特許第5963300号(P5963300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963300
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20160721BHJP
   E05F 3/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E05F3/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-87885(P2012-87885)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-217085(P2013-217085A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
(72)【発明者】
【氏名】岩間 一朗
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−180036(JP,A)
【文献】 特開平11−190165(JP,A)
【文献】 実開昭56−027257(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00− 5/20
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、切欠きには火災時に通気部を連通し得るカバーが取付けてあることを特徴とするドア。
【請求項2】
扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、扉とドアクローザとの間に間隔保持部材を設けることで形成してあり、間隔保持部材は、上下方向のフィンを多数有する櫛型の断面形状としてあり、フィンの先端をドアクローザに向けて配置してあることを特徴とするドア。
【請求項3】
扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、上壁の切欠きの面積が下壁の切欠きの面積よりも大きいことを特徴とするドア。
【請求項4】
扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、上壁の切欠きは左右両端部に設けてあり、下壁の切欠きは中央付近に設けてあることを特徴とするドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアクローザを備えたドアに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドアは、開いた扉が自動的にゆっくり閉まるようにするため、扉にドアクローザを取付けている。従来、ドアクローザは、背面を扉の表面に密着させて取付けられており、火災が発生すると扉から熱が伝わってドアクローザが高温になり、ドアクローザの内部に封入してある流体(油)が膨張し、扉の閉まる速度を調節するネジの周囲などから流体が漏れ出し、引火するおそれがあった。
【0003】
特許文献1の図3,4には、ドアクローザとドアの間に石綿等よりなる断熱板5を設け、ドアからドアクローザに熱が伝わりにくくすると共に、ドアクローザをカバー部材3で覆うことで、ドアクローザから漏れ出した油が床に飛散したりドアに付着したりするのを防止することが記載されている。このドアは、ドアクローザの背面側の凹陥部12が断熱板5で塞がれ、且つカバー部材3で全体が覆われているため、火災時にドアクローザが熱せられるとドアクローザに熱がこもりやすく、油が漏れだすのをかえって助長するおそれがある。
また特許文献1の図13には、断熱板5に放熱用の貫通孔5dを上下方向に貫通して設けることが記載されているが、このように貫通孔5dを設けてもドアクローザの背面側の凹陥部12が断熱板5で塞がれていることには変わりないので、断熱板5の放熱にはなってもドアクローザの熱を放熱することはできない。
さらに特許文献1の図26には、断熱板を設ける代わりにドアクローザとドアとの間に隙間47をあけることで、ドアからドアクローザに熱が伝わりにくくすることが記載されている。しかしこの隙間47は、取付金具6の板厚よりも狭い非常に小さな隙間であって、隙間47のほとんどが取付金具6により塞がれているため、ドアクローザが熱せられたときにその熱を放熱する効果はほとんど期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−180036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、火災時にドアクローザの放熱を促し、ドアクローザ内の流体の過熱を抑制できるドアの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるドアは、扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、切欠きには火災時に通気部を連通し得るカバーが取付けてあることを特徴とする
【0007】
