(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963209
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】閉鎖切開部減圧創傷治療の方法と装置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20160721BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20160721BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
A61M27/00
A61B17/00
A61F13/00 301Z
【請求項の数】15
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-524185(P2013-524185)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2013-538603(P2013-538603A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011047140
(87)【国際公開番号】WO2012021553
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】61/372,443
(32)【優先日】2010年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510099899
【氏名又は名称】スピレイカー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPIRACUR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・フ
(72)【発明者】
【氏名】スモーナ・ナグ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/049232(WO,A1)
【文献】
特表2005−532134(JP,A)
【文献】
特表2011−500170(JP,A)
【文献】
特表2012−508037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61B 17/00
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切開部を治療する装置であって、
(a)平坦な張力除去モジュールを有し、前記張力除去モジュールは、
(i)前記切開部に流体が流れるように接続された中央構造(2026)であって、前記中央構造の少なくとも一部は前記切開部の長手方向の軸に沿って整列されるように構成されているものと、
(ii)前記中央構造に連結された対向する接着構造(2415)であって、前記対向する接着構造は、弛んだ状態から第1の伸張状態に伸ばされ、前記第1の伸張状態から前記弛んだ状態に向けて第2の伸張状態に戻り、前記対向する接着構造に向かう方向に収縮力を与えるものと、
(iii)前記対向する接着構造の上面に裏返し可能に連結されたインジケータ(2610)であって、前記インジケータは、対向するプルタブ(2615)を有し、前記対向するプルタブはそれぞれ調整マーカー(2625)を有し、前記対向する接着構造が前記第1の伸張状態に向けて伸張されるときに前記調整マーカーは互いに接近して整列するものと、を有し、
前記張力除去モジュールはまた、
(b)下接着面を有し、前記張力除去モジュール上を覆ってシールされた流れの経路を形成する柔軟なシーラント構造(2010)を有する、切開部を治療する装置。
【請求項2】
前記中央構造はまた、前記中央構造を貫通して前記下面から前記中央構造の上面に達し、前記上面と前記切開部との間を流体が流れるように接続するように構成された少なくとも一つの開口(2091)を有する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記対向する接着構造は、手動で伸ばされるように構成されている、請求項1の装置。
【請求項4】
前記対向するプルタブに外側に向かう張力を加えると、前記対向する接着構造が前記第1の伸張状態に向けて伸びる、請求項1の装置。
【請求項5】
前記インジケータは、前記対向する接着構造に与えられる外側に向かう張力を制限する機械的干渉機構を有する、請求項1の装置。
【請求項6】
前記対向する接着構造は、前記中央構造から外側に伸びる第1と第2の対をなす翼部(2415a、2415b、2415c、2415d)を有し、前記第1の対の翼部は前記第2の対の翼部の近くに配置されている、請求項1の装置。
【請求項7】
前記第1と第2の対をなす翼部は、前記装置を所望の長さにするために分離可能である、請求項6の装置。
【請求項8】
前記第1と第2の対をなす翼部の上面に連結される第1と第2の対をなす対向するプルタブ(2615a、2615b、2615c、2615d)を有するインジケータを備えている、請求項6の装置。
【請求項9】
前記第1と第2の対をなす対向するプルタブは、隣接する縁で互いに連結される、請求項8の装置。
【請求項10】
前記シーラント構造はまた、前記流れの経路と流体が流れるように接続されており、負圧源に連結されるように構成された真空ポートを有する、請求項1の装置。
【請求項11】
前記真空ポートは前記流れの経路に負圧が提供されたことを前記ユーザに知らせる圧力インジケータを有し、前記インジケータは前記ユーザに視覚的又は触覚的若しく視覚的且つ触覚的なフィードバックを通知する、請求項10の装置。
【請求項12】
前記切開部に流体が流れるように接続された接触層(2030)を有する、請求項1の装置。
【請求項13】
前記接触層は、前記中央構造の下で前記切開部に直に接触して配置されている、請求項12の装置。
【請求項14】
前記張力除去モジュールの少なくとも一部は、前記切開部に作用する機械的張力を緩和するために前記切開部に張力支持部を提供するように構成されており、前記張力除去モジュールは前記切開部に負圧が適用されるか否かに拘わらず張力支持部を提供する、請求項10の装置。
【請求項15】
前記張力除去モジュールの一部は、前記切開部に作用する機械的張力を緩和するために前記切開部に張力支持部を提供するように構成されており、前記張力除去モジュールの少なくとも一部は、前記切開部から負圧が除去された後、張力支持部を提供し続けるように構成されている、請求項10の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本件特許出願は、2010年8月10日の米国仮特許出願61/372,443に基づいて米国特許法第119条(e)に規定する優先権の利益を主張するものである。この出願日の優先権はここに主張されており、該仮出願の開示はその全体が引用して導入される。
【0002】
本件特許出願はまた、2010年9月24日に出願された米国特許出願12/890,399に関連するものである。この米国特許出願は、2009年4月1日に出願された米国仮特許出願61/168,507(発明の名称「閉鎖切開部減圧閉鎖創傷療法」)の優先権を主張する、2010年4月9日に出願された米国特許出願12/757,654(発明の名称「閉鎖切開部減圧閉鎖創傷療法を適用する方法と装置」)の一部継続出願である。
【0003】
毎年、非常に多くの閉鎖切開手術(外科的又は非外科的手術)が行われている。これらの手術は、診療所での手術や外来外科センターでの手術から従来のように病院に入院して行われる手術まで様々である。これらの切開手術を行った後の手入れも様々で、単にガーゼを用いて巻いたりテープしたりするものである。また、傷口を縫合して閉鎖する前に傷口を洗浄したり、またきめ細かく殺菌することが推奨されている。侵襲手術後に傷口が感染する危険は、例えば、腹部手術の場合は10%にも及ぶ。傷口感染による患者、医療従事者、および病院関係者の死亡率は高く、納税者およびその他の支払者にとって金のかかることである。傷口感染した場合、患者は、IV抗生物質の投与、長期間の入院、傷口を開くこと、包帯交換を必要とし、それらのいくつかは傷口離解および腸管皮膚瘻を発症する。手術後の傷口感染をなくすために、手術前に予防的抗生剤を使うことが提案されているが、手術後の抗生剤は何ら提案されていない。
【発明の概要】
【0004】
切開部及び傷口を治療する装置、システム、及び方法を提供する。
【0005】
一つの形態は、切開部を治療する装置が開示されている。この装置は、平坦な張力除去モジュールと、柔軟なシーラント構造を有する。シーラント構造は、下粘着面を有し、張力除去モジュールをシールしてシールされた流れの経路を形成する大きさを有する。張力除去モジュールは、切開部に流体が流れるように接続された中央構造を含む。中央構造の少なくとも一部は、切開部の長軸に整列されるように構成されている。張力除去モジュールはまた、中央構造に連結される、対向する接着構造を有する。前記対向する接着構造は、弛んだ状態から第1の伸張状態に伸ばされ、前記第1の伸張状態から前記弛んだ状態に向けて第2の伸張状態に戻り、前記対向する接着構造に向かう方向に収縮力を与えるように構成されている。
【0006】
中央構造はまた、中央構造の下面から上面に中央構造を貫通し、前記上面と前記切開部との間を流体が流れるように接続するように構成されている。中央構造はまた、前記切開部の長軸の少なくとも一部に接着されるように構成されている。中央構造はまた、第1の接合端と第2の接合端を有し、前記第1の接合端が前記第2の接合端と接合するように構成されている。装置はまた、端2つ又はそれ以上の張力除去モジュールを有する。張力除去モジュールは、前記切開部と前記切開部から離れた場所との間を橋渡しするブリッジを形成する。前記切開部から離れた場所は、第2の切開部である。前記切開部から離れた場所は、非切開部である。前記中央構造は、高度に弾性を有し且つ高度に回復可能な材料を含む。前記材料は、シリコーンエラストマー、ポリウレタン、ポリイソプレン、及びエラストマーからなる群から選択される。
【0007】
前記対向する接着構造は、手動で伸ばすことができるように構成されている。装置はまた、対向する接着構造の上面に連結されたインジケータを有する。インジケータは、対向するプルタブを有する。対向するプルタブに外側に向かう張力を加えると、対向する接着構造が第1の伸張状態に向けて伸びる。インジケータはまた、対向する接着構造に与えられる外側への張力を制限する機械的な干渉機構を含む。対向するプルタブは、調整マーカーを有する。調整マーカーは、対向する接着構造が前記第1の状態に向けて引き伸ばされると、互いに一列に整列できる。
【0008】
対向する接着構造は、切開部を囲む健康な皮膚の表面に緊張力を与えることで、内因性又は外因性のストレスから切開部を保護することができる。対向する接着構造は、切開部に対する張力支持部を提供するように構成し、張力支持部が切開部に加わる機械的張力を緩和するように構成できる。対向する接着構造は、切開部を囲む健康な組織を互いに引き寄せることができる。対向する接着構造は、切開部の縁を近づけることができる。対向する接着構造は、切開部の長軸を横断する力を加えることができる。対向する接着構造は、中央構造から外側に伸びる、第1と第2の対をなす翼部を有し、前記第1の対の翼部は前記第2の対の翼部の近傍に配置される。前記第1と第2の対をなす翼部は装置を所望の長さにするために分離することができる。装置はまた、前記第1と第2の対をなす翼部の上面に連結された、第1と第2の対をなす対向するプルタブを有する。前記第1と第2の対をなす対向するプルタブは、隣接する縁で互いに連結できる。対向する接着構造は、高度に弾性を有し且つ記憶を有する材料を含むことができる。上記材料は、アクリル接着剤を有する下面にコーティングされたポリウレタンである。
【0009】
シール構造は、前記流れの経路と流体が流れるように接続され、負圧源に連結されるように構成された真空ポートを有する。負圧源は、定圧スプリング、スライドシール、及び内部の容積レベルとは無関係の一定外形を有する。装置はまた、前記負圧源と前記流れの経路との間に配置された一方向流量弁を有し、前記流量弁は前記流れの経路内の流体の逆流を防止するように構成されている。前記負圧ポートを通じて負圧を加えることにより、前記流れの経路を排気できる。前記真空ポートはまた、前記流れの経路に負圧が導入されたことをユーザに知らせる圧力インジケータを含む。前記インジケータは、視角的及び/又は触覚的なフィードバックによってユーザに知らせる。前記真空ポートは、前記シーラント構造の周辺に配置される。前記シーラント構造はまた、前記した接着面に取り付けられた取り外し裏張りを有する。前記裏張りはまた、前記真空ポートの近くに配置された破断線を有する。前記シーラント構造と前記裏張りは、ロール形状を有し、繰り出す際に徐々に互いに分離し、前記シーラント構造は前記患者に取り付けられる。前記シーラント構造は、前記張力除去モジュールの全体と周囲の皮膚の一部をシールし覆うが、前記張力除去モジュールによって覆われることがない大きさを有する。前記シーラント構造は、端と端を一致させた少なくとも2つの張力除去モジュールと周囲の皮膚の一部をシールし覆うが、前記張力除去モジュールによって覆われることがない大きさを有する。前記シーラント構造は、前記装置のカストマイズされた長さをシールして覆い、周囲の皮膚の一部を覆うが、前記張力除去モジュールによって覆われることがない大きさを有する。前記シーラント構造は、ポリウレタンシートを有する。前記シーラント構造は、複数の小さなシーラント層のセグメントを有する。前記シーラント構造の前記下接着面は、ヒドロコロイド、シリコーン接着剤、ゴム接着剤、又はアクリル接着剤を有する。前記下接着面は、前記中央構造に接着するのを防止する。
【0010】
前記張力除去モジュールの少なくとも一部は、前記切開部に負圧が適用されるか否かに拘わらず、前記切開部にかかる機械的張力を緩和するように構成できる。前記張力除去モジュールの一部は、前記切開部に作用する機械的張力を緩和するために前記切開部に張力支持部を提供するように構成されており、前記張力除去モジュールの少なくとも一部は、前記切開部から負圧が除去された後、張力支持部を提供し続けるように構成できる。
【0011】
前記装置または、前記切開部と流体が流れるように接続された接触層を有する。前記接触層は、前記中央構造の下で前記切開部に直接接触するように配置できる。前記接触層の材料は、前記中央構造上に配置される。前記接触層は、圧力と流体を送るように構成されている。前記接触層は、発泡剤、メッシュ、ガーゼ、スポンジ、粒子状物質、メッシュ基材、多孔性生体適合性材料からなる群から選択された材料である。前記接触層は、治療剤を送るための乗物として機能するように構成されている。
【0012】
前記切開部は閉鎖された切開部である。前記切開部は、縫合、ステープル、又は接着剤で閉鎖できる。前記装置は、12mm未満の厚さを有する。前記装置は、装置の下に流体が貯まるのを防止できる。前記切開部は、前記装置を通じて見える。
【0013】
