(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器内部に孔を有する金属板を設け、その金属板によって下室及び上室に分割されており、該下室には粉体状化粧料を収納し、上室には請求項1〜4のいずれかに記載の化粧用接触冷感パフを収納してなる粉体状化粧料用容器。
【背景技術】
【0002】
日常生活の中で化粧をするときに、使用する化粧料にあわせて様々な化粧用具が使用されている。その中でスポンジパフは液体の化粧料、あるいは粉体等の固体の化粧料を塗布する際に広く使用されている。
近年、このスポンジパフを夏場の暑い時期に使用する際に、発汗すると化粧を円滑に行えないばかりか、意図する化粧を行うことが困難であり、冷たさを感じたいとの要望が高まってきた。そのため、固体の化粧料を塗布する際に予めスポンジパフを水で濡らして使用する化粧方法が提案されている。
【0003】
一方、肌に直接接触すると冷たさを感じる接触冷感生地が知られている。接触冷感は肌から生地へ瞬時に移動する熱量が多い場合に感じる。そして、接触冷温感評価値(qmax値)を測定することにより、生地の接触冷感度合いを評価することができる。なお、特許文献1には、衣類に使用する生地の接触冷感は、qmax値が0.2J/sec/cm
2(W/cm
2)以上、好ましくは0.23〜0.27J/sec/cm
2(W/cm
2)であると良いとの記載がある。
なお、接触冷感生地は、衣類や寝具等にひんやり感を付与するために利用されているが、化粧用パフの生地等には使用されていない。
これまで、化粧用パフとしては使用感や化粧性等の化粧用としての目的に即した性質を向上させるためのものがあるが、化粧時に冷感を感じさせることまでを考慮してない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の化粧用接触冷感パフの構造)
本発明の化粧用接触冷感パフは、従来のパフと同様に内部に発泡体やスポンジなどの柔軟な素材を基体として設けることができる。その基体としては、低反発性ポリウレタン、軟質ポリウレタン、シリコーン樹脂発泡体、多孔質NBR、不織布、スポンジ等の公知の素材を使用することができ、その大きさや厚さも公知のパフと同程度でよい。
気泡を有する基体であれば、その気泡は独立気泡、連続気泡又はこれらの混在型種々の形態のいずれでも良い。その密度(又は空隙率)は、目的に応じて製造工程での発泡倍率の制御により所定の範囲に設定できる。
基体を被覆する表面基材は薄いので、本発明の化粧用接触冷感パフの形状は基体の形状によって決定される。該基体の形状は円盤状が一般的ではあるが、角が円くなった扁平な四角形状、球状、棒状等任意の形状とすることができる。
また上記の素材ではなく、樹脂ビーズを充填した袋状物を採用することができ、そのような基体を採用した場合には、極めて柔軟な基体と伸縮性に優れた表面基材を組み合わせることによって、肌への密着性がさらに向上する。
また公知のパフのように、パフの片面に指を差し込むための隙間を形成できるよう、パフの一端に帯状物の一端を、パフの他端に帯状物の他端を固定することができる。
【0010】
本発明の化粧用接触冷感パフは、表面基材として特にqmax値が大きい値を示す素材を使用することが、使用時に冷感を与えることができる点において重要である。
表1に表面基材用生地のqmax値を示す。
【0012】
qmax値が0.2J/sec/cm
2(W/cm
2)以上であれば接触冷感性能があると考えらるが、上記の各種表面基材の中でも、EVOH(パイルなし)が最も高いqmax値を示しており、使用時に接触冷感を感じさせるための表面基材としては優れることがわかる。他にも、ポリアミド、ポリエステル、綿等も比較的優れた接触冷感性能を示す。
表面基材が同じ場合には、パイルあり生地よりもパイルなし生地の方が接触冷感性に優れる。
【0013】
このように、本発明においてはqmax値が高ければ特に表面基材の種類を問わず、パイルの有無も問わないが、qmax値が高いことを前提に化粧時の肌触りに優れた素材が好ましい。
本発明におけるqmax値は0.2J/sec/cm
2(W/cm
2)以上であれば良いが、好ましくは0.25J/sec/cm
2(W/cm
2)以上、より好ましくは0.3J/sec/cm
2(W/cm