請求項2記載の発明によるドアは、扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、扉とドアクローザとの間に間隔保持部材を設けることで形成してあり、間隔保持部材は、上下方向のフィンを多数有する櫛型の断面形状としてあり、フィンの先端をドアクローザに向けて配置してあることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明によるドアは、扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、上壁の切欠きの面積が下壁の切欠きの面積よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明によるドアは、扉と、扉に取付けたドアクローザとを備え、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあり、通気部は、ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで形成してあり、上壁の切欠きは左右両端部に設けてあり、下壁の切欠きは中央付近に設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によるドアは、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあることで、火災時にドアクローザの背面側の凹部に空気が流通してドアクローザの放熱が促されるため、火災時におけるドアクローザ内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザから漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。ドアクローザの扉に隣接する部位に切欠きを設けることで通気部を形成したので、ドアクローザを扉に普通に取付けるだけで通気部を形成できる。切欠きには火災時に通気部を連通し得るカバーが取付けてあることで、通常時は切欠きが目立たず、火災時にだけ通気部を形成することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によるドアは、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあることで、火災時にドアクローザの背面側の凹部に空気が流通してドアクローザの放熱が促されるため、火災時におけるドアクローザ内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザから漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。扉とドアクローザとの間に間隔保持部材を設けることで通気部を形成したので、ドアクローザに特別な細工をすることなく通気部を容易に形成できる。間隔保持部材は、上下方向のフィンを多数有する櫛型の断面形状としてあり、フィンの先端をドアクローザに向けて配置してあることで、火災時に扉からの伝熱をフィンから放熱するため、放熱効率を向上させることができ、扉からドアクローザ側への熱伝導も抑制できる。
【0012】
請求項3記載の発明によるドアは、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあることで、火災時にドアクローザの背面側の凹部に空気が流通してドアクローザの放熱が促されるため、火災時におけるドアクローザ内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザから漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで通気部を形成したので、ドアクローザを扉に普通に取付けるだけで通気部を形成できる。上壁の切欠きの面積が下壁の切欠きの面積よりも大きいことで、火災時にドアクローザ背面の凹部への空気の流通が促進され、放熱効率を高められる。
【0013】
請求項4記載の発明によるドアは、ドアクローザの背面側の凹部に空気が流通し得るように、扉とドアクローザの流体保持部との間に通気部を設けてあることで、火災時にドアクローザの背面側の凹部に空気が流通してドアクローザの放熱が促されるため、火災時におけるドアクローザ内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザから漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。ドアクローザの上壁と下壁の扉に隣接する部位に切欠きを設けることで通気部を形成したので、ドアクローザを扉に普通に取付けるだけで通気部を形成できる。上壁の切欠きは左右両端部に設けてあり、下壁の切欠きは中央付近に設けてあることで、下壁の切欠きから侵入した空気が凹部内で左右両端方向に流れるので、凹部内全域を効率的に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のドアの要部平面図である。
