(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の載置面部は、前記物品を前記奥行方向および該第1の載置面部の幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に逸脱を規制すべく、前記物品の外形に接触可能な凹部を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非接触通信装置。
前記物品が、データを書き換え可能に記録する記録媒体を備えている場合に、前記非接触通信部は、前記物品との非接触通信に伴って前記記録媒体に対してデータの読み出し/書き込みを行うリード/ライト部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の非接触通信装置。
請求項9に記載の非接触通信装置を有し、前記非接触通信部の前記リード/ライト部は、前記物品との非接触通信に伴って前記記録媒体に対して価値データの読み出し/書き込みを行うことを特徴とする精算装置。
【背景技術】
【0002】
非接触通信機能を有する物品としては、非接触型IC(Integrated Circuit)カードや、非接触通信機能を有する携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末等が知られている。尚、非接触通信の方式としては、電磁誘導または電磁波を利用する電磁的な通信方式、磁気的な通信方式、光学的な通信方式、あるいはそれら方式のいずれか複数を併用する方式等がある。この中では、通信の安定性や汎用性の理由から、電磁的な通信方式が広く普及している。
【0003】
また、この種の物品の多くは、データを書き換え可能に記録する記録媒体を備えている。記録媒体を備えたこの種の物品は、電子マネー等とも呼ばれる価値データを記録媒体に記録させることで、現金の代替物として、購入した商品やサービスについてのキャッシュレス精算に利用可能である。
【0004】
一方、非接触通信機能を有する物品と非接触通信を行う非接触通信装置は、それを上述したようなキャッシュレス精算に利用する場合、店舗等に配備された上位装置としての精算装置に付随して用いることになる。
【0005】
精算装置に付随して用いられる非接触通信装置は、精算装置への付随の形態として、精算装置とは別体で配備されるものと、精算装置と一体に搭載されるものとがある。別体配備の例としては、店舗や宿泊施設の受付台に設置されたレジスター装置とも呼ばれる精算装置の近辺に配備される非接触通信装置がある。一体搭載の例としては、セルフ給油所に配備された外設機とも呼ばれる精算装置の筐体に搭載される非接触通信装置がある。
【0006】
非接触通信装置を用いたキャッシュレス精算は概ね、次のように実行される。まず、非接触通信装置に備えられた接続インターフェースとしてのアンテナに対して非接触型ICカードや携帯端末等の物品が正しい位置に位置付けられる。次いで、非接触通信装置と物品との間で、アンテナを介して非接触通信が確立される。続いて、非接触通信装置が物品の記録媒体から価値データを読み出し、必要に応じて上位装置としての精算装置に転送する。次に、精算装置によって精算処理がなされる。さらに、精算装置による精算結果に応じて、非接触通信装置が物品の記録媒体に価値データを更新的に書き込み、キャッシュレス精算が終了し、精算処理が完了する。
【0007】
ここで、上記のようなキャッシュレス精算を開始してから終了するまでの時間に亘って正常な非接触通信が行われるように、非接触型ICカードや携帯端末等の物品は、非接触通信装置のアンテナに対して一定の位置関係が維持される必要がある。このことを換言すると、キャッシュレス精算を行う際に、ユーザは、手に持った物品を所要時間に亘って正しい位置に構え続けなければならない。これは、ユーザにとって困難かつ不便なことである。
【0008】
このため、外設機等の精算装置に搭載された非接触通信装置には、ユーザが物品を正しい位置に構え続けることを不要にすべく、ユーザが手を放して物品を載置するための載置部を有しているものがある。この載置部は具体的には、精算装置の前面パネルに形成された空間部と、空間部の底面に設けられ、物品が載置される載置面部とを有している。空間部は、ユーザが物品を手に持って挿入可能であり、かつ、正しい位置に載置されたかどうかをユーザが視認可能な程度の開口面積で、外設機等の精算装置の前面パネルに形成されている。また、載置面部には、アンテナが内蔵されている。
【0009】
