(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963265
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】マイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20160721BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61M5/142 524
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-57121(P2013-57121)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180447(P2014-180447A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年11月17日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業「高度な制御機能を有するモータ一体化ダイレクトドライブ型医療用チューブポンプの開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】597095957
【氏名又は名称】株式会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(72)【発明者】
【氏名】玉川 長雄
(72)【発明者】
【氏名】西松 忠男
(72)【発明者】
【氏名】井上 広昭
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04898582(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0012503(US,A1)
【文献】
米国特許第05665070(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0255543(US,A1)
【文献】
特開2002−17851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケースと、前記ポンプケース内に設けられ、液体を含浸させてなる可撓性の袋状部材と、前記ポンプケース内に設けられ、変位することにより前記袋状部材上から該部材を圧迫する磁性体を有した圧迫部材と、前記圧迫部材の磁性体を磁気吸引して該圧迫部材を変位させる電磁コイルと、を備えたマイクロポンプであって、
前記袋状部材は、該袋状部材内に封入されて圧縮及び復元自在なスポンジ状部材と、該袋状部材の後記小容量貯蔵部内の液体を前記ポンプケース外へ吐出するための吐出チューブと、を有し、
前記袋状部材及びスポンジ状部材は、これら内部に含ませた液体が大容量と小容量とに分けて貯蔵されるように、くびれ部でもって連通された大容量貯蔵部及び小容量貯蔵部を有し、
前記くびれ部は、前記圧迫部材の変位初期において該圧迫部材により圧迫されて該袋状部材の大容量貯蔵部と小容量貯蔵部との間で液体が移動することを抑制し、
前記圧迫部材の磁性体が前記電磁コイルに磁気吸引されて変位することにより、前記袋状部材が圧迫されて、前記袋状部材及びスポンジ状部材の小容量貯蔵部に含まれる液体が一定量に規制されて前記吐出チューブから吐出されることを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項2】
前記圧迫部材は、前記ポンプケースにヒンジにより回動自在に支持され、また、その一端に該圧迫部材が回動する際の支点としての回動支点部と、他端に前記電磁コイルによって磁性体が磁気吸引されることにより前記圧迫部材を前記回動支点部回りに回動させる作用部と、前記回動支点部と作用部との間に前記袋状部材のくびれ部を圧迫して液体の吐出量を規制する規制部と、を有し、
前記圧迫部材が回動することにより、前記規制部が前記くびれ部を圧閉し、さらに、前記くびれ部を圧閉したまま前記圧迫部材が前記規制部を支点として前記小容量貯蔵部を圧迫することを特徴とする請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項3】
