(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムにおいて、前記コンピュータシステムは中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有しIPデータベースとクライアントデータベースと通信する処理コンピュータを含み、
前記IPデータベースは複数のIP記録に対応する出願人と法定代理人のデータを格納するように構成され、
前記クライアントデータベースは複数のクライアント識別子および関連するクライアント選好データを格納するように構成され、
前記コンピュータシステムは、
(a)ユーザコンピュータから、ユーザによって当該ユーザコンピュータに入力された工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)前記ユーザから同時にIP統計を受け取ることなく、明細書に含まれるページ数および請求項数を含む前記IP識別子に対応するIP統計を自動的に特定し、
(c)前記IPデータベースから、前記IP識別子に関する出願人と法定代理人データを検索し、
(d)前記出願人または前記法定代理人データの1つと一致する選択されたクライアント識別子を見出すために前記クライアントデータベースを検索し、
(e)一組の選定された国を生成するために前記選択されたクライアント識別子に対応するクライアント選好データを適用し、
(f)選定された国毎に、
(i)前記国に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)前記選択された料金規則を前記IP統計に適用し国毎の外国出願料を計算し、
(iii)計算された国毎の外国出願料を前記ユーザコンピュータのディスプレイ上に表示させる、ように構成されることを特徴とするコンピュータシステム。
国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムにおいて、前記コンピュータシステムは中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有しIPデータベースとクライアントデータベースと通信する処理コンピュータを含み、
前記IPデータベースは複数のIP記録に対応する出願人と法定代理人のデータを格納するように構成され、
前記クライアントデータベースは複数のクライアント識別子および関連するクライアント選好データを格納するように構成され、
前記コンピュータシステムは、
(a)ユーザコンピュータから、ユーザによって当該ユーザコンピュータに入力された工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)前記ユーザから同時にIP統計を受け取ることなく、明細書に含まれるページ数および請求項数を含む前記IP識別子に対応するIP統計を生成し、
(c)前記IPデータベースから、前記IP識別子に関する出願人と法定代理人データを検索し、
(d)前記クライアントデータベースを検索して前記出願人または前記法定代理人のデータの1つに一致する選択されたクライアント識別子を見出し、
(e)同時にユーザの選択を受け取ることなく、一組の選定された国と前記選定された国に関連する少なくとも1人の弁護士とを生成するために前記選択されたクライアント識別子に対応するクライアント選好データを適用し、
(f)選定された国と弁護士の対毎に、
(i)前記国と弁護士の対に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)前記選択された料金規則を前記IP統計に適用し外国出願料を計算し、
(iii)計算された国毎の外国出願料を前記ユーザコンピュータのディスプレイ上に表示させる、ように構成されることを特徴とするコンピュータシステム。
【背景技術】
【0003】
外国特許出願を申請するための費用見積りを作成する現在の方法は通常、極めて手作業的な処理である。所与の管轄内の所与の特許出願の出願人は通常、出願人の現地弁護士に、(当該提案された1つまたは複数の出願が当該所与の特許出願に基づくことになる)出願人の母国または地域外に1つまたは複数の提案された特許出願を申請するのにいくらかかるかを尋ねることになる。次に、弁護士は、過去に申請された案件の平均費用に基づき一般的な費用見積りを手作業で作成するか、単純に、出願人が関心をもつ国々において活動する弁護士またはエージェントから直接、提案された出願の新たな見積りを入手する。
【0004】
特許出願人は現地弁護士のクライアントであり、文脈が別段指示しない限り2つの用語「クライアント」と「特許出願人」は交換可能に使用されるということが理解される。さらに、用語「弁護士(attorney)」、「特許弁護士(patent attorney)」、「外国弁護士(foreign attorney)」「現地弁護士(local attorney)」、「代理人(representative)」、「法定代理人(legal representative)」、「エージェント(agent)」等はすべて、第三者サービス提供者の、通常はクライアントまたは出願人との法的関係を示すために使用される。
【0005】
このような従来技術の方法の欠点の1つは、平均費用に基づく見積りが非常に不正確であるということである。ほとんどの国では、翻訳費用は特許明細書の大きさによって変わり、行政料金(別名、印紙料)は特許請求項の数または特許明細書のページ数によって変わる。このため、平均費用は、計算するためには比較的事務的に便利であるが、しばしば不正確になる可能性があり、したがって予算目的のためには理想的でないものとなる。
【0006】
弁護士が、提案された1つまたは複数の出願毎に、より正確な費用見積りを得ることを選択した場合、これはいずれの現実的精度であっても実現するにはかなりの時間と努力を伴うことになる。例えば、出願人が複数の国における費用見積りを要求した場合、弁護士は、見積りを要求するために外国弁護士のすべてに手紙を書き、その見積りを受け取り、出願人の現地通貨に変換しなければならない。この事務的努力は現地弁護士と外国弁護士の両方によりなされる。あるいは、現地弁護士は、外国弁護士毎の手数料表を手作業で調べ、それらの数字から費用見積りの作成を試みる必要がある。この処理は、現地弁護士がより高レベルの問題に優先的に費やせたであろう多くの時間を必要とする。必要となる時間はまた、特に提案された出願または申請出願の締め切りが迫りつつある場合、クライアントに悪影響を与える可能性がある。
