特許第5963306号(P5963306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 5963306-乾留ガス化処理装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963306
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】乾留ガス化処理装置
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/00 20060101AFI20160721BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C10J3/00 FZAB
   C10J3/00 H
   B09B3/00 302Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-175458(P2012-175458)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-34603(P2014-34603A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391060281
【氏名又は名称】株式会社キンセイ産業
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 正元
(72)【発明者】
【氏名】宝田 恭之
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−9830(JP,A)
【文献】 特開平2−135280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾溜により可燃性ガスを発生するガス発生材料を収納すると共に、該ガス発生材料の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該ガス発生材料の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉に燃焼用の酸素を供給する酸素供給制御手段と、該乾溜炉で発生した可燃性ガスを貯留する貯留槽と、該乾溜炉で発生した可燃性ガスを、該可燃性ガスに含まれるタール状物質を改質する改質触媒を備える触媒手段を介して、該貯留槽に供給する第1の供給手段とを備える乾留ガス化処理装置であって、
該乾溜炉で発生した可燃性ガスを、該触媒手段を迂回して該貯留槽に供給する第2の供給手段と、
該乾溜炉の炉床温度を検知する温度検知手段と、
該乾溜炉で発生した可燃性ガスに含まれる酸素濃度を検知する酸素検知手段と、
該第1の供給手段と該第2の供給手段とを切替える切替制御手段とを備え、
該切替制御手段は、該温度検知手段により検知される炉床温度が該ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度未満であり、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が該改質触媒を劣化させる濃度以上であるときには、該可燃性ガスの供給を該第2の供給手段により行い、該温度検知手段により検知される炉床温度が該ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度に達すると共に、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が該改質触媒を劣化させる濃度未満となったときに、該可燃性ガスの供給を該第2の供給手段から該第1の供給手段に切替えることを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の乾留ガス化処理装置において、前記酸素供給制御手段は、前記酸素検知手段により検知される酸素濃度が増加したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が低減したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させることを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の乾留ガス化処理装置において、乾溜炉で発生した可燃性ガスに含まれる二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素検知手段を備え、前記酸素供給制御手段は、該二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が増加したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が低減したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させることを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の乾留ガス化処理装置において、前記温度検知手段を前記乾溜炉の炉床の複数箇所に設け、前記酸素供給制御手段は、各温度検知手段により検知される炉床温度が上昇したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、各温度検知手段により検知される炉床温度が低下したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させることを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の乾留ガス化処理装置において、前記ガス発生材料の一部を燃焼させる際に、各温度検知手段により検知される炉床温度に所定の設定値以上のバラツキがあるときには、前記酸素供給制御手段は、該バラツキが該所定の設定値未満となるまで、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を固定するか又は低減することを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の乾留ガス化処理装置において、少なくとも2基の前記乾溜炉を備えることを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の乾留ガス化処理装置において、1つの乾溜炉に木質系ガス発生材料を収容して該木質系ガス発生材料の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該木質系ガス発生材料の残部を乾溜して還元雰囲気の可燃性ガスを発生させ、該可燃性ガスを前記第1の供給手段を介して前記触媒手段に供給し、該木質系ガス発生材料の乾留ガス化処理の終了後に、他の乾溜炉に収容されたガス発生材料の乾留ガス化処理を行うことを特徴とする乾留ガス化処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾留ガス化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾溜炉に収納された廃棄物の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させ、該可燃性ガスを燃焼炉に導入して該燃焼炉で完全燃焼させるようにした乾留ガス化燃焼処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記乾留ガス化燃焼処理装置では、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼熱が高くなったときには前記乾溜炉に対する燃焼用酸素の供給量を低減し、該燃焼熱が低くなったときには該乾溜炉に対する燃焼用酸素の供給量を増加することにより、前記廃棄物の乾溜を安定して行うことができる。
【0004】
また、前記乾留ガス化燃焼処理装置では、前記可燃性ガスを内燃機関、発電装置の熱源等の他の燃焼手段の燃料として用いることが提案されている。ところが、前記可燃性ガスは比較的分子量の大きいタール状物質を含むので、該タール状物質が他の燃焼手段の装置内に付着して不具合の原因となるという問題がある。
【0005】
そこで、前記タール状物質を含む前記可燃性ガスをニッケル系触媒又は鉄系触媒等の改質触媒に接触させて、該タール状物質を低分子成分に改質し、改質された可燃性ガスを他の燃焼手段の燃料とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−78032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記改質触媒は劣化されやすく、前記タール状物質の改質を長期に亘って安定して行うことが難しいという不都合がある。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、改質触媒の劣化を抑制することができると共に、乾溜炉で発生した可燃性ガスを内燃機関、発電装置の熱源等の燃料として不具合を生じることなく用いることができる乾留ガス化処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の乾留ガス化処理装置は、乾溜により可燃性ガスを発生するガス発生材料を収納すると共に、該ガス発生材料の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該ガス発生材料の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉に燃焼用の酸素を供給する酸素供給制御手段