特許第5963368号(P5963368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963368ゴム用離型剤、ゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963368
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ゴム用離型剤、ゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/64 20060101AFI20160721BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20160721BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20160721BHJP
   B29K 105/24 20060101ALN20160721BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
   B29C33/64
   B29D30/06
   B29K21:00
   B29K105:24
   B29L30:00
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-167815(P2013-167815)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36209(P2015-36209A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】岡 孝生
(72)【発明者】
【氏名】下原 宗一
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆一
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−107327(JP,A)
【文献】 特開2013−001720(JP,A)
【文献】 特開平04−045154(JP,A)
【文献】 特開2002−188093(JP,A)
【文献】 特開平09−278626(JP,A)
【文献】 特開2002−348475(JP,A)
【文献】 特開2013−035832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76
B29D30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン乳化物と、1重量%水溶液の曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤(シリコーン系非イオン界面活性剤を除く)と、水膨潤性無機粉末とを含むことを特徴とするゴム用離型剤。
【請求項2】
前記ゴム用離型剤の総重量に対し、前記シリコーン乳化物の含有率が1〜20重量%、前記1重量%水溶液の曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤の含有率が0.1〜5重量%、前記水膨潤性無機粉末の含有率が1〜20重量%である請求項1記載のゴム用離型剤。
【請求項3】
前記シリコーン乳化物が、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の少なくとも一方を含み、
前記シリコーン乳化物を105℃で3時間乾燥した後の残渣重量が、前記乾燥前の前記シリコーン乳化物の総重量に対し、30〜70重量%である請求項1または2記載のゴム用離型剤。
【請求項4】
前記水膨潤性無機粉末がベントナイトである請求項1から3のいずれか一項に記載のゴム用離型剤。
【請求項5】
前記水膨潤性無機粉末の10重量%水分散液の粘度が1,000mPa・s以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のゴム用離型剤。
【請求項6】
さらに、非水膨潤性無機粉末および有機粉末の少なくとも一方を含む請求項1から5のいずれか一項に記載のゴム用離型剤。
【請求項7】
さらに、多価アルコールを含む請求項1から6のいずれか一項に記載のゴム用離型剤。
【請求項8】
タイヤ内面用離型剤である請求項1から7のいずれか一項に記載のゴム用離型剤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のゴム用離型剤を水に分散させた、ゴム用離型剤水分散液。
【請求項10】
離型処理されたゴムの製造方法であって、
ゴムの表面に、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴム用離型剤付着さて離型処理する離型処理工程を含むことを特徴とする製造方法
【請求項11】
前記ゴムが、未加硫ゴムである請求項10記載の製造方法
【請求項12】
前記離型処理工程が、請求項9記載のゴム用離型剤水分散液を、離型処理されていないゴムの表面に付着させ、さらに水を揮発させることにより離型処理する工程である、請求項10または11記載製造方法。
【請求項13】
加硫タイヤの製造方法であって、
未加硫ゴム製生タイヤ内面およびブラダー外面の少なくとも一方に請求項9記載のゴム用離型剤水分散液を付着させ、さらに水を揮発させることにより離型処理する離型処理工程と、
前記離型処理工程後、前記ブラダーを収容した前記生タイヤが成形型内に収容された状態で、前記ブラダーを膨張させて前記成形型内面に前記生タイヤ外面を押し当て、その状態で前記生タイヤを加熱して加硫する加硫工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム用離型剤、ゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムの生産加工の現場においては、ゴム(例えば、未加硫ゴム)の密着防止目的で、ゴムの表面に離型剤(密着防止剤)を付着させることが行われる。
【0003】