【0007】
従来技術の方法の別の欠点は、提案された外国出願の正確な費用見積りを作成するためには工業所有権の一部についていくつかの統計値または特徴を知る必要があるということである。特許の場合、例えば、これらの統計値は通常、当該特許明細書内のワード数、ページ数および特許請求項の数を含む。この情報は通常、必要な統計値を収集するために明細書のページの手集計および他の側面を請け負う事務管理者により得られる。これに続いて、事務管理者は、収集された統計値に、外国弁護士により提供された料金体系から得られるそれぞれの金額を手作業で掛ける。それらの各データを手作業で見出し外国特許出願を正確に計算する処理は通常、ほとんどの弁護士/事務管理者が完全に行うには面倒過ぎ、したがって費用見積りの精度が妥協される。
【0008】
同様の問題は、他のIP財産問題を申請する際、すなわち商標、著作権、実用新案、意匠登録、または他の同様な問題のいずれかを申請する際にも存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服または改善すること、または有用な代案を提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様によると、国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。本コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有する処理コンピュータであって、
(a)工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)IP識別子に対応するIP統計を生成し、
(c)一組の選定された国を生成し、
(d)選定された国毎に、
(i)当該国に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)選択された料金規則をIP統計に適用して国毎の料金を計算するように構成された処理コンピュータを含む。
【0011】
好ましくは、コンピュータシステムはユーザの単一操作に応答して国毎の料金を計算するように構成される。より好適には、コンピュータシステムはインターフェースを含み、ユーザの単一操作はユーザによるIP識別子のインターフェースへの提供である。さらにより好適には、コンピュータシステムは、国毎の料金を自動的に計算するためのインターフェースに対するIP識別子の入力に応答する。
【0012】
本発明の第2の態様によると、国毎の料金を計算するコンピュータ実施方法が開示され、本方法は、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有する処理コンピュータを有するコンピュータシステムで、
(a)工業所有権(IP)識別子を受信する工程と、
(b)IP識別子に対応するIP統計を生成する工程と、
(c)一組の選定された国を生成する工程と、
(d)選定された国毎に、
(i)当該国に対応する選択された料金規則を特定する工程と、
(ii)選択された料金規則をIP統計に適用して国毎の料金を計算する工程と、を含む。
【0013】
好ましくは、コンピュータ実施方法は、ユーザの単一操作に応答して国毎の料金を計算する工程を含む。より好適には、ユーザの単一操作はIP識別子の提供である。
【0014】
本発明の第3の態様によると、国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。本コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有する処理コンピュータであって、
(a)工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)IP識別子に対応するIP統計を生成し、
(c)一組の選定された国を生成し、
(d)選定された国に関連する少なくとも1人の弁護士を特定し、
(e)選定された国と弁護士の対毎に、
(i)当該国と弁護士の対に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)選択された料金規則をIP統計に適用し外国出願料を計算するように構成された処理コンピュータを含む。
【0015】
本発明の第4の態様によると、国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。本コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有しIPデータベースとクライアントデータベースと通信する処理コンピュータを含み、IPデータベースは複数のIP記録に対応する出願人と法定代理人のデータを格納するように構成され、そして、クライアントデータベースは複数のクライアント識別子および関連するクライアント選好データを格納するように構成され、コンピュータシステムは、
(a)工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)IP識別子に対応するIP統計を生成し、
(c)IPデータベースから、IP識別子に関する出願人と法定代理人データを検索し、
(d)クライアントデータベースを検索して出願人または法定代理人のデータの1つに一致する選択されたクライアント識別子を見出し、
(e)一組の選定された国を生成するために、選択されたクライアント識別子に対応するクライアント選好データを適用し、
(f)選定された国毎に、
(i)当該国に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)選択された料金規則をIP統計に適用し国毎の外国出願料を計算するように構成される。
【0016】
本発明の第5の態様によると、国毎の料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。本コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有しIPデータベースとクライアントデータベースと通信する処理コンピュータを含み、IPデータベースは複数のIP記録に対応する出願人と法定代理人のデータを格納するように構成され、そして、クライアントデータベースは複数のクライアント識別子および関連するクライアント選好データを格納するように構成され、コンピュータシステムは、
(a)工業所有権(IP)識別子を受信し、
