特許第5963322号(P5963322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963322
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】主ロープ固定装置およびエレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/08 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B66B7/08 D
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-133036(P2014-133036)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11183(P2016-11183A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2014年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】竹 内 優 太
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−011826(JP,A)
【文献】 特開2004−035198(JP,A)
【文献】 特開2011−173700(JP,A)
【文献】 特開2012−250821(JP,A)
【文献】 特公昭48−036025(JP,B1)
【文献】 特開昭59−217578(JP,A)
【文献】 特開平09−104574(JP,A)
【文献】 特開2012−096907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
B66B 7/06−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路内を昇降自在な乗りかごと釣合錘とを連結し、交互に一列状に配置された第1ロープと2つの第2ロープを含む主ロープの一端部を固定する主ロープ固定装置であって、
前記主ロープの一端部を懸架する懸架部と、
前記懸架部に取り付けられ、前記第1ロープの前記一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該一端部を保持する第1ロープソケットと、
前記懸架部に取り付けられた2つの第2ロープソケットであって各々が、対応する前記第2ロープの前記一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該一端部を保持する2つの第2ロープソケットと、を備え、
前記第1ロープソケットと2つの前記第2ロープソケットとは、交互に一列状に配置され、
前記第1ロープソケットの前記楔形状部は、前記第2ロープソケットの各々の前記楔形状部よりも前記懸架部の側に配置され、
前記第1ロープソケットおよび前記第2ロープソケットの各々は、前記懸架部を貫通して延びて前記楔形状部を前記懸架部に取り付けるロッドをそれぞれ含み、
前記ロッドのうち前記懸架部よりも前記楔形状部の側とは反対側の部分に、前記主ロープに張力を付与する付勢部材が装着され、
前記第1ロープソケットの前記ロッドに装着された前記付勢部材と前記懸架部との間に、介在部材が介在されていることを特徴とする主ロープ固定装置。
【請求項2】
前記主ロープの一端部を固定する請求項1に記載の前記主ロープ固定装置と、
前記主ロープの他端部を固定する第2の主ロープ固定装置と、を備え、
前記第2の主ロープ固定装置は、
前記主ロープの前記他端部を懸架する懸架部と、
前記懸架部に取り付けられ、前記第1ロープの前記他端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該他端部を保持する第1ロープソケットと、
前記懸架部に取り付けられた2つの第2ロープソケットであって各々が、対応する前記第2ロープの前記他端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該他端部を保持する2つの第2ロープソケットと、を有し、
前記第2の主ロープ固定装置において、前記第1ロープソケットと2つの前記第2ロープソケットとは、交互に一列状に配置され、前記第2ロープソケットの各々の前記楔形状部は、前記第1ロープソケットの前記楔形状部よりも前記懸架部の側に配置されていることを特徴とするエレベータ装置。
【請求項3】
エレベータの昇降路内を昇降自在な乗りかごと釣合錘とを連結し、交互に一列状に配置された第1ロープと2つの第2ロープとを含む主ロープの一端部を固定する主ロープ固定装置であって、
前記主ロープの一端部を懸架する懸架部と、
