(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
家屋の倒壊や火災を伴う大規模災害では、被災者のし尿処理が大きな問題である。多数の被災者が利用できる仮設トイレや簡易トイレとして、搬送式の簡易トイレやいわゆるマンホールトイレがある。
搬送式の簡易トイレは、キャビネットと貯留槽を備え、使用中の環境が確保されやすいが、し尿の貯蔵能力に限度がある。成人が排出するし尿の量は300g/回、1.6リットル/日とされている。このため、多数の被災者が集まった避難場所では満杯となった貯留槽のし尿を頻繁に処理する必要が生じる。また、キャビネットがかさばるために、平時の保管場所に苦労する。
【0003】
この点、マンホールトイレは、下水のマンホールへ直接、あるいは公園や校庭に新たに構築した地中空間(マンホール)を利用するもので、し尿の貯留能力がきわめて大きく、一度に多数の被災者が利用できる。また、前記搬送式のキャビネットほどかさばらず、平常時の保管に苦労することは少ない。
マンホールトイレとしては、その鉄蓋を直接に便器として利用するものや、別途準備した便器をマンホール上に載せて、マンホールの地中空間をし尿の貯留や放流のために利用するものがある。
【0004】
特許文献1は、マンホール蓋に用便口12と開閉蓋21を設けておき、裏返すことによりそのままマンホールをトイレとして使用可能としたものである。
特許文献2も同様にマンホール用蓋体を便器として利用する防災用トイレシステムである。
特許文献3,4は、マンホールの蓋そのものではなく、この蓋に合わせて別途準備した蓋様体を便器として利用するものである。
特許文献5は、マンホール型の災害時トイレとして公園や校庭に特別に設置されるもので、排便管31は下水管あるいはこれにつながる配管につながっているものと考えられる。このトイレの蓋体13は通常はマンホールの蓋であるが、反転させることによりハンドル18を備えた便器となる。
【0005】
特許文献6はマンホール20の立ち上がり管70に変換継ぎ手(アダプターと呼ばれる)を介して和式便器16などを取り付けた構造を開示している。この構造は、公園などの避難場所にあらかじめ仮設トイレ用配管14を敷設して下水管につなげておき、災害時にはその立ち上がり管に変換継ぎ手を介して仮設トイレを設置するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
災害時トイレのうちマンホールのような地中空間を利用するものに関する従来技術では、前記特許文献1,2,5,6のように、マンホールの鉄蓋に用便口を設けるなどしており、鉄蓋と便器とが分離されていない。このため、鉄蓋が特殊な構造となっている。また、鉄蓋に用便口を設ける基本構造から便器は和式であり、災害時便器として配置した場合に地上に突出する部分が多い椅子式便座の洋式トイレを設置するための技術的思想は見いだせない。
前記特許文献3では、マンホールの蓋と交換して使用するマンホール用臨時トイレ装置が開示されているが、このマンホール用臨時トイレ装置の収納については開示がない。 前記特許文献4では、マンホール蓋と足場設置部材(便器)が分離されているが、収納と使用時の姿勢を逆転させる技術的思想がないために、便器は和式に限られ、災害時に洋式トイレとできる技術的思想はない。
この発明は、従来のマンホールトイレを使用するときの環境を向上させる災害時トイレの提供を課題とする。
具体的には、災害時に地上への突出部分が多い椅子便座の洋式トイレを設置できる災害時トイレの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
災害時トイレを、地中空間の地上開口部に取付けた鉄枠に蓋を装着して前記開口部を閉じる構造と、台板と台板の上面に突出して形成される便座や背ガードなどの突出部を備えた便器とで構成する。
便器の台板は前記鉄枠に適合した大きさで鉄枠に係合及び載置できる。
便器の突出部は平面視において前記台板の平面視の範囲に収める。
