(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下部電極層、発光層を含む有機層、上部電極層の順に積層され、前記下部電極層及び前記上部電極層のうち少なくとも一方が透明材料からなり、欠陥部を有する有機EL素子を準備する準備ステップと、
強度分布がトップフラット分布であるレーザー光を選択して、当該選択された前記レーザー光を、前記欠陥部の周囲に照射して、前記欠陥部に起因する不良を解消する照射ステップとを含み、
前記照射ステップでは、
前記強度分布がトップフラット分布であるレーザー光が、前記欠陥部のうちの前記透明材料からなる前記下部電極層または前記上部電極層の領域の同一層内における周囲に照射して当該周囲を高抵抗化する
有機EL素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法は、下部電極層、発光層を含む有機層、上部電極層の順に積層され、前記下部電極層及び前記上部電極層のうち少なくとも一方が透明材料からなり、欠陥部を有する有機EL素子を準備する準備ステップと、強度分布がトップフラット分布であるレーザー光を選択して、当該選択された前記レーザー光を、前記欠陥部及び前記欠陥部の周囲のうち少なくとも一方に照射して、前記欠陥部に起因する不良を解消する照射ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0013】
本態様によれば、トップフラット分布を有するレーザー光のみを選択して、欠陥部及び欠陥部の周囲に照射する。よって、上記電極層を加工するエネルギーに満たない強度成分により電極層に隣接する有機層に対して熱ダメージを軽減でき、かつ、均一な強度成分により加工対象の電極層に対しても熱ダメージを軽減できるので、滅点化した不点灯エリアを最小限に抑制でき、リペア精度を高めることが可能となる。
【0014】
また、本発明の一態様は、前記照射ステップでは、ガウス分布状の強度分布を有するレーザー光を、当該レーザー光を発する光源と前記有機EL素子との間に配置された、前記光源からのレーザー光のビーム径よりも小さなスリット幅を有するスリット及び結像光学系を通過させることにより得られた、前記強度分布がトップフラット分布であるレーザー光を照射することが好ましい。
【0015】
本態様によれば、ガウス分布を有するレーザー光のうちトップフラット(トップハット)分布の強度成分のみを、簡便な構成で選択することが可能となる。
【0016】
また、本発明の一態様は、前記照射ステップでは、前記レーザー光を、前記欠陥部のうちの前記透明材料からなる前記下部電極層または前記上部電極層の領域及び当該領域の同一層内における周囲のうち少なくとも一方に照射することが好ましい。
【0017】
本態様によれば、トップフラット分布を有するレーザー光のみを選択して、欠陥部及び欠陥部の電極層領域または同一層内の当該領域周囲に照射する。よって、上記電極層を加工するエネルギーに満たない強度成分により電極層に隣接する有機層に対して熱ダメージを軽減でき、かつ、均一な強度成分により加工対象の電極層に対しても熱ダメージを軽減できるので、滅点化した不点灯エリアを最小限に抑制でき、リペア精度を高めることが可能となる。
【0018】
また、本発明の一態様は、前記スリットのスリット幅は、10〜200μmであることが好ましい。
【0019】
本態様によれば、可視光〜近赤外光のレーザー光において、相互干渉が抑制されたトップフラット分布の強度成分のみを有するレーザーを選択することが可能となる。
【0020】
また、本発明の一態様は、前記レーザー光は、超短パルスレーザーであることが好ましい。
【0021】
本態様によると、超短パルスレーザーの照射により、特に、アモルファス(非晶質)状態の陽極または陰極を、容易に高抵抗化することができる。さらに、他のレーザーでは加工が容易ではない透明導電性材料について、高抵抗化することができる。
【0022】
また、本発明の一態様は、前記透明材料は、金属酸化物であってもよい。
【0023】
これにより、電極の構成材料は、透明な金属酸化物であるので、超短パルスレーザーの照射により、より確実に高抵抗化することができる。
【0024】
また、本発明の一態様は、前記照射ステップでは、前記強度分布がトップフラット分布であるレーザー光が、前記欠陥部のうちの前記透明材料からなる前記下部電極層または前記上部電極層の領域及び当該領域の同一層内における周囲のうち少なくとも一方に多光子吸収されることにより、当該少なくとも一方が高抵抗化される。
【0025】
これにより、多光子吸収により上記陰極または陽極を高抵抗化させるエネルギーに満たない強度成分が当該陰極または陽極を透過して上記有機層に熱ダメージを与えてしまうこと、及び強度ばらつきの大きいレーザー光が電極層に熱ダメージを与えてしまうことを抑制できるので、リペアにより滅点化すべき領域を最小限に抑制でき、リペア精度を高めることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態にかかる有機EL素子の製造方法について図面に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一または相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0027】