前記懸架部に取り付けられ、前記第1ロープの前記一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該一端部を保持する第1ロープソケットと、
前記懸架部に取り付けられた2つの第2ロープソケットであって、各々が、対応する前記第2ロープの前記一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、当該一端部を保持する2つの第2ロープソケットと、を備え、
前記第1ロープソケットと2つの前記第2ロープソケットとは、交互に一列状に配置され、
前記第2ロープソケットの各々の前記楔形状部は、前記第1ロープソケットの前記楔形状部よりも前記懸架部の側に配置され、
前記第1ロープソケットおよび前記第2ロープソケットの各々は、前記懸架部を貫通して延びて前記楔形状部を前記懸架部に取り付けるロッドをそれぞれ含み、
前記ロッドのうち前記懸架部よりも前記楔形状部の側とは反対側の部分に、前記主ロープに張力を付与する付勢部材が装着され、
前記第2ロープソケットの各々の前記ロッドに装着された前記付勢部材と前記懸架部との間に、介在部材がそれぞれ介在されていることを特徴とする主ロープ固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、主ロープ固定装置およびエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータの乗りかごと釣合錘とを連結する主ロープの一端部は、乗りかご(または乗りかごの側の昇降路の天井壁)に設けられた主ロープ固定装置に固定され、他端部は、釣合錘(または釣合錘の側の昇降路の天井壁)に設けられた他の主ロープ固定装置に固定されている。このような主ロープ固定装置における主ロープの固定方式として、主ロープ固定装置のソケットに加熱して溶融させた合金を流し入れて、冷却させて硬化させた合金によって主ロープをソケットに保持するというバビット式の固定方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−199368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータのリニューアル工事では、このようにして主ロープ固定装置に固定された主ロープを交換する場合がある。
【0005】
この場合、新設の主ロープをソケットに保持させるために、上述したように、合金を火等で加熱して溶融させてソケットに流し入れていたため、作業に危険が伴っていた。また、主ロープの長さ調整や張力の調整の際には、合金をその都度加熱することが必要となり、調整作業が困難になり、時間を要していた。このため、主ロープの交換作業に、多くの作業時間が費やされるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、バビット式で固定されていた主ロープの交換作業を安全に短時間で行うことができる主ロープ固定装置およびエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による主ロープ固定装置は、エレベータの昇降路内を昇降自在な乗りかごと釣合錘とを連結し、互いに隣り合う第1ロープおよび第2ロープを含む主ロープの一端部を固定する主ロープ固定装置である。この主ロープ固定装置は、主ロープの一端部を懸架する懸架部と、懸架部に取り付けられ、第1ロープの一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この一端部を保持する第1ロープソケットと、懸架部に取り付けられ、第2ロープの一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この一端部を保持する第2ロープソケットと、を備えている。第1ロープソケットの楔形状部は、第2ロープソケットの楔形状部よりも懸架部の側に配置されている。
【0008】
また、実施の形態によるエレベータ装置は、主ロープの一端部を固定する上述した主ロープ固定装置と、主ロープの他端部を固定する第2の主ロープ固定装置と、を備えている。第2の主ロープ固定装置は、主ロープの他端部を懸架する懸架部と、懸架部に取り付けられ、第1ロープの他端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この他端部を保持する第1ロープソケットと、懸架部に取り付けられ、第2ロープの他端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この他端部を保持する第2ロープソケットと、を有している。第2のロープ固定装置において、第2ロープソケットの楔形状部は、第1ロープソケットの楔形状部よりも懸架部の側に配置されている。
【0009】
