特許第5963271号(P5963271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963271
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】金属の加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 1/00 20060101AFI20160721BHJP
   B23K 10/00 20060101ALI20160721BHJP
   B23K 7/10 20060101ALI20160721BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20160721BHJP
【FI】
   B24C1/00 A
   B23K10/00 501A
   B23K7/10 N
   B23K26/38 A
   B24C1/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-182378(P2013-182378)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-47679(P2015-47679A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】昭和電工ガスプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正之
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−503759(JP,A)
【文献】 特表2010−526937(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0105561(US,A1)
【文献】 特開2006−326615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 1/00
B23K 7/10
B23K 10/00
B23K 26/38
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面に酸化スケールや酸化被膜が生成する溶断工程後に、該溶断工程後の金属に溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工工程を行なう金属の加工方法において、前記溶断工程の直後にドライアイスブラストを行い、溶断によって加熱された金属の熱を冷却できる表面処理工程を用いたことを特徴とする金属の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属を溶断した後、該金属に溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工を行なう金属の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような金属の加工は金属の溶断時に高温となり、金属表面に酸化被膜や酸化スケールが生成する。
【0003】
このため、そのまま溶接や塗装、メッキ等の処理を行なうと、溶接強度の低下や塗装、メッキの品質の劣化となる一因となっていた。
【0004】
この対処方法としては、一般的にサンドペーパー、砥石、ヤスリ等を用いた研磨を行っているが、手作業で、大変な作業になるとともに、凹部部分の処理がしずらいという欠点があった。また、酸洗いや、投射材を酸化被膜や酸化スケール分部に投射して除去するブラスト処理が行われている。
【0005】
しかし、このような処理を行なうと、酸化被膜や酸化スケールを除去することはできるが、コスト高になるとともに、処理後の廃液や投射材の処理によって、廃棄物コストが多大なものになるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−296298号公報
【特許文献2】特開平9−300216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、溶断によって生ずる酸化被膜や酸化スケールを簡単に除去することができるとともに、溶断部分を急冷却で、金属の変形を防止でき、かつ廃棄物の発生を低減して、コストの低減を図ることができる金属の加工方法を提供することを目的としている。
【0008】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は金属表面に酸化スケールや酸化被膜が生成する溶断工程後に、該溶断工程後の金属に溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工工程を行なう金属の加工方法において、前記溶断工程の直後にドライアイスブラストを行い、溶断によって加熱された金属の熱を冷却できる表面処理工程を用いて金属の加工方法を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、溶断工程と二次加工工程との間にドライアイスブラストを用いた表面処理工程を用いているので、溶断によって生成される酸化スケールや酸化被膜を、ドライアイスブラストを用いた表面加工固定で除去することができ、二次加工を酸化物スケールや酸化被膜に悪影響を受けることなく行なうことができる。
(2)前記(1)によって、表面処理工程でドライアイスブラストを用いているので、金属に投射すると気化してなくなるため、従来の投射材の投射のように回収したり、清掃する作業が不要で、楽に作業ができ、コストの低減を図ることができる。