と、該乾溜炉で発生した可燃性ガスを貯留する貯留槽と、該乾溜炉で発生した可燃性ガスを、該可燃性ガスに含まれるタール状物質を改質する改質触媒を備える触媒手段を介して、該貯留槽に供給する第1の供給手段とを備える乾留ガス化処理装置であって、該乾溜炉で発生した可燃性ガスを、該触媒手段を迂回して該貯留槽に供給する第2の供給手段と、該乾溜炉の炉床温度を検知する温度検知手段と、該乾溜炉で発生した可燃性ガスに含まれる酸素濃度を検知する酸素検知手段と、該第1の供給手段と該第2の供給手段とを切替える切替制御手段とを備え、該切替制御手段は、該温度検知手段により検知される炉床温度が該ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度未満であり、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が該改質触媒を劣化させる濃度以上であるときには、該可燃性ガスの供給を該第2の供給手段により行い、該温度検知手段により検知される炉床温度が該ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度に達すると共に、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が該改質触媒を劣化させる濃度未満となったときに、該可燃性ガスの供給を該第2の供給手段から該第1の供給手段に切替えることを特徴とする。
【0010】
本発明の乾留ガス化処理装置では、前記酸素供給制御手段により供給される燃焼用の酸素により、前記乾溜炉に収容されたガス発生材料の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該ガス発生材料の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる。このとき、前記乾溜の開始直後には、前記ガス発生材料の乾溜により生成する可燃性成分は僅かであり、前記可燃性ガスは可燃性成分に乏しく酸素に富んだ状態となっている。
【0011】
ここで、前記タール状物質を改質する前記改質触媒は酸化により劣化しやすいので、酸素に富んだ状態の前記可燃性ガスをそのまま前記触媒手段に供給すると、該改質触媒が該可燃性ガスにより劣化されてしまう。そこで、本発明の乾留ガス化処理装置では、まず、前記温度検知手段により検知される炉床温度が前記ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度未満であり、前記酸素検知手段により検知される酸素濃度が前記改質触媒を劣化させる濃度以上であるときには、前記切替制御手段が、前記可燃性ガスの供給を前記第2の供給手段により行うようにする。この結果、前記可燃性ガスは、前記第2の供給手段により前記触媒手段を迂回して前記貯留槽に供給されることとなり、前記改質触媒の劣化を抑制することができる。
【0012】
前記可燃性ガスは、前記ガス発生材料の乾溜が進行して、前記乾溜炉の炉床温度が該乾溜を継続的に可能とする温度になると、次第に可燃性成分を多く含むようになり、酸素の量は反対に乏しくなる。そこで、前記温度検知手段により検知される前記炉床温度が前記ガス発生材料の乾溜を継続的に可能とする温度に達すると共に、前記酸素検知手段により検知される前記可燃性ガスに含まれる酸素濃度が前記改質触媒を劣化させる濃度未満となったならば、前記切替制御手段が、該可燃性ガスの供給を前記第2の供給手段から前記第1の供給手段に切替える。
【0013】
この結果、前記可燃性ガスは、前記第1の供給手段により前記触媒手段を介して前記貯留槽に供給されることとなり、該可燃性ガスに含まれるタール状物質が前記改質触媒により低分子成分に改質され、該タール状物質を含まない改質された可燃性ガスが、前記貯留槽に供給される。このとき、前記可燃性ガスに含まれる酸素濃度は、前記改質触媒を劣化させる濃度未満となっているので、該改質触媒はその劣化が抑制される。
【0014】
従って、本発明の乾留ガス化処理装置によれば、前記改質触媒の劣化を抑制することができると共に、前記乾溜炉で発生した可燃性ガスを前記貯留槽に貯留して、内燃機関、発電装置の熱源等の燃料として不具合を生じることなく用いることができる。
【0015】
ところで、本発明の乾留ガス化処理装置は、特許文献1記載の乾留ガス化燃焼処理装置と異なり、前記乾溜炉で発生した可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉を備えていない。従って、本発明の乾留ガス化処理装置では、前記燃焼炉における前記可燃性ガスの燃焼熱により前記乾溜炉に対する燃焼用の酸素の供給を制御することができず、該乾溜炉における前記ガス発生材料の乾溜を安定に行うことができなくなることが懸念される。
【0016】
そこで、本発明の乾留ガス化処理装置において、前記酸素供給制御手段は、前記乾溜炉に対する燃焼用の酸素の供給の制御を次のようにして行う。