前記圧迫部材の磁性体は、前記電磁コイルにより磁気吸引されることにより変位して前記小容量貯蔵部を圧迫する磁石から成り、
前記磁石と電磁コイルは、前記小容量貯蔵部を挟んで対向配置され、
前記磁石は、ガイドピンにより変位自在に設けられ、かつ前記電磁コイルにより磁気吸引されないとき前記小容量貯蔵部を圧迫しない位置に戻るように、該電磁コイルがある側とは反対側に、該磁石が吸着される第2の磁性体を配置したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロポンプ。
【請求項4】
前記吐出チューブに逆流防止用のバルブが取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量の流体を吐出するマイクロポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば動物を用いた薬効テスト又は糖尿病患者へのインスリン注入のために、動物又は人体の皮下に埋め込み可能な微量の流体(毎分1マイクロリットル以下)注入ポンプとして、主にマイクロポンプが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。この種のマイクロポンプは、同一軸に軸支された第1カム及び第2カムと、流体を貯蔵したリザーバに接続され、かつ第1及び第2カム回りにリング状に配置されたチューブと、このチューブと第1及び第2カムとの間に配置された複数のフィンガーと、減速機構を介して第1及び第2カムに連結されたモータと、を備えている。モータが駆動されることにより、第1及び第2カムが回転して複数のフィンガーを順次押圧し、さらに、これらフィンガーがチューブを順次圧閉することにより、チューブ内の流体が上流側から下流側へ移動してチューブの吐出口から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−246856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示されるようなマイクロポンプは、チューブ、第1及び第2カム、モータ及び減速機構等が組み合わされた複雑な構成を採用しており、マイクロポンプが大型化してしまう。このようなマイクロポンプが例えば薬効テストにおいて、実験用マウスの皮下に埋め込まれた場合、マウスが正常に動けなくなり、薬効テストを適切に行うことができなくなる虞がある。また、微量の薬液を間欠的にマウスに注入するためには、チューブを瞬間的に圧閉すればよく、モータ駆動によってチューブを連続的に圧閉する必要はない。むしろ、薬効テストを精度良く行うために、吐出される薬液の微量精度を確保することが重要である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型化し易く、かつ微量の流体を精度良く吐出可能なマイクロポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明のマイクロポンプは、ポンプケースと、前記ポンプケース内に設けられ、液体を含浸させてなる可撓性の袋状部材と、前記ポンプケース内に設けられ、変位することにより前記袋状部材上から該部材を圧迫する磁性体を有した圧迫部材と、前記圧迫部材の磁性体を磁気吸引して該圧迫部材を変位させる電磁コイルと、を備えたマイクロポンプであって、前記袋状部材は、該袋状部材内に封入されて圧縮及び復元自在なスポンジ状部材と、該袋状部材の後記小容量貯蔵部内の液体を前記ポンプケース外へ吐出するための吐出チューブと、を有し、前記袋状部材及びスポンジ状部材は、これら内部に含ませた液体が大容量と小容量とに分けて貯蔵されるように、くびれ部でもって連通された大容量貯蔵部及び小容量貯蔵部を有し、前記くびれ部は、
前記圧迫部材の変位初期において該圧迫部材により圧迫されて該袋状部材の大容量貯蔵部
と小容量貯蔵部
との間で液体
が移動することを抑制し、前記圧迫部材の磁性体が前記電磁コイルに磁気吸引されて変位することにより、前記袋状部材が圧迫されて、前記袋状部材及びスポンジ状部材の小容量貯蔵部に含まれる液体が一定量に規制されて前記吐出チューブから吐出されることを特徴とする。
【0007】
