特許第5963358号(P5963358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963358
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】点火制御装置および点火制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02P 5/15 20060101AFI20160721BHJP
   F02P 1/08 20060101ALI20160721BHJP
   F02P 3/04 20060101ALI20160721BHJP
   H01F 38/12 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
   F02P5/15 N
   F02P1/08 301B
   F02P3/04 301A
   F02P3/04 301B
   !H01F38/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-248470(P2012-248470)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-95364(P2014-95364A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】東城 徳三
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−328959(JP,A)
【文献】 特開昭61−226568(JP,A)
【文献】 特開2005−307761(JP,A)
【文献】 実開昭58−189371(JP,U)
【文献】 実開昭56−105667(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 1/00− 3/12
F02P 5/15
F02P 7/00−17/12
H01F 38/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘導されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御装置であって、
前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子と、
前記パルス信号を用いて前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出部と、
前記回転速度算出部により算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定部と、
前記タイミング設定部により設定されたタイミングを用いて、前記スイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成部と、
を備え、
前記タイミング設定部は、
前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定する、
火制御装置。
【請求項2】
前記タイミング設定部は、
マイクロコンピュータのタイマ機能を用いて、前記イグニッションコイルの通電の停止を制御するためのタイミングを設定する、請求項1に記載の点火制御装置。
【請求項3】
内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘起されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御装置であって、
前記イグニッションコイルに誘起されるパルス信号から当該点火制御装置の動作に必要とされる電源電圧を生成する電源生成部と、
前記イグニッションコイルに誘起される前記パルス信号から第1パルスを生成する第1パルス信号生成部と、
前記イグニッションコイルに誘起される前記パルス信号から前記第1パルスに続く第2パルスを生成する第2パルス信号生成部と、
前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子と、
前記パルス信号を用いて前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出部と、
前記回転速度算出部により算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定部と、
前記タイミング設定部により設定されたタイミングを用いて、前記スイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部により生成された信号に基づいて前記スイッチ素子を駆動する駆動部と、
を備え、
前記タイミング設定部は、
前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定する、
火制御装置。
【請求項4】
内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘導されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御方法であって、
前記パルス信号に基づき前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出過程と、
前記回転速度算出過程において算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定過程と、
前記タイミング設定過程により設定されたタイミングを用いて、前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成過程と、
を含み、
前記タイミング設定過程において、
前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定する、
火制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の点火制御装置および点火制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の点火制御装置として、バッテリー等の外部電源を必要としない誘導放電型(または電流遮断型)の点火制御装置がある(特許文献1)。この点火制御装置によれば、フライホイールの回転に伴ってイグニッションコイルが発生するパルスを用いて該イグニッションコイルの通電(通電の開始と通電の停止)を制御する。そして、イグニッションコイルの通電を停止させたときに発生する高電圧により点火プラグにスパークを発生させてシリンダー内の燃料混合気に点火する。従来、この種の点火制御装置は、コンデンサ、抵抗、ツェナーダイオード、トランジスタ等の回路素子から構成され、所望の点火タイミングが得られるように回路定数が設計段階で設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−307761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術によれば、点火のタイミングは、例えばCR時定数を用いて設定される。このため、例えば使用環境温度が変化すると、CR時定数を定めるコンデンサの容量値や抵抗の抵抗値などの回路定数が変化し、目標とするタイミングで点火を実施することが困難になる。また、上述の従来技術によれば、点火のタイミングは固定値であるCR時定数により定まるので、内燃機関の回転速度が変化すると、その回転速度に応じた点火タイミングが得られない。
【0005】