図2】第1実施形態のドアの要部縦断面図である。
図3】本発明のドアの第1実施形態を示す縦断面図である。
図4】同ドアの室内側正面図である。
図5】第1実施形態のドアの変形例を示す要部縦断面図である。
図6】第2実施形態のドアの要部平面図である。
図7】第2実施形態のドアの要部縦断面図である。
図8】第2実施形態のドアの変形例を示す要部平面図である。
図9】第2実施形態のドアの他の変形例を示す要部平面図である。
図10】第3実施形態のドアの要部平面図である。
図11】第3実施形態のドアの要部縦断面図である。
図12】本発明のドアの第4実施形態を示す図であって、(a)は同ドアに取付けられるドアクローザの平面図、(b)は同ドアクローザの室内側正面図、(c)は同ドアクローザの底面図である。
図13図12のA−A断面図である。
図14】本発明のドアの第5実施形態を示す図であって、(a)は同ドアに取付けられるドアクローザの平面図、(b)は同ドアクローザの室内側正面図、(c)は同ドアクローザの底面図である。
図15図14のB−B断面図である。
図16】本発明のドアの第6実施形態を示す図であって、(a)は同ドアに取付けられるドアクローザの平面図、(b)は同ドアクローザの室内側正面図、(c)は同ドアクローザの底面図である。
図17図16のC−C断面図である。
図18】本発明のドアの第7実施形態を示す図であって、(a)は同ドアに取付けられるドアクローザの平面図、(b)は同ドアクローザの室内側正面図、(c)は同ドアクローザの底面図である。
図19図18のD−D断面図である。
図20】本発明のドアの第8実施形態を示す図であって、(a)は同ドアに取付けられるドアクローザの平面図、(b)は同ドアクローザの室内側正面図、(c)は同ドアクローザの底面図である。
図21図20のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜4は、本発明のドアの第1実施形態を示している。このドアは、玄関や勝手口等の出入り口に設けられるものであって、図3,4に示すように、建物の躯体開口部に取付けられるドア枠11と、ドア枠11に蝶番12で室外側に開くように取付けた扉1と、扉1の室内側面の上部の吊元寄りの位置に取付けたドアクローザ2とを備えている。ドアクローザ2は、垂直な回転軸13を有し、回転軸13に2本のアームを連結してなるリンク機構14の一端部が連結され、リンク機構14の他端部は上枠15に取付けたブラケット16に連結されている。ドアクローザ2自体の構造は従来と同じであり、詳細な説明は省略するが、流体(油)の粘性を利用したダンパーとバネを内蔵しており、扉1を開いて手を放すと、前記回転軸13がダンパーとバネの作用によりゆっくり回転し、扉1がゆっくりと自動的に閉まる。ドアクローザ2は、一方の側面に速度調整ネジ17a,17bを有し(図3参照)、これを操作することで扉1の閉まる速度を調節できるようになっている。
【0016】
ドアクローザ2は、図1に示すように、左右両側に取付用の耳部18,18が突出して設けてあり、左右の耳部18,18と扉1との間にそれぞれスペーサー6,6を挟み、扉1内部に設けた裏板19に耳部18,18をネジ20で固定して取付けてあり、ドアクローザ2の背面と扉1との間に10mm程度の間隔21をあけている。ドアクローザ2は、図2に示すように、流体保持部4の扉1側に、扉1側が開放した凹部3が形成されており、上記のようにドアクローザ2の耳部18,18と扉1間にスペーサー6,6を配置したことで、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ2の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。スペーサー6は、例えばアルミ等の金属や不燃性樹脂等で形成することができる。
【0017】
上述のように、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に通気部5を設けたことで、図2中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気がドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って凹部3の外に排出される。これによりドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザ2から漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。また、ドアクローザ2を扉1に間隔21をあけて取付けたことで、扉1からドアクローザ2に熱が伝わるのを防ぐ効果もある。
【0018】
図5は、第1実施形態のドアの変形例を示している。この例では、扉1とスペーサー6との間に薄肉の低熱伝導性材料23を挟んでいる。これにより扉1からドアクローザ2への熱伝達を抑え、ドアクローザ2の温度上昇をより一層抑えることができる。低熱伝導性材料23としては、樹脂やゴム、エラストマー系で難燃処理を施されたもの等を用いることができる。また薄肉の低熱伝導性材料23は、スペーサー6とドアクローザ2の間に挟み込んでもよい。
