(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1及び
図2に示す乗客Mは、乗客コンベア1によって搬送される搬送対象物(利用者)である。乗客Mは、例えば、乗客コンベア1に乗って下階から上階に上昇している。乗客コンベア1は、乗客Mを乗せて搬送する装置である。乗客コンベア1は、例えば、上階と下階とに跨って設置されており、これらの間で乗客Mを昇降させるエスカレータである。乗客コンベア1は、
図1に示す踏段2と、
図1及び
図2に示す床面3と、
図1に示すくし板4と、
図1及び
図2に示す欄干5と、移動手すり(ハンドレール)6などを備えている。乗客コンベア1は、踏段2及び移動手すり4を駆動機構部によって駆動し、踏段2の踏面を水平状態に維持しながらこの踏段2を斜め上方に向かって移動させて乗客Mを搬送する。乗客コンベア1は、
図2に示すように、1つの踏段2上に乗客Mが進行方向の左右にそれぞれ1名ずつ2列になって搭乗可能である。
【0023】
図1に示す踏段2は、下階と上階との間を移動する階段である。踏段2は、無端状に連結されており、乗客Mを乗せる踏面を備えている。
図1及び
図2に示す床面3は、乗客コンベア1の降口の床板を構成する部分である。床面3は、乗客コンベア1を駆動する駆動機構部などを収容する機械室の開口部を塞ぐ床板の表面であり、階床に着脱自在に装着されている。床面3は、各階の階床と同一高さであり、例えば鉄道の駅のホーム床面に接続される部分である。
図1に示すくし板4は、踏段2と床面3の間に異物が侵入することを防止する部材である。くし板4は、床面3に着脱自在に装着されており、踏段2側に形成された複数の溝と噛み合う複数のくし片を備えている。
図1及び
図2に示す欄干5は、踏段2の移動方向に沿ってこの踏段2の両側に設置された部材であり、例えばガラスパネルなどによって形成されている。移動手すり6は、乗客Mが手を乗せる部分である。移動手すり6は、欄干5の周縁部に固定されているフレーム状のガイド部に沿って移動する無端状の部材であり、踏段2と同期して移動する。移動手すり6は、例えば、可撓性を有する柔軟な軟質塩化ビニルなどの合成樹脂によって形成されている。
【0024】
図1〜
図3に示す乗客検知装置7は、乗客コンベア1の踏段2から床面3に乗り移りこの床面3に向かって移動する乗客Mを複数の検知位置で検知する装置である。乗客検知装置7は、
図1に示すように、乗客コンベア1の降口に間隔をあけて複数設置されており乗客Mの有無を検知する。乗客検知装置7は、
図1〜
図3に示すように、乗客検知部7a〜7cなどを備えている。
【0025】
図1〜
図3に示す乗客検知部7aは、床面3に向かって移動する踏段2上の乗客Mを検知する手段である。乗客検知部7aは、踏段2が移動する踏段移動区間内に設置されており、踏段2とともに移動して床面3に接近するこの踏段2上の乗客Mを検知する搭乗状態検知センサである。乗客検知部7aは、
図2に示すように、左右一対の欄干5にそれぞれ設置されており、踏段2の進行方向右側の乗客Mと、この踏段2の進行方向左側の乗客Mとをそれぞれ検知する。乗客検知部7aは、
図2に示すように、乗客Mに光を照射してこの乗客Mから反射する反射光を受光し、この反射光の反射量に基づいて乗客Mの有無を検知する反射型の赤外線式センサなどである。乗客検知部7aは、乗客Mが踏段2上で全く動作していない状態であってもこの乗客Mを検知可能な静止検知機能を有している。乗客検知部7aは、乗客Mを検知したときには乗客検知信号(乗客検知情報)を制御部8jに出力する。
【0026】
図1〜
図3に示す乗客検知部7bは、踏段2から床面3に乗り移る乗客Mを検知する手段である。乗客検知部7bは、
図1に示すように、踏段2から床面3に乗客Mが乗り移る乗移り区間内に設置されている。乗客検知部7bは、踏段2とともに移動する乗客Mがこの踏段2からくし板4を跨ぎ床面3上に乗り移るときに、この乗客Mの有無を検知する降口状態検知センサである。乗客検知部7bは、踏段2とくし板4との境界線上に配置されており、踏段2の移動方向の下流側に乗客検知部7aから踏段2の幅(例えば400mm程度)Wだけ離れた位置に配置されている。乗客検知部7bは、
図2に示すように、乗客検知部7aと同様に左右一対の欄干5にそれぞれ設置されており、踏段2の進行方向右側の乗客Mと、この踏段2の進行方向左側の乗客Mとをそれぞれ検知する。乗客検知部7bは、乗客検知部7aと同様に静止検知機能を有する反射型の赤外線式センサなどである。乗客検知部7bは、乗客Mを検知したときには乗客検知信号(乗客検知情報)を制御部8jに出力する。
【0027】
図1〜
図3に示す乗客検知部7cは、床面3上の乗客Mを検知する手段である。乗客検知部7cは、
図1及び