(実施の形態1)
<素子構造>
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL素子1の断面概略図である。同図に示した有機EL素子1は、陽極、陰極、及び当該両極で挟まれた発光層を含む有機層を有する有機機能デバイスである。
【0028】
図1に示すように、有機EL素子1は、透明ガラス9の上に、平坦化膜10と、陽極11と、正孔注入層12と、発光層13と、隔壁14と、電子注入層15と、陰極16と、薄膜封止層17と、封止用樹脂層19と、透明ガラス18とを備える。
【0029】
陽極11及び陰極16は、それぞれ、本発明における下部電極層及び上部電極層に相当する。また、正孔注入層12、発光層13及び電子注入層15は、本発明における有機層に相当する。
【0030】
透明ガラス9及び18は、発光パネルの発光表面を保護する基板であり、例えば、厚みが0.5mmである透明の無アルカリガラスである。
【0031】
平坦化膜10は、一例として、絶縁性の有機材料からなり、例えば駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)などを含む基板上に形成されている。
【0032】
陽極11は、正孔が供給される、つまり、外部回路から電流が流れ込むアノードであり、例えば、Al、あるいは銀合金APCなどからなる反射電極が平坦化膜10上に積層された構造となっている。反射電極の厚みは、一例として10〜40nmである。なお、陽極11は、例えばITO(Indium Tin Oxide)と銀合金APCなどからなる2層構造であってもよい。このように、陽極11を、APCなどの高反射率の金属で形成されることにより、照射レーザー光が高反射率の金属で反射されるので、より高効率にフォーカスしたい層にレーザー光を集光することが可能となる。
【0033】
正孔注入層12は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、陽極11側から注入された正孔を安定的に、または正孔の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料であり、例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、アニリンなどの化合物が使用される。
【0034】
発光層13は、陽極11及び陰極16間に電圧が印加されることにより発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が積層された構造となっている。
【0035】
電子注入層15は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、陰極16から注入された電子を安定的に、または電子の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料であり、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)が使用される。
【0036】
陰極16は、電子が供給される、つまり、外部回路へ電流が流れ出すカソードであり、例えば、透明金属酸化物であるITOにより積層された構造となっている。Mg、Ag等の材料により透明電極として形成することもできる。また、電極の厚みは、一例として10〜40nmである。
【0037】
隔壁14は、発光層13を複数の発光領域に分離するための壁であり、例えば、感光性の樹脂からなる。
【0038】
薄膜封止層17は、例えば、窒化珪素からなり、上記した発光層13や陰極16を水蒸気や酸素から遮断する機能を有する。発光層13そのものや陰極16が、水蒸気や酸素にさらされることにより劣化(酸化)してしまうことを防止するためである。
【0039】
封止用樹脂層19は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂であり、上記の基板上に形成された平坦化膜10から薄膜封止層17までの一体形成された層と、透明ガラス18とを接合する機能を有する。
【0040】
上述した陽極11、発光層13及び陰極16の構成は有機EL素子の基本構成であり、このような構成により、陽極11と陰極16との間に適当な電圧が印加されると、陽極11側から正孔、陰極16側から電子がそれぞれ発光層13に注入される。これらの注入された正孔及び電子が発光層13で再結合して生じるエネルギーにより、発光層13の発光材料が励起され発光する。
【0041】
なお、正孔注入層12及び電子注入層15の材料は、本発明では限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
【0042】