(b)IP識別子に対応するIP統計を生成し、
(c)IPデータベースから、IP識別子に関する出願人と法定代理人データを検索し、
(d)クライアントデータベースを検索して出願人または法定代理人のデータの1つに一致する選択されたクライアント識別子を見出し、
(e)一組の選定された国と選定された国に関連する少なくとも1人の弁護士とを生成するために、選択されたクライアント識別子に対応するクライアント選好データを適用し、
(f)選定された国と弁護士の対毎に、
(i)当該国と弁護士の対に対応する選択された料金規則を特定し、
(ii)選択された料金規則をIP統計に適用し外国出願料を計算するように構成される。
【0017】
本発明の第6の態様によると、知的財産(IP)出願に関する1つまたは複数の所定行為を請け負うための料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。本コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有する処理コンピュータを含み、処理コンピュータは、コンピュータシステムが、
(a)出願のIP識別子を受信し、
(b)IP識別子に応答してIP統計を生成し、
(c)一組の選定された国を生成し、
(d)一組の選定された国の国毎に、
(i)選択された料金規則を特定し、
(ii)対応国における1つまたは複数の所定行為の料金を計算するために、選択された料金規則とIP統計に応答できるように実行可能である。
【0018】
一実施形態では、上記組は少なくとも2か国を含む。
【0019】
一実施形態では、IP統計はIP出願の少なくとも2つの特徴を示す。
【0020】
一実施形態では、システムはインターフェースを含み、IP識別子はインターフェースから受信される。
【0021】
一実施形態では、インターフェースはクライアントコンピュータ上にインスタンス化される。
【0022】
一実施形態では、システムは料金または料金群を自動的に計算するためのIP識別子を受信することに対応する。
【0023】
一実施形態では、システムは料金を示す費用データを生成するための料金の計算に対応する。
【0024】
一実施形態では、費用データはクライアントコンピュータに伝達される。他の実施形態では、費用データは電子メールにより伝達される。別の実施形態では、記憶媒体は費用データを含むように更新される。
【0025】
一実施形態では、インターフェースは料金を示す費用データの表示のための料金の計算に対応する。
【0026】
一実施形態では、費用データは料金または各料金を示す。他の実施形態では、費用データは料金の合計または各料金を示す。別の実施形態では、費用データは、料金または各料金と、料金の合計または各料金と、の両方を示す。
【0027】
本発明の第7の態様によると、知的財産(IP)出願に関する1つまたは複数の所定行為を請け負うための料金を計算するためのコンピュータシステムが開示される。コンピュータシステムは、中央処理装置と命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体とを有する処理コンピュータを含み、処理コンピュータはコンピュータシステムが、
(a)ネットワークを介しシステムに遠隔的に接続されるクライアントコンピュータ上のインスタンス化のためのインターフェースを提供し、
(b)ネットワークを介しインターフェースから出願のIP識別子を受信し、
(c)IP識別子に応答してIP統計を生成し、
(d)一組の選定された国を生成し、
(e)一組の選定された国の国毎に、
(i)選択された料金規則を特定し、
(ii)対応国における1つまたは複数の所定行為の料金を計算するために、選択された料金規則とIP統計に応答し、
(f)下位工程(e)(ii)において計算された料金または料金群を示す費用データをインターフェースに提供できるように実行可能である。
【0028】
一実施形態では、費用データは下位工程(e)(ii)において計算された各料金を示す。
【0029】
一実施形態では、システムは費用データをインターフェースへ自動的に提供する。他の実施形態では、システムは、クライアントコンピュータからの特定の要求にだけ応答してインターフェースに費用データを提供する。例えば、後者の実施形態では、デフォルト動作は、記憶媒体内に保持された電子メールアドレスに費用データを送ることである。
【0030】
本発明の第8の態様によると、知的財産(IP)出願に関する1つまたは複数の所定行為を請け負うための料金を計算するためのコンピュータ実施方法が開示される。本方法は、
(a)出願のIP識別子を受信し、
(b)IP識別子に応答してIP統計を生成し、
(c)一組の選定された国を生成し、
(d)一組の選定された国の国毎に、
(i)選択された料金規則を特定し、
(ii)対応国における1つまたは複数の所定行為の料金を計算するために、選択された料金規則とIP統計に応答するためにコンピュータシステムを利用する。
【0031】
本発明の第9の態様によると、知的財産(IP)出願に関する1つまたは複数の所定行為を請け負うための料金を計算するためのコンピュータ実施方法が開示される。本方法は、
(a)ネットワークを介しシステムに遠隔的に接続されるクライアントコンピュータ上のインスタンス化のためのインターフェースを提供し、
(b)ネットワークを介しインターフェースから出願のIP識別子を受信し、
(c)IP識別子に応答してIP統計を生成し、
(d)一組の選定された国を生成し、
(e)一組の選定された国の国毎に、
(i)選択された料金規則を特定し、
(ii)対応国における1つまたは複数の所定行為の料金を計算するために、選択された料金規則とIP統計に応答し、
(f)下位工程(e)(ii)において計算された料金または料金群を示す費用データをインターフェースに提供するために上記システムを利用する。
【0032】
次に、好ましい実施形態について、例示のみを目的として、添付図面を参照し説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書と特許請求の範囲において、用語「国」は、知的所有権または知的所有権の出願が関係する管轄を示すために使用される。文脈により別であると明示されない限り、この用語「国」は、上記の知的財産が「地域」または複数の国に拡大または適用する性質を有する場合、上記「地域」または「複数の国」も対象とすることが意図されているということは明らかである。
【0035】