この種の非接触通信装置は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された非接触通信装置は、データ処理装置に搭載されており、非接触型ICカードや携帯端末が載置される載置部を有している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による非接触通信装置は、非接触通信機能を有する物品が載置される載置部と、載置部に載置された物品と非接触通信を行う非接触通信部とを有している。非接触通信部は、それぞれ物品と非接触で接続する第1の接続インターフェースおよび第2の接続インターフェースを有している。
【0020】
載置部は、それぞれ物品が奥行方向に挿入されて載置される、第1の載置面部と、第2の載置面部とを有している。第1の接続インターフェースは、第1の載置面部に内蔵されている。一方、第2の接続インターフェースは、第2の載置面部に内蔵されている。
【0021】
第1の載置面部は、前面視上の水平方向(装置幅方向)に対して90度未満である第1の角度をなしている。一方、第2の載置面部は、装置幅方向に対して第1の角度よりも大きく、かつ、90度未満である第2の角度をなしている。第2の載置面部は、その幅が第1の載置面部よりも広い。
【0022】
上記構成により、本非接触通信装置は、非接触通信機能を有するタブレット端末等の幅が広い物品を、第2の載置面部に載置させることができる。その一方で、第2の載置面部は、その垂直投影したサイズを、第1の載置面部の垂直投影したサイズ以下にすることが可能である。このため、非接触通信装置の幅が大型化することがない。しかも、高さについても、前述した最低限確保しなければならない高さと同程度とすることができる。
【0023】
即ち、本発明による非接触通信装置は、幅を大きくすることなく、非接触通信機能を有する様々なサイズの物品に対応できる。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明による非接触通信装置のより具体的な実施形態を説明する。
【0025】
[実施形態1]
図1(a)および(b)、
図2(a)および(b)ならびに
図3(a)および(b)を参照すると、本発明の実施形態1による非接触通信装置は、セルフ給油所において、給油装置(図示せず)付近に配備されるラック(図示せず)に搭載される精算装置としての外設機100に搭載されている。外設機100は、給油時には給油の設定を行い、給油後には給油費用の精算を行う精算装置である。
【0026】
外設機100は、後に詳述する非接触通信装置と、タッチパネル付きディスプレイ40と、紙幣入金装置50と、クレジットカード読取装置60と、レシート印刷用プリンタ70と、インターフォン80とを有している。尚、非接触通信装置以外の各ユニットは、本発明の要旨外であるため、詳細な説明を省略する。また、図示はしないが、外設機100の内部には、精算装置の制御部が設けられており、この制御部は各ユニットと電気的に接続されている。
【0027】
本実施形態においては、非接触通信装置の非接触通信対象である物品として、非接触型ICカード、
図2(a)および(b)に示す携帯電話機600Aと、
図3(a)および(b)に示すタブレット端末600Bとを例に挙げる。携帯電話機600Aおよびタブレット端末600Bのどちらも、非接触通信機能を有していることに加え、価値データを書き換え可能に記録する記録媒体(図示せず)を備えている。したがって、携帯電話機600Aおよびタブレット端末600Bのどちらも、現金の代替物として、給油代金に関するキャッシュレス精算に利用可能である。
【0028】
図4(a)〜(d)、
図5(a)および(b)、
図6(a)および(b)、
図7(a)および(b)ならびに
図8(a)をも参照すると、本発明の実施形態1による非接触通信装置は、非接触通信機能を有する物品としての携帯電話機600A(
図2(a)および(b))やタブレット端末600B(
図3(a)および(b))等が載置される載置部30と、載置部30に載置された非接触通信機能を有する物品と非接触通信を行う非接触通信部20(
図8(a))とを有している。
【0029】
非接触通信部20は、それぞれ物品と電磁波を利用して非接触で接続する第1の接続インターフェースとしての第1のアンテナ23Aと、第2の接続インターフェースとしての第2のアンテナ23Bとを有している。
【0030】
尚、本発明における非接触通信の方式としては、電磁波を利用する通信方式(電磁誘導を利用する通信方式をも含む)以外に、磁気的な通信方式、光学的な通信方式、あるいはそれら方式のいずれか複数を併用する方式であってもよい。
【0031】
載置部30は、奥行方向Dに挿入される物品を受容する(物品の挿入を許す)空間部31と、第1の載置面部32Aと、第2の載置面部32Bとを有している。空間部31は、装置幅方向(前面視上の水平方向)Hrに平行な底辺を有する四角形を呈している。第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32Bは、空間部31内に設けられている。
【0032】
さらに
