(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963295
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】防水機能付蓋部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-268710(P2011-268710)
(22)【出願日】2011年12月8日
(65)【公開番号】特開2013-120707(P2013-120707A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年9月2日
【審判番号】不服2015-21953(P2015-21953/J1)
【審判請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107320
【弁理士】
【氏名又は名称】高塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】新村 直哉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 司
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘樹
【合議体】
【審判長】
森川 元嗣
【審判官】
内田 博之
【審判官】
中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−186562(JP,A)
【文献】
実開平4−121470(JP,U)
【文献】
特開2009−43773(JP,A)
【文献】
特開平11−135195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)に形成された開口部(11)を開閉する蓋部材の樹脂材製本体(2)の一方の面に一体的に形成された前記開口部(11)内に収まる突起部(21)と、前記突起部(21)の外周面(211)に一体形成され、前記開口部(11)の周面(12)と密接する環状突起(31)を備えたゴム状弾性材製のシール部(3)とより成る防水機能付蓋部材において、前記環状突起(31)が前記開口部(11)の前記ハウジング(1)の内部(X)側に向かって拡径する形状を呈しており、その外周面に前記内部(X)側に向かって収斂するテーパ面(32)を形成すると共に、前記テーパ面(32)の最大径部(321)と連続する形で断面円弧形状のシール面(33)を設け、前記シール面(33)が前記開口部(11)の前記周面(12)と接する前の前記シール面(33)の最大径(331)の位置が、前記突起部(21)の端面(212)よりも前記ハウジング(1)の前記内部(X)側に位置すると共に、前記シール面(33)が前記開口部(11)の前記周面(12)と接する前に、前記端面(212)と前記環状突起(31)に囲まれる空所を形成し、前記シール面(33)が前記開口部(11)の前記周面(12)と接した際、前記環状突起(31)が前記空所の内側に変形することを特徴とする防水機能付蓋部材。
【請求項2】
前記テーパ面(32)は、前記蓋部材が前記開口部(11)を塞ぐ際、前記ハウジング(1)の前記周面(12)の端部(13)が最初に当接する寸法形状にされていることを特徴とする請求項1記載の防水機能付蓋部材。
【請求項3】
前記テーパ面(32)の前記周面(12)となすテーパ角(α)は、20〜50°の範囲で有ることを特徴とする請求項1または2記載の防水機能付蓋部材。
【請求項4】
前記シール部(3)のゴム硬度がJIS A55〜85で有ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水機能付蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の防水機能付蓋部材に係り、更に詳しくは、携帯電話端末等の電子機器の内部へ水滴が浸入しないようにシールする構造に関するものである。
従って、本発明の防水機能付蓋部材は、防水電子機器のコネクタ部のシール構造として好適に利用される。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末においては、コネクタを開閉するコネクタ蓋が備えられる。
すなわち、コネクタ用の通信ポートを開閉するコネクタ蓋は、帯状若しくは円形で可撓性のバンド部でハウジング(ケース)側に固定保持されている。
そして、コネクタを塞ぐコネクタ蓋の周側面には、その全周にわたり小さなリブ形状のシールリング部が形成されている。
この事により、コネクタ蓋は、コネクタ用の通信ポートを水密的に密閉する機能を果たしている。
【0003】
この種のコネクタ蓋は、具体的には、例えばポリカーボネートにより形成される蓋部材の内側に形成される栓部材の周囲にシリコンラバーにより形成されるゴムパッキンをインサート成形した防水栓を、コネクタ蓋に超音波溶着により一体化した構造となる。(特許文献1)