他の形態は、切開部を治療するシステムが開示されている。このシステムは、平坦な張力除去モジュール、下接着面と前記張力除去モジュール上をシールする大きさの真空ポートを有し、シールされた流れの経路を形成する柔軟なシーラント構造と、前記真空ポートに接続するように構成された負圧源を有する。前記張力除去モジュールは、前記切開部と流体が流れるように接続された中央構造を有し、前記中央構造の少なくとも一部は前記切開部の長軸に整列するように構成されている。前記張力除去モジュールはまた、前記中央構造に連結された対向する接着構造を有する。前記対向する接着構造は、弛んだ状態から第1の伸張状態に伸ばされ、前記第1の伸張状態から前記弛んだ状態に向けて第2の伸張状態に戻り、前記対向する接着構造に向かう方向に収縮力を与えるように構成されている。
負圧源は、定圧スプリング、スライドシール、及び内部の容積レベルとは無関係の一定外形を有する。
【0014】
前記装置、システム、及び方法の詳細は、添付図面と以下の説明に記載されている。その他の特徴と利点は、明細書と図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面を参照して上記形態及びその他の形態を詳細に説明する。一般に、図面は、説明のためのものであって、絶対的に又は比較的に、拡大又は縮小したものでない。また、明瞭に示すために、特徴部分や部材の配置に変更が加えられる。
【0016】
図1Aと
図1Bは、上方と側方から見た減圧治療装置の実施例を示す。
【0017】
図2は上方から見た減圧治療装置の実施例を示し、そこでは装置が空で再び吸引されるように設計されている。
【0018】
図3は上方から見た減圧治療装置の実施例を示し、そこでは回収室がセグメント化された回収室である。
【0019】
図4は減圧治療装置の実施例を示し、そこでは閉塞層が回収室上に配置されている。
【0020】
図5は減圧治療装置の実施例を示し、 そこでは回収室は離散的な回収室が組み入れられた波形チューブセグメントである。
【0021】
図6Aは、減圧治療装置の他の実施例の斜視図、
図6Bと
図6Cは負圧が適用される前と後の
図6Aの装置の軸方向の断面図である。
【0022】
図7は、互いに連結された2つの傷口の覆いの概略斜視図である。
【0023】
図8は、2つに分かれた支持部を有する、減圧治療装置の他の実施例を示す。
【0024】
図9Aは弾性回収チャンネルを有する減圧治療装置の他の実施例の斜視図、
図9B〜
図9Dは引き伸ばす前、引き伸ばす途中、引き伸ばした後の
図9Aの装置の概略断面図、
図9Eは互いに連結された2つの減圧治療装置の概略斜視図である。
【0025】
図10A〜
図10Cは、引き伸ばす前、引き伸ばす途中、引き伸ばした後の、補強穴を有する別の減圧治療装置の概略断面図である。
【0026】
図11A〜
図11Cは、引き伸ばす前、引き伸ばす途中、引き伸ばした後の、開放した長手方向のチャンネルを有する他の減圧治療装置の概略断面図である。
【0027】
図12は、傷口の周辺に配置された細長い減圧治療装置の概略図である。
【0028】
図13は、傷口の周りにらせん状に配置された細長い減圧治療装置の概略図である。
【0029】
図14は、傷口の周りにジグザグ状に配置された細長い減圧治療装置の図である。
【0030】
図15は、傷口の周りにT状に配置された細長い減圧治療装置の概略図である。
【0031】
図16Aと
図16Bは、収縮状態と伸張状態にある減圧治療装置の他の実施例の斜視図である。
【0032】
図17Aと
図17Bは、伸張状態と収縮状態にある減圧治療装置の他の実施例の斜視図である。
【0033】
図18Aは減圧治療装置の他の実施例の斜視図、
図18Bと
図18Cは曲げた状態と真っ直ぐな状態の
図18Aの減圧治療装置の端面図である。
【0034】
図19は、減圧治療装置の他の実施例の内部斜視図である。
【0035】
図20A〜
図20Dは減圧治療装置の一実施例の展開した概略断面図、
図20Eと
図20Gは膨張及び収縮された
図20A〜
図20Dの減圧治療装置の斜視図、
図20Fは
図20Eと
図20Gの減圧治療装置の基端の詳細斜視図である。
【0036】
図21A〜
図21Dは、減圧治療装置の他の実施例の概略展開断面図である。
【0037】
図22A〜
図22Bは切開部を横断する張力を減じるように互いに押されている切開部縁の概略断面図である。
【0038】
図23は、減圧治療装置の他の実施例の展開斜視図である。
【0039】
図24は、張力除去水路モジュールの展開図である。
【0040】
図25A〜
図25Bは、
図24の張力除去水路モジュールの斜視図である。
【0041】
図26Aと
図26Bは、裏張りに配置されてインジケータを有する、
図24の張力除去水路モジュールの斜視図と平面図である。
【0042】
図27A〜
図27Cは、複数の張力除去水路モジュールの斜視図である。
【0043】
図28A〜
図28Bは、接続チューブに連結されたシーラント層の斜視図である。
【0044】
図29は、モジュール化されたシーラント層の斜視図である。
【0045】
外科手術および傷口からの感染は、皮下組織及び/又は皮膚組織内に形成される小さな液体貯留ポケットに発生するバクテリア成長に起因する。これらの液体貯留は血液の流れを阻害し、それにより、感染を防止したりそれを扱ったりする免疫機能又は抗生剤の浸透を阻害する。一旦バクテリアで汚染されると、その領域では無制限にバクテリアが成長する。したがって、これらの液体貯留部が形成されるのを減らすことにより、傷口感染の危険を減らすことができる。いくつかの閉鎖技術は、皮膚又は深部の縫合を利用し、それら液体貯留ポケットの形成を減らすものであるが、これらの縫合はまた傷口感染の危険が増加する異物となり得る。さらに、縫合が不適切であると、皮下に大きなデッドスペースが残り、そこに液体が貯留し、結果的に、バクテリアの汚染を生じることになる。
【0046】
傷口感染の他に、傷口に過剰な力がかかることで傷口の治癒が阻害される。その過剰な力は、縫合またはその他の傷口を閉じる装置によって齎され、それは切開部又は傷口に局部的な力を作用し、さらなる瘢痕化を生じる。傷口に加わる力はまた、その他の原因(後の閉鎖動作、重力等)によっても生じる。
【0047】
湿潤の傷口治癒環境は、傷口を乾燥する環境を形成するためにガーゼで傷口を覆うことに比べて、傷口中央部に向かう細胞移動が容易になることで急速な傷口の再上皮形成を促進される。また、外科手術による傷やその他の傷は、免疫細胞の侵入、炎症、およびそれを原因とする浮腫{ふしゅ}を招く。免疫反応は、傷治癒の全体プロセスであるが、浮腫もまた治癒障害となる。最後に、適正治癒には酸素と栄養が必要で、そのためには、手術部位を適正に潅流することが必要であるが、それもいくつかの免疫学的な方法によって阻害される。
【0048】
一例として、負圧又は減圧による傷口治療システムは、外科手術によって閉鎖された皮膚外傷領域又はその他の細長い裂傷又は傷口を治療するために利用される。負圧による傷口治療システムは、シーラント(封止剤)層と回収室を有する。シーラント層は、手術によって縫合された皮膚外傷(外科的切開部)の領域の周りにシールを形成するとともにシールされた包囲又は空間を形成するように設計されている。皮膚外傷の領域は先に手術で縫合されている必要はない。ある実施例では、シーラント層は単一の要素又は本体を有する。他の実施例では、シーラント層は、互いに適合されて一つの囲まれた空間又は領域を形成する複数の要素を有する。シーラント層はまた、一つの材料層又は複数の材料層を有する。
シールは、シールされた囲い又は空間内の圧力が低下できかつ低下した圧力に維持できるように、十分に気密である。減圧(負圧)治療システムはまた、手術で縫合された切開部に適用された負圧を切開部又は傷口の全長にわたって分散するように構成された回収室を有する。負圧治療システムはまた、二次的な意図によって、または遅れた閉鎖(三次的な意図)によって、外科切開を開放状態にしたままで治療するために利用される。システムは、シーラント層で形成された、閉鎖システムでシールされた外科切開部に連続する回収室を有する。回収室は、活性化された場合、例えば、外科切開部に負圧を形成し、治癒を促進し、滲出{しんしゅつ}液を除去し、感染速度を緩和する。ある実施例では、そこで提供されたシステムは、細長い形状を有し、外科切開部の長さに合致する大きさ又は形を有する。回収室は、シーラント層に一体的に形成されるか又は予め取り付けられる。または、回収室とシーラント層は、回収室がシーラント層の下に配置されるように、構成してもよい。
【0049】
ある実施例では、システムはまた、吸引装置を有する。吸引装置をシステムで使用する場合、吸引装置はシールされた囲い又は空間に連通するように構成される。吸引装置は、シーラント層と回収室と共に、外科切開部又はその他の傷口を治療するための閉鎖システムを形成する。吸引装置は、接続されると、シールされた囲い内に位置する空気の体積を拡大することによって、シールされた囲いの内部の圧力を低下するために利用される。吸引源は、閉鎖システム又は開放システムである。例えば、吸引装置は、シリンジ、動力ポンプ、ベンチュリシステム、強制膨張装置、一定圧のばね装置、又は静的負圧装置、もしくは任意の適当な装置又は不活性吸引源である。ある実施例では、吸引源は回収室と一体的に形成されている。ある実施例では、吸引源は、回収室に延長チューブを用いて接続されている。
【0050】
ある実施例では、システムはコンタクト(接触)層を有する。接触層は、回収室と流体が流れるように接続してもよい。コンタクト層は、手術で縫合された皮膚領域の外傷の表面に接触して配置される。ある実施例では、コンタクト層は、閉鎖された皮膚外傷領域にすべて接触し、外傷部を囲む領域と接触しないようにしてもよい。ある実施例では、コンタクト層は、皮膚外傷の領域と皮膚外傷の領域を囲む領域の両方に接触してもよい。コンタクト層は、回収室と皮膚外傷の外科領域との間を流体が流れるように連通するのを容易にする。ある実施例では、コンタクト層は、多孔性材料又は空間を含むその他の構造(限定的ではないが、発泡材料、メッシュ材料、ガーゼ、コットン、スポンジ、又は公知の適当な材料)である。コンタクト層を利用した実施例では、コンタクト層は剤を運ぶための輸送用乗物としての役目を果たす。限定的ではないが、輸送剤は、成長因子、抗生物質、抗菌剤、または適当な輸送剤を含む。ある実施例では、治癒を促進するために使用する上記剤は、コンタクト層に一体化される。ある実施例では、上記剤は、回収室に一体化又は配置される。
【0051】
ある実施例では、システムはさらに保護層を有する。保護層は、皮膚外傷の外科領域を囲むように利用される。例えば、保護層は、皮膚外傷の領域を囲む皮膚領域に取り付けられる。保護層の下に設ける圧力感応接着剤は、皮膚に対する取付性又は接着性を提供する。保護層はまた、シーラント層と組み合わされてシールを形成するために使用される。シールは気密性であるか、または水蒸気に対して半透過性又は不透過性である。ある実施例では、保護層は、皮膚外傷の外科領域の大きさを有し、皮膚外傷の領域の周りに一致する。ある実施例では、保護層は、切断して所定の大きさとされる。他の実施例では、保護層は、容易に任意の大きさにすることができるように、パーフォレーション(ミシン目)又はその他の予め形成された分離構造を有する。ある実施例では、保護層は、保護層が皮膚外傷の周りに配置された後に除去される、薄い中央に剥ぎ取り用のストリップ又は層を有する。
ある実施例では、より広いコンタクト層が保護層上に設けられる。保護層は、コンタクト層を皮膚外傷の外科領域に取り付けるために利用される、また、外科領域にアクセスするために接触層を除去する際に生じ得る傷から、その下にある皮膚又は組織を保護する。保護層は、皮膚外傷を囲む皮膚を浸軟から保護するために適当な任意の公知材料である。保護層は、デュオダーム(商標)創傷被覆材を含む、種々の発泡材料及び/又はヒドロコロイド材を有する。
【0052】
静的負圧治療システムの回収室は、傷口に加えられる圧力を外傷の手術で縫合された領域の全長に分散するように構成される。ある実施例では、回収室は、皮膚外傷の手術で縫合された切開上に配置される前に予め吸引される。そのような実施例では、回収室は、皮膚外傷領域に連通されると、皮膚外傷の領域に負圧を作用させるように活性化される。ある実施例では、回収室は管状構造を有する。この管状構造は、硬質チューブ(例えば、成形チューブ又はフレキシブルチューブ)を有する。該チューブは変形可能な支持部又は弾性サポートを有する。したがって、チューブは、特定の形状に曲げる又は形作ることができるとともに、チューブは該チューブをそのような形状に保持又は付勢することができる。例えば、前記サポートの構造は、チューブの内腔に連結された又はチューブを支持する、チューブを囲むワイヤメッシュのかご(バスケット)又はフレームを有する。ある実施例では、チューブは、チューブの壁内に一体化されたワイヤサポート構造を有する。前記支持構造はまた成形可能なプラスチック材料を有する、又は、チューブ自体が成形可能なプラスチックを有する。限定的ではないが、成形可能な材料は、熱可塑性プラスチック、弾性材料、又は任意の適当な成形可能な材料を含む。ある実施例では、回収室は、シングルユース用(使い捨て用)に構成されている。一方、他の実施例では、回収室は使用中に中味を出して再び空にされる。
【0053】
ある実施例では、回収室は、一つ又は複数の波形部を有する弾性チューブである。その実施例では、波形のチューブ部はフレキシブルで、皮膚外傷の手術で縫合した領域の表面形態に一致する。波形チューブ部により、フレキシブルなチューブは傷口又は切開の二次元形状又は三次元形状に合致し、患者の動きや傷の治癒に伴う傷口形状変化に応じて受動的にチューブが調節される。ある実施例では、フレキシブルなチューブはその全体が波形チューブであってもよい。他の実施例では、フレキシブルなチューブは、離散型の回収部材又はそれらの間に配置された非波形部を備えた波形チューブ部である。一つの実施例では、非波形部は硬質であってもよいし、波形部よりもフレキシブル性の点で劣る半硬質又はフレキシブルであってもよい。ある実施例は、チューブの間に配置された少なくとも一つの非波形部を有する。他の実施例では、チューブに沿って配置された2つ又はそれ以上の非波形部を有する。管状セグメントは波形チューブによって接続してもよい。波形チューブは、チューブの全長に沿って流体を流すことができる、及び/又は、チューブにフレキシブル性を付与する。その結果、回収室構造の全体、硬質非波形部、及びフレキシブルな波形チューブ部は、それが動く際に、全体が皮膚又は手術部位に順応する。時々、フレキシブルなチューブは、患者に対する不快感を和らげる、又は、治療システムからの局部的な圧力点を減少する。ある実施例は、回収室に沿って複数の硬質回収部と複数のフレキシブル部の両方を有し、そこでは、フレキシブルなチューブセグメントと硬質回収部がシーラント層に埋め込まれ、シーラント層に連結され、又はシーラント層に一体に形成される。ある実施例では、離散的な回収部材は、フレキシブルなチューブ部材と違って、シーラント層に連結又は埋め込まれる。
【0054】
システムの一実施例は、回収室とシーラント層を有し、シーラント層と回収室は皮膚外傷の領域を流体が流れるように接続されている。流体接続は、シーラント層中の複数の開口と回収室によって提供され、それら開口と回収室は皮膚外傷の領域と回収室との間を流体が流れるように連通している。開口は、回収室の長さ方向に沿って長手方向に向けられて配置されており、対応するシーラント層の開口が回収室の開口に整列している。流体、又は任意の端お適当なものが、皮膚外傷の手術で縫合した領域から回収室に吸引される。光学的な接触層が採用される場合、流体はまず接触層を通過し、その後、シーラント層と回収室を連結する孔を通過する。また、回収室の全体に配置された複数の開口により、皮膚外傷領域に圧力が分散し、ある領域では大きな又別の領域では小さな、局部的な圧力が加わるのを防止する。