本明細書と特許請求の範囲では、用語「知的財産」と「工業所有権」は交換可能に使用され、両者とも用語「IP」で略記される。
【0036】
図1に、国毎の料金を計算するためのコンピュータシステム1を示す。コンピュータシステムは、中央処理装置2とメモリ3の形式のコンピュータ可読記憶媒体とを有する。メモリは、クライアントデータベース4と、規則データベース5と、メモリ上に格納されたソフトウェア6の形式のプログラム命令と、を有する。コンピュータシステム1は、インターフェース14およびIPデータベース17と通信する。
【0037】
第1の実施形態では、インターフェース14はコンピュータシステム1として同じサーバー上に置かれる。第2の実施形態では、インターフェース14’はコンピュータシステム1から離れた場所に配置され、コンピュータネットワークを介しアクセスされる。インターフェース14、14’は、工業所有権(IP)識別子15、15’を受信し、それをコンピュータシステム1に好ましくはクライアント識別子7、7’と共に提供するように構成される。
【0038】
IPデータベース17は、好ましくはコンピュータシステム1から離れた場所に配置され、コンピュータネットワークを介しアクセスされる。
【0039】
クライアントデータベース4は、複数のクライアント識別子7と、所定の国々のリスト8を含む対応するクライアント選好と、を格納するように構成される。好ましい実施形態では、所定の国々8は、特定の工業所有権(IP)製品または処理に対応する国々のリストである。例えば、PCT出願のための所定の国々8は、クライアントが通常は国内段階に移行する国々のリストであろう。欧州特許に関しては、所定の国々8は、クライアントが、認可後の欧州特許を通常は有効化する国々のリストであろう。
【0040】
クライアント選好は好ましくはまた、クライアント毎に一組のエージェントと国との対81を含む。これらの対は、クライアントが、各国において利用したいと考える好ましい外国特許弁護士エージェントを特定する。好ましくは、これらの対は国毎のデフォルトエージェントを含む。
【0041】
規則データベース5は、それぞれが提示された国に対応する複数の国毎の料金規則9と、それぞれが特定の外国特許弁護士事務所により請求される一組のデフォルト料金に対応する複数のエージェント毎の料金規則75と、それぞれが特定のクライアントが1人または複数人の弁護士と交渉した料金に対応する複数のクライアント毎の料金規則76と、を格納するように構成される。
【0042】
好ましくは、提示された国10は、コンピュータシステムを運営する組織により判断される通り、移行可能な国である。例えば、PCT出願の場合、現在、140か国を越えるPCT加盟国が存在するが、コンピュータシステムを運営する組織は提示される国々として少数の国々だけを含んでもよい。例えば、この実施形態では、特許出願人により最も頻繁に選定される30か国が、提示された国々に含まれる。しかしながら、他の実施形態では異なる国々のサブセットが提示される。
【0043】
各国毎の規則は、利用される外国エージェントにかかわらず、外国出願がなされる際に各国において支払うべき特定の料金を規定する。これらの規則の例は、所与の国または地域においてPCT出願の国内段階に移行するのに支払われる公的料金を計算するための規則を含む。
【0044】
エージェント毎の料金規則75は、外国弁護士が当該特定案件に対し請求するであろう料金に対応する。例えば、中国において国内段階に移行する必要があるPCT出願の場合、エージェント毎の料金規則75は、弁護士に明細書を提出するための料金とその明細書を中国語に翻訳するための料金とを支払うサービスをカバーするであろう。これらの料金の一部またはすべては、この例ではPCT出願の1つまたは複数の特徴に関係する特定のIP統計(
図1に示さず)を参照するだけで計算可能になる。図では参照符号11により示されるIP統計については後で
図5を参照してさらに詳細に検討される。
【0045】
クライアント毎の料金規則76は、IP申請に関連する外国弁護士手数料に関係するという点でエージェント毎の料金規則75と同様である。しかしながら、クライアントは特定の特許事務所と特定の費用構造について交渉し得るため、特許事務所は2つ以上の異なる料金の組を請求できなくてはならないだろう。
【0046】
IPデータベース17は、複数のIP識別子15とIP識別子15に対応する電子記録18とを含むIP情報を格納するように構成される。好ましくは、IP識別子15は特許出願番号または公開番号などのIP出願番号である。より好適には、IP識別子はPCT出願番号または欧州特許出願番号である。好ましくは、特許識別番号に対応する電子記録18は書誌情報19と電子特許明細書20の両方を含む。
【0047】
この好ましい実施形態のソフトウェア6は、
図2、
図3、
図4に示すように多数の機能を行うようにプログラムされる。
【0048】
図2に、一組の選定された国12を生成するためにソフトウェア6が行う工程を示す。最初に、ソフトウェア6は工程13においてインターフェース14から特定のクライアント識別子7’と特定の工業所有権(IP)識別子15’を受信する。好ましくは、インターフェース14はユーザ(図示せず)から特定のクライアント識別子7’を受信する。好ましい実施形態では、特定のクライアント識別子7’は、インターフェース14をアクセスすることができる安全なウェブサイトにログインするためにユーザが採用するユーザ名または電子メールアドレスである。特定のクライアント識別子7’は、特定の人または特定のクライアント組織のいずれかを一意的に識別する識別子である。
【0049】
第2の実施形態では、インターフェース14’は第三者組織により運用され、クライアント識別子7’はエンドユーザの識別子ではなく第三者の識別子である。この第2の実施形態は、後で
図12を参照してさらに詳細に説明する。
【0050】
第3の実施形態ではインターフェース14はコンピュータシステムにクライアント識別子7’を提供しないが、コンピュータシステム1がその代りに、
(a)特定のIP識別子’15、
(b)インターフェース14に関連する識別データ(図示せず)、
(c)ユーザコンピュータのIPアドレス、
(d)クライアントデータベース4
の1つまたは複数からクライアント識別子7’を推測する。
【0051】