【0017】
前記制御の第1の手段として、前記酸素供給制御手段は、前記酸素検知手段により検知される酸素濃度が増加したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該酸素検知手段により検知される酸素濃度が低減したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させる。
【0018】
この場合、前記酸素供給制御手段は、前記酸素検知手段により検知される酸素濃度が増加したときには、酸素が過剰になってガス発生材料の燃焼が促進され、該ガス発生材料の乾溜が過剰になっているものと判断して、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該ガス発生材料の燃焼及び乾溜を抑制する。一方、前記酸素供給制御手段は、前記酸素検知手段により検知される酸素濃度が低減したときには、前記ガス発生材料の燃焼用の酸素が不足して該ガス発生材料の燃焼が抑制され、該ガス発生材料の乾溜が衰えつつあるものと判断し、前記乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させて、前記ガス発生材料の燃焼及び乾溜を促進する。
【0019】
また、前記制御の第2の手段として、乾溜炉で発生した可燃性ガスに含まれる二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素検知手段を備え、前記酸素供給制御手段は、該二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が増加したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が低減したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させる。
【0020】
この場合、前記酸素供給制御手段は、前記二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が増加したときには、ガス発生材料の燃焼が促進され、該ガス発生材料の乾溜が過剰になっているものと判断して、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、該ガス発生材料の燃焼及び乾溜を抑制する。一方、前記酸素供給制御手段は、前記二酸化炭素検知手段により検知される二酸化炭素濃度が低減したときには、前記ガス発生材料の燃焼用の酸素が不足して該ガス発生材料の燃焼が抑制され、該ガス発生材料の乾溜が衰えつつあるものと判断し、前記乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させて、前記ガス発生材料の燃焼及び乾溜を促進する。
【0021】
また、前記制御の第3の手段として、前記温度検知手段を前記乾溜炉の炉床の複数箇所に設け、前記酸素供給制御手段は、各温度検知手段により検知される炉床温度が上昇したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させ、各温度検知手段により検知される炉床温度が低下したときには該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させる。
【0022】
本発明の乾留ガス化処理装置において、前記炉床温度は、前記乾溜炉内の位置により異なる。そこで、前記温度検知手段を複数設けることにより、前記乾溜炉内の位置による誤差を解消することができる。
【0023】
そして、前記酸素供給制御手段は、各温度検知手段により検知される炉床温度が低下したときには、前記乾溜炉における前記ガス発生材料の乾溜が進行していないか、火床が崩れる等の不具合が生じているものと判断し、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を増加させて、前記ガス発生材料の乾溜を促進する。また、前記酸素供給制御手段は、各温度検知手段により検知される炉床温度が上昇したときには、前記乾溜炉における前記ガス発生材料の乾溜が過剰になっているものと判断し、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を低減させて、前記ガス発生材料の乾溜を抑制する。
【0024】
本発明の乾留ガス化処理装置では、前記酸素供給制御手段による前記乾溜炉に対する燃焼用の酸素の供給の制御を、前記第1〜第3の手段のいずれかの手段により行うことにより、該乾溜炉における前記ガス発生材料の乾溜を安定に行うことができる。前記制御は前記第1〜第3の手段のいずれかの1つの手段により行うようにしてもよく、2つ以上の手段を組み合わせて行うようにしてもよい。
【0025】