【0055】
ある実施例では、回収室はまた、一方向の流量弁を有する。一方向の流量弁は、回収室が空になるのを促進するために使用される。一方向流量弁はまた、回収室の内側に負圧を再形成するために、又は回収室の内側に予め減らされた圧力レベルを形成するために利用される。ある実施例では、一方向流量弁は、回収室を空にするためと、回収室を再び空にするための両方に利用される。一方向流量弁は、該流量弁を介して吸引源を回収室に取り付けることを容易にするとともに、吸引源によって回収室から空気分子を除去することで、回収室を再び空にすることが容易に行える。吸引源は、前記一方向流量弁を使用することで、滲出{しんしゅつ}液又は空気を回収室から除去するために利用される。ある実施例では、回収室を空にするために第1の一方向流量弁が使用され、回収室を再び空にするために第2の一方向流量弁が使用される。ある実施例では、一方向流量弁は、回収室に一体化される。ある実施例では、一方向流量弁は、回収室の一端を塞ぐために使用される取り外し可能なプラグに取り付けられる。ある実施例では、複数の一方向流量弁が設けられる。その場合、回収室又はシーラント層から出る空気又は材料の流れを減少して皮膚外傷領域に戻すために、一つ又は複数の弁が一続きの開口内に又はその開口に設けられる。一方向流量弁は、種々の形状のうち任意の形状(ダックビル弁、又はフラップ弁を含む。)を採り得る。
【0056】
幾つかの実施例における一つの回収室に代えて、セグメント化された回収装置又はその他の多室式装置が使用できる。セグメント化された回収室は第1の室と第2の室を有し、それらの室はそれらの間を流体が流れるように連結してもよいし、連結しなくてもよい。ある実施例では、第1の室はシーラント層に直接連通しており、第2の室は第1の室に連通している。2室式回収室を用いた実施例では、一つ又は複数のセグメント又は室(チャンバ)が吸引源となる。吸引源は、動力の無い又は受動式の作動及び調整機構(限定的ではないが、一定の力を発揮するばねのようなばね式機構)を有する。受動式の作動及び調整機構は、回収室とシーラント層との間のシールされた囲い又は空間内に所定レベルを加えてそれを維持するために利用される。ある実施例では、二室式回収室は往復動機構(限定的ではないが、プランジャ)を有する。プランジャは、例えば定圧スプリングに取り付けられると、手動で動作される、または受動的に動作される。ある実施例では、第2の室はシールされた囲いと二室回収室との間で共有された空間の連結部に位置する空気の体積を拡大する。一つ又は複数の室はまた、動力式又は能動式の作動及び調整機構を有する。
【0057】
ある実施例では、システムはまた、手術で縫合した切開部の長さに合致する大きさと形を有する。ある実施例では、回収室は、傷口の長さに伸ばすことで、皮膚外傷の閉鎖切開領域の長さに合致する。そのような実施例では、回収室はヒドロコロイド材料で作られる。そのような材料により、回収室は新たな所望の長さに伸ばすことができ、長さを変化させるようなストレスが除かれた後もその長さを維持する。そのような実施例では、システムは、ハイドロコロイド又は任意の適当な材料で作られる。ある実施例では、システムは、閉鎖切開部の長さまで短くされる。ある実施例では、システムは、皮膚外傷の閉鎖領域の長さに切断される。そのような実施例では、回収室の切断端は、回収室に圧力が加わると自分自身でシールされる。ある実施例では、回収室は切断後にシールされる。ある実施例では、回収室は、エンドキャップ、プラグ、閉鎖用シーラントシート、一方向弁を有するエンドキャップ、定圧スプリング、減圧システム、又は回収室の端部をシールする任意の適当な手段でシールされる。一つの実施例では、皮膚外傷の長さに合致するように調整される回収室の端部をシールするために使用される構造は、回収室に取り付けられると、それを除こうとする力に抵抗するように構成される。代わりに、皮膚外傷の長さに合致するように調整された回収室の端部をシールするために使用される構造は、取り外し可能な構造であってもよい。ある実施例では、システムは、互いに平行に又は一列に並べられる一連の回収室を含む。そのような実施例では、皮膚外傷の閉鎖切開部の幅に合わせるために、一連の回収室から一つ又は複数の回収室が取り除かれる。他の実施例では、一つ又は複数の回収室が、充填されたとき又は詰まったときに交換される。
【0058】
ある実施例では、接触層は、手術で縫合された皮膚外傷領域の長さに合致するように調整される。例えば、接触層は、閉鎖された切開傷の長さに基づいて長く又は短くされる。ある実施例では、接触層は、閉鎖された切開部の長さに切断される。ある実施例では、回収室、接触層、及び/又はシーラント層は、手術で縫合した傷口の長さに合致するように調整される。ある実施例では、システムが患者に取り付けられる前に、回収室だけが傷口の長さに合致するように調整される。一方、他の実施例では、システムが患者に取り付けられる前に、接触層又はシーラント層だけが手術傷の長さに合致するように調整される。ある実施例では、回収室、接触層、及びシーラント層は、患者に取り付けられる前に、切開部又は傷の長さに合致するように個々に調整される。ある実施例では、回収室、接触層、及びシーラント層が互いに一体化され、その結果、システムは一つのユニットとして、手術で縫合された切開部又は傷の長さに合致するように調整される。
【0059】
ここに提供されるシステムは、患者の表面との間にシールを形成するシーラント層を有する。ある実施例では、シールは気密である。ある実施例では、シーラント層は、フレキシブルな不透過材料を有する。ある実施例では、シーラント層は半硬質材料である。シーラント層が半硬質材料の実施例では、シーラント層は、手術で縫合された皮膚外傷領域に対して、伸張性の支持部を提供する。半硬質のシーラント層はまた、手術で縫合された皮膚外傷の閉鎖領域機械的張力を緩和する。
【0060】
ある実施例では、システムはまた、吸収剤ビーズを含む。吸収剤ビーズは、切開部又は傷口、及び/又は回収室に配置される。ある実施例では、システムは抗菌剤を有する。抗菌剤は、限定的ではないが、銀、ヨウ素、クロルヘキシジン、又はその他の適当な抗菌剤を含む。
【0061】
ここに示す実施例の幾つかは、手術で縫合された皮膚外傷領域を包むシール囲い内に所定レベルの圧力を形成するように構成される。ある実施例では、形成される圧力レベルは、約0.001〜約1気圧の間である。シーラント層で閉鎖された空間に流体連通している場合、シーラント層下の雰囲気圧レベルは、約0.001気圧、約0.005気圧、約0.01気圧、約0.05気圧、約0.1気圧、約0.2気圧、約0.5気圧、約0.7気圧、又は約0.9気圧以上の圧力まで低下される。その他の実施例では、シーラント層下の雰囲気圧は、約0.8気圧以下の圧力まで低下されるが、その他の実施例では約.7気圧、約0.6気圧、約0.4気圧、約0.3気圧、約0.2気圧、約0.1気圧、約0.07気圧、約0.03気圧、約0.007気圧、又は約0.003気圧以下に下される。
【0062】
ある実施例では、接触層、シーラント層、及び/又は回収室は、透明材料で作られる。材料が透明であることにより、医療従事者は手術の切開部又傷口上にシステムを正確に配置できるし、シールを破ることにより切開部又は傷口を見ることができる。
【0063】
また、ここで提供されているのは、手術で縫合した皮膚外傷領域に減圧治療装置を適用する方法である。
この方法は、(a)回収室、保護層、及びシーラント層を手術で縫合した皮膚外傷領域の大きさに合わせ、
(b)前記手術で縫合した皮膚外傷領域の周囲にシールを形成し、
(c)前記回収室を活性化して、前記手術で縫合した皮膚外傷領域に均等に分散するように負圧を形成し、
(d)前記手術で縫合した皮膚外傷領域の再上皮形成後に前記システムを取り除くものである。傷口の再上皮形成は、皮膚外傷が手術で縫合されてから2日〜5日の間に生じる。ある実施例では、傷口の再上皮形成は、閉鎖後3日で起こる。幾つかの実施例では、傷口の再上皮形成は、閉鎖後4日で起こる。ある実施例では、傷口の再上皮形成は、閉鎖後5日以上で起こる。ある実施例では、傷口の再上皮形成は、傷口が閉じた後、5日より前に起こる。ある実施例では、傷口の上皮形成は、傷が閉じた後、4日より前に起こる。ある実施例では、傷口の上皮形成は、傷が閉じた後、3日より前に起こる。
【0064】
また、提供されるのは、減圧治療システムを用いて皮膚外傷領域を治療する方法で、該方法は、
(a)保護層を皮膚外傷領域に合わせて切断し、
(b)切断した前記保護層を、前記皮膚外傷領域を囲む傷のない皮膚領域に取り付け、
(c)一体化された発泡層を有するフレキシブルな接着包帯を所望の大きさに切断し、
(d)前記包帯を前記手術で縫合された皮膚外傷領域の上に載せてシールされた囲いを形成し、
(e)前記チューブを端部部材で構成し、
(f)前記装置をチャージし、
(g)必要に応じて再チャージして、滲出液を取り除き、前記囲いの内側に負圧を回復し、
(h)傷口の再上皮形成後、前記装置を取り除くもので、
前記フレキシブルな接着包帯はフレキシブルチューブを介して連通する前記発泡層に一体化されている。
【0065】
図1Aと
図1Bは、静的負圧装置100の一実施例を示す。装置100は、シーラント層110(時々、「シーラント構造」という。)と、皮膚外傷の手術領域に沿って(手術した切開部の長さに亘って)圧力を分配するように構成された回収室120(時々、「回収構造」という。)を有する。皮膚組織に関連して装置を説明するが、該装置は皮膚以外の生体組織についても使用できる。ある実施例では、減圧(負圧)治療装置は、接触層130を有する。接触層130は、回収室120と外傷皮膚領域との間を流体が流れるように接続する。接触層130は、例えば、発泡メッシュ、ガーゼ、スポンジ、粒子状物質、積層メッシュ基材、又は任意の適当な発泡性生体適合材料を有する。接触層130は、手術で縫合した皮膚外傷領域の表面に接触される。ある実施例では、接触層130は、手術部位を通る空気/流体空間の連続性を維持するように構成し、それにより、手術領域とシーラント層110によって形成された閉鎖空間に孤立した流体又は空気ポケットが発生するのを減らすことができる。ある実施例では、接触領域は、皮膚外傷面の境界内にあって、皮膚外傷に隣接する周囲の組織に接触しない、又は該組織に重ならない、若しくは該組織を覆わなくてもよい。他の実施例では、接触層は、皮膚外傷領域だけでなく、皮膚外傷を囲む周辺組織に接触して配置される。
図1Aに示されるように、接触層130、シーラント層110、及び回収室120は、一体に連結してもよい。ある実施例では、予め連結された設計又は予め一体化された設計により、装置100は皮膚外傷面にワンステップで接触配置できる。ある実施例では、接触層は皮膚外傷面に接触して配置される。一度配置されると、接触層は、一体化された回収層を有するシーラント層で覆われ、シールされた囲い又は空間を形成する。ある実施例では、シーラント層は、適当な材料で又は当業者に公知の機構(限定的ではないが、テープ、接着剤、又は適当な生体適合接着剤製品)で、外傷領域を囲む皮膚の領域に取り付けられる。
【0066】
また、
図1Aは、吸引装置140の実施例を示す。吸引装置140は、回収室120の内側に所定レベルの負圧を形成するように構成される。ある実施例では、回収室120は、皮膚外傷面に配置される前に予め減圧される。他の実施例では、回収室120は、配置後、又は吸引装置140に連結後に、減圧される。回収室120は、現場で又は製造時に予め減圧してもよい。ある実施例では、吸引装置は、皮膚外傷面に配置される前に、回収室に連結される。また、他の実施例では、吸引装置と回収室は一体に形成される。実施例では、回収室は、回収室を切断することによって、又は、回収室の一部又は複数の部分を分離することによって、手術によって縫合された皮膚外傷領域の長さに作られる。実施例では、回収室は、簡単に長さを短くできるように、一つ又は複数の予め形成された薄い厚みの分離領域を有する。次に、吸引装置は、回収室の切断端又は分離端を閉鎖するために取り付けられるか又は利用される。
図1Aは、回収室120を備えた装置100を示し、そこでは、一定の力を発揮するスプリング(定圧スプリング)機構142を有する吸引装置140が回収室120に一体に設けられている。吸引装置140の定圧スプリング機構142が連結されると、摺動自在シール又は往復動機構144が吸引され、シールされた囲いの中に一定レベルの圧力を形成し維持する。
図1Aにおいて、装置100は、回収室120の一端122を切断して、傷の長さにあう大きさとされる。
図1Aはまた、エンドプラグ124で塞がれた非吸引側の装置端部122を示す。装置はまた、シーラント構造126を用いて、
図1Aでは閉鎖されている。非吸引側の装置端部122及び/又はエンドプラグ124は、取り外し可能に又は非取り外し可能に構成される。例えば、不可逆的にエンドプラグを装置122に取り付けるために接着剤が利用される。
【0067】
実施例では、回収室の長さは、手術の切開部又は傷口の長さに応じて調整される。手術の切開部又は傷口の長さは、通常は、直線又は非直線である。実施例では、回収室の長さは、ほぼ手術傷の長さである。他の実施例では、回収室の長さは、手術傷の長さの、約+10%、約+20%、約+30%、又はそれ以上、約−10%、約−20%、又は約−30%以下である。通常は細長い手術傷が考えられるが、他の実施例では、細長くない形の手術傷も扱える。他の実施例では、一つ又は複数の装置を用いて、分岐状又は放射状の手術傷も治療できる。他の実施例では、手術の傷又は切開部は、部分的に裂開した手術傷の長さとして特徴付けられる。手術傷が部分的に裂開した手術切開部を有する実施例では、シーラント層及び/又は接触層は、裂開したセグメント又は傷や切開部の全体をシール又は覆うように構成される。細長くない傷に対する例示的な方法を以下に説明する。実施例では、単位センチメートル長さ当たりの回収室は、約100mm
3〜約10,000mm
3以上、又は約500mm
3〜約7,000mm
3、若しくは約1,000mm
3〜約5,000mm
3の体積を有する。
【0068】
回収室120は、装置100の接触層130を介して、皮膚外傷部位と流体が流れるように連通している。実施例では、回収室120とシーラント層110は一体に形成される。
図1Bに示すように、回収層120は、複数の開口150を有する。これらの開口は、シーラント層110の複数の開口150’に整列又は対応しており、接触層130と皮膚外傷と回収室120の間を流体が流れるように接続している。一連の開口150,150’により、皮膚外傷領域に加わる圧力の変化が分散される。回収室120及び/又はシーラント層110に沿った開口150,150’の間隔、大きさ、又は形状は、均一であってもよいし、不均一であってもよい。他の実施例では、回収室120とシーラント層110は、連結用に構成された別々の構造を有する。回収室の開口150をシーラント層110の開口に容易に整列するために、回収室150及び/又はシーラント層110の隣接面は、接着面又はスリップに対して抵抗を発揮する面を有する。他の実施例では、回収室の開口150及び/又はシーラント層120の開口150’は、整列を容易にするための相補的な中間物を形成する。例えば、回収室開口150及び/又はシーラント層開口150’は、対応する構造の開口に突出してもよい。さらに他の実施例では、回収室開口150とシーラント層開口150’は、相補的なシール可能なスナップフィット式連結部を有する。
