(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記浸水防止用側壁部(60)の上端部に、リング状の隔壁(50)の周方向の縦断面でみて浸水防止用側壁部(60)から庇状に半径方向内方へ延びる浸水防止用頂壁部(62)を付設したことを特徴とする、請求項1記載の泡吐出器。
上記浸水防止用側壁部(60)は、筒状に形成されており、その浸水防止用側壁部(60)のうち上記半径方向内方の半筒部分の上側に通気口(64)を開口させたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の泡吐出器。
上記内向きフランジ状頂壁部(14)のフランジ孔(15)から垂設する垂下筒部(19)よりも外方に上記外気導入孔(58)を配置するとともに、垂下筒部(19)の下端よりも上方に上記通気口(64)を位置させたことを特徴とする、請求項3に記載の泡吐出器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の泡吐出器は、浴室などに置かれた場合に内向きフランジ状頂壁部の内方から水が浸入して、内向きフランジ状頂壁部と隔壁との間隙内で次第に溜まることがある。特に当該泡吐出器をハンディー式としたときには、泡吐出器を傾けたときに、その傾斜方向次第では上記間隙内に溜まった水が外気導入孔に浸水するリスクがある。
【0005】
本発明の目的は、傾けたときに空気用ピストンに連なる隔壁の外気導入孔から浸水することを有効に防止できる泡吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、胴部4から口頸部6を起立する容器体2と、
上記口頸部6の外面に嵌合させた装着筒部12の上部に内向きフランジ状頂壁部14を付設した装着部材10と、
上記内向きフランジ状頂壁部14の下面から容器体2内へ垂下され、かつ小径の下半部で液用シリンダ部20aを、また大径の上半部で空気用シリンダ部20bをそれぞれ形成したシリンダ20と、
このシリンダ20内に下部を嵌挿させた作動部材22とで構成され、
作動部材22は、シリンダ20内から起立するステム40を含み、このステム40の下部に連係させた液用ピストン32を、液用シリンダ部20a内へ、ステム40の上下方向中間部を囲むリング状の隔壁50の外周部に設けた空気用ピストン54を、空気用シリンダ部20b内へ、それぞれ嵌合させるとともに、ステム40の上部にノズル76付きの押下げヘッド70を取り付け、作動部材22の上下動により液用シリンダ部20a内の液体と空気用シリンダ部20b内の空気とを混合させて起泡させ、ノズル76から吹き出すように構成したハンディー式泡吐出器において、
上記隔壁50の
周方向の一部に外気導入孔58を開口するとともに、外気導入孔58の孔縁より、リング状の隔壁50の半径方向内方に通気口64を残して同半径方向外方側から外気導入孔58内へ水が入ることを阻む浸水防止用側壁部60を起立している。
【0007】
本手段では、
図1又は
図5に示す泡吐出器において、空気用ピストン54に連なる隔壁50に開口した外気導入孔58の孔縁より、リング状の隔壁50の半径方向外方(
図2又は
図6の矢印Aの方向)側から外気導入孔58への水の浸入を阻む浸水防止用側壁部60を設けることを提案している。これにより
図4のように泡吐出器を傾けたときに、隔壁50と内向きフランジ状頂壁部14との間に溜まった水Wが外気導入孔58内へ入る可能性を低減することができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記浸水防止用側壁部60の上端部に、リング状の隔壁50の周方向の縦断面でみて浸水防止用側壁部60から庇状に半径方向内方へ延びる浸水防止用頂壁部62を付設している。
【0009】
本手段では、上記浸水防止用側壁部60の上部に浸水防止用頂壁部62を付設する。この浸水防止用頂壁部62は、
図2の断面形状(隔壁50の周方向からみた断面形状)で浸水防止用側壁部の外壁部分から庇のように内方へ延びている。これにより防水効果が高まる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ上記浸水防止用側壁部60は、筒状に形成されており、その浸水防止用側壁部60のうち上記半径方向内方の半筒部分の上側に通気口64を開口させている。
【0011】
本手段では、浸水防止用側壁部60を筒状とし、
図2の如く浸水防止用側壁部60のうち上記半径方向内方(
図2の矢印Aと反対の方向)の半筒部分の上側に通気口64を開口させている。従って仮に水が浸水防止用側壁部60の半筒部分の下側まで到達しても、外気導入孔58への浸水を阻むことができる。
【0012】
