(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963302
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
B65D81/32 T
B65D81/32 J
B65D81/32 K
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-145199(P2012-145199)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-8973(P2014-8973A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】角田 義幸
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−132933(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0245682(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3068535(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 51/28
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(10)の周縁部より周壁(11)が起立されており、
周壁(11)の上端部より外方へ、環状の中間壁部を介して筒状の機能壁(13)が起立されており、
上記中間壁部は、周壁(11)頂部上方位置への反転が可能であり、かつ当該反転により、機能壁(13)が周壁(11)の頂部レベルより低い位置にある第1の状態から、機能壁(13)が周壁(11)の上方位置にある第2の状態への移行を可能とする反転壁(12)であり、
上記周壁(11)の頂部が第1シール材(B)の周縁部への固着用の第1フランジ(14)を有し、
上記機能壁(13)の頂部が第2シール材(D)の周縁部への固着用の第2フランジ(15)を有することを特徴とする、容器。
【請求項2】
上記周壁(11)を第1周壁(11a)とし、
第1周壁(11a)の頂部の第1フランジ(14)に周縁部が剥離可能に固着され、第1周壁(11a)内に第1収容部(R1)を画成する第1シール材(B)が設けられ、
上記第2の状態で第1周壁(11a)の頂部レベルより上方へ起立した機能壁(13)を第2周壁(13a)として、
その頂部の第2フランジ(15)に第2シール材(D)の周縁部が剥離可能に固着され、第2周壁(13a)内に第2収容部(R2)が画成された請求項1に記載の容器。
【請求項3】
第1周壁(11a)の上端縁より外方に第1フランジ(14)が延設されており、
第1フランジ(14)周縁部より外方に反転壁(12)を介して第2周壁(13a)が起立されており、
第2周壁(13a)の上端縁より外方へ第2フランジ(15)が延設されており、
第1フランジ(14)上に周縁部が剥離可能に固着された状態で第1シール材(B)が装着されるとともに、第2フランジ(15)上に周縁部が固着された状態で第2シール材(D)が装着された請求項2に記載の容器。
【請求項4】
反転壁(12)が、外方下方へ漸次下降するテーパ状をなす請求項2又は請求項3に記載の容器。
【請求項5】
上記機能壁(13)の頂部は、第2シール材(D)の周縁部への固着用の第2フランジ(15)に代えて係合突条(16)を有しており、
上記機能壁(13)を、周壁(11)の開口側端部と、カップ状容器(F)の開口側端部とを重ねた状態で、反転壁(12)を反転させてカップ状容器(F)の外周に上記係合突条(16)を係合させることが可能な係合壁(13b)として構成した、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
上記周壁(11)の頂部に第1シール材(B)の周縁部が剥離可能に固着され、かつ周壁(11)内に第1収容部(R1)が画成されており、
頂部に第2シール材(D)の周縁部が剥離可能に固着されるとともに内部に第2収容部(R2)が画成されたカップ状容器(F)に対して、周壁(11)の開口側端部とカップ状容器(F)の開口側端部とを対向させた状態でいずれか一方が上部に載置され、係合壁(13b)がカップ状容器(F)の外周に係合されて、カップ状容器(F)との一体化を可能に構成した請求項5に記載の容器。