【0069】
実施例では、回収室は、弾性変形材料又は塑性変形材料、又は曲げることができる構造を有する。これにより、回収室は、手術後に縫合された皮膚外傷領域の輪郭に合致し、また、回収室は体の動きに応じた少なくとも幾つかの形状変化を示す。
図1Aと
図1Bに示す実施例では、回収室120は、回収室120の全長に亘って、フレキシブルなリブ128の領域又はゾーンを有する。リブ128が存在することにより、ユーザによって回収室120が形作られて成形され、ユーザが決めた形状を維持できる。フレキシブルなリブ128の間の回収室120の部分は、硬質、半硬質、又はフレキシブルである。実施例では、回収室はまた、曲がるだけでなく、少なくとも部分的に回転するように構成してもよい。
実施例では、異なる大きさ又は形状の開口が回収室の周囲に設けられ、回転によって用途に応じて選択される。不使用の開口は、該不使用の開口上にあるシーラント層によってシールされる。代わりに、開口は予めシールしてもよいし、選択されたシールは予め取り付け他シールをそこから除去して利用してもよい。
【0070】
図2は、減圧治療装置200の他の実施例を示し、そこでは、装置200は再度空にされる又はチャージされるように構成されている。装置200は、一体化した接触層230、シーラント層210、及び回収室200を有する。接触層230は皮膚外傷面に接触して配置される。また、シールは、シーラント層210を使って、皮膚外傷を囲む皮膚の間に形成される。回収室220は、シーラント層210に一体化され、回収室220と接触層230の一連の開口250を介して接触層と囲まれた手術部位に流体が流れるように接続される。しかし、他の実施例では、回収層とシーラント層は、接着剤又は機械的な機構を用いて取り付けられる別々の部材である。別々の回収室とシーラント層により、回収室開口及び/又はシーラント層開口のいずれかを相補的なデザインに構成することで、回収層開口とシーラント層開口が容易に整列される。他の実施例では、ベースのシーラント層は予め形成された開口を欠いているが、回収室開口に鋭い又は突き刺さる構造を設け、2つの部材が違いに連結されたときにシーラント層開口が形成されるようにしてもよい。
【0071】
回収室220は、所定レベルの負圧が既に存在する予め空の状態であってもよい。代わりに、患者の装着した状態では回収室220を大気圧とし、その後、外部の吸引装置270(耐久性のある医療装置用吸引装置又は一定圧力のシリンジ)を用いて、回収室に所定レベルの負圧を形成してもよい。外部の吸引装置270は、回収室220の吸引装置取付具278の開口276に配置される。吸引装置取付具276は、回収室220と流体が流れるように接続されている。吸引装置取付具276は、一方向流量弁として構成される。これにより、空気分子又はその他の材料が回収室に進入するのを防止しながら、空気分子又はその他の材料が回収室220から取り除かれる。
図2に示す特定の実施例では、回収室220は、リブを備えた湾曲領域228を有する。しかし、他の実施例では、回収室はそのほぼ全長がフレキシブルな材料である。
【0072】
図2は回収室220を示し、その一端222がエンドプラグ224で塞がれている。回収室の他端222’には一方向流量弁260が設けてある。したがって、回収室220が滲出液又はその他の物質で充満された状態で回収室220を容易に空にするために、装置200は別の一方向流量計260を備えている。回収室200が空になると、回収室は、吸引装置取付具278の開口276を介して導入された別の外部吸引装置270を使って再び吸引される。実施例では、一方向流量弁260と回収室220を吸引する手段は同じ構造を有する。実施例では、
図2に示すように、一方向流量弁と回収室を吸引する手段は2つの異なる構造である。
図2はまた、成形可能な回収室220を有する装置200を示す。
【0073】
減圧治療装置300の他の実施例が
図3に示されている。減圧治療装置300は、第1の室372と第2の室373を有する多室式回収装置370を有する。複数の室は接続してもよいし、別々に分離してもよい。
図3において、例えば、第1と第2の室372、373は、相互連結開口374で、互いに流体が流れるように接続されている。二室式回収室370の第1の室373は、装置300の接触層330と流体が流れるように構成された一連の開口360を有する。二室式回収室370の第2の室372には、圧力を調整する往復動作機構が設けられる。
図3において、第2の室の往復動作機構は、スプリング374として示されている。スプリングは、エンドプラグ324でシールされた端部の反対側にある二室回収室370の端部でスプリングハウジング378に取り付けられている。スプリングは、プランジャの形をした装置を用いて、移動シール376を形成している。移動シール376は、二室回収室370の圧力変化を自己調整し、それらの変化に応じて移動する。
【0074】
図4は、減圧治療装置400の他の実施例を示し、そこでは、装置の接触層430,回収室420,及びシーラント層410が一体化されておらず、シーラント層410は回収室420と接触層430の上に配置される。 この実施例では、接触層430は、手術で縫合された皮膚外傷領域に接触して配置される。リブ428を有する成形可能な回収室420が、接触層430と接触しそれを被覆するように回収室420の形状を決めるべく利用される。回収室420に配置された一連の開口450は、接触層430と回収室420との間を流体が流れるように接続する。回収室420は、接触層430に接触した状態で、吸引装置440を用いて吸引される。吸引装置は、シリンジ、動力ポンプ、ベンチュリ装置、強制膨張装置、定圧スプリング、又は静的減圧装置、若しくは任意の適当な能動的又は受動的な吸引源である。吸引装置440は、好ましくは、一方向弁460を介して、回収室420と流体が流れるように接続される。回収室420を吸引後、シーラント層410と接触層430が回収室420の上に配置されて、傷口と共にシールされた囲いを形成する。
【0075】
図5は、他の実施例の装置500を示し、そこでは、離散的な回収部材580の間に回収室520が波形のチューブセグメント582を備えている。波形チューブの一端522は、エンドプラグ524又はその他の閉鎖構造によってシールされる。装置500の他端522’は、吸引源540(シリンジ、動力ポンプ、ベンチュリ装置、強制膨張装置、定圧スプリング装置、静的減圧装置、又は耐久性の医療装置用吸引装置、又は任意の適当な能動的又は受動的吸引装置(例えば、米国特許出願公開No.2010−0042021号))に連結又は一体化される。装置500の接触層530は、
図5において、シーラント層510と回収室520に一体化されている。いったん患者に取り付けられると、波形のチューブセグメント582により、回収室は患者の表面状態に合致する。装置の当該実施例により、装置は患者と共に移動できる。波形チューブセグメントにより、皮膚は大きく伸びたり縮んだりすることができる。回収室が離散的な回収部材を備えた波形チューブの場合、該離散的な回収部材58は、一連の離散的な開口550を介して、接触層530と皮膚外傷面に流体が流れるように連通される。
【0076】
実施例では、細長い減圧治療装置は、傷端を有する細長い傷の全長に沿って貼り付けられる。この細長い減圧治療装置は、縫合、ステープル、又は接着剤等によって既に閉鎖された切開部にも使用できる。場合によっては、閉鎖された切開部に減圧治療装置を適用した場合、縫合又はステープルに直に接触しない組織に対して更なる力を加えることで、切開部に沿ってさらに均一に力を分散することができる。場合によっては、減圧治療装置は、傷口の端部が開くのを防止する。時には、減圧治療装置は、新たに形成された連結組織が伸びるのを防止する。この連結組織は、傷口が伸びるのを防止する。場合によっては、シーラント層を塗布して圧力を低下させることにより、傷口端部間の隙間を潰し、傷口端部をさらに接近させることができる。特定の実施例では、傷治療装置は、切開部又は傷口にかかる機械的引張力と圧力を減らすように構成された負圧装置を有する。傷口端部の間の隙間の圧力を減らすことで、及び/又は、シーラント層がサポートの周りで収縮するときにシーラント層で押されるか又は引っ張られることで、減圧によって傷口端部が互いに接近する方向へ移動することがある。減圧治療装置はまた、弾性シーリング層、又は一つ又は複数の弾性部材で構成されたシーリング層を有する。使用時、シーラント層は、切開部又は傷口の片側に取り付けられるか又は貼り付けられ、そして、伸ばし、切開部又は傷口の反対側に取り付けられる。いったん所定場所に設けて引張力が除くと、シーラント層又はその弾性部材が傷口の両側で互いに向かい合う力を発揮し、傷口縁部を接近させ、切開部又は傷口の縁を互いに引き寄せる。実施例では、弾性部材は、切開部又は傷口の長手方向に対して横断方向に向けられる。しかし、他の実施例では、弾性部材は、種々の方向に向けられる。シーラント層又は弾性部材は、引っ張った状態で切開部又は傷口の対向する縁に貼り付けた状態で、組織を引き寄せるために十分な回復力を発揮する、シリコーンゴム、シリコーンエラストマ、ポリイソプレン、又はその他の弾性材料を含む。実施例では、シーラント層を切開部又は傷口に張り付けた後、一つ又は複数の弾性部材がシーラント層に貼り付けられ又は取り付けられる。
【0077】
図6A〜
図6Cは、傷口治療装置600の他の実施例を示す。傷口治療装置600は、シーラント層602と細長い支持部(サポート)604を有する。細長い支持部604は、切開部又は細長い傷口に沿って又はその上に配置される、細長い中央チャンネル606と共に構成されている。実施例では、装置600は、細長い傷口と直接連通する複数のチャンネルを有する。特に、本実施例では、細長い中央チャンネル606は、長手方向に切開部又は傷口の一部に沿って該切開部又は傷口に露出する開放チャンネル構造を有する。しかし、他の実施例では、細長いチャンネル606は、チャンネルの一部又はチャンネルの全体に沿って長手方向に配置された複数の開口を有する閉鎖構造を備えている。開放チャンネル又は複数の長手方向に配置された開口により、詰まりや一時的な組織表面の干渉によって均一な圧力低下が悪影響を受けるといった問題を解消しながら、傷口の長手方向に負圧を加えることができる。実施例では、切開部又は傷口に連通するチャンネル又はチャンネルセグメントは、少なくとも約1cm以上、3cm以上、又は約10cm以上、その他の場合は約20以上又は50cm以上の長さを有する。実施例では、装置600は、約70cm、100cm、又は150cmの長さを有するが、これは切断して短い長さにしてもよい。フレキシブル、曲げることができる、及び/又は成形可能な支持部604を有する実施例では、支持部及び/又はシーラント層602は、ロール形状又は折り畳まれた形状で提供され、それは後に必要に応じて分割されて切断される。ロール形状の装置は、よりコンパクトな形となり、装置の包装、取り扱い、及び適用が容易になる。装置600(又はここで説明する他の装置)は、任意の切開部又は傷口を治療するために利用される。しかし、特定の実施例では、細長い切開部又は傷口(限定的ではないが、直線状又は曲線状の切開部又は傷口)に利用される。限定的ではないが、これらの傷口は、種々の外傷性裂傷又は切り傷、胸骨切開、回復切開、経会陰的前立腺切除(術)切開、血管摘出切開、C断面切開等を含む。ここで説明する装置は、閉鎖切開部を治療するために利用される。
【0078】
使用時、細長い中央チャンネル606は、切開部又は細長い傷口に沿って配置され、シーラント層602を切開部と支持部604の上に配置することで、固定又はシールされる。シール層602と支持部604は、一体的に形成してもよいし、または、互いに連結してもよい。これにより、シーラント層602と支持部604は、一つの動作で切開部又は傷口に取り付けることができる。実施例では、シーラント層602は、切開部と支持部604の全周を完全にシールすることができる大きさと形状を有する。しかし、他の実施例では、一つ又は複数の付属シール608,610を使用してもよい。シーラント層602は、一つ又は複数の面に接着剤を有する。例えば、
図6Aでは、シーラント層602のストリップ部又は中央部には接着剤を塗布せず、シーラント層602の下面の横方向領域に沿って接着剤が設けられている。この特別な実施例では、シーラント層602の端部612,614周辺を容易にシールするために端部シール608、610が使用される。しかし、他の実施例では、追加のシールをするために付属シールを使用してもよい。
【0079】
実施例では、シーラント層、支持部、及び/又は一つ又は複数の付属シールは、装置600を減圧源に連結するために使用されるコネクタ又はポートと共に予め構成してもよい。
図6Aの特別な実施例では、端部シール610の一つは、オプションのコネクタチューブ620を用いて吸引装置618に取り付けるために使用されるコネクタ616と共に予め構成してもよい。他の実施例では、吸引源又はコネクタチューブは、シーラント層又は付属シールを貫通するように又はそこを貫く孔を形成するように構成してもよい。他の実施例では、吸引装置618は、シール、シーラント層、及び/又は支持部604と一体に形成してもよい。
【0080】
図6Bに示すように、支持部604は、選択的に、細長いチャンネル606の一側部又は両側部に一つ又は複数のサイドフランジ又はフラップ622を設けてもよい。サイドフラップ622はそれぞれ、約2mmから約50mm以上、約10mmから約40mm、又は約20mmから約30mmの範囲の幅(又は、長手方向の寸法に対して横方向の寸法)を有する。サイドフラップは、約0.5〜約5mm以上、約0.75〜約3mm、約1mmから約2mmの範囲の平均厚を有する。サイドフラップの厚さは、均一であってもよいし、均一でなくてもよい。実施例では、中央部から周辺に向かって、又はその逆方向に向かって、厚さにテーパが付いていてもよいし、厚さが減少してもよい。サイドフラップ622は、細長いチャンネル606の周囲の材料と同じ又は異なる材料である。実施例では、サポート604及び/又はサイドフラップ622は、硬質、半硬質、又はフレキシブルで、シリコーン、ウレタン、又は同様の材料で、コーティングをしてもよいししなくてもよい。例えば、支持部604の一つ又は複数の部分は、感染防止用コーティング(限定的ではないが、銀合金、又はクロルヘキシジンのコーティング)をしてもよい。サイドフラップ622は、組織接触面624及び/又はそのシーラント層被覆面626に接着剤を備えていてもよいし、そうでなくてもよい。実施例では、支持部604はさらに、キャップ構造628を有する。キャップ構造628は、細長いチャンネル606の上面に設けてもよいし、細長いチャンネル606の一側部又は両側部に突出するように構成してもよい。キャップ構造628は、約0mmから約15mm以上、約5mmまで、又は約10mmまで、あらゆる箇所に突出してもよい。実施例では、一つ又は複数の細長いサイドチャンネル630が、キャップ構造628とサイドフランジ又はフラップ622の間に形成される。キャップ構造628は、丸くなった縁又は面を有し、これにより、支持部604に接触したとき、シーラント層に穴が開いたり損傷したりする危険を減らすことができる。実施例では、付属シール、すなわちより大きな厚みの領域が形成されたシーラント層、又は刺し傷に対する抵抗物、若しくはその他の補強を支持部604の周りに設けてもよい。サイドフラップ622及び/又はキャップ構造628は、対称形状、及び/又は、細長いチャンネル606に対する大きさ又はそれ以外の大きさを有する。一つの形態では、一つ又は複数の開口が、中央チャンネル606とサイドチャンネル630との間の壁632に設けてもよい。しかし、他の形態では、中央チャンネル606とサイドチャンネル630との間の連絡は、シーラント層602が共通の空間又はポケット(ここは、皮膚に貼り付けられることがない)を提供する、支持部604の端部近傍でのみ行われる。