図2に示すように、乗客コンベア1の降口付近の床面3の上方に設置されており、駅のホーム床面上の乗客Mの有無を検知するホーム状態検知センサである。乗客検知部7cは、踏段2の移動方向の下流側に乗客検知部7a,7bから離れた位置に配置されている。乗客検知部7cは、乗客検知部7a,7bとは異なり、床面3の上方の天井面に1つ設置されており、床面3上の所定領域内における乗客Mの混雑状態を検知する。乗客検知部7cは、乗客検知部7a,7bと同様に静止検知機能を有する。乗客検知部7cは、乗客検知部7a,7bのような反射光の反射量に基づいて乗客Mを検知する方式とは異なり、乗客Mまでの距離に基づいて乗客Mを検知する赤外線式の残留者センサなどである。乗客検知部7cは、乗客Mを検知したときには乗客検知信号(乗客検知情報)を制御部8jに出力する。
【0028】
図1〜
図3に示す状況判定装置8は、乗客コンベア1の降口付近の状況を判定する装置である。状況判定装置8は、乗客コンベア1によって移動する乗客Mを検知して、乗客コンベア1の降口付近の乗客Mの滞留状態及び混雑状態を判定する。状況判定装置8は、通常の状態では乗客Mが一定の距離をあけて乗降しているため、乗客検知部7b,7cの設置間隔を踏段2の幅W以下に設定することによって、乗客検知部7b,7cの一方が検知状態になり他方が未検知状態になるときを正常であると判定する。状況判定装置8は、乗客M同士の間隔が狭くなり全ての乗客検知部7a〜7cが一定条件下で検知状態になったときに混雑状態であると判定する。状況判定装置8は、乗客M同士の間隔が狭くなり乗客検知部7b,7cが一定条件下で検知状態になったときに滞留状態であると判定する。状況判定装置8は、
図3に示すように、信号入力部8aと、状況判定部8bと、時間計測部8cと、判定条件設定部8dと、判定条件記憶部8eと、判定結果記憶部8fと、判定結果送信部8gと、判定結果告知部8hと、プログラム記憶部8iと、制御部8jと、通信部8kなどを備えている。状況判定装置8は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、状況判定プログラムに従って所定の処理を実行する。
【0029】
図3に示す信号入力部8aは、種々の信号を入力させる手段である。信号入力部8aには、乗客検知部7a〜7cが出力する乗客検知信号が入力し、信号入力部8aはこれらの乗客検知信号を制御部8jに出力する。
【0030】
状況判定部8bは、乗客検知装置7の検知結果に基づいて、乗客コンベア1の降口付近の状況を判定する手段である。状況判定部8bは、例えば、ホーム床面上の乗客Mの状態が混雑状態であるか否かを判定するとともに、このホーム床面上の乗客Mの状態が滞留状態であるか否かを判定する。ここで、滞留状態とは、乗客Mの移動が滞る状態である。例えば、
図1に示す床面3上で乗客Mが転倒したり、踏段2と欄干5との間の隙間又は踏段2とくし板3との間の隙間に乗客Mが挟まれたりして、床面3に向かって移動する踏段2上の乗客Mの前方に他の乗客Mが停止しているようなときに、この停止している乗客Mに後続の乗客Mが接近しているような状態である。混雑状態とは、乗客Mが隙間なく停止した状態である。例えば、床面3上で停止している乗客Mが存在するところに後続の乗客Mが次々に送り込まれて、踏段2から床面3までの全てにおいて乗客Mが身動きを取れず混み合っているような状態である。
【0031】
図3に示す状況判定部8bは、乗客検知部7a〜7cの検知結果に基づいて、乗客コンベア1の降口付近の混雑状態を判定する。状況判定部8bは、乗客検知部7a〜7cが所定時間以上連続して同時に検知状態になり、かつ、この連続して同時に検知状態になる間隔が所定時間以内であるときには、乗客コンベア1の降口付近の混雑状態であると判定する。一方、状況判定部8bは、乗客検知部7a,7bの検知結果に基づいて、乗客コンベア1の降口付近の滞留状態を判定する。状況判定部8bは、乗客検知部7cが所定時間以上連続して検知状態になっているときに、乗客検知部7bが検知状態になったときには、乗客コンベア1の降口付近の滞留状態であると判定する。状況判定部8bは、乗客コンベア1の降口付近の状況を状況判定信号(状況判定情報)として制御部8jに出力する。
【0033】
表1は、
図1〜
図3に示す乗客検知部7a〜7cの全てが同時に2秒以上連続して検知状態になった回数を示している。ここで、表1(A)は、
図2に示す乗客Mの進行方向左側の乗客検知部7a,7b及び乗客検知部7cの検知状態を示し、表1(B)は
図2に示す乗客Mの進行方向右側の乗客検知部7a,7b及び乗客検知部7cの検知状態を示し、表1(C)は
図2に示す乗客Mの進行方向左右の乗客検知部7a,7b及び乗客検知部7cの検知状態を示す。表1は、実際の駅のホームに設置されたエスカレータの午前6時30分から午後8時30分までの間に、乗客検知部7a〜7cが全て検知状態になっている回数をこの検知状態が継続する時間毎に示している。表1に示すように、午前6時30分から午前8時30分までの通勤時間帯については、乗客検知部7a〜7cから入力する信号が日中及び夜と比較して多いことが確認された。