2)以上、さらに好ましくは0.35J/sec/cm
2(W/cm
2)以上である。
【0014】
(本発明の化粧用接触冷感パフの製造)
上記基体を表面基材により被覆する場合、基体の全面を被覆しても良いし、該基体のなかで化粧時に皮膚へ接触しない面に面した部位については、本発明における表面基材ではない素材によって被覆することもできる。
被覆方法としては、基体を1枚以上の表面基材で被覆して、表面基材の端部同士を縫製することにより被覆する方法、あるいは基体を1枚以上の表面基材により被覆して、その端部同士を熱融着する方法を採用できる。熱融着手段としては熱ロール、熱プレス、熱風処理、超音波加熱等任意の手段を採用できるが、表面基材同士を熱融着することに鑑みて、微細な部位を熱融着できる手段が好ましい。
【0015】
熱融着することにより表面基材を被覆する場合には、基体と表面基材との接着性を付与するために、基体と表面基材との間にホットメルトシート層を設けることができる。
該ホットメルトシート層が加熱されることによって基体と接着し、かつ表面基材とも接着することによって、結果的に基体と表面基材が固定される。また、基体端部において表面基材の端部同士を熱融着する際にも、該ホットメルトシートを介在させることにより接着強度をより高くすることが可能である。
また、該ホットメルトシートを基体と表面基材との間の一部、例えば片面等に設けてもよい。
【0016】
該ホットメルトシートの素材は、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イソブチレン等のポリオレフィン類、ブチルゴム、ニトリルゴムなどの各種ゴム類、エポキシ、シリコーン変性エポキシ、アクリル変性エポキシ系等のエポキシ類、シリコーン類、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン類又はアイオノマー類等の低融点ポリマーからなる繊維から構成される不織布又は任意の不織布基材にこれらの低融点成分を含有させた不織布などを用いることができる。該ホットメルトシートの形態は、特に限定されるものではない。加工性、取扱い性の点で、これら素材の融点は、60〜130℃程度が好ましい。
融点が、60℃を下回ると常温での粘着性が大きくなり加工性、取扱い性が悪くなり、130℃を越えると、接合強度を向上し難くなるからである。好ましくは、70〜120℃程度である。これらの中で、表面基材や基体との溶着安定性、伸縮性を具備する点で、ポリアミド系、ポリウレタン系、ゴム系のものが特に好ましい。
【0017】
(本発明の化粧用接触冷感パフの使用)
本発明の化粧用接触冷感パフは、パウダリー化粧料、液状化粧料、リキッドファンデーション、ペースト又はクリーム等各種の化粧料を対象として使用することができるが、パウダリー化粧料用とすることが好ましい。
使用者は化粧用接触冷感パフを片手に持ち、パウダリー化粧料であればその化粧料入りの容器内の化粧料表面に化粧用接触冷感パフの塗布面を付けて、該塗布面に該パウダリー化粧料を移した後に、肌に該塗布面を数回付ける等して化粧を行う。
液状化粧料、リキッドファンデーション、ペースト又はクリームを使用する場合には、化粧用接触冷感パフの塗布面にこれらの化粧料をチューブ等から付け、これを拡げるようにして化粧用接触冷感パフを肌に付ける。
【0018】
特に本発明の化粧用接触冷感パフを使用する場合には、該パフの塗布面に化粧料を付ける度、または該パフの塗布面に化粧料を付ける動作を数回行う度に、該塗布面を金属板に押しつける等して付着させて、肌から伝熱して温度が上昇した該塗布具表面の熱を該金属板に放熱させることができ、そのような動作によって本発明の化粧用接触冷感パフを使用して、さらに継続してひんやりとした感触を得ることが可能となる。
下記表2に示すように、ステンレス等の金属板はqmax値が大きいので、使用中の本発明の化粧用接触冷感パフを金属板に付けることにより、極めて効率良く化粧用接触冷感パフの熱を吸熱することができる。本発明において使用できる金属板は下記表2に示す金属板でも良く、その他の金属からなる板でも良い。
【0020】
(本発明の粉体状化粧料用容器)
本発明の粉体状化粧料用容器を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の粉体状化粧料用容器1を示し、内部に本発明の化粧用接触冷感パフ2を収納している。粉体状化粧料用容器1には