さらに、実施の形態による主ロープ固定装置は、エレベータの昇降路内を昇降自在な乗りかごと釣合錘とを連結し、互いに隣り合う第1ロープおよび第2ロープを含む主ロープの一端部を固定する主ロープ固定装置である。この主ロープ固定装置は、複数の貫通穴を有し、主ロープの一端部を懸架する懸架部と、懸架部に取り付けられ、第1ロープの一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この一端部を保持する第1ロープソケットと、懸架部に取り付けられ、第2ロープの一端部を折り返して形成された折返し部が挿入される楔形状部を含み、この一端部を保持する第2ロープソケットと、を備えている。第1ロープソケットおよび第2ロープソケットは、懸架部の対応する貫通穴を貫通して延びて楔形状部を懸架部に取り付けるロッドをそれぞれ含んでいる。第1ロープソケットのロッドの長手方向と、第2ロープソケットのロッドの長手方向は、第1ロープソケットの楔形状部と第2ロープソケットの楔形状部との間隔が、対応する貫通穴の間隔よりも増大するように互いに対して傾斜している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態におけるエレベータ装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態において、主ロープの一端部を固定するための第1主ロープ固定装置を示す図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態において、主ロープの他端部を固定するための第2主ロープ固定装置を示す図である。
図4図4は、バビット式の主ロープ固定装置を示す図である。
図5図5は、図2の第1主ロープ固定装置の変形例を示す図である。
図6図6は、図3の第2主ロープ固定装置の変形例を示す図である。
図7図7は、本発明の第2の実施の形態における主ロープ固定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
まず、図1乃至図4を用いて、本発明の第1の実施の形態における主ロープ固定装置およびエレベータ装置について説明する。ここでは、まず、エレベータ装置について図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内を昇降自在な乗りかご3と、乗りかご3に主ロープ4を介して連結された釣合錘5と、主ロープ4を介して乗りかご3及び釣合錘5を昇降させる巻上機(昇降駆動部)6と、を備えている。主ロープ4は、互いに隣り合う第1ロープ11および第2ロープ12(いずれも図2参照)を含むように構成されて、巻上機6に連結されたトラクションシーブ7と、そらせシーブ8とに巻き掛けられている。このような構成において、巻上機6がトラクションシーブ7を回転駆動し、主ロープ4が巻き上げられて、乗りかご3及び釣合錘5がそれぞれ昇降する。
【0014】
乗りかご3は、乗りかご本体3aと、乗りかご本体3aを支持し、乗りかご本体3aを囲むように形成されたかご枠3bと、を有している。かご枠3bは、乗りかご本体3aの上方に設けられた上梁3cを含んでいる。また、釣合錘5は、釣合錘本体5aと、釣合錘本体5aを支持し、釣合錘本体5aを囲むように形成された錘枠5bと、を有しており、錘枠5bは、釣合錘本体5aの上方に設けられた上梁5cを含んでいる。
【0015】
本実施の形態では、乗りかご3の上梁3cに第1主ロープ固定装置20が設けられ、釣合錘5の上梁5cに第2主ロープ固定装置40が設けられている。そして、主ロープ4の一端部(乗りかご3の側の端部)が第1主ロープ固定装置20に固定され、他端部(釣合錘5の側の端部)が第2主ロープ固定装置40に固定されている。このようにして、各主ロープ固定装置20、40は、乗りかご3と釣合錘5とを連結する主ロープ4の対応する一端部を固定している。
【0016】
以下、主ロープ固定装置20、40について、図2を用いて説明する。第1主ロープ固定装置20と第2主ロープ固定装置40の基本構成は共通しているため、ここでは、まず、共通する構成について説明する。
【0017】
図2に示すように、主ロープ固定装置20、40は、複数の貫通穴21aを有し、主ロープ4の一端部を懸架するヒッチプレート21(懸架部)と、ヒッチプレート21に取り付けられた第1ロープソケット22および第2ロープソケット32と、を備えている。このうち貫通穴21aは、後述するバビット式主ロープ固定装置50において、主ロープ4の第1ロープ11および第2ロープ12を固定するのに適した間隔で形成されている。なお、乗りかご3の側の主ロープ4の端部を固定する第1主ロープ固定装置20にあっては、ヒッチプレート21は、上述した乗りかご3の上梁3cに固定ないし一体化されており、釣合錘5の側の主ロープ4の端部を固定する第2主ロープ固定装置40にあっては、ヒッチプレート21は、釣合錘5の上梁5cに固定ないし一体化されている。