図12をも参照すると、第1の載置面部32Aは、装置幅方向Hrに対して90度未満である第1の角度αをなしている。一方、第2の載置面部32Bは、装置幅方向Hrに対して第1の角度αよりも大きく、かつ90度未満である第2の角度βをなしている。本例では、第1の角度αは、0度である。即ち、第1の載置面部32Aは、空間部31が呈する四角形の底辺上に設けられている。また、第2の載置面部32Bは、当該四角形の対角線上に設けられている。尚、第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32Bは、前面視上、それぞれ第1の角度および第2の角度をなしていればよく、奥行方向Dにおいては、本例のごとく水平である以外に、奥側が漸次低くなる様に傾斜しているか、あるいは、手前側が漸次低くなる様に傾斜していてもよい。
【0033】
第2の載置面部32Bは、
図7(a)および(b)等に示すように、第2の載置面部32Bの幅方向における左側および右側のうちの高さが低い方の側(本例では、左側)に、載置面からリブ状に突出するように設けた突出部322Bを備えている。突出部322Bは、タブレット端末600B(
図3(a)および(b))等の物品を、この物品が第2の載置面部32Bの幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に、正しい載置位置からの逸脱を規制すべく、物品の外形(本例では、物品の左側面)に接触可能である。
【0034】
尚、第1の載置面部32Aは、携帯電話機600A(
図2(a)および(b))等の物品を、この物品が奥行方向Dおよび第1の載置面部32Aの幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に、正しい載置位置からの逸脱を規制すべく、物品の外形(例えば、物品の左右側面ならびに載置時に奥側となる側面、もしくは、左右側面、奥側となる側面および手前側となる側面)に接触可能な凹部を備えていてもよい。例えば、
図5(b)中に一点鎖線で仮想的に示すような凹部322Aを、第1の載置面部32Aに設けてもよい。
【0035】
また、本非接触通信装置の載置部30は、
図13に示すように、空間部31の開口端に設けられ、空間部31を手動的に開閉可能な扉35を有していてもよい。
図13を参照すると、扉35は、外設機100の前面にて開口した空間部31を開閉するように回動軸352を中心として回動可能である。また、外設機100内には、電磁式の閂部26が設けられている。閂部26は、
図8(a)に示した非接触通信部20の制御部21に電気的に接続されている。そして、非接触通信部20の制御部21は、正しい載置位置に載置された物品との非接触通信を利用しての精算処理中は、閉じられた扉35に設けられた係合部353に閂部26の先端を挿入することにより、扉35が開けられることをロックする。非接触通信を伴う精算処理の完了後、制御部21は閂部26の先端を扉35の係合部353から抜去する。これにより、ユーザは、扉35を開いて物品を取り出すことができる。非接触通信を伴う精算処理中は扉35がロックされるため、非接触通信中に物品が不用意に動かされて通信に支障を来すことを防止することができると共に、物品の記録媒体に価値データを更新的に書き込む前、即ち、精算処理が完了する前に、物品が取り去られることを防止することができる。
【0036】
第1の接続インターフェースとしての第1のアンテナ23Aは、第1の載置面部32Aに内蔵されている。一方、第2の接続インターフェースとしての第2のアンテナ23Bは、第2の載置面部32Bに内蔵されている。尚、本発明において、第1、第2の接続インターフェースが第1、第2の載置面部に内蔵されるとは、第1、第2の接続インターフェースの一部が露出した状態で第1、第2の載置面部に搭載されることをも含む。例えば、光学的非接触通信を行う場合、接続インターフェースとしての光学的スキャナ等は、その一部が載置面部の表面から露出するようにしてもよい。
【0037】
本例において、第1のアンテナ23Aおよび第2のアンテナ23Bは、平面アンテナである。尚、第1のアンテナ23Aおよび第2のアンテナ23Bはそれぞれ、複数のアンテナを奥行方向Dに沿って並列するように設けると共に、それらアンテナ同士を直列または並列に接続するようにしてもよい。
【0038】
図7(a)および(b)に示すように、第2の載置面部32Bは、その幅(おおよそw2)が、第1の載置面部32Aの幅(おおよそw1)よりも広い。第1の載置面部32Aは、物品を載置可能なスペースs32A(幅w1×高さh1)を持っている。一方、第2の載置面部32Bは、物品を載置可能なスペースs32B(幅w2×高さh2)を持っている。本例において、幅w1は60mm、高さh1は20mm、幅w2は120mm、高さh2は10mmである。尚、これらスペースの幅は、如何程の幅と高さを確保するかによって増減する。また、載置スペースs32A、載置スペースs32Bの奥行寸法は、同等である。