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ上記内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15から垂設する垂下筒部19よりも外方に上記外気導入孔58を配置するとともに、垂下筒部19の下端よりも上方に上記通気口64を位置させた。
【0013】
本手段では、
図2又は
図6に示すように内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15から垂設する垂下筒部19の下端よりも上方に上記通気口64を位置させることを提案する。これにより内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15を経て水が入ってしまったときに内向きフランジ状頂壁部14の裏面に付着した水滴がはずみなどにより外気導入孔58内に落ちることを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、外気導入孔58の孔縁より、リング状の隔壁50の半径方向外方から外気導入孔58内へ水が入ることを阻む浸水防止用側壁部60を起立したから、ハンディー式泡吐出器を傾けたときに外気導入孔58への浸水を有効に防止できる。
第2の手段に係る発明によれば、浸水防止用側壁部の上部に浸水防止用頂壁部62を付設したから、泡吐出器の傾斜状態で外気導入孔58へ水が入るリスクをさらに低減できる。
第3の手段によれば、筒状の浸水防止用側壁部60の内方半筒部分上側に通気口64を開口したから、泡吐出器の傾斜状態で外気導入孔58へ水が入るリスクを低減できる。
第4の手段によれば、
図2又は
図6に示すように内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15から垂設する垂下筒部19の下端よりも上方に上記通気口64を位置させたから、上記フランジ孔15から入った水が外気導入孔58内へ落下することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明の第1の実施形態に係る泡吐出器を示す。説明の都合上、本発明の構成を、基本的構造と特徴部分とに分け、まず基本的構造から説明する。上記泡吐出器は、容器体2と、装着部材10と、シリンダ20と、作動部材22と、スペーサ82とで構成されている。これらの各部材は特に断らない限り、合成樹脂材で形成することができる。
【0017】
容器体2は、把持可能な胴部4から広口の口頸部6を起立している。
【0018】
装着部材10は、
図2に示す如く、装着筒部12と内向きフランジ状頂壁部14と起立筒部18と垂下筒部19とで構成されている。
【0019】
上記装着筒部12は、上記口頸部6の外面に嵌合(図示例では螺合)させている。
【0020】
上記内向きフランジ状頂壁部14は、装着筒部12の上端に付設されている。この内向きフランジ状頂壁部14の裏面外周側からは嵌合筒部16を垂下している。
【0021】
上記起立筒部18は、内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15から上方突出し、後述の押下げヘッド70内部へ突入させている。図示の起立筒部18の機能は、内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15側から水が入りにくくすること及び作動部材の昇降を案内することである。後述の第2実施形態の如く起立筒部18は省略することができる。
【0022】
上記垂下筒部19は、内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15から垂下している。図示例では、起立筒部18を下方へ脚筒状に延長して、この延長部分を垂下筒部19としている。垂下筒部19の機能は、起立筒部18の内側に水が入ってしまった場合に、この水を垂下筒部19の内面を経て後述の隔壁50側へ導き、内向きフランジ状頂壁部14の裏面に流れないようにすることである。この裏面から外気導入孔58内へ水滴が落ちることを防止するためである。
【0023】
シリンダ20は、上記嵌合筒部16に上端部を連結させて、容器体2内へ垂下している。好適な図示例では、
図2の如くシリンダ20の上端部から外向きのフランジを介して短筒を起立し、これら上端部と短筒との間に上記嵌合筒部16を挿入させている。また図示例では、
図1の如くシリンダ20の下半部を小径の液用シリンダ部20aに、シリンダ20の上半部を大径の空気用シリンダ部20bにそれぞれ形成している。液用シリンダ部20aの下部は下方小径のテーパ状の縮径部21に形成し、この縮径部21から取付け筒部24を垂下している。この取付け筒部24には吸上げ管26を嵌着させている。上記液用シリンダ部20aは、上記縮径部21から近傍の筒壁部分に亘って、周方向に相互に間隔を存して複数の第1縦リブR