また、有機EL素子1の構成として、正孔注入層12と発光層13との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層15と発光層13との間に電子輸送層があってもよい。また、正孔注入層12の代わりに正孔輸送層が配置されてもよいし、電子注入層15の代わりに電子輸送層が配置されてもよい。正孔輸送層とは、正孔輸送性の材料を主成分とする層である。ここで、正孔輸送性の材料とは、電子ドナー性を持ち陽イオン(正孔)になりやすい性質と、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陽極11から発光層13までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。また、電子輸送層は、電子輸送性の材料を主成分とする層である。ここで、電子輸送性の材料とは、電子アクセプター性を有し陰イオンになりやすい性質と、発生した電子を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を併せ持ち、陰極16から発光層13までの電荷輸送に対して適正を有する材料のことである。
【0043】
また、有機EL素子1は、さらに、隔壁14で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラス18の下面に、赤、緑及び青の色調整を行うカラーフィルタ(調光層)を備える構成であってもよい。
【0044】
なお、本発明において、正孔注入層12、発光層13及び電子注入層15を合わせて有機層30と称する。また、正孔輸送層、電子輸送層を有する場合には、これらの層も有機層30に含まれる。有機層30の厚さは、一例として、100nm〜200nmである。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜10、陽極11、有機層30、陰極16、薄膜封止層17及び透明ガラス18を、画素2と称する。
【0045】
さらに、
図1に示した有機EL素子1は、製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物20が混入し、異物20を介して陽極11と陰極16とが短絡している。そして、異物20の周辺である陰極の一部16aを高抵抗化することにより、異物20により短絡された陽極11と陰極16との間の短絡を解消(リペア)した構成となっている。短絡した部分のリペア工程については、後に説明する。
【0046】
図2は、高抵抗化された陰極の形状を表す有機EL素子の上面図である。同図に示すように、本実施の形態では、異物20の周囲の所定領域の陰極16にレーザー焦点が合わされ、レーザーが照射される。例えば、異物20から10μm程度離れた周囲の陰極16に、20μm×20μmの正方形の角周状にレーザーが高効率に照射され、高抵抗化された陰極の一部16aが形成される。
【0047】
<製造方法>
次に、有機EL素子1の製造方法について説明する。
【0048】
図3は、本発明に係る有機EL素子の製造方法を説明するフローチャートである。
【0049】
まず、有機ELパネルを準備する(S10)。有機ELパネルは、有機EL素子と当該有機EL素子を駆動する駆動回路とが形成された画素がマトリクス状に配置されたものである。本工程は、マトリクス状に配置された複数の画素が有する有機EL素子を積層形成する工程であり、準備ステップに相当する。
【0050】
次に、ステップS10で形成された複数の画素が有する有機ELパネルにおいて、画素ごとに有する有機EL素子の短絡状態を検査し、当該短絡状態にある短絡欠陥部を特定する(S20)。
【0051】
最後に、ステップS20で検出された短絡欠陥部をレーザー照射によりリペアする(S30)。ステップS30における工程は、本発明の特徴的な工程である。
【0052】
以上の工程により、高歩留まりで高品質な有機EL素子を有する有機ELパネルが完成する。
【0053】
以下、上述した3工程について、詳細に説明する。
【0054】
まず、有機EL素子を準備する工程(S10)について説明する。
【0055】
図4は、本発明の第1の工程で準備された有機EL素子の断面概略図である。同図には、異物20により陽極11及び陰極16が短絡された有機EL素子1Aの断面構造が表されている。
【0056】
まず、TFTを含む基板上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜10を形成し、その後、平坦化膜10上に陽極11を形成する。陽極11は、例えば、スパッタリング法により、平坦化膜10上にAlが30nm成膜され、その後、フォトリソグラフィ及びウエットエッチングによるパターニング工程を経て形成される。
【0057】
次に、陽極11上に、例えば、PEDOTをキシレンよりなる溶剤に溶かし、このPEDOT溶液をスピンコートすることにより、正孔注入層12を形成する。
【0058】
次に、正孔注入層12の上に、例えば、真空蒸着法によりα−NPD、Alq3を積層し、発光層13を形成する。
【0059】
次に、発光層13の上に、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)を、キシレンまたはクロロホルムよりなる溶剤に溶かしてスピンコートすることにより、電子注入層15を形成する。
【0060】
続いて、電子注入層15が形成された基板を大気曝露させることなく、陰極16を形成する。具体的には、電子注入層15の上に、スパッタリング法によりITO(Indium Tin Oxide)が35nm積層されることにより、陰極16が形成される。このとき、陰極16は、アモルファス状態になっている。