(3)前記(1)により、表面処理工程でドライアイスブラストを用いているので、溶断によって加熱された金属を急冷却することができ、金属の熱による変化を防止することができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の溶断工程の説明図。
図3】本発明を実施するための第1の形態の表面処理工程の説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の二次加工工程の説明図。
図5】本発明を実施するための第1の形態の厚板状の鋼板の左部のみ処理した状態の説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の重ねて固定した円盤状の鋼板の上部のみ処理した状態の説明図。
図7】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
図8】本発明を実施するための第2の形態の溶断と表面処理を行なっている状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の金属の加工方法で、この金属の加工方法1は金属表面に酸化スケールや酸化被膜2が生成するプラズマ溶断トーチ3Aを用いた溶断工程3と、この溶断工程3後に、該溶断工程3後の金属に溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工工程4と、この二次加工工程4と前記溶断工程3との間にペレット状、あるいは粒状のドライアイスを投射材として用いたドライアイスブラスト5を使用した、該溶断工程3で生成された酸化物スケールや酸化被膜2を除去する表面処理工程6とで構成されている。
【0014】
この表面処理工程6で使用するドライアイスブラスト5はコンプレッサー7からのエアーがエアーホース8を介して供給されて溶断部へ噴射する噴射ノズル9と、この噴射ノズル9へ供給されて噴射されるエアーによって吸引されるようにドライアイス収納容器10内に収納されたペレット状、あるいは粒状のドライアイス11を供給すドライアイス供給ホース12とで構成されている。
【0015】
この表面処置工程6は前記溶断工程3のすぐ後に行なうと、酸化スケールや酸化被膜の除去とともに、溶断によって加熱された金属の熱を冷まして、該部分の変形を抑えることができる。
【0016】
また、前記二次加工工程4前に表面処理工程6を行なっても、前記溶断工程3で生成された酸化スケールや酸化被膜2を除去することができる。
【0017】
上記の方法で金属の加工方法1を行なうことにより、溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工工程4を、溶断工程3により生成される酸化スケールや酸化被膜2にじゃまされることがなく、溶接強度の低下や、塗装、メッキの品質が劣化するのを確実に阻止することができる。
【0018】
また、表面処理工程6はドライアイスブラスト5で行なうので、該表面処理工程6では投射されるドライアイス11は昇華して気体となるため、酸化スケールや酸化被膜2だけが残り、廃棄物の処理が楽で、低コストで行なうことができる。
なお、本願出願人が酸化スケール・酸化被膜が溶断による切断面に付着した厚板状の鋼板をドライアイスブラスト装置(商品名 AeroV 312S1ノズル仕様)にて左半分を処理したところ、図5に示すように、処理した部分で酸化スケール・酸化被膜が除去されたことが確認できた。
【0019】
また、同様に酸化スケール・酸化被膜が溶断による切断面に付着した円盤状の鋼板についても、これを17枚重ねてクランプで固定し、ドライアイスブラスト装置(商品名 Aero40 523M1ノズル仕様)にて、上半分を処理したところ、図6に示すように、円盤状の鋼板にズレにより発生した凹部についても、処理した部分で酸化スケール・酸化被膜が除去されたことが確認できた。
【0020】
この結果、全体の側面を処理するのに要した時間は約1分30秒、ブラスト後は鋼板が低温となるため、結露が発生するも乾燥させる等、錆対策が必要となる。
【0021】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7および図8に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図7および図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、溶断トーチ3Aの溶断方向X とは逆方向Yにドライアイス11の投射材を投射する噴射ノズル9を、該溶断トーチ3Aに取付け、溶断工程3と表面処理工程6Aを行なった点で、このように溶断トーチ3Aにドライアイスブラスト5の噴射ノズル9を用いたものを用いて表面処理工程6Aを行なっても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
なお、本発明の各実施の形態ではプラズマ溶断トーチ3Aを用いた溶断工程3について説明したが、本発明はこれに限らず、レーザー溶断トーチを用いた溶断工程やガス溶断トーチを用いた溶断工程を行っても同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は金属を溶断した後に、溶接、塗装、メッキのいずれかの二次加工を行なう金属の加工方法を行なう産業で利用される。
【符号の説明】
【0025】
1:金属の加工方法、 2:酸化スケールや酸化被膜、
3:溶断工程、 3A:溶断トーチ、
4:二次加工工程、 5:ドライアイスブラスト、
6、6A:表面処理工程、 7:コンプレッサー、
8:エアーホース、 9:噴射ノズル、
10:ドライアイス収納容器、 11:ドライアイス、
12:ドライアイス供給ホース、X:溶断方向、
Y:逆方向。
図2
図3
図4
図7
図8
図1
図5
図6