上記マイクロポンプにおいて、前記圧迫部材は、前記ポンプケースにヒンジにより回動自在に支持され、また、その一端に該圧迫部材が回動する際の支点としての回動支点部と、他端に前記電磁コイルによって磁性体が磁気吸引されることにより前記圧迫部材を前記回動支点部回りに回動させる作用部と、前記回動支点部と作用部との間に前記袋状部材のくびれ部を圧迫して液体の吐出量を規制する規制部と、を有し、前記圧迫部材が回動することにより、前記規制部が前記くびれ部を圧閉し、さらに、
前記くびれ部を圧閉したまま前記圧迫部材が前記規制部を支点として前記小容量貯蔵部を圧迫することが好ましい。
【0008】
上記マイクロポンプにおいて、前記圧迫部材の磁性体は、前記電磁コイルにより磁気吸引されることにより変位して前記小容量貯蔵部を圧迫する磁石から成り、前記磁石と電磁コイルは、前記小容量貯蔵部を挟んで対向配置され、前記磁石は、ガイドピンにより変位自在に設けられ、かつ前記電磁コイルにより磁気吸引されないとき前記小容量貯蔵部を圧迫しない位置に戻るように、該電磁コイルがある側とは反対側に、該磁石が吸着される第2の磁性体を配置したことが好ましい。
【0009】
上記マイクロポンプにおいて、前記吐出チューブに逆流防止用のバルブが取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマイクロポンプによれば、電磁コイルの磁気吸引力によって変位した圧迫部材が、袋状部材の小容量貯蔵部を圧迫することにより、スポンジ状部材の小容量貯蔵部内の液体が吐出チューブから吐出されるので、簡単な構成で小型化し易いマイクロポンプを作製することができる。また、袋状部材にはくびれ部があるので、液体が大容量貯蔵部から小容量貯蔵部へ移動することが抑制されて、小容量貯蔵部から一定の少量の液体を精度良く吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプを示す上面図、(b)は(a)のA−A線断面相当図。
【
図2】(a)乃至(c)はそれぞれ同マイクロポンプが備えている袋状部材、圧迫部材及び電磁コイルを示す上方斜視図。
【
図3】(a)乃至(c)は同マイクロポンプの動作を説明するための
図1(a)のB−B線断面相当図。
【
図4】(a)は本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプを示す上面図、(b)は(a)のA−A線断面相当図。
【
図5】(a)乃至(c)はそれぞれ同マイクロポンプのスポンジ状部材、磁石とこれを支持する支持部材及び電磁コイルを示す上方斜視図。
【
図6】(a)及び(b)は同マイクロポンプの動作を説明するための
図4(a)のA−A線断面相当図。
【
図7】同上第1又は第2の実施形態のマイクロポンプの袋状部材の吐出チューブに取り付けられる逆流防止用のバルブを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプについて、
図1乃至
図3を参照して説明する。以下においては、薬効テストにおいて実験用マウス等の動物の皮下に埋め込まれるマイクロポンプを例として挙げる。
図1及び
図2に示すように、マイクロポンプ1は、ポンプケース2と、薬液(液体)を含浸させて成る可撓性を有する袋状部材3と、この袋状部材3を圧迫する磁性体を有した圧迫部材4と、この圧迫部材4に対向して設けられる電磁コイル5と、を備えている。ポンプケース2は、その内部に上記袋状部材3等の各部材を密閉して格納している。袋状部材3は、この部材内に封入されて圧縮及び復元自在なスポンジ状部材6と、薬液をポンプケース2外へ吐出するための吐出チューブ7を有している。袋状部材3及びスポンジ状部材6は、メインタンク(大容量貯蔵部)31と、分注タンク(小容量貯蔵部)32と、これらタンク31,32の間に位置する分離帯(くびれ部)33と、を有している。メインタンク31は、大容量の薬液を貯蔵し、分注タンク32は、吐出チューブ7に接続され、吐出されるべき小容量の薬液を貯蔵している。分離帯33は、これらタンク31,32を連続一体となるように連通し、かつこれらタンク31,32内の薬液を互いに分離している。圧迫部材4は、その一端がポンプケース2にヒンジピン8により回動自在に支持され、他端が電磁コイル5と対向している。電磁コイル5が圧迫部材4の磁性体を磁気吸引することにより、圧迫部材4が回動して分注タンク32が圧迫されて、薬液が吐出チューブ7から吐出される。
