【実施例】
【0013】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の方法と装置を示している。
まず、図中で破線の四角で囲った部分である被測定気体で満たされる一部の開口部Kを除いて密閉された空間Sの中に、ペルチェ素子Peを用いた冷却手段を取り付けたガラス板Gを配置する。ガラス板Gの表面温度を測定する温度センサー(図示せず)を設けている。この温度センサーは、想定外の異常温度を検出するためのものである。
そして、ガラス板Gの長手方向にレーザ・ダイオードや発光ダイオードなどの光源の発光部LDから、光を入射する。また同時に、このガラス板Gの中を長手方向に透過して出てきた光を捉える第1の受光部PD
1と、このガラス板Gの前面に飛び出してくる光を捉える第2のPD
2を準備する。
【0014】
図1に示した被測定気体で満たされる空間Sに設けた開口部Kを水分蒸散の被測定物Leの葉で塞いだ状態で、ガラス板Gをペルチェ素子Peで冷却すれば、ガラス板Gに水分が結露して、次第にその結露量が増加する。この時のガラス板G表面に付く露と、2つの受光部PD
1,PD
2での受光量の時間変化を模式的に表したのが
図2である。
ガラス板G表面に露が無い状態では、発光部LDから入射した光は、ガラス板Gの中を全反射するなどして伝搬し、第1の受光部PD
1に到達する。また、このとき、ガラス板Gから表面に飛び出した光の一部は、受光部PD
2に到達する。
ガラス板Gが冷却され、その表面に露が形成すると、ガラス板Gの中を全反射するなどして伝搬していた光の一部は、露によって表面に散乱される。このため、露の成長にともない、受光部PD
1での受光量は減少し、受光部PD
2での受光量は増加する。
そして、露の量がある程度以上になると、受光部PD
1と受光部PD
2での受光量の変化は殆ど無くなる。
これら2つの受光部PD
1,PD
2での受光量の変化具合から、結露量を推定する。あらかじめ、空間S中の水の蒸散量とPD
1,PD
2の受光量差の関係を記憶させ、結露量測定装置KSでもって受光部PD
1,PD
2から蒸散量が特定できるようにする。
【0015】
受光部PD
1,PD
2での受光量d
1,d
2と発光部LDの発光信号l
1は、結露量測定装置KSに入力される。結露量測定装置KSは、コンピュータとメモリとプログラムソフトを用いて蒸散量を計算するソフトが記憶されている。予め、受光量d
1,d
2のデータから木の葉の蒸散量Tの式として受光量d
1,d
2との下記の関係式を想定し、その係数a
3,a
2,a
1,a
0を実験的に求めておく。そして、実際の計測における受光部PD
1,PD
2の受光量d
1,d
2を下式に代入して蒸散量Tを求める。蒸散速度は、蒸散量の時間的変化として算出される。
【0016】
受光部PD
1の受光量データをd
1、受光部PD
2の受光量データをd
2とするとき、蒸散量Tは、次式で算出される。
T=a
3(d
2−d
1)
3+a
2(d
2−d
1)
2+a
1(d
2−d
1)+a
0
尚、ここで、この多項式の係数(a
3,a
2,a
1,a
0)は実験的に求められる値である。
【0017】
前述の実施例1において、光源の発光部LDの波長を、水による吸収が強いものにすれば、受光部PD
2で検出される受光量は、露による吸収の影響を受け、少ないものとなる(
図2中のPD
2(ただし、λ’)と記載された破線のグラフ)。この特性を活用して、複数波長の発光部LDを用いれば、より高精度に結露量を推定することが可能となる。
【0018】
(実施例2)
図3は、実施例1の装置を2台近接して設け、一方の空間Sの開口部Kを閉鎖して使用する実施例2を示す。
2つの結露量測定部である空間Sには、外気を取り入れるための開閉可能な換気口B
1,B
2,B
3を持っている。また、一方の空間Sには実施例1と同じ開口部Kを設けている。
尚、発光部LD,受光部PD
1,PD
2は各空間Sに設けているが省略している。
2つの結露量測定部の中の被測定気体で満たされる空間S,Sの中に含まれる気体を外気と充分に交換した後、開閉可能な換気口B
1,B
2,B
3を閉じると同時に、開口部Kを被測定物Leで塞ぐ。
その後、結露量測定部1の空間Sと結露量測定部2の空間Sに含まれるそれぞれのガラス板G,Gを冷却することで、被測定気体で満たされる空間S,Sの内部にある水蒸気をガラス板G,G表面に結露させる。
その後、発光部LDから光を入射し、各空間Sの第1,第2の受光部PD
1,PD
2の各光量のデータを結露量測定装置KSに入力させ、一方の空間は外気の湿度による蒸散量が計測され、それを被測定物Leを押し当てて開口部Kを閉鎖した方の蒸散量から差し引くことで、葉のみの水分の蒸散量を計測するものである。
これらの結露量を測定することで、植物緑葉からの蒸散量を測定する。
【0019】
(実施例3)
図4は、本発明の実施例3を示す説明図である。実施例3は、
図3に示した実施例2を簡略化する形で実現した、植物緑葉の蒸散量計の別の実施例として、そのセンサ部分のみを示している。
2つの結露量測定部の受光部PD
1,PD
2は、それぞれのガラス板を一体のガラス板Gで構成し、ガラス板Gを冷却するそれぞれの冷却手段を一つのペルチェ素子Peを用いた冷却手段で構成し、そして当該ガラス板Gに光を入射する発光部LDを一つとし、さらに、当該ガラス板を通過して出てきた透過光を受光するそれぞれの受光部PD
1を省略している。
また、一体のガラス板Gが使用されているので、2つの結露量測定部のそれぞれの被測定気体で満たされる空間Sを構成するため、被測定気体で満たされる空間の仕切りMがある。
この構成で、2つの被測定気体で満たされる空間S,Sの内部にある水蒸気をガラス板G表面に結露させれば、それぞれの水蒸気量の違いによって、それぞれの結露量が異なる。そして結果として、露によって散乱透過して出てきた散乱透過光を受光するそれぞれの受光部PD
21,PD
22において受光量に差異が生じる。
この差異から水蒸気量の違いを推定して葉の蒸散量を算出する。