ゴム用離型剤の一種として、例えば、タイヤ内面用離型剤がある(特許文献1〜2等)。タイヤ内面用離型剤は、例えば、以下のようにして用いられる。すなわち、まず、タイヤの製造工程における未加硫生タイヤの加硫成型では、通常、成形型(金型)内壁に前記未加硫生タイヤの外面を押し当て、圧入成型とともに加硫する。前記成形型内壁への前記未加硫生タイヤ外面の押し当ては、ブラダーと呼ばれるゴム製袋を前記生タイヤ内側において熱水または蒸気で膨張させて行うことができる。この工程を円滑に行うために、前記生タイヤのインナーライナー面(前記生タイヤ内面)に、あらかじめ離型剤(タイヤ内面用離型剤)が塗布される。前記タイヤ内面用離型剤には、主に、前記生タイヤ内面と前記ブラダーとの間に良好な潤滑性を与える性能(平滑性)、および、前記ブラダーと前記生タイヤ内面の間に入り込んだ空気を逃し両者を密着させる性能(空気透過性)が必要である。また、加硫終了後に前記ブラダーを収縮させるときに、前記ブラダーと前記生タイヤ内面とが円滑にはがれる性能(離型性、または剥離性ともいう)も求められる。そのため、離型性を付与するシリコーン類の水中油滴型乳化物と、平滑性および空気透過性を付与する固体粒子懸濁液との混合組成物を、タイヤ内面用離型剤としてスプレー塗布することが広く行われている。
【0004】
タイヤ内面用離型剤の使い勝手を向上させるために、様々な工夫が提案されている。例えば、特許文献1では、スプレーノズル詰まりを抑制するために、マイカ粉末またはタルク粉末等の固形粒子(無機粉末)を30から500メッシュの篩いを通す等の提案がされている。また、特許文献2では、タイヤ内面用離型剤の分散安定性を改善するために多価アルコールを含有させる提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−39575号公報
【特許文献2】特開2012−228783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、前述のとおり、スプレーノズル詰まりを抑制するために、無機粉末(無機粒子)の粒子径を小さくしている。しかし、無機粉末の粒子径を小さくすると、タイヤ内面用離型剤の分散安定性は向上するが、一部の無機粉末の凝集により、かえってスプレー性が低下するおそれがある。無機粒子の凝集および沈降は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤の併用により改善可能である。しかし、増粘剤によりタイヤ内面用離型剤の粘度が大きく上昇し、スプレー詰まりの原因になるおそれがある。また、特許文献2では、タイヤ内面用離型剤の分散安定性改善のために、多価アルコールを用いている。しかし、多価アルコール添加により、生タイヤ(未加硫ゴム)へのタイヤ内面用離型剤の付着性が低下し、離型性(剥離性)が不足するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、分散安定性、スプレー性、ゴムへの付着性および剥離性の全てに優れたゴム用離型剤、ならびにそれを用いたゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のゴム用離型剤は、シリコーン乳化物と、1重量%水溶液の曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤と、水膨潤性無機粉末とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のゴム用離型剤水分散液は、前記本発明のゴム用離型剤を水に分散させた、ゴム用離型剤水分散液である。
【0010】
本発明のゴムは、離型処理されたゴムであって、ゴムの表面に、前記本発明のゴム用離型剤が付着されて離型処理されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によるゴムの製造方法は、前記本発明のゴム用離型剤水分散液を、離型処理されていないゴムの表面に付着させ、さらに水を揮発させることにより離型処理する離型処理工程を含む、前記本発明のゴムの製造方法である。
【0012】
本発明による、加硫タイヤの製造方法は、
未加硫ゴム製生タイヤ内面およびブラダー外面の少なくとも一方に前記本発明のゴム用離型剤水分散液を付着させ、さらに水を揮発させることにより離型処理する離型処理工程と、
前記離型処理工程後、前記ブラダーを収容した前記生タイヤが成形型内に収容された状態で、前記ブラダーを膨張させて前記成形型内面に前記生タイヤ外面を押し当て、その状態で前記生タイヤを加熱して加硫する加硫工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の加硫タイヤは、前記本発明の加硫タイヤの製造方法により製造される加硫タイヤである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分散安定性、スプレー性、ゴムへの付着性および剥離性の全てに優れたゴム用離型剤、ならびにそれを用いたゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤを提供することができる。なお、本発明において「分散安定性」は、特に断らない限り、水中における分散安定性をいう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0016】
[1.ゴム用離型剤]
本発明のゴム用離型剤は、前述のとおり、シリコーン乳化物と、1重量%水溶液の曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤(以下、単に「曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤」ということがある。)と、水膨潤性無機粉末とを含むことを特徴とする。本発明者らは、ゴム用離型剤における前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、シリコーン乳化物を含むゴム用離型剤に、さらに、曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤と水膨潤性無機粉末を含ませることを見出し、本発明に到達した。なお、本発明のゴム用離型剤は、どのようなゴムに用いても良いが、未加硫ゴム用離型剤として用いることが好ましい。同様に、本発明のゴムおよびゴムの製造方法において、前記ゴムは、特に限定されず、どのようなゴムでも良いが、未加硫ゴムが好ましい。または、本発明のゴム用離型剤は、例えば、未加硫ゴム表面に(例えば、塗布等により)本発明のゴム用離型剤を付着させて離型処理し、さらに前記未加硫ゴムを加硫する方法(加硫ゴムの製造方法)に用いることも好ましい。前記離型処理は、例えば、前記本発明のゴム用離型剤水分散液を前記未加硫ゴム表面に付着させ、さらに水を揮発させることにより行っても良い。このような加硫ゴムの製造方法としては、例えば、前記本発明の加硫タイヤの製造方法が挙げられる。