しかし、コネクタ蓋の内側に防水栓があるため、コネクタ蓋全体の厚みが増えると共に製造コストが嵩む問題を惹起した。
【0004】
そこで、
図6に示す様な、樹脂材製のコネクタ蓋本体2に防水部材であるゴム状弾性材製のシール部300を一体化させて、コネクタ蓋の防水構造の薄型化を実現する提案がされた。(特許文献2)
すなわち、この種防水機能付蓋部材は、ハウジング1に形成された開口部11を開閉する蓋部材の樹脂材製本体2の一方の面に一体的に形成された開口部11内に収まる突起部21と、この突起部21の外周面211に一体形成され、開口部11の周面12と密接する環状突起部310を備えたゴム状弾性材製のシール部300とより構成されている。
【0005】
しかし、携帯端末機器は軽量薄型化が益々求められてきており、必然的に携帯端末機器の側面に設けられるコネクタ蓋も小型化になって来ている。
この結果、この種防水機能付蓋部材をハウジング1に形成された開口部11に挿入する際、シール部300は、ハウジング1の端部13により
図7に示す様に変形させられる。
コネクタ蓋が小型化している為、防水機能付蓋部材の開口部11に対する挿入量が十分確保できない事と相俟って、蓋部材が押し戻されて蓋が出来ない問題を招来した。
【0006】
この為、シール部300が開口部11の周面12と接触する量(シール部300の潰し代)を小さくする事が試みられたが、シール部300の周面12に対する接触圧が低下し、安定したシール性能を確保する事が困難で有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−84438号公報
【特許文献2】特開2010−186562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、蓋部材の挿入抵抗を軽減すると共に、シール部の安定したシール性能を確保する事ができることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明にあっては、ハウジングに形成された開口部を開閉する蓋部材の樹脂材製本体の一方の面に一体的に形成された前記開口部内に収まる突起部と、前記突起部の外周面に一体形成され、前記開口部の周面と密接する環状突起を備えたゴム状弾性材製のシール部とより成る防水機能付蓋部材において、前記環状突起が前記開口部の前記ハウジングの内部側に向かって拡径する形状を呈しており、その外周面に前記内部側に向かって収斂するテーパ面を形成すると共に、前記テーパ面の最大径部と連続する形で断面円弧形状のシール面を設け、前記シール面
が前記開口部の前記周面と接する前の前記シール面の最大径の位置が、前記突起部の端面よりも前記ハウジングの前記内部側に
位置すると共に、前記シール面が前記開口部の前記周面と接
する前に、前記端面と前記環状突起に囲まれる空所を形成し、前記シール面が前記開口部の前記周面と接した際、前記環状突起が前記空所の内側に変形することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明の防水機能付蓋部材によれば、蓋部材の挿入抵抗を軽減すると共に、シール部の安定したシール性能を確保する事が出来る
と共に、蓋部材の挿入抵抗をより確実に軽減し、シール部の安定したシール性能を確保する事が出来る。
【0011】
更に、請求項
2記載の発明の防水機能付蓋部材によれば、蓋部材の挿入がテーパ面に案内される為、蓋部材の挿入を円滑に行う事が出来る。
更に、請求項
3記載の発明の防水機能付蓋部材によれば、蓋部材の挿入がテーパ面により円滑に案内される為、蓋部材の挿入を円滑かつ確実に行う事が出来る。
【0012】
更に、請求項
4記載の発明の防水機能付蓋部材によれば、蓋部材の挿入抵抗をより軽減すると共に、シール部の安定したシール性能を確実に確保する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】
図1の蓋部材が開口部に挿入された際のシール部の変形状態を示した部分拡大図。
【
図5】本発明に係る他の防水機能付蓋部材の態様を
図2と同様に示した図。
【
図6】従来技術に係る防水機能付蓋部材の縦断面図。
【
図7】
図6の蓋部材が開口部に挿入された際のシール部の変形状態示した部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係る防水機能付蓋部材は、
図1乃至
図3に示す様に、携帯端末の機器の筐体を形成しているハウジング1に形成された開口部11を開閉する為に使用されるものである。
この開口部11には、コネクタ5が配置されている。
また、本発明に係る防水機能付蓋部材は、ハウジング1に形成された開口部11を開閉する蓋部材の樹脂材製本体2の一方の面に一体的に形成された開口部11内に収まる突起部21と、この突起部21の外周面211に一体形成され、開口部11の周面12と密接する環状突起31を備えたゴム状弾性材製のシール部3を備えている。