【請求項7】
周壁(11)の上端縁より外方に第1フランジ(14)が延設され、
第1フランジ(14)周縁部より外方に反転壁(12)を介して係合壁(13b)が起立され、
カップ状容器(F)の周壁部(41)上端縁より外方へ、係止突部(43)を兼ねるフランジ部(42)が延設され、
第1フランジ(14)上に周縁部が剥離可能に固着された状態で第1シール材(B)が装着されるとともに、フランジ部(42)上に周縁部が剥離可能に固着された状態で第2シール材(D)を装着した請求項5又は請求項6に記載の容器。
【請求項8】
反転壁(12)は、第1フランジ(14)の外周縁部より垂設された薄肉の第1連結部位(12a)に一端縁を連結した外方へ漸次下るテーパ壁状をなし、
他端縁より筒状の係合壁(13b)が起立されて、当該係合壁(13b)の内面から、カップ状容器(F)の外周に突設された係止突部(43)と係合する係合突条(16)が突設されてなる請求項7に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関し、詳しくは、開口部分を剥離可能に装着したシール材で閉塞する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上端開口をシール材で閉塞した容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。該容器は、開口部を有するカップ体と、このカップ体の開口端縁からその径方向外方に張り出したフランジ状部と、外周縁部が、フランジ状部及び引き上げ片の各表面に剥離可能に接着されて、開口部を閉塞するシール材とを備えている。
【0003】
また、カップ状又はトレー状のプラスチック成型容器に、熱融着して密封するインナーシール材と被せて装着するプラスチック成型蓋とを、1つの部材として作製して、1つの工程で密封して装着することができ、しかもプラスチック成型蓋が脱落する虞がないインナーシール付きのプラスチック成型蓋を備えた容器も提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239175号公報
【特許文献2】特開2007−084075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献の容器は、それぞれシール材に画成された収容部内に収容物を収納する単一機能を備えたものである。
【0006】
本発明は、簡単な構造であって、反転壁の反転により移動が可能な、第2周壁や係合壁などの特殊機能を有する機能壁を備え、開口を閉塞するシール材の装着後に、機能壁を移行させての使用が可能で、シール材の装着をきわめて容易に行える容器を提案する。また、機能壁を第2周壁として構成した場合には、簡単な充填操作で二つの収容物を充填でき、また、機能壁を係合壁として構成した場合には、容器を他の容器と簡単に組み付け係合させることができる容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、底壁10の周縁部より周壁11が起立されており、
周壁11の上端部より外方へ
、環状の中間壁部を介して筒状の機能壁13が起立されており、
上記中間壁部は、周壁11頂部上方位置への反転が可能であり、かつ当該反転により、機能壁13が周壁11の頂部レベルより低い位置にある第1の状態から、機能壁13が周壁11の上方位置にある第2の状態への移行を可能とする反転壁12であり、
上記周壁11の頂部が第1シール材Bの周縁部への固着用の第1フランジ14を有し、
上記機能壁13の頂部が第2シール材Dの周縁部への固着用の第2フランジ15を有することを特徴とする、容器。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記周壁11を第1周壁11aとし、
第1周壁11aの頂部
の第1フランジ14に周縁部
が剥離可能に固着
され、第1周壁11a内に第1収容部R1を画成する第1シール材B
が設け
られ、
上記第2の状態で第1周壁11aの頂部レベルより上方へ起立した機能壁13を第2周壁13aとして、
その頂部