【0061】
上記製造工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子が形成される。なお、陽極11の形成工程と正孔注入層12の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなる隔壁14が所定位置に形成される。
【0062】
次に、陰極16の上に、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により窒化珪素を500nm積層し、薄膜封止層17を形成する。薄膜封止層17は、陰極16の表面に接して形成されるので、特に、保護膜としての必要条件を厳しくすることが好ましく、上記した窒化珪素に代表されるような非酸素系無機材料が好ましい。また、例えば、酸化珪素(Si
XO
Y)や酸窒化珪素(Si
XO
YN
Z)のような酸素系無機材料や、これらの無機材料が複数層形成された構成であってもよい。また、形成方法は、プラズマCVD法に限らず、アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法など、その他の方法であってもよい。
【0063】
次に、薄膜封止層17の表面に、封止用樹脂層19を塗布する。その後、塗布された封止用樹脂層19上に、透明ガラス18を配置する。ここで、透明ガラス18の主面に、予めカラーフィルタ(調光層)が形成されてもよい。この場合には、カラーフィルタが形成された面を下方にして、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18を配置する。なお、薄膜封止層17、封止用樹脂層19及び透明ガラス18は、本発明における保護層に相当する。
【0064】
最後に、透明ガラス18を上面側から下方に加圧しつつ熱またはエネルギー線を付加して封止用樹脂層19を硬化し、透明ガラス18と薄膜封止層17とを接着する。
【0065】
このような形成方法により、
図4に示す有機EL素子1Aが形成される。
【0066】
なお、陽極11、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15及び陰極16の形成工程は、本発明により限定されるものではない。
【0067】
次に、有機EL素子の短絡欠陥部を特定する工程(S20)について説明する。
【0068】
図4において、異物20は、例えば、陽極11の材料であるAlが、陽極11の形成後、陽極11上に付着し、続けて、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16が積層されたために生じたものである。異物20の大きさは、一例として直径が200nm、高さが500nm程度である。異物20により陽極11と陰極16とが短絡されるので、この画素2では有機EL素子は発光せず、滅点画素となる。
【0069】
図5は、本発明の実施の形態に係るステップS20を説明するための動作フローチャートである。
【0070】
まず、ステップS10で形成した有機ELパネルの点灯検査を行う(S21)。具体的には、有機ELパネルが備える駆動回路により、または、外部接続されたソースメータにより、有機ELパネルの有する全画素へ、順バイアス電圧を一斉に印加させる。このとき、同時に、全画素を、CCDカメラなどで撮像する。
【0071】
そして、上記順バイアス電圧印加期間における撮像画像から各画素の発光輝度を算出し、当該発光輝度が所定の閾値以下である画素、いわゆる滅点画素を検出する(S22)。
【0072】
次に、検出された滅点画素を拡大観測する(S23)。具体的には、例えば、カメラ顕微鏡を用いて滅点画素を観測する。
【0073】
このとき、拡大観測された滅点画素の領域において、異物20を特定する(S24)。
【0074】
次に、ステップS22で検出された滅点画素に、逆バイアス電圧を印加してリーク発光する発光点を特定する(S25)。正常画素では、上記逆バイアス電圧により有機EL素子に電流は流れないが、短絡欠陥部を有する有機EL素子では、リーク電流によるリーク発光が短絡箇所で観測される。このリーク発光状態を撮像して得られた画像により、発光画素中のリーク発光点を特定する。具体的には、有機ELパネルが備える駆動回路により、または、外部接続されたソースメータにより、検査対象の画素に所定の逆バイアス電圧を印加させる。そして、上記逆バイアス電圧が印加されている期間に閾値強度以上のリーク発光をした発光点を特定する。なお、逆バイアス電圧印加によるリーク発光は微弱であるため、CCDカメラ等による撮像は、完全遮光環境にて実行されることが好ましい。そして、閾値強度で各撮像点の発光強度を2値化して、リーク発光点の当否を判断する。このようにしてリーク発光点を特定する。
【0075】
なお、CCDカメラは、冷却型CCDカメラが好ましい。これにより、微弱な有機EL素子のリーク発光の撮像においても、所定のS/N比を確保することができる。よって、検査時におけるノイズを排除し、欠陥画素の検出精度が向上する。
【0076】
次に、ステップS24で拡大観測された順バイアス電圧印加における滅点画素の画像と、ステップS25で観測された逆バイアス電圧印加におけるリーク発光点の画像とを合成することにより、当該滅点画素における短絡欠陥部の位置を確定させる(S26)。