【0018】
第1ロープソケット22は、ソケット本体部23と、ソケット本体部23よりも主ロープ4の側に設けられた楔形状部24と、ソケット本体部23からヒッチプレート21に向って延びて楔形状部24およびソケット本体部23をヒッチプレート21に取り付けるロッド25と、を含んでいる。このうち楔形状部24は、主ロープ4の第1ロープ11の一端部を折り返して形成された折返し部11aが挿入されるように構成されている。より具体的には、楔形状部24は、ヒッチプレート21の側から主ロープ4の側に向って互いに近づくように形成された一対の溝24aを含んでおり、第1ロープ11の端部が、この楔形状部24の溝24aの形状に沿って折り返され、その折り返された先端部11bが、第1ロープ11の本体部11c(巻上機6の側の部分)に重ね合わされて図示しないワイヤグリップ等によって締結されている。そして、第1ロープ11の折返し部11aが挿入された第1ロープソケット22の楔形状部24に、図示しないカバーが取り付けられて、このカバーと楔形状部24とが第1ロープ11を挟み、第1ロープ11の一端部が、第1ロープソケット22に保持される。
【0019】
第1ロープソケット22のロッド25は、ヒッチプレート21の貫通穴21aを貫通して延びており、ロッド25のうちヒッチプレート21よりも楔形状部24の側とは反対側の部分(ヒッチプレート21から突出する部分、図2においてヒッチプレート21の下側の部分)に、コイルばね26(付勢部材)が装着されている。より具体的には、このコイルばね26は、ロッド25を挿通させるようにロッド25に装着されている。また、ロッド25にはナット27が螺着されており、コイルばね26は、ナット27とヒッチプレート21との間に配置されて圧縮され、第1ロープ11に張力を付与するように構成されている。
【0020】
第2ロープソケット32は、上述した第1ロープソケット22と同様の構成を有している。すなわち、第2ロープソケット32は、ソケット本体部33と、ソケット本体部33よりも主ロープ4の側に設けられた楔形状部34と、ソケット本体部33からヒッチプレート21に向って延びて楔形状部34およびソケット本体部33をヒッチプレート21に取り付けるロッド35と、を含んでいる。このうち、楔形状部34は、主ロープ4の第2ロープ12の一端部を折り返して形成された折返し部12aが挿入されるように構成されており、第2ロープ12の一端部が、第2ロープソケット32に保持されている。そして、第2ロープソケット32のロッド35にコイルばね26が装着されてナット27が螺着され、第2ロープ12に張力が付与されるように構成されている。
【0021】
上述したように、主ロープ4は、互いに隣り合う第1ロープ11および第2ロープ12を含んでいる。主ロープ4は、少なくとも1つの第1ロープ11と、少なくとも1つの第2ロープ12と、を含んでいればよく、第1ロープ11の個数と第2ロープ12の個数は、それぞれ限られることはなく任意である。そして、主ロープ固定装置20、40は、第1ロープ11の個数に応じた個数の第1ロープソケット22と、第2ロープ12の個数に応じた個数の第2ロープソケット32と、をそれぞれ含んでいる。図2および図3に示す形態では、一例として、主ロープ4が、1つの第1ロープ11と2つの第2ロープ12とを含んでおり、主ロープ固定装置20、40は、1つの第1ロープソケット22と2つの第2ロープソケット32とを含んでいる。第1ロープ11と第2ロープ12とは交互に並列に配置されており、これに応じて、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32が交互に並列に配置されている。
【0022】
次に、主ロープ4の乗りかご3の側の端部を固定する第1主ロープ固定装置20と、主ロープ4の釣合錘5の側の端部を固定する第2主ロープ固定装置40とにおいて共通していない構成について説明する。
【0023】
第1主ロープ固定装置20においては、図2に示すように、第1ロープソケット22の楔形状部24が、第2ロープソケット32の楔形状部34よりもヒッチプレート21の側に配置されている。このことにより、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32が、主ロープ4の延びる方向(主ロープ4の長手方向、図2の上下方向)において互いに異なる位置に配置され、互いに干渉することを防止しながら、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の間隔(主ロープ4の長手方向に直交する横方向の距離)が増大することを防止している。このような第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の配置を実現するために、本実施の形態においては、第1ロープソケット22のロッド25の長さが、第2ロープソケット32のロッド35の長さより短くなっている。