また、本発明の乾留ガス化処理装置は、前記温度検知手段を前記乾溜炉の炉床の複数箇所に設ける場合、前記ガス発生材料の一部を燃焼させる際に、各温度検知手段により検知される炉床温度に所定の設定値以上のバラツキがあるときには、前記酸素供給制御手段は、該バラツキが該所定の設定値未満となるまで、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を固定するか又は低減することが好ましい。
【0026】
前記酸素供給制御手段は、各温度検知手段により検知される炉床温度に所定の設定値以上のバラツキがあるときには、火床の形成が均一に行われていないものと判断し、前記バラツキが該所定の設定値未満となるまで、該乾溜炉に供給する燃焼用の酸素量を固定するか又は低減する。このようにすることにより、前記火床を均一に形成することができる。
【0027】
また、本発明の乾留ガス化処理装置は前記ガス発生材料を回分式(バッチ式)に処理するものであるので、前記乾溜炉が1基だけであるときには連続運転を行うことができない。そこで、本発明の乾留ガス化処理装置は少なくとも2基の前記乾溜炉を備えることが好ましい。この結果、本発明の乾留ガス化処理装置は、少なくとも2基の前記乾溜炉を交互に運転することにより、連続運転を行うことが可能になる。
【0028】
本発明の乾留ガス化処理装置は少なくとも2基の前記乾溜炉を複数備えるときに、1つの乾溜炉に木質系ガス発生材料を収容して該木質系ガス発生材料の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該木質系ガス発生材料の残部を乾溜して還元雰囲気の可燃性ガスを発生させ、該可燃性ガスを前記第1の供給手段を介して前記触媒手段に供給し、該木質系ガス発生材料の乾留ガス化処理の終了後に、他の乾溜炉に収容されたガス発生材料の乾留ガス化処理を行うことが好ましい。
【0029】
前記木質系ガス発生材料の乾溜により発生する可燃性ガスは、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素等に富んでおり、還元雰囲気となっている。そこで、このような還元雰囲気の可燃性ガスを前記第1の供給手段を介して前記触媒手段に供給することにより、該触媒手段を還元雰囲気とすることができ、前記改質触媒の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の乾留ガス化処理装置の一構成例を示すシステム構成図。
図2図1に示す乾溜炉の一構成例を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の乾留ガス化処理装置1は、2基の乾溜炉2a,2bと、改質触媒槽3を備える改質炉4と、乾溜炉2a,2bで発生した可燃性ガスを貯留する貯留槽5とを備えている。
【0033】
また、乾留ガス化処理装置1は、乾溜炉2a,2bに燃焼用酸素として空気を供給する送風ファン6を備えている。送風ファン6は第1酸素導管7aにより第1開閉弁8aを介して乾溜炉2aに接続されており、第1酸素導管7aから分岐する第2酸素導管7bにより第2開閉弁8bを介して乾溜炉2bに接続されている。
【0034】
乾溜炉2aは、発生した可燃性ガスを取り出す第1可燃性ガス導管9aを上部に備えており、第1可燃性ガス導管9aは第3開閉弁8c、第4開閉弁8dを介して改質炉4の改質触媒槽3に接続されている。また、乾溜炉2bは、発生した可燃性ガスを取り出す第2可燃性ガス導管9bを上部に備えており、第2可燃性ガス導管9bは第5開閉弁8eを介して、第3開閉弁8cと第4開閉弁8dとの間で第1可燃性ガス導管9aに合流している。
【0035】
改質触媒槽3は、前記可燃性ガスに含まれるタール状成分を改質する改質触媒を内蔵すると共に、改質された可燃性ガスを取り出す改質ガス導管10を備えている。前記改質触媒は、前記可燃性ガスに含まれる成分のうち、比較的分子量の大きなタール状物質を改質して低分子成分に改質する。このような前記改質触媒として、例えば、ニッケル担持褐炭、ニッケル担持アルミナ等のニッケル系触媒、リモナイト等の鉄系触媒を挙げることができる。
【0036】
改質ガス導管10はセラミックスフィルタ11、第1誘引ファン12a、第6開閉弁8fを介して、貯留槽5に接続されている。この結果、第1可燃性ガス導管9a、第2可燃性ガス導管9b、改質ガス導管10により、乾溜炉2a,2bで生成した可燃性ガスを、改質触媒槽3を介して貯留槽5に供給する第1の供給手段13が形成されている。
【0037】
また、乾留ガス化処理装置1は、第3開閉弁8cと第4開閉弁8dとの間で第1可燃性ガス導管9aから分岐するバイパス導管14を備えており、バイパス導管14は第7開閉弁8gを介して水タンク15に接続され、水タンク15内の貯留水中に開口している。水タンク15は、貯留水の水面の上方から可燃性ガスを導出する導出導管16を備えており、導出導管16はサイクロン17、第2誘引ファン12b、第8開閉弁8hを介して、貯留槽5に接続されている。この結果、バイパス導管14、導出導管16により、乾溜炉2a,2bで生成した可燃性ガスを、改質触媒槽3を迂回して貯留槽5に供給する第2の供給手段18が形成されている。