【0019】
図6,7は、本発明のドアの第2実施形態を示している。このドアは、扉1とドアクローザ2の間に配置するスペーサー6が、アルミの押出形材で一体成形したものとなっている。スペーサー6は、両端部にドアクローザ2の耳部18の背面に当接する取付部24が扉1側が開放したコ字形に形成され、左右の取付部24を連結する連結板25が扉1に当接して設けられ、連結板25には左右方向に間隔をあけてドアクローザ2に向けて突出する複数のフィン37を突設し、櫛形状(ヒートシンク状)の断面形状としてある。このようなスペーサー6を介在させることで、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0020】
本実施形態のドアも、第1実施形態のものと同様に、図7中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気がドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って凹部3の外に排出されることでドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制し、ドアクローザ2から流体が漏れ出すのを防止できる。スペーサー6を多数のフィン37を有する櫛形状としたことで、扉1から伝わってきた熱がフィン37より放熱されるため、放熱効率を向上させることができ、扉1からドアクローザ2側への熱伝導も抑制できる。
【0021】
図8は、第2実施形態のドアの変形例を示している。この例では、スペーサー6を扉1内部の裏板19にネジ26で固定し、ドアクローザ取付用のネジ20をスペーサー6の取付部24に捩じ込んでドアクローザ2を固定している。このように、スペーサー6を扉1に先に固定してからスペーサー6の取付部24にドアクローザ2を固定することで、ドアクローザ2の取付作業が容易になる。
【0022】
図9は、第2実施形態のドアの他の変形例を示している。スペーサー6は、連結板25にフィン37を有しない形状としている。このスペーサー6は、スチール材を曲げ加工して製作することができる。本実施形態のドアも、ドアクローザ背面の凹部3に左右方向の全域から空気が流通するため、放熱性能が高い。また、図6,8に示したものも同様であるが、スペーサー6の両端部の取付部24が連結板25で連結されており、連結板25を扉1にネジ止めすることで、ドアクローザ2を扉1から離隔させても、ドアクローザ2を強固に固定できる。さらにスペーサー6の取付部6を扉1側が開口したコ字形としたことで、扉1からドアクローザ2に熱が伝わるのを抑えられると共に、取付部24からも放熱を促進できる。取付部24の開口部38は、少なくとも下側を樹脂等で形成したキャップで塞ぐことで、意匠性を向上させられる。
【0023】
以上に説明した第1・第2実施形態のドアについては、スペーサー6を介在させてドアクローザ2を扉1から離隔して取付ければ防火仕様のドアとなり、非防火仕様のドアではスペーサー6を使用しないでドアクローザ2を扉1に当接して取付ければよい。すなわち、防火仕様のドアと非防火仕様のドアとでドアクローザ2を兼用できる。
【0024】
図10,11は、本発明のドアの第3実施形態を示している。ドアクローザ2は、耳部18を有しない長方形の箱型となっており、取付金具7を介して扉1から10mm程度浮かせて取付けている。取付金具7は、扉1内に設けた裏板19にネジ27で固定され、両端部にドアクローザ2側に向けて突出する突片28a,28bが長めに形成してある。ドアクローザ2は、取付金具7の一方の突片28aをドアクローザ背面の凹部3に差し入れて凹部3に突設した突起29に係合し、他方の突片28bをドアクローザ背面の凹部3に差し入れて側方からネジ30で固定することで取付けている。このような取付金具7を介在させることで、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0025】
本実施形態のドアも、第1・第2実施形態のものと同様に、図11中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気がドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って凹部3の外に排出されることでドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制し、ドアクローザ2から流体が漏れ出すのを防止できる。ドアクローザ2を扉1から浮かせて取付けたことで、扉1からドアクローザ2に熱が伝わるのを防止できる。
【0026】
上述の第3実施形態のドアについては、取付金具7をその両端の突片28a,28bが長いもの(図10のもの)と突片28a,28bが短いものの2種類準備しておき、突片28a,28bが長い取付金具7を使用してドアクローザ2を扉1から離隔して取付ければ防火仕様のドアとなり、突片28a,28bが短い取付金具7を使用してドアクローザ2を扉1に当接して取付ければ非防火仕様のドアにできる。すなわち、防火仕様のドアと非防火仕様のドアとでドアクローザ2を兼用できる。