本発明は、点火のタイミングを安定化させることができる点火制御装置および点火制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による点火制御装置は、内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘導されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御装置であって、前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子と、前記パルス信号を参照して、前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定し、該タイミングに従って前記スイッチ素子を制御する制御部と、を備えた点火制御装置の構成を有する。
【0007】
例えば、前記制御部は、前記パルス信号を用いて前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出部と、前記回転速度算出部により算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定部と、前記タイミング設定部により設定されたタイミングを用いて、前記スイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成部と、を備えてもよい。
例えば、前記タイミング設定部は、前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに続く第2パルスに応答して、前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定してもよい。
例えば、前記タイミング設定部は、前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定してもよい。
例えば、前記タイミング設定部は、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定してもよい。
例えば、前記タイミング設定部は、前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して、前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定してもよい。
例えば、前記タイミング設定部は、マイクロコンピュータのタイマ機能を用いて、前記イグニッションコイルの通電の停止を制御するためのタイミングを設定してもよい。
【0008】
本発明の一態様による点火制御装置は、内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘起されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御装置であって、前記イグニッションコイルに誘起されるパルス信号から当該点火制御装置の動作に必要とされる電源電圧を生成する電源生成部と、前記イグニッションコイルに誘起される前記パルス信号から第1パルスを生成する第1パルス信号生成部と、前記イグニッションコイルに誘起される前記パルス信号から前記第1パルスに続く第2パルスを生成する第2パルス信号生成部と、前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子と、前記パルス信号を用いて前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出部と、前記回転速度算出部により算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定部と、前記タイミング設定部により設定されたタイミングを用いて、前記スイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部により生成された信号に基づいて前記スイッチ素子を駆動する駆動部と、を備え、前記タイミング設定部は、前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定する、点火制御装置。
【0009】
本発明の一態様による点火制御方法は、内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイルに誘導されるパルス信号に基づき、前記内燃機関に備えられた点火プラグに供給される電圧を前記イグニッションコイルに発生させる点火制御方法であって、前記パルス信号に基づき前記内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出過程と、前記回転速度算出過程において算出された回転速度に基づき、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電を制御するためのタイミングを設定するタイミング設定過程と、前記タイミング設定過程により設定されたタイミングを用いて、前記イグニッションコイルを通電するためのスイッチ素子を制御するための信号を生成する信号生成過程と、を含み、前記タイミング設定過程において、前記内燃機関の各回転サイクルにおいて前記パルス信号に含まれる先頭の第1パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記第1パルスに続く第2パルスに応答して前記イグニッションコイルの通電の停止のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が、前記パルス信号に応答して前記イグニッションコイルの通電に関する処理を実施することが可能な回転速度の上限値を表す所定値以下である場合、前記第1パルスの後縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定し、前記内燃機関の回転速度が前記所定値を超える場合、前記第1パルスの前縁エッジに応答して前記イグニッションコイルの通電の開始のタイミングを設定する、点火制御方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、CR時定数などの回路定数を用いずに点火のタイミングを制御することができ、点火のタイミングを安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態による点火制御装置の適用例を概略的に示す図である。
図2】本発明の第1実施形態による点火制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態による点火制御装置が備える制御部の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態による点火制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態による点火制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6】本発明の第2実施形態による点火制御装置が備える制御部の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態による点火制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態による点火制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9】本発明の第3実施形態による点火制御装置が備える制御部の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図10】本発明の第3実施形態による点火制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の第3実施形態による点火制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