の第2フランジ15に第2シール材Dの周縁部
が剥離可能に固着
され、第2周壁13a内に第2収容部R2
が画成
されている。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、
第1周壁11aの上端縁より外方に第1フランジ14
が延設
されており、
第1フランジ14周縁部より外方に反転壁12を介して第2周壁13a
が起立
されており、
第2周壁13aの上端縁より外方へ第2フランジ15
が延設
されており、
第1フランジ14上に周縁部
が剥離可能に固着
された状態で第1シール材B
が装着
されるとともに、第2フランジ15上に周縁部
が固着
された状態で第2シール材D
が装着
されている。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段又は第3の手段に於いて、
反転壁12が、外方下方へ漸次下降するテーパ状をなしている。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、
上記機能壁13の頂部は、
第2シール材Dの周縁部への固着用の第2フランジ15に代えて係合突条16を有しており、
上記機能壁13を、周壁11の開口側端部と、カップ状容器Fの開口側端部とを重ねた状態で、反転壁12を反転させてカップ状容器Fの外周に
上記係合突条16を係合させることが可能な係合壁13bとして構成している。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段に於いて、
上記周壁11の頂部に第1シール材Bの周縁部
が剥離可能に固着
され、
かつ周壁11内に第1収容部R1
が画成され
ており、
頂部に第2シール材Dの周縁部
が剥離可能に固着
されるとともに内部に第2収容部
R2が画成
されたカップ状容器Fに対して、周壁11の開口側端部とカップ状容器Fの開口側端部とを対向させた状態でいずれか一方
が上部に載置さ
れ、係合壁13b
がカップ状容器Fの外周に係合さ
れて、カップ状容器Fとの一体化を可能に構成している。
【0013】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段又は第6の手段に於いて、
周壁11の上端縁より外方に第1フランジ14
が延設
され、
第1フランジ14周縁部より外方に反転壁12を介して係合壁13b
が起立
され、
カップ状容器Fの周壁部41上端縁より外方へ、係止突部43を兼ねるフランジ部42
が延設
され、
第1フランジ14上に周縁部
が剥離可能に固着
された状態で第1シール材B
が装着
されるとともに、フランジ部42上に周縁部
が剥離可能に固着
された状態で第2シール材Dを装着している。
【0014】
第8の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第7の手段に於いて、
反転壁12
は、第1フランジ14の外周縁部より垂設
された薄肉の第1連結部位12aに一端縁を連結した外方へ漸次下るテーパ壁状をなし、
他端縁より筒状の係合壁13b
が起立
されて、
当該係合壁13bの内面
から、カップ状容器Fの外周に突設
された係止突部43と係合する係合突条16
が突設
されてなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器は、底壁10の周縁部より周壁11が起立されており、周壁11の上端部より外方へ
、環状の中間壁部を介して筒状の機能壁13が起立されており、上記中間壁部は、周壁11頂部上方位置への反転が可能であり、かつ当該反転により、機能壁13が周壁11の頂部レベルより低い位置にある第1の状態から、機能壁13が周壁11の上方位置にある第2の状態への移行を可能とする反転壁12であり、
上記周壁11の頂部が第1シール材Bの周縁部への固着用の第1フランジ14を有し、上記機能壁13の頂部が第2シール材Dの周縁部への固着用の第2フランジ15を有するように構成したので、周壁11の頂部にシール材の周縁部を固着して内部に収容部を画成するに当たり、反転壁12や機能壁13が邪魔にならずにシール材の固着被覆を行なえるという利点がある。
【0016】
