特許第5963321号(P5963321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963321
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】エレベータの警報システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B66B3/00 T
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-117014(P2014-117014)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-229571(P2015-229571A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小久保 政宏
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−184255(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/052090(JP,A1)
【文献】 実開平05−012462(JP,U)
【文献】 特開2012−171787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータを備える建物に適用されるエレベータの警報システムであって、前記エレベータの乗りかご内に設けられた非常呼びボタンと、前記エレベータの乗り場及び遠隔監視センタに設けられたスピーカーと、互いに異なる複数のアナウンスが記憶された制御装置と、前記乗り場に設けられて、前記乗りかご内の利用者と通話できる乗り場インターホンと、を備え、前記制御装置は、前記非常呼びボタンが押されたときに、前記複数のアナウンスのうち前記非常呼びボタンが押されたエレベータに対応するアナウンスを、前記乗り場のスピーカーと前記遠隔監視センタのスピーカーの両方から放送し、前記乗り場に設けられた前記乗り場インターホンを用いた応答があった場合、および、前記遠隔監視センタからの応答があった場合、のいずれにおいても、前記乗り場のスピーカーによる前記アナウンスの放送と前記遠隔監視センタのスピーカーによる前記アナウンスの放送の両方を終了することを特徴とするエレベータの警報システム。
【請求項2】
前記複数のアナウンスの数は、前記複数のエレベータの数以上であり、前記複数のエレベータのうち1つのエレベータの前記非常呼びボタンが押されたときに前記スピーカーから放送されるアナウンスは、前記複数のエレベータのうち他のエレベータの前記非常呼びボタンが押されたときに前記スピーカーから放送されるアナウンスとは異なることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、非常停止し利用者がエレベータの乗りかご内に閉じ込められた場合に、乗客が遠隔監視センタと連絡をとれるようにするため、非常呼びボタンが乗りかご内に設けられている。閉じ込められた利用者は、非常呼びボタンを押すことで、遠隔監視センタの係員と通話でき、現在の状況を伝えることができる。また、エレベータが非常停止した原因が地震等である場合、乗りかご内と遠隔監視センタとの間の電話回線が使用できなくなる可能性がある。このため、乗りかご内と遠隔監視センタとの間の通話が行えない場合でも、乗りかご内に利用者が閉じ込められていることを、表示灯等によりエレベータの乗り場にいる人に伝えることができるシステムが知られている。これにより、状況を把握した乗り場にいる人が遠隔監視センタ等に状況を伝えることで、乗りかご内に閉じ込められた利用者の救出活動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−246230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物には、1つの乗り場に複数のエレベータが設置されていることが多い。このため、乗り場にいる人は、表示灯等により、乗りかご内に利用者が閉じ込められていることを認識できても、複数のエレベータのうちのどのエレベータの乗りかご内に利用者が閉じ込められているのかを特定するために時間を要する可能性がある。