例えば、特許出願の場合、コンピュータシステムは、IPデータベース17から書誌データ19を検索するために特定のIP識別子15’を利用することができる。書誌データは出願人の名前と法定代理人の名前を含む。次にコンピュータシステム1は、出願人または法定代理人がサービス提供者のサービスを以前に利用したかどうかを調べるためにクライアントデータベース4を検索する。そうである場合、コンピュータシステムは当該出願人または法定代理人に関連するクライアント識別子7’を返す。
【0052】
同様に、出願人も代理人もクライアントデータベースに含まれていなない場合、コンピュータシステムは、ユーザのおよその物理的位置を判断するためにユーザコンピュータのIPアドレスを利用することができる。次にコンピュータシステムは、出願人のアドレスと法定代理人のアドレスのいずれのIPアドレスが最も密接に対応するかを特定し、出願人または法定代理人に対応する新しいクライアント識別子7’を割り当てる。
【0053】
インターフェースに関連する識別データは例えば、そのウェブサイト上のインターフェースをホストする第三者の名前であってもよい。第三者名と、書誌データ内のそのクライアントと出願人と法定代理人とのリストと、を相互参照することにより、正しいクライアント識別子をしばしば確認することができる。
【0054】
ソフトウェア6に含まれる方法により特定のクライアント識別子7’を見出すことができない場合、システム1は新しいクライアント識別子7を割り当て、ユーザコンピュータのIPアドレスに対応する価格水準を設定することになる。例えば、1つの価格水準は北米に位置すると確認されたユーザに対して設定され、別の価格水準は欧州に位置すると確認されたユーザに対して設定される。常連クライアントの場合は価格水準はサービス提供者との話し合いの中で設定されるであろうが、価格水準を自動的に生成する場合、システムはユーザの位置に関連する規則に基づき水準に対応することができる。他の実施形態では、システム1は、貨幣を設定するためのユーザの確定場所(価格がユーザに伝えられる)に対応する。本発明の第4の実施形態では、インターフェース14は第三者IP管理ソフトウェアプログラム(図示せず)に埋め込まれる。この実施形態では、インターフェース14はウェブサービス交換を介しコンピュータシステム1にIP識別子7を提供する。この交換では、プログラムは、合意されたWDSLに従って構築されたXMLファイルの形式で見積り要求(図示せず)をコンピュータシステム1に提供する。見積り要求はIP識別子15と、要求された国々、クライアント識別子7、IP管理ソフトウェア79のプロバイダの識別子を含む他のパラメーターと、を含む。他の実施形態では、見積り要求はIP識別子15だけを含む。
【0055】
見積り要求を受信すると、コンピュータシステム1は以下に述べられる実施形態に従って計算を行い、IP管理ソフトウェア79に見積り応答(図示せず)を返す。見積り応答は、その好ましい形式では、合意されたWDSLに従って構築されたXMLファイルである。見積り応答はIP識別子15と料金結果36を含む。他の実施形態における見積り応答はまた、選定された国々、国または料金タイプのいずれかによる料金の内訳、選定されたエージェントの名前、クライアント識別子15、計算の日時、IP統計32、33、34等の他の情報を含む。
【0056】
本発明のこのウェブサービス実施形態の技術的利点は、出願人の料金計算システムが、通常は異なる機能のシステムを組み合わせるという広範囲でかつ高価な統合化努力の必要無しに第三者ソフトウェアシステムに効果的に埋め込まれるということである。共通言語としてXMLを使用することにより、IPソフトウェア提供者は極めて薄いクライアントインターフェース(very thin client interface)を有することができる。ほとんどのIP管理ソフトウエアプログラムはIP識別子15を格納するということが明らかとなる。これらのシステムが単にコンピュータシステム1へIP識別子15を渡すことのみを求められているのであれば、IPソフトウェア提供者はシステム内に本発明の複雑な計算エンジンを組み込む必要が無い。これは、かなりの数の通常は煩わしい統合化要件を取り除くだけでなく、本実施形態のコンピュータシステム1がホストされる強力なリモートサーバーに計算処理を移動させることにより処理時間を最少化できるようにする。
【0057】
図2に戻ると、特定のIP識別子15’は好ましくは工業所有権出願番号である。この例では、IP識別子15’は特許出願(または公開)番号である。
【0058】
次に、ソフトウェア6は、工程16において、クライアントデータベース4からクライアント識別子7’に関連する所定の国々8’のリストを検索する。好ましくは、これらの所定の国々8’は、ユーザにより以前に設定されたものであり、クライアントが通常は申請する国々のリストに対応する。さらなる詳細は
図8Aと
図8Bを参照して以下に提供される。
【0059】
次に、ソフトウェア6は、IPデータベース17を検索し工程21において特定のIP識別子15’に対応する書誌情報19内に含まれる一組の指定国22を検索するために特定のIP識別子15’を利用する。この例では、特定のIP識別子15’はPCT出願であり、指定国のリスト22は、出願人が国内段階に移行する権利を留保することを望む国々として出願を申請する際に選定/指定した国々のリストに対応する。当業者には、「指定国」の概念と、限定されないが欧州特許出願、PCT出願、ARIPO、OAPIおよびユーラシア特許出願等を含む多種多様な国際IP出願または地域IP出願に適用することができるということと、は明らかであろう。当業者には、欧州出願の場合が通常そうであるように、選定または指定は自動的であっても暗黙的であってもよいということもまた明らかであろう。当業者はまた、指定国を含む国々は出願の申請日に依存してもよいということを理解する。
【0060】
次に、ソフトウェア6は、工程23において規則データベース5から、提示された国のリスト10を検索する。
【0061】
次に、ソフトウェア6は、工程24において一組の所定の国8、一組の指定国22、一組の提示された国10間の共通集合を計算し、工程25において一組の選定された国12を返す。したがって、一組の選定された国12は、(a)ユーザが保護を求め続けることに関心を示した国のリストに対応し、(b)もともとIP出願が申請された際に指示されており、したがって入力に利用することができ、(c)コンピュータシステムを運営するサービスプロバイダにより提示される。したがってこの一組の選定された国12は、サービスプロバイダを利用することによりユーザにより使用可能な国の組である。
【0062】