【0081】
図6Cに示すように、負圧が装置600に加えられると、シーラント層602がサポート604の周りで又はそこに崩れる。例えば、シーラント層602の部分は、細長いチャンネル630の中に引き込まれるか押し込まれる。他の実施例では、支持部604は、種々の窪み、開口、溝、又はチャンネルを有する。これにより、吸引により、又はシーラント層602を支持部604に締め付けるために取り付けられた又は連結されたクランプ、プッシュロッド、引き紐、又はその他の補足構造のような機械的構造により、シーラント層602は支持部604に対して収縮することができる。実施例では、シーラント層602の収縮により、傷口縁部634はそれら近づくように引かれる。負圧を加えることにより、傷口縁部634の間の隙間636の大きさが小さくなる又は隙間が無くなる。そのような場合、負圧を加える結果、傷口縁部634にかかる引張力が無くなる。ここで説明する他の実施例では、引張力が無くなることと負圧を加えることは無関係又は少なくとも実質的に無関係である。
【0082】
支持部に加えて、傷治療装置は、シーラント層に組み込まれる又は取り付けできる一つ又は複数の弾性要素を有する。例えば、支持部に弾性特性を持たせることに加えて、弾性のバンド又は紐がシーラント層に設けられる。実施例では、弾性のバンド又は紐は、同じ方向を有する。しかし、他の実施例では、弾性バンドは複数の方向に向けてもよい。実施例では、支持部はまた、傷口の組織を特定の方向に機械的に付勢するように構成された弾性材料又は構造(例えば、スプリング)を有する。実施例では、スプリングは、取り付け可能なクリップを有する。これは、支持部と共に使用されて、弾性支持部をさらに付勢する、又は硬質支持部に収縮力を与える。
【0083】
実施例では、減圧式傷治療装置は、利用される装置の長さよりも長い切開部又は細長い傷を治療するために利用される。
そのような場合、複数の装置、支持部、及びシーラント層は、独立に配置されるか、又は大きな傷を治療するために重ねた状態で配置される。
例えば、
図7において、2つの別々の支持部700,702とシーラント層704,706は、端部と端部を突き合わせて配置され、接合領域708は第3のシーラント層710で覆われる。
例えば、第3のシーラント層を使用するのが有効で、その場合、支持部とシーラント層は一体構造又は予め取り付けられた構造で供給又は製造される。支持部700、702の端部とシーラント層704,706は接合領域708で接するように記載されているが、他の実施例では、支持部及び/シーラント部の間には部分的な又は完全な隙間が設けられる。
図7に示す構造に加えて、支持部及び/又はシーラント層はまた、平行に配置される。他の実施例では、第3のシーラント層を使用する必要がなく、一つのシーラント層が他のシーラント層に重ねられ、そこにシーラント層が関連する支持部の端部が伸びている。他の実施例では、複数のシーラント層又は支持部が設けられて、より少なく数の支持部又はシーラント層と使用される。また、より長い又は大きな支持部又はシーラント層と共に一つ以上の吸引装置を使用してもよい。
【0084】
平行に又は直列に配置される複数の支持部に加えて、実施例では、支持部は、相互に連結されて完全な支持部を形成する複数の部分を備えている。例えば、
図8において、支持部800は、連結用の接合部分806で長手方向に沿って連結されるように構成された2つの細長い支持セグメント802,804を有する。複数の長手方向セグメント802,804を有する支持部800は、セグメント802,804を別々に切開部又は傷口の縁に取り付け(例えば、接着剤又は縫合で取り付ける)、傷口縁を近づけるように互いに連結するために利用される。実施例では、それぞれの連結可能な部品は、一体物の支持部よりも簡単に皮膚に取り付けられる。長手方向のセグメント802,804は、硬質、半硬質、又はフレキシブルである。セグメント802,804はそれぞれが構造物の約50%を占めるように描かれており、連結用の接合部分を除いて、例えば対称に割られている。他の実施例では、長手方向のセグメントは非対称に割ることができる。
図8に示す連結用の接合部分806は、各セグメント802,804の長手方向内面812に沿って配置された対応する溝808と隆起部810を有する。しかし、任意の連結用接合部分806(その他のスナップフィット構造を含む。)を使用できる。その他のロック式接合部分、機構、又は構造には、限定的ではないが、再びシールできる接着層、サイドロック、ヒンジクランプ、クリップ、ロック可能な内腔を有するロックピン、ジッパー、弾性結束バンド等が含まれる。実施例では、シーラント層を一つの支持部に収縮するために使用する構造もまた、シーラント層を複数のセグメントからなる支持部に収縮するために、及び/又は、複数のセグメントからなる支持部のセグメントを互いに連結するために使用される。
【0085】
図9Aは、弾性支持部と随意的な吸引装置904を有する減圧治療装置900の実施例を示す。随意的な接触層906は、弾性支持部902の下に設けられる。弾性支持部902は、一つ又は複数の長手方向管908又はチャンネルを備えている。管又はチャンネルは、完全に囲まれているか、又は、少なくとも部分的に開放されている。
図9Aの管908は、複数の孔910を有する閉鎖形状をしており、下の傷口又は切開部と空気又は流体が流れるように連通している。この特定の実施例では、弾性支持部904の横フラップ912は接着剤を有する。接着剤は、管908と外部空間(切開部又は傷口と孔910との間)の一部を少なくともシールするために利用される。他の実施例では、横フラップ912は、支持部の一端又は両端に伸びている。しかし、
図9Aに示す実施例では、端シール914及び/又は916は、支持部902の端部918,920の周囲をシールするために利用される。上述のように、吸引装置904を取り付けるために、端シール916の少なくとも一つにコネクタ922が設けられる。しかし、他の実施例では、コネクタは弾性支持部902に配置される。さらに別の実施例では、より大きな部分(支持部のすべてではない)を覆うために、保護層と一緒に又は保護層無しで、大きなシーラント層が利用される。例えば、弾性支持部の実施例は、傷口縁を弾性的に引き寄せるように構成された、複数の部分に分けた非シール横フラップを有する。そのように複数のセグメントに分割することにより、シール性が得られることもあれば得られない場合もあるが、弾性支持部を複数の部分として設けることができる。したがって、弾性支持部上に設けたシーラント層は、支持部周囲にシールされた空間を提供するために使用できる。
【0086】
図9B〜
図9Dを参照すると、使用時、弾性支持部902のフラップ912は、弾性的に伸ばされ又は互いに引き離されて、伸ばした状態で切開部または傷口に装着され、各フラップ912が切開部又は傷口の縁に至るまで皮膚面922に取り付けられる。施術時、支持部902は十分に硬いので、フラップ912はその全長を伸ばすことができる。他の実施例では、フラップ912の小さな一部が引き離される。そのために、支持部を部分ごとに貼り付ける又は取り付けることにより、非直線の切開部又は傷口に対して支持部を容易に貼り付けることができる。一度皮膚面920に取り付けられると、引張力又は変形力が除かれる。また、支持部904の弾性又は付勢によって、傷口の縁922を互いに押し付けられる。完全にシールされると、吸引源904が起動して、管906内の圧力を減少する、及び又は、切開部又は傷口から空気又は流体を取り除く。これにより、傷口の縁922間に隙間924があればこれが小さくなるとともに、減圧によって治癒効果が高まる及び/又は潜在的な流体ポケットを吸引する。
図9Eは、付属シール960を有する連結部958を覆うことで長い切開部又は傷口を治療するために、フラップ912を有する2つの弾性支持部902がどのようにして一列又は端と端を突き合わせた状態で配置されるかを示す。上述のように、支持部902とそれらのフラップ912の端が連結領域958に接触するように描かれているが、他の実施例では、支持部及び/又はそれらのフラップの間には部分的に又は全体に隙間を設けてもよい。
【0087】
弾性支持部は、任意の形状を有する。
図9B〜
図9Dに示すように、弾性支持部902は、エラストマー部材926を有する。該エラストマー部材は、管908のフラップ912及び/又は壁928のエラストマー特性を増大する。さらに図示するように、弾性902の開口910は、エラストマー部材926に直接設けられる。また、ある形態では、フラップ912に力が加わると開口910が変形する。
図10A〜10Cは、フラップ952を有する弾性支持部950の他の実施例を示し、こでは、非弾性構造956に開口954が設けられている。したがって、エラストマー部材958が伸ばされたとき、開口954は同じ形を維持する。非弾性構造956は、任意の形状(リング又はフレーム)を有し、開口954の縁の一部またはその全体を形成する。非弾性構造956は、各開口954用に分離されているか、又は互いに連結されている。
図11A〜
図11Cは、フラップ972を有する弾性支持部970の他の実施例を示す。この弾性支持部は弾性材料を有するが、特定のエラストマー材料が使用されるものではない。この特定の実施例では、弾性支持部970は、開放チャンネル974を有する。
図11A〜
図11Cに示すように、弾性支持部970は、縫合978又はその他の縫合手段(例えば、ステープル)によって閉鎖された切開部976に取り付けられる。縫合978は、任意の縫合であり、任意の縫合技術(連続縫合、結節縫合を含む。)と共に使用される。実施例では、縫合978は傷口の縁980を接近させた状態に維持するが、縫合978に作用してこれを離そうとする力によって、局所的に組織を引っ張ろうとする力が生じる。切開部の全長に亘って連続的な力を与えるために弾性支持部970が切開部に取り付けられ、それにより、局所的に組織に力が加わることがなくなり、切開部の治癒が促進される。
【0088】
他の実施例は、ここで説明する装置はまた、細長くない切開部又は傷口を治療するために利用できる。
図12〜
図15は、細長くない傷口を治療するための、細長い減圧治療装置の使用例を示す。
図12では、例えば、細長い減圧治療装置1000とシーラント層1002が傷口1004の周囲に配置されている。この実施例に示すように、装置1000は、種々の大きさの開口1006、1008、1010を有する。実施例では、小さな開口1004が吸引源又は接合部分1012に近くに使用され、大きな開口1008が比較的大きな距離をあけて使用されている。他の実施例では、開口の大きさは均一であるが、開口の数及び/又は間隔は、装置の長さ方向に沿って違っていてもよい。
【0089】
図13は、傷1022に対してスパイラル状に配置された他の実施例の減圧治療装置1020を示す。実施例では、スパイラル状に配置することで、
図12に示す装置の構造に比べて、傷口1022の中央部での圧力又は吸引力を大きくすることができる。
図14は他の形態の装置1030を示し、これは硬質部分1032と屈曲部分1034を交互に有し、細長くない傷口1036に沿って、行ったり来たり又はジグザグに配置されている。上述のように、実施例では、硬質部分1032はまた、装置の屈曲部分1034に対して又はその他の関節部分に対して回転するようにしてもよい。
図13に示すように、装置は傷口1036の境界内に完全に配置される必要がない。装置のすべての開口1038が傷口の境界内に配置されているが、他の実施例では、一つ又は複数の開口は傷口境界の外側に配置されることがある。
【0090】
図15は、非直線の手術切開部を閉じるために複数の装置1040とシーラント層1042が使用された他の実施例を示す。この特定の実施例では、手術の切開部は、横方向の切開部1044と中央の切開部1046を有するT型切開部で、シーラント層1042を重ねて各切開部1044、1046に取り付けられる2つの開放チャンネル装置1040を使って治療される。他の実施例では、2つ以上の装置及び2つ以上のシーラント層が使用される。例えば、一つの長い装置が中間切開部1046の全長に沿って使用され、2つの小さな装置が横方向切開部1044の残りの部分に沿って使用される。実施例では、手術閉鎖がステープル1048又はその他の突出閉鎖部材で行われた場合、開放チャンネル装置1040が使用される。
【0091】
実施例では、手術で閉鎖された切開部の対向縁部は、組織に加わる機械的な力によって、互いに離れようとする。この力は、自然に起こる皮膚の引っ張り又は組織切除後に生じる皮膚の引っ張りによるか、又は通常の体の動きによるものである。組織に加わる力が移動することで、閉鎖された切開部の治癒が促進される、及び/又は傷又はその他の好ましくない化粧的効果が減少する。ここで説明する装置は、組織に力を加えることで、皮膚に作用する力を取り除き、閉鎖された切開部が分離するのを防止するように構成されている。装置は、組織に作用する力をユーザが調整できる一つ又は複数の構造を有する。
【0092】
ここで説明する装置はまた、体に加わる外的ストレスから皮膚外傷領域を保護する。この装置は、皮膚自体から生じる内因性ストレス(例えば、角質層、表皮、又は皮膚の組織を通じて傷口に伝わるストレス)及び/又は外因性ストレス(例えば、身体活動又は筋肉の動きを通じて傷口に伝わるストレス)から皮膚外傷を保護する。実施例では、装置は、皮膚外傷領域に外因性ストレスを受けることなく、外因性ストレスから皮膚外傷の領域を保護する。例えば、装置は、皮膚の弾性特性等を変える。他の実施例では、装置は、皮膚外傷領域を、皮膚外傷領域に外因性ストレスを与えることなく、外的ストレスから皮膚外傷領域を保護する。そのような実施例は、例えばボツリヌス毒素等を用いて、筋肉組織及び周辺外傷組織を麻痺させる他の実施例では、装置は、内因性と外因性のストレスの両方から皮膚外傷領域を保護する。
【0093】
実施例では、傷口に負圧を加えることにより、傷口周囲の組織に取り付けられたシーラント層を収縮させ、それにより、傷口の縁を裂くことになる傷口に作用する力の少なくとも一部を弱める。更なる実施例では、シーラント層は、閉鎖された切開部に作用する機械的力を取り除くように構成されている。シーラント層は、閉鎖した切開部のほぼ横方向に向かう力がシーラント層内に残っている状況で、皮膚に取り付けられるように構成されている。シーラント層が皮膚に取り付けられると、シーラント層に残っている力が皮膚に伝わり、その力の方向にシーラント層が収縮する。これにより、閉鎖された切開部に横方向の圧縮力が作用し、閉鎖された切開部の対向縁部が引き離されるのを防止する。これらの力により引張力の一部が減少し、全体のストレスが無くなる又は傷口に作用する圧縮力が誘発される。
【0094】