【0024】
一方、第2主ロープ固定装置40においては、図3に示すように、第2ロープソケット32の楔形状部34が、第1ロープソケット22の楔形状部24よりもヒッチプレート21の側に配置されている。このことにより、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32が、主ロープ4の延びる方向において互いに異なる位置に配置され、互いに干渉することを防止しながら、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の間隔が増大することを防止している。このような第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の配置を実現するために、本実施の形態においては、第2ロープソケット32のロッド35の長さが、第1ロープソケット22のロッド25の長さより短くなっている。
【0025】
また、本実施の形態においては、上述したように、主ロープ4の乗りかご3の側の端部が、図2に示す第1主ロープ固定装置20によって固定され、主ロープ4の釣合錘5の側の端部が、図3に示す第2主ロープ固定装置40によって固定されている。この場合、第1ロープ11の乗りかご3の側の端部を保持する第1ロープソケット22の楔形状部24は、ヒッチプレート21に比較的近くに配置され(図2参照)、第1ロープ11の釣合錘5の側の端部を保持する第1ロープソケット22の楔形状部24は、ヒッチプレート21から比較的遠くに配置される(図3参照)。一方、第2ロープ12の乗りかご3の側の端部を保持する第2ロープソケット32は、ヒッチプレート21から比較的遠くに配置され(図2参照)、第2ロープ12の釣合錘5の側の端部を保持する第2ロープソケット32は、ヒッチプレート21に比較的近くに配置される(図3参照)。このことにより、主ロープ4の第1ロープ11の長さと第2ロープ12の長さを均一化させることができる。とりわけ、第1主ロープ固定装置20における第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の上下方向の位置ずれ量(図2参照)を、第2主ロープ固定装置40における第1ロープソケット22と第2ロープソケット32の上下方向の位置ずれ量(図3参照)と同等にすることにより、第1ロープ11の長さと第2ロープ12の長さをより一層均一化させることができる。
【0026】
ここで、主ロープ4を、バビット式で固定するバビット式主ロープ固定装置50について図4を用いて説明する。
【0027】
図4に示すバビット式主ロープ固定装置50は、上述した第1主ロープ固定装置20または第2主ロープ固定装置40と同様のヒッチプレート21と、ヒッチプレート21に取り付けられたバビット式ソケット51と、を備えている。バビット式ソケット51は、ロープ11、12の端部を、合金で保持している。すなわち、ロープ11、12の一端部をバビット式ソケット51内に挿入し、そのバビット式ソケット51内に、加熱して溶融した合金を流し入れ、冷却して硬化して、ロープ11、12をバビット式ソケット51に接合する。このようにして、バビット式ソケット51がロープ11、12を保持するように構成されている。この場合、バビット式ソケット51内で、ロープ11、12を折り返すことが不要となるため、バビット式ソケット51は、上述した第1ロープソケット22や第2ロープソケット32よりも小形化することができる。このことにより、各バビット式ソケット51とヒッチプレート21との間の距離を等しくして各バビット式ソケット51を横方向に一列状に配置することができる。なお、バビット式ソケット51は、図2図3に示す主ロープ固定装置20、40と同様に、コイルばね26が装着されるとともにナット27が螺着されて、コイルばね26によってロープ11、12に張力が付与されるようになっている。
【0028】
図2図3に示すような本実施の形態による主ロープ固定装置20、40は、図4に示すバビット式主ロープ固定装置50に固定されていた既設の主ロープ4を交換した後に、ロープ11、12の間隔を維持しながら、楔式で主ロープ4を固定するために好適に用いることができる。すなわち、第1ロープソケット22の楔形状部24と、第2ロープソケット32の楔形状部34を、主ロープ4の延びる方向において、異なる位置に配置されるように第1ロープソケット22と第2ロープソケット32とを配置することができ、これにより、バビット式ソケット51によって比較的短い間隔で主ロープ4のロープ11、12を並列配置させていた場合であっても、これと同じ間隔で、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32とを互いに干渉することを防止しながら配置させて、主ロープ4を固定可能になっている。また、この場合、ヒッチプレート21に形成されていたロッド25、35を貫通させるための貫通穴21aを流用することができ、ヒッチプレート21の追加加工を不要とすることができる。
