(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験対象電源が交流電源である場合には、前記基準情報や前記検知情報から、前記試験対象電源から前記抵抗部に供給される電力の交流波形に基づく正弦波を取り除いたもので、前記比較が行われることを特徴とする請求項1に記載の負荷試験装置。
前記選択スイッチが操作され、前記選択スイッチの動作に対応して前記リレーが正常に動作した場合における前記電圧と前記電流の少なくとも一方の時系列変化を示す波形を含み、一定幅の曲線で示される基準波形領域が、前記基準情報として、前記検知情報と比較され、
前記制御部は、前記検知情報を示す波形を前記基準波形領域と重ね合わせした場合に、前記検知情報を示す波形における、前記基準波形領域に含まれる時間帯の長さが、第1閾値よりも短い場合に、前記オフ制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の負荷試験装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態における負荷試験装置1は、冷却ファン10、抵抗部20、筐体30、メインスイッチ50、操作部60、制御部80を備え、発電機などの電源装置(試験対象電源)の負荷試験を行うために用いられる(
図1〜
図13参照)。
【0023】
冷却ファン10は、抵抗部20に冷却風を送る装置で、冷却ファン10の上部に抵抗部20が配置される。
本実施形態では、冷却ファン10と抵抗部20とが縦積みされる形態を説明するが、横方向に並べられる形態であってもよい。
【0024】
冷却ファン10には、ファイバーセンサ、レーザーセンサ、光電センサ、風圧センサなど、ファンの回転状態を検知する回転状態検知部10aが設けられる。
【0025】
回転状態検知部10aは、冷却ファン10の回転数を検知し、回転数に関する情報を制御部80に送信する。
【0026】
抵抗部20は、水平方向に延びる棒状の抵抗器が所定の間隔を空けて複数本並べられ、直列又は並列に接続された抵抗器群が、1以上設けられたもので、負荷試験の際には、当該抵抗器群の一部又は全部に、試験対象電源からの電力が供給される。
抵抗器は、電熱線で構成されたものに限らず、バッテリーなど内部に電力を蓄積出来るものであってもよい。
【0027】
本実施形態では、三相交流電源の負荷試験用として、定格容量5kWの抵抗器群が2つ(第1抵抗器群G1、第2抵抗器群G2)と、10kWの抵抗器群が2つ(第3抵抗器群G3、第4抵抗器群G4)の計4つの抵抗器群が設けられた例を示す。
【0028】
それぞれの抵抗器群には、試験対象電源のR相端子と接続するU相用に直列に接続された2つの抵抗器(第1抵抗器R
1、第2抵抗器R
2)、試験対象電源のS相端子と接続するV相用に直列に接続された2つの抵抗器(第3抵抗器R
3、第4抵抗器R
4)、試験対象電源のT相端子と接続するW相用に直列に接続された2つの抵抗器(第5抵抗器R
5、第6抵抗器R
6)と、第1抵抗器R
1と第2抵抗器R
2の間や、第3抵抗器R
3と第4抵抗器R
4の間や、第5抵抗器R
5と第6抵抗器R
6の間にリレーRSが設けられる。
【0029】
リレーRSは、後述する第1スイッチS1〜第4スイッチS4のオンオフ操作に対応してオンオフ制御され、オン状態の時に対応する抵抗器に電流が流れる状態にする。
リレーRSは、
図3のように、U相用のリレーとV相用のリレーとW相用のリレーが連動してオンオフ動作する三連スイッチでもよいし、それぞれが単独でオンオフ動作する単連スイッチであってもよい。
【0030】
それぞれの抵抗器群における第2抵抗器R
2の一方の端子は、試験対象電源のR相端子と接続するU相端子U
1から延びるU相用線UBと接続され、第4抵抗器R
4の一方の端子は、試験対象電源のS相端子と接続するV相端子V
1から延びるV相用線VBと接続され、第6抵抗器R
6の一方の端子は、試験対象電源のT相端子と接続するW相端子W
1から延びるW相用線WBと接続される。
【0031】
それぞれの抵抗器群における第1抵抗器R
1の一方の端子と、第3抵抗器R
3の一方の端子と、第5抵抗器R
5の一方の端子が短絡される。
【0032】
ただし、抵抗器群の数やそれぞれの定格電圧や定格容量、抵抗器やリレーの配線や、後述する電圧計(若しくは電流計)の配置は上述の構成に限るものではない。
【0033】
抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)には、電圧計など、抵抗器に接続されたブスバーや電気ケーブルと接続して、抵抗部20に印加された電圧を検知する電気信号検知部20aが設けられ、抵抗部20の冷却風の流れの下流(上部)には、当該冷却風の排気温度を検知する温度検知部20bが設けられる。
【0034】
電気信号検知部20aは、抵抗部20に印加された電圧を検知し、電圧に関する情報を制御部80に送信する。
【0035】
電気信号検知部20aは、第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3を有する。
【0036】
第1電圧検知部20a1は、一方の端子が、試験対象電源のR相端子と接続するU相端子U
1から延びるU相用線UB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、他方の端子が、試験対象電源のS相端子と接続するV相端子V
1から延びるV相用線VB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、U相用の抵抗器(第1抵抗器R
1と第2抵抗器R
2)と、V相用の抵抗器(第3抵抗器R
3、第4抵抗器R
4)に印加される電圧を検知する。
【0037】
第2電圧検知部20a2は、一方の端子が、V相用線VB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、他方の端子が、試験対象電源のT相端子と接続するW相端子W
1から延びるW相用線WB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、V相用の抵抗器(第3抵抗器R
3と第4抵抗器R
4)と、W相用の抵抗器(第5抵抗器R
5、第6抵抗器R
6)に印加される電圧を検知する。
【0038】