シーラント層は、シーラント層を取り付ける前に該シーラント層に残留する力を増大する一つ又は複数の機械的要素を含む。例えば、シーラント層は、閉鎖された切開部に加えられる圧縮力を制限する機構を有する。シーラント層はまた、シーラント層の縁又はその他の領域に操作用タブを有する。該タブは、取り付け前又は取り付ける際に、ユーザによって保持されて引き伸ばされ、それによりシーラント層に力を与える。シーラント層が取り付けられると、副次的に皮膚に圧縮力が作用し、閉鎖された切開部の両側にある皮膚を機械的に互に引き寄せる。実施例では、シーラント層の力は、取り付ける前に又は取り付ける際に、シーラント層を引き伸ばす取り外し可能な要素によって加えられる。力が加えられると、取り外し可能な要素が取り除かれ、それにより、シーラント層が適用箇所に力を加える。これらの実施例では、シーラント層はさらに、ユーザが過剰な力をシーラント層に加えるのを防ぐための、引っ張り制限要素又は構造を有する。実施例では、ある程度の力が作用するとシーラント層の品質を損ない、皮膚に過剰なせん断力を加え、及び/又は傷口に過剰な圧縮力を加えることになる。一つの実施例では、シーラント層のストレスを制限する要素は、シーラント層を横切る横方向の細長い要素又は繊維ストランドを有する。
その細長い要素は、シーラント層が引き伸ばされていない状況では、弛んだ状態又は力が加わっていない状態にある。シーラント層が所定の大きさ又は所定の限界まで引き伸ばされると、細長い要素の弛みが無くなり、繊維ストランドが更なる引き伸ばしに対して抵抗する。別の実施例では、引き伸ばしを制限する要素は、実質的に非弾性フィルムを有する。この非弾性フィルムは、最初は弛んでおり、シーラント層が引き伸ばされると緊張し、それにより、シーラント層又はその他の構造からなる他の構造又は材料が過剰に引き伸ばされるのを防止する。
【0095】
別の実施例では、シーラント層は、シーラント層に加えられた力の大きさをユーザに報せるビジュアルガイド(視覚的案内)を有する。例えば、シーラント層は、複数の実質的に平行な長手方向のマーキングを有する。ユーザがシーラント層を引き伸ばすと、マーキング間の距離が増加し、それがユーザに視覚的にはっきりと見える。シーラント層に加わる引張力をマーキングの間隔で示し、それをユーザが視覚的に比較して確認する、インデックス又はガイドも設けられる。インデックス又はガイドは、シーラント層に一体的に形成してもよいし、別の装置として設けてもよいし、シーラント層の包装に設けてもよい。他の実施例では、ビジュアルガイドには、シーラント層に透明又は不透明の一つの色領域又は複数の色領域を設けてもよい。シーラント層に張力が加わったとき、シーラント層の厚みに応じて、色領域の透明性又は不透明性が増加又は減少する。他の実施例では、ビジュアルガイドは、張力の増加に応じて色が変化する一つ又は複数の色領域を有する。
【0096】
実施例では、圧縮を制限する機構は、変位リミッタ(変位を制限するもの)を有する。例えば、シーラント層の収縮は、組織の圧縮量又は移動量を制限する機械的な障害物を形成する少なくとも2つ又は複数の構造を設けることによって制限される。別の実施例では、その構造は、連結構造となって対をなしている。例えば、一つの構造がシーラント層の中央線近くに配置され、別の対応する又は相補的な構造がシーラント層の中央線から離れた場所に配置される装置が取り付けられると、シーラント層に残留する力によってシーラント層が収縮し、これにより、相補的な構造がそれらの連結(又は係合若しくは接触)位置に向けて互いに接近する。互いに対向する構造が接触すると、シーラント層の更なる収縮が制限され、閉鎖された切開部に作用する圧縮量が制限される。
【0097】
他の実施例では、シーラント層は、キャリアフィルムなどのキャリア構造を有する。キャリア構造は、接着剤を担持するシーラント層の一方の面に対向する他方の面で、該シーラント層に取り外し自在に取り付けられる。キャリア構造は、取り付けられると、シーラント層を張力状態に維持し、該シーラント層が収縮するのを防止する。使用時、装置は、キャリア構造をシーラント層に取り付けた状態で、皮膚に取り付けられる。皮膚に取り付けられると、キャリア構造は取り除かれる。これにより、シーラント層の張力が少なくとも部分的に解放されて皮膚に伝えられる。実施例では、キャリア構造は異方的にフレキシブルで、横方向に実質的に硬質で、シーラント層内にその方向の張力を維持する一方、長手方向に実質的にフレキシブルで、装置は患者の体に合わせることができる。他の実施例では、キャリア構造は、横方向のリブを有し、これにより異方的柔軟性が付与される。他の実施例では、キャリア構造は折り畳むことができるように構成されている。その結果、装置は、皮膚に取り付けるために張力が必要となるまで、弛緩状態で保存される。そして、皮膚に取り付ける際に広げられて、シーラント層に張力が与えられる。
【0098】
実施例では、装置は、一つ又は複数の治療剤を供給するように構成される。これらの剤は、限定的ではないが、閉鎖された切開部の治癒を促進する、例えば、抗生物質、抗炎症剤を含む。実施例では、装置は、主回収室に加えて、別の室又は管状構造を有する。追加の室又は管状構造は、外部ポンプ又は重力供給落下源を含み、治療剤の源と流体が流れるように接続される。実施例では、追加の室又は管状構造は、主回収室と直接に流体が流れるように接続していない。実施例では、追加の室又は管状構造はまた、閉鎖された切開部に剤を送ることができる、別に一つの通路又は複数の通路を有する。
【0099】
図16Aと
図16Bは、反作用的な圧縮力を与えることによって閉鎖された切開部を横断する力を軽減するように構成された装置の一例を示す。装置1600は、回収室1601とシーラント層1602を有する。装置はまた、装置の横方向周縁に配置されたプル(引っ張り)タブ1603を有する。ユーザは、装置を取り付ける前に、プルタブ1603を掴み、引張力(矢印1604で示す)を加えて装置を引き伸ばす。シーラント層1602はさらに、例えば、シーラント層1602の一つの軸に沿って向けられた、又は実質的に切開部の横断方向に向けられた、一つ又は複数の引張制限要素1605を有する。引張制限要素の大きさ、形、及び構造は、ユーザの要求に応じて変えられる。実施例では、引張制限要素1605はそれぞれ、一つ又は複数の細長い要素を有する該細長い要素は、その長軸に沿って最大長さまで引き伸ばすことができる。細長い要素の一例は、繊維部材である。
図16Aにおいて、装置1600は取付前の伸びていない状態で示されており、引張制限要素1605は弛んでいる。
図16Bにおいて、ユーザがプルタブ1603に引っ張り動作1604を加えると、引張制限要素1605が緊張し、最大長さまで伸びる。引張制限要素は、第1の大きさ及び/又は形状を有する第1の状態と第2の大きさ及び/又は形状を有する第2の状態との間、またそれら2つの状態の間の任意の状態に変化する。
この状態で、細長い引張制限要素1605は、弛緩した細長い引張制限要素1605の長さに対応する限界を超える装置の引っ張りに抵抗する。
【0100】
図17Aと
図17Bは、反作用的な圧縮力を与えることによって閉鎖された切開部を横断する力を軽減するように構成された装置1700を示す。装置1700は、回収室1701とシーラント層1702を有する。
図17Aは、例えば、装置の取り付け前に、ユーザによって、シーラント層1702が引き伸ばされた状態、又は装置の取り付け前に引き伸ばされた状態に維持されている状態を示す。装置は、回収室1701の両側でシーラント層1702の長手方向に設けられた、2つ又はそれ以上の基端制限要素1703と末端制限要素1704を有する。制限要素1703,1704は、間隔をあけて配置された細長い構造を有する。基端制限要素1703は、末端制限要素1704の相補形状に係合する形状を有する。そのため、両制限要素は、合わされると互に係合する。基端制限要素1703と末端制限要素1704は、それらの間の距離1705を伸ばした状態で構成されている。制限要素の間のその距離は、制限要素間の最大許容移動量を定義しており、それはシーラント構造の移動量及び/又は取り付けた皮膚に加わる圧縮に対応している。装置が患者に取り付けられると、引っ張りによって装置内に残留する力が装置を中位の状態(
図17Bに示す状態)に向けて収縮する。装置は、距離1705がほぼゼロになる状態まで収縮し、制限要素1703、1704が物理的に直に接触するか、又は、シーラント層1702の収縮を制限する。しかし、装置は、必ずしも、距離1705がゼロになる状態まで収縮することはない。
図17Bに示す状態で、装置1700は、シーラント層1702に力が残留するように構成してもよいし、そうでなくてもよい。制限要素1703,1704は省略されている実施例では、大きな収縮が生じる。しかし、基端制限要素1703と末端制限要素1704の相互作用はシーラント層1702がさらに収縮するのを防止するように構成し、これにより、閉鎖された切開部に装置が加える圧縮力を制限する。
【0101】
図18Aは、他の実施例の装置1800を示す。装置1800は、回収室1801と、シーラント層1802と、配送手段として機能するキャリア構造1803を有する。シーラント層1802は、キャリア構造1803の存在によって、残留する力で伸びた状態に維持される。キャリア構造1803は、キャリア構造1803に横方向の剛性を付与する複数の横方向要素又はリブ1804を有し、それにより、キャリア構造1803はシーラント層1802を伸びた状態に維持する。横方向のリブ1804は、連続的な横方向リブ1804の間の空間で分離されている。その空間があることにより、横方向リブ1804は互に移動でき、それにより、キャリア構造1803は長手方向にフレキシブルで、長手方向に屈曲した状態の装置を示す
図18Aに示すように、曲線状の切開部に合致する。装置が患者に取り付け又は貼り付けられると、キャリア構造1803が取り除かれる。これにより、シーラント層1802内の残留力が閉鎖切開部に作用して圧縮力を付与する。装置はまた、
図18Bに示すように、キャリア構造1803に連結されるとともに、シーラント層1802が引き伸ばされておらず又は僅かに引き伸ばされた弛緩状態で配置されるように構成されている。
図18Cに示すように、キャリア構造1803の変形により、シーラント層1802は、閉鎖切開部に取り付ける前の伸びた状態を実現する。
【0102】
図19は、実施例の内部を示す斜視図で、そこでは、装置1900は、剤の運ぶための乗物として機能するように構成されている。装置は、シール面1901を有する。シール面は、シール面1901から外側に伸びる接着剤タブ1902を有し、柔軟性を増すためにタブ1902とタブ1902の間に空間が形成されている。装置1900はまた、回収室1903と輸送室1904を有する。回収室1903は、複数の回収通路1905と、複数の輸送通路1906を有する輸送室1904を有する。回収室1903は、閉鎖切開部に負圧を与えるための負圧源に接続されている。輸送室1904は、輸送される剤の源に接続されており、回収室1905には直接に流体が流れるように接続されていない。使用時、輸送される剤は、輸送室1904に送られ、さらに、輸送通路1906を介して閉鎖切開領域に送られる。負圧は回収室1903を通じて加えられ、回収通路1905を介して閉鎖切開領域に連通される。実施例では、輸送される剤は、減圧源によって即座に取り除かれることなく、閉鎖切開部に導入される。これは、輸送通路と回収通路の間の距離による。
【0103】
装置を皮膚に取り付ける前に該装置に設けられる予備的な引き伸ばし(プレストレッチング)要素を説明する。プレストレッチング要素により、装置は事前に引き伸ばすことができるとともに、装置を皮膚に取り付ける前に該装置はプレストレッチング状態に維持される。プレストレッチング要素は、装置を皮膚に取り付けた後に取り除かれる。プレストレッチング要素が取り除かれると、シーラント層に残留する力が解放される。シーラント層に残留する力は皮膚に伝わり、シーラント層はその力の方向に収縮する。これにより、閉鎖切開部に横方向の圧縮力がかかり、閉鎖切開部の両縁を引き離す力に対抗する。
【0104】
図20A〜
図20Gを参照すると、中央のプレストレッチング要素990は、減圧治療装置(
図9に示す弾性支持部902の実施例)の弾性支持部902のフラップ912間の空間を増大するために利用される。プレストレッチング要素990はまた、輸送手段として利用される。プラストレッチング要素990を設けたことにより、弾性支持部902は切開部又は傷口に、引き伸ばした状態で取り付けることができ、その結果、各フラップ912は切開部又は傷口のそれぞれの縁の皮膚面920に貼り付けられる。
図20Aにおいて、弾性支持部は、プレストレッチング状態で示されており、そこでは、プレストレッチング要素990が伸長状態にあり、エラストマー部材926を伸長形状に維持している。管壁928はまた、
図20Aでは、引き伸ばした状態で表されている。
【0105】
図20E〜
図20Fは、伸張状態にあるプレストレッチング要素990の拡大図を示す。
プレストレッチング要素990は、
図20Gでは非伸長状態で示されている。プレストレッチング要素は、複数のヒンジ支柱(ストラット)を介して中央バー992に連結された拡張(エキスパンジョン)レール991を有する。実施例では、拡張レール991は、拡張レール991に対してヒンジ支柱を横方向に位置させて且つ拡張レール991とヒンジ関係を保ちながら、ヒンジプレストレッチング要素992の長軸に沿って伸びる。中央バー992は、複数のフィンガーホール993,994に連結されている。ユーザは、拡張レールと中央バーを相対的に動かして、プレストレッチング要素990を非伸張状態と伸張状態の間で動かすことができる。レール991の中央バー992に対する移動は、フィンガーホール993,994の相互の動きによって起こる。ラッチタブ995を使用してフィンガーホール993,994を基端位置に固定し、それにより、ヒンジ支柱992をして、レール991間の距離を
図20Eと
図20Fに示すように分けてもよい。ラッチタブ995はまた、プレストレッチング要素が
図20Gに示す非伸張状態に戻すように解放してもよい。
【0106】
図20Bを再び参照すると、治療装置の予め伸長された弾性支持部902は、閉鎖切開部の周囲の皮膚面920に取り付けられる。弾性支持部902は、縫合978又はその他の切開部閉鎖手段(例えば、ステープル、接着剤)で閉鎖された切開部に取り付けられる。
縫合978は、縫合でもよいし、その他の縫合技術(連続縫合、結節縫合)と共に用いてもよい。実施例では、通常、縫合978は閉鎖切開部縁980を接近状態に維持するものであるが、傷口閉鎖部に沿って作用する分離力が組織の局部領域に作用する力を生じる。切開部976の全長に亘って連続的に力を与えるために弾性支持部902が切開部に取り付けられ、それにより、局部的に組織に張力が加わるのを減らし、切開部の治癒を促進する。
図20Cにおいて、プレストレッチング要素990は、装置が皮膚組織920に力を与えるように、非伸長状態に切り替えられている。次に、減圧装置に接続できるように包帯が巻かれると、プレストレッチング要素990は
図20Dに示すように取り除かれる。減圧治療装置900は、プレストレッチング要素990が伸長状態又は非伸張状態で、又は、プレストレッチング要素が管908に挿入されていない状態で、プレストレッチ状態をとるように構成してもよい。
【0107】
図21A〜
図21Dを参照すると、使用時、
図9の弾性支持部902のフラップ912は弾性的に伸ばされ又は互いに引き離され、引き伸ばした状態で切開部又は切口に取り付けられ、各フラップ912が切開部又は傷口の縁に向けて皮膚面920に貼り付けられる。
フラップ912とそれらの弾性部材926が伸びは、
図21Bに示すように、非弾性部材996でその程度が制限される。非弾性部材996は、フラップ912の一端に取り付けられる第1の端部と、傷口の反対側で他方のフラップ912に取り付けられる第2の端部を有する。非弾性部材996は、弾性支持部902上に配置される。すなわち、非弾性部材996は少なくとも一部が、