【0039】
したがって、第1の載置面部32Aには、奥行方向Dに挿入される物品、とりわけ、携帯電話機600A(
図2(a)および(b))や非接触型ICカード等の幅が比較的小さい物品が載置される。一方、第2の載置面部32Bには、奥行方向Dに挿入される物品、とりわけ、タブレット端末600B(
図3(a)および(b))等の幅が比較的大きく、第1の載置面部32A上には載置不可能な物品が主に載置される。ただし、第2の載置面部32Bに、携帯電話機600A(
図2(a)および(b))や非接触型ICカード等の幅が比較的小さい物品が載置されてもよい。
【0040】
尚、第2の載置面部32Bは、その垂直投影したサイズhr2が、
図7(a)および(b)に示すように第1の載置面部32Aの垂直投影したサイズhr1と同等であるか、あるいは、サイズhr1未満であることが好ましい。これは、垂直投影したサイズhr2が垂直投影したサイズhr1を超えると、非接触通信装置の幅の大型化を招来するためである。
【0041】
図8(a)を参照すると、非接触通信部20は、載置部30の第1の載置面部32A(
図4(a)等)に内蔵された第1のアンテナ23Aと、載置部30の第2の載置面部32B(
図4(a)等)に内蔵された第2のアンテナ23Bと、第1のアンテナ23Aに接続された第1のリード/ライト部22Aと、第2のアンテナ23Bに接続された第2のリード/ライト部22Bと、非接触通信部20全体の制御を行う制御部21と、精算処理を実行する上位装置と通信を行う通信インターフェース部24とを有している。第1の実施形態において、上位装置とは、
図1(a)および(b)等に示す外設機100である。また、制御部21は、演算素子と、記憶部とを有し、記憶部に記憶されたソフトウェアプログラムにしたがって動作するものである。
【0042】
第1のリード/ライト部22Aは、第1のアンテナ23Aを介した非接触型ICカードや携帯電話機600A(
図2(a)および(b))等との非接触通信に伴って、それら物品に備えられた記録媒体に対して価値データの読み出し/書き込みを行う。第2のリード/ライト部22Bは、第2のアンテナ23Bを介したタブレット端末600B(
図3(a)および(b))等との非接触通信に伴って、タブレット端末600B等に備えられた記録媒体に対して価値データの読み出し/書き込みを行う。
【0043】
次に、
図9をも参照して、本実施形態による非接触通信装置の動作を説明する。
【0044】
本実施形態による非接触通信装置は、上位装置である外設機100(
図1(a)および(b)等)の制御部から処理要求を受けると、
図9に示す手順で処理を行う。ここで、外設機100から要求される処理とは、外設機100による精算処理に伴う、非接触通信機能を有する物品が備えた記録媒体に対する価値データの読み出し/書き込み処理である。
【0045】
ステップS1において、
図8(a)に示す非接触通信部20の制御部21は、外設機100の制御部から通信インターフェース部24を介して受けた価値データの読み出し要求に応じて、内蔵しているタイマーをリセットする。
【0046】
続いて、ステップS2において、制御部21は、タイマーの値が所定の時間(例えば5秒)以上であるか否かを検出する。検出の結果、所定の時間未満(ステップS2のNo)であればステップS3に移行する一方、所定の時間以上(ステップS2のYes)であればステップS11に移行する。
【0047】
ステップS3において、制御部21は、第1のリード/ライト部22Aおよび第1のアンテナ23Aにより、非接触通信機能を有する物品の有無を問う問い合わせの電波を送出する。
【0048】
続いて、ステップS4において、制御部21は、問い合わせに対する物品からの応答の有無を、第1のアンテナ23Aおよび第1のリード/ライト部22Aによって検出する。検出の結果、応答があった場合は第1の載置面部32A上に非接触通信機能を有する物品が載置されていると判断(ステップS4のYes)してステップS5に移行する一方、応答がなかった場合は第1の載置面部32A上には非接触通信機能を有する物品が載置されていないと判断(ステップS4のNo)してステップS7に移行する。
【0049】
ステップS5において、制御部21は、第1のアンテナ23Aおよび第1のリード/ライト部22Aにより、第1の載置面部32Aに載置されていると判断した非接触型ICカードもしくは携帯電話機600A(
図2(a)および(b))等の物品の記録媒体から価値データを読み出し、読み出した価値データを通信インターフェース部24から上位装置である外設機100の制御部に送出する。
【0050】