【0029】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、エレベータ装置1のリニューアル工事の際に既設の乗りかご3と釣合錘5は流用しつつ主ロープ4を交換する方法について説明する。より具体的には、既設のエレベータ装置1において、主ロープ4が図4に示すバビット式主ロープ固定装置50に固定され、主ロープ4の交換後に、図2および図3に示す主ロープ固定装置20、40に固定する方法について説明する。
【0030】
まず、図4に示すバビット式主ロープ固定装置50において、ナット27とコイルばね26が取り外される。続いて、主ロープ4のロープ11、12が、バビット式ソケット51とともに取り外される。
【0031】
次に、新設用の各ロープ11、12の両端部に、第1ロープソケット22、第2ロープソケット32がそれぞれ取り付けられる。具体的には、ロープ11、12の端部をロープソケット22、32の楔形状部24、34の溝24a、34aの形状に沿わせて折り返して折返し部11a、12aを形成し、折り返された先端部11b、12bが、ロープ11、12の本体部11c、12cに重ね合わされてワイヤグリップによって締結される。そして、各ロープソケット22、32に、図示しないカバーが取り付けられて、各ロープ11、12の両端部がロープソケット22、32に保持される。
【0032】
その後、各ロープソケット22、32のロッド25、35が、ヒッチプレート21の貫通穴21aに挿入され、ロッド25、35にコイルばね26が装着されてナット27が螺着される。ナット27は、ロープ11、12に所望の張力が付与できる位置に螺着される。
【0033】
このようにして、図2に示す第1主ロープ固定装置20が得られ、図3に示す第2主ロープ固定装置40が得られ、主ロープ4の交換作業が完了する。
【0034】
このように本実施の形態によれば、第1主ロープ固定装置20において、第1ロープソケット22の楔形状部24が、第2ロープソケット32の楔形状部34よりもヒッチプレート21の側に配置されている。このことにより、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32が、主ロープ4の延びる方向において互いに異なる位置に配置され、互いに干渉することを防止しながら、比較的短い間隔で並列配置されている主ロープ4のロープ11、12を、その間隔を維持しながら保持することができる。このため、比較的短い間隔でロープ11、12が並列配置され得るバビット式主ロープ固定装置50によって固定されている既設の主ロープ4を交換する場合であっても、新設の主ロープ4を楔式の主ロープ固定装置20、40によって固定することができる。この結果、バビット式で固定された主ロープ4の交換作業の際に、加熱作業を不要とすることができ、交換作業を安全に短期間で行うことができる。また、この場合、ロープ11、12の間隔を維持することができるため、既設のトラクションシーブ7(図1参照)などを交換することなく流用することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、第1主ロープ固定装置20において、第1ロープソケット22のロッド25の長さが、第2ロープソケット32のロッド35の長さより短くなっている。このことにより、第1ロープソケット22の楔形状部24を、第2ロープソケット32の楔形状部34よりもヒッチプレート21の側に配置することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、主ロープ4の一端部(乗りかご3の側の端部)が第1主ロープ固定装置20によって固定され、主ロープ4の他端部(釣合錘5の側の端部)が第2主ロープ固定装置40によって固定され、第2主ロープ固定装置40において、第2ロープソケット32の楔形状部34が、第1ロープソケット22の楔形状部24よりもヒッチプレート21の側に配置されている。このことにより、第1ロープ11の長さと第2ロープ12の長さを均一化させることができる。この場合、第1ロープ11の張力と第2ロープ12の張力を容易に調整することができる。
【0037】