そして、便器は、前記鉄枠に前記台板を係合させて前記突出部を地中空間に懸垂させた状態と、鉄枠に台板を載置して前記突出部を地上に配置した状態とにできるものとする。
また、鉄枠に台板を係合させて前記突出部を地中空間に懸垂させた状態のとき、鉄枠へさらに蓋を装着して前記地上開口部を閉じることができるものとする。
【発明の効果】
【0009】
マンホールなど地中空間の上方開口部を閉じる蓋と便器とを分離してあるので、蓋に複雑な構造を設ける必要が無い。また、便器は台板により鉄枠へ係合させて地中空間へ懸垂した状態と台板を利用して鉄枠へ載置した状態とできるので、椅子便座の洋式トイレのように設置時に地上へ大きく突出する突出部分を備えた便器であっても、地中空間へ収納しておき、必要時に地上へ取り出して洋式トイレ等として構築できる。
マンホール等を利用する災害時トイレであっても、洋式トイレとできることによってマンホールトイレを使用するときの環境が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施例〕
図1において、災害時トイレ1は、収納ボックス2と便器3及び蓋4を備える。
収納ボックス2は、この実施例において、鋼板で形成された断面正方形の角筒状であって、避難場所である公園や校庭などの地中に構築した地中空間5にはめ込まれている。
収納ボックス2は、
図2,3に示すように、上縁に外側へ張り出す上縁係合部6を有すると共に下縁に内側に張り出す下縁係合部7を有している。上縁係合部6は地中空間5の上縁に係合可能であり、地中空間5の上端縁に固定される鉄枠8の段差部に懸垂状態で取り付けられる。下縁係合部7は、後述の便器3を懸垂状態で取り付けたり、天地を逆にした収納ボックス2に載せて固定したりする際に用いる。
収納ボックス2の各寸法は、この実施例において高さ370mm、上縁係合部6の一辺(外周)645mm、下縁係合部7の一辺(外周)は580mm、下縁係合部7の一辺(内周)は564mmである。
【0012】
便器3は、便座9と筒状をした落とし込み部10及び落とし込み部10の内部に構成する受け部11(
図2,3)を備える。便座9は、落とし込み部10の上端面に固定し、受け部11は、落とし込み部10の内部にその内部空間を上下に遮断して取り付けてある。
便座9は、台板12、座板13、座面部材14、腕ガード15及び背ガード16とからなる。
【0013】
台板12は、前記収納ボックス2の上端面の内周形状よりもわずかに小さいが、収納ボックス2の下端面に形成されている下縁係合部7の内周形状よりは大きい範囲の矩形板である。したがって台板12は、収納ボックス2の上端面の開口から収納ボックス2の内部にはめ込んで、下端面の下縁係合部7に係合させることができる。台板の周縁部は便器側の係合部といえる。この実施例において台板12は四隅の下面に位置決め用のダボ17を下方へ突出させて有している。
【0014】
座板13は、使用者の体重を支える補強板であって、これに座面部材14が取り付けられる。台板12と座板13は重ねて固定され、それぞれ中央部に用便口18が開口されている。用便口18は落とし込み部10の内部空間に通じている。座面部材14はこの用便口18を取り囲むように取り付けられる。座面部材14をさらに取り囲むように、腕ガード15と背ガード16が配置されている。背ガード16の基部は台板12に固定され、腕ガード15はその横杆の基部が背ガード16の縦杆に上下方向で回動可能に取り付けられている。腕ガード15の先端側は下方へ屈曲し、その端部は台板12の上面に当接しているだけなので、腕ガード15は、この実施例において、左右共に上方へ回動させ退避させることができる(
図4)。腕ガード15が上方へ回動できることで、身体の動きに支障のある被災者も座面部材14へ座りやすくなっている。
【0015】
落とし込み部10は、収納ボックス2よりも一回り小さな鋼板製の角筒19とその内部の受け部11とから成る。角筒19の上端面には前記の台板12が溶接あるいはねじ止めなどで固定される一方、角筒19の内部空間には受け部11が取り付けられ、受け部11により内部空間が上下に2分されている。