第3電圧検知部20a3は、一方の端子が、W相用線WB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、他方の端子が、U相用線UB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に接続され、W相用の抵抗器(第5抵抗器R
5と第6抵抗器R
6)と、U相用の抵抗器(第1抵抗器R
1、第2抵抗器R
2)に印加される電圧を検知する。
【0039】
温度検知部20bは、抵抗部20の上部(下流)の排気温度を検知し、排気温度に関する情報を制御部80に送信する。
【0040】
筐体30は、冷却ファン10、抵抗部20、メインスイッチ50、操作部60、制御部80など負荷試験装置を保持するケースである。筐体30における、冷却ファン10の下方の側面(上流)には、吸気口31が設けられ、抵抗部20の上方(下流)には、排気口33が設けられる。
【0041】
吸気口31には、使用時に開き不使用時に閉じる吸気蓋32が設けられ、排気口33には、使用時に開き不使用時に閉じる排気蓋34が設けられる。
【0042】
吸気蓋32は、操作部60(オンオフ操作スイッチ60a)のオンオフ動作に連動して動作する第1アクチュエータ32aを介して、開閉する。吸気蓋32には、近接センサやリミットスイッチなどで構成され、吸気蓋32の開閉状態、すなわち、吸気口31が開口しているかどうかを検知する吸気開口検知部32bが設けられる。なお、第1アクチュエータ32aを使った自動的な開閉に限らず、手動で吸気蓋32を開閉させる形態であってもよい。
【0043】
吸気開口検知部32bは、吸気蓋32が開いているか否かを検知し、吸気蓋32が開いているか否かに関する情報を制御部80に送信する。ただし、更に細かく、吸気蓋32の開閉度合いを検知する形態であってもよい。
【0044】
排気蓋34は、操作部60(オンオフ操作スイッチ60a)のオンオフ動作に連動して動作する第2アクチュエータ34aを介して、開閉する。排気蓋34には、近接センサやリミットスイッチなどで構成され、排気蓋34の開閉状態、すなわち、排気口33が開口しているかどうかを検知する排気開口検知部34bが設けられる。なお、第2アクチュエータ34aを使った自動的な開閉に限らず、手動で排気蓋34を開閉させる形態であってもよい。
【0045】
排気開口検知部34bは、排気蓋34が開いているか否かを検知し、排気蓋34が開いているか否かに関する情報を制御部80に送信する。ただし、更に細かく、排気蓋34の開閉度合いを検知する形態であってもよい。
【0046】
本実施形態では、吸気蓋32や排気蓋34は、いずれも蝶番を介した開き戸で構成される形態を説明するが、引き戸など他の扉構造で構成される形態であってもよい。
【0047】
メインスイッチ50は、真空遮断器(VCB:Vacuum Circuit Breaker)などで構成され、抵抗部20と試験対象電源との間に接続され(U相用線UB上、V相用線VB上、W相用線WB上に設けられ)、オン状態の時に、試験対象電源からの電力が抵抗部20に供給され、オフ状態の時に、試験対象電源から抵抗部20への電力供給が停止される。
【0048】
負荷試験装置1が正常に動作している間は、メインスイッチ50はオン状態にされるが、各検知部からの情報に基づいて,制御部80が負荷試験装置1を構成する部材のいずれかが正常に動作していないと判断した場合(異常を検知した場合)には、メインスイッチ50はオフ状態にされる、すなわち、試験対象電源から抵抗部20への電力供給を停止するオフ制御が行われる。
【0049】
操作部60には、負荷試験装置1の電源をオン状態にしたり、オフ状態にしたりするオンオフ操作スイッチ60aや、負荷量を調整する(試験対象電源からの電力供給を行う抵抗器群を選択する)選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)が設けられる。
【0050】
オンオフ操作スイッチ60aを操作して、負荷試験装置1のメイン電源がオン状態にされると、負荷試験装置の駆動用電源(補機電源)から供給された電力に基づいて、第1アクチュエータ32aが動作して、吸気蓋32が開口し、第2アクチュエータ34aが動作して、排気蓋34が開口する。冷却ファン10のファンは回転し、吸気蓋32の開口部から取り入れた空気を、上方の抵抗部20に送り込む。また、負荷試験装置の駆動用電源(補機電源)から供給された電力に基づいて、制御部80、回転状態検知部10a、電気信号検知部20a、温度検知部20b、吸気開口検知部32b、排気開口検知部34bが作動する。
【0051】
オンオフ操作スイッチ60aとは別に、冷却ファン10用のオンオフスイッチを設け、オンオフ操作スイッチ60aを操作して、負荷試験装置1のメイン電源がオン状態にされた状態で、当該冷却ファン10用のオンオフスイッチを操作して、冷却ファン10のファンの回転を開始させる形態であってもよい。
【0052】
負荷試験装置1のメイン電源がオン状態にされた後、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)を操作して、抵抗部20への通電が可能な状態にされると、メインスイッチ50がオン状態にされ、通電を選択した選択スイッチ60b(第1スイッチS1など)に対応する抵抗器群のリレーRSがオン状態にされ、メインスイッチ50を介して接続された試験対象電源から、抵抗部20における通電可能な抵抗器群に、電力が供給される。
【0053】
例えば、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオン状態で、第3スイッチS3と第4スイッチS4がオフ状態になるように操作された場合は、第1スイッチS1や第2スイッチS2に対応した定格容量5kWの第1抵抗器群G1と第2抵抗器群G2のリレーRSがオン状態にされて、第1抵抗器群G1と第2抵抗器群G2に、試験対象電源からの電力が供給され、第3スイッチS3や第4スイッチS4に対応した定格容量10kWの第3抵抗器群G3と第4抵抗器群G4のリレーRSがオフ状態にされて、第3抵抗器群G3と第4抵抗器群G4には、試験対象電源からの電力は供給されない。
【0054】
操作部60には、吸気蓋警告部61a、排気蓋警告部61b、冷却ファン警告部61c、電流/電圧警告部61d、温度警告部61eが設けられ、吸気蓋警告部61a、排気蓋警告部61b、冷却ファン警告部61c、電流/電圧警告部61d、温度警告部61eに対応する部材の状態の不具合に応じて、吸気蓋警告部61a、排気蓋警告部61b、冷却ファン警告部61c、電流/電圧警告部61d、温度警告部61eが警告用の出力を行う(
図4参照)。