なお、全実施形態および全図面にわたって、同一符号は同一要素を表している。
(第1実施形態)
[構成の説明]
図1は、本発明の第1実施形態による点火制御装置100の適用例を概略的に示す図である。点火制御装置100は、図示しない内燃機関に装着されたイグニッションコイル800の1次巻線801に接続される。イグニッションコイル800の2次巻線802には点火プラグ900が接続される。イグニッションコイル800のコア803の両端部は、内燃機関が備えるフライホイールFWの外周部に近接して配置され、コア803とフライホイールFWは閉磁路を形成する。
【0013】
フライホイールFWの外周部には凹部CCが形成されており、この凹部CCには、フライホイールFWの半径方向にS極とN極とが配列された状態で永久磁石PMが取り付けられている。永久磁石PMを備えたフライホイールFWが回転すると、イグニッションコイル800のコア803内の磁束の変化により、内燃機関の各回転周期において、後述の図5に示す正パルスである第1パルスP1、負パルスである第2パルスP2、正パルスである第3パルスP3を含むパルス信号Pが、イグニッションコイル800の1次巻線801に順次誘起される。
【0014】
本実施形態では、内燃機関の点火時期(点火プラグ900の放電開始時期)は、負パルスである第2パルスP2の前縁エッジを起点とした所定の進角で特定されるタイミング(内燃機関のピストンが上死点付近に位置するタイミング)に設定されている。また、イグニッションコイル800の通電の停止のタイミングは、点火時期と一致している。
【0015】
なお、本実施形態では、パルス信号Pは、各回転周期において、第1パルスP1、第2パルスP2、第3パルスP3のパルス列を含むものとするが、この例に限定されず、イグニッションコイル800の通電の開始と停止のタイミングを制御し得ることを限度として、パルス信号Pに含まれるパルスは任意である。後述する他の実施形態でも同様である。
【0016】
図2は、本実施形態による点火制御装置100の構成の一例を示す機能ブロック図である。点火制御装置100は、内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイル800の1次巻線801に誘起されるパルス信号Pに基づき、上記内燃機関に備えられた点火プラグ900に供給される電圧をイグニッションコイル800の1次巻線801に発生させるものである。点火制御装置100は、電源生成部110、正パルス信号生成部120、負パルス信号生成部130、制御部140、駆動部150、スイッチ素子160を備える。
【0017】
電源生成部110は、パルス信号Pの正パルスである第1パルスP1および第3パルスP3から点火制御装置100が動作するために必要とされる電源電圧VDDを生成するものである。電源生成部110には、端子TIGNおよび端子TEを介してイグニッションコイル800の1次巻線801が接続される。電源生成部110により生成された電源電圧VDDは制御部140に供給される。電源電圧VDDは、第1パルスP1および第3パルスP3を用いて生成される電圧であるため、図5に例示するように、パルスが消失すれば、時間の経過とともに低下するが、各回転周期において制御部140が必要な制御動作を実施するのに足りる電圧である。
なお、正パルス信号生成部120、負パルス信号生成部130、駆動部150の回路形式によっては、これらにも電源電圧VDDが供給され得る。
【0018】
正パルス信号生成部120は、イグニッションコイル800の1次巻線801に誘起されたパルス信号Pから正パルスを検出して正パルス信号PPを生成するものである。正パルス信号生成部120の入力部には、端子TIGNを介してイグニッションコイル800の1次巻線801の一端(正端子;正パルスの出力端)が接続される。正パルス信号生成部120は、端子TEの電位を基準として端子TIGNの電位が高くなったときに正パルスを検出して正パルス信号PPを生成する。正パルス信号生成部120により生成された正パルス信号PPには、正パルスである第1パルスP1と第3パルスP3が含まれる。
【0019】
負パルス信号生成部130は、イグニッションコイル800の1次巻線801に誘起されたパルス信号Pから負パルスを検出して負パルス信号PNを生成するものである。負パルス信号生成部130の入力部には、端子TEを介してイグニッションコイル800の1次巻線801の他端(負端子;負パルスの出力端)が接続される。負パルス信号生成部130は、端子TEの電位を基準として端子TIGNの電位が低くなったときに負パルスを検出して負パルス信号PNを生成する。負パルス信号生成部130により生成された負パルス信号PNには、負パルスである第2パルスP2のみが含まれる。
【0020】
制御部140は、電源生成部110から供給される電源電圧VDDにより動作し、パルス信号Pに含まれるパルスを参照して、イグニッションコイル800の通電(開始および停止)を制御するためのタイミングを設定するものである。制御部140は、上記設定したタイミングに従ってスイッチ素子160を制御するための点火制御信号SFを生成して駆動部150に出力する。本実施形態では、制御部140は、例えば、点火制御に関する処理手順が記述された制御プログラムに従って動作するマイクロコンピュータ、または上記制御プログラムによる処理手順と同等の論理演算機能を有する専用のデジタル制御IC(Integrated Circuit)等により実現される。制御部140の詳細な構成については後述する。
【0021】
駆動部150は、制御部140から入力される点火制御信号SFに基づいてスイッチ素子160を駆動するものである。駆動部150は、点火制御信号SFの信号レベルに応じて、スイッチ素子160を駆動するための駆動信号SDをスイッチ素子160の制御端子に出力する。
【0022】
スイッチ素子160は、駆動部150から入力される駆動信号SDにより駆動されてイグニッションコイル800の1次巻線801を通電するものである。本実施形態では、スイッチ素子160はnpn型トランジスタから構成される。スイッチ素子160を構成するnpn型トランジスタのエミッタは、端子TIGNを介してイグニッションコイル800の1次巻線801の一端に接続され、コレクタは、端子TEを介してイグニッションコイル800の1次巻線801の他端に接続され、ベースは、駆動部150の出力部に接続される。負パルスである第2パルスP2が誘起された状態でスイッチ素子160がオンすると、イグニッションコイル800の1次巻線801の通電が開始され、スイッチ素子160がオフすると、イグニッションコイル200の通電が停止される。即ち、スイッチ素子160のオンおよびオフに応じてイグニッションコイル800の通電が制御される。なお、スイッチ素子160として、npn型トランジスタに限らず、任意のデバイスを用いることができる。
【0023】