別の実施形態では、一組の選定された国12は、以下の1つまたは2つの国の組間の共通集合からなる。すなわち、上記3つの組は、計算の目的に依存して所定の国8、指定された国22、提示された国10を含む。1つのバージョンでは、サービスプロバイダは、任意のサービスプロバイダに対する外国出願料の見積りを計算することにだけ関心を持ち、したがって計算を、提示された国々10だけに限定しないであろう。
【0063】
さらに別の実施形態では、所定の国々のリスト8はサービスプロバイダにより設定されるデフォルトの国の組である。この例では、最初にコンピュータシステム1がユーザのために国毎の外国出願料を計算する際に、初めて、そのデフォルトの国の組に対する料金が分かるであろう。
【0064】
図12を参照して説明する第2の実施形態では、所定の国々8は最も人気のある国々のサブセットを含む。すべての利用可能な国々を提供しないことにより、システムは、ユーザが関心を有する情報の一部だけを提供する。すべての国への完全なアクセスを得るために、ユーザは登録手続を完了するように奨励される。最も人気のある国々のサブセットを提供することにより達成された結果の例が
図13に現れる。
【0065】
ここで
図3を参照すると、ソフトウェア6の好ましい実施形態はまた、多くの工程においてIP統計11を生成するようにプログラムされる。コンピュータシステム1が工程13においてインターフェース14を介し特定のIP識別子15’を受信した後、ソフトウェア6は特定のIP識別子15’を使用してIPデータベース17を検索し、工程27においてIP識別子15’に対応する特定の電子的に格納された特許明細書20’の複製を検索する。特定の特許明細書20’は、明細書セクション29、特許請求の範囲セクション30、図面セクション31を含む多くのセクションを有する。
【0066】
次に、ソフトウェア6は、工程28において、電子特許明細書20に含まれるページ数32、テキスト33のワード数、特許請求項34の数をカウントし、これらすべてのIP統計11を示すデータをIP統計表35内に格納する。IP統計表の好ましい実施形態は
図5を参照して以下に詳細に説明する。
【0067】
ここで
図4を参照すると、一組の選定された国12とIP統計11を生成した後、ソフトウェア6は適用すべき正しい料金規則を判断する。ソフトウェア6は、特定のクライアント識別子7’に適用する任意のエージェントと国との対81を特定するために規則データベース5を検索し、対応する料金規則(国毎の料金規則9であるか、エージェント毎の料金規則75であるか、クライアント毎の料金規則76であるか)を選択する。
【0068】
好ましい実施形態では、特定の料金規則を適用する際、コンピュータシステム1は以下の階層を適用するであろう、すなわち、
第1に、国毎の料金規則9を適用する、
第2に、いかなるクライアント毎の料金規則76も適用しない場合は、エージェント毎の料金規則75を適用し、そうでなければクライアント毎の料金規則76を適用する。
【0069】
図4に示すように、ソフトウェア6は、選定された各国74を調べ、適切な料金規則を特定し、次に料金規則をIP統計表35内のIP統計11に適用し国毎の料金結果36を生成する。好ましい実施形態では、ソフトウェア6は料金結果表37内に料金結果36を格納し、ユーザが見れるようにインターフェース14を介し料金結果表を表示する。
【0070】
一実施形態では、ソフトウェア6は、それぞれが異なる外国エージェントにより請求された料金に対応する国当たりの複数の料金結果36を返す。複数のエージェントの料金結果36を同時に返すことにより、システムはユーザが別のエージェントを選定してもさらに再計算を行う必要が無くなる。
【0071】
一実施形態では、コンピュータシステム1は国毎に複数の料金結果36を返し、インターフェース14は特定の外国エージェントに対応する1つの結果だけを表示すると考えられている。そのように、ユーザが別のエージェントを選定しても、インターフェース14はコンピュータシステムに別の要求を送る必要が無く、別のエージェントの別の料金結果36を簡単に表示することができる。また、このような実施形態はコンピュータネットワーク上でインターフェース14からコンピュータシステム1に送信されるデータ量を低減するだけでなく、コンピュータシステム1により行われる必要がある処理時間を低減する。このような実施形態はさらに、別のエージェントに要求してからインターフェース上に結果を提示するまでにかかる応答時間を低減する。
【0072】
好ましい実施形態では、コンピュータシステム1は、ボタンをクリックする、リンクをクリックする、または音声を発するなどのユーザの単一操作に応答して国毎の料金36を計算するように構成される。国毎の料金のこの単一行為計算は、ユーザが提供する必要がある唯一の情報がIP識別子15であるために実現することができる。ユーザは明細書のページ数またはワード数または特許請求項の数を提供する必要が無い。コンピュータシステム1はそれらのIP統計をすべて自動的に生成する。加えて、システム1はユーザの所定の国々の組8を記憶しているので、ユーザはいかなる国選定情報も提供する必要が無い。同様に、コンピュータシステムはユーザのデフォルト外国弁護士の組(または外国弁護士群)を記憶しているので、ユーザはその情報を二回以上提供する必要が無い。国とエージェントのこの事前選定は、クライアントがログインしなければならず、それらのユーザ名(したがってクライアント識別子7’)が知られているソフトウェア6の安全なウェブサイトバージョンにおいて特に当てはまる。コンピュータシステムはこの予め定義された国情報とエージェント情報を格納するので、かつ出願のIP統計(明細書内のページ数、ワード数など)を自動的に計算することができるので、コンピュータシステムはユーザインタフェースからその情報を受信する必要が無い。ユーザインタフェース14から最少限のデータ(IP識別子および/またはクライアント識別子のいずれかだけ)を渡すことにより、本発明のいくつかの技術的利点がもたらされる。利点の1つは、インターフェース14からコンピュータシステム1に渡される必要のあるデータの低減である。インターフェースが遠くの場所にある場合、この技術的特徴はネットワーク上のデータトラフィックの低減という技術的効果となる。これは、費用見積りの生成にかかる時間を低減する。同様に、インターフェース14はコンピュータシステム1へ最少限の情報だけを収集し渡す必要があるので、最少限の技術的設定を有する薄いクライアントアプリケーションにおいてインターフェースを遠隔的に配備することができる。