【0017】
本発明のゴム用離型剤における各成分は、特に限定されないが、例えば、以下のとおりである。
【0018】
[1−1.シリコーン乳化物]
まず、前記シリコーン乳化物について説明する。
【0019】
前記シリコーン乳化物により、例えば、ゴム用離型剤に、離型性を付与することができる。前記シリコーン乳化物は、特に限定されないが、例えば、シリコーン成分と界面活性剤とを含む乳化物である。前記シリコーン成分は、特に限定されないが、例えば、オルガノポリシロキサン類が挙げられる。前記オルガノポリシロキサン類は、シリコーンオイル、シリコーンゴム、およびシリコーン樹脂を含む概念である。シリコーン成分としては特に限定は無いが、例えば、オルガノポリシロキサン類の総称であって、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂を含む概念である。シリコーン成分はこれらのシリコーンを含む。前記オルガノポリシロキサン類としては、より具体的には、例えば、[1]ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルイソプロピルポリシロキサン、メチルドデシルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、[2]メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等のアルキルフェニルポリシロキサン、[3]メチル(フェニルエチル)ポリシロキサン、メチル(フェニルプロピル)ポリシロキサン等のアルキルアラルキルポリシロキサン、[4]3,3,3−トリフルオロプロピルメチルポリシロキサン等が挙げられる。また、前記シリコーン成分は、1種類のみ用いても良いし、複数種類併用しても良い。
【0020】
前記シリコーン成分は、剥離性(離型性)の観点からは、分子構造が直鎖状で、重合度が低く常温で流動性を有するシリコーンオイル等が好ましい。前記シリコーン成分の粘度は、特に限定されないが、離型性と製品安定性のバランスの観点から、25℃における粘度が、好ましくは1000〜10万mPa・s、さらに好ましくは5000〜5万mPa・sである。
【0021】
また、前記シリコーン乳化物に含まれる前記界面活性剤は、特に限定されず、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤のいずれでもよいが、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。前記アニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、[1]高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(またはアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、[2]高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノ硫酸エステル塩等の硫酸エステル型、[3]アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸型、[4]アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型、等があげられる。前記非イオン性界面活性剤も、特に限定されないが、例えば、[5]ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、[6]ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、等があげられる。また、前記界面活性剤は、1種類のみ用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
【0022】
前記シリコーン乳化物(シリコーンエマルション)は、例えば、前記シリコーン成分を、前記界面活性剤を用いて水中に分散させ、乳化させて製造しても良い。分散および乳化方法は特に限定されず、一般的な分散および乳化方法等を用いて良い。例えば、まず、シリコーン成分に非イオン活性剤およびアニオン活性剤の少なくとも一方を混合する。一方、あらかじめ乳化機を設置した容器に規定量の水を入れる。つぎに、前記水を前記乳化機により攪拌しながら、前記シリコーン成分と前記界面活性剤との混合液を、少しずつ(例えば1時間かけて)投入し、分散させる。さらに、乳化するまで撹拌することにより、前記シリコーン乳化物(シリコーンエマルション)を製造する。前記乳化機は特に限定されず、一般的な乳化機でも良く、例えば、ホモミキサー、ホモディスパー等が挙げられる。また、前記シリコーン乳化物は、例えば、市販品のシリコーン乳化物(シリコーンエマルション)をそのまま用いても良い。前記市販品のシリコーン乳化物(シリコーンエマルション)としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社社製の商品名FZ−4157、または信越化学工業株式会社製の商品名KM−862Tが挙げられる。
【0023】
なお、前記シリコーン乳化物を120℃で1時間乾燥した後の残渣重量は、特に限定されないが、前記乾燥前の前記シリコーン乳化物の総重量に対し、例えば20〜80重量%、好ましくは、30〜70重量%、より好ましくは30〜65重量%である。
【0024】