図3は、点火制御装置100が備える制御部140の構成の一例を示す機能ブロック図である。制御部140は、回転速度算出部141、タイミング設定部142、点火信号生成部143を備える。回転速度算出部141は、正パルス信号生成部120により検出された正パルス信号PPを用いて内燃機関の回転速度RSを算出するものである。本実施形態では、パルス信号Pに含まれるパルスのうち、正パルス信号PPの第1パルスP1の周期Tから回転速度RSを算出する。一般に、内燃機関の回転速度は、1分あたりの回転数によって表されるが、内燃機関の回転速度RSは、第1パルスP1の周期Tと1対1に対応することから、第1パルスP1の周期Tを内燃機関の回転速度VSとして取り扱ってもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、第1パルスP1の周期Tから回転速度RSを算出するものとするが、この例に限定されることなく、イグニッションコイル800の通電の制御のタイミングに回転速度RSを反映させることができることを限度として、パルス信号Pに含まれる任意のパルスを用いて回転速度RSを算出してもよい。例えば、第2パルスP2の周期から回転速度RSを算出してもよい。または、前回の回転周期における第1パルスP1〜P3の何れかのパルスの前縁エッジまたは後縁エッジと現在の回転周期における第1パルスP1の前縁エッジまたは後縁エッジとの間の時間、前回の回転周期における第1パルスP1〜P3の何れかのパルスの前縁エッジまたは後縁エッジと現在の回転周期における第2パルスP1の前縁エッジとの間の時間、現在の回転周期における第1パルスP1の前縁エッジまたは後縁エッジと第2パルスP2の前縁エッジとの間の時間から回転速度RSを算出してもよい。
【0025】
タイミング設定部142は、回転速度算出部141により算出された回転速度RSに基づき、パルス信号Pに応答してイグニッションコイル800の1次巻線801の通電を制御するためのタイミングを設定するものである。本実施形態では、タイミング設定部142は、内燃機関の各回転サイクルにおいてパルス信号Pに含まれる先頭の第1パルスP1に続く第2パルスP2に応答して、イグニッションコイル800の通電の開始と停止の各タイミングを設定する。また、タイミング設定部142は、設定した各タイミングに基づいて、通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1と、通電の停止のタイミングを示す通電停止タイミング信号ST2を生成して出力する。
【0026】
本実施形態では、通電開始タイミング信号ST1は第2パルスP2に応答して即座に生成される。このため、通電の開始のタイミングは、2パルスP2の前縁エッジのタイミングによって決定される。また、通電停止タイミング信号ST2は、第2パルスP2に応答して回転速度RSに基づき生成される。この通電停止タイミング信号ST2は、第2パルスP2に応答して生成される点では通電開始タイミング信号ST1と同様であるが、通電の停止のタイミングは、回転速度RSの値を参照して所望の点火時期が得られるように設定される。以下では、適宜、通電開始タイミング信号ST1および通電停止タイミング信号ST2を「タイミング信号ST」と総称する。
【0027】
点火信号生成部143は、タイミング設定部142により設定されたタイミングを用いて、スイッチ素子160を制御するための点火制御信号SFを生成するものである。本実施形態では、点火信号生成部143は、点火制御信号SFとして、タイミング設定部142から入力される通電開始タイミング信号ST1により示される通電開始のタイミングから通電停止タイミング信号ST2により示される通電停止のタイミングまでの期間においてローレベルとなる信号を生成する。換言すれば、点火信号生成部143は、通電開始タイミング信号ST1で規定されるタイミングでスイッチ素子160がイグニッションコイル800の通電を開始させ、通電停止タイミング信号ST2で規定されるタイミングでスイッチ素子160がイグニッションコイル800の通電を停止させるように、点火制御信号SFを生成する。
【0028】
なお、上述の例に限定されず、イグニッションコイル800の通電の開始から停止までの期間を特定することができる限度において、点火制御信号SFの信号形式は任意である。また、回転速度算出部141、タイミング設定部142、点火信号生成部143の任意の組み合わせを一つの機能ブロックに統合してもよい。
【0029】
[動作の説明]
次に、点火制御装置100の動作について、図4に示すフローに沿って図5のタイミングチャートを参照しながら説明する。ここで、図4は、点火制御装置100の動作の流れを示すフローチャートであり、図5は、点火制御装置100の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0030】
なお、本実施形態では、第1パルスP1と第2パルスに応答して点火制御に関する動作が実施されるが、以下では、第1パルスP1に応答して実施される動作に関連する処理を第1処理と称し、第2パルスP2に応答して実施される動作に関連する処理を第2処理と称す。後述の他の実施形態でも同様である。
【0031】
内燃機関が回転を始めると、図5に例示するように、パルス信号Pとして、第1パルスP1−第2パルスP2−第3パルスP3のパルス列がイグニッションコイル800の1次巻線801に誘起される。電源生成部110は、イグニッションコイル800の1次巻線801に誘起されたパルス信号Pに含まれるパルスのうち、正パルスである第1パルスP1と第3パルスP3を用いて電源電圧VDDを生成して制御部140に供給する。
【0032】
正パルス信号生成部120および負パルス信号生成部130は、それぞれ、パルス信号Pから正パルス信号PPおよび負パルス信号PNを検出して生成する。即ち、正パルス信号生成部120は、パルス信号Pから正パルスである第1パルスP1と第3パルスP3を検出し、これら第1パルスP1および第3パルスP3を含む正パルス信号PPを生成して制御部140に出力する。また、負パルス信号生成部130は、パルス信号Pから負パルスである第2パルスP2を検出し、この第2パルスP2を含む負パルス信号PNを生成して制御部140に出力する。
【0033】
制御部140は、電源生成部110から供給される電源電圧VDDで動作し、正パルス信号PPに含まれる第1パルスP1に応答して内燃機関の回転速度RSを算出するための第1処理を実施する(ステップS11)。具体的には、制御部140を構成する回転速度検出部141は、第1パルスP1に応答して、現在の回転周期が開始する時刻t2において、前回の回転周期における第1パルスP1の前縁エッジ(立ち上りエッジ)から現在の回転周期における第1パルスP1の前縁エッジ(立ち上がりエッジ)までの時間、即ち第1パルスP1の周期Tを検出し、この第1パルスP1の周期Tから内燃機関の回転速度RSを算出する。
【0034】
次に、制御部140は、負パルス信号PNに含まれる第2パルスP2に応答して、通電の開始のタイミングを設定すると共に、回転速度RSに基づき通電の停止のタイミングを設定してイグニッションコイル800の通電の開始および停止を制御する点火制御信号SFを生成するための第2処理を実施する(S12,S13)。具体的には、制御部140を構成するタイミング設定部142は、現在の回転周期における時刻t3において、第2パルスP2の前縁エッジに応答して、イグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1を生成する(ステップS12)。本実施形態では、タイミング設定部142は、時刻t3aでローレベルからハイレベルに遷移する信号を通電開始タイミング信号ST1として出力する。
【0035】
なお、図5の例では、時刻t3における第2パルスP2の前縁エッジの後の時刻t3aにおいて通電開始タイミング信号ST1がローレベルからハイレベルに遷移しているが、時刻t3から時刻t3aまでの時間は、例えば制御部140での処理の遅延時間に相当する。従って、制御部140における処理の遅延が小さければ、通電開始タイミング信号ST1は、時刻t3の第2パルスP2の前縁エッジ(立ち下りエッジ)に応答して即座に遷移する。なお、通電開始タイミング信号ST1がローレベルからハイレベルに遷移するタイミングは、点火(プラグ900の放電)に必要なエネルギーをイグニッションコイル800に蓄積するための通電時間を確保することができる限度において任意である。