【0013】
ポンプケース2は、マウスの血液等がマイクロポンプ1内に侵入しないようにするためのものであり、開口を有した箱型のケース部21と、このケース部21の開口を塞ぐための蓋部22と、を有している。ケース部21は、その底面部において両側面からそれぞれ半円筒状に彫り込まれて形成された凹部23を有し、これら凹部23間にヒンジピン8を挿通するための挿通孔24を有している。また、ケース部21の底面部には、吐出チューブ7をマイクロポンプ1外へ延出するための吐出孔25が設けられている。なお、薬効テストにおいて、マウスの皮下組織に損傷を与えないようにするために、ケース部21及び蓋部22は面取り加工されることが好ましい。
【0014】
メインタンク31は、分注タンク32内の薬液が吐出されてなくなったときに、その分注タンク32に補うための薬液を貯蔵しているタンクであり、内部の薬液量にしたがって自身の容積を変化させる伸縮自在なものである。
【0015】
分注タンク32は、マウスに注入される薬液量に相当する薬液を貯蔵しているタンクであり、内部を全てスポンジ状部材6によって満たされ、このスポンジ状部材6の容積にしたがって自身の容積を変化させる伸縮自在なものである。分注タンク32内のスポンジ状部材6は、その一端を分離帯33を通ってメインタンク31内に延出している。そのため、そのスポンジ状部材6は、毛細管現象によりメインタンク31内の薬液を吸い込み、圧迫部材4から圧迫されると薬液を放出し、圧迫から開放されると復元して再びメインタンク31内の薬液を吸収する機能を有する。スポンジ状部材6の容積及び種類は、マウスへの薬液注入量に合わせて予め選択される。例えばマウスに間欠的に極微量の薬液を注入する場合、スポンジ状部材6の容積を小さくし、又は薬液吸収能力の低いものとする。こうすることにより、吐出させたい極微量の薬液がスポンジ状部材6を介して分注タンク32内に貯蔵される。上記のようなスポンジ状部材6として、例えばPVA(ポリビニルアルコール)スポンジ又はPU(ポリウレタン)スポンジ等が用いられる。また、袋状部材3は、1回のテスト毎に新しいものに交換され、若しくはその内部に薬液が補充される。
【0016】
分離帯33は、袋状部材3内に含ませた薬液が大容量と小容量とに分けて貯蔵されるようにするために設けられたくびれ状の部分である。この分離帯33は、分注タンク32が圧迫部材4に圧迫されている際に、自身も強く圧迫されて内部を通るスポンジ状部材6を押し潰すことにより、薬液がメインタンク31と分注タンク32との間で瞬時に移動することを抑制する。なお、分離帯33は、圧迫部材4から受ける力に耐え得るようにメインタンク31及び分注タンク32よりも厚みを増すように補強されてもよい。
【0017】
圧迫部材4は、長尺状の平板状部材により構成された磁性体であり、
図2(b)に示すように、圧迫部材4をポンプケース2に支持するための支持部41と、袋状部材3を圧迫する圧迫部42と、圧迫部42から電磁コイル5側へ突出している突出部43と、を有している。
【0018】
支持部41は、ヒンジピン8を挿通するための挿通孔44を有し、ポンプケース2の凹部23に嵌め込まれている。ヒンジピン8が、挿通孔44,24,44に挿通されて、支持部41がポンプケース2に回動自在に支持されている。この構成により、支持部41は、圧迫部材4が回動する際の支点としての回動支点部45となっている。
【0019】
圧迫部42は、袋状部材3を圧迫するのに必要な面積を有する。圧迫部42の回動端寄りは、電磁コイル5によって磁性体が磁気吸引されることにより圧迫部材4を回動支点部45回りに回動させる作用部46となっている。また、圧迫部42は、回動支点寄りにおいてメインタンク31を圧迫し、回動端寄りにおいて分注タンク32を圧迫し、中間にある下方に凸形状に折曲した部分が分離帯33を圧迫する規制部47となっている。この規制部47は、圧迫部42が分注タンク32を圧迫している際に分離帯33を圧閉し、この分離帯33に薬液の瞬時の移動を抑制させることにより、薬液の吐出量を規制する機能を有する。
【0020】
突出部43は、圧迫部42に電磁コイル5の磁気吸引力を効果的に働かせて圧迫部材4が回動し易くするために設けられている。突出部43の長さは、電磁コイル5の磁気吸引力の強さに応じて適宜に設定される。