本発明のゴム用離型剤中における前記シリコーン乳化物の含有率は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、前記シリコーン乳化物が、例えば1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。ゴム用離型剤が流動状態になり取扱いが困難、経済性(コストパフォーマンス)が悪い、タイヤ内面用離型剤に用いた場合に生タイヤとブラダーの間でスリップし良好な加硫成形ができない等の問題を防止するためには、前記シリコーン乳化物の含有率が高すぎないことが好ましい。また、高い剥離性(離型性)を得るためには、前記シリコーン乳化物の含有率が低すぎないことが好ましい。
【0025】
[1−2.曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤]
つぎに、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤について説明する。
【0026】
前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤により、例えば、ゴム用離型剤に、良好な付着性を付与することができる。前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤は、前述のとおり、1重量%水溶液の曇点が30℃以下である。前記曇点が30℃より高い場合、付着性が低下するとともに、スプレー時の発泡により、剥離性(離型性)が低下する。これ以外は、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、[1]ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、[2]ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、[3]ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、[4]ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、[5]ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、[6]ポリグリセリン脂肪酸エステル、[7]アルキルグリセリンエーテル、[8]ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル、[9]アルキルポリグルコシド、[10]ショ糖脂肪酸エステル、[11]ポリオキシアルキレンアルキルアミン、[12]オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー、等が挙げられる。前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤は、1種類のみ用いても複数種類併用しても良い。また、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤は、高級アルコールのエチレンオキシドポリピレンオキシド付加物が特に好ましい。
【0027】
なお、本発明において、非イオン性界面活性剤の曇点は、例えば、以下の方法で測定できる。すなわち、まず、ガラス容器内に、非イオン性界面活性剤およびイオン交換水を、非イオン性界面活性剤1gに対してイオン交換水99gの比で加え、前記非イオン性界面活性剤を、前記イオン交換水中に分散させる。この分散液を、氷浴で冷却しながら、内温が10℃になるまで攪拌する。内温が10℃になってから1時間攪拌を継続した後の前記分散液の外観を目視により観察する。前記分散液外観が透明であることを確認した後、1℃/10分で加温し、外観が濁り出す温度を曇点とする。ただし、内温が10℃の時の分散液が濁っている場合は、曇点を10℃以下とする。なお、この測定方法は、例示であり、本発明を限定しない。
【0028】
本発明のゴム用離型剤において、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤の含有率は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤が、例えば0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。ゴム用離型剤の付着性および剥離性(離型性)の不足防止の観点からは、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤の含有率が低すぎないことが好ましい。ゴム(例えば未加硫ゴム、タイヤ内面用離型剤の場合は、生タイヤまたはブラダー)に対する濡れ性低下に伴う剥離性(離型性)低下防止のためには、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤の含有率が高すぎないことが好ましい。
【0029】
[1−3.水膨潤性無機粉末]
つぎに、前記水膨潤性無機粉末について説明する。
【0030】
前記水膨潤性無機粉末により、例えば、ゴム用離型剤にスプレー性と分散安定性を付与することができる。前記水膨潤性無機粉末は、水を吸って体積が増大する性質を持つ無機粉末をいい、特に限定されないが、例えば、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種であっても良い。前記水膨潤性無機粉末は、より具体的には、例えば、ベントナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が挙げられ、これらは天然物でも良いし合成物でも良い。前記水膨潤性無機粉末は、1種類のみ用いても、複数種類併用しても良い。また、前記水膨潤性無機粉末は、スプレー性と分散安定性の観点から、ベントナイトが特に好ましい。前記ベントナイトは、前記ベントナイト中のモンモリロナイト含有率が40重量%以上であることが好ましい。前記モンモリロナイト含有率は、日本ベントナイト工業会標準試験法(JBAS−107−91)に準拠して測定することができる。また、前記ベントナイトは、人体への影響の観点から、結晶性シリカゲル(結晶性シリカ)含有量がなるべく少ないことが好ましい。前記ベントナイトは、ベントナイト5重量%水分散液の粘度が50mPa・s(25℃)以上であるベントナイトが特に好ましい。なお、本発明において、ベントナイト水分散液の粘度は、例えば、以下の方法で測定できる。すなわち、まず、ガラス容器内に水を入れ、撹拌しながらベントナイトを任意の比で加え、水中に分散させる。前記分散機は特に限定されず、一般的な分散機でも良く、例えば、ホモミキサー、ホモディスパー等が挙げられる。この分散液を、30分静置後にB型粘度計で6rpm、1分後の粘度を測定する。なお、この測定方法は、例示であり、本発明を限定しない。