【0027】
図12,13は、本発明のドアの第4実施形態を示している。ドアクローザ2は、図13に示すように、スチール製の取付金具31を介して扉1の室内側面に当接して取付けてあり、ドアクローザ2の上横壁32と下横壁33とに、図12(a),(c)に示すように、扉1に隣接してドアクローザ2のほぼ横幅一杯に切欠き8a,8bが形成され、切欠き8a,8bにはカバー34a,34bが取付けてある。上横壁32に取付けたカバー34aには、左右の両端部に切欠き35a,35bが形成され、下横壁33に取付けたカバー34bには中央部に切欠き35cが形成してあり、これらのカバーの切欠き35a,35b,35cによって、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0028】
本実施形態のドアも、第1〜第3実施形態のものと同様に、図12,13中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気が下横壁33のカバー34bの切欠き35cよりドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って上横壁32のカバー34aの切欠き35a,35bより凹部3の外に排出されることでドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制し、ドアクローザ2から流体が漏れ出すのを防止できる。下横壁33のカバー34bには中央部に切欠き35cが形成され、上横壁32のカバー34aには左右両端部に切欠き35a,35bが形成されていることで、図12(b)に示すように、下横壁33の中央から侵入した空気22が凹部3内で両端方向に略水平に流れ、上横壁32の両端から排出されるため、凹部3内全域を効率的に放熱できる。また、下横壁33のカバー34bの切欠き35cの面積よりも上横壁32のカバー34aの切欠き35a,35bの面積が広いことで、凹部3への空気の流通が促進され、放熱効率が高められる。上横壁32と下横壁33の切欠き8a,8bにカバー34a,34bが取付けてあることで、切欠き8a,8bが目立たず意匠性がよい。
【0029】
扉1の開き勝手が左右逆の場合は、速度調整ネジ17a,17bを操作しやすい方に向けるためにドアクローザ2を上下反転して扉1に取付けることになるが、本ドアクローザ2には上横壁32と下横壁33に切欠き8a,8bが同一の形状で形成してあるため、上下のカバー34a,34bを付け替えるだけで開き勝手が左右どちらにも対応できる。
【0030】
上横壁32と下横壁33の切欠き8a,8bにカバー34a,34bを取付けないで、切欠き8a,8bをむき出しの状態とすることもできる。その場合には、ドアクローザ2の横幅全体から背面の凹部3に空気が流通するため、放熱効果はより一層高まる。
またカバー34a,34bは、火災による熱で容易に溶融又は落下するものとすることができる。この場合には、平常時にはカバー34a,34bによって切欠き8a,8bが目立たず、火災時にはカバー34a,34bが溶融又は落下して切欠き8a,8bが開放し、高い放熱効果が得られる。
また、カバー34a,34bを取付ける代わりに、火災時の上昇気流により開く弁を設けても、火災時に溶融又は落下するカバーを取付けた場合と同じ効果が得られる。
これらの点は、後述する第5〜第8実施形態についても同様である。
【0031】
図14,15は、本発明のドアの第5実施形態を示している。ドアクローザ2は、図14に示すように、上横壁32には扉1に隣接して左右両端部と中央部の3箇所に切欠き8c,8d,8eが形成され、下横壁33にも上横壁32と同じように3箇所に切欠き8f,8g,8hが形成してある。上横壁32の3箇所の切欠き8c,8d,8eのうち、中央部の切欠き8dはカバー34cを取付けて塞がれており、下横壁33の3箇所の切欠き8f,8g,8hのうち、両端部の切欠き8f,8hはカバー34d,34eを取付けて塞がれており、残存する上横壁の2箇所の切欠き8c,8eと下横壁33の1箇所の切欠き8gによって、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。なお、図14中のハッチング部はカバーの取付箇所を示す。
【0032】
本実施形態のドアも、第4実施形態と同様に、図14,15中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気が下横壁33の切欠き8gよりドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って上横壁32の切欠き8c,8eより凹部3の外に排出されることでドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制し、ドアクローザ2から流体が漏れ出すのを防止できる。下横壁33には中央部の切欠き8gが開放し、上横壁32には左右両端部の切欠き8c,8eが開放していることで、図14(b)に示すように、下横壁33の中央から侵入した空気22が凹部3内で両端方向に略水平に流れ、上横壁32の両端から排出されるため、凹部3内全域を効率的に放熱できる。また、下横壁33の開放した切欠き8gの面積よりも上横壁32の開放した切欠き8c,8eの面積が広いことで、凹部3への空気の流通が促進され、放熱効率が高められる。下横壁33は中央の切欠き8gだけが開口し、両端部の切欠き8f,8hはカバー34d,34eで塞がれているため、意匠性がよい。