上記周壁11を第1周壁11aとし、第1周壁11aの頂部に周縁部を剥離可能に固着して、第1周壁11a内に第1収容部R1を画成する第1シール材Bを設け、第1収容部R1画成後に反転壁12を上方へ反転させることで第1周壁11aの頂部レベルより上方へ起立した機能壁13を第2周壁13aとして、その頂部に第2シール材Dの周縁部を剥離可能に固着して、第2周壁13a内に第2収容部R2を画成した場合には、反転壁12や第2周壁13aが邪魔にならずに、第1シール材Bの固着被覆を行なえるという利点がある。また、反転壁12を上方に反転させるだけで第2収容部R2を形成できるため、第2収容物Eの充填、第2シール材Dの装着も容易に行なえるという特徴があり、その結果、第1収容物C、第2収容物Eの充填操作を簡単に行なえるという特徴がある。
【0017】
第1周壁11aの上端縁より外方に第1フランジ14を延設し、第1フランジ14周縁部より外方に反転壁12を介して第2周壁13aを起立し、第2周壁13aの上端縁より外方へ第2フランジ15を延設し、第1フランジ14上に周縁部を剥離可能に固着して第1シール材Bを装着するとともに、第2フランジ15上に周縁部を固着して第2シール材Dを装着した場合には、第1シール材B及び第2シール材Dの装着をより容易に行なえ、各シール材の安定した装着固定が可能となる利点がある。
【0018】
反転壁12が、外方下方へ漸次下降するテーパ状をなす場合には、第2収容部R2の底部周縁部が外方より内方へ向かって傾斜する形態となり、第2収容物Eが第1収容部R1内へ落下し易く、特に、第2収容物Eが液体の場合にはより顕著である。
【0019】
上記機能壁13を、周壁11の開口側端部と、カップ状容器Fの開口側端部とを重ねた状態で、反転壁12を反転させてカップ状容器Fの外周に係合させる係合壁13bとして構成した場合には、二つの容器を簡単に係合一体化することができる利点がある。
【0020】
上記周壁11の頂部に第1シール材Bの周縁部を剥離可能に固着して周壁11内に第1収容部R1を画成し、頂部に第2シール材Dの周縁部を剥離可能に固着して内部に第2収容部Eを画成したカップ状容器Fに対して、周壁11の開口側端部とカップ状容器Fの開口側端部とを対向させた状態でいずれか一方を上部に載置させ、係合壁13bをカップ状容器Fの外周に係合させて、カップ状容器Fとの一体化を可能に構成した場合には、二つの収容物を別々に保管しておくことができ、必要に応じて簡単な操作で二つの収容物を混合使用することができ、容易な組み付け操作が可能である。
【0021】
周壁11の上端縁より外方に第1フランジ14を延設し、第1フランジ14周縁部より外方に反転壁12を介して係合壁13bを起立し、カップ状容器Fの周壁部41上端縁より外方へ、係止突部43を兼ねるフランジ部42を延設し、第1フランジ14上に周縁部を剥離可能に固着して第1シール材Bを装着するとともに、フランジ部42上に周縁部を剥離可能に固着して第2シール材Dを装着した場合には、第1シール材B及び第2シール材Dの装着をより容易に行なえ、各シール材の安定した装着固定が可能となり、また、各第1フランジ14、フランジ部42によりカップ状容器Fへの安定した係合が可能となる。
【0022】
反転壁12が、第1フランジ14の外周縁部より垂設した薄肉の第1連結部位12aに一端縁を連結した外方へ漸次下るテーパ壁状をなし、他端縁より筒状の係合壁13bを起立してその内面に、カップ状容器Fの外周に突設した係止突部43と係合する係合突条16を突設してなる場合には、第1連結部位12aを中心に反転壁12の反転が容易であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】機能壁を第2周壁とした本発明容器の縦断面図である。(第1実施例)
【
図2】機能壁を第2周壁とした収容物充填後の本発明容器の縦断面図である。(第1実施例)
【
図3】機能壁を第2周壁とした収容物充填後の本発明容器の平面図である。(第1実施例)
【
図4】充填操作を説明する説明図である。(第1実施例)
【
図5】機能壁を係合壁とした収容物充填後の本発明容器の縦断面図である。(第2実施例)
【
図6】機能壁を係合壁とした収容物充填後の本発明容器の平面図である。(第2実施例)
【
図7】収容物充填後のカップ状容器の縦断面図である。(第2実施例)
【
図8】収容物充填後のカップ状容器の平面図である。(第2実施例)
【