【0038】
貯留槽5は、内部に貯留する可燃性ガスを取り出して、内燃機関、発電装置の熱源等の外部の燃焼装置(図示せず)に供給する取出導管19を備えており、取出導管19は第9開閉弁8iを介して貯留槽5に接続されている。
【0039】
また、乾留ガス化処理装置1は、第1開閉弁8a〜第9開閉弁8iの開閉、送風ファン6、第1誘引ファン12a、第2誘引ファン12bの作動を制御する制御装置20を備えている。制御装置20は、第1開閉弁8a、第2開閉弁8bの開閉を制御して、乾溜炉2a,2bに燃焼用酸素を供給する酸素供給手段として作用する。また、制御装置20は、第3開閉弁8c〜第9開閉弁8iの開閉を制御することにより、第1の供給手段13と第2の供給手段18との切替を行う切替制御手段として作用する。
【0040】
次に、乾溜炉2a,2bの構成を、乾溜炉2aを例として説明する。尚、乾溜炉2bは乾溜炉2aの第1酸素導管7a、第1開閉弁8a、第1可燃性ガス導管9aにそれぞれ対応して、第2酸素導管7b、第2開閉弁8b、第2可燃性ガス導管9bを備えることを除いて、乾溜炉2aと全く同一の構成を備えている。
【0041】
乾溜炉2aは、図2に示すように、上面部に開閉自在な投入扉21を有する投入口22が形成され、投入口22から乾溜により可燃性ガスを発生するガス発生材料が乾溜炉2a内に投入可能とされている。乾溜炉2aは、投入扉21を閉じた状態では、その内部が実質的に外気と遮断されるようになっている。
【0042】
前記ガス発生材料は、乾溜により可燃性ガスを発生する材料であればどのような材料であってもよいが、例えば、木屑等の木質系廃棄物、古タイヤ、プラスチック等の樹脂系廃棄物等の廃棄物Aを用いることができる。
【0043】
乾溜炉2aの下部は、下方に突出する円錐台形状に形成され、その底面部23及び斜面状の側壁部24の外面部には、乾溜炉2aの内部と隔離された空室25が形成されており、空室25には第1酸素導管7aが第1開閉弁8aを介して接続されている。空室25は、底面部23及び側壁部24に設けられた給気ノズル(図示せず)を介して乾溜炉2aの内部に連通されている。また、乾溜炉2aの外周部には、その冷却構造として乾溜炉2aの内部と隔離されたウォータジャケット26が形成されている。
【0044】
乾溜炉2aの下部の側部には、乾溜炉2a内に収納された廃棄物Aに着火するための着火バーナ27と、炉床温度を検知するための温度センサ28とが設けられている。着火バーナ27は、乾溜炉2aの内部に向かって燃焼炎を生ぜしめ、該燃焼炎により乾溜炉2a内の廃棄物Aに着火する。一方、温度センサ28は、図2には1つだけが示されているが、乾溜炉2aの外周に沿って等間隔で4箇所に設けられている。
【0045】
また、乾溜炉2aの上部の側部には、乾溜炉2a内の酸素濃度を検知するための酸素センサ29と、乾溜炉2a内の二酸化炭素濃度を検知するための二酸化炭素センサ30とが設けられていると共に、第1可燃性ガス導管9aが導出されている。
【0046】
そして、第1開閉弁8a、着火バーナ27、温度センサ28、酸素センサ29、二酸化炭素センサ30は、それぞれ制御装置20に接続されている。
【0047】
次に、乾留ガス化処理装置1の作動について説明する。
【0048】
乾留ガス化処理装置1では、まず、乾溜炉2aの投入扉21を開き、廃棄物Aを乾溜炉2aの内部に投入する。
【0049】
次に、投入扉21を閉じた後、制御装置20により着火バーナ27が作動され、着火バーナ27が乾溜炉2aの内部に向かって燃焼炎を発生させることにより、廃棄物Aに着火される。このとき、制御装置20により第1開閉弁8aが開弁されているが、他の第2開閉弁8b〜第9開閉弁8iは全て閉弁されている。また、制御装置20により送風ファン6、第1誘引ファン12a、第2誘引ファン12bが作動されている。
【0050】
廃棄物Aに着火され、廃棄物Aの部分的燃焼が開始されると、制御装置20により着火バーナ27が停止される。このとき、第1開閉弁8aは制御装置20により比較的小さな開度で開弁されており、送風ファン6から第1酸素導管7aを介して供給される燃焼用酸素としての比較的少量の空気が、空室25から底面部23及び側壁部24に設けられた給気ノズルを介して乾溜炉2aの内部に供給されている。
【0051】
そこで、廃棄物Aの前記部分的燃焼は、廃棄物Aの投入時に乾溜炉2a内に存在していた空気と送風ファン6から供給される比較的少量の空気とにより行われ、該部分的燃焼が廃棄物Aの下層部に徐々に広がることにより火床が形成される。制御装置20は、廃棄物Aの下層部における前記部分的燃焼の広がりに伴って、第1開閉弁8aの開度を次第に大きくし、徐々に燃焼用酸素の供給を増加させる。