【0035】
表2は、
図1〜
図3に示す乗客検知部7a〜7cの全てが同時に連続して検知状態になったときに、駅のホーム周辺で滞留状態又は混雑状態が発生している割合を、監視カメラの映像によって確認した結果を検知精度(%)として示している。表2は、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に連続して検知状態になる検知時間の長さ毎に、映像確認による混雑状態及び滞留状態の検知精度を示している。表2に示すように、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に3秒〜5秒連続して検知状態になったときには、70%以上の確率で混雑状態又は滞留状態が発生していることが監視カメラの映像から確認された。また、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に2秒連続して検知状態になったときには、検知精度は低いが混雑状態又は滞留状態を検知可能なことが確認された。しかし、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に2秒連続して検知状態になった場合には92%の確率で混雑が発生していない状態であるため、2秒連続して検知状態になった場合を単純に混雑状態又は滞留状態と判定すると検知精度が低くなってしまう。このため、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に2秒連続して断続的に検知状態になったときに、混雑状態又は滞留状態になるか否かを確認した。
【0036】
図4に示す縦軸は、乗客検知部7a〜7cの全てが同時に検知状態になったときの検知時間(秒)であり、横軸は経過時間(秒)である。
図4に示すグラフは、通勤時間帯に滞留が頻繁に発生する実際の駅のホームに設置されたエスカレータの午前8時2分9秒から午前8時4分31秒までの間に、乗客検知部7a〜7cの全てが検知状態になっている継続時間を示している。ここで、
図4に示す「ホーム隙間なし」は、横軸に示す経過時間におけるエスカレータの付近を監視カメラの映像によって確認したときに、エスカレータの降口付近の駅のホーム周辺に隙間がないほど混雑している状態である。「ホーム隙間あり」は、横軸に示す経過時間におけるエスカレータの付近を監視カメラの映像によって確認したときに、エスカレータの降口付近の駅のホーム周辺に隙間があり混雑が一時的に緩和している状態である。例えば、
図4に示す「9秒」は、乗客検知部7a〜7cの全てが1秒間連続して同時に検知状態になり、この検知状態が連続して9秒間継続したことを意味し、この場合には駅のホームに隙間がなく混雑状態であることが確認された。一方、
図4に示す「
11秒」は、乗客検知部7a〜7cの全てが1秒間連続して同時に検知状態になり、この検知状態が連続して11秒間継続したことを意味し、この場合には駅のホームに隙間があり混雑状態が緩和していることが確認された。
【0037】
図4に示す「ホーム隙間なし(混雑あり)」の場合と「ホーム隙間あり(混雑なし)」の場合とを比較すると、検知時間2秒以上が断続的に9秒以内で発生しているときには混雑状態又は滞留状態であることが確認された。また、混雑が発生していない時間帯では、検知時間2秒以上が11秒間以上継続して発生していないことが確認された。
図4に示すグラフと同日の午前6時30分から午前8時30分までの2時間の間では、
図4に示す事象と同じ事象が6回発生しており、いずれも検知時間2秒以上が10秒間以上継続していないときには、混雑がない状態であることが確認された。以上より、混雑検知条件と滞留検知条件とを以下の通り設定した。
【0038】
混雑検知条件については、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になる検知時間2秒以上の場合が連続して発生し、この連続して検知状態になる間隔が10秒以内であるときには、混雑状態であると定めた。一方、混雑検知条件については、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になる検知時間2秒未満の場合が連続して発生し、この連続して検知状態になる間隔が10秒以上であるときには、混雑状態ではないと定めた。状況判定部8bは、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になってからの経過時間が所定の判定基準時間T
th1以上であるか否かを判定するとともに、この連続して同時に検知状態になる時間間隔が判定基準時間
Tth2以内であるか否かを判定する。状況判定部8bは、例えば、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になっている