【0055】
吸気蓋警告部61aは、操作部60に設けられた「吸気蓋」欄の近傍に設けられ、吸気蓋32が十分に開いていない場合に、警告用に点灯し、オフ制御が、吸気開口検知部32bからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0056】
排気蓋警告部61bは、操作部60に設けられた「排気蓋」欄の近傍に設けられ、排気蓋34が十分に開いていない場合に、警告用に点灯し、オフ制御が、排気開口検知部34bからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0057】
冷却ファン警告部61cは、操作部60に設けられた「冷却ファン」欄の近傍に設けられ、冷却ファン10が正常に動作していない場合に、警告用に点灯し、オフ制御が、回転状態検知部10aからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0058】
電流/電圧警告部61dに含まれる第1警告部61d1〜第4警告部61d4は、第1スイッチS1〜第4スイッチS4の近傍それぞれに設けられ、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)が操作された時に抵抗部20に印加された電圧の時系列変化(電圧波形)が正常ではない場合に、警告用に点灯し、オフ制御が、電気信号検知部20aからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0059】
例えば、第1スイッチS1を操作した時に、抵抗部20に印加された電圧の時系列変化(電圧波形)が正常でない場合には、電流/電圧警告部61dのうち、第1スイッチS1の近傍に設けられた第1警告部61d1が、警告用に点灯し、オフ制御が第1スイッチS1の操作に起因した電気信号検知部20aからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0060】
また、第1スイッチS1と第2スイッチS2を略同時に操作した時に、抵抗部20に印加された電圧の時系列変化(電圧波形)が正常でない場合には、電流/電圧警告部61dのうち、第1スイッチS1の近傍に設けられた第1警告部61d1と第2スイッチS2の近傍に設けられた第2警告部61d2が、警告用に点灯し、オフ制御が第1スイッチS1と第2スイッチS2の操作に起因した電気信号検知部20aからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0061】
温度警告部61eは、操作部60に設けられた「排気温度」欄の近傍に設けられ、排気温度が高く、抵抗器が正常に冷却されていない場合に、警告用に点灯し、オフ制御が、温度検知部20bからの情報に基づくものであることを光で示す。
【0062】
吸気蓋警告部61a、排気蓋警告部61b、冷却ファン警告部61c、電流/電圧警告部61d、温度警告部61eのいずれも、警告用の点灯(例えば、赤色で点灯)の他に、正常動作中に別の色で点灯(例えば、緑色で点灯)する形態であってもよい。
【0063】
制御部80は、リレーRSや冷却ファン10やメインスイッチ50など、負荷試験装置1の各部を制御する装置で、特に、回転状態検知部10aによる冷却ファン10の動作状況、電気信号検知部20aによる選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)に対応する抵抗器群のリレーRSの動作状況(抵抗部20に印加された電圧の状況)、吸気開口検知部32bや排気開口検知部34bによる筐体30における開口部(吸気口31や排気口33)の開口状態、温度検知部20bによる抵抗部20の下流の排気温度を検知した上で、メインスイッチ50のオフ制御(試験対象電源から抵抗部20への電力供給のオフ制御)を行う。
すなわち、制御部80は、吸気開口検知部32bからの情報、排気開口検知部34bからの情報、回転状態検知部10aからの情報、電気信号検知部20aからの情報、および温度検知部20bからの情報に基づいて、オフ制御を行う。
【0064】
図5のフローチャートを用いて、制御部80によるオフ制御の手順を説明する。ステップS11〜ステップS21の制御は、負荷試験装置1のメイン電源がオン状態にされた後、オフ制御が行われるまで、第1時間t1(例えば、60sec)ごとに行われる。なお、負荷試験装置1のメイン電源がオン状態にされた直後からではなく、第1アクチュエータ32aや第2アクチュエータ34aによって吸気蓋32や排気蓋34が開くのに必要な時間が経過した後で、ステップS11などの手順が開始されるのが望ましい。
【0065】
制御部80は、吸気開口検知部32bからの吸気蓋32の開閉状態に関する情報に基づいて、吸気蓋32が十分に開いているか否かを判断し(ステップS11参照)、開いていないと判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「吸気口31が正常に開いていない」旨の警告を行う(ステップS12参照)。
【0066】
警告の例としては、操作部60における「吸気蓋」欄近傍に設けた吸気蓋警告部61aを点灯させる形態が考えられる(
図4参照)。
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、「吸気口が十分に開いていないので、吸気蓋を開けてください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0067】
制御部80は、排気開口検知部34bからの排気蓋34の開閉状態に関する情報に基づいて、排気蓋34が十分に開いているか否かを判断し(ステップS13参照)、開いていないと判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「排気口33が正常に開いていない」旨の警告を行う(ステップS14参照)。
【0068】
警告の例としては、操作部60における「排気蓋」欄近傍に設けた排気蓋警告部61bを点灯させる形態が考えられる。
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、「排気口が十分に開いていないので、排気蓋を開けてください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0069】