図9】機能壁を係合壁とした収容物充填後の本発明容器と、収容物充填後のカップ状容器を組み付けた状態の縦断面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1乃至
図4は本発明容器の第1実施例を示し、図中1は容器を示す。
【0026】
容器Aは合成樹脂等により形成され、
図1に示す如く、底壁10の周縁部より周壁11を起立し、周壁11の上端部より外方へ、周壁11の頂部レベルより上方へ突出しない状態で、環状の反転壁12を介して筒状の機能壁13を起立させ、反転壁12の周壁11頂部上方位置への反転で、機能壁13を周壁11の上方位置への移動が可能に構成している。
【0027】
本例では、底壁10の外周縁部より、周壁11としての上方に行くに従ってテーパ状に広がる第1周壁11aを起立し、第1周壁11aの上端縁より外方へ第1フランジ14を延設している。また、本例では、機能壁13を第2周壁13aとして構成しており、第1フランジ14の外周縁より外方へ環状の反転壁12を延設し、反転壁12を介して上方に行くに従ってテーパ状に広がる第2周壁13aを起立している。また、第2周壁13aの上端縁より外方へ第2フランジ15を延設している。尚、第1フランジ14及び第2フランジ15は、後述するシール材の固着をより容易かつ確実にする上で有効であるが、必ずしも設けなくても良い。
【0028】
反転壁12は、第1フランジ14の外周縁部と第1連結部位12aを介して一端縁を連結し、他端縁を第2連結部位12bを介して第2周壁13a下端と連結した外方へ漸次下る傾斜状のテーパ壁をなしており、下方より上方へ押圧することで、第1連結部位12aを支点として、
図1の状態から
図2の状態へ、上方に対称的に反転する。本例の第1連結部位12aは第1フランジ14の外周縁部より下方へ延びた後外方へ延びる断面鉤型をなす環状片形態を採っており、また、第2連結部位12bは、反転壁12の外周縁より下方へ延びた後外方へ延びる断面鉤型の環状片形態を採っている。
【0029】
尚、第1連結部位12a及び第2連結部位12bはこの形態に限らず、第1フランジ14や第2周壁13aに反転壁12の各縁部を直接連結することも可能である。その場合にはそれらの連結部位に、例えば、断面v字型のヒンジを形成すると好ましい。同様に第1フランジ14がない場合には、第1周壁11aの上端縁に前記ヒンジを介して反転壁12の一端縁を連結すると良い。いずれにしろ反転壁12が下方位置から、その基端屈折部位(例えば、第1連結部位12aとの境界部や断面v字型のヒンジ部)を支点として上方の対称位置に反転し、反転した状態で安定化し、第1周壁11a(周壁11)の頂部レベルより上方へ第2周壁13aが起立した状態となれば良い。そのために反転壁12を上記した外方へ漸次下る傾斜状のテーパ壁に形成しても、或いは、外方へ漸次下る湾曲状のテーパ壁に形成しても良い。
【0030】
本例の機能壁13を第2周壁13aとして構成した場合には、
図2に示す如く、第1周壁11aの頂部(第1フランジ14)に第1シール材Bの周縁部を剥離可能に固着して第1周壁11a内に第1収容物Cを収納する第1収容部R1を画成する。また、第1収容部R1の画成後、反転壁12を上方へ反転させて、第1周壁11aの頂部レベルより上方へ第2周壁13aを起立した状態で、第2周壁13aの頂部(第2フランジ15)に、第2シール材Dの周縁部を剥離可能に固着して第2周壁13a内に第2収容物Eを収納する第2収容部R2を画成する。
【0031】
第1シール材B及び第2シール材Dは、例えば、合成樹脂フィルムの単体や積層体或いはアルミ材と合成樹脂との積層体等で形成される。また、第1シール材B、第2シール材Dの各シール材の剥離可能な固着手段としては、粘着、溶着等の容易に剥離できる適宜固着手段を採用できる。第1シール材Bの縁部からは、第1シール材Bを剥離する際に掴む第1把持突片20を突設している。本例の第1把持突片20は、第1シール材Bの縁部より延設して、第2収容部R2内に突設している。また、第2シール材Dの縁部からも、第2シール材Dを剥離する際に掴む第2把持突片30を突設している。
【0032】
上記の如く構成される機能壁13を第2周壁13aとして構成した場合の容器Aの充填方法について以下に説明する。
【0033】
まず、