【0021】
電磁コイル5は、
図2(c)に示すように、極板51と、この極板51に巻回されるコイル52と、これらを囲むようにU字状に形成されたヨーク53と、を有している。この電磁コイル5は、ポンプケース2の底面部に埋め込まれた釦状の小型電池(不図示)を電源とし、例えばポンプケース2に設けられた受信部が外部から特定周波数の電波を受信することにより動作する。電磁コイル5の構成は、上記に限られず、任意の構成とすることができる。
【0022】
上記構成を有するマイクロポンプ1の動作について、
図3を参照して説明する。
図3(a)に示すように、電磁コイル5が通電されていないとき、袋状部材3が圧迫部材4から受ける力と袋状部材3自身の復元力とが釣り合った状態で、圧迫部材4が袋状部材3上に乗っている。次に、
図3(b)に示すように、電磁コイル5の通電が開始されると、圧迫部材4が電磁コイル5の磁気吸引力によって回動支点部45回りに回動することにより、規制部47が分離帯33を圧閉する。これにより、メインタンク31内の薬液が分注タンク32へ瞬時に移動することを抑制されるので、分注タンク32内の薬液が一定量に規制される。次に、
図3(c)に示すように、圧迫部材4の圧迫部42が規制部47を支点として分注タンク32を更に圧迫する。これにより、分注タンク32内の薬液が吐出チューブ7を通って外部へ吐出される。その後、電磁コイル5の通電が終わると、袋状部材3は、その復元力により圧迫部材4を押し上げて、
図3(a)の状態に戻り、メインタンク31内の薬液がスポンジ状部材6の毛細管現象により分注タンク32内へ移動する。
【0023】
このように本実施形態のマイクロポンプ1によれば、電磁コイル5の磁気吸引力によって回動した圧迫部材4が分注タンク32を圧迫することにより、分注タンク32内の薬液が吐出チューブ7から吐出されるので、簡単な構成で小型化し易いマイクロポンプを作製することができる。また、分離帯33が規制部47により圧閉され、薬液がメインタンク31から分注タンク32へ瞬時に移動することが抑制されて、分注タンク32から一定の少量の薬液を精度良く吐出することができる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプについて、
図4乃至
図6を参照して説明する。以下においては、上記マイクロポンプ1と異なる点について述べる。
図4及び
図5に示すように、マイクロポンプ1aにおいて、圧迫部材4の磁性体は、磁石9から成っている。磁石9は、分注タンク32を挟んで電磁コイル5と対向するように配置されている。また、磁石9は、ポンプケース2の蓋部22に取り付けられた支持部材10によって電磁コイル5側に変位自在に支持されている。袋状部材3は、その分注タンク32を電磁コイル5上に載置した状態でポンプケース2内に配置されている。電磁コイル5が磁石9を磁気吸引することにより、磁石9が電磁コイル5側へ変位して分注タンク32が圧迫され、薬液が吐出チューブ7から吐出される。
【0025】
スポンジ状部材6は、
図5(a)に示すように、全体として扁平状であって、メインタンク31内に封入される矩形平板状のメイン部材61と、分注タンク32内に封入される円板状の分注部材62と、これらの間に位置する直線状の分離部材63と、から成る。分離部材63は、メイン部材61と分注部材62とを連続一体となるように連結し、かつこれら部材61,62内の薬液を互いに分離する。また、分離部材63は、メインタンク31と分注タンク32との間でくびれているので、分離部材63における流量抵抗は、メイン部材61及び分注部材62における流量抵抗よりも大きくなっている。そのため、袋状部材3が圧迫された際、袋状部材3内の薬液は、分離部材63を通ってメインタンク31と分注タンク32との間を瞬時に移動することを抑制される。なお、袋状部材3は、例えば熱収縮部材等を用いることによって、スポンジ状部材6の形状に沿って形成することができる。また、吐出チューブ7は、ポンプケース2の側面に設けられた吐出孔25から外部へ延出されている。
【0026】
磁石9は、