【0077】
なお、上述のステップS26における短絡欠陥部位置の確定プロセスでは、順バイアス電圧印加において特定された異物と、逆バイアス電圧印加において特定されたリーク発光点との一致度をもって短絡欠陥部位置を確定させているが、順バイアス電圧印加における異物特定または逆バイアス電圧印加におけるリーク発光点特定をもって短絡欠陥部位置を確定させてもよい。
【0078】
また、短絡欠陥部を有する画素の検出は、上述した方法に限らず、例えば、有機EL素子の陽極11及び陰極16の間に流れる電流値を測定し、電流値の大きさに基づいて検出してもよい。この場合、順バイアス電圧を印加すると正常画素と同等の電流値が得られ、逆バイアス電圧を印加するとリーク発光が観測される画素を、滅点画素と判断してもよい。
【0079】
次に、本発明の要部である、有機EL素子の短絡欠陥部をレーザー照射によりリペアする工程(S30)について説明する。
【0080】
本工程では、レーザー照射波長と同一の波長を有する反射光をモニタするのではなく、有機EL素子を構成する多層膜のうちのある特定層からの放射光をモニタすることにより、当該特定層にレーザー焦点を合わせるものである。上記放射光は、上記特定層での多光子吸収により発生するものであり、当該特定層に固有の波長域を有するものとなり得る。よって、特定層に高効率にレーザーを照射する場合には、当該特定層に対応した放射光をモニタしながら、レーザー源と当該特定膜との距離を調整することで、当該特定層にレーザー焦点を合わせることが可能となる。
【0081】
なお、上述した多光子吸収過程を経て放射された放射光は、各層を構成する材料のバンドギャップ等に基づき、各層と対応づけられるものであるが、当該放射光はこれに限られない。多光子吸収過程を経たものと判断されない放射光であっても、照射するレーザー光波長よりも短波長の光であって、各層と対応づけることが可能である放射光であればよい。
【0082】
図6は、本発明の実施の形態に係るステップS30を説明するための動作フローチャートである。また、
図7は、本発明の実施の形態に係るレーザーリペアを実施するためのシステム構成図である。
図7に記載されたシステムは、レーザー発振器101と、スリット102と、ステージ103と、結像レンズ104と、対物レンズ105とを備える。また、製造仕掛品である、有機EL素子1Aを有する有機ELパネルが、ステージ103の上に固定配置されている。
【0083】
レーザー発振器101は、例えば、波長が532nm〜1600nm、出力エネルギーが1〜30μJ、パルス幅が数フェムト秒から数ピコ秒オーダーである超短パルスレーザーを発振することが可能である。かかる超短パルスレーザーには、例えばフェムト秒レーザーが含まれ、好適なパルス幅の範囲は、100fs〜20psである。超短パルスレーザーの照射により、特に、アモルファス(非晶質)状態の陽極または陰極の構成材料を容易に高抵抗化することができる。さらに、他のレーザーでは加工が容易ではない透明導電性材料について、高抵抗化することができる。
【0084】
本実施の形態においては、陰極16にレーザー焦点を合わせて、陰極16の一部を高抵抗化させている。このとき、陰極16の一部を高抵抗化させることが可能な出力エネルギーの範囲は、照射するレーザーの波長に依存する。過大な出力エネルギーを有するレーザーを陰極16に照射すると、レーザーが陰極16の下方に設けられた有機層30にまで到達し、有機層30が損傷を受けることとなる。また、過小な出力エネルギーを有するレーザーを陰極16に照射すると、陰極16は高抵抗化されない。また、パルス幅が20psec以上のパルス幅のレーザーを照射すると、有機層30は損傷を受けることとなる。これらを総合して、上記レーザー波長の範囲で、かつ上記パルス幅範囲のパルス幅のレーザーを有機EL素子に照射することにより、容易に陰極16の一部を高抵抗化することができる。
【0085】
ステージ103は、高さ方向Z、ならびに平面方向X及びYに可動であり、レーザーリペアする対象物を固定する機能を有する。
【0086】
以下、
図6のフローチャートに従って、リペア工程(S30)を詳細に説明する。
【0087】
まず、異物20による陰極16の短絡領域周辺部にレーザーを照射して当該周辺部を高抵抗化するにあたり、レーザー照射位置及び描画ラインの設定を行う(S31)。具体的には、
図2に示すように、本実施の形態では、異物20の周囲の所定領域の陰極16にレーザーを照射するように、異物20から10μm程度離れた周囲の陰極16に、20μm×20μmの正方形の角周状にレーザーを照射するよう、平面方向の描画ラインの設定を行う。
【0088】
次に、強度分布を有するレーザー光のうち、強度分布がトップフラット分布である強度成分を選択し、当該選択された強度成分のみを、異物20と接触している陰極16の短絡部分の周囲に照射して、異物20に起因する短絡不良を解消する(S32)。ステップS32は、照射ステップに相当する。
【0089】
図8Aは、実施の形態に係る有機EL素子表面におけるレーザー光の強度分布を表すグラフ及びトップフラット分布を拡大したグラフである。