【0052】
このとき、制御装置20は、前記4箇所の温度センサ28により検知される炉床温度により前記火床の形成を監視している。そして、制御装置20は、各温度センサ28により検知される炉床温度に所定の設定値以上のバラツキがあるときには、火床の形成が均一に行われていないものと判断して、第1開閉弁8aの開度を調整し、各温度センサ28により検知される炉床温度のバラツキが所定の設定値未満になるまで、燃焼用の酸素量を固定するか又は低減する。この結果、廃棄物Aの下層部に前記火床を均一に形成することができる。
【0053】
次に、廃棄物Aの下層部に火床が形成されると、その燃焼熱により廃棄物Aの上層部の乾留が開始され、該乾溜により可燃性ガスが発生し始める。そこで、制御装置20は、第3開閉弁8cを開弁し、前記可燃性ガスの貯留槽5への供給を開始する。
【0054】
しかし、前記可燃性ガスが発生し始めた時期には、廃棄物Aの乾溜により生成する可燃性成分は僅かであり、乾溜炉2aの上部には空気が残存している。この結果、前記可燃性ガスは可燃性成分に乏しく酸素に富んだ状態となっており、直ちに第1可燃性ガス導管9aを介して改質触媒槽3に供給すると、改質触媒槽3に内蔵されている改質触媒が劣化される虞がある。
【0055】
そこで、制御装置20は、温度センサ28により検知される炉床温度が廃棄物Aの乾溜を継続的に可能とする温度、例えば400℃未満であり、酸素センサ29により検知される酸素濃度が前記改質触媒を劣化させる濃度、例えば3容積%以上であるときには、第3開閉弁8cと共に、第7開閉弁8g及び第8開閉弁8hを開弁する。このようにすると、乾溜炉2aで発生した前記可燃性ガスは、第2誘引ファン12bにより誘引され、バイパス導管14と導出導管16とからなる第2の供給手段18により、改質触媒槽3を迂回して貯留槽5に供給される。
【0056】
尚、前記可燃性ガスは、バイパス導管14により水タンク15内の貯留水中にバブリングされることにより空気が除去されると共にその温度が低下させられ、サイクロン17により除塵される。
【0057】
次に、廃棄物Aの下層部の燃焼が、送風ファン6から供給される燃焼用酸素により徐々に安定化するとともに、その範囲が徐々に拡大していくと、該燃焼の拡大に伴ってその燃焼熱による廃棄物Aの上層部の乾溜も進行し、可燃性ガスの発生量が増加する。
【0058】
そこで、制御装置20は、温度センサ28により検知される炉床温度が廃棄物Aの乾溜を継続的に可能とする温度以上になり、酸素センサ29により検知される酸素濃度が前記改質触媒を劣化させる濃度未満になったならば、第7開閉弁8g及び第8開閉弁8hを閉弁し、第3開閉弁8cと共に、第4開閉弁8d及び第6開閉弁8fを開弁する。このようにすると、乾溜炉2aで発生した前記可燃性ガスは、第1誘引ファン12aにより誘引され、第1可燃性ガス導管9aと改質ガス導管10とからなる第1の供給手段13により、改質触媒槽3を介して貯留槽5に供給される。すなわち、制御装置20により、前記可燃性ガスの供給が第2の供給手段18から第1の供給手段13に切替られる。
【0059】
このとき、前記可燃性ガスは、含有する酸素濃度が3容積%未満となっているので、改質触媒槽3に内蔵されている前記改質触媒を劣化させることなく、該改質触媒により含有するタール状物質を低分子成分に改質することができる。前記改質触媒により改質された可燃性ガスは、改質ガス導管10によりセラミックスフィルタ11により除塵されたのち、貯留槽5に供給される。尚、前記改質された可燃性ガスは高温であるが、セラミックスフィルタ11はそれ自体優れた耐熱性を備えているので、該可燃性ガスの除塵に好適に用いることができる。
【0060】
また、温度センサ28により検知される炉床温度が廃棄物Aの乾溜を継続的に可能とする温度以上になり、酸素センサ29により検知される酸素濃度が前記改質触媒を劣化させる濃度未満になったならば、乾溜炉2aでは廃棄物Aの乾溜が継続的に行われる定常状態となる。前記定常状態では、制御装置20が乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の供給を調整することにより、廃棄物Aの乾溜が継続的且つ安定的に進行するように制御する。
【0061】
前記燃焼用酸素の供給の制御として、制御装置20は、酸素センサ29により検知される酸素濃度が増加したときには、酸素が過剰になって廃棄物Aの下層部の燃焼が促進され、廃棄物Aの乾溜が過剰になっているものと判断する。そこで、制御装置20は、第1開閉弁8aの開度を小さくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を低減させ、廃棄物Aの燃焼及び乾溜を抑制する。
【0062】