制御部80は、回転状態検知部10aからの冷却ファン10の回転数に関する情報に基づいて、冷却ファン10が十分に動作しているか否か(例えば、冷却ファン10の回転数が閾値以上に回転しているか否か)を判断し(ステップS15参照)、動作していないと判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「冷却ファン10が正常に動作していない」旨の警告を行う(ステップS16参照)。
【0070】
警告の例としては、操作部60における「冷却ファン」欄近傍に設けた冷却ファン警告部61cを点灯させる形態が考えられる。
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、「冷却ファンが十分に動作していないので、冷却ファンを確認してください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0071】
制御部80は、電気信号検知部20aからの抵抗部20に印加された電圧に関する情報に基づいて、抵抗部20に印加された電圧が正常動作時の範囲内であるか否かを判断し、正常動作時の範囲外であると判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「スイッチ操作時における抵抗部20に印加された電圧の波形が正常でない」旨の警告を行う(ステップS17〜S19参照)。
【0072】
具体的には、制御部80は、第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3で得られ時系列で電圧値の変化を示す電圧波形(検知電圧波形、検知情報)を記録しておく(例えば、1msごとに更新する)。
【0073】
ここでいう第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3で得られ制御部80などに記録される電圧波形(検知電圧波形)は、検知した電圧値を時系列に並べた略正弦波形(
図6参照)から、試験対象電源から抵抗部20に供給される電力の交流波形に基づく正弦波を取り除いたもので、リレーRSがオン状態からオフ状態に変化する、若しくはオフ状態からオン状態に変化する際の電圧変化を除けば、略一定の波形を示す(
図7参照)。
【0074】
なお、試験対象電源が直流電源の場合など、検知した波形に試験対象電源からの電力に対応する正弦波が含まれない場合には、正弦波形を取り除く計算は行われない。
【0075】
制御部80は、当該検知電圧波形の中で、現時点(ステップS17の動作開始時点)から遡った過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれかが操作されたか否かを判断する(ステップS17参照)。
【0076】
制御部80は、当該検知電圧波形の中で、過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれかが操作された場合には、操作された時から第2時間t2(<t1、例えば、1ms)の間の電圧波形(
図8参照)を、同じスイッチの操作状態で正常に動作した場合の電圧波形(正常電圧波形、基準情報)と比較する(ステップS18参照)。
【0077】
ここでいう正常に動作した場合の電圧波形(正常電圧波形)は、負荷試験を行う前に予め実験などで得られた電圧値を時系列に並べた略正弦波形(
図9参照)から、試験対象電源から抵抗部20に供給される電力の交流波形に基づく正弦波を取り除いたもので、リレーRSがオン状態からオフ状態に変化する、若しくはオフ状態からオン状態に変化する際の電圧変化を除けば、略一定の波形を示す(
図10参照)。
【0078】
なお、試験対象電源が直流電源の場合など、負荷試験を行う前に予め実験などで得られた電圧波形に試験対象電源からの電力に対応する正弦波が含まれない場合には、正弦波形を取り除く計算は行われない。
【0079】
リレーRSが正常に動作している場合は、第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3で得られ制御部80などに記録される検知電圧波形と、予め制御部80などに記録されている正常電圧波形との間に差異は殆ど生じない。
【0080】
一方、リレーRSが正常に動作していない場合は、第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3で得られ制御部80などに記録される検知電圧波形と、予め制御部80などに記録されている正常電圧波形との間には差異が生じる可能性が高い。
【0081】
例えば、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオン状態で、第3スイッチS3と第4スイッチS4がオフ状態で、第3スイッチS3がオン状態にされた場合には、当該第3スイッチS3がオン状態にされた時から第2時間t2の間の電圧波形(検知電圧波形)と、かかる状態から第3スイッチS3がオン状態にされた時の正常時の電圧波形(正常電圧波形)とを比較する。
【0082】
すなわち、制御部80は、様々なスイッチ状態からある1以上のスイッチが操作された時における正常時の電圧波形のパターンを基準情報として記録しておくのが望ましい。
【0083】
検知電圧波形と、予め記録しておいた正常電圧波形との差異が大きい場合は、正常動作の範囲外であると判断し、制御部80は、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。
【0084】
この場合には、過去第1時間t1の間に操作された選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作していない(リレーRSに異常がある)可能性が高く、制御部80は、検知情報と基準情報の比較の結果に基づいて正常に動作していないと判断されたリレーRSに関する情報の出力として、当該スイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる(ステップS19参照)。
【0085】
すなわち、制御部80は、電気信号検知部20aからの情報であって、選択スイッチ60bが操作された時の電圧の時系列変化を含む検知情報(検知電圧波形)に基づいて、リレーRSが正常に動作しているか否かを判断し、リレーRSが正常に動作していないと判断した場合に、試験対象電源から抵抗部20への電力供給を停止するオフ制御を行う。
【0086】
