比較して、突起108以外は比較的平滑な、湿った表面とし得る。図3を参照すると、ドレッシング100の深さ132は、10〜5000ミクロンの範囲、より典型的には400〜600ミクロンの範囲とし得る。例えば、限定はされないが、深さ132は400、425、450、475、500、525、550、575、600ミクロンまたは別の深さとし得る。
【0027】
ここで図8を参照すると、上皮形成ドレッシング100の、別の説明に役立つ非限定的な実施形態が示されている。図8の上皮形成ドレッシング100は、第1の側面104と第2の組織面側面106とを有するドレッシング本体102を備えて形成され得る。複数の突起108が、ドレッシング本体102の第2の組織面側面106に結合され得る。各突起108は近位端部110と遠位端部112とを有する。各突起108の近位端部110はドレッシング本体102の第2の組織面側面106に結合されている。突起108は、肉芽組織にぶつかるように使用される格子を形成している。ドレッシング本体102の一部分に複数のアパーチャ114が形成され、円形開口部として示されている。
【0028】
ここで主に図9〜11を参照すると、創傷134または他の組織部位を治療する1つの説明に役立つ非限定的なプロセスが示されている。初めに図9を参照すると、創傷134は、肉芽形成を促すシステム103で治療される。創傷134に近接してマニホールド136が配置される。本明細書では、用語「マニホールド」は、概して、組織部位または創傷134へ減圧を行う、組織部位または創傷134へ流体を供給する、または組織部位または創傷134から流体を除去するのを支援するために設けられた物体または構造を指す。
【0029】
マニホールド136は、一般に、流体を、マニホールド136の周りの組織部位または創傷134にもたらしかつそこから除去されるように分配させる複数の流路または流れ経路を含む。説明に役立つ一実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、創傷134に提供されるまたはそこから除去される流体の分配を改善する。マニホールド136は、創傷134と接触して配置されかつ創傷134に減圧を分配させることができる生体適合性材料とし得る。
【0030】
マニホールド136の例としては、例えば、限定はされないが、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置、例えば、セル状発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、液体、ゲル、および流路を含むまたは流路を硬化して含む発泡体などを含む。マニホールド136は多孔性とし、かつ発泡体、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的応用に好適な任意の他の材料から作製し得る。一実施形態では、マニホールド136は多孔質発泡体であり、かつ、流路の機能を果たす複数の連続気泡または細孔を含む。多孔質発泡体は、ポリウレタン、連続気泡、網状発泡体、例えばKinetic Concepts,Incorporated(San Antonio、Texas)製のV.A.C.(登録商標)GranuFoam(登録商標)材とし得る。他の実施形態は、「独立気泡」を含み得る。場合によっては、マニホールド136はまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を創傷134に分配するためにも使用し得る。マニホールド136にまたはマニホールド136上に、吸収材料、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層も含まれる。
【0031】
マニホールド136に近接して減圧インターフェース138、例えばコネクタが配置されて、シール部材142のアパーチャ140を通って延在する。シール部材142は、創傷134を覆って流体シールを形成する。「流体シール」または「シール」は、所望の部位に、関係する特定の減圧源またはサブシステムによって与えられる減圧を維持するのに適切なシールを意味する。
【0032】
シール部材142は、流体シールをもたらす任意の材料とし得る。シール部材は、例えば、不浸透性または半透過性のエラストマー材料とし得る。「エラストマー」は、エラストマーの特性を有することを意味する。エラストマー材料は、一般的に、ゴム様の特性を有するポリマー材料を指す。より具体的には、ほとんどのエラストマーの極限伸びは100%超であり、かなりの程度の弾力性を有する。材料の弾力性は、弾性変形から回復する材料の能力を指す。エラストマーの例は、限定されるものではないが、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コ−ポリエステル、およびシリコーンを含む。シール部材材料の追加的な具体例は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、またはAvery Dennison Corporation(Pasadena,California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープを含む。シール部材142は、第1の側面144および第2の組織面側面146を有する。
【0033】