図5に示す時刻T
03から時刻T
04まで及び時刻T
09から時刻T
10までの経過時間ΔT
1が判定基準時間T
th1以上(2秒以上)であり、この連続して同時に検知状態になる時刻T
04から時刻T
09までの時間間隔ΔT
2が判定基準時間
Tth2以内(10秒以内)であるときには、乗客コンベア1の坑口付近が混雑状態であると判定する。
【0039】
滞留検知条件については、乗客検知部7bが検知状態に通常状態でも1日に最大15秒程度連続して発生する。このため、滞留検知条件については、乗客検知部7bが連続して検知状態になる検知時間を15秒よりも長く余裕を見て20秒以上に設定し、20秒経過するまでに乗客検知部7aが検知状態になったときには滞留状態であると定めた。状況判定部8bは、乗客検知部7bが連続して検知状態になってからの経過時間が所定の判定基準時間T
th3以上であるか否かを判定するとともに、この連続して検知状態になっているときに乗客検知部7aが検知状態になったか否かを判定する。状況判定部8bは、例えば、乗客検知部7bが連続して検知状態になっている
図5に示す時刻T
13から時刻T
15までの経過時間ΔT
3が判定基準時間T
th3以上(20秒以上)であり、この連続して検知状態になっているときに時刻T
14において乗客検知部7aが検知状態になったときには、乗客コンベア1の坑口付近が滞留状態であると判定する。
【0040】
図3に示す時間計測部8cは、時間を計測する手段である。時間計測部8cは、乗客コンベア1の坑口付近の混雑状態を判定するときには、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1を計測するとともに、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になる時間間隔ΔT
2を計測する。また、時間計測部8cは、乗客コンベア1の坑口付近の滞留状態を判定するときには、乗客検知部7bが検知状態になってからの経過時間ΔT
3を計測する。時間計測部8cは、計測後の時間を時間計測信号(時間計測情報)として制御部8jに出力する。
【0041】
判定条件設定部8dは、乗客コンベア1の降口周辺の状況を状況判定部8bが判定するときに必要な判定条件を設定する手段である。判定条件設定部8dは、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1が所定の判定基準時間T
th1以上であるか否かを状況判定部8bが判定するときに必要となるこの判定基準時間T
th1を設定する。判定条件設定部8dは、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になる時間間隔ΔT
2が判定基準時間
Tth2以内であるか否かを判定するときに必要となる判定基準時間
Tth2を設定する。判定条件設定部8dは、乗客検知部7bが連続して同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
3が所定の判定基準時間T
th3以上であるか否かを状況判定部8bが判定するときに必要となる判定基準時間T
th3を設定する。
【0042】
判定条件記憶部8eは、判定条件設定部8dによって設定される判定条件を記憶する手段である。判定結果記憶部8fは、例えば、判定条件設定部8dによって設定される判定基準時間T
th1〜T
th3を判定条件情報として記憶するメモリである。
【0043】
判定結果記憶部8fは、状況判定部8bの判定結果を記憶する手段である。判定結果記憶部8fは、例えば、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態又は滞留状態であると状況判定部8bが判定したときに、この混雑状態及び滞留状態になった日付、時刻及び回数などを記憶するメモリである。
【0044】
判定結果送信部8gは、状況判定部8bの判定結果を送信する手段である。判定結果送信部8gは、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態又は滞留状態であると状況判定部8bが判定したときに、駅係員又は運転指令員などにこの判定結果を送信する。
【0045】
判定結果告知部8hは、状況判定部8bの判定結果を告知する手段である。判定結果告知部8hは、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態又は滞留状態であると状況判定部8bが判定したときに、この判定結果を告知する。判定結果告知部8hは、例えば、判定結果を音声で案内するスピーカ又は警報音などの音声発生装置、この判定結果を文字、図形、記号又はこれらの組み合わせによって案内する液晶画面などの表示装置などである。
【0046】