続いて、ステップS6において、制御部21は、外設機100の制御部から通信インターフェース部24を介して受けた価値データの更新的な書き込み要求に応じて、第1のリード/ライト部22Aおよび第1のアンテナ23Aにより、第1の載置面部32Aに載置されている非接触型ICカードもしくは携帯電話機600A等の物品の記録媒体に価値データを更新的に書き込み、書き込みが完了した旨の信号を通信インターフェース部24から上位装置である外設機100の制御部に送出する。その後、価値データの読み出し/書き込み処理を終了する。
【0051】
ステップS7において、制御部21は、第2のリード/ライト部22Bおよび第2のアンテナ23Bにより、非接触通信機能を有する物品の有無を問う問い合わせの電波を送出する。
【0052】
続いて、ステップS8において、制御部21は、問い合わせに対する物品からの応答の有無を、第2のアンテナ23Bおよび第2のリード/ライト部22Bによって検出する。検出の結果、応答があった場合は第2の載置面部32B上に非接触通信機能を有する物品が載置されていると判断(ステップS8のYes)してステップS9に移行する一方、応答がなかった場合は第2の載置面部32B上にも非接触通信機能を有する物品が載置されていないと判断(ステップS8のNo)し、ステップS2に戻る。
【0053】
ステップS9において、制御部21は、第2のアンテナ23Bおよび第2のリード/ライト部22Bにより、第2の載置面部32Bに載置されていると判断したタブレット端末600B(
図3(a)および(b))等の物品の記録媒体から価値データを読み出し、読み出した価値データを通信インターフェース部24から上位装置である外設機100の制御部に送出する。
【0054】
続いて、ステップS10において、制御部21は、外設機100の制御部から通信インターフェース部24を介して受けた価値データの更新的な書き込み要求に応じて、第2のリード/ライト部22Bおよび第2のアンテナ23Bにより、第2の載置面部32Bに載置されているタブレット端末600B等の物品の記録媒体に価値データを更新的に書き込み、書き込みが完了した旨の信号を通信インターフェース部24から上位装置である外設機100の制御部に送出する。その後、価値データの読み出し/書き込み処理を終了する。
【0055】
ステップS11においては、タイマーの値が所定の時間以上であることを検出したことにより、第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32B上のどちらにも非接触通信機能を有する物品が載置されていないと判断し、価値データの読み出し/書き込み処理が不可能である旨を、通信インターフェース部24から上位装置である外設機100の制御部に通知する。
【0056】
尚、上述したデータの読み出し/書き込み処理のステップS2においては、問い合わせ開始後に所定の時間以上経過した場合に、第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32B上のどちらにも非接触通信機能を有する物品が載置されていないと判断しているが、問い合わせの回数をカウントして問い合わせが所定の回数に達した場合に、第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32B上のどちらにも非接触通信機能を有する物品が載置されていないと判断するようにしてもよい。
【0057】
また、尚、上述したデータの読み出し/書き込み処理のステップS3およびS4ならびにステップS7およびS8においては、第1のアンテナ23Aや第2のアンテナ23Bから非接触通信機能を有する物品の有無を問う問い合わせの電波を送出し、物品からの応答の有無を検出することより、第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32Bのどちらに非接触通信機能を有する物品が載置されているかを判断しているが、第1の載置面部32Aや第2の載置面部32Bに何かしらの物品が載置されたことを検出するセンサを設け、このセンサの検出信号に基づいて第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32Bのどちらに物品が載置されているかを判断するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態による非接触通信装置の非接触通信部としては、
図8(a)に示す非接触通信部20とは異なる構成とすることも可能である。例えば、
図8(b)に示す非接触通信部20’のように構成してもよい。
【0059】
図8(b)を参照すると、非接触通信部20の変形例としての非接触通信部20’は、載置部30の第1の載置面部32A(
図4(a)等)に内蔵された第1のアンテナ23Aと、載置部30の第2の載置面部32B(
図4(a)等)に内蔵された第2のアンテナ23Bと、第1のアンテナ23Aおよび第2のアンテナ23Bに接続されたアンテナ切替部25と、アンテナ切替部25に接続されたリード/ライト部22’と、非接触通信部20’全体の制御を行う制御部21’と、精算処理を実行する上位装置である、