【0036】
また、タイミング設定部142は、現在の回転周期における時刻t3において、負パルス信号PNに含まれる第2パルスP2の前縁エッジに応答して、回転速度RSに基づきイグニッションコイル800の通電の停止のタイミングを示す通電停止タイミング信号ST2を生成する(ステップS12)。本実施形態では、タイミング設定部142は、時刻t4でローレベルからハイレベルに遷移する信号を通電停止タイミング信号ST2として出力する。通電停止タイミング信号ST2により示される通電の停止のタイミングは、内燃機関の回転速度RSに応じて点火時期として予め設定された所望のタイミングである。この通電の停止のタイミングを示すデータは、例えば、回転速度RSと対応づけられてテーブル化されてタイミング設定部142に備えられる。タイミング設定部142は、回転速度RSに基づいて上記テーブルを参照することにより通電の停止のタイミングを取得する。ただし、この例に限らず、上記のテーブルに規定された回転速度RSと通電の停止のタイミングとの対応関係を記述する演算式を用いて回転速度RSから通電のタイミングを算出するなど、他の手法を用いて通電の停止のタイミングを取得してもよい。
【0037】
本実施形態では、上記のテーブルから取得された通電の停止のタイミングは、例えば、マイクロコンピュータのタイマ機能を利用してタイマ値として設定される。即ち、タイミング設定部142は、第2パルスP2の前縁エッジに応答して、回転速度RSに応じた通電の停止のタイミングを示すタイマ値をタイマに設定し、このタイマを参照して通電停止タイミング信号ST2の信号レベルをローレベルからハイレベルに遷移させる。一般に、マイクロコンピュータは一定のシステムクロックに同期して動作し、例えば使用環境温度の変化によりシステムクロックが変動しても、タイマの変動量はシステムクロックの変動範囲内に留まる。このため、前述の従来技術のようにCR時定数等の回路定数を用いる場合に比較して、使用環境温度が変化しても、通電の停止のタイミングの変動を抑制することができ、点火のタイミングを安定化させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、通電の停止のタイミングは、回転速度RSが速いほど、内燃機関のピストンが上死点に到達する時刻の進み量に合わせて、図5に示す第2パルスP2の前縁エッジ(立ち下がりエッジ)の時刻t3から点火時期に相当する時刻t4までの時間が短くなるように設定され、逆に、回転速度RSが遅いほど、内燃機関のピストンのが上死点に到達する時刻の遅れ量に合わせて、図5に示す第2パルスP2の前縁エッジ(立ち下がりエッジ)の時刻t3から時刻t4までの時間が長くなるように設定される。即ち、点火時期に対応する進角が略一定となるように通電の停止のタイミングが制御される。従って、前述の従来技術のように回路定数により点火タイミングを設定する場合に比較して、回転速度RSが変動しても、回転速度RSに応じて点火のタイミングを安定化させることが可能になる。
【0039】
なお、上述の例に限らず、通電の停止のタイミングと回転速度RSとの対応関係は任意に設定することができる。例えば、所定の回転速度を閾値として、通電の停止のタイミングを2段階に切り替えるようにしてもよい。または、回転速度RSが所定の回転速度に到達するまでは、回転速度算出部141により算出された回転速度RSに応じて通電の停止のタイミングを変化させ、回転速度RSが所定の回転速度に到達した後は、通電の停止のタイミングを一定値に固定してもよい。逆に、回転速度RSが所定の回転速度に到達するまでは、通電の停止のタイミングを一定値に固定し、回転速度RSが所定の回転速度に到達した後は、回転速度RSに応じて通電の停止のタイミングを変化させてもよい。
【0040】
続いて、制御部140を構成する点火信号生成部143は、通電開始タイミング信号ST1と通電停止タイミング信号ST2とから点火制御信号SFを生成して出力する(ステップS13)。本実施形態では、点火信号生成部143は、時刻t3aにおいて通電開始タイミング信号ST1がローレベルからハイレベルに遷移してから時刻t4において通電停止タイミング信号ST2がローレベルからハイレベルに遷移するまでの期間においてローレベルを維持する信号を点火制御信号SFとして生成する。点火制御信号SFのローレベルの期間は、イグニッションコイル800が通電状態に維持される期間に相当する。ただし、この例に限定されることなく、イグニッションコイル800が通電状態に維持される期間を特定することができる限度において、点火制御信号SFの信号形式は任意である。
【0041】
制御部140は、上述した第1処理(ステップS11)および第2処理(ステップS12,S13)を実施することにより、点火制御信号SFを生成して駆動部150に出力する。駆動部150は、制御部140から入力される点火制御信号SFに応答して駆動信号SDを出力する。本実施形態では、駆動部150は、点火制御信号SFがローレベルである場合に駆動信号SDの信号レベルとしてハイレベルを出力し、逆に点火制御信号SFがハイレベルである場合には、駆動信号SDの信号レベルとしてローレベルを出力する。
【0042】
時刻t3aにおいて、点火制御信号SFがローレベルになると、これに応答して駆動信号SDがハイレベルになる。スイッチ素子160は、駆動部150から入力されるハイレベルの駆動信号SDに基づきオン状態となる。このとき、イグニッションコイル800の1次巻線801には負パルスPNの第2パルスP2が誘起された状態にあるので、この第2パルスP2による電流IFが、スイッチ素子160とイグニッションコイル800の1次巻線801とにより形成される閉ループ内を流れる。これによりイグニッションコイル800の通電が開始され、1次巻線801にエネルギーが蓄積される。
【0043】
この後、時刻t4において点火制御信号SFがハイレベルになり、これに応答して駆動信号SDがローレベルになると、スイッチ素子160がオフ状態になる。これにより、イグニッションコイル800の1次巻線801を流れていた電流IFが遮断され、イグニッションコイル800の通電が停止される。このとき、1次巻線801のインダクタンスにより、電流IFの変化に比例した高電圧(例えば200V)が1次巻線801の端子間に発生する。1次巻線801に発生した高電圧は、1次巻線801と2次巻線802との間の巻数比に応じた更なる高電圧(点火プラグ900が放電可能な電圧)を2次巻線802に誘起させる。2次巻線802の高電圧は点火プラグ900に印加され、点火プラグ900に放電を発生させる。点火プラグ900が放電すると、この放電により内燃機関のシリンダー内の燃料混合気が点火される。
【0044】
上述した第1実施形態では、本発明を点火制御装置100として表現したが、本発明は、点火制御方法として表現することもできる。この場合、本発明による点火制御方法は、例えば、内燃機関の回転に伴ってイグニッションコイル800に誘導されるパルス信号Pに基づき、内燃機関に備えられた点火プラグ900に供給される電圧をイグニッションコイル800に発生させる点火制御方法であって、パルス信号Pに基づき上記の内燃機関の回転速度RSを算出する段階(ステップS11)と、パルス信号Pを参照してイグニッションコイル800の通電を制御するためのタイミングを設定し、このタイミングに従ってスイッチ素子160を制御する段階(ステップS12,S13)とを含むものとして表現することができる。
【0045】
上述した第1実施形態によれば、使用環境温度の影響を抑制し、イグニッションコイル800の通電の開始と停止のタイミングの変動を抑制することができる。また、内燃機関の回転速度が変化しても、この回転速度の変化に応じて通電の停止のタイミングを調整することができる。これにより、点火のタイミングを安定化させることができる。