略同時に複数のスイッチが操作された場合であって、検知電圧波形と正常電圧波形の差異が大きい場合には、当該複数のスイッチのいずれかに対応するリレーRSに異常がある可能性が高く、制御部80は、当該複数のスイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる。
【0087】
過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60bのいずれかの操作が複数回行われた場合には、制御部80は、それぞれの操作が行われた時から第2時間t2の間の電圧波形(検知電圧波形)について、同じスイッチの操作状態で正常に動作した場合の電圧波形(正常電圧波形)と比較し、差異が大きい場合は、オフ制御を行い、操作を行ったスイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる。
【0088】
警告の例としては、操作部60における第1スイッチS1〜第4スイッチS4の近傍に設けられた電流/電圧警告部61d第1警告部61d1〜第4警告部61d4)のうち、不具合が生じた可能性が高いリレーRSに対応するスイッチの近傍に配置されたものを点灯させる形態が考えられる。
【0089】
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、たとえば、「(第1スイッチに対応する第1抵抗器群に印加された電圧の波形が正常ではないので、)第1スイッチに対応するリレー(第1抵抗器群のリレー)を確認してください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0090】
なお、第1電圧検知部20a1で検出した電圧波形で異常が検知された場合には、U相線UBに繋がるリレー若しくはV相線VBに繋がるリレーに異常があることが分かり、第2電圧検知部20a2で検出した電圧波形で異常が検知された場合には、V相線VBに繋がるリレー若しくはW相線WBに繋がるリレーに異常があることが分かり、第3電圧検知部20a3で検出した電圧波形で異常が検知された場合には、W相線WBに繋がるリレー若しくはU相線UBに繋がるリレーに異常があることが分かる。
【0091】
このため、異常があるリレーRSがU相線用のものかV相線用のものかW相線用のものかまで具体的に特定することも出来る。
【0092】
例えば、第1スイッチS1を操作した時に、第1電圧検知部20a1で検出した電圧波形と第2電圧検知部20a2で検出した電圧波形で異常が検知された場合には、第1スイッチS1に対応するリレーRS、すなわち第1抵抗器群G1のリレーRSであって、V相線用のリレーに異常があることを特定することが出来る。
【0093】
このため、リレーRSのうち、U相線用のものかV相線用のものかW相線用のもののいずれに異常があるかまで、警告表示させる形態であってもよい。
【0094】
例えば、第1スイッチS1〜第4スイッチS4のそれぞれの近傍に3つの警告装置を設けて、U相線用とV相線用とW相線用のうち、異常があると判断されたリレーに対応する警告装置を点灯させる形態が考えられる。
【0095】
また、表示装置70に、「(第1スイッチに対応する第1抵抗器群に印加された電圧の波形が正常ではないので、)第1スイッチに対応するリレー(第1抵抗器群のリレー)でU相線用のものを確認してください。」というように、具体的に異常の可能性が高いリレーを示すメッセージを表示させる形態であってもよい(
図11参照)。
【0096】
電圧波形の比較は、例えば、正常時に動作した場合の電圧波形(
図10参照)に対して上下左右に一定の幅を持たせた領域(正常波形領域、
図12参照)を設定し、検知電圧波形が、当該正常波形領域の範囲内にあるかどうかで行われる。
正常波形領域は、正常電圧波形を含み、一定幅の曲線で示される(基準波形領域)。
【0097】
さらに具体的には、検知電圧波形を正常波形領域に重ね合わせするなどして、検知電圧波形で示される電圧値のそれぞれが、正常波形領域の範囲内にあるかどうかが判断され、正常波形領域の範囲内に含まれる時間帯が閾値以上に長ければ、操作された選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作していると判断され、当該時間帯が当該閾値よりも短ければ、当該リレーRSが正常に動作していないと判断される形態が考えられる。
【0098】
試験対象電源からの電力に対応する正弦波を取り除く前の検知電圧波形が
図6に示すような場合は、スイッチ操作後であって当該正弦波を取り除いた電圧波形(
図8参照)は、正常波形領域(
図12参照)の範囲から外れる(検知電圧波形における正常波形領域の範囲内にある時間帯が短い)ので、操作された選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作していないと判断される。
【0099】
試験対象電源からの電力に対応する正弦波を取り除く前の検知電圧波形が
図13に示すような場合は、スイッチ操作後であって正弦波を取り除いた電圧波形は、
図10に示すものと略同等となり、正常波形領域(
図12参照)の範囲内に含まれる(検知電圧波形における正常波形領域の範囲内にある時間帯が長い)ため、操作された選択スイッチ60bに対応するリレーRSは正常に動作していると判断される。
【0100】
なお、閾値を複数設け、オフ制御をせずに警告(情報出力)だけを行う段階と、オフ制御と警告の両方を行う段階を設ける形態であってもよい。
【0101】
例えば、検知電圧波形における正常波形領域の範囲内にある時間帯が第1閾値よりも短い場合は、操作した選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作していない可能性が高いと判断され、オフ制御とともに警告表示が行われ、当該時間帯が第1閾値以上に長く、且つ第2閾値(第2閾値>第1閾値)よりも短い場合は、操作した選択スイッチ60bに対応するリレーRSは将来正常に動作しなくなる可能性が高く交換時期が近いと判断され、オフ制御は行わずに警告表示(例えば、近い将来、故障する可能性が高いリレーRSがあり、修理又は交換を勧める旨の表示)だけが行われ、当該時間帯が第2閾値以上に長い場合は、操作した選択スイッチに対応するリレーRSが正常に動作している可能性が高いと判断され、オフ制御や警告表示を行わない形態が考えられる。
【0102】
かかる警告により、故障により負荷試験装置1が正常に動作出来なくなる前に、リレーRSの交換時期を知らせることが可能になる。
【0103】