プログラム記憶部8iは、乗客コンベア1の降口付近の状況を判定するための状況判定プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部8iは、例えば、情報記録媒体から読み取った状況判定プログラム、又は電気通信回線を通じて取り込まれた状況判定プログラムなどを記憶するメモリである。
【0047】
制御部8jは、状況判定装置8に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部8jは、プログラム記憶部8iから状況判定プログラムを読み出して状況判定装置8のコンピュータに所定の処理を指令し実行させる。制御部8jは、例えば、信号入力部8aから入力する乗客検知信号に基づいて乗客検知部7a〜7cが検知状態になったか否かを判断したり、状況判定部8bに混雑状態又は滞留状態の判定を指令したり、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1の計測を時間計測部8cに指令したり、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になる時間間隔ΔT
2の計測を時間計測部8cに指令したり、乗客検知部7bが検知状態になってからの経過時間ΔT
3の計測を時間計測部8cに指令したり、判定条件設定部8dによって設定された判定条件情報の記憶を判定条件記憶部8eに指令したり、判定条件記憶部8eから判定条件情報を読み出して状況判定部8bに出力したり、状況判定部8bの判定結果の記憶を判定結果記憶部8fに指令したり、状況判定部8bの判定結果の送信を判定結果送信部8gに指令したり、状況判定部8bの判定結果の告知を判定結果告知部8hに指令したり、プログラム記憶部8iから状況判定プログラムを読み出したりする。
【0048】
通信部8kは、種々のデータを伝達するための手段である。通信部8kは、信号入力部8a、状況判定部8b、時間計測部8c、判定条件設定部8d、判定条件記憶部8e、判定結果記憶部8f、判定結果送信部8g、判定結果告知部8h、プログラム記憶部8i及び制御部8jなどを相互に通信可能なように接続するバスである。
【0049】
次に、この発明の実施形態に係る状況判定装置の動作を説明する。
以下では、
図2に示す状況判定装置8の制御部8jの動作を中心として説明する。
図6に示すステップ(以下、Sという)100において、一連の状況判定処理を開始するか否かを制御部8jが判断する。例えば、
図1及び
図2に示す乗客コンベア1が動作を開始する時刻に達したときには、状況判定装置8に電源装置から電力が供給されて、プログラム記憶部8iから状況判定プログラムを制御部8jが読み込み、一連の状況判定処理を制御部8jが実行する。一方、乗客コンベア1が動作を開始する時刻に達していないときには、この乗客コンベア1が動作を開始する時刻に達するまで制御部8jが判断を繰り返す。
【0050】
S110において、乗客検知部7a〜7cが検知状態になったか否かを制御部8jが判断する。
図1〜
図3に示す乗客検知部7a〜7cが乗客Mを検知すると、これらの乗客検知部7a〜7cが乗客検知信号を信号入力部8aに出力し、この信号入力部8aを通じて制御部8jにこの乗客検知信号が入力する。乗客検知部7a〜7cの全てから乗客検知信号が同時に入力していると制御部8jが判断したときにはS120に進み、乗客検知部7a〜7cの一部から乗客検知信号が入力していないと制御部8jが判断したときにはS160に進む。
【0051】
S120において、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1の計測を時間計測部8cに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になる時刻T
03及び時刻T
09からの経過時間ΔT
1の計測を時間計測部8cが開始する。時間計測部8cが経過時間ΔT
1の計測を開始すると、計測後の経過時間ΔT
1を時間計測情報として制御部8jに出力する。
【0052】
S130において、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1が判定基準時間T
th1以上であるか否かの判定を状況判定部8bに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になっている時刻T
03から時刻T
04まで及び時刻T
09から時刻T
10までの経過時間ΔT
1が判定基準時間T
th1以上であるか否かを状況判定部8bが判定し、この判定結果を状況判定部8bが制御部8jに出力する。乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1が判定基準時間T
th1以上であるときにはS140に進む。一方、乗客検知部7a〜7cが同時に検知状態になってからの経過時間ΔT