1を縦設し、これら第1縦リブR
1の上面をスプリングコイル受部としている。
【0024】
作動部材22は、
図1に示す如く、第1ピストン部材30と、ポペット弁体38と、ステム40と、第2ピストン部材46と、押下げヘッド70と、起泡筒80とを具備している。
【0025】
上記第1ピストン部材30は、上記液用シリンダ部20a内を摺動する液用ピストン32を有し、この液用ピストン32からステム嵌合筒部34を起立している。第1ピストン部材30の下部と上記液用シリンダ部20aの第1縦リブR
1との間にはコイルスプリング36を介装させている。
【0026】
上記ポペット弁体38は、垂直な弁棒の上端部を上方大径のテーパ状に拡開する拡開端部としている。この拡開端部は上記ステム嵌合筒部34の上端部に着脱自在に係止させており、これら拡開端部とステム嵌合筒部34の上端部とで逆止弁V
5を形成している。
【0027】
上記ポペット弁体38の下部外周には、上記第1縦リブR
1の間に挿入される複数の第2縦リブR
2を縦設しており、
図1の状態において、これら第2縦リブR
2の上端がコイルスプリング36の下端に係止可能に形成している。ポペット弁体38は、これら第2縦リブR
2がコイルスプリング36の下端に当たる位置と、第2縦リブR
2が縮径部21の下端部内面(弁座面)に当たる位置との間で昇降可能に形成されている。そしてポペット弁体38の下端部と上記シリンダ20の縮径部21とで液用吸込弁V
1が形成されている。
【0028】
上記ステム40は、上記ステム嵌合筒部34外面に下端部を嵌合させて起立筒部18内部へ起立している。ステム40の上下方向中間部外面には鍔状の第1弁座部42を周設する。またステム40の上部内には、液用吐出弁V
2を形成する。図示の液用吐出弁V
2は、ステム40の上部内面に内向きフランジ状の第2弁座部44を周設するとともに、この第2弁座部44の上に玉弁を載置してなる。
【0029】
上記第2ピストン部材46は、上記ステム40の外面に篏合された摺動筒部48を有し、この摺動筒部48の上下方向中間部からリング形状の隔壁50を介して空気用ピストン54を外方突出している。この空気用ピストン54は、上記空気用シリンダ部20bに摺動可能に嵌合されている。図示例では、上記隔壁50の外周部から外周壁52を垂下して、この外周壁52の下部に環状の空気用ピストン54を設けている。
【0030】
上記隔壁50の半径方向中間部からは内周壁56を垂下する。
隔壁50の周方向の一部には外気導入孔58が形成されている。図示例では、図1に示す如くこの内周壁56及び上記垂下筒部19の何れよりも外側の隔壁部分には、外気導入孔58を開口している。
【0031】
また上記内周壁56と外周壁52との間には空気用吸込弁V
3を形成する。図示例では、隔壁50の外周部分を、残りの隔壁部分よりも低い段差部に形成するとともに、内周壁56に嵌合させた弁筒の外周面から弾性弁板を突設し、この弾性弁板を上記段差部の下面に当接させることで、空気用吸込弁V
3を形成している。
【0032】
さらにステム40に対して昇降可能な上記摺動筒部48の下端部を、上記ステム40の第1弁座部42の上面を当接させることで、空気用吐出弁V
4を形成している。
【0033】
上記押下げヘッド70は、頂壁72の裏面中央部から連結筒部74を垂設し、この連結筒部74を上記ステム40の上部に連結している。連結筒部74の下端部は、上記摺動筒部48の上部外面に対して摺動可能にかつ液密に当接させている。さらに押下げヘッド70は、連結筒部74の内部と連通させて側外方へ突出するノズル76を有する。本実施形態では、押下げヘッド70の頂壁72外周部からヘッド周壁78を垂下するとともに、このヘッド周壁78の一側部を上記ノズル76が貫通するように設けている。
【0034】
上記第2ピストン部材46の摺動筒部48の内面とこれに対向するステム40の外面部分との間、及び、連結筒部74の内面とこれに対向するステム40の外面部分との間には、それら外面部分に
図2に点線で示すリブを縦設するなどして、空気流路Pを形成する。この空気流路Pは、空気用シリンダ部20bの内部を後述の気液混合室に連通可能とする。
【0035】
上記起泡筒80は、上記ステム40の上端部及び連結筒部74に亘って設置されている。起泡筒80の内部には、適数の起泡用メッシュが横設されている。この起泡筒80と液用吐出弁V
2との間のステム部分の内部は、気液混合室とする。
【0036】
スペーサ82は、押下げヘッド70と内向きフランジ状頂壁部14との間に挿入させている。
【0037】
図1の状態からスペーサ82を外し、押下げヘッド70を押し下げると、ステム40が下降し、これに連動して第2ピストン部材46がステム40より小さく下降する(ステム40に対して相対的に上昇する)ため、空気用吐出弁V