【0073】
ウィジェット78が単純なHTMLウェブサイト上に配備された一例を
図12を参照して提供する。第三者ウェブサイトにおいてこのようなインターフェースを展開することは、サイトのHTMLコードに対する簡単な変更を伴う。この例では、ウィジェット78は、IP識別子7を受信しjavascript jquery呼び出しを手段として識別子7をコンピュータシステムに提供するように構成される。「jquery」呼び出しを制定することで、コンピュータネットワークを介した最少限の情報移動を可能にし、そして処理と料金計算のすべては、好ましくは高度な処理能力を有するリモートサーバー内に位置するコンピュータシステム1内で行われる。本発明の技術的特徴の組合せにより、処理をインターフェース内に置く(しばしばクライアントのローカルコンピュータ上に置く)のではなくサーバコンピュータシステムが処理の大部分を扱うことができるようにする。このようにして、本発明は、コンピュータ処理時間が著しく低減されるという技術的利点を有する。
【0074】
以下では、本発明の好ましい実施形態のいくつかの態様の下位レベルの詳細を提供する。
【0075】
図5に、この例では特許明細書統計表である例示的IP統計表35を示す。PCT国内段階への移行と欧州特許有効化(European validation)の多くの料金規則が多種多様な変数46に依存するので、かつ140か国を越えるPCT国と30か国を越える欧州特許有効化国が存在するので、多種多様な国々における国毎の料金36を正確に計算するために多くの変数46が分かる必要がある。
【0076】
この例では、IP統計表35は以下の変数46(非網羅的リスト)を含む、すなわち、
(a)明細書の明細書セクション内のワード数を示す明細書ワード38、
(b)明細書の特許請求の範囲セクション内のワード数を示す特許請求の範囲ワード39、
(c)明細書内のテキストのワードの総数を示す全ワード40、
(d)明細書の明細書セクション内のページ数を示す明細書ページ41、
(e)明細書の特許請求の範囲セクション内のページ数を示す特許請求の範囲ページ42、
(f)明細書の添付図面セクション内のページ数を示す添付図面ページ43、
(g)明細書のテキスト内の化学式の数を示す化学式の数44、および、
(h)明細書のテキスト内の数式の数を示す数式の数45。
【0077】
IP統計11を生成する処理は、利用可能なデータのタイプとIPのタイプに応じて変化することになる。以下の例示的例では、様々な欧州国において遵守される必要のある欧州特許のIP統計とPCT国内段階に移行する必要のあるPCT出願のIP統計とを生成する処理を説明する。
【0078】
欧州特許用のIP統計の生成
図6を参照すると、欧州特許の場合のIPデータベース17は欧州特許庁から週1回の頻度でダウンロード可能なEspace A/B XMLファイル47の形式を取る。これらのファイルは公開A文書とB文書に関するデータを含み、A文書は特許出願に関連する未登録特許明細書を表し、B文書は登録特許に関連する特許明細書を表す。
【0079】
XMLファイル47は、明細書、特許請求の範囲、添付図面を含む明細書のセクションを線引きする役目を果たすXMLタグ48の形式の複数のセクション指標を含む。
図6の表は多種多様なXMLタグ48とそれらが表す対応データとを説明する。
【0080】
明細書ワード38を計算するために、ソフトウェア6は最初に、<明細書>タグ49後から<特許請求の範囲>タグ50前に現れるテキストを抽出する。システムは次に、抽出されたテキストに対し多くの解析処理を行う。このような解析処理の1つは、XMLまたはHTMLタグなどのメタデータから、明細書の一部を形成するテキストを分離させる。明細書ワード38は、ワードの文字数(テキストカウント55)を考慮するだけでなく、化学式、数式または画像が出現する場合の公称ワードカウントも割り当てる。これは、多くの翻訳者と特許弁護士が明細書内のこれらの要素の数に応じて料金を適用するからであり、化学式などを注意深く精査しフォーマット化する必要があるためである。
【0081】
化学式の数を計算するために、好ましい実施形態はXMLファイル47内の<化学>タグ51の数をカウントする。次に、化学式の数に10などの所定ワード数を掛けることにより化学カウント52を判断する。数式の数に対応する数式カウント53×所定ワード数と画像カウント54を得るために同様な処理が続く。次に、明細書ワード39変数は、テキストカウント55、化学式カウント52、数式カウント53、画像カウント54を合計することにより計算される。
【0082】
特許請求の範囲ワード39を判断するために、同様な処理が<特許請求の範囲>タグ50と<図面>タグ56間で行われ、テキストを抽出し分解し、化学式、数式、画像の数をカウントし、それぞれの数に公称ワードカウントを掛け、その結果を加算する。
【0083】
AとB公開XMLファイルから得ることができないデータの1つは、明細書のページ数である。この例では、ソフトウェアは、OPSウェブサービスとして知られたEPOから別の情報サービスに問い合わせるためにIP識別子15を利用する。次に、ソフトウェアは、システムが明細書ページ41、特許請求の範囲ページ42、添付図面ページ43を自動的に判断できるようにする「文書問い合わせ」処理を実行する。この変数は、いくつかの有効化国の特許庁が明細書内のページ数に応じて印刷料を請求するので、必要である。
【0084】
特許請求項の数61を判断するために、ソフトウェア6は最初の<特許請求の範囲>タグ50後を検索し、次にその後現れる<特許請求の範囲>タグ50の数をカウントする。その結果の数は明細書内の特許請求項の数61である。
【0085】
PCT出願用のIP統計の生成
PCT出願のIP統計を生成するための処理の多くは欧州特許と同様であるが、いくつかはデータソースが異なるので異なる。PCT出願の場合、WIPOは明細書テキストを走査し、テキストに対しOCR処理を実行し、電子明細書20をPDF文書として格納する。
【0086】
図7に示すように、ソフトウェア6はIPデータベース15から電子明細書20を検索する16。この場合、IPデータベースはWIPO.intにおいてPS webサーバサービスを介しアクセスされ、getAvailableDocuments処理を実行しIP識別子15に対応する特定のPDF明細書57を返す。読み出されると、ソフトウェア6は、それぞれが明細書、特許請求の範囲、添付図面を含む明細書のセクションを線引きする指標である明細書ブックマーク58、特許請求の範囲ブックマーク59、添付図面ブックマーク60を求めてPDF明細書57を検索する。これらのブックマークは、それらのセクションのそれぞれのページ数に対応する情報を含む。ソフトウェア6は、その情報を抽出し、それを明細書ページ41変数、特許請求の範囲ページ42変数、添付図面ページ43変数としてIP統計表35内に格納する。