取付装置148を使用して、患者の表皮150または別の層、例えばガスケットまたは追加的なシール部材に対してシール部材142を保持する。取付装置148は多数の形態を取り得る。例えば、取付装置148は、シール部材142の周囲に延在する、医学的に容認できる感圧接着剤とし得る。追加的な例として、取付装置148は、両面ドレープテープ、ペースト、親水コロイド、ヒドロゲルまたは他のシール装置または要素とし得る。
【0034】
減圧供給導管152は、減圧インターフェース138を、減圧を提供する減圧源154に流体結合し得る。減圧源154は、減圧を供給するための任意の装置、例えば真空ポンプ、壁面吸い込み、マイクロポンプ、または他の源とし得る。組織部位または創傷134に行われる減圧の量および性質は、一般に適用に応じて変動するが、減圧は、典型的には−5mm Hg(−667Pa)〜−500mm Hg(−66.7kPa)とし、より典型的には−75mm Hg(−9.9kPa)〜−300mm Hg(−39.9kPa)とする。例えば、限定するものではないが、圧力は−12、−12.5、−13、−14、−14.5、−15、−15.5、−16、−16.5、−17、−17.5、−18、−18.5、−19、−19.5、−20、−20.5、−21、−21.5、−22、−22.5、−23、−23.5、−24、−24.5、−25、−25.5、−26、−26.5kPaまたは他の圧力とし得る。
【0035】
本明細書では、「減圧」は、一般的に、治療が施されている組織部位における周囲圧力を下回る圧力を指す。ほとんどの場合、この減圧は、患者がいる場所の気圧を下回る。あるいは、減圧は、組織部位の静水圧を下回る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の値は、ゲージ圧である。供給される減圧は、一定であっても、または変化してもよく(パターン化またはランダム)、連続的にまたは断続的に供給され得る。用語「真空」および「陰圧」を使用して、組織部位にかけられる圧力を説明するが、組織部位にかけられる実際の圧力は、完全な真空に通常関連する圧力を上回り得る。本明細書での使用と一致して、他に指定のない限り、減圧または真空圧の上昇は、一般に、絶対圧の相対的減少を指す。
【0036】
減圧導管152は1つ以上の装置、例えば装置156を含んでもよい。例えば、装置156は、滲出液および除去された他の流体を保持するための液溜め、または収集部材とし得る。減圧供給導管152に含まれ得るまたは減圧供給導管152に流体結合され得る装置156の他の例は、以下の非限定的な例を含む:圧力フィードバック装置、容量検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、または温度監視システム。これらの装置のいくつかは、減圧源154と一体的に形成され得る。
【0037】
創傷134に供給される減圧は、創傷欠損を新しい組織で埋めるのを助ける。減圧は、線維芽細胞が細胞外マトリックス成分を合成して成長させるのを促す。肉芽組織線維芽細胞は、コラーゲン沈着のためのマトリックスを生産する。十分な時間が経過した後、肉芽組織158(図10)は、創傷134の床に沈着する。肉芽組織158が適切に成長した後、シール部材142は取り外され、マニホールド136が除去され得る。図9および10の例では、肉芽組織158は、真皮層151付近からまたは真皮層151から外側に、表皮150の下位部分の上方まで成長した。
【0038】
ここで主に図10を参照すると、上皮形成を促進するためのシステム101が示されている。上皮形成ドレッシング100は、肉芽組織158に近接して、第2の組織面側面106および突起108が実質的に肉芽組織158に面した状態で、配置され得る。ここで、シール部材142が展開配置されて、上皮形成ドレッシング100を覆って流体シールを提供する。一実施形態では(明示せず)、マニホールド136(図9参照)が、上皮形成ドレッシング100(図10参照)とシール部材142との間に配置されて、減圧の分配、および減圧インターフェース138の遠位の創傷部からの流体除去を促進する。
【0039】
再び図10の実施形態を参照すると、減圧インターフェース138およびシール部材142(これは、新しいインターフェースおよびシール部材を含む)が展開配置された後、減圧源154が再び活性化される。上皮形成ドレッシング100に行われる減圧は、いくつもの結果を達成し得る。
【0040】
上皮形成ドレッシング100に供給された減圧は、部分的に再生された創傷134の表面160から過剰な流体を除去するのに役立ち得る。一部の流体は、シグナル伝達を支援しかつ再上皮形成を促進し続け得る。減圧は、ドレッシング100に圧縮力をもたらし、ドレッシング100と肉芽組織158または他の組織との間の接触を維持および制御するのを助け得る。減圧を使用して、突起108が肉芽組織158または他の組織にぶつかるようにする力を発生させ得る、またはその力の大きさを制御し得る。一部の実施形態では、圧力は変動して(パターン化またはランダム)、上皮形成ドレッシング100によって供給された可変力をもたらしてもよく、それにより、上皮形成をさらに高めてもよい。
【0041】
ここで主に図10および11を参照して、線維芽細胞は、ドレッシング100の第2の組織面側面106と相互に作用し、パターン化された細胞外マトリックスを形成し得る。活性化ケラチノサイトが、創傷の縁164から突起108の周りおよび突起108間を、突起108によって形成された空洞162まで移動し、上皮168または新しい上皮組織(図11)を形成し得る。空洞162に入るマトリックスの部分は、次第に円柱上皮166を形成し、突起108の形状に実質的に対応する任意の形状を取り得る。上皮168は、上皮168が空洞162に移動して円柱上皮166を形成する際に、突起108の周りにx−yパターンと、z方向のパターンとを有し得る。突起108によって形成された空洞162は、肉芽組織158の隣接層まで延在し、かつ円柱上皮166の形成を手伝う。円柱上皮166は、表皮150と真皮151との間の乳頭間隆起のように機能的に作用し、かつそれにより、外力に抵抗するアンカー点を提供して、関係する組織層の接着を保持し得る。円柱上皮166は、シミュレーションした乳頭間隆起を形成する。