したがって、乗り場に設けられているエレベータが複数である場合、閉じ込められた利用者の救出に時間を要する可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、乗り場に設けられているエレベータが複数であっても、閉じ込められた利用者の救出に要する時間を短縮できるエレベータの警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るエレベータの警報システムは、複数のエレベータを備える建物に適用されるエレベータの警報システムであって、エレベータの乗りかご内に設けられた非常呼びボタンと、エレベータの乗り場及び遠隔監視センタに設けられたスピーカーと、互いに異なる複数のアナウンスが記憶された制御装置と、乗り場に設けられて、乗りかご内の利用者と通話できる乗り場インターホンと、を備える。制御装置は、非常呼びボタンが押されたときに、複数のアナウンスのうち非常呼びボタンが押されたエレベータに対応するアナウンスを、乗り場のスピーカーと遠隔監視センタのスピーカーの両方から放送し、乗り場に設けられた乗り場インターホンを用いた応答があった場合、および、遠隔監視センタからの応答があった場合、のいずれにおいても、乗り場のスピーカーによるアナウンスの放送と遠隔監視センタのスピーカーによるアナウンスの放送の両方を終了する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの乗り場の構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係るエレベータの概略を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る制御装置の構成を示す模式図である。
図4図4は、本実施形態に係るエレベータの乗りかごの構成を示す模式図である。
図5図5は、本実施形態に係るかご操作盤の正面図である。
図6図6は、本実施形態に係る乗り場操作盤の正面図である。
図7図7は、本実施形態に係る制御装置の構成を機能ブロックで示したブロック図である。
図8図8は、本実施形態に係るエレベータの警報システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本実施形態]
図1は、本実施形態に係るエレベータの乗り場の構成を示す模式図である。図2は、本実施形態に係るエレベータの概略を示す模式図である。図3は、本実施形態に係る制御装置の構成を示す模式図である。図4は、本実施形態に係るエレベータの乗りかごの構成を示す模式図である。図5は、本実施形態に係るかご操作盤の正面図である。図6は、本実施形態に係る乗り場操作盤の正面図である。図7は、本実施形態に係る制御装置の構成を機能ブロックで示したブロック図である。
【0009】
まず、図1に示すように、本実施形態のエレベータの警報システム100は、3つのエレベータ1が乗り場6に面している建物に適用される。図2に示すように、エレベータ1は、乗りかご2が昇降路7内を昇降することで、任意の目的階の乗り場6に利用者を移動させることができる。本実施形態におけるエレベータ1は、乗りかご2と、カウンタウェイト3と、メインロープ4と、巻上機5と、乗り場6と、制御装置10と、を備える。エレベータ1は、乗りかご2およびカウンタウェイト3をメインロープ4で連結した、いわゆるつるべ式のエレベータである。本実施形態のエレベータ1は、いわゆるマシンルームレスエレベータであり、昇降路7の上部に機械室を備えておらず、昇降路7内の頂部に巻上機5、制御装置10が設けられている。巻上機5は、例えば、メインシーブ5a、そらせシーブ5bおよび電動機(モータ)5cを備える。本実施形態のエレベータ1は、マシンルームレスエレベータの場合としたがこれに限定されない。エレベータの警報システム100は、機械室を備えているエレベータを備えた建物にも用いることができる。
【0010】
図2に示すように、乗りかご2は、制御ケーブルや電源ケーブル等を内装したテールコードを介して制御装置10に接続されている。乗りかご2は、かご操作盤8と、かごドア11と、を備える。かご操作盤8は、利用者による操作入力に応じていわゆるかご呼び登録等を行う。かご操作盤8は、いわゆるCOP(Car Operation Panel)を構成する。
【0011】
メインロープ4は、メインシーブ5aおよびそらせシーブ5bに掛けられる。メインロープ4の一端は乗りかご2に接続され、メインロープ4の他端はカウンタウェイト3に接続される。巻上機5の電動機5cが駆動すると、電動機5cに連結されたメインシーブ5aが回転駆動する。そして、巻上機5は、メインシーブ5aとメインロープ4との間に生じる摩擦力によりメインロープ4を巻き上げる。
【0012】
図2に示すように、乗り場6は、乗りかご2が着床可能な各階に設けられる。各乗り場6は、乗り場操作盤9と、乗り場ドア12と、を備える。乗り場操作盤9は、利用者による操作入力に応じていわゆる乗り場呼び登録を行う。
【0013】