また、第1実施形態によれば、第1パルスP1、第2パルスP2、第3パルスP3のうち、点火時期に近い第2パルスP2の前縁エッジに応答して通電停止のタイミングを設定するので、通電の開始と停止の各タイミングを精度よく制御することができる。
【0046】
なお、上述した第1実施形態では、第1パルスP1の前縁エッジに応答して実施される第1処理において回転速度RSを算出するものとしたが、この例に限定されず、第1パルスP1の後縁エッジに応答して回転速度RSを算出してもよく、第2パルスP2に応答して実施される第2処理において回転速度RSを算出してもよい。
また、上述の第1実施形態では、第2パルスP2の前縁エッジに応答して通電開始および通電停止の各タイミングを設定するものとしたが、この例に限定されることなく、第1パルスP1に応答して実施される第1処理において通電開始または通電停止のタイミングを設定することも可能である。
【0047】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、負パルス信号PNに含まれる第2パルスP2に応答してイグニッションコイル800の通電の開始と停止の両方を制御するものとしたが、第2実施形態では、第1パルスP1に応答してイグニッションコイル800の通電の開始を制御し、第2パルスP2に応答してイグニッションコイル800の通電の停止を制御する。
【0048】
[構成の説明]
本発明の第2実施形態による点火制御装置は、上述の第1実施形態による図2に示す点火制御装置100の構成において、制御部140に代えて、図6に示す制御部240を備え、その他の構成は、第1実施形態による点火制御装置100と同様である。
図6は、本実施形態による点火制御装置が備える制御部240の構成の一例を示す機能ブロック図である。制御部240は、上述の第1実施形態による図3に示す制御部140の構成において、タイミング設定部142に代えて、タイミング設定部242を備える。その他の制御部240の構成は第1実施形態の制御部140と同様である。
【0049】
タイミング設定部242は、回転速度算出部141により算出された回転速度RSに基づき、パルス信号Pに応答してイグニッションコイル800の1次巻線801の通電の開始と停止を制御するためのタイミングを設定するものである。即ち、タイミング設定部142は、内燃機関の各回転サイクルにおいてパルス信号Pに含まれる先頭の第1パルスP1に応答してイグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを設定し、この通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1を生成する。また、タイミング設定部242は、第1パルスP1に続く第2パルスP2に応答してイグニッションコイル800の通電の停止のタイミングを設定し、この通電の停止のタイミングを示す通電停止タイミング信号ST2を生成する。
【0050】
回転速度算出部141と点火信号生成部143は第1実施形態と同様である。
なお、上述の例に限定されず、回転速度算出部142、タイミング設定部242、点火信号生成部143の任意の組み合わせを一つの機能ブロックに統合してもよい。
【0051】
[動作の説明]
次に、本実施形態による点火制御装置の動作について、図7に示すフローに沿って図8のタイミングチャートを参照しながら説明する。ここで、図7は、本実施形態による点火制御装置の動作の流れを示すフローチャートであり、図8は、本実施形態による点火制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図8において、上述した第1実施形態における図5に示す電源電圧VDDおよびパルス信号Pは省略されている。
【0052】
前述の第1実施形態と同様に、内燃機関が回転を始めると、図5に例示するように、パルス信号Pとして、第1パルスP1−第2パルスP2−第3パルスP3のパルス列がイグニッションコイル800の1次巻線801に誘起される。電源生成部110は、正パルスである第1パルスP1と第3パルスP3の電圧を用いて電源電圧VDDを生成し、制御部240に供給する。また、正パルス信号生成部120および負パルス信号生成部130は、それぞれ、パルス信号Pから正パルス信号PPおよび負パルス信号PNを生成する。
【0053】
制御部240は、電源生成部110から供給される電源電圧VDDで動作し、正パルス信号PPに含まれる第1パルスP1に応答して内燃機関の回転速度RSを算出すると共に、イグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを設定するための第1処理(ステップS21〜S24)を実施する。具体的には、制御部240を構成する回転速度検出部141は、第1実施形態と同様に、現在の回転周期が開始する時刻t2において、現在の回転周期における第1パルスP1に応答して第1パルスP1の周期Tを検出し、この周期Tから内燃機関の回転速度RSを算出する(ステップS21)。この回転速度RSはタイミング設定部242に入力される。
【0054】
続いて、制御部240を構成するタイミング設定部242は、回転速度算出部141により算出された回転速度RSを所定値RRと比較することにより、内燃機関の回転が低速回転であるか高速回転であるかを判定する(ステップS22)。本実施形態では、タイミング設定部242は、回転速度RSが所定値RR以下であれば(ステップS22;YES)、低速回転と判定し、回転速度RSが所定値RR以下でなければ(ステップS22;NO)、即ち、回転速度RSが所定値RRを超えていれば、高速回転と判定する。
【0055】
ここで、本実施形態では、低速回転とは、第1パルスP1の後縁エッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成するための信号生成処理を実施する時間を確保することが可能な回転速度を意味し、高速回転とは、第1パルスP1の後縁エッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成するための信号生成処理を実施する時間を確保することができない程の高回転速度を意味する。所定値RRは、例えば、上記の信号生成処理を実施する時間を確保することが可能な回転速度の上限値に設定される。ただし、この例に限定されず、イグニッションコイル800の通電の開始と停止のタイミングを制御し得る限度において、低速回転、高速回転、所定値RRの各定義は任意である。例えば、高速回転の回転速度の下限値を所定値RRとして設定してもよい。また、動作の安定性の観点から、低速回転の回転速度の上限値よりも低い回転速度を所定値RRとしてもよい。
【0056】
タイミング設定部242は、内燃機関の回転速度RSが所定値RR以下である場合(ステップS22;YES)、即ち、内燃機関の回転が低速回転である場合、図8(a)に示すように、第1パルスP1の後縁エッジ(立ち下がりエッジ)に応答してイグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを設定し、この通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1を生成する(ステップS23)。これに対し、内燃機関の回転速度RSが所定値RRを超える場合(ステップS22;NO)、即ち、内燃機関の回転が高速回転である場合、タイミング設定部242は、図8(b)に示すように、第1パルスP1の前縁エッジ(立ち上がりエッジ)に応答してイグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを設定し、この通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1を生成する(ステップS24)。