図1(a)および(b)等に示す外設機100(の制御部)と通信を行う通信インターフェース部24とを有している。制御部21’は、演算素子と、記憶部とを有し、記憶部に記憶されたソフトウェアプログラムにしたがって動作するものである。
【0060】
リード/ライト部22’は、第1のアンテナ23Aおよび第2のアンテナ23Bのうち、制御部21’がアンテナ切替部25によって選択した方のアンテナを介した非接触型ICカードや携帯電話機600A(
図2(a)および(b))等の物品もしくはタブレット端末600B(
図3(a)および(b))等の物品との非接触通信に伴って、その物品に備えられた記録媒体に対してデータの読み出し/書き込みを行うものである。
【0061】
アンテナ切替部は、リード/ライト部よりも簡素な構成にすることができ得る。このため、非接触通信部20’は、
図8(a)に示す、2つのリード/ライト部を有する非接触通信部20よりも、低コストで構成できる可能性がある。
【0062】
[実施形態2]
本発明の実施形態2は、第2の載置面部の形状、大きさが実施形態1と異なる。このため、実施形態1と同一または同様の部分については、実施形態1における説明と参照図面を援用することとし、詳細な説明を省略する。
【0063】
図10(a)および(b)ならびに
図11(a)および(b)を参照すると、本発明の実施形態2による非接触通信装置は、非接触通信機能を有する物品としての非接触型ICカード、携帯電話機、タブレット端末等が載置される載置部30’と、載置部30’に載置された非接触通信機能を有する物品と非接触通信を行う非接触通信部20とを有している。
【0064】
非接触通信部20は、
図8(a)をも援用的に参照すると、それぞれ物品と電磁波を利用して非接触で接続する第1の接続インターフェースとしての第1のアンテナ23Aと、第2の接続インターフェースとしての第2のアンテナ23B’(
図8(a)中、第2のアンテナ23と表記)と、第1のアンテナ23Aに接続された第1のリード/ライト部22Aと、第2のアンテナ23B’に接続された第2のリード/ライト部22Bと、非接触通信部20全体の制御を行う制御部21と、精算処理を実行する上位装置(外設機、精算装置)と通信を行う通信インターフェース部24とを有している。
【0065】
載置部30’は、奥行方向Dに挿入される物品を受容する(物品の挿入を許す)空間部31と、第1の載置面部32Aと、第2の載置面部32B’とを有している。空間部31は、前面視上、装置幅方向Hrに平行な底辺を有する四角形を呈している。第1の載置面部32Aおよび第2の載置面部32B’は、空間部31内に設けられている。
【0066】
さらに
図12をも参照すると、第1の載置面部32Aは、装置幅方向Hrに対して90度未満である第1の角度αをなしている。一方、第2の載置面部32B’は、装置幅方向Hrに対して第1の角度αよりも大きく、かつ、90度未満である第2の角度βをなしている。本例では、第1の角度αは、0度である。即ち、第1の載置面部32Aは、空間部31が呈する四角形の底辺上に設けられている。また、第2の載置面部32B’、当該四角形の対角線上に設けられている。
【0067】
第2の載置面部32B’は、第2の載置面部32B’の幅方向における左側および右側のうちの高さが低い方の側(本例では、左側)に、載置面からリブ状に突出するように設けられた突出部322B’を備えている。突出部322B’は、タブレット端末等の物品を、この物品が第2の載置面部32B’の幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に、正しい載置位置からの逸脱を規制すべく、物品の外形(本例では、物品の左側面)に接触可能である。
【0068】
また、本例では設けられていないが、第1の載置面部32Aは、非接触型ICカード、携帯電話機等の物品を、この物品が奥行方向Dおよび第1の載置面部32Aの幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に、正しい載置位置からの逸脱を規制すべく、物品の外形に接触可能な凹部を備えていてもよい。
【0069】
さらに、本非接触通信装置の載置部30’は、
図13に示すように、空間部31の開口端に設けられ、空間部31を手動的に開閉可能な扉35を有していてもよい。
図13を参照すると、扉35は、外設機100の前面にて開口した空間部31を開閉するように回動軸352を中心として回動可能である。また、外設機100内には、電磁式の閂部26が設けられている。閂部26は、