1が判定基準時間T
th1未満であるときにはS110に戻り、S110以降の処理を制御部8jが繰り返す。
【0053】
S140において、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になる間隔が判定基準時間T
th2以内であるか否かの判定を状況判定部8bに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になっている時刻T
04から時刻T
09までの時間間隔ΔT
2が判定基準時間T
th2以内であるか否かを状況判定部8bが判定し、この判定結果を状況判定部8bが制御部8jに出力する。乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になっている時間間隔ΔT
2が判定基準時間T
th2以内であるときにはS150に進み、乗客検知部7a〜7cが連続して同時に検知状態になっている時間間隔ΔT
2が判定基準時間T
th2を超えるときにはS110に戻り、S110以降の処理を制御部8jが繰り返す。
【0054】
S150において、混雑状態の判定処理を制御部8jが実行する。状況判定部8bが出力する状況判定情報を判定結果記憶部8fに出力するとともに、制御部8jが状況判定部8bの判定結果の記憶を判定結果記憶部8fに制御部8jが指令する。その結果、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態になった時刻T
03〜T
10が判定結果とともに判定結果記憶部8fに記録される。また、制御部8jが状況判定部8bの判定結果の送信を判定結果送信部8gに制御部8jが指令すると、この判定結果が駅係員や運転指令員などに送信される。その結果、乗客コンベア1の降口付近の混雑状態を緩和するために、駅係員又は運転指令員が乗客コンベア1の非常停止ボタンを操作すると、乗客コンベア1が安全に停止する。
【0055】
S160において、乗客検知部7bが検知状態になったか否かを制御部8jが判断する。
図1〜
図3に示す乗客検知部7bが乗客Mを検知すると、この乗客検知部7bが乗客検知信号を信号入力部8aに出力するため、この信号入力部8aを通じて制御部8jにこの乗客検知信号が入力する。乗客検知部7bから乗客検知信号が入力していると制御部8jが判断したときにはS170に進み、乗客検知部7bから乗客検知信号が入力していないと制御部8jが判断したときにはS110に戻り、S110以降の処理を制御部8jが繰り返す。
【0056】
S170において、乗客検知部7bが検知状態になってからの経過時間ΔT
3の計測を時間計測部8cに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7bが検知状態になる時刻T
13からの経過時間ΔT
3の計測を時間計測部8cが開始する。時間計測部8cが経過時間ΔT
3の計測を開始すると、計測後の経過時間ΔT
3を時間計測情報として制御部8jに出力する。
【0057】
S180において、乗客検知部7bが連続して検知状態になってからの経過時間ΔT
3が判定基準時間T
th3以上であるか否かの判定を状況判定部8bに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7bが連続して検知状態になっている時刻T
13から時刻T
15までの経過時間ΔT
3が判定基準時間T
th3以上であるか否かを状況判定部8bが判定し、この判定結果を状況判定部8bが制御部8jに出力する。乗客検知部7bが連続して検知状態になってからの経過時間ΔT
3が判定基準時間T
th3以上であるときにはS190に進み、乗客検知部7bが連続して検知状態になってからの経過時間ΔT
3が判定基準時間T
th3未満であるときにはS110に戻り、S110以降の処理を制御部8jが繰り返す。
【0058】
S190において、乗客検知部7bが連続して検知状態になっているときに、乗客検知部7aが検知状態になったか否かの判定を状況判定部8bに制御部8jが指令する。例えば、
図5に示すように、乗客検知部7bが連続して検知状態になっている時刻T
13から時刻T
15までの間の時刻T
14において、乗客検知部7aが検知状態になったか否かを状況判定部8bが判定し、この判定結果を状況判定部8bが制御部8jに出力する。乗客検知部7aから制御部8jに乗客検知信号が入力したときにはS200に進み、乗客検知部7aから制御部8jに乗客検知信号が入力しなかったときにはS110に戻り、S110以降の処理を制御部8jが繰り返す。
【0059】
S200において、滞留状態の判定処理を制御部8jが実行する。状況判定部8bが出力する状況判定情報を判定結果記憶部8fに出力するとともに、制御部8jが状況判定部8bの判定結果の記憶を判定結果記憶部8fに制御部8jが指令する。その結果、乗客コンベア1の降口付近が滞留状態になった時刻T