そして、この環状突起31は、開口部11の内部X側に向かって拡径する形状を呈している。
【0015】
更に、この環状突起31は、その外周面に内部X側に向かって収斂するテーパ面32を形成すると共に、このテーパ面32の最大径部321と連続する形で断面円弧形状のシール面33を設けている。
この様な構成とする事により、蓋部材により開口部11を閉じる際、最初に、ハウジング1の端部13がテーパ面32に当接し、このテーパ面32に沿って端部13が円滑に移動できる為、蓋部材の挿入抵抗を軽減する事が出来る。
【0016】
更に、端部13がテーパ面32を通過した後は、テーパ面32の最大径部321と連続する形で断面円弧形状のシール面33が形成されている為、この領域においても、端部13が円滑に移動出来、端部13がシール面33の最大径部331を通過した後は、この最大径部331を含むシール面33が開口部11の周面12と良好な密接状態が達成出来る為、シール部3の安定したシール性能を確保する事が出来る。
【0017】
また、断面円弧形状のシール面33の最大径部331は、突起部21の端面212の位置と同じか、端面212よりも内部X側に位置する様に設計されている。
この事により、シール部3がハウジング1に形成された開口部11の周面12と接した際、シール部3の環状突起31が、
図4に示す様に変形する為、蓋部材が押し戻される事が無い。
【0018】
また、上述した様に、テーパ面32は、蓋部材が開口部11を塞ぐ際、ハウジング1の周面12の端部13が最初に当接する寸法形状に設計されている。
この事により、蓋部材の挿入がテーパ面32に案内される為、蓋部材の挿入を円滑に行う事が出来る。
【0019】
また、テーパ面32のハウジング1の周面12と成すテーパ角αは、シール部3の自由状態において、20〜50°の範囲に設計される。
テーパ角が20°より小さいと、結果としてテーパ面32の径方向幅が小さくなり、部材の精度のバラツキにより、端部13がテーパ面32に当接しない状態が招来される危険性が有る。
一方、テーパ角が50°より大きいと、蓋部材の挿入抵抗が大きくなり、蓋部材の挿入を円滑に行う事が出来ない。
【0020】
また、シール部3のゴム硬度は、JIS A55〜85のものを使用する事が好ましい。
ゴム硬度がJIS A55よりも柔らかいと、ハウジング1の周面12との間で、十分なシール面圧が得られない為、良好な密封性能が維持出来ない。
一方、ゴム硬度がJIS A85よりも硬いと、蓋部材の挿入抵抗が大きくなり、蓋部材の挿入を円滑に行う事が出来ない。
【0021】
また、蓋部材の小型化が進んでいる為、テーパ面32の幅aは通常0.2〜0.5mmであり、シール部3の最大径331とシール部3の内部X側端部までの距離bは0.3〜0.6mmである。
【0022】
シール部3に使用されるゴム状弾性材としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、EPDM、CR、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等が挙げられ、各種用途に応じて適宜選択して用いられる。
【0023】
また、蓋部材に使用される樹脂材としては、ABS樹脂、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PSF(ポリスルホン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、PMMA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PA(ナイロン/ポリアミド)、PC(ポリカーボネイト)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、各種用途に応じて適宜選択して用いられる。
【0024】
本発明に係る他の防水機能付蓋部材を
図5に基づき説明する。
先に説明した防水機能付蓋部材と相違する点は、シール部3のテーパ面32及び最大径331がより内部X側に位置する様に、環状突起31をより長く成る様に設計している。
この為、環状突起31がより内径方向に変形し易い為、蓋部材の挿入抵抗をより少なく出来るが、シール部3の密封面圧が低下すると共に、軸方向寸法が増大する為、薄型化を阻害する問題を招来する為、環状突起31をあまり長くすることは好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る防水機能付蓋部材は、電子機器の防水、特に防水携帯電話に使用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ハウジング
2 本体
3 シール部
5 コネクタ
11 開口
12 周面
13 端部
21 突起部
31 環状突起
32 テーパ面
33 シール面
211外周面
212端面
321最大径部
331最大径