【0031】
本発明のゴム用離型剤中における前記水膨潤性無機粉末の含有率は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、例えば1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。本発明のゴム用離型剤に高い分散安定性を付与し水中での分離を防止する観点からは、前記水膨潤性無機粉末の含有率が低すぎないことが好ましい。また、本発明のゴム用離型剤のスプレー性低下、付着性低下および剥離性(離型性)低下を防止する観点からは、前記水膨潤性無機粉末の含有率が高すぎないことが好ましい。
【0032】
[1−4.他の成分等]
本発明のゴム用離型剤は、前記シリコーン乳化物、前記曇点が30℃以下の非イオン性界面活性剤、および前記水膨潤性無機粉末以外の他の成分を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。
【0033】
前記他の成分としては、例えば、非水膨潤性無機粉末および有機粉末が挙げられる。本発明のゴム用離型剤は、ゴム用離型剤としての性能の観点から、非水膨潤性無機粉末および有機粉末の少なくとも一方を含むことが好ましい。前記非水膨潤性無機粉末および前記有機粉末は、特に限定されないが、例えば、一般的なゴム用離型剤に用いられている非水膨潤性無機粉末または有機粉末でも良い。前記非水膨潤性無機粉末としては、例えば、マイカ、タルク、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー等が挙げられる。前記有機粉末としては、例えば、脂肪酸の金属塩、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の糊剤等が挙げられ、前記脂肪酸の金属塩としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸アルミニウム、脂肪酸マグネシウム等が挙げられる。本発明のゴム用離型剤が、前記非水膨潤性無機粉末および前記有機粉末の少なくとも一方を含む場合、その含有率の合計は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、例えば20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは35〜85重量%である。
【0034】
また、前記他の成分としては、例えば、曇点が30℃を超える非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤等が挙げられる。前記曇点が30℃を超える非イオン性界面活性剤としては、例えば、[1]ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、[2]ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、[3]ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、[4]ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、[5]ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、[6]ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、[7]ポリグリセリン脂肪酸エステル、[8]アルキルグリセリンエーテル、[9]ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル、[10]アルキルポリグルコシド、[11]ショ糖脂肪酸エステル、[12]ポリオキシアルキレンアルキルアミン、[13]オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、[1]オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩、[2]ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、[3]ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、[4]ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、[5]ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、[6]ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、[7]ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩、[8]モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、[9]ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、[10]ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、[11]N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩、等が挙げられる。本発明のゴム用離型剤が、前記曇点が30℃を超える非イオン性界面活性剤および前記アニオン性界面活性剤の少なくとも一方を含む場合、その含有率の合計は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、例えば0〜10重量%、好ましくは0〜7重量%、より好ましくは0〜5重量%である。ただし、前記シリコーン乳化物が界面活性剤を含む場合は、その界面活性剤の重量は含めないものとする。