【0087】
次に、ソフトウェア6は、明細書ブックマーク58と特許請求項ブックマーク59間のテキストを抽出し、上述と同様な解析およびワードカウント処理を行い明細書ワード38変数を返す。ソフトウェア6は、特許請求の範囲セクションに対し同様な処理を行い、特許請求の範囲ワード39変数を返す。
【0088】
以下の節では、本発明の特徴の多くを具現するインターフェース14の好ましい例を説明する。
【0089】
図8Aと
図8Bを参照すると、マイプロフィールページとして知られた一組の好みの国8をユーザが生成できるように専用化されたインターフェース14の一部のスクリーンショットが示される。使用中、一組の所定の(好みの)国8を生成するために、ユーザは利用可能な国セクション63から国を、ダブルクリックまたはドラッグアンドドロップにより私のお気に入りセクション64に移動する。
【0090】
図9を参照すると、ユーザの単一操作に応答してユーザが国毎の料金を計算できる(または、より口語的には「ワンクリック見積り」を生成できる)ように専用化された「マイポートフォリオ」ページ65として知られたインターフェース14の一部のスクリーンショットが示される。「マイポートフォリオ」ページ65は以下の多くのセクション、すなわちワンクリック見積りセクション66、「私の将来案件」セクション77、「私の過去案件」セクション78を有する。
【0091】
使用中、ユーザは、2つのやり方のうちの1つでワンクリック見積りを作成することができる。ユーザは、私の将来案件セクション77または私の過去案件セクション78のいずれかの当該IP識別子15を見出し、見積り欄内の「新」または「見る」をクリックする。当該リンクをクリックするユーザの単一操作を行うと、ソフトウェア6は上記の工程をすべて行いユーザの所定の国々の外国出願見積りを作成する。
【0092】
あるいは、ユーザはワンクリック見積りセクション66を利用することができる。
図10に示すように、ユーザは、見積りを得ることに関心のあるIPのタイプをドロップダウンメニュー69から簡単に選択し(この場合、サービスプロバイダは、PCT国内段階への移行のためのpctfiler、欧州遵守のためのepvalidation、IP翻訳のためのiptranslatorを有する)、IP識別子受信フィールド70内にIP識別子15を入力し、「見積りを得る」ボタン71をクリックする。当該ボタンをクリックするユーザの単一操作を行うと、ソフトウェア6はユーザの所定の国々の外国出願見積りを生成するために上記の工程をすべて行う。
【0093】
図12に示す実施形態では、ユーザは関心のあるIPのタイプを選択する必要すら無い。この実施形態では、システムは、IP識別子7のフォーマットからIPのタイプが提供されたと推論する。例えば、PCT出願番号は常にフォーマットPCT/CCNNNN/NNNNNNを有する。ここでCCは国コード、Nは整数である。同様に、欧州公開番号はフォーマットEPNNNNNNNを有する。
【0094】
図11Aに、本発明の一実施形態による、国毎の料金36を表示することに専用化されたインターフェース14の一部のスクリーンショットを示す。この図は、個別に項目化された、サービス料、印紙料、翻訳料を含む料金結果表37を示す。
図11Bには、見積りが生成された国々をユーザが修正し、再計算ボタン73をクリックすることにより新しい見積りを作成できるようする同じページの国変更セクション72を示す。
【0095】
限定されないが以下のIP統計11を生成する工程を含む上記好ましい実施形態に対する多くの変更が想定される、すなわち、一組の選定された国12は、ユーザ要求に応答して「早急に(on the fly)」計算されるか、複数のIP出願のバッチ処理において定期的に生成されるかのいずれかである。
【0096】
本発明はまた商標などの他のタイプのIPに適用されてもよい。特許内の明細書のページ数、ワード、特許請求の範囲に対応するIP統計を生成する代わりに、商標内の対応するIP統計は等級の数である。商標料金規則(政府料金または弁護士料のいずれか)は、商標がカバーする等級の数に応じてしばしば変わる。このため、外国商標出願の申請のための費用見積りを作成するために本発明を容易に適用し得る。
【0097】
上記実施形態の主要な利点は次のものを含む、
・高水準の精度
・時間効率向上
・ユーザ(またはクライアント)のコンピュータから(遠隔)サーバコンピュータへのデータ転送の低減。これは本実施形態の効果的動作に必要なネットワーク接続帯域幅を低減し、システムの応答時間を増加する。クライアントコンピュータを含むコンピュータネットワーク上で膨大な量のデータを送る必要が最早無いので、これは複数の計算に関する場合それらのインスタンスに特に有利である。したがって、本実施形態を利用することによる当該ネットワークの遅れのリスクは低減される。
・計算能力のほとんどがリモートサーバーに設置される。これにより、クライアントコンピュータにおいて高い計算能力を有しなければならないということが減る。したがって、本実施形態は、広範囲のクライアントコンピュータに容易に適用される。大きな計算のためのサイトとして比較的強力なリモートサーバーコンピュータを有することにより、本実施形態がより安定的かつ効果的に実施することができることが分かった。
【0098】
上記実施形態は、これらの実施形態の構造と機能を受け手が理解するのを支援するために例示的に提示された。特に本明細書の教示の利点を条件として、本実施形態からのその様々な特徴と機能は選択的に組み合わせて利用可能であるか、実施形態の正確な実施の詳細に応じて交換可能または省略可能であるということも明らかであろう。例示的な実施形態を提供するにあたっての発明者らの意図は、本発明の実施を例示することであって、それらの特徴と機能が、他の可能な実施形態に追加されることも、それと置換されることも、それから省略されることもできないということを示唆するものではない。
【0099】
本発明は特定の例を参照して説明されたが、本発明は装置、システム、方法として具現されることに限定されなない、それらを含む他の多くの形式で具現され得ることは当業者には明らかである。