図3に示すように、制御装置10は、例えばマイクロコンピュータであり、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結された入力インターフェース10aと、出力インターフェース10bと、CPU(Central Processing Unit)10cと、ROM(Read Only Memory)10dと、RAM(Random Access Memory)10eと、を備える。ROM10dは、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM10eは、CPUの演算結果を一時記憶する。制御装置10の各機能は、入力インターフェース10a、出力インターフェース10b、CPU10c、ROM10d、RAM10eを組み合わせて実現される。
【0014】
制御装置10は、種々のセンサ、検出器、巻上機5の電動機5c、かご操作盤8、乗り場操作盤9等のエレベータ1の各部と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。本実施形態においては、制御装置10が複数のエレベータ1を監視し、各エレベータ1の動きを制御している。つまり、複数のエレベータ1は、1つの制御装置10を共有する。制御装置10は、例えば、かご操作盤8、乗り場操作盤9に対する操作入力に応じて、巻上機5の駆動を制御し、乗りかご2を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。また、図2に示すように、制御装置10は、遠隔監視センタ200と電気的に接続されている。
【0015】
通常運転において、利用者によりかご操作盤8を介して乗りかご2の呼び操作が行われた場合、かご操作盤8から制御装置10にかご呼び登録信号が入力される。利用者により乗り場操作盤9を介して乗りかご2の呼び操作が行われた場合、乗り場操作盤9から制御装置10に乗り場呼び登録信号が入力される。制御装置10は、かご呼び登録信号または乗り場呼び登録信号に応じて乗りかご2のかご呼び登録または乗り場呼び登録を行う。制御装置10は、かご呼び登録、乗り場呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご2の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご2が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご2の着床順序を定める。そして、制御装置10は、巻上機5を駆動制御し、乗りかご2を目的の階床へと移動させる。これにより、乗りかご2は、昇降路7内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場6に移動する。そして、制御装置10は、乗りかご2が目的階の乗り場6に着床し、所定の着床位置に着床したことを検出すると、かごドア11、乗り場ドア12を開放する。これにより、乗り場6で待機している利用者は、乗りかご2内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご2内の利用者は乗り場6に降りることが可能となる。
【0016】
ところで、エレベータ1に非常停止等が生じ、利用者が乗りかご2内に閉じ込められた場合、閉じ込められた利用者が速やかに救出されることが望ましい。このため、本実施形態に係るエレベータ1は、非常時において、利用者が外部と連絡をとれるようにするための構成を備えている。
【0017】
図4および図5に示すように、かご操作盤8は、かごドア11の側方の壁面に配置されており、表示画面81と、かごスピーカー84と、マイク85と、非常呼びボタン86と、行先階ボタン87と、開ボタン88と、閉ボタン89と、を備える。表示画面81は、例えば液晶パネルであって、現在位置している階を表示する階床表示部82と、非常時における情報を表示するメッセージ表示部83と、を備える。階床表示部82は、現在位置している階を視覚的に利用者に知らせることができる。メッセージ表示部83は、非常停止等が生じたことを利用者に視覚的に知らせることができる。
【0018】
かごスピーカー84は、通常運転において、着床した階を音声として発し、着床した階を音声で利用者に知らせることができる。かごスピーカー84は、非常時において、現在の状況に関する情報を音声として発し、非常停止等が生じたことを利用者に音声として知らせることができる。非常呼びボタン86は、非常時に外部に対して非常事態である旨を伝達するためのボタンである。乗りかご2内の利用者によって非常呼びボタン86が操作され、外部と通話ができる状態になった場合、かごスピーカー84によって外部からの音声が発せられ、マイク85によって乗りかご2内の利用者が外部に音声を伝達できる。