図1において透明なものとして示した蓋3を有しており、未使用時には内部に化粧用接触冷感パフ2を収納して蓋3を閉めた状態とされている。
【0021】
粉体状化粧料用容器1の材質、大きさ、蓋の開閉機構は、公知の粉体状化粧料用容器と共通するもので良く、必要量の粉体状化粧料と本発明の化粧用接触冷感パフを収納可能な大きさであればよい。その結果、該粉体状化粧料用容器1全体を片手にて反転するなどすることができる。
特に、本発明の粉体状化粧料用容器1は粉体状化粧料を収納する下室と本発明の化粧用接触冷感パフを収納するための上室とを備えている。
図2には、蓋3を閉じた状態での粉体状化粧料用容器1が示されており、化粧用接触冷感パフは容器外に出されている。また、
図3は粉体状化粧料用容器1の蓋3をとり、内部の化粧用接触冷感パフを取り出した容器を上方からみた図が記載されている。
この
図2及び3からわかるように、粉体状化粧料用容器1には孔が開けられた金属板4が設置されており、その金属板4によって、粉体状化粧料用容器1は上室と下室に分けられている。
【0022】
粉体状化粧料5が充填され、かつ化粧用接触冷感パフ2が備えられてなる本発明の粉体状化粧料用容器1の断面を
図4に示す。
図4において、本発明の粉体状化粧料用容器1内に金属板4にて区切られた上室6及び下室7が形成されている。金属板4には孔8が形成され、粉体状化粧料は該孔8を通過することができる。
金属板4により区切られた上室6には化粧用接触冷感パフ2が収納されており、その塗布面が金属板4に接している。蓋3を閉めた状態において、該化粧用接触冷感パフ2は金属板4に押しつけられていてもよい。
【0023】
該化粧用接触冷感パフ2を収納することにより、未使用時に粉体状化粧料用容器が転動して該孔8を通過した粉体状化粧料がパフの塗布面でない背面側の指を添える面に付着することを防止する。このようにして収納することにより使用時に指に粉体状化粧料5が付着することを防止する。
粉体状化粧料用容器1を使用し、化粧用接触冷感パフ2によって化粧を行う際に、該化粧用接触冷感パフ2に粉体状化粧料5を付着させて化粧を継続させる際には、
図5に示すように一旦化粧用接触冷感パフ2を上室6に収納して蓋3を閉めた後に、粉体状化粧料用容器1を手でもって上下反転させることによって、下室に充填された粉体状化粧料5を金属板4に形成された孔8を通じて上室6内に収納した化粧用接触冷感パフ2の塗布面に付着させる。
続いて、化粧用接触冷感パフ2の塗布面に粉体状化粧料5を付着させたら、蓋3を開けて化粧用接触冷感パフ2を取り出して、化粧を続けることができる。
【0024】
上記においては、本発明の粉体状化粧料用容器を示して金属板が該容器内にある場合を説明したが、本発明の化粧用接触冷感パフを使用する際には、金属板を使用しなくても所定の効果を発揮できる。
金属板を使用する場合においては、必ずしも金属板を粉体状化粧料用容器内に設けなくても、該パフの塗布面を容器内ではない箇所、例えば容器外面に設けた金属板部分に押しつける等して付着させることによって、金属板を使用しない場合と比較して、よりひんやりとした感触を得ることが可能である。
加えて金属板を粉体状化粧料用容器とは別に用意することも可能であり、別に金属板を用意して、化粧時にその金属板にパフの塗布面を付着させることもでき、そのような手段によってもよりひんやりとした感触を得ることができる。
【0025】
このような金属板を使用して、本発明の化粧用接触冷感パフを使用して粉体状化粧料を使用する化粧方法を説明する。
下記の実施例にて用意した化粧用具としては、本発明の化粧用接触冷感パフを収納した粉体状化粧料用容器であり、該粉体状化粧料用容器は、容器内部に孔を有する金属板を設け、その金属板によって下室及び上室に分割されてなり、該下室には粉体状化粧料を収納し、上室には化粧用接触冷感パフを収納してなる粉体状化粧料用容器である。
このような粉体状化粧料用容器を採用することにより、容器とは別に金属板を持つ必要がなく、化粧用接触冷感パフの塗布面に粉体状化粧料を付着させる度に同時に金属板にも接触することができる。
【実施例】
【0026】
qmax値(接触冷温感評価値)の測定方法
9cm