図8Aの上図には、レーザー発振器101を出射したレーザー光の強度分布が表されている。横軸は、ビーム中心からの距離を表し、縦軸は、規格化されたレーザー光のビームエネルギーを表す。また、
図8Aの下図には、レーザー発振器101を出射したレーザー光のトップフラット部の強度分布が表されている。また同図には、スリット102のスリット幅により選択される強度範囲が同時に示されている。
【0090】
レーザー発振器101から出力されるレーザー光の強度分布において、陰極16において多光子吸収過程により吸収される強度は、所定の強度以上であることが必要である。よって、ビーム中心からの距離が大きい所定の強度以下の強度成分を有機EL素子1Aに照射すると、当該成分は陰極16を透過して電子注入層15及び発光層13に熱ダメージを与え変性させてしまう。また、上記所定の強度以上の強度成分のみを陰極16に焦点を合わせて照射した場合であっても、当該所定の強度以上の強度成分において強度ばらつきが大きいと、加工対象の陰極16にも熱ダメージを与えてしまう。上述した電子注入層15、発光層13及び陰極16への熱ダメージにより、リペア後の非発光部が有機層及び陰極16の周辺まで拡大して不点灯エリアが拡大し、リペア品質が劣化してしまうという危惧がある。例えば、レーザー発振器101から出力されるレーザー光のビーム径を4mm、対物レンズ105を20倍とした場合、スリット102を設けない場合には、有機EL素子1Aの表面では、ビーム集光径は5mmとなる。これには、電子注入層15及び発光層13を変性させ、かつ、陰極16を変性させない強度成分が含まれている。
【0091】
これに対して、レーザー発振器101と対物レンズ105との間に、例えば、ビーム集光径よりも小さなスリット幅を有するスリット102と、結像系である結像レンズ104とを設けることにより、トップフラット分布である強度成分のみを有するレーザー光が得られる。ここで、レーザー光がトップフラット分布の強度成分のみであるレーザー光とは、ガウシアン分布の強度分布を有するレーザー光のうち、ビーム中心における最高強度に対して60%以上の強度成分のみが得られるビーム範囲であるレーザー光のことである。
【0092】
本実施の形態では、レーザー発振器101から出射されたガウシアン分布となる強度分布のうち、加工対象である陰極16の部分を均一に高抵抗化するための強度分布のみをスリット102によって透過させ、当該透過した強度成分を結像レンズ104により所望のビーム集光径(〜10μm)に集光する。なお、結像レンズ104を用いないでスリット102のみを用いてトップフラット分布を実現しようとすると、スリット幅を、有機EL素子1A表面に照射すべきビーム径以下の寸法に設定しなければならないが、この場合にはスリット102を透過するレーザー光の相互干渉が強く、却ってトップフラット分布が得られなくなってしまう。よって、スリット102を透過するレーザー光が相互干渉しない程度のスリット幅(10〜200μm)を設定し、スリット102を透過したレーザー光の拡散を回避すべく、結像レンズ104を配置することが好ましい。なお、スリット幅が10μmより小さい場合、上述したようにレーザー光の相互干渉のためトップフラット分布が得られない。一方、スリット幅が200μmより大きい場合、可視光〜近赤外光のレーザー光において透過光の強度成分のばらつきが大きくなりトップフラット分布が得られない。
【0093】
図8Bは、実施の形態に係る有機EL素子表面におけるレーザー光の強度分布を表すグラフ及び強度成分のばらつきが大きい分布を拡大したグラフである。
図8Bの上図には、レーザー発振器101を出射したレーザー光の強度分布が表されている。横軸は、ビーム中心からの距離を表し、縦軸は、規格化されたレーザー光のビームエネルギーを表す。また、
図8Bの下図には、レーザー発振器101を出射したレーザー光のビーム中心から1μmずれた部分の強度分布が表されている。同図における下図に示される強度分布では、スリット102を通過した±150μmのビーム径を有するレーザー光は、15〜20%の強度ばらつきを有している。このレーザー光を、結像レンズ104を用いて集光し、有機EL素子1Aに照射した場合、加工対象の陰極16において多光子吸収以外の吸収モードが発生し陰極16に熱ダメージを与えてしまい、リペア後の非発光部が有機層及び陰極16の周辺まで拡大して不点灯エリアが拡大し、リペア品質が劣化してしまう。
【0094】
なお、有機EL素子に照射するレーザー光のうち、トップフラット分布の強度成分のみを有するレーザー光を陰極16に照射する方法としては、上述したスリット102及び結像レンズ104を通過させる方法に限定されない。
【0095】
ここで、陰極16へのレーザー光照射により生じる多光子吸収過程について説明する。陰極16から放出される放射光の分光スペクトルにおいて観測されるピーク波長は、いずれもレーザー入射波長よりも短波長側に位置する。これは、陰極16が、入射したレーザーにより多光子吸収して励起されることにより、入射レーザーより短波長の光を放射するものと推察される。ちなみに、各積層膜のバンドギャップの差異により、照射対象の積層膜からの放射光の波長は異なる。これより、各積層膜に固有の波長を有する放射光をモニタすることにより、多光子吸収による励起を、加工対象の積層膜に生じさせることが可能となる。
【0096】