【0057】
ここで、上述のように回転速度RSに応じて第1パルスP1の前縁エッジまたは後縁エッジの何れかに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成することの技術的意義を説明する。通常、内燃機関が始動した直後の回転速度が低い状態では、イグニッションコイル800に誘起されるパルス信号Pの振幅は小さい。このため、電源生成部110により生成される電源電圧VDDは回転周期ごとに一旦発生しては消失する。この場合、各回転周期における先頭の第1パルスP1の前縁エッジが発生する時点では、電源生成部110により生成される電源電圧VDDが有効に発生していない状況にあり、必ずしも制御部240が動作可能な状態にない。これに対して、第1パルスP1の後縁エッジが発生する時点では電源電圧VDDが発生した状態となり、制御部240は動作可能な状態にある。本実施形態では、上述の低速回転時の電源電圧VDDの不安定な状況においては、制御部240を構成するタイミング設定部242は、動作可能な状態にある第1パルスP1の後縁エッジに応答することにより、通電開始タイミング信号ST1を生成することを可能としている。
【0058】
これに対し、高速回転時には、電源電圧VDDは各回転周期の全体にわたって発生した状態に維持される。このため、制御部240は定常的に動作可能な状態にあり、制御部240を構成するタイミング設定部242は、第1パルスP1の前縁エッジおよび後縁エッジの何れに応答しても、第1処理を実施して通電開始タイミング信号ST1を生成することが可能である。しかしながら、第1パルスP1の後縁エッジに応答して第1処理を実施する場合、高速回転では、第1処理と後述の第2処理との間の時間間隔が短くなり、第1処理が第2処理に干渉する事態が発生し得る。このため、本実施形態では、高速回転時には、タイミング設定部242は、第1パルスP1の前縁エッジに応答して第1処理を実施し、第1処理と第2処理との間に時間的余裕を持たせることにより、第1処理と第2処理との間の干渉を回避している。
【0059】
要約すると、本実施形態では、制御部240を構成するタイミング設定部242は、低速回転時には、電源電圧VDDを確保する観点から第1パルスP1の後縁エッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成し、高速回転時には、第1処理と第2処理との干渉を避けるために第1パルスP1の前縁エッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成している。
【0060】
次に、制御部240は、負パルス信号PNに含まれる第2パルスP2に応答して回転速度RSに基づき通電の停止のタイミングを設定してイグニッションコイル800の通電の開始および停止を制御する点火制御信号SFを生成するための第2処理(ステップS25,S26)を実施する。具体的には、制御部240を構成するタイミング設定部242は、現在の回転周期における時刻t3において、パルス信号Pの第2パルスP2の前縁エッジに応答して、回転速度RSに基づき、例えばマイクロコンピュータのタイマ機能を利用してイグニッションコイル800の通電の停止のタイミングを示す通電停止タイミング信号ST2を生成する(ステップS25)。
【0061】
続いて、制御部140を構成する点火信号生成部143は、前述の第1処理において生成した通電開始タイミング信号ST1と第2処理において生成した通電開始タイミング信号ST2とから点火制御信号SFを生成して出力する(ステップS26)。その他の動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0062】
上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態による効果に加え、低回転から高回転にわたって安定的にイグニッションコイル800の通電の開始と停止を制御することができる。特に、本実施形態によれば、低回転から高回転にわたってイグニッションコイル800の通電の開始に関する制御を安定的に行うことができる。
【0063】
また、第2実施形態によれば、イグニッションコイル800の通電の開始を制御するための通電開始タイミング信号ST1を第1パルスP1に応答して実施される第1処理において生成するので、上述の第1実施形態に比較して、第2処理の負荷を軽減することができる。従って、第2パルスP2に応答して迅速に第2処理を実施して通電停止タイミング信号ST2を生成することができ、高速回転領域での通電の停止のタイミングを安定化させることが可能になる。
【0064】
なお、上述の第2実施形態では、回転速度RSに応じて第1パルスP1の前縁エッジおよび後縁エッジの何れかに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成するものとしたが、この例に限定されず、第1パルスP1および第2パルスP2の任意のエッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成してもよい。例えば、低速回転時には第2パルスの前縁エッジに応答し、中速回転時には第1パルスP1の後縁エッジに応答し、高速回転時には第1パルスP1の前縁エッジに応答して通電開始タイミング信号ST1を生成してもよい。
【0065】
また、上述の第2実施形態では、第2処理において通電停止のタイミングを設定するものとしたが、この例に限定されず、例えば、第1処理において通電停止のタイミングを設定してもよい。この場合、例えば第1パルスP1の前縁エッジまたは後縁エッジの何れに応答して第1処理が実施されてもよい。
【0066】
(第3実施形態)
前述の第1実施形態では、負パルス信号PNに含まれる第2パルスP2に応答してイグニッションコイル800の通電の開始と停止を制御するものとしたが、本発明の第3実施形態では、正パルス信号PPに含まれる第1パルスP1に応答してイグニッションコイル800の通電の開始と停止の両方を制御する。
【0067】
[構成の説明]
本発明の第3実施形態による点火制御装置は、前述の第1実施形態による図2に示す点火制御装置100の構成において、制御部140に代えて、図9に示す制御部340を備え、その他の構成は、第1実施形態の点火制御装置100と同様である。ただし、本実施形態では、第2パルスP2に応答して実施される第2処理は存在しないので、図2に示す負パルス信号生成部130を省略することができる。
【0068】
図9は、本実施形態による点火制御装置が備える制御部340の構成の一例を示す機能ブロック図である。制御部340は、上述の第1実施形態による図3に示す制御部140の構成において、タイミング設定部142に代えて、タイミング設定部342を備え、その他の制御部340の構成は第1実施形態の制御部140と同様である。
【0069】
タイミング設定部342は、回転速度算出部141により算出された回転速度RSに基づき、パルス信号Pに応答してイグニッションコイル800の通電を制御するためのタイミングを設定するものである。本実施形態では、タイミング設定部342は、内燃機関の各回転サイクルにおいてパルス信号Pに含まれる先頭の第1パルスP1に応答して、イグニッションコイル800の通電の開始と停止を制御するためのタイミングを設定する。回転速度算出部141と点火信号生成部143は第1実施形態と同一である。
なお、上述の例に限定されず、回転速度算出部142、タイミング設定部342、点火信号生成部143の任意の組み合わせを一つの機能ブロックに統合して一体化してもよい。