図5(b)に示すように、中空円筒状を有し、電磁コイル5側がN極、支持部材10側がS極となるように着磁されている。支持部材10は、磁石9の中心が挿入される棒状のガイドピン11と、このガイドピン11が取り付けられ、かつ電磁コイル5側とは反対側の蓋部22に配置される円板状の鉄板12(第2の磁性体)と、を有している。ガイドピン11は、磁石9を電磁コイル5側又は鉄板12側へと案内する。鉄板12は、磁石9が電磁コイル5により磁気吸引されないとき分注タンク32を圧迫しない位置に戻るように磁石9を吸着する。磁石9、ガイドピン11及び鉄板12の形状は、任意の形状とすることができる。
【0027】
電磁コイル5は、
図5(c)に示すように、ヨーク53にコイル52が巻回されたものが用いられる。電磁コイル5は、その上面を平板にすることが好ましく、こうすれば、磁石9との間で分注タンク32を均一に圧迫することができ、スポンジ状部材6内の薬液を効果的に放出させることができる。電磁コイル5の構成は、上記に限られず、任意の構成とすることができる。
【0028】
上記構成を有するマイクロポンプ1aの動作について、
図6を参照して説明する。電磁コイル5が通電されていないとき、磁石9は鉄板12と吸着しており、分注タンク32は圧迫されていない(前述の
図4(b)の状態)。
図6(a)に示すように、電磁コイル5が、磁石9側がS極、それと反対側がN極となるように励磁されると、磁石9は、電磁コイル5の吸引力により、電磁コイル5側へ移動して分注タンク32を圧迫する。このとき、分離部材63の流量抵抗によってメインタンク31及び分注タンク32間で薬液の瞬時の移動が抑制されるので、分注タンク32内の薬液が一定量に規制され、分離部材63側よりも流量抵抗の小さい吐出チューブ7側から吐出される。
図6(b)に示すように、電磁コイル5の通電が終わると、鉄板12が磁石9を吸着して、分注タンク32が圧迫から開放されて元の状態に復元し、メインタンク31内の薬液がスポンジ状部材6の毛細管現象により分注タンク32内へ移動する。電磁コイル5の通電を終える代わりに、電磁コイル5が、磁石9側がN極、それと反対側がS極となるように励磁されてもよい。こうすることによっても、磁石9は、電磁コイル5の反発力により、鉄板12側へ移動して鉄板12と吸着する。
【0029】
このように本実施形態のマイクロポンプ1aによれば、磁石9が分離帯33を圧迫することなく分注タンク32を圧迫するだけで、分注タンク32内の薬液が吐出チューブ7から吐出されるので、より簡単な構成で小型化し易いマイクロポンプを作製できる。また、分離部材63の流量抵抗によってメインタンク31及び分注タンク32間で薬液の瞬時の移動が抑制され、一定量に規制された分注タンク32内の薬液を吐出チューブ7側から精度良く吐出することができる。
【0030】
図7は、上記各実施形態のマイクロポンプ1,1aの吐出チューブ7に取り付けられる逆流防止用のバルブ13を示す。このバルブ13は、下流側に底部を有し、かつ側面に孔部14を有した円筒状のパイプ15と、このパイプ15の下流端の孔部14を覆う柔軟性を有したチューブ16と、を有している。パイプ15は、その上流端が吐出チューブ7に取り付けられ、または、吐出チューブ7そのものであってもよい。
【0031】
このようなバルブ13において、薬液が吐出チューブ7からパイプ15の下流端に流れてくると、その薬液は孔部14から染み出るようにしてチューブ16へと流出する。ここで、チューブ16はパイプ15の下流端の側面に密着しているので、薬液がチューブ16から孔部14を通ってパイプ15内に逆流することを防止する。
【0032】
本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、マイクロポンプ1は、薬効テストに用いられるだけでなく、微量の液体を吐出するための用途としてそのまま用いられてもよい。また、ポンプケース2は、小型化されたものであれば、上記実施形態で示した形状に限られない。また、圧迫部材4は、任意の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 マイクロポンプ
2 ポンプケース
3 袋状部材
31 メインタンク(大容量貯蔵部)
32 分注タンク(小容量貯蔵部)
33 分離帯(くびれ部)
4 圧迫部材
45 回動支点部
46 作用部
47 規制部
5 電磁コイル
6 スポンジ状部材
63 分離部材(くびれ部)
7 吐出チューブ
8 ヒンジピン(ヒンジ)
9 磁石(圧迫部材)
11 ガイドピン
12 鉄板(第2の磁性体)
13 逆流防止用のバルブ