【0042】
ここで主に図11を参照すると、ドレッシング100が取り外された後の創傷134が示されている(上皮168の表面は、図示するよりも、無傷の表皮150と事実上同一平面にあり得る)。ドレッシング100は、任意の持続期間、典型的には1〜6日間の設定期間だけ創傷上の適所にあり得る。この説明に役立つ非限定的な実施形態では、上皮168は肉芽組織158を被覆している。円柱上皮166は空洞162を埋めて、肉芽組織158まで延在している。一部の実施形態では(明示せず)、円柱上皮166は真皮151の一部分にまで延在している。円柱上皮166は、上皮168に追加的なせん断抵抗を提供する。
【0043】
図9〜11のプロセスは、肉芽組織158の形成を促進する減圧治療の使用を示すが、ドレッシング100を、そのようなステップとは無関係に使用し得ることに留意されたい。加えて、プロセスおよびシステム100を、減圧を用いて説明したが、ドレッシング100は、減圧を用いずに使用し得ることを理解されたい。この説明に役立つプロセスでは、ドレッシング100は、第1の側面104に親水性材料、例えば、親水性発泡体またはキャピラリーをさらに含んで、アパーチャ114を通した流体の除去を助け、およびボルスター、テープ、圧縮ラップ(compression wrap)、または他の装置を使用してドレッシング100に圧縮力を提供し、ドレッシング100と組織との間を確実に接触させ得る。
【0044】
多数の代替例または追加例が、説明に役立つ非限定的なドレッシング100、システム101、またはプロセスに含まれ得る。一部は既に説明しており、他の、包括的でない例をここで述べる。別の説明に役立つプロセスでは、ドレッシング100は、再吸収性材料から作製してもよく、これは分解する。突起108は、カプセル化幹細胞、ケラチノサイト、成長因子、可溶性因子、または他の物質を保持する供給溜め117を含み得る。分解が一定のレベルに達すると、供給溜め117内の物質が空洞162および組織に供給される。次いで、物質が空洞162を埋めるかまたは埋める手助けをし、さらに治癒を促進させるのを助ける。
【0045】
別の説明に役立つ非限定的な実施形態では、ドレッシング100、システム101、またはプロセスを、他の組織と使用し得る。例えば、上皮組織に加えて、内膜および粘膜内層も利益を得る可能性がある。他の実施形態はまた、腱、靭帯、筋肉、または軟骨を治療するのに使用して、これらの組織を分離させるように積極的に働く力に対する自然耐性を増大し得る。
【0046】
別の説明に役立つ非限定的な例では、ドレッシング100を、肉芽形成および上皮形成を促進する態様に使用し得る。ドレッシング100は突起108を含み、遠位端部112に、および突起108の側壁全体に沿って細孔126を備え得る。細孔126への肉芽組織158の内方成長が促進される。減圧が用いられる場合、減圧は、組織を細孔126に入れるのを助け得る。肉芽組織158が突起108に向かってその周りに成長したら、進行するケラチノサイトが肉芽組織158の後に続き、肉芽組織158を覆う。それに加えてまたは別個の代替例として、ドレッシング100は生体再吸収性として、時間の経過と共に分解し得る。分解は、ケラチノサイトの増殖に悪影響を及ぼすべきではない。加えて、突起108は、局所的なケラチノサイトの分化を促進する活性可溶性因子を備える供給溜め117を有し得る。この部位でケラチノサイトを肥厚化させることは、突起108によって形成された空洞162を埋め得る。
【0047】
本発明およびその利点を、いくつかの説明に役立つ非限定的な実施形態に関連して説明したが、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代替、置換、および修正をなし得ることを理解されたい。任意の一実施形態に関連して説明した任意の特徴は、同様に、任意の他の実施形態に適用可能とし得ることを理解されたい。
【0048】
上述の利益および利点は、一実施形態に関係し得ること、またはいくつかの実施形態に関係し得ることを理解されたい。「1つの」品目への言及は、それら品目の1以上を指すことをさらに理解されたい。
【0049】
本明細書で説明した方法のステップは、任意の好適な順序で、または適切な場合には同時に実施し得る。
【0050】
適切な場合には、上述のいずれかの例の態様を、上述の他のいずれかの例の態様と組み合わせて、類似のまたは異なる特性を有しかつ同じまたは異なる問題に対処する別の例を形成する。
【0051】
好ましい実施形態の上述の説明は、一例としてのみ与えられること、および、様々な修正を当業者がなし得ることを理解されたい。上記の明細書、例およびデータは、本発明の例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態をある程度詳細に、または1つ以上の個別の実施形態を参照して上記で説明したが、当業者は、特許請求の範囲から逸脱せずに、開示の実施形態に多数の修正をなし得る。
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