なお、上述した本実施の形態においては、第1主ロープ固定装置20において、第1ロープソケット22のロッド25の長さが、第2ロープソケット32のロッド35の長さより短くなっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図5に示すように、第1ロープソケット22のロッド25に装着されたコイルばね26とヒッチプレート21との間に、円筒状のブロック60(介在部材)が介在されていてもよい。この場合、ブロック60は、コイルばね26と同様に第1ロープソケット22のロッド25を挿通させるようにロッド25に装着される。このことにより、第1ロープソケット22のロッド25を、第2ロープソケット32のロッド35よりもコイルばね26の側に引き込むことができ、第1ロープソケット22のロッド25の長さと第2ロープソケット32のロッド35の長さとが同一であっても、第1ロープソケット22の楔形状部24を、第2ロープソケット32の楔形状部34よりもヒッチプレート21の側に配置させることができる。
【0038】
また、図5に示す形態は、第2主ロープ固定装置40に適用することも可能である。すなわち、上述した本実施の形態においては、第2主ロープ固定装置40において、第2ロープソケット32のロッド35の長さが、第1ロープソケット22のロッド25の長さより短くなっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図6に示すように、第2ロープソケット32に装着されたコイルばね26とヒッチプレート21との間に、円筒状のブロック60(介在部材)が介在されていてもよい。このことにより、第1ロープソケット22のロッド25の長さと第2ロープソケット32のロッド35の長さとが同一であっても、第2ロープソケット32の楔形状部34を、第1ロープソケット22の楔形状部24よりもヒッチプレート21の側に配置させることができる。また、図5に示す形態と図6に示す形態とを組み合わせることにより、主ロープ4の第1ロープ11の長さと第2ロープ12の長さを均一化させることができる。
【0039】
さらに、上述した本実施の形態においては、主ロープ4の乗りかご3の側の端部を第1主ロープ固定装置20によって固定し、主ロープ4の釣合錘5の側の端部を第2主ロープ固定装置40によって固定する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、主ロープ4の乗りかご3の側の端部は、第2主ロープ固定装置40によって固定され、主ロープ4の釣合錘5の側の端部は、第1主ロープ固定装置20によって固定されていてもよい。また、主ロープ4の少なくとも一端部が、第1主ロープ固定装置20または第2主ロープ固定装置40によって固定されていればよい。この場合であっても、バビット式で固定された主ロープ4の交換作業の際に、加熱作業を削減することができ、交換作業を安全に短期間で行うことが可能となる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、図7により、本発明の第2の実施の形態における主ロープ固定装置およびエレベータ装置について説明する。
【0041】
図7に示す第2の実施の形態においては、第1ロープソケットのロッドの長手方向と、第2ロープソケットのロッドの長手方向は、第1ロープソケットの楔形状部と第2ロープソケットの楔形状部との間隔がヒッチプレートの対応する貫通穴の間隔よりも増大するように互いに対して傾斜しているが主に異なり、他の構成は、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、第1ロープソケット22のロッド25の長手方向と、第2ロープソケット32のロッド35の長手方向は、第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34との間隔が、ヒッチプレート21の対応する(互いに隣り合う)貫通穴21aの間隔よりも増大するように互いに対して傾斜している。
【0043】
より具体的には、図7に示す形態では、主ロープ4が、2つの第1ロープ11と1つの第2ロープ12とを含んでおり、第1主ロープ固定装置20は、2つの第1ロープソケット22と1つの第2ロープソケット32とを含んでいる。第1ロープ11と第2ロープ12とは交互に並列に配置されており、これに応じて、第1ロープソケット22と第2ロープソケット32が交互に並列に配置されている。
【0044】
そして、第1ロープソケット22のロッド25の長手方向が、ヒッチプレート21に対して傾斜し、第2ロープソケット32のロッド35の長手方向が、ヒッチプレート21に対して略垂直になっている。このようにして、第1ロープソケット22のロッド25の長手方向は、第1ロープソケット22の楔形状部24が、隣り合う第2ロープソケット32の楔形状部34から遠ざかる方向に傾斜している。
【0045】