受け部11は、
図2,5,6のように、第1の斜板20、第2の斜板21、ダンパー板22及び磁石取り付け部材23を備える。これらはいずれも鋼板製であり、上面を滑面とするためにテフロン(登録商標)樹脂がコーティングされている。なお、他の滑面材であっても良い。
【0016】
第1の斜板20は、側方から見て約60°の下り傾斜で配置され、一端(前端)が角筒19の前壁24に固定されると共に左右の側辺が角筒19の左右側壁に固定されている。第1の斜板20の他端(後端)は下方へ直角に折り曲げられて遮断縁25となっている。
第2の斜板21は、側方から見て約30°の下り傾斜で配置され、一端(後端)が角筒19の後壁26に固定されると共に左右の側辺が角筒19の左右側壁に固定されている。
【0017】
ダンパー板22は、第1の斜板20の下面側に前端部を回動自在に取り付け、その回動軸よりも前方箇所から下方へほぼ直角にやや広めの屈曲縁27を形成してある。第1の斜板20の下面側であって、前記の遮断縁25よりも前方位置に固定側ヒンジを設けると共にダンパー板22に可動側ヒンジを設け、これらに回動軸を通してヒンジ28を構成し、このヒンジ28によって回動自在とされている。
ダンパー板22の屈曲縁27の前面には錘29が固定されている。
【0018】
磁石取り付け部材23は、角筒19の左右側壁間に固定される部材であって、立ち上げ縁30を備える。立ち上げ縁30は、ダンパー板22が通常位置(
図2,5)にあるとき、その屈曲縁27の後面と対面する配置とされており、前面に永久磁石31を固定してある。
第1の斜板20の下面に回動自在に取り付けられたダンパー板22は、通常時は錘29の重量と永久磁石31による引力とにより、後端部が第2の斜板21の前端辺(下端辺)に当接して停止している。
錘29の重量と永久磁石31による引力との共同作用は、この実施例において、ダンパー板22に約200g(小人1回のし尿量)の重量以下で通常の閉じ状態を維持できる大きさとしてある。
【0019】
すなわち、ダンパー板22は、閉じ方向への付勢をダンパー板22の基部側に取り付けた錘29と永久磁石31による引力とで付与している。また、ダンパー板22は通常位置(停止位置)では、第1の斜板20とほぼ平行(60°の下り傾斜)となっている。
図5,6において、符号32はクッションであり、第2の斜板21の下縁に左右方向にとりつけられている。通常位置にあるダンパー板22の後端はこのクッションに密接している。
受け部11は以上の構造であって、ダンパー板22が通常の位置にあるとき、落とし込み部10の内部空間は、受け部11によって遮断され、上下に分断されている。
落とし込み部10における角筒19の各寸法は、この実施例において、高さ340mm、側面視400mm、正面視290mmの断面長方形であり、受け部11を構成する第1の斜板20、第2の斜板21、及びダンパー板22の正面視の幅寸法は176mmである。また、ダンパー板22の幅寸法は回動しやすいように、第1、第2の斜板20,21よりもわずかに小さくしてある。なお、角筒19の内部は、第1、第2の斜板20,21の側面と密接するように幅が狭められている。
【0020】
以上の構造であって、平常時、便器3は
図2,3,7のように、収納ボックス2に収められ地中空間5に収納される。すなわち、便器3は腕ガード15や台板12を含めて全体の平面視が収納ボックス2の上縁係合部6よりも小さく、収納ボックス2の上方から便器3をすっぽりと収納ボックス2の内部へはめ込むことができる。そして、収納ボックス2は下縁係合部7を備え、便座9の台板12は周縁部がこれに係合するから、便器3は下縁係合部7に懸垂された状態で収納ボックス2に収納される。
【0021】
すなわち、便器3の落とし込み部10は、角筒状の収納ボックス2の下方開口から下方へ地中空間5に懸垂され、便器3の便座9は収納ボックス2内に位置する。収納ボックス2の上方開口は蓋4で閉鎖される。蓋4は、収納ボックス2の上縁係合部6の上面にボルトで固定されている。ボルトは通常の簡単な工具で緩めることができるものが好ましい。なお、この災害時トイレ1が、人や車が交通する箇所に埋設される場合、蓋4を収納ボックス2に固定するボルトの頭は蓋4の上面から突出しないようにする。