【0070】
[動作の説明]
次に、本実施形態による点火制御装置の動作について、図10に示すフローに沿って図11のタイミングチャートを参照しながら説明する。ここで、図10は、本実施形態による点火制御装置の動作の流れを示すフローチャートであり、図11は、本実施形態による点火制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
なお、図11において、前述の第1実施形態における図5に示す電源電圧VDDおよびパルス信号Pは省略されている。
【0071】
前述の第1実施形態と同様に、内燃機関が回転を始めると、図5に例示するように、パルス信号Pとして、第1パルスP1−第2パルスP2−第3パルスP3のパルス列がイグニッションコイル800の1次巻線801に誘起される。電源生成部110は、正パルスである第1パルスP1と第3パルスP3の電圧を用いて電源電圧VDDを生成し、制御部340に供給する。正パルス信号生成部120および負パルス信号生成部130は、それぞれ、パルス信号Pから正パルス信号PPおよび負パルス信号PNを生成する。
【0072】
本実施形態では、制御部340は、電源生成部110から供給される電源電圧VDDで動作し、正パルス信号PPに含まれる第1パルスP1に応答して第1処理(ステップS31〜S33)を実施する。この第1処理では、制御部340は、内燃機関の回転速度RSを算出し、通電の開始のタイミングを設定すると共に、回転速度RSに基づき通電の停止のタイミングを設定してイグニッションコイル800の通電の開始および停止を制御する点火制御信号SFを生成する。
【0073】
具体的に説明する。第1実施形態と同様に、制御部340を構成する回転速度検出部141は、現在の回転周期が開始する時刻t2において第1パルスP1に応答して第1パルスP1の周期Tを検出し、この周期Tから内燃機関の回転速度RSを算出する(ステップS31)。この回転速度RSはタイミング設定部342に入力される。
【0074】
続いて、制御部340を構成するタイミング設定部342は、現在の回転周期におけるパルス信号Pの第1パルスP1の前縁エッジに応答して、イグニッションコイル800の通電の開始のタイミングを示す通電開始タイミング信号ST1を生成して出力する(ステップS32)。本実施形態では、タイミング設定部342は、通電開始タイミング信号ST1として、第1パルスP1の前縁エッジの後の時刻t2bでローレベルからハイレベルに遷移する信号を出力する。なお、時刻t2から時刻t2bまでの時間は、例えば制御部340における処理の遅延時間に相当する。
【0075】
また、タイミング設定部342は、現在の回転周期におけるパルス信号Pの第1パルスP1の前縁エッジに応答して、回転速度RSに基づき、イグニッションコイル800の通電の停止のタイミングを示す通電停止タイミング信号ST2を生成する(ステップS32)。本実施形態では、第1実施形態と同様にマイクロコンピュータのタイマ機能を利用して、タイミング設定部342は、通電停止タイミング信号ST2として、所望の通電の停止のタイミングに対応する時刻t4においてローレベルからハイレベルに遷移する信号を出力する。
【0076】
続いて、制御部340を構成する点火信号生成部143は、第1実施形態と同様に、通電開始タイミング信号ST1と通電開始タイミング信号ST2とから点火制御信号SFを生成して出力する(ステップS33)。
その他の動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0077】
上述の第3実施形態によれば、第1パルスP1に応答して実施される第1処理により点火制御信号SFを生成するので、よりいっそうの高速回転領域において安定的にイグニッションコイルの通電の開始と停止のタイミングを制御することができる。
【0078】
なお、第3実施形態では、第1パルスP1の前縁エッジに応答して第1処理を実施するものとしたが、この例に限定されることなく、第1パルスP1の後縁エッジに応答して第1処理を実施するものとしてもよい。この場合、第1パルスP1の前縁エッジに応答する場合に比較して、低速回転時の制御を安定化させることが可能になる。
【0079】
<変形例>
次に、上述の第1実施形態または第3実施形態の変形例を説明する。
本変形例では、回転速度RSの算出と、通電開始タイミングの設定と、通電停止タイミングの設定を、第1パルスP1および第2パルスP2の各パルスのエッジに対応した複数の処理に分散させる。具体的には、第1パルスP1の前縁エッジに応答して実施される第1処理において回転速度RSを算出し、第1パルスP1の後縁エッジに応答して実施される追加の第1処理において通電開始のタイミングを設定し、第2パルスP2の前縁エッジに応答して実施される第2処理において通電停止のタイミングを設定する。本変形例によれば、各パルスのエッジに応答して実施される個々の処理の負荷が軽くなるので、低スペックのマイクロコンピュータを用いて制御部140または制御部340を実現することができる。従って、点火制御装置のコストを抑制することが可能になる。
【0080】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明は上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更、修正、置換等が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、パルスP1の周期Tから内燃機関の回転速度RSを算出し、この回転速度RSに応じて通電停止のタイミングを設定するものとしたが、この例に限定されることなく、例えば、パルス信号Pの電圧を参照して通電停止のタイミング等を設定してもよい。この場合、例えば、パルス信号Pの振幅のピーク値が回転速度RSに対応して変化する傾向を示すことに着目し、第1パルスP1の振幅のピーク値を参照して通電停止のタイミングを設定してもよい。
【0081】
また、上述の各実施形態では、マイクロコンピュータのタイマ機能を利用して通電停止のタイミングを設定するものとしたが、この例に限定されることなく、回転速度RSに応じてタイミングを調整することができることを限度として、任意の手法を用いて通電停止のタイミングを設定してもよい。そのような手法の一例として、使用環境温度の依存性が小さい一定周期のクロック信号に同期して通電停止のタイミングを論理演算により設定するデジタル集積回路を用いた手法が挙げられる。
【0082】
また、上述の実施形態または変形例では、第1パルスP1または第2パルスP2に応答して実施される処理において通電開始のタイミングが設定されるものとしたが、誤点火を発生させず、且つ、点火に必要なエネルギーをイグニッションコイル800に蓄積するための通電時間を確保することができる限度において、通電開始のタイミングを任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0083】
100…点火制御装置、110…電源生成部、120…正パルス信号生成部、130…負パルス信号生成部、140,240,340…制御部、141…回転速度算出部、142,242,342…タイミング設定部、143…点火信号生成部、150…駆動部、160…スイッチ素子、800…イグニッションコイル、900…点火プラグ、S11〜S13,S21〜S26,S31〜S33…処理ステップ。
図1
図2
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図4
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図11