図4(A)に示す如く、第1周壁11aの上端縁部より外方へ、第1周壁11aの頂部レベルより上方へ突出しない状態で、環状の反転壁12を介して第2周壁13aを起立させた容器Aに対し、第1周壁11a内へ液体の第1収容物Cを充填した後、
図4(B)に示す如く、第1周壁11aの頂部(第1フランジ14)に周縁部を剥離可能に固着して第1周壁11a内に第1収容部R1を画成する第1シール材Bを装着する。本例の場合には、第1フランジ14上に合成樹脂製の第1シール材Bの周縁部を粘着して第1収容部R1を画成している。
【0034】
しかる後、
図4(C)に示す如く、反転壁12を上方へ反転させて第1周壁11aの頂部レベルより上方へ第2周壁13aを起立させて内部に粉末状の第2収容物Eを充填し、次いで、
図4(D)に示す如く、第2周壁13aの頂部(第2フランジ15)に周縁部を剥離可能に固着して第2収容部R2を画成する第2シール材Dを装着することで第1収容物C、第2収容物Eの充填を行なうことができる。本例の場合には、第2フランジ15上に合成樹脂製の第2シール材Dの周縁部を粘着して第2収容部R2を画成している。この様な充填方法によれば、第1収容物C、第2収容物Eの各収容物の充填を容易に行なえるという特徴がある。尚、本例に於ける第1収容物Cには液体を、第2収容物Eには粉末状の固体を使用しているが、第1収容物C及び第2収容物Eは、それぞれ液体であっても固体であっても良い。
【0035】
また、使用に当たっては、第2把持突片30を掴んで第2シール材Dを引き剥がし、次いで、第1把持突片20を掴んで第1シール材Bを引き剥がし、第1収容物C内に第2収容物Eを混合する。
【0036】
図5乃至
図9は本発明容器の第2実施例を示す。容器Aは合成樹脂等により形成され、
図5に示す如く、底壁10の周縁部より周壁11を起立し、周壁11の上端部より外方へ、周壁11の頂部レベルより上方へ突出しない状態で、環状の反転壁12を介して筒状の機能壁13を起立させ、反転壁12の周壁11頂部上方位置への反転で機能壁13を周壁11の上方位置への移動が可能に構成している。本例では、機能壁13を、後述するカップ状容器Fと係合させる係合壁13bとして構成している。
【0037】
カップ状容器Fは第2収容物Eを収容するもので、合成樹脂等により形成され、底壁部40の周縁部より上方へ周壁部41を起立させたカップ状をなす。本例では、
図7に示す如く、上方に行くに従ってテーパ状に広がる周壁部41の上端縁より外方へ、フランジ部42を延設しており、このフランジ部42は、容器Aを係止する係止突部43を兼用する。尚、係止突部43は本例の如くフランジ状である場合に限らず、容器Aの筒状の係合壁13bの係合が可能であれば、周方向複数突設した形態であっても良い。また、頂部に第2シール材Dの周縁部を剥離可能に固着して内部に第2収容部R2を画成している。第2シール材Dの縁部より第2把持突片30を突設している。
【0038】
本例に於ける容器Aは第1収容物Cを収容するもので、機能壁13を、周壁11の開口側端部と、カップ状容器Fの開口側端部とを重ねた状態で、カップ状容器Fの外周に突設した係止突部43に係合させる係合壁13bとして構成している。また、本例の容器Aは、底壁10の外周縁部より、周壁11としての上方に行くに従ってテーパ状に広がる第1周壁11aを起立し、第1周壁11aの上端縁より外方へ第1フランジ14を延設している。また、第1フランジ14の外周縁より外方へ環状の反転壁12を延設し、反転壁12を介して上方に行くに従ってテーパ状に広がる筒状の係合壁13bを起立している。また、係合壁13bの内面上端部に係合突条16を突設している。尚、第1フランジ14は、シール材の固着をより容易かつ確実にする上で有効であるが、必ずしも設けなくても良い。
【0039】
反転壁12は、第1フランジ14の外周縁部と第1連結部位12aを介して一端縁を連結し、他端縁を係合壁13b下端と連結した外方へ漸次下る傾斜状のテーパ壁をなしており、下方より上方へ押圧することで、第1連結部位12aを支点として、
図5の状態から
図9の状態(尚、
図9の状態は容器Aを逆様にした状態にある)へ、上方に対称的に反転する。
【0040】