本実施形態では、正常時の電圧波形のパターンを基準情報として予め記録しておき、検知電圧波形が当該正常時の電圧波形に似通っている(正常波形領域の範囲内に含まれる)場合は、リレーRSが正常動作していると判断し、似通っていない場合は、リレーRSが正常動作していないと判断する形態を説明した。
【0104】
ただし、異常時の電圧波形のパターンを基準情報として幾つか記録しておき、検知電圧波形が、当該異常時の電圧波形のいずれかに似通っている場合に、リレーRSが正常動作していないと判断する形態であってもよい。
【0105】
また、電圧波形のパターンを正常時のものと比較して異常判断を行う形態に代えて、スイッチを操作した時から電圧変化(単位時間における電圧値の変化量(幅))が所定量よりも小さくなる定常状態になるまでの時間の長さを計測し、正常時のものと比較して異常判断を行う形態であってもよい。
【0106】
ステップS17の判断で、当該電圧波形の中で、過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれも操作されていない場合、ステップS18の判断で、選択スイッチ60bのいずれかが操作されたが、リレーRSが正常に動作していると判断された場合には、ステップS20に進められる。
【0107】
なお、当該電圧波形の中で、過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれも操作されていない場合に、制御部80が抵抗部20の異常を判断する形態であってもよい。
【0108】
具体的には、制御部80は、第1電圧検知部20a1〜第3電圧検知部20a3で得られた電圧波形から、現時点の電圧値(若しくは、現時点から過去第2時間t2の間の電圧の平均値)が、現時点のスイッチ状態に対応した正常時の電圧値と比較する。
【0109】
すなわち、抵抗部20の異常検知を行う場合は、制御部80は、様々なスイッチ状態における電圧値を記録しておくのが望ましい。
【0110】
検出結果の電圧値と、予め記録しておいた正常時の電圧値との差異が大きい場合は、正常動作の範囲外であると判断し、制御部80は、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。
【0111】
この場合には、オン状態にされたスイッチに対応する抵抗器群のいずれかの抵抗器に異常がある可能性が高く、制御部80は、オン状態にされたスイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる。
【0112】
リレーRSの不具合警告用の点灯と、抵抗器の不具合警告用の点灯との区別をつけるため、電流/電圧警告部61dの点灯は、リレーRSの不具合時と、抵抗器の不具合警告時とで異なる点灯動作を行うのが望ましい。若しくは、リレーRSの不具合警告用の点灯装置と別の点灯装置を抵抗器の不具合警告用に設ける形態であってもよい。
【0113】
制御部80は、温度検知部20bからの排気温度に関する情報に基づいて、排気温度が温度閾値を超えているか否かを判断し(ステップS20参照)、超えていると判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「抵抗器が正常に冷却されていない」旨の警告を行う(ステップS21参照)。
【0114】
警告の例としては、操作部60における「排気温度」欄近傍に設けた温度警告部61eを点灯させる形態が考えられる。
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、「抵抗器が正常に冷却されていないので、各部を確認してください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0115】
負荷試験装置1が正常に動作している場合は、吸気蓋32が開いた開口部(吸気口31)から冷却ファン10の吸気が行われ、冷却ファン10からの送風が抵抗部20を通り、排気蓋34が開いた開口部(排気口33)から排出される。
【0116】
試験対象電源からの電力が供給されて、通電された抵抗器群の抵抗器は発熱する。
【0117】
吸気及び排気が正常に行われ、冷却ファン10が正常に動作しており、抵抗器に印加された電圧が正常の範囲内であれば、抵抗器は冷却ファン10からの送風によって冷却され、熱風は排気口33から排出され、負荷試験を安全に行うことが出来る。
【0118】
吸気蓋32が正常に開いていない場合は、吸気が十分に行われないため、冷却ファン10が十分に送風を抵抗器に送り込みにくい状態になる。
【0119】
排気蓋34が正常に開いていない場合は、排気が十分に行われないため、冷却ファン10からの送風が抵抗器に流れにくい状態になる。
【0120】
冷却ファン10が正常に動作していない(正常に回転していない)場合は、抵抗部20に所定量の送風を送り込むことが出来ないため、抵抗器が冷却されにくい状態になる。
【0121】
リレーRSの接点(固定接点、可動接点)に炭化物が蓄積すると、接触抵抗が大きくなり、接触不良を起こしやすくなる。
【0122】
抵抗器が破損したりほこりが付着したりした場合は、短絡などにより、抵抗器に印加される電圧が高くなり、冷却ファン10が正常に動作しても、抵抗器が冷却されにくい状態になる。
【0123】
また、それぞれの機器が正常に動作していても、冷却ファン10は正常動作の範囲内ではあるが回転数が低く(正常動作範囲の下限値に近い)、抵抗器に印加された電圧も正常動作の範囲内ではあるが電圧値が高い(正常動作範囲の上限値に近い)など、冷却能力が低く、冷却対象物の温度が高い場合には、抵抗器が冷却されにくい状態になる場合が考えられる。また、抵抗部20などに異物が混入して、冷却ファン10が正常に動作し、抵抗器群に正常範囲の電圧が印加されていた場合でも、抵抗器が冷却されにくい場合も起こりえる。
【0124】
本実施形態では、制御部80が、回転状態検知部10aによる冷却ファン10の動作状況、電気信号検知部20aによる抵抗部20の電圧の状況、吸気開口検知部32bや排気開口検知部34bによる筐体30における開口部(吸気口31や排気口33)の開口状態、温度検知部20bによる抵抗部20の下流(排気口33近傍)における排気温度を検知した上で、メインスイッチ50のオフ制御を行うため、負荷試験装置1に不具合が生じた場合に、試験対象電源から負荷試験装置1(抵抗部20)への電力供給を停止させる。このため、負荷試験装置1内部の異常検知を適切に行い、負荷試験装置1のさらなる故障を防ぐことが可能になる。
【0125】