さらに、上横壁32と下横壁33とに切欠き8c,8d,8e,8f,8g,8hが同じ位置に設けてあるので、ドアクローザ2を上下反転し、カバー34c,34d,34eの取付位置を変えることにより、扉1の開き勝手が左右どちらにも対応できる。
【0033】
図16,17は、本発明のドアの第6実施形態を示している。ドアクローザ2は、図16に示すように、上横壁32には扉1に隣接して左右方向の略全域にわたって切欠き8iが形成され、下横壁33には扉1に隣接して左右両端部に切欠き8j,8kが形成してあり、これらの上横壁32と下横壁33の切欠き8i,8j,8kによって、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0034】
本実施形態によれば、第4・第5実施形態と同様に、図16,17中に矢印22で示すように、火災時に上昇した空気が下横壁33の切欠き8j,8kよりドアクローザ2の背面側の凹部3に流れ込み、空気がドアクローザ2の熱を奪って上横壁32の切欠き8iより凹部3の外に排出されることでドアクローザ2の放熱が促され、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制し、ドアクローザ2から流体が漏れ出すのを防止できる。下横壁33の切欠き8j,8kの面積よりも上横壁32の切欠き8iの面積が広いことで、ドアクローザ背面の凹部3への空気の流通が促進され、しかも上横壁32には左右方向の略全域にわたって切欠き8iが形成してあることで、凹部3内の全域から放熱できるため、放熱性能が高い。また、下横壁33には切欠き8j,8kを左右両端部に設けたので、切欠き8j,8kが目立たず意匠性も良い。
【0035】
図18,19は、本発明のドアの第7実施形態を示している。ドアクローザ2は、左右両側に取付用の耳部18が突設され、背面を扉1の室内側面に当接して耳部18をネジ20で扉内部の裏板(図示省略)に固定して取付けている。ドアクローザ背面の凹部3は、回転軸13のまわりの膨らみ36によって左右に分割されている。ドアクローザ2の上横壁32には、回転軸13の両側の2箇所に扉1に隣接して切欠き8l,8mが形成され、下横壁33にも同じように回転軸13の両側に切欠き8n,8oが扉1に隣接して形成してある。上横壁32の切欠き8l,8mにはカバー34f,34gが取付けられ、カバー34f,34gには左右方向の端部寄りの位置に切欠き35d,35eが扉1に隣接して形成してある。下横壁33の切欠き8n,8oにもカバー34h,34iが取付けてあって、カバー34h,34iには回転軸13に近接する左右方向中央寄りの位置に切欠き35f,35gが扉1に隣接して形成してある。そして、上横壁32のカバー34f,34gの切欠き35d,35eと下横壁33のカバー34h,34iの切欠き35f,35gとによって、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0036】
本実施形態によれば、ドアクローザ背面の凹部3が左右に分割されている場合でも、図18,19中に矢印22で示すように、それぞれの凹部3にカバー34f,34g,34h,34iの切欠き35d,35e,35f,35gを通じて空気が流通するため、これまでに説明した実施形態のものと同様に火災時にドアクローザ2の放熱を促し、ドアクローザ2内の流体の過熱を抑制して、ドアクローザ2から流体が漏れるのを防止できる。下横壁33のカバー34h,34iには切欠き35f,35gが左右方向の中央寄りに形成してあり、上横壁32のカバー34f,34gには左右方向の端部寄りに切欠き35d,35eが形成してあることで、図18(b)に示すように、下横壁33の中央寄りから侵入した空気22が凹部3内で両端方向に略水平に流れ、上横壁32の両端から排出されるため、凹部3内全域を効率的に放熱できる。上横壁32と下横壁33の切欠き8l,8m,8n,8oにカバー34f,34g,34h,34iが取付けてあることで、切欠きによる意匠性の低下を最小限に抑えられる。
また、ドアクローザ2には上横壁32と下横壁33に切欠き8l,8m,8n,8oが同一の形状で形成してあるため、ドアクローザ2を上下反転し、上下のカバー34f,34g,34h,34iを付け替えるだけで開き勝手が左右どちらにも対応できる。
【0037】