本例の第1連結部位12aは第1フランジ14の外周縁部より下方へ延びた薄肉の環状突片形態を採っている。尚、反転壁12に於ける第1連結部位12aはこの形態に限らず、第1フランジ14の外周縁部に反転壁12の内側縁部を直接連結することも可能である。その場合にはそれらの第1連結部位に断面v字型のヒンジを設けると好ましい。同様に第1フランジ14がない場合には、第1周壁11aの上端縁に反転壁12の内側縁部を、上記した薄肉の第1連結部位や断面v字型のヒンジを介して連結しても良い。また、薄肉状の第1連結部位や断面v字型のヒンジ形態の第1連結部位に限らず、そのまま反転壁12縁部を対向する第1連結部位に連結しても良いが、いずれにしろ反転壁12が、下方位置からその基端屈折部位(例えば、第1連結部位12aとの境界部や断面v字型のヒンジ部)を支点として上方対称位置に反転し、反転した状態で安定化し、第1周壁11aの頂部レベルより上方の係止突部43との係合可能位置(容器Aを逆様にしてカップ状容器F上に載置した際の)に係合壁13bが起立した状態となれば良い。そのために反転壁12を、上記した外方へ漸次下る傾斜状のテーパ壁に形成しても或いは外方へ漸次下る湾曲状のテーパ壁に形成しても良い。
【0041】
また、本例の容器Aは、
図5に示す如く、反転壁12を上方へ反転させる前の状態で、第1周壁11aの頂部(第1フランジ14)に、第1シール材Bの周縁部を粘着により剥離可能に固着して、第1周壁11a内に第1収容物Cを収容した第1収容部R1を画成する。尚、本例に於ける第1シール材B、第2シール材Dの材質、或いは固着手段は第1実施例と同様である。
【0042】
上記の如き容器Aのカップ状容器Fに対する組み付け操作に関して以下に説明する。
【0043】
まず、
図5に示す如く、第1周壁11aの上端縁部より外方へ、第1周壁11aの頂部レベルより上方へ突出しない状態で、環状の反転壁12を介して筒状の係合壁13bを起立させた容器A内へ粉末状の第1収容物Cを充填した後、第1周壁11aの頂部(第1フランジ14)に周縁部を剥離可能に固着して第1周壁11a内に第1収容部R1を画成する第1シール材Bを装着する。本例の場合には、第1フランジ14上に合成樹脂製の第1シール材Bの周縁部を粘着して第1収容部R1を画成している。
【0044】
また、
図7に示す如く、カップ状容器F内に液体の第2収容物Eを充填後、周壁部41の頂部(フランジ部42)に第2シール材Dの周縁部を剥離可能に固着して、周壁部41内に第2収容部R2を画成する。本例の場合には、フランジ部42上に合成樹脂製の第2シール材Dの周縁部を粘着して第2収容部R2を画成している。
【0045】
しかる後、カップ状容器F上に逆様にした容器Aを載置し、反転壁12を下方へ反転させて、係合壁13bをカップ状容器Fの上部外周に突設した係止突部43に係合させる。これにより、
図9に示す如く、カップ状容器F及び容器Aの組み付けを行なえる。本例では、係止突部43としてのフランジ部42外周縁部に、係合突条16を乗り越え係合させて係合壁13bを抜け出しを防止して嵌合させている。
【0046】
また、使用に当たっては、例えば、係合突条16と係止突部43との係合を外して係合壁13bを係止突部43から外し、カップ状容器Fから容器Aを取り外す。次いで、第1把持突片20を掴んで第1シール材Bを引き剥がし、第2把持突片30を掴んで第2シール材Dを引き剥がし、液状の第2収容物E内に粉末状の第1収容物Cを混合する。尚、カップ状容器F上に容器Aを載置した例を示したが、その逆の構成であっても良い。また、容器Aとカップ状容器Fは、シール材を設けて収容物を充填した状態で、互いに嵌合して保管を示しているが。別々に保管しても良く、収容物の混合後に上方に位置する容器A或いはカップ状容器Fを、混合物を収容部分の蓋として係合使用する使用方法も可能である。更に、上記第1実施例及び第2実施例に於いて、第1収容物C及び第2収容物Eは必ずしも混合使用するものでなくても良く、それぞれ単独で使用するものであっても良い。
【符号の説明】
【0047】
A:容器
10…底壁、11…周壁、11a…第1周壁、12…反転壁、12a…第1連結部位、
12b…第2連結部位、13…
機能壁、13a…第2周壁、13b…係合壁、
14…第1フランジ、15…第2フランジ、16…係合突条
B:第1シール材
20…第1把持突片
C:第1収容物
D:第2シール材
30…第2把持突片
E:第2収容物
F:カップ状容器
40…底壁部、41…周壁部、42…フランジ部、43…係止突部
R1:第1収容部
R2:第2収容部