【0022】
災害発生時には次の手順で災害時トイレ1を構築する。蓋4を取外し、地中空間5から収納ボックス2を便器3ごと引き出す(
図1)。そして、収納ボックス2から便器3を取り出す。ついで、収納ボックス2を天地逆にして上縁係合部6を地中空間の開口部、すなわち、鉄枠8に載せてボルト(図示していない)で固定する(
図4)。天地逆とされた収納ボックス2の上部となった下縁係合部7に便器3を載せる。このとき、落とし込み部10は、収納ボックス2の内部に位置し、便座9は台板12の周縁部が、前記の下縁係合部7に載ることによって収納ボックス2の上方に露出して位置する(
図4)。
台板12は下面四隅に設けてあるダボ17を下縁係合部7のダボ孔に嵌合することによって位置決めと安定した取り付けが行なわれる。
【0023】
収納ボックス2の内部は、便器3によって密閉される。すなわち、便座9の台板12によって天地逆とされた収納ボックス2の上方開口が閉鎖され、用便口18に通じる落とし込み部10の内部空間は、受け部11で閉鎖される(通常時)。
以上の、収納ボックス2ごと便器3を地中空間5から取り出す作用や、収納ボックス2から便器3を取り出す作業は2,3人が協力すれば、誰でも簡単にできることであって、災害時トイレ1を設置するために、特別な担当者や専門家は必要としない。
しかも、必要とする部材はその場ですべてが整い、すばやく、使用可能な状態とすることができる。
そして、周囲をテントなどの目隠し部材(図示していない)で覆って災害時トイレ1が完成する。テントなどの目隠し部材も折り畳んで収納ボックス2に収納しておくことが好ましい。また、座面部材は小人用も準備しておくことが好ましい。
【0024】
災害時トイレ1は、用法において、通常の洋式トイレと同様であり、ただ、水洗式ではない点で異なる。
トイレの使用で排出されたし尿は、当初受け部11のダンパー板22の先端部に堆積する。その量が重量で、約200gを越えるとダンパー板22は開き、し尿は、ダンパー板22の表面がテフロン(登録商標)でコーティングされているのと尿による潤滑作用で一気に下方へ落下する。
このとき、ダンパー板22は、徐々に開くのではなく、永久磁石31の引力で設定重量まで持ちこたえた(
図8)後、一挙に開く(
図9)作用となる。そのため、し尿は落下しやすい。そして、し尿が落下すると、ダンパー板22は錘29の作用で後端が上方に回動し、閉じ方向の最終段階では、永久磁石31の引力で確実に通常の閉じ位置となり、また、閉じ状態が維持される。この状態でダンパー板22の後端は第2の斜板21のクッション32に密着する。
【0025】
落下したし尿は、地中空間5の底部に貯留されるか、下水管への配設管を通じて下水へ放流される。
地中空間5は十分に大きな容積を備えたものに形成できるから、し尿の貯留能力は大きく、2,3日というような短期間で満杯になってしまう恐れがない。
配設管で下水へ放流する構造のものでは、し尿を貯留する容量について心配する必要がない。
【0026】
また、災害時トイレ1は、天地逆とした収納ボックス2の上方開口が便座9で閉鎖されると共に、通常時は、落とし込み部10の内部がダンパー板22を含む受け部11によって上下に遮断されているので、地中空間5にし尿が貯留されていたり、この空間5が下水に連通したりしていても、臭気が便座9を越えて外部に漏れ出す量はわずかとなる。さらに、用便口18を覗き込むことがあっても見えるのは受け部11の構成部材であるから、従来のマンホールトイレのように、恐怖感を抱くことがない。このため、災害時トイレ1の使用環境が向上する。
【0027】
〔実施例2〕
図10は、実施例1の蓋4をサイドテーブル33として利用するものである。収納ボックス2に4本の支持脚34をあわせ格納しておき、蓋4の下面四隅にボルト(図示していない)で固定する。サイドテーブル33は、設置した災害時トイレ1とは独立しているのでどこにおいてもよいが、災害時トイレ1の近くに配置すると、ちょっとした手荷物や衣類あるいは乳幼児を目の届く範囲におけるので重宝である。