図20,21は、本発明のドアの第8実施形態を示している。ドアクローザ2は、第7実施形態と同様に、左右両側に取付用の耳部18が突設され、背面を扉1の室内側面に当接して耳部18をネジ20で扉1内部の裏板(図示省略)に固定して取付けており、ドアクローザ背面の凹部3は、回転軸13のまわりの膨らみ36によって左右に分割されている。ドアクローザ2の上横壁32には、左右方向の両端部寄りの2箇所と回転軸13の両側の2箇所の計4箇所に切欠き8p,8q,8r,8sが扉1に隣接して形成してあり、下横壁33にも同じように4箇所に切欠き8t,8u,8v,8wが形成してある。上横壁32の4箇所の切欠き8p,8q,8r,8sのうち、中央寄りの2箇所の切欠き8q,8rはカバー34j,34kを取付けて塞がれており、下横壁33の4箇所の切欠き8t,8u,8v,8wのうち、両端部寄りの2箇所の切欠き8t,8wはカバー34l,34mを取付けて塞がれており、残存する上横壁32の2箇所の切欠き8p,8sと下横壁33の2箇所の切欠き8u,8vによって、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に、ドアクローザ背面の凹部3に面して上下に連通した通気部5を形成している。
【0038】
本実施形態のドアも、第7実施形態と同様に、ドアクローザ背面の凹部3が左右に分割されている場合でも、図20,21中に矢印22で示すように、それぞれの凹部3に下横壁33と上横壁32の切欠き8u,8v,8p,8sを通じて空気が流通するため、これまでに説明した実施形態のものと同様に火災時にドアクローザ2の放熱を促し、ドアクローザ2内の流体の過熱を抑制して、ドアクローザ2から流体が漏れるのを防止できる。下横壁33には左右方向の中央寄りの切欠き8u,8vが開口し、上横壁32には左右方向の端部寄りの切欠き8p,8sが開口していることで、図20(b)に示すように、下横壁33の中央寄りから侵入した空気22が凹部3内で両端方向に略水平に流れ、上横壁32の両端から排出されるため、凹部3内全域を効率的に放熱できる。上横壁32と下横壁33の切欠き8q,8r,8t,8wにカバー34j,34k,34l,34mが取付けてあることで、切欠きによる意匠性の低下を最小限に抑えられる。
また、ドアクローザ2には上横壁32と下横壁33に切欠き8p,8q,8r,8s,8t,8u,8v,8wが同じ位置に形成してあるため、ドアクローザ2を上下反転し、カバー34j,34k,34l,34mの取付位置を変えることにより、開き勝手が左右どちらにも対応できる。
【0039】
以上に述べたように本発明のドアは、ドアクローザ2の背面側の凹部3に空気が流通し得るように、扉1とドアクローザ2の流体保持部4との間に通気部5を設けたことで、火災時にドアクローザ2の背面側の凹部3に空気が流通してドアクローザ2の放熱が促されるため、火災時におけるドアクローザ2内の流体の過熱を抑制できる。その結果、流体が膨張してドアクローザ2から漏れ出すのを防ぐことができ、防火性能が向上する。
ドアクローザ2をスペーサー6や取付金具7を介して扉1と間隔21をあけて取付けることで通気部5を形成した第1〜第3実施形態によれば、ドアクローザ2に特別な細工をすることなく通気部5を容易に形成できる。また、扉1からドアクローザ2に熱が伝わるのを防止できる。さらに、防火仕様のドアと非防火仕様のドアとでドアクローザ2を兼用できる。
ドアクローザ2の上横壁32と下横壁33に切欠き8a,8b,…,8w、切欠き35a,35b,…,35gを形成することで通気部5を形成した第4〜第8実施形態によれば、ドアクローザ2を扉1の室内側面に当接させて普通に取付けるだけで通気部5を形成できる。
【0040】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。間隔保持部材(スペーサー6、取付金具7)の材質や形状は、適宜変更することができる。ドアクローザ2の上横壁32と下横壁33の切欠き8a,8b,…,8w、切欠き35a,35b,…,35gの位置、大きさは、適宜変更することができる。例えば、ドアクローザ2の上横壁32と下横壁33に、回転軸13に近い左右方向の中央付近にだけ切欠きを形成してもよい。回転軸13の周辺は特に流体が漏れやすいが、このように上横壁32と下横壁33の中央付近に切欠きが設けてあれば、回転軸13の周辺から効率良く放熱し、流体の漏れを抑えられる。また、実施形態のものは上横壁32と下横壁33の両方に切欠きを設けていたが、上横壁32だけに切欠きを設けてもよく、その場合でもドアクローザ背面の凹部3内の熱気が上横壁32の切欠きを通じて凹部3の外に排出され、それに伴って上横壁32の切欠きより凹部3内に空気が流入することで、ドアクローザ背面の凹部3に空気が流通し、放熱効果が得られる。なお、上横壁32のみに切欠きを設ける場合、その切欠きは少なくともドアクローザの横幅の半分以上の範囲に設けてあることが好ましい。ドアクローザ2自体の構造は任意である。
【符号の説明】
【0041】
1 扉
2 ドアクローザ
3 凹部
4 流体保持部
5 通気部
6 スペーサー(間隔保持部材)
7 取付金具(間隔保持部材)
8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8j,8k,8l,8m,8n,8o,8p,8q,8r,8s,8t,8u,8v,8w 切欠き
35a,35b,35c,35d,35e,35f,35g カバーの切欠き(切欠き)
図1
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