特に、電気信号検知部20aを使って、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)に対応するリレーRSの異常を検知する。
選択スイッチ60bの操作直後における波形の変化は、抵抗器の不具合に起因する可能性よりも、操作した選択スイッチ60bに対応するリレーRSの不具合(特に、接触不良)に起因する可能性が高い。
【0126】
リレーRSの接点(固定接点、可動接点)に炭化物が蓄積するなどで、接触不良が起きると、オンオフ時の電圧波形(
図8参照)が、正常時の電圧波形(
図10参照)と異なるものになるため、電圧波形の違い(電圧値の時間推移)で、リレーRSの不具合を検知することが可能になる。
【0127】
このため、選択スイッチ60bが操作された時の電圧の時系列変化を含む検知情報(検知電圧波形)を、正常電圧波形など予め記録された基準情報と比較することで、操作した選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作しているか否かを判断することが可能になる。
【0128】
また、複数のセンサを用いて異常を検知するため、いずれかのセンサに異常があった場合でも、他のセンサで、異常を検知することが可能になる。例えば、回転状態検知部10aに不具合があって、冷却ファン10の回転状態に異常があることを検知出来ない状態であっても、温度検知部20bで排気温度が正常値よりも高いことを検知出来るため、全体として異常を発見することが出来る。
【0129】
また、吸気蓋警告部61aなどを使った警告を行い、不具合の箇所を示すことで、蓋の開口の問題なのか、冷却ファン10の動作不良なのか、リレーRSの不具合なのか(且つどのリレーRSの不具合なのか)、それ以外の不具合(若しくは全体的な不具合)なのか等を視認することが可能になり、不具合の改善を容易に出来るメリットもある。
【0130】
なお、本実施形態における負荷試験装置1は、
図14に示すような低圧の電源に対応した低圧用負荷試験装置に応用することも可能であるし、
図15に示すような高圧の電源に対応した高圧用負荷試験装置に応用することも可能である。
【0131】
ただし、吸気蓋32や排気蓋34が省略され、吸気口31や排気口33が常時開口した負荷試験装置も存在し、この場合には、吸気開口検知部32bや排気開口検知部34bが省略される(
図14参照)。
【0132】
また、警告は、使用者に視認させるために光を使った出力による形態であってもよいし、音声出力による形態であってもよいし、両方を使った警告形態であってもよい。
【0133】
また、本実施形態では、リレーRSの異常検知を、選択スイッチ60bが操作された時に抵抗部20に印加された電圧の波形(電圧の時系列変化)に基づいて行う形態を説明したが、選択スイッチ60bが操作された時に抵抗部20に流れる電流の波形(電流の時系列変化)に基づいてリレーRSの異常検知を行う形態であってもよい(
図16参照)。
【0134】
この場合、電気信号検知部20aは、第1電流検知部20a4〜第3電流検知部20a6を有する。
【0135】
第1電流検知部20a4は、U相用線UB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に設けられ、U相用の抵抗器(第1抵抗器R
1と第2抵抗器R
2)に流れる電流を検知する。
【0136】
第2電流検知部20a5は、V相用線VB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に設けられ、V相用の抵抗器(第3抵抗器R
3と第4抵抗器R
4)に流れる電流を検知する。
【0137】
第3電流検知部20a6は、W相用線WB上であって、抵抗部20とメインスイッチ50の間(若しくは、試験対象電源とメインスイッチ50の間)に設けられ、W相用の抵抗器(第5抵抗器R
5と第2抵抗器R
6)に流れる電流を検知する。
【0138】
また、この場合、
図5のステップS17〜ステップS19の動作は、以下のように置き換えられる。
【0139】
制御部80は、電気信号検知部20aからの抵抗部20に流れる電流に関する情報に基づいて、抵抗部20に流れる電流が正常動作時の範囲内であるか否かを判断し、正常動作時の範囲外であると判断した場合には、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。また、「スイッチ操作時における抵抗部20に流れる電流の波形が正常でない」旨の警告を行う。
【0140】
具体的には、制御部80は、第1電流検知部20a4〜第3電流検知部20a6で得られ時系列で電流値の変化を示す電流波形(検知電流波形、検知情報)を記録しておく(例えば、1msごとに更新する)。
【0141】
ここでいう第1電流検知部20a4〜第3電流検知部20a6で得られ制御部80などに記録される電流波形(検知電流波形)は、検知した電流値を時系列に並べた略正弦波形から、試験対象電源から抵抗部20に供給される電力の交流波形に基づく正弦波を取り除いたもので、リレーRSがオン状態からオフ状態に変化する、若しくはオフ状態からオン状態に変化する際の電流変化を除けば、略一定の波形を示す。
【0142】
なお、試験対象電源が直流電源の場合など、検知した波形に試験対象電源からの電力に対応する正弦波が含まれない場合には、正弦波形を取り除く計算は行われない。
【0143】
制御部80は、当該検知電流波形の中で、現時点(ステップS17の動作開始時点)から遡った過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれかが操作されたか否かを判断する(ステップS17参照)。
【0144】
制御部80は、当該検知電流波形の中で、過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60b(第1スイッチS1〜第4スイッチS4)のいずれかが操作された場合には、操作された時から第2時間t2(<t1、例えば、1ms)の間の検知電流波形を、同じスイッチの操作状態で正常に動作した場合の電流波形(正常電流波形、基準情報)と比較する(ステップS18参照)。
【0145】
ここでいう正常に動作した場合の電流波形(正常電流波形)は、予め実験などで得られた電流値を時系列に並べた略正弦波形から、試験対象電源から抵抗部20に供給される電力の交流波形に基づく正弦波を取り除いたもので、リレーRSがオン状態からオフ状態に変化する、若しくはオフ状態からオン状態に変化する際の電流変化を除けば、略一定の波形を示す。