本実施の形態では、図7に示すように、第1ロープソケット22のロッド25に装着されたコイルばね26とヒッチプレート21との間に、円筒状のブロック70(介在部材)が介在されている。この場合、ブロック70は、コイルばね26と同様に第1ロープソケット22のロッド25を挿通させるようにロッド25に装着される。
【0046】
ブロック70のヒッチプレート21の側の面70aとコイルばね26の側の面70bは、互いに対して傾斜している。より具体的には、図7に示す形態では、ブロック70のコイルばね26の側の面70bが、ヒッチプレート21に対して傾斜し、当該面70bに沿ってコイルばね26およびナット27が傾斜している。これにより、コイルばね26およびナット27に沿って第1ロープソケット22のロッド25の長手方向がヒッチプレート21に対して傾斜し、第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34との間隔が、ヒッチプレート21の貫通穴21aの間隔よりも増大している。なお、ロッド25は、ソケット本体部23、33に対して枢動自在に構成してもよい。この場合、ロッド25の傾斜角度に関わらず、主ロープ4の第1ロープ11と第2ロープ12とを略平行にすることができる。なお、主ロープ4の延びる方向における第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34との位置関係は、図7に示す位置関係に限られることなく、例えば、図2に示すように、第1ロープソケット22の楔形状部24が、第2ロープソケット3の楔形状部34よりもヒッチプレート21の側に配置するようにしてもよく、若しくはその逆の関係で配置するようにしてもよく、あるいは、これらの楔形状部24、34が、ヒッチプレート21からの距離が同等となるように横方向に並べて配置するようにしてもよく、任意とすることができる。
【0047】
このように本実施の形態によれば、第1ロープソケット22のロッド25の長手方向と、第2ロープソケット32のロッド35の長手方向は、第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34との間隔が、ヒッチプレート21の貫通穴21aの間隔よりも増大するように互いに対して傾斜している。このことにより、第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34の間隔を増大させて、第1ロープソケット22の楔形状部24と第2ロープソケット32の楔形状部34とが互いに干渉することを防止しながら、既設のヒッチプレート21を流用して、主ロープ4のロープ11、12を保持することができる。このため、比較的短い間隔でロープ11、12が並列配置され得るバビット式主ロープ固定装置50によって固定されている既設の主ロープ4を交換する場合であっても、新設の主ロープ4を楔式の主ロープ固定装置20、40によって固定することができる。また、この場合、既設のヒッチプレート21を交換することなく流用することができるが、ヒッチプレート21の貫通穴21aは、第1ロープソケット22のロッド22の傾斜の程度に応じて、拡大させる追加加工を行ってもよい。
【0048】
なお、本実施の形態においては、図7に示すように、第1主ロープ固定装置20を例にとって説明したが、このことに限られることはなく、図3に示すような第2主ロープ固定装置40に適用することもできる。
【0049】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【0050】
例えば、上述した本実施の形態においては、第1主ロープ固定装置20が乗りかご3の上梁3cに固定されるとともに、第2主ロープ固定装置40が釣合錘5の上梁5cに固定されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1主ロープ固定装置20および第2主ロープ固定装置40は、エレベータ装置1が設置された建屋(昇降路の天井壁など)に固定されていてもよい。この場合、主ロープ4の乗りかご3の側の部分は、乗りかご3の上梁3cに設けられたシーブ(図示せず)に巻き掛けられて第1主ロープ固定装置20に固定され、主ロープ4の釣合錘5の側の部分は、釣合錘5の上梁5cに設けられたシーブ(図示せず)に巻き掛けられて第2主ロープ固定装置40に固定することができる。
【符号の説明】
【0051】
11 第1ロープ、11a 折返し部、12 第2ロープ、12a 折返し部、20 第1主ロープ固定装置、21 ヒッチプレート、22 第1ロープソケット、24 楔形状部、25 ロッド、26 コイルばね、32 第2ロープソケット、34 楔形状部、35 ロッド、40 第2主ロープ固定装置、60 ブロック、70 ブロック、70a ヒッチプレートの側の面、70b コイルばねの側の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7