図9は、レーザー照射中における有機EL素子の断面概略図である。同図に示すように、異物20が存在する短絡欠陥部を囲むように、当該欠陥部の周囲に、
図8Aに表されたトップフラット分布の強度成分のみを有するレーザー125を照射する。つまり、特定されたレーザー光を、短絡欠陥部のうちの陰極16の領域の同一層内における周囲に照射する。これにより、異物20と電気的に短絡している陰極領域、つまり、陰極の一部16aで囲まれた陰極領域は、他の陰極領域と絶縁され、異物20を介して陽極11と短絡接続される。これにより、陽極11と陰極16との間に流れる電流パスは、陰極の一部16aで囲まれた陰極領域には発生しないが、当該陰極領域以外の陰極領域には正常に発生する。
【0097】
図10Aは、50μm角のスリット幅を有するスリットを通過させたレーザー光を照射した場合の画素発光状態を表す図である。また、
図10Bは、200μmφのスリット幅を有するスリットを通過させたレーザー光を照射した場合の画素発光状態を表す図である。また、
図10Cは、300μm角のスリット幅を有するスリットを通過させたレーザー光を照射した場合の画素発光状態を表す図である。なお、いずれの場合にも、
図7に示されたシステム構成図の通り、レーザー発振器101から出射したレーザー光は、スリット102を通過した後、結像レンズ104及び対物レンズ105を通過して有機EL素子1Aの表面に照射されている。
図10A〜
図10Cは、上述したスリット及び結像レンズを通過したレーザーを画素中央部に直線状に照射した場合の画素発光状態を表している。
【0098】
本発明の有機EL素子の製造方法を用いた結果を表す
図10A及び
図10Bにおいて、50μm角及び200μmφのスリット102を通過させたレーザーの強度分布は、均一な陰極16において多光子吸収を起こさせるトップフラット分布となる。これにより、画素発光状態では、レーザー照射箇所のみ発光輝度が低下するだけであり、当該レーザー照射箇所の周辺部は、発光状態においてレーザー照射の影響を受けない。これは、陰極16のレーザー照射された部分のみが高抵抗化されただけであり、当該部分の上下に隣接する層、及び、当該部分の面内周辺部は変性していないことに起因するものである。
【0099】
一方、
図10Cにおいて、300μm角のスリットを通過させたレーザーの強度分布は、均一な陰極16において多光子吸収を起こさせる強度成分を有するものの、強度ばらつきが大きい分布となっている。これにより、画素発光状態では、レーザー照射箇所だけでなく、当該レーザー照射箇所の周辺部にも非発光である領域が拡散している。これは、陰極16において多光子吸収の他、熱ダメージを与える強度成分が陰極16に照射されることにより、上記照射箇所の周辺部においても陰極16が熱ダメージを受けてしまったことに起因するものである。
【0100】
再び、
図6に戻って、レーザーリペア工程の説明をする。
【0101】
最後に、上述したレーザーリペアにより、短絡欠陥部を有している画素が回復したかを、点灯確認する(S33)。
【0102】
図11は、レーザー描画時及び回復点灯確認時における画素の発光状態を表す図である。ステップS32におけるレーザー描画の間では、短絡欠陥部を有する画素は、描画ラインが繋がらない限り順バイアス電圧を印加しても発光しない。一方、描画ラインが完了した後の回復点灯確認時には、順バイアス電圧の印加により、描画ラインで囲まれた領域は発光しないが、その他の領域は発光することが確認される。これを有機EL発光パネル全体として確認した場合には、20μm×20μmの正方形である領域が非発光であっても、当該非発光部分は視認されず、有機ELパネルの画質が向上する。
【0103】
従来では、輝点欠陥部を構成するダストやパーティクルに焦点を合わせて多光子吸収を利用したレーザー照射を行い、併せて当該輝点欠陥部に近接する陽極、有機層、カラーフィルタ層等を消滅または変性させて、非発光部を形成していた。また、陽極を含む有機層の所定層にレーザーを照射することにより、当該所定層を変性または消滅させ、非発光部を形成していた。しかしながら、
図10Cに記載された実験結果にも示されているように、多光子吸収により陰極16を加工するエネルギーを有する強度成分であっても、当該強度成分のばらつきが大きい場合には、加工対象の陰極16にも熱ダメージを与えてしまう。有機層及び陰極16の上記熱ダメージにより、非発光部が有機層及び陰極16の周辺まで拡大して不点灯エリアが拡大し、リペア品質が劣化してしまうという危惧がある。
【0104】
これに対し、以上説明した有機EL素子の製造方法によれば、強度分布を有するレーザー光のうち、トップフラット(トップハット)分布を有するレーザー光のみを選択して、欠陥部の電極層領域または同一層内の当該領域周囲に照射する。言い換えると、レーザーのガウシアン分布において陰極または陽極の高抵抗化に必要なエネルギー範囲以外のエネルギー成分を光学的にカットし、かつ、均一な強度成分を有することにより、有機層及び電極層へのレーザー吸収を抑制する。よって、上記電極層を加工するエネルギーに満たない強度成分により電極層に隣接する有機層に対して熱ダメージを軽減でき、かつ、均一な強度成分により加工対象の電極層に対しても熱ダメージを軽減できるので、滅点化した不点灯エリアを最小限に抑制でき、リペア精度を高めることが可能となる。