【0146】
なお、試験対象電源が直流電源の場合など、負荷試験を行う前に予め実験などで得られた電流波形に試験対象電源からの電力に対応する正弦波が含まれない場合には、正弦波形を取り除く計算は行われない。
【0147】
リレーRSが正常に動作している場合は、第1電流検知部20a4〜第3電流検知部20a6で得られ制御部80などに記録される検知電流波形と、予め制御部80などに記録されている正常電流波形との間に差異は殆ど生じない。
【0148】
一方、リレーRSが正常に動作していない場合は、第1電流検知部20a4〜第3電流検知部20a6で得られ制御部80などに記録される検知電流波形と、予め制御部80などに記録されている正常電流波形との間には差異が生じる可能性が高い。
【0149】
例えば、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオン状態で、第3スイッチS3と第4スイッチS4がオフ状態で、第3スイッチS3がオン状態にされた場合には、当該第3スイッチS3がオン状態にされた時から第2時間t2の間の電流波形(検知電流波形)と、かかる状態から第3スイッチS3がオン状態にされた時の正常時の電流波形(正常電流波形)とを比較する。
【0150】
すなわち、制御部80は、様々なスイッチ状態からある1以上のスイッチが操作された時における正常時の電流波形のパターンを基準情報として記録しておくのが望ましい。
【0151】
検知電流波形と、予め記録しておいた正常電流波形との差異が大きい場合は、正常動作の範囲外であると判断し、制御部80は、メインスイッチ50をオフ状態にして、試験対象電源から負荷試験装置1の抵抗部20への電力供給を停止させる。
【0152】
この場合には、過去第1時間t1の間に操作された選択スイッチ60bに対応するリレーRSが正常に動作していない(リレーRSに異常がある)可能性が高く、制御部80は、検知情報と基準情報の比較の結果に基づいて特定したリレーRS(正常に動作していないリレーRS)に関する情報の出力として、当該スイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる(ステップS19参照)。
【0153】
略同時に複数のスイッチが操作された場合であって、検知電流波形と正常電流波形の差異が大きい場合には、には、当該複数のスイッチのいずれかに異常がある可能性が高く、制御部80は、当該複数のスイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる。
【0154】
過去第1時間t1の間に、選択スイッチ60bのいずれかの操作が複数回行われた場合には、制御部80は、それぞれの操作が行われた時から第2時間t2の間の電流波形(検知電流波形)について、同じスイッチの操作状態で正常に動作した場合の電流波形(正常電流波形)と比較し、差異が大きい場合は、オフ制御を行い、操作を行ったスイッチの近傍の電流/電圧警告部61dを点灯させる。
【0155】
警告の例としては、操作部60における第1スイッチS1〜第4スイッチS4の近傍に設けられた電流/電圧警告部61d(第1警告部61d1〜第4警告部61d4)のうち、不具合が生じた可能性が高いリレーRSに対応するスイッチの近傍に配置されたものを点灯させる形態が考えられる。
【0156】
また、操作部60などに、文字表示が可能な表示装置70を設けて、たとえば、「(第1スイッチに対応する第1抵抗器群に流れる電流の波形が正常ではないので、)第1スイッチに対応するリレー(第1抵抗器群のリレー)を確認してください。」というメッセージを表示させる形態であってもよい。
【0157】
なお、第1電流検知部20a4で検出した電流波形で異常が検知された場合には、U相線UBに繋がるリレーに異常があることが分かり、第2電流検知部20a5で検出した電流波形で異常が検知された場合には、V相線VBに繋がるリレーに異常があることが分かり、第3電流検知部20a6で検出した電流波形で異常が検知された場合には、W相線WBに繋がるリレーに異常があることが分かる。
【0158】
このため、異常があるリレーRSがU相線用のものかV相線用のものかW相線用のものかまで具体的に特定することも出来る。
【0159】
例えば、第1スイッチS1を操作した時に、第1電流検知部20a4で検出した電流波形で異常が検知された場合には、第1スイッチS1に対応するリレーRS、すなわち第1抵抗器群G1のリレーRSであって、U相線用のリレーに異常があることを特定することが出来る。
【0160】
電流波形の比較は、電圧波形の比較と同様である。
【0161】
本実施形態では、正常時の電流波形のパターンを基準情報として予め記録しておき、検知電流波形が当該正常時の電圧波形に似通っている(正常波形領域の範囲内に含まれる)場合は、リレーRSが正常動作していると判断し、似通っていない場合は、リレーRSが正常動作していないと判断する形態を説明した。
【0162】
ただし、異常時の電流波形のパターンを基準情報として幾つか記録しておき、検知電流波形が、当該異常時の電流波形のいずれかに似通っている場合に、リレーRSが正常動作していないと判断する形態であってもよい。
【0163】
また、電流波形のパターンを正常時のものと比較して異常判断を行う形態に代えて、スイッチを操作した時から電流変化(単位時間における電流値の変化量(幅))が所定量よりも小さくなる定常状態になるまでの時間の長さを計測し、正常時のものと比較して異常判断を行う形態であってもよい。
【0164】
また、電気信号検知部20aは、電流若しくは電圧の少なくとも一方を検知する形態でもよいが、異常を正確に検知するには、電流と電圧の両方を検知する形態であってもよい。
リレーと抵抗器を含む抵抗器群を有し、負荷試験を行うために試験対象電源と接続される抵抗部と、抵抗器群に、試験対象電源からの電力を供給するか否かを選択するために使用される選択スイッチと、抵抗部に印加された電圧と、抵抗部に流れる電流の少なくとも一方を検知する電気信号検知部と、制御部とを備える。選択スイッチのオンオフ状態に対応して、リレーが動作することにより、試験対象電源からリレーを含む抵抗器群への電力供給が制御されるものであり、制御部は、電気信号検知部からの情報であって、選択スイッチが操作された時の電圧と電流の少なくとも一方の時系列変化を含む検知情報に基づいて、リレーが正常に動作しているか否かの判断を行い、試験対象電源から抵抗部への電力供給を停止するオフ制御を行う。