図8(b)に示した非接触通信部20’の制御部21’に電気的に接続されている。そして、非接触通信部20’の制御部21’は、正しい載置位置に載置された物品との非接触通信を利用しての精算処理中は、閉じられた扉35に設けられた係合部353に閂部26の先端を挿入することにより、扉35が開けられることをロックする。非接触通信を伴う精算処理の完了後、制御部21’は閂部26の先端を扉35の係合部353から抜去する。これにより、ユーザは、扉35を開いて物品を取り出すことができる。非接触通信を伴う精算処理中は扉35がロックされるため、非接触通信中に物品が不用意に動かされて通信に支障を来すことを防止することができると共に、物品の記録媒体に価値データを更新的に書き込む前、即ち、精算処理が完了する前に、物品が取り去られることを防止することができる。
【0070】
第1のアンテナ23Aは、載置部30’の第1の載置面部32Aに内蔵されている。一方、第2のアンテナ23B’は、載置部30’の第2の載置面部32B’に内蔵されている。本例において、第1のアンテナ23Aおよび第2のアンテナ23B’は、平面アンテナである。尚、第1のアンテナ23Aは、複数のアンテナを奥行方向Dに沿って並列するように設けると共に、それらアンテナ同士を直列または並列に接続するようにしてもよい。
【0071】
第2の載置面部32B’は、その幅が、第1の載置面部32Aの幅よりも広い。したがって、第1の載置面部32Aには、奥行方向Dに挿入される物品、とりわけ、携帯電話機や、非接触型ICカード等の幅が比較的小さい物品が載置される。一方、第2の載置面部32B’には、奥行方向Dに挿入される物品、とりわけ、タブレット端末等の幅が比較的大きく、第1の載置面部32A上には載置不可能な物品が主に載置される。ただし、第2の載置面部32B’に、携帯電話機や、非接触型ICカード等の幅が比較的小さい物品が載置されてもよい。
【0072】
尚、第2の載置面部32B’は、その垂直投影したサイズが、第1の載置面部32Aの垂直投影したサイズと同等であるか、あるいは、サイズ未満であることが好ましい。これは、垂直投影したサイズが垂直投影したサイズを超えると、非接触通信装置の幅寸法の大型化を招来するためである。
【0073】
本実施形態においては特に、第2の載置面部32B’は、第1の載置面部32Aよりも奥行方向Dにおいて後退している。
【0074】
尚、奥行方向Dにおける後退寸法、換言すれば、第2の載置面部32B’の奥行方向Dにおける寸法は、第2の載置面部32B’上に載置される物品をこれが落下することなく確実に支持でき、かつ、第2の載置面部32B’上に載置され得る様々な物品のいずれに対しても非接触通信を確立できるような範囲に第2のアンテナ23B’を内蔵し得ることを考慮して決定される。
【0075】
実施形態2による非接触通信装置は、第1の載置面部32Aを屋根やひさしのように覆う第2の載置面部32B’が奥行方向Dにおいて後退しているため、実施形態1による非接触通信装置に比べ、非接触通信機能を有する物品を第1の載置面部32A上に載置したり、取り出す作業がし易い。また、物品が第1の載置面部32A上の正しい載置位置に載置できたかどうかを、実施形態2による非接触通信装置では、実施形態1よりも容易に目視確認できる。
【0076】
さらに、第1の載置面部32Aに内蔵された第1のアンテナ23Aに対して第2の載置面部32B’に内蔵された第2のアンテナ23B’が重なる範囲が減少するため、実施形態1よりも、電波送受信における影響を抑制できる。
【0077】
実施形態2による非接触通信装置も、
図9を参照して説明した実施形態1と同様に動作する。
【0078】
ただし、第2の載置面部32B’上にタブレット端末等の比較的大型の物品を載置する際に、ユーザ(給油の精算をしようとする者)が物品を正しく載置したと思っても、実際には物品のアンテナが第2のアンテナ23B’に対して奥行方向Dにズレており、その結果、正常な非接触通信が確立されないことも考えられる。
【0079】
このため、例えば、
図9を援用して参照すると、ステップS8において、問い合わせに対する第2の載置面部32B’上の物品からの応答が無く(ステップS8のNo)、ステップS2に戻る前に、上位装置によってアラート音を鳴動させると共に、上位装置のディスプレイ上に「スマホやICカード等を検出できません。未だ置いていない場合は、スマホやICカード等を置いて下さい。既に置いてある場合は、スマホやICカード等の向きや位置を替えてみて下さい。」等のメッセージを表示させ、ユーザを促すようにしてもよい。
【0080】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0081】
(付記1)非接触通信機能を有する物品が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記物品と非接触通信を行う非接触通信部とを有し、
前記非接触通信部は、それぞれ前記物品と非接触で接続する第1の接続インターフェースおよび第2の接続インターフェースを有し、
前記載置部は、
前面視上の水平方向である装置幅方向に対して90度未満である第1の角度をなし、奥行方向に挿入される物品が載置される第1の載置面部と、