【0019】
行先階ボタン87は、乗りかご2を移動させる目的階を選択するためのボタンである。行先階ボタン87は、乗りかご2が着床可能な階に対応して複数個設けられている。開ボタン88は、乗りかご2がいずれかの階に着床中に、かごドア11の開操作を行うためのボタンである。閉ボタン89は、乗りかご2がいずれかの階に着床中に、かごドア11の閉操作を行うためのボタンである。
【0020】
図6に示すように、乗り場操作盤9は、乗り場スピーカー91と、上昇呼びボタン92と、下降呼びボタン93と、乗り場インターホン94と、を備える。乗り場スピーカー91は、乗りかご2内の利用者によって非常呼びボタン86が操作されたときに、所定のアナウンスを発する。上昇呼びボタン92は、上階に向かう乗りかご2を乗り場6に呼ぶためのボタンである。下降呼びボタン93は、下階に向かう乗りかご2を乗り場6に呼ぶためのボタンである。乗り場インターホン94は、制御装置10を介して音声を乗りかご2内に送信することができ、かつ乗りかご2内の音声を受信することができる。乗り場インターホン94は、例えば受話器を有し、受話器が上げられることで乗り場6にいる利用者と乗りかご2内にいる利用者との通話を可能にする。
【0021】
本実施形態に係るエレベータの警報システム100は、非常呼びボタン86と、乗り場スピーカー91と、制御装置10と、を備えている。本実施形態に係る制御装置10は、上述したように通常運転におけるエレベータ1の制御を行うとともに、非常呼びボタン86が押されたときのかご操作盤8および乗り場操作盤9の制御を行う。図7に示すように、制御装置10は、異常エレベータ特定部13と、エレベータ情報記憶部14、アナウンス選択部15と、アナウンス記憶部16と、第1発信部17と、第2発信部18と、を備える。非常時において乗りかご2内の非常呼びボタン86が押された場合、非常呼びボタン86が押されたかご操作盤8から制御装置10に向けて、非常呼び信号が出力される。非常呼び信号は、制御装置10の異常エレベータ特定部13に入力され記憶される。
【0022】
非常呼び信号は、例えば、3つのエレベータ1に対して別々に設定されている。すなわち、図1に示す3つのエレベータ1のうち乗り場6から見て最も左側に位置するエレベータ1の非常呼びボタン86が押されたときの非常呼び信号と、中央に位置するエレベータ1の非常呼びボタン86が押されたときの非常呼び信号と、最も右側に位置するエレベータ1の非常呼びボタン86が押されたときの非常呼び信号とは互いに異なっている。以下の説明において、図1に示す3つのエレベータ1のうち乗り場6から見て最も左側に位置するエレベータ1は第1エレベータと記載され、中央に位置するエレベータ1は第2エレベータと記載され、最も右側に位置するエレベータ1は第3エレベータと記載される。
【0023】
エレベータ情報記憶部14は、3つのエレベータ1と3つの非常呼び信号とをそれぞれ対応づけた非常呼び信号データベースを記憶している。異常エレベータ特定部13は、入力された非常呼び信号と、エレベータ情報記憶部14に記憶された非常呼び信号データベースとに基づいて、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1の非常呼びボタン86が押されたかを特定する。そして、異常エレベータ特定部13は、非常呼びボタン86が押されたエレベータ1の情報を信号としてアナウンス選択部15に出力する。非常呼びボタン86が押されたエレベータ1の情報は、アナウンス選択部15に入力され記憶される。
【0024】
アナウンス記憶部16は、複数のアナウンスを音声情報として記憶している。本実施形態において、アナウンス記憶部16は、互いに異なる3つのアナウンスを記憶している。3つのアナウンスは、3つのエレベータ1にそれぞれ対応している。例えば、3つのアナウンスのうちの1つ目の第1アナウンスは、「向かって最も左側のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンスであり、第1エレベータに対応している。3つのアナウンスのうちの2つ目の第2アナウンスは、「向かって中央のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンスであり、第2エレベータに対応している。3つのアナウンスのうちの3つ目の第3アナウンスは、「向かって最も右側のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンスであり、第3エレベータに対応している。
【0025】