図21A〜
図21Dに示す方向に関して、弾性支持部902の上に配置される(この状態で、必ずしも弾性支持部に接触している必要はない)。
【0108】
皮膚面920に取り付けられると、伸張力及び変形力が解放され、支持部902の弾性力及び付勢力とエラストマー部材926が閉鎖切開部の縁980を互いに他方に向けて押す。
弾性支持部902は、縫合978又はその他の切開部閉鎖手段(例えば、ステープル)で閉じられた切開部976に設けられる。縫合978は、任意の縫合でよいし、任意の縫合技術(連続縫合、結節縫合)と共に使用してもよい。実施例では、縫合978は閉鎖切開部縁980を接近した状態維持するが、傷口閉鎖部に沿って作用する分離力が局部的に組織に作用する力を生じる。切開部976の全長に亘って連続的に力を与えるために弾性支持部902が切開部に取り付けられ、それにより、局部的に組織に張力が加わるのを減らし、切開部の治癒を促進する。
図21Cに示すように皮膚面920に取り付けられると、必要に応じて、
図21Dに示すように、非弾性部材が取り除かれる。
【0109】
上述のように、傷口又は切開部の縁が整列し接近している状態で治癒は早期に進行し且つ綺麗で、後に残る傷跡も減る。治癒の増殖段階は、血管形成、コラーゲン沈着、肉芽組織形成、再上皮形成、及び傷口収縮によって特徴付けられる。上皮形成細胞は傷口縁から創傷床を横切って増殖し、形成される新たな組織を保護する。再上皮形成が起こる時間は一様ではない。一般には、傷口中央部に向かう細胞の成長及び移動は、傷口又は切開部を閉じてから2日〜5日の間に生じる。このように、傷口縁の整列と再上皮形成が、傷を治癒して傷跡を減らすことの鍵となる部分である。通常の体の動きとそれに内在する機械的な負荷と、皮膚に自然に存在する引っ張り状態によって、傷口縁に対して垂直方向又は横断方向の力がかかり、それにより、傷口が治癒段階で裂けることがある。傷口縁が裂けることにより、傷口が治癒せず、傷跡が広がったり、肥大性傷跡を生じる。皮膚に係る力が大きい体の部分(例えば、前胸部、腹部、肩部、背中上部、及び末端部)に異常な傷跡を生じる危険が高い。
【0110】
ここで説明する装置は、傷口、特に閉鎖切開部に係る力を取り除き、傷縁が裂ける可能性を減らすための力を与えるように構成されている。また、ここで説明する装置は、傷口領域に負圧を加えることとは別に、力を取り除くものである。
図22A〜
図22Bは、ここで説明する装置によって互いに押し付けられる切開縁部の断面を示す。
図22Aは、接近するまえの傷口で、そこでは、傷口の縁が引き離されている、また、傷口の縁に引張力が作用している。
図22Bは、傷口を引き寄せた状態を示し、そこでは、傷口の縁が接近して一列に配置され、その結果、細胞成長が起こり、傷口に作用する力が減っている。ここで説明する装置により、傷口の縁が僅かに外側にめくれる。その結果、傷が治癒した状態で、治癒した切開部の縁が周辺皮膚面とより面一になる。ここで説明する装置は、傷口を横切って引張力を反対に作用する圧縮力を生じることにより能動的に引張力を取り除くとともに、切開部を横切って加わる力に抵抗することにより受動的に引張力を取り除くことができる。
【0111】
傷口縁を横切る引張力を除くことで、治癒中の傷口の裂け(これは、大きな傷跡や傷口治癒阻害につながる。)のを防止できる。上述のように、ここで説明した装置によって加えられる負圧により、皮膚組織及び/又は皮下組織内部に生じる小さな流体貯留ポケットを取り除くことができる。これらの領域で流体を回収することで、血液の流れ、免疫機能、抗生物質の浸透、及び、バクテリアの成長及び感染に繋がることを抑制できる。傷口からの滲出液を取り除くことで、綺麗な傷口環境を提供できる。
【0112】
図23は、モジュール式で使い勝手がよく且つ負圧輸送部の無い別の実施例の減圧治療装置2000を示す。減圧治療装置200は、一つ又は複数の力除去用管モジュール2035と、その下に横たわる接触層2030と、モジュール2035をシールする及び/又は覆う大きさのシーリング層2010を有する。シーリング層2010は、コネクタ2022を介して吸引装置2040のような負圧源に連結するコネクタチューブ2062に連結できる。減圧治療装置2000は、傷口流域を覆うシールされた囲いの内側に一定の負圧を形成し維持できるように構成されており、機械的な引張力を減らすとともに減圧高価を切開部又は傷口に提供する。この実施例では、装置の要素は一体化されておらず、高度にモジュール化して都合よくカストマイズできるようにしてある。ここで説明する装置は、高度にモジュール化されており、縫合、ステープル、接着剤等で閉鎖された傷口の上で使用される。この装置は、吸引又は負圧なしで、傷口又は切開部の縁に加わる力を取り除くために使用される。また、この装置は、閉鎖されていない切開部又は傷口に加わる力を取り除くためにも利用できる。この装置は、種々の大きさや形状の切開部及び傷口(曲線状の傷口や直線状の傷口)に対して利用できる。この装置は、傷口又は切開部とそこから離れた体の一部との間を橋渡しするように構成できる。
【0113】
接触層2030は、皮膚外傷の手術で縫合した領域に直に接触して、皮膚外傷又は切開部に流体が流れるように、配置される。接触層2030は、引張力を取り除く管モジュール2035の一部又はそれ以上の下で、切開部に直に接触して配置される。接触層の材料は、引張力を取り除く管モジュール2035の一部又はそれ以上の上に配置してもよい。接触層は、圧力と流体を運ぶように構成されている。接触層の材料は、発泡剤、メッシュ、ガーゼ、スポンジ、粒子状物質、メッシュ基質、積層メッシュ基質、多孔性の生体適合性材料、又はその他の適当な公知材料である。接触層2030は湿った状態又は乾燥状態である。接触層2030は、抗菌特性を有するものでもよいし、又は抗菌性化合物及び剤(限定的ではないが、銀ナノ粒子、ポリヘキサメチレンPHMB、及び他の抗菌剤)が含浸されたものでもよい。接触層2030は、治療剤を輸送する乗物として機能するように構成できる。
【0114】
図24に示すように、引張力を取り除くモジュール2035は、接着剤2410によって下部の接着層2415に連結された上部水路層2405を含む。引張力を取り除くモジュール2035は、多層である必要はない。水路層2405は、高度に回復可能な高度弾性材料(例えば、シリコーンエラストマー、ポリウレタン、ポリイソプレン、その他のエラストマー、又はその他の機械的に好適な材料)で製造される。これにより、接触層2030の上に取り付けられとともに閉鎖傷口又は切開部の長軸に沿って少なくとも部分的に整列された水路層2405は皮膚外傷の外延に合致し、体の動きに応じて伸び、収縮し、曲がり、及び/又はそれに適合する。接着層2415は、アクリル、ゴム、又はシリコーン接着剤で被覆されたポリウレタンのように、高度弾性材料で製造され、記憶性を有し、下側に接着剤を含む。接着層2415は、上水路層2405から外側に広がり、少なくとも一対の翼部を形成する対向構造を含む。翼部は、健康な皮膚面のように、傷口又は切開部から離れた皮膚部分に取り付けられる。接着層2415の対向する接着構造は、水路層2405の中央構造に連結される。代わりに、対向する接着構造は、対向する接着構造は、中央構造で互に連結されるか又は一体化され、その一部が切開部又は傷口の長手方向軸に整列するように構成されている。この装置は、傷口を囲む皮膚の露出が制限されるように、切開部に沿って進むように取り付けられる。各対の翼部は、対称であってもよいし、非対称であってもよい。接着層2415により、繰り返し引張力を取り除くための低せん断が保証される。水路層2405と接着層2415のために選択された材料は、引張力を取り除く管モジュール2035の下に流体が捕捉されるのを防止する生体適合性浸透性材料である。粘着用接着剤は、水路層2405を接着層2415に結び付ける任意の適当な材料(例えば、他方の層に弾性が匹敵するシリコーン製テープ又は粘着用接着剤)である。水路層2405と接着層2415はまた、下の組織(傷口や該傷口を囲む下の皮膚を含む)が見えるようにクリア又は透明であってもよい。平面的な引張力を取り除く管モジュール2035はまた、シーラント層2010を取り外すことが皮膚から管モジュールの取り外しを妨げることないように構成されており、モジュールは切開部を横切る引張力を継続的に取り除く。そのような特性は、引張力を取り除く管モジュール2035をシリコーンで構成することにより、又は、その表面を非接着材料(ポリテトラフルオロエチレンPTFE又はシリコーン)で覆うことによって得られる。
【0115】
図24において、水路層2405は、中央水路2026等の中央構造を含む。各張力除去モジュール2035は、水路層2405の中央水路2026の少なくとも一部が切開部の長軸に整列するように患者に配置される。
図25Aに示すように、中央水路2026の上面は複数の支持構造2020(両側の桁と複数の中央ポスト等)を含む。シーラント層2010が一つ又は複数の張力除去モジュール2035の上に配置されると、支持構造2020がシーラント層2010を支持する。
図25Bに示すように、張力除去水路モジュール2035の下面はまた、水路モジュール2035の下の他の領域から流体が平行に流れ出る別の底部中央水路2027と複数の底部支持構造2021を含むことができる。支持構造2020は、シーラント層2010が流れの経路を遮断するのを防止する、又は、形成された装置の経路に沿って低圧が移動するのを防止する。中央の水路2026はまた、中央構造の下層から上層に中央構造を貫通し、支持構造2020の中央ポスト間に散らす一つ又は複数の開口2091を含む。開口2091は、水路2026の一部又は全体に亘って配置される。開口2091の間隔、大きさ、又は形状は、均一又は不均一である。開口2091は、中央構造の上面と、例えば下の切開部又は傷口と中央水路2026の上面を覆う接触層2030との間を流体が流れるように連通する。これにより、傷口領域からの滲出液が接触層2030を介して中央水路2026の上面に流れる。フレキシブルなシーラント層2010は、シールされた流れの経路を形成する張力除去モジュールをシールする大きさにすることができる。実施例では、支持構造2020は、シーラント層2010と共に、中央水路2026の一つの閉鎖流路又は複数の閉鎖流路を形成し、そこを吸引された滲出液が流れ出て、以下で説明するように、吸引装置2040で吸引される。
【0116】
真空治療がもはや不要になると、シール層を取り除くことができる。また、開口2091は、張力除去水路モジュール2035を邪魔することなく、縫合又はステープルなどの切開部閉鎖装置にアクセスしてこれを取り外すための手段を提供する。
これにより、モジュールは、引き続き、治癒している切開部から張力を除去するとともにそれを機械的に支持する。切開部が再び上皮で覆われた後も張力除去水路モジュールを所定場所に残しておくと、治癒した傷口を開くような機械的な力から切開部が保護される。
【0117】
図26A〜
図26Bに示すように、張力除去水路モジュール2035の接着層2415は、使用前に支持用裏張り2605に設けることができる。柔らかくで極めてフレキシブルなモジュールの取り付け中の取り扱いを容易にするために、モジュール2035の下側の領域にインジケータ2610が粘着される。インジケータ2610と裏張り2605は共に取り除くことができる。裏張り2605は、モジュール2035を患者に貼り付ける前に、接着層2415の中央部を露出するために、取り外すことができる。接着層2415の対向接着構造又は翼部を伸ばし、接着層2415の中央部を患者に接着することができる。
実施例では、中央水路2026の下面が、これを患者に貼り付けることができるように、接着剤を有する。他の実施例では、中央構造を少なくとも切開部の長軸の一部に接着するために、対向する接着構造の間の中央部は下接着面を有する。対向する接着構造は、手動で、又は、後述する
ように、裏返し可能に連結されたプルタブを用いて、引き伸ばすことができる
。接着層2415の下側に取り付けた折り畳み式の裏張り2650が取り除かれ、接着層2415の対向翼部の残余部分を露出する。モジュール2035を患者に取り付けた後、インジケータ2610が取り除かれ、皮膚から装置を取り除くことなく、接着層2415の上側から出る接着剤で接着される。
【0118】
インジケータ2610は、張力調整タブ2620に連結された2対の対向するプルタブ2615を有する。各プルタブ2615の一部は、接着層2415の上面に取り付けられ、各プルタブ2615の別の一部(プルタブ2615の外側領域など)は取り付けられていない。張力調整タブ2620は、接着層2415に対して、また、互いに自由に移動可能である。したがって、ユーザは、対向するプルタブ2615の外側を把持し、張力調整タブ2620が互いを通過するように、下にある接着層2415の対向接着構造又は接着層2415の翼部(
図25Aの矢印を参照)に張力を加える。接着層2415の翼部は、切開部に取り付けるにあたって、緩んだ状態から第1の張力状態に引き伸ばされる。接着層2415の翼部は、患者の皮膚に取り付けられると、第1の張力状態から弛緩状態に戻り、皮膚に取り付けてユーザから解放されると第2の張力状態になる。接着層2415の翼部が弛緩状態に戻ると、閉鎖した傷口又は切開部の長手方向に対して垂直方向又は横断方向(すなわち、切開部の中央に向かう方向又は対向する翼部に向かう方向)に収縮力が作用する。接着層2415の翼部は、一度皮膚面に取り付けられると、完全に弛緩した状態に戻ることがなく、第2の張力状態をとる。第2の張力状態は、第1の張力状態よりもストレスの低い状態であるが、弛緩状態よりも高いストレス状態である。このように、接着層2415は、閉鎖された傷口又は切開部を囲む皮膚に力を加えることで、内因性又は外因性ストレスから閉鎖された傷口又は切開部を保護する。接着層2415の翼部は、閉鎖された傷口又は切開部を張力でもって支持する。これにより、閉鎖された傷口又は切開部の縁に作用する機械的張力が減少する。接着層2415の翼部はまた、傷口の縁が接近して傷口又は切開部の中心に向けて引っ張られるように、皮膚を移動する。実施例では、接着層2415が取り付けられる皮膚の表面は健康な皮膚である。
【0119】
対向する張力調整タブ2620はそれぞれ、調整マーカー2625を有する。調整マーカーは、接着層2415の翼部で達成される引き伸ばしの程度に関する情報をユーザに提供する。対向するプルタブ2615を引き離して下部接着層2415が引き伸ばされると、張力調整タブ2620が互いにスライドし、対向する調整マーヵー2625が互いに接近して整列する。モジュール2035に所望の張力が加えられると、接着層2415の翼部が患者の皮膚に対して押し付けられる。接着層2415の翼部は、対向する調整マーカー2625が互いに整列した状態よりもさらに強く引っ張られる。調整マーカー2625は、互いに他方を通過するように引っ張られる。逆に、接着層2415の翼部は、対向する調整マーカー2625が互いに整列した状態よりも小さな張力をかけてもよい。その他の張力調整機構も考えられる。例えば、
図16A〜
図16B又は
図21A〜
図21Dを参照して説明したように、機械的に干渉させて接着層2415の翼部の伸び量を制限する引張制限要素をモジュール2035に加えてもよい。
【0120】