前記装置幅方向に対して前記第1の角度よりも大きく、かつ、90度未満である第2の角度をなし、前記物品が前記奥行方向に挿入されて載置される第2の載置面部とを有し、
前記第1の接続インターフェースは、前記第1の載置面部に内蔵される一方、前記第2の接続インターフェースは、前記第2の載置面部に内蔵され、
前記第2の載置面部は、前記第1の載置面部の上方に位置し、その幅が前記第1の載置面部よりも広いことを特徴とする非接触通信装置。
【0082】
(付記2)前記第2の載置面部は、垂直投影したサイズが前記第1の載置面部の垂直投影したサイズ以下であることを特徴とする付記1に記載の非接触通信装置。
【0083】
(付記3)前記第1の角度は、0度であることを特徴とする付記1または2に記載の非接触通信装置。
【0084】
(付記4)前記載置部は、前記奥行方向に挿入される前記物品を受容する空間部をさらに有し、
前記第1の載置面部および前記第2の載置面部は、前記空間部内に設けられることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0085】
(付記5)前記空間部は、前面視上、前記装置幅方向に平行な底辺を有する四角形を呈し、
前記第1の載置面部は、前記四角形の前記底辺上に設けられ、
前記第2の載置面部は、前記四角形の対角線上に設けられていることを特徴とする付記4に記載の非接触通信装置。
【0086】
(付記6)前記第2の載置面部は、前記第1の載置面部よりも前記奥行方向において後退していることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0087】
(付記7)前記第1の載置面部は、前記物品を前記奥行方向および該第1の載置面部の幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に逸脱を規制すべく、前記物品の外形に接触可能な凹部を備えていることを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0088】
(付記8)前記第2の載置面部は、該第2の載置面部の幅方向における左側および右側のうちの高さが低い方の側に載置面から突出するように設けられ、前記物品を該第2の載置面部の幅方向において正しい載置位置に載置されるように案内すると共に逸脱を規制すべく、前記物品の外形に接触可能な突出部を備えていることを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0089】
(付記9)前記非接触通信部は、前記第1の載置面
部および前記第2の載置面部のどちらに前記物品が載置されているかを前記物品と非接触通信を試みることによって判定し、前記物品が載置されていると判定した方に内蔵された前記第1の接続インターフェースまたは前記第2の接続インターフェースを用いて前記物品と非接触通信を行うことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0090】
(付記10)前記物品が、データを書き換え可能に記録する記録媒体を備えている場合に、前記非接触通信部は、前記物品との非接触通信に伴って前記記録媒体に対してデータの読み出し/書き込みを行うリード/ライト部をさらに有することを特徴とする付記1乃至9のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0091】
(付記11)付記10に記載の非接触通信装置を有し、前記非接触通信部の前記リード/ライト部は、前記物品との非接触通信に伴って前記記録媒体に対して価値データの読み出し/書き込みを行うことを特徴とする精算装置。
【0092】
(付記12)前記載置部は、前記空間部の開口端に設けられ、該空間部を開閉可能な扉をさらに有することを特徴とする付記4乃至10のいずれかに記載の非接触通信装置。
【0093】
(付記13)前記非接触通信部は、前記物品と非接触通信中は前記扉を閉じられた状態にロックすることを特徴とする付記12に記載の非接触通信装置。
【解決手段】非接触通信装置は、載置部(30)と、物品と非接触通信を行う非接触通信部(20)とを有している。非接触通信部(20)は、第1のアンテナ(23A)および第2のアンテナ(23B)を有している。載置部(30)は、装置幅方向(Hr)に対して第1の角度をなす第1の載置面部(32A)と、装置幅方向(Hr)に対して第1の角度よりも大きい第2の角度をなす第2の載置面部(32B)とを有している。第1のアンテナ(23A)は、第1の載置面部(32A)に内蔵される一方、第2のアンテナ(23B)は、第2の載置面部(32B)に内蔵されている。第2の載置面部(32B)は、第1の載置面部(32A)の上方に位置し、その幅が第1の載置面部(32A)の幅よりも広い。