【0105】
<第1の変形例>
図12は、本発明の実施の形態の第1の変形例に係る有機EL素子の断面概略図である。本変形例に係る有機EL素子50は、上述した実施の形態に係る有機EL素子1と比較して、レーザー照射する領域のみが異なり、素子の積層構造及び異物の発生状態は同じである。以下、上記実施の形態と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明する。上記実施の形態では、陰極16を透過して電子注入層15及び発光層13を変性させ、かつ、陰極16を変性させない強度成分が除去されたレーザー光を、異物20を囲むように正方形の角周状に照射したが、本変形例では、異物20を含む方形領域全体にレーザーが照射される。
【0106】
なお、本変形例においても、レーザー照射して上記方形領域を高抵抗化するために、
図6に示すステップS31〜S33を実行する。これにより、レーザー照射によるダメージの発生を抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を確実に解消することができる。
【0107】
本変形例におけるレーザー照射によっても、異物20を含む陰極領域は高抵抗化され、他の陰極領域と絶縁される。これにより、陽極11と陰極16との間に流れる電流パスは、異物20を含む陰極領域には発生しないが、当該陰極領域以外の陰極領域には正常に発生する。
【0108】
<第2の変形例>
次に、本発明の実施の形態の第2の変形例について説明する。本変形例に係る有機EL素子60が上記した実施の形態に係る有機EL素子1と異なる点は、画素52において、陽極と陰極とが導電性異物を介さずに直接接触して短絡しており、当該短絡した部分のリペアを行う点である。
【0109】
図13は、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る有機EL素子の断面概略図である。同図に示した有機EL素子60の積層構造は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図14では、陽極11と陰極16とが、陰極の一部116aにおいて直接接触している。これは、例えば、有機層30の形成工程において短絡部分の位置にピンホールが形成され、その後、陰極16の形成工程において当該ピンホールに陰極16を構成する材料が流入されて陰極16が形成されたために、このように直接接触したものである。そして、陰極の一部116aを高抵抗化することにより、短絡された陽極11と陰極16との短絡を解消した構成となっている。上記実施の形態では、陰極16を透過して電子注入層15及び発光層13を変性させ、かつ、陰極16を変性させない強度成分が除去されたレーザー光を、異物20を囲むように正方形の角周状に照射したが、本変形例では、上記ピンホール部を含む方形領域全体にレーザーが照射される。
【0110】
なお、本変形例においても、レーザー照射して上記方形領域を高抵抗化するために、
図6に示すステップS31〜S33を実行する。これにより、レーザー照射によるダメージの発生を抑制しつつ、陽極と陰極との短絡を確実に解消することができる。
【0111】
本変形例におけるレーザー照射によっても、上記ピンホール部を含む陰極領域は、陽極11と絶縁される。これにより、陽極11と陰極16との間に流れる電流パスは、上記ピンホール部を含む陰極領域には発生しないが、当該陰極領域以外の陰極領域には正常に発生する。
【0112】
なお、本発明は、上記した実施の形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形を行ってもよい。
【0113】
例えば、上述した実施の形態では、下部電極を陽極、上部電極を陰極とする構成について示したが、下部電極を陰極、上部電極を陽極とする構成であってもよい。また、有機EL素子の構成である平坦化膜、陽極、正孔注入層、発光層、隔壁、電子注入層、陰極、薄膜封止層、封止用樹脂層及び透明ガラスは、上記した実施の形態に示した構成に限らず、材料や構成、形成方法を変更してもよい。例えば、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層と発光層との間に電子輸送層があってもよい。また、隔壁で分離された各発光領域を覆うように、透明ガラスの下面に、赤、緑及び青の色調整を行うカラーフィルタを備える構成であってもよい。上述したフェムト秒レーザーは、カラーフィルタを透過することができるため、当該カラーフィルタを介して短絡を解消することができる。
【0114】
また、レーザーの照射位置は、上述した実施の形態に限定されず、異物や短絡部分を含む所定の範囲に設定されてもよいし、異物や短絡部分のみに設定されてもよい。また、異物や短絡部分の周囲を囲むように設定されてもよい。また、レーザーの照射は、陰極に限らず陽極に対して行われてもよい。
【0115】
また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態及びその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、例えば、
図14に示すような、有機EL素子を備えた薄型フラットテレビシステムの製造に好適である。