14〜T
15が判定結果とともに判定結果記憶部8fに記録される。また、制御部8jが状況判定部8bの判定結果の送信を判定結果送信部8gに制御部8jが指令すると、この判定結果が駅係員や運転指令などに送信される。その結果、乗客コンベア1の降口付近の滞留状態を緩和するために、駅係員又は運転指令員が乗客コンベア1の非常停止ボタンを操作して、乗客コンベア1が安全に停止する。
【0060】
S210において、一連の状況判定処理を終了するか否かを制御部8jが判断する。例えば、
図1及び
図2に示す乗客コンベア1が動作を終了する時刻に達したときには、状況判定装置8に電源装置から供給される電力が停止されて、一連の状況判定処理を制御部8jが終了する。一方、乗客コンベア1が動作を終了する時刻に達していないときにはS110に戻り、この乗客コンベア1が動作を終了する時刻に達するまで一連の状況判定処理を制御部8jが継続する。
【0061】
この発明の実施形態に係る状況判定装置及び状況判定プログラムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、乗客コンベア1の踏段2から床面3に乗り移りこの床面3に向かって移動する乗客Mを複数の検知位置で検知する乗客検知装置7の検知結果に基づいて、この乗客コンベア1の降口付近の状況を状況判定部8bが判定する。このため、乗客コンベア1の降口付近の状況を低コストで簡単な状況判定装置8によって容易に判定することができる。その結果、例えば、転倒した乗客Mに後続の乗客Mが接触するのを未然に防止することができる。
【0062】
(2) この実施形態では、床面3に向かって移動する踏段2上の乗客Mを乗客検知部7aが検知し、踏段2から床面3に乗り移る乗客Mを乗客検知部7bが検知し、床面3上の乗客Mを乗客検知部7cが検知する。また、この実施形態では、乗客検知部7a〜7cの検知結果に基づいて、乗客コンベア1の降口付近の混雑状態を状況判定部8bが判定する。このため、例えば、安価な一般のセンサを活用することによって乗客Mの混雑を検知し、乗客コンベア1の降口付近の混雑状態を駅係員などに知らせて事故の発生を未然に防止することができる。
【0063】
(3) この実施形態では、乗客検知部7a〜7cが所定時間以上連続して同時に検知状態になり、かつ、この連続して同時に検知状態になる間隔が所定時間以内であるときには、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態であると状況判定部8bが判定する。このため、乗客M同志の間隔が詰まることによって、全ての乗客検知部7a〜7cが一定条件下で検知状態になったときに、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態であると簡単に判定することができる。
【0064】
(4) この実施形態では、床面3に向かって移動する踏段2上の乗客Mを乗客検知部7bが検知し、踏段2から床面3に乗り移る乗客Mを乗客検知部7aが検知する。また、この実施形態では、乗客検知部7b,7cの検知結果に基づいて、乗客コンベア1の降口付近の滞留状態を状況判定部8bが判定する。このため、例えば、安価な一般のセンサを活用することによって乗客Mの転倒などを検知し、乗客コンベア1の降口付近の滞留状態を駅係員などに知らせて事故の発生を未然に防止することができる。
【0065】
(5) この実施形態では、乗客検知部7bが所定時間以上連続して検知状態になっているときに、乗客検知部7cが検知状態になったときには、乗客コンベア1の降口付近が滞留状態であると状況判定部8bが判定する。このため、乗客M同志の間隔が詰まることによって、乗客検知部7b,7cが一定条件下で検知状態になったときに、乗客コンベア1の降口付近が滞留状態であると簡単に判定することができる。
【0066】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、乗客コンベア1としてエスカレータを例に挙げて説明したが、乗客Mを水平方向に搬送する動く歩道のような電動道路についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、乗客検知部7a〜7cが赤外線式センサである場合を例に挙げて説明したが、光学式のセンサ以外のセンサについてもこの発明を適用することができる。
【0067】
(2) この実施形態では、床面3上の天井に乗客検知部7cを設置する場合を例に挙げて説明したが、乗客検知部7a,7bと同様の方法によって床面3上の乗客Mを検知することもできる。また、この実施形態では、乗客コンベア1の降口付近が混雑状態又は滞留状態になったときに判定結果送信部8gから判定結果を送信しているが、この判定結果に基づいて乗客コンベア1を駆動制御する制御部にこの乗客コンベア1の停止を自動的に指令することもできる。