アナウンス記憶部16は、3つのエレベータ1と3つのアナウンスとをそれぞれ対応づけたアナウンスデータベースを記憶している。アナウンス選択部15は、非常呼びボタン86が押されたエレベータ1の情報と、アナウンス記憶部16に記憶されたアナウンスデータベースとに基づいて、非常呼びボタン86が押されたエレベータ1に対応するアナウンスを選択する。第1エレベータの非常呼びボタン86が押されていた場合、アナウンス選択部15は、第1エレベータに対応する「向かって最も左側のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンス(第1アナウンス)を選択する。第2エレベータの非常呼びボタン86が押されていた場合、アナウンス選択部15は、第2エレベータに対応する「向かって中央のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンス(第2アナウンス)を選択する。第3エレベータの非常呼びボタン86が押されていた場合、アナウンス選択部15は、第3エレベータに対応する「向かって最も右側のエレベータに乗客が閉じ込められています」というアナウンス(第3アナウンス)を選択する。そして、アナウンス選択部15は、選択したアナウンスを音声情報として第1発信部17および第2発信部18に出力する。
【0026】
第1発信部17は、アナウンス選択部15から入力された音声情報を遠隔監視センタ200に発信する。第1発信部17から音声情報を受け取った遠隔監視センタ200は、備え付けられたスピーカー等により、アナウンス選択部15で選択されたアナウンスを遠隔監視センタ200内に放送することができる。これにより、遠隔監視センタ200にいる係員は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1で異常が発生しているのかを認識することができる。
【0027】
第2発信部18は、アナウンス選択部15から入力された音声情報を乗り場操作盤9に発信する。第2発信部18から音声情報を受け取った乗り場操作盤9は、乗り場スピーカー91により、アナウンス選択部15で選択されたアナウンスを乗り場6に放送することができる。これにより、乗り場6にいる利用者は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1で異常が発生しているのかを認識することができる。
【0028】
図8は、本実施形態に係るエレベータの警報システムの動作の一例を説明するフローチャートである。以下の説明においては、第1エレベータの非常呼びボタン86が押された場合を例に挙げて説明する。例えば、制御装置10は、かご操作盤8を常に監視しており、非常呼びボタン86が押されたことを検出できる。非常呼びボタン86が押されていない場合、制御装置10は、かご操作盤8の監視を継続する(ステップS1、No)。第1エレベータの非常呼びボタン86が押された場合、第1エレベータのかご操作盤8は、制御装置10に向けて非常呼び信号を発信する(ステップS1、Yes)。
【0029】
次に、非常呼び信号を受信した制御装置10は、異常エレベータ特定部13により複数のエレベータ1のうち非常呼びボタン86が押された第1エレベータを特定する(ステップS2)。そして、制御装置10は、非常呼びボタン86が押された第1エレベータの情報を信号として異常エレベータ特定部13からアナウンス選択部15に出力する。
【0030】
次に、制御装置10は、アナウンス選択部15により第1エレベータに対応する「向かって最も左側のエレベータに乗客が閉じ込められています」とのアナウンスを選択する(ステップS3)。そして、制御装置10は、選択したアナウンスである音声情報を、アナウンス選択部15から第1発信部17および第2発信部18に出力する。
【0031】
次に、制御装置10は、第1発信部17および第2発信部18により、遠隔監視センタ200および乗り場6でアナウンスの放送を開始する(ステップS4)。遠隔監視センタ200および乗り場6において、「向かって最も左側のエレベータに乗客が閉じ込められています」とのアナウンスが放送される。
【0032】
制御装置10は、遠隔監視センタ200から応答があるかどうかを判定することができる。例えば、制御装置10は、遠隔監視センタ200に備えられた受話器等の操作を監視することで、遠隔監視センタ200から応答があるかどうかを判定する。遠隔監視センタ200から応答があった場合(ステップS5、Yes)、制御装置10は、遠隔監視センタ200および乗り場6におけるアナウンスの放送を終了する(ステップS6)。その後、第1エレベータ内の利用者から遠隔監視センタ200に現在の状況が伝えられ、遠隔監視センタ200からエレベータ管理会社等に閉じ込められた利用者を救出するための連絡が行われる(ステップS7)。