実施例では、インジケータ2610は、2組の対向するプルタブ2615a、2615b、2615c、2615dを有する。これらのプルタブはそれぞれ、2組の対向する接着層翼部2415a、2415b、2415c、2415dに連結されている。各プルタブ2615a、2615b、2615c、2615dは、調整マーカー2625a、2625b、2625c、2625dを有する張力調整タブ2620a、2620b、2620c、2620d実施例では、裏張り2605が除去されると、プルタブ2615a、2615b、2615c、2615dの外側領域がユーザに把持され、対向する接着層の翼部2415a、2415b、2415c、2415dが引き伸ばされて互に引き離される。接着層の翼部2415a、2415b、2415c、2415dが引き伸ばされると、調整マーカー2625a、2625b、2625c、2625dが互いに接近する。プルタブ2615a、2615b、2615c、2615dが所定長さ引っ張られると、調整マーカー2625a、2625b、2625c、2625dが互いに整列され、装置に適正張力が得られる。
【0121】
モジュール2035の各半分は、ここに引き伸ばされて患者の皮膚に取り付けられる。したがって、各モジュール2035は切開部に沿って除去すべき張力を調整しカストマイズできる。隣接するプルタブ2615は、インジケータ2610で、例えば、C形状部2624によって、連結できる。この部分2635は、ある程度の構造的剛性を付与するために他の形状をとり得る。この構成によれば、非常に柔軟な張力除去水路モジュール2035に構造上の剛性が与えられる。インジケータ2610は、モジュール2035の一方の半分の取り付けを邪魔しない位置で、該モジュール2035の他の半分が患者に積極的に取り付けられていない状態に維持できる。これらの構造により、モジュール2035の取り扱いと取り付けが簡単になり、取り付け後に除去すれば、フレキシブルな水路モジュール2035が皮膚の表面に適切に順応する。
【0122】
接着層2415の対向翼部はそれぞれ、接着層2415が切開部又は傷口の周囲の皮膚に接着し、接着層2415の対向翼部間に位置する中央水路2026が切開部の長軸に整列するように、切開部の両側に取り付けられる。接着層2415の対向翼部は、切開部の垂直方向又はその横断方向、又は、傷口の中央に向かう方向(
図25の矢印方向とは逆の方向)に、収縮力を与える。傷口のそれぞれの側におけるこれらの対向力により、切開部又は傷口の縁を接近させて互いに引き寄せる。接着層2415の翼部は、張力除去力の方向が切開部又は傷口の長軸を横断する方向以外の方向であるように、カストマイズすることができる。
【0123】
実施例では、装置2000は、一つの張力除去水路モジュール2035の長さよりも長い切開部又は細長い傷口を治療するために、または、傷口又は切開部から該治療部位から離れた場所を橋渡すために使用できる。その離れた場所は、切開部や傷口でないこともあり得る。その離れた場所はまた、別の切開部又は傷口を含むこともあり得る。これらの場所では、複数の張力除去水路モジュール2035を一列に及び/又は平行に利用できる。実施例では、一列に整列した張力除去水路モジュール2035の中央水路2026は、雄結合端2640と雌結合端2645を有する(
図25,27を参照)。結合端2640,2645により、複数の張力除去水路モジュール2035は互いに連結されて切開部の全長に沿って取り付けられて、傷口の全長に沿って連続した水路を形成する。
図27Bと
図27Cにおいて、結合端は、雄結合端2640上に置かれた雌結合端に連結した状態で示されている。雌結合端2645は、材料の弾性変形特性に基づいて雄結合端2640上で滑るように動き、それは、一部を切除した
図27Cに鮮明に示すように、ボタンのような機械的な連結部を形成しており、そこでは雄結合端2640のリップ部が雌開口2645の縁に重なっている。このようなモジュール方式は、不規則形状又はギザギザ形状の長い切開部に適合する。接着層2415は、一対の対向する翼部を有する。代わりに、モジュール2035は中央で切断してもよい。この場合、接着層2415の一対の対向翼部を用いて、例えば、一つのモジュール2035よりも短い切開部を治療することができる。
【0124】
モジュール2035から裏張り2605を取り除くと、接着層2415翼部の接着領域が露出し、これにより患者に接着することができる。モジュールを患者に取り付けるために折り畳まれた裏張り2650が取り除かれる。これにより、モジュール2035の上面からインジケータ2610を取り除くことができる。適当な数のモジュールが連結されて患者に取り付けられると、シーラント層2010が取り付けられる。シーラント層2010は、負圧治療が終了した後、適当な時点で取り除かれる。シーラント層2010を取り除いた後も一つ又は複数の張力除去水路モジュール2035が皮膚上に留まり、切開部から張力を除去し続ける。
【0125】
図28A〜
図28Bは、シーラント層2010の実施例を示す。シーラント層2010は、一つ又は複数の張力除去水路モジュール2035の上に配置され、傷口と共にシールされた囲いを形成する。これにより、シーラント層2010のポート2705とポート開口2706を介して傷口領域に吸引力が与えられる。シーラント層2010は、一つ又は複数のモジュール2035と、一つ又は複数のモジュール2035の周囲の皮膚の一部とを覆うような十分な大きさに作られる。シーラント層2010が、張力除去モジュールの全体と、切開部を囲むが張力除去モジュールによって覆われない皮膚の一部とを、シーラント層2010が覆うか否かに拘らず、シーラント層2010はシールを形成する。シーラント層2010はまた、張力除去モジュールの一部がシーラント層2010で覆われていない場合、水路モジュールと共に良好なシールを形成してこれを維持する。シーラント層2010及び/又は水路は、ロール形状又は折り畳まれた形状で提供され、それは必要に応じて調整されて切断される。ロール形状はよりコンパクトな形状となり、装置の包装、取り扱い、及び取り付けが容易である。中央水路2026の支持構造2020上に開口2706を設けることで、吸引装置2040で形成された負圧がコネクタチューブ2062を介して容易に導出されて送られる。シーラント層2010は、中央水路2026の支持構造2020に接触して支持される。シーラント層2010が支持構造2020に支持されて接触する場合、接着又はシールは不要である。むしろ、シーラント層2010と皮膚との間のシールは、負圧が作用したとき、システム内における負圧の漏れを防止する。
【0126】
シーラント層2010は、下側に接着層を有するポリウレタンシート又はその他の適当な材料で、せん断力又はクリープを減らすために皮膚に対してシールを提供する。接着層は、ヒドロコロイド接着剤である。接着層はまた、アクリル、シリコーン、又はゴム系の接着剤である。シーラント層2010の材料は、支持構造2020の材料に接着しない。これにより、吸引装置2040によって負圧が与えられるにも拘らず、中央水路2026の開存性(開通性)が維持される。シーラント層2010は、中央水路2026を潰して閉塞することがないように構成される。実施例では、シーラント層は、中央水路2026の変形に抵抗しそれに適合する。他の実施例では、中央水路2026に沿ってスクリーン機構又は他の囲い若しくは別のシール層が組み込まれ、負圧の下でシーラント層2010が崩れるのを防止する。シリコーン又はその他の非粘着材料を使用すれば、中央水路2026の開存性(開通性)がさらに維持される。水路が変形して塞がないように、ヒドロコロイドは薄く及び/又は低展性に作られる。
【0127】
ヒドロコロイドは水分を吸収するため、シーラント層2010は、それが接着される皮膚をその他の閉塞性包帯よりも乾燥状態に保ち、浸軟を制限して皮膚を健康に維持する。ポリウレタンとヒドロコロイドは、装置の下に水分と流体を閉じ込めない透過性材料である。
シーラント層2010は、張力除去水路モジュール2035と同様に、下部の組織を観察できる半透明材料で作ることができる。
【0128】
シーラント層2010は、接着剤下部面に取り付けられる取り外し裏張り2720を有する。
接着剤はまた、柔軟性と的剛性の裏張り2730に取り付けられる。裏張り2730は、接着剤を支持し、体表面に対する伸縮性と体形矯正性を担持する機械的特性を有する。裏張りの破断線2715により、ポート2705の下にある裏張り2720を取り外し、シーラント層2010の一部を始めに取り付けできる。裏張り2720をシーラント層2010の下側から引き離すにしたがって、ポート2705の下のシーラント層2010が皮膚に次第に繰り出されて患者に接着される。ポート2705上の裏張り2720を取り除き、ポート2705上(及び裏張り破断線2715)のシーラント層2010のその部分を最後に接着できる。側部の裏張り2710により、簡単に最初の取り付けが行える。
【0129】
上述のように、シーラント層2010は、張力除去水路モジュール2035よりも大きいが、取り外し裏張り2710を取り除く前又は取り除いた後に所定の大きさに切断できる。シール層上面2730及び/又は取り外し裏張り2710、2720は、シーラント層2010を所望の大きさに切断するために便利な格子模様又はその他の模様を有する。代わりに、シーラント層2010をモジュール化してもよい(
図29参照)。例えば、シーラント層2010は、複数の小さなシール層のセグメント(部分)2725である。シール層セグメント2725は、種々の形状又は大きさの傷口をシールするために積層される。ポート2705は、吸引装置を所望の場所に設けるために、水路に沿って任意の場所で異なる方向に向けて配置される。
【0130】
シーラント層2010のポート2705は、連結チューブ2062に連結できる。連結チューブ2062とポート2705は、シーラント層2010を患者に取り付けた後、シーラント層2010に予め取り付け又は付着できる。一般に、ポート2705はシーラント層2010の端部近傍にあるが、シーラント層2010の内側領域近傍に配置される。連結チューブ2062はカストマイズできるので、ポート2705の位置と方向は変えることができる。連結チューブ2062の一端はポート2705に連結でき、連結チューブ2062の他端はコネクタ2022を介して吸引装置2040に連結できる(
図23参照)。
コネクタ2022に連結すると、コネクタチューブ2062とコネクタ2022は、返し部又はその他の取付機構を介するなどして、不用意に外れることが防止される。
【0131】
その後、吸引装置2040は、コネクタ2022に連結される。コネクタ2022は、コネクタチューブ2062を介して、中央水路2026に流体が流れるように接続される。
水路2026上の所定場所にシーラント層2010を配置して負圧治療を起動すると、滲出液が吸引される。これにより、滲出液は、水路2026を介して流れ、吸引装置2040の室内に集まる。滲出液は、治療が終了するまで、又は、吸引装置2040が流体で満たされるまで、連続的に吸引される。治療が終了する前に吸引装置2040が滲出液で満杯になると、吸引装置2040と回収された滲出液は廃棄され、必要に応じて新たな吸引装置2040がコネクタ2022に連結される。一方向流量弁2065(
図23)は、図示するように、ポート2705、連結チューブ2062の領域、又はコネクタ2022内に配置される。一方向流量弁2065により、中央水路2026に向かう方向に空気分子又はその他の材料が侵入するのを防止しながら、空気分子又はその他の材料が除去される。
ポート2705はまた、目に見える及び/又は触覚で感知できる負圧インジケータを含むことができる。例えば、ポート2705は、吸引装置2040が起動すると、負圧が首尾よく導入されているか否かを判断するためにユーザが見ることができる崩壊可能な泡を含む。ポート2705はまた、負圧が首尾よく供給されたときにユーザによって感受される凹状に反転する柔軟な凸状部材を含むことができる。
【0132】
吸引装置2040は、シリンジ、動力ポンプ、ベンチュリ装置、強制膨張装置、定圧スプリング、又は静的負圧装置、動力式吸引ポンプ、耐久性のある医療装置用吸引装置、又は任意の適当な能動的又は受動的吸引源である。実施例では、吸引装置2040は、米国特許出願第2010−00420213号に記載の定圧スプリングである。
【0133】
また、減圧治療装置2000はまた、一つのシーラント層で複数の切開部を治療するように構成されている。上述のように、接触層2030は、治療する切開部の上に設置される。
切開部の間の傷の無い皮膚上では、保護層が設置され、吸引及び滲出液に晒される皮膚を限定する。保護層の例は、アクリル接着剤の包帯又はヒドロコロイドの包帯などの閉塞性障害物を含む。張力除去水路モジュール2035は、次に、治療する切開部と、別々の切開部の間をつなぐ傷の無い皮膚の上に配置される。水路モジュール2035は、治療部位の間にブリッジを形成するように、張力減衰モードで配置される必要はない。
【0134】
減圧治療装置2000はまた、患者の快適性の観点からマニホールド又は圧力ポートが操作し易い脚の側部やその他の場所のような離れた場所から該装置を使うのが難しい、患者の足の踵底のようなアクセスの難しい場所又はその他の身体構造部位に負圧を導くブリッジとして利用される実施例では、減圧治療装置2000は、ポート2705が配置された装置の基端から傷口又は切開部が位置する装置の末端まで負圧を送るために利用できる。装置2000がモジュール化されているため、ポート2705と傷口又は切開部との間の距離の変化と仕様に対応できる。装置の基端から負圧を送る末端までの間の無傷な皮膚領域は、装置の末端まで容易に負圧を送ることができるように保護層で覆われている。末端は糖尿病(性)潰瘍のような慢性傷口に対する治療部に接続されるか、又は、ポートを設置する位置にある傷口は脚の踵のような圧力地点につながる。橋渡しする構成により皮膚組織に供給される負圧源として薄型のものを利用することができ、これにより、患者の快適性が増し、負圧供給源の信頼性が高まる。
【0135】
張力除去水路モジュール2035のシーリング層2010が薄いことにより、患者にとって快適であるように、装置は離散的に且つ目障りのない状態で配置することができる。装置が薄型になることで、装置は皮膚の表面にほぼ面一になり、膨らみを生じたり不規則な突出を生じることなく、衣服の下に個別に簡単に装着できる。薄型で平滑な輪郭に形成できることから、装置はその表面に何かが当たって機械的に引き剥がされるということがなく、装置のシール性及び/又は張力除去特性に悪影響を及ぼすことがない。装置は、最大で約12mm以下、11mm以下、10mm以下、又は9mm以下の厚みを有する。ポートにおいて、装置は約9mm〜10mmの厚みの最大寸法を有する。装置の張力除去水路モジュール部は、約2.5mm未満の厚みを有する。シール層が張力除去水路モジュールを覆う場合、装置は最大で12mm未満の厚みを有する。装置の大部分は、3.0mm未満の厚さである。シーリング層(ハイドロコロイド)帯自体は約0.2mmから約1.0mmの厚さであるが、シーリング層帯はこの範囲外であってもよい。実施例では、シーリング層帯は約0.25mm〜約0.75mmの厚さである。他の実施例では、シーリング層帯は約0.5mm〜約0.75mmの間の厚さである。
【0136】
多数の実施例を説明したが、これらの実施例は一例として示したものである。発明から逸脱することなく、当業者によって種々の改変、変更、及び置換が可能である。実施例に対する種々の代替案を採用することができる。以下の請求項が本発明の範囲を定めるもので、これらの請求項の範囲内の方法、構造、及びそれらの均等物が発明に含まれる。ここで説明するすべての実施例について、方法の工程は順次行われる必要はない。