一方、制御装置20は、酸素センサ29により検知される酸素濃度が低減したときには、廃棄物Aの下層部における燃焼用酸素が不足して廃棄物Aの燃焼が抑制され、廃棄物Aの乾溜が衰えつつあるものと判断する。そこで、制御装置20は、第1開閉弁8aの開度を大きくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を増加させ、廃棄物Aの燃焼及び乾溜を促進する。
【0063】
また、制御装置20は、二酸化炭素センサ30により検知される二酸化炭素濃度が増加したときには、廃棄物Aの下層部の燃焼が促進され、廃棄物Aの乾溜が過剰になっているものと判断する。そこで、制御装置20は、第1開閉弁8aの開度を小さくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を低減させ、廃棄物Aの燃焼及び乾溜を抑制する。
【0064】
一方、制御装置20は、二酸化炭素センサ30により検知される二酸化炭素濃度が低減したときには、廃棄物Aの下層部における燃焼用酸素が不足して廃棄物Aの燃焼が抑制され、廃棄物Aの乾溜が衰えつつあるものと判断する。そこで、制御装置20は、第1開閉弁8aの開度を大きくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を増加させ、廃棄物Aの燃焼及び乾溜を促進する。
【0065】
また、制御装置20は、各温度センサ28により検知される炉床温度が低下したときには、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの乾溜が進行していないか、火床が崩れる等の不具合が生じているものと判断して、第1開閉弁8aの開度を大きくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を増加させ、廃棄物Aの乾溜を促進する。一方、制御装置20は、各温度センサ28により検知される炉床温度が上昇したときには、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの乾溜が過剰になっているものと判断して、第1開閉弁8aの開度を小さくして、送風ファン6から乾溜炉2aに供給される燃焼用酸素の量を低減させ、廃棄物Aの乾溜を抑制する。
【0066】
本実施形態において、制御装置20による前記燃焼用酸素の供給の制御は、酸素センサ29を用いる方法、二酸化炭素センサ30を用いる方法、温度センサ28を用いる方法の3つの方法を組み合わせて行っている。しかし、制御装置20による前記燃焼用酸素の供給の制御は、前記方法のいずれか1つの方法のみで行ってもよく、いずれか2つの方法を組み合わせて行ってもよい。
【0067】
前記定常状態が進行すると、やがて乾溜炉2a内で乾溜可能な廃棄物Aが無くなり、廃棄物Aの乾溜が終了し、その後は残存する廃棄物Aの灰化が行われる。このとき、制御装置20は、第1開閉弁8aの開度を最大にすることにより、廃棄物Aの灰化を完全に行うことができる。
【0068】
本実施形態の乾留ガス化処理装置1では、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの乾溜が終了したならば、代わって乾溜炉2bにより廃棄物Aの乾溜を行うことにより連続運転を行うことができる。2基の乾溜炉2a,2bを交互に運転する方法については、本出願人の出願になる特開平8−94043号公報に詳細な記載がある。
【0069】
また、本実施形態の乾留ガス化処理装置1では、2基の乾溜炉2a,2bを交互に運転する際に、最初に運転される乾溜炉2a又は乾溜炉2bにおいて、木屑等の木質系ガス発生材料のみを収容して、該木質系ガス発生材料の乾溜ガス化処理を行うようにしてもよい。このとき、前記木質系ガス発生材料の乾溜により発生する可燃性ガスは、二酸化炭素、一酸化炭素及び水素等に富んでおり、還元雰囲気となっている。そこで、このような還元雰囲気の可燃性ガスを、第1可燃性ガス導管9aを介して改質触媒槽3に供給することにより、改質触媒槽3を還元雰囲気とすることができ、前記改質触媒の劣化を抑制することができる。
【0070】
尚、本実施形態の乾留ガス化処理装置1では、第1の供給手段13から供給される可燃性ガスと、第2の供給手段18から供給される可燃性ガスとの両方の可燃性ガスを1つの貯留槽5に貯留するようにしている。しかし、第2の供給手段18から供給される可燃性ガスは前記タール状物質が改質されずにそのまま含まれているので、貯留槽5を2基とし、第1の供給手段13から供給される可燃性ガスと、第2の供給手段18から供給される可燃性ガスとをそれぞれ異なる貯留槽5に貯留するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…乾留ガス化処理装置、 2a,2b…乾溜炉、 3…改質触媒槽、 5…貯留槽、 6…送風ファン、 13…第1の供給手段、 18…第2の供給手段、 20…制御装置、 28…温度センサ、 29…酸素センサ、 30…二酸化炭素センサ、 A…廃棄物。
図1
図2