【0033】
一方、制御装置10は、乗り場6から応答があるかどうかを判定することができる。例えば、制御装置10は、乗り場6に備えられた乗り場インターホン94の操作を監視することで、乗り場6から応答があるかどうかを判定する。遠隔監視センタ200から応答がない場合(ステップS5、No)、乗り場6から応答があるかどうかを判定する。乗り場6から応答がない場合(ステップS8、No)、制御装置10は、遠隔監視センタ200から応答があるかどうかの判定を続ける(ステップS5)。乗り場6から応答があった場合(ステップS8、Yes)、制御装置10は、遠隔監視センタ200および乗り場6におけるアナウンスの放送を終了する(ステップS9)。その後、乗り場インターホン94と、かご操作盤8のかごスピーカー84およびマイク85とを介して、第1エレベータ内の利用者から乗り場6にいる利用者に現在の状況が伝えられる。そして、乗り場6にいる利用者から遠隔監視センタ200に現在の状況が伝えられる(ステップS10)。次に、遠隔監視センタ200からエレベータ管理会社等に閉じ込められた利用者を救出するための連絡が行われる(ステップS7)。
【0034】
以上で説明したように、本実施形態に係るエレベータの警報システム100は、複数のエレベータ1を備える建物に備えられ、互いに異なる複数のアナウンスが記憶された制御装置10を備える。制御装置10は、非常呼びボタン86が押されたときに、複数のアナウンスのうち非常呼びボタン86が押されたエレベータ1に対応するアナウンスを、乗り場スピーカー91から放送することができる。これにより、非常停止等により乗りかご2内に閉じ込められた利用者が非常呼びボタン86を押した場合、非常停止したエレベータ1に対応するアナウンスが乗り場6に放送される。このため、エレベータの警報システム100は、エレベータ1で閉じ込めが発生したことを、乗り場6にいる利用者に音声で認識させることができる。これに加えて、エレベータの警報システム100は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1に利用者が閉じ込められているのかを、乗り場6にいる利用者に音声で認識させることができる。したがって、エレベータの警報システム100は、非常呼びボタン86が押されたときから、遠隔監視センタ200等に状況が伝わるまでに要する時間を短縮できる。よって、エレベータの警報システム100は、乗り場6に設けられているエレベータ1が複数であっても、閉じ込められた利用者の救出に要する時間を短縮できる。
【0035】
また、エレベータの警報システム100は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1に利用者が閉じ込められているのかを音声で知らせている。これにより、エレベータの警報システム100は、乗り場6にいる目の不自由な利用者に対しても、エレベータ1の状況を伝えることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るエレベータの警報システム100において、複数のアナウンスの数は、複数のエレベータ1の数と同数である。そして、複数のエレベータのうち1つのエレベータ1(例えば第1エレベータ)の非常呼びボタン86が押されたときに乗り場スピーカー91から放送されるアナウンスは、複数のエレベータ1のうち他のエレベータ1(例えば第2エレベータ)の非常呼びボタン86が押されたときに乗り場スピーカー91から放送されるアナウンスとは異なる。これにより、エレベータの警報システム100は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1に利用者が閉じ込められているのかを、乗り場6にいる利用者により容易に認識させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係るエレベータの警報システム100は、乗りかご2内の利用者と通話できる乗り場インターホン94を乗り場6に備える。これにより、乗り場6にいる利用者は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1に利用者が閉じ込められているのかを認識したあと、エレベータ1に閉じ込められた利用者と通話することができる。このため、乗り場6にいる利用者は、状況をより正確に把握することができる。よって、エレベータの警報システム100は、乗り場6に設けられているエレベータ1が複数であっても、閉じ込められた利用者の救出に要する時間をより短縮できる。
【0038】