4が開き、下降する第2ピストン部材46により、空気用シリンダ部20b内の空気が加圧される。そしてこの加圧空気が、上記空気用吐出弁V
4から、上記摺動筒部48の内面とステム40の外面との間隙及び上記連結筒部74の内面とステム40の外面との間隙(上述の空気流路P)を経て、さらにステム40上端面及びステム上端部内面と起泡筒80の対応面との間隙を通って、ステム40内の気液混合室内に入る。他方、第1ピストン部材30が下降してポペット弁体38を液用シリンダ部20aの弁座面に当接させるまで下降させるとともに、ポペット弁体38がステム40に対して相対的に上昇して逆止弁V
5が開き、液用シリンダ部20a内の加圧液体を液用吐出弁V
2を介して気液混合室に導入させる。ここで空気と液体が混合する。そして空気を含んだ液体が起泡筒80内を通ることで発泡し、ノズル76から泡が吐出される。
【0038】
上記押下げヘッド70の押し下げを解除すると、コイルスプリング36の付勢力により作動部材22が上昇し、その際に第2ピストン部材46がステム40に対して相対的に下降して空気用吐出弁V
4が閉じ、空気用シリンダ部20b内の負圧化によって空気用吸込弁V
3が開いて外気が空気用シリンダ部20b内に導入される。他方、ステム40の上昇によりポペット弁体38は、ステム40との摩擦力で上昇し、液用吸込弁V
1が開いて負圧化した液用シリンダ部20a内に容器体2内の液体が導入され、その際に液用吐出弁V
2は閉じる。ポペット弁体38は、第2縦リブR
2がコイルスプリング36の下面に当接するまでは上昇するが、その後はステム40に対してポペット弁体38の拡開端部がステム嵌合筒部34の上端部に当接するまで下降する。
【0039】
本発明においては、
図1に示す如く上記外気導入孔58の孔縁から浸水防止用側壁部60を起立している。この浸水防止用側壁部60は、少なくとも外気導入孔58の三方、すなわち、隔壁50の半径方向外方(
図2に矢印Aで示す方向)及びこれと直交する周方向を囲うものとする。これら三方を囲うとする理由は、
図4のようにハンディー式泡吐出器を傾けたときに、隔壁50及び内向きフランジ状頂壁部14との間隙中で低くなった部分に集まった水は、まずそれら三方から外気導入孔58に浸入しようとするからである。
【0040】
図示の浸水防止用側壁部60は、外気導入孔58の孔縁全周から起立する筒状に形成し、隔壁50の半径方向の内方(矢印Aとは反対の方向)寄りの半筒部分上部に通気口64を有している。図示例では、外気導入孔58の全周を浸水防止用側壁部60で囲んでいるので、浸水を阻む作用を一層確実とすることができる。
【0041】
また図示例では、上記浸水防止用側壁部60に浸水防止用頂壁部62を付設している。この浸水防止用頂壁部62は、上記浸水防止用側壁部60を
図2で見た断面形状(隔壁の周方向で見た断面形状)において、浸水防止用側壁部60の上端に庇状に連結している。これにより、ハンディー式吐出器を
図4よりもさらに大きく傾けたときでも浸水防止用側壁部60の上端側から水が浸入することを阻むことができる。
【0042】
図示例と異なり、浸水防止用頂壁部62を省略しても浸水防止用側壁部60の起立長を大きくすることで同様の浸水防止作用を得ることもできる。しかし、それにより第2ピストン部材46の上下巾が大きくなり、これを収納するために大きなスペースが必要となる。浸水防止用頂壁部62を設けることで、そうした不都合を回避できる。
【0043】
上記通気口64は、上記垂下筒部19の下端よりも上方に位置させている。これにより垂下筒部19の内面に付着した水滴が通気口64内に入ることを防止できる。
【0044】
図5から
図8は、本発明の第2の実施形態に係る泡吐出器を示す。
【0045】
本実施形態では、装着筒部12の下半部12aを口頸部6に嵌合するとともに、装着筒部12の上半部12bを口頸部6より上方に長く延出し、この上半部12bの上下長さに対応して浸水防止用側壁部60の起立代を長く確保できるようにしたものである。嵌合筒部16も装着筒部12の上半部12bに対応して長く設けている。装着筒部12の上半部12bは下半部12aに比べて小外径に形成している。
【0046】
また本実施形態では、押下げヘッド70の構成のうちヘッド周壁を省略し、またスペーサも省略している。その代わりにオーバーヘッド84の下端部を上記装着筒部12の上半部12bに嵌着している。
【0047】
本実施形態では、第1実施形態の構成のうち起立筒部18を省略し、内向きフランジ状頂壁部14のフランジ孔15を連結筒部74の外面に当接させている。この連結筒部74の外面と上記フランジ孔15の内縁及び垂下筒部19の内面とには、
図6に示すように相互に係合する位置決め用の凸条86及び凹溝88を縦設してもよい。