【0028】
〔実施例3〕
図11は、実施例1の蓋4に用便口18を設けて便器とし、その下面側に実施例1の便器3と同様な落とし込み部10を取り付けたものである。用便口18は通常時では子蓋35で閉鎖されている。子蓋35を取り去り、もう一つ別の地中空間5(マンホール)に落とし込み部10を差し込み、地中空間5の上方に蓋4を掛け渡すことで、本来の便器3を用いた洋式トイレとは別にもう一つの災害時トイレ36(和式)として利用できる。この場合の落とし込み部10の大きさは、便器3が納められた収納ボックス2の内部において、便座の台板12より上方の空間に収まる大きさである。
実施例3は、災害時に必要なトイレの数を増やすことができると共に、その必要が生じない場合には、
図11のように、サイドテーブルとしても利用することができる。
【0029】
〔実施例4〕
図12〜15は、実施例4を示し、基本的に実施例1の便器3だけで構成され、収納ボックス2に相当するものは備えていない。また、下水道のマンホールに適合させており、地上開口部の鉄枠8が円形なので、これにあわせ台板12や背ガード16は、円形で鉄枠8の半径以内の大きさとしている。落とし込み部10は、角筒状であり、断面における長辺が鉄枠8の半径以内である。落とし込み部10の内部は受け部11で上下に遮断されている。受け部11の具体的な構成は実施例1の場合と同様である。
【0030】
平常時の収納状態では、便器3は背ガード16を下方とし、台板12の周縁を鉄枠8に係合した状態でマンホール内部に逆さまに懸垂された状態となっている(
図13)。
符号37はマンホールの鉄蓋であり、台板12の上方に載せてマンホールが閉じられる。
災害時は、鉄蓋37を取り去り、便器3をマンホールから抜き出す。ついで、便器3を正立させ、その台板12を再び鉄枠8にはめ込んで災害時トイレ1を完成する(
図14,15)。
トイレとしての機能と使用の態様は実施例1の場合と同様である。
【0031】
収納ボックス2を備えないので、災害時トイレとして必要な部材は、便器3に付属させておく必要がある。また、実施例1の蓋4のような部材を備えないので、サイドテーブルのようなものを作り出すことはできない。しかし、通常のマンホールの内部へ懸垂させて保管しておくことができて保管場所を要しない。また、災害時に被災者がすぐに設置することができ、しかも、設置に特別な技術を要することがない。
【0032】
図16は、第5の実施例における受け部11を示したものである。基本的に実施例1の受け部11と同様であるが、実施例5では第1の斜板20の一部に上方へのみ回動する圧抜き弁38が配置されている。この弁38は、ダンパー板22が閉じている通常状態のときに、何らかの理由で突然に地中空間5の圧力が高まると、その圧で上方に解放され(
図16)、落とし込み部10における下部空間の圧力を上部空間に抜く。これによって、便器3全体が地中空間5から吹き上げられてしまうのを防止することができる。
圧抜き弁38は通常の吹き上げ程度では開かないように、ばねなどで閉じ方向に付勢されている。また、角筒19の周囲壁で受け部11より上方の箇所など、他の箇所に設けてもよい。
【0033】
以上の災害時トイレ1では、排出されたし尿は受け部11のダンパー板22に一時貯留され、ダンパー板22の滑面とダンパー板22が急速に開くことで地中空間5に放出されるが、このときに流し込むことができる水が得られるならば、同時に利用することがもちろん好ましい。このような水は、災害時トイレ1の傍に設置したタンクからのポンプアップや自然落下、あるいは上水が機能している場合には水道管から送り込まれる構造とすることができる。用水としては雨水や食器洗いに用いた汚水なども利用できる。また、手洗いに用いた排水を災害時トイレ1の受け部11の上方に誘導して滑面が常時濡れた状態としておくこともし尿の滑落に有効である。