なお、乗り場6に設けられるエレベータ1は、上述した説明のように必ずしも3つでなくてもよく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、制御装置10のアナウンス記憶部16に記憶されるアナウンスの数は、乗り場6に設けられるエレベータ1の数以上であることが好ましい。
【0039】
また、各エレベータ1に対応する各アナウンスは、上述したものに限らず、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1で異常が発生しているのかを、乗り場6にいる乗客に伝えることができるアナウンスであればよい。すなわち、アナウンスは、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1で異常が発生しているのかを示す文言を含んでいればよい。例えば、第1エレベータに対応するアナウンスが「エレベータ1号機に乗客が閉じ込められています」というアナウンスであってもよい。ただし、アナウンスは、乗り場6にいる利用者でも閉じ込めが発生しているエレベータ1を容易に把握できるようにするため、異常が発生しているエレベータ1の乗り場6から見た場合の位置を直接的に示す文言を含むことが好ましい。また、アナウンスは、異常が発生したエレベータ1が昇降路7内の高さ方向のどの位置で停止しているかを示す文言を含んでいてもよい。例えば「エレベータ1号機に乗客が閉じ込められています。エレベータ1号機は2階と3階の間で停止しています。」というアナウンスであってもよい。また、目の不自由な利用者に対する利便性を向上させるため、アナウンスは、異常が発生したエレベータ1を示す文言に加えて、通常運転中のエレベータ1を示す文言を含んでいてもよい。例えば「エレベータ1号機に乗客が閉じ込められています。エレベータ1号機および2号機は通常通り運転中です。」というアナウンスであってもよい。
【0040】
また、制御装置10は、遠隔監視センタ200に放送するためのアナウンスと、乗り場6に放送するためのアナウンスとを別々に有していてもよい。例えば、第1エレベータの非常呼びボタン86が押された場合に、遠隔監視センタ200に放送するためのアナウンスが「エレベータ1号機に乗客が閉じ込められています」とのアナウンスであって、乗り場6に放送するためのアナウンスが「向かって最も左側のエレベータに乗客が閉じ込められています」とのアナウンスであってもよい。遠隔監視センタ200は、直接的に位置を示す文言を含むアナウンスが放送されなくとも、閉じ込めが発生しているエレベータ1を把握できる。
【0041】
また、エレベータの警報システム100は、非常呼びボタン86が押されたときに点灯する表示灯を乗り場6に備えていてもよい。これにより、エレベータの警報システム100は、複数のエレベータ1のうちどのエレベータ1に利用者が閉じ込められているのかを、乗り場6にいる利用者に視覚および聴覚の両方を通じて認識させることができる。例えば、エレベータの警報システム100が表示灯を備える場合のアナウンスは、「赤いランプが点灯しているエレベータに乗客が閉じ込められています」というものであればよい。このようにすることで、乗り場6にいる利用者は、閉じ込めが発生しているエレベータ1をより容易に把握することができる。
【0042】
また、必ずしも本実施形態のように1つの制御装置10が複数のエレベータ1の動きを制御していなくてもよい。例えば、各エレベータ1が動きを制御するための制御装置を備えており、これらの制御装置を統括して制御する統括制御装置として制御装置10が設けられていてもよい。また、非常呼びボタン86が押されたときのかご操作盤8および乗り場操作盤9の制御を行う制御装置は、通常運転におけるエレベータ1を制御する制御装置とは別個に設けられていてもよい。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 エレベータ、2 乗りかご、3 カウンタウェイト、4 メインロープ、5 巻上機、5a メインシーブ、5b そらせシーブ、5c 電動機(モータ)、6 乗り場、7 昇降路、8 かご操作盤、9 乗り場操作盤、10 制御装置、11 かごドア、12 乗り場ドア、13 異常エレベータ特定部、14 エレベータ情報記憶部、15 アナウンス選択部、16 アナウンス記憶部、17 第1発信部、18 第2発信部、81 表示画面、82 階床表示部、83 メッセージ表示部、84 かごスピーカー、85 マイク、86 非常呼びボタン、87 行先階ボタン、88 開ボタン、89 閉ボタン、91 乗り場スピーカー、92 上昇呼びボタン、93 下降呼びボタン、94 乗り場インターホン、100 エレベータの警報システム、200 遠隔監視センタ
図1
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図8