2、質量9.79gの純銅板に熱を蓄えて40℃とする。これを各種表面基材の温度が20℃の試料物体の表面に接触させた直後、蓄えられた熱量が低温側の試料物体に移動する熱流の単位面積当たりの最大値をqmax値として測定する。この値が大きいほど熱流速が早く冷たく感じることができる。
【0027】
(実施例1)
化粧用接触冷感パフの生地となる表面基材として接触冷感生地「ソフィスタ」((株)クラレ製)(qmax値が0.372J/sec/cm
2(W/cm
2))と、中芯となる基体として軟質ポリウレタンをそれぞれ所定の形状に裁断した。次に、裁断した表面基材に基体をセットし、表面基材の表返しをした後、形状を調整すると共にリボンの位置決めをし、最後に口閉じをして、化粧用接触冷感パフを製造した。
なお、この化粧用接触冷感パフで化粧した際の使用感について、化粧料として「コスメデコルテ ラクチュール ルースファンデーション」((株)コーセー)を使用し、パネラーに評価してもらった。その結果、クール感があり肌すべりが良い、伸縮性のある生地で細部へのフィット感も良い、適度にパウダーをキャッチ・アンド・リリースし、ムラなく肌に広がるとの評価であった。
【0028】
(実施例2)
上記実施例1に記載の化粧用接触冷感パフにおいて、中芯となる基体として樹脂ビーズ入り袋状物を用いた以外は実施例1と同様にして化粧用接触冷感パフを製造した。
なお、この化粧用接触冷感パフで化粧した際の使用感について、実施例1と同様にパネラーに評価してもらった。その結果、クール感があり肌すべりが良い、伸縮性のある生地で細部へのフィット感も良い、適度にパウダーをキャッチ・アンド・リリースし、ムラなく肌に広がるとの評価であった。
【0029】
(試験例1)
実施例1で製造した化粧用接触冷感パフの接触冷感を持続させる方法について検討した。すなわち、この化粧用接触冷感パフをステンレス板(150mm×300mm×0.5mm)に3秒間接触させた後、右頬に3秒間接触させるという動作を1サイクルとして、この動作を80サイクル行い、サーモグラフィーにて頬の温度変化を観察した。
【0030】
その80サイクルを行う動作中の適用部位である右頬表面の温度変化を、
図6A〜Eに示すサーモグラフィの結果の模式図によって説明する。左頬には化粧を施さないので、右頬表面の温度変化に対する対照とする。
図6Aは化粧開始前の両頬の様子であり、左右の頬は共に通常の皮膚温程度である。これに対して、20サイクル終了後の
図6Bにおいては、若干右頬の表面温度が低下するようであり、40サイクル終了後を
図6Cで、60サイクル終了後を
図6Dで、及び80サイクルを
図6Eで、これらのサイクルの終了後の頬の様子を、それぞれ
図6A〜Eに示す模式図にて示す。
【0031】
この
図6A〜Eに示すようにサイクルを重ねる毎に右頬の表面温度が低下しており、化粧された肌表面はひんやりと冷感を感じることが理解できる。本試験例においては、80サイクル終了後において、化粧前よりも約3℃の温度低下が確認された。
このことから、本発明の化粧用接触冷感パフを使用するに際して、ステンレス等の金属板に接触させることにより、常に接触冷感を維持した化粧用接触冷感パフとすることができることがわかった。
【0032】
(試験例2)
本発明の化粧用接触冷感パフを金属板に接触させた後、頬に粉体状化粧料を塗布した場合と、従来のボアパフを同様に金属板に接触させた後、頬に粉体状化粧料を塗布した場合を比較すると、前者の場合には
図6Dで示す程度に表面温度が約2℃低下したのに対し、後者の場合にはほとんど肌の表面温度が低下しなかった。
この結果によれば、金属板に接触させた後に粉体状化粧料を頬に塗布する際に、本発明の化粧用接触冷感パフを選択使用することによって、初めて肌の表面温度を低下させることができることを確認できた。
【0033】
(試験例3)
本発明の化粧用接触冷感パフを金属板に接触させずに、頬に粉体状化粧料を塗布した場合と、従来のボアパフを金属板に接触させた後、頬に粉体状化粧料を塗布した場合を比較すると、前者は
図6Cで示す程度に皮膚の表面温度が2℃弱低下したのに対し、後者の場合にはほとんど肌の表面温度が低下しなかった。
この結果によると、本発明の化粧用接触冷感パフを金属板に接触させない場合であっても、肌の表面温度を低下させることができるという効果を発揮する。