【0035】
また、前記他の成分としては、例えば、多価アルコールが挙げられる。前記多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、[1]エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール等のポリエチレングリコール類、[2]ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ヘキサプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類、[3]ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ペンタブチレングリコール、ヘキサブチレングリコール等のポリブチレングリコール類、[4]エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ジメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリピロピレングリコールおよびそれらの共重合物、等が挙げられる。本発明のゴム用離型剤が、前記多価アルコールを含む場合、その含有率は、特に限定されないが、本発明のゴム用離型剤の総重量に対し、例えば0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0036】
さらに、前記他の成分としては、水、シリコーン系消泡剤、鉱物油系消泡剤等の各種消泡剤、および、各種防腐剤等が挙げられる。
【0037】
なお、本発明のゴム用離型剤の形態は特に限定されないが、例えば、粉末状、顆粒状、フレーク状等であることが、取扱いやすさの観点から好ましい。なお、本発明のゴム用離型剤に水を加える場合は、取扱いやすい形態を損なわない程度の添加量(水含有率)とすることが好ましい。本発明のゴム用離型剤の使用時には、さらに水を加え、水分散液の形態として使用しても良い。
【0038】
本発明のゴム用離型剤の製造方法も特に限定されないが、例えば、一般的なゴム用離型剤と同様でも良い。具体的には、例えば、本発明のゴム用離型剤の製造方法は、本発明のゴム用離型剤を構成する各成分を混合するのみでも良い。混合方法も特に限定されないが、例えば、機械等を用いて、必要に応じて粉砕しながら混合しても良い。混合に用いる機械も特に限定されない。本発明のゴム用離型剤の製造方法は、より具体的には、例えば、後述の実施例に準じて行っても良い。
【0039】
また、本発明のゴム用離型剤の使用方法も特に限定されないが、使い勝手の観点から、水に分散させ、前記本発明のゴム用離型剤水分散液としてから使用することが好ましい。
【0040】
[2.ゴム用離型剤水分散液]
つぎに、本発明のゴム用離型剤水分散液について説明する。
【0041】
本発明のゴム用離型剤水分散液は、前述のとおり、前記本発明のゴム用離型剤を水に分散させた、ゴム用離型剤水分散液である。
【0042】
本発明のゴム用離型剤水分散液の製造(調製)方法は特に限定されず、例えば、水に前記本発明のゴム用離型剤を混合して分散させるのみで良い。本発明のゴム用離型剤水分散液において、前記本発明のゴム用離型剤の濃度は、特に限定されないが、例えば、20〜75重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは30〜65重量%である。本発明のゴム用離型剤水分散液の使用方法も特に限定されず、例えば、一般的なゴム用離型剤の水分散液と同様で良い。具体的には、例えば、本発明のゴム用離型剤水分散液を、スプレーを用いてゴム表面等に塗布して用いれば良い。
【0043】
[3.ゴム等]
本発明のゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤ、および加硫タイヤの製造方法については、前述のとおりである。これらについても特に限定はなく、例えば、一般的なゴム用離型剤または一般的なゴム用離型剤水分散液に代えて、前記本発明のゴム用離型剤または前記本発明のゴム用離型剤水分散液を用いること以外は、一般的なゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤ、または加硫タイヤの製造方法と同様でも良い。なお、前述のとおり、本発明のゴムおよびゴムの製造方法において、前記ゴムは、特に限定されず、どのようなゴムでも良いが、未加硫ゴムが好ましい。または、本発明のゴムは、例えば、未加硫ゴム表面に(例えば、塗布等により)本発明のゴム用離型剤を付着させて離型処理し、さらに前記未加硫ゴムを加硫する方法(加硫ゴムの製造方法)により製造されるゴムであることも好ましい。前記離型処理は、例えば、前記本発明のゴム用離型剤水分散液を前記未加硫ゴム表面に付着させ、さらに水を揮発させることにより行っても良い。このような加硫ゴムの製造方法としては、例えば、前記本発明の加硫タイヤが挙げられる。
【0044】
本発明のゴム用離型剤によれば、例えば、以下の効果を得ることができる。すなわち、本発明のゴム用離型剤は、長期保管が可能であり、その粉末は水に容易に分散できる。その水分散液は、分散安定性、スプレー性等に優れ、特に、タイヤ内面用離型剤として適し、生タイヤへの付着性に優れ良好な離型性を発現させることができる。ただし、これらの効果は例示であり、本発明を何ら限定しない。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
[ゴム用離型剤(タイヤ内面用離型剤)の製造]
下記表1に記載の各成分(原料)を、市販の電動コンパクトミル(容量500ml)中に、順次攪拌しながら添加し、その後、3分間撹拌し、粉末状のゴム用離型剤(タイヤ内面用離型剤)を製造した(実施例1〜3および比較例2)。なお、表中において、各成分(原料)の欄の数値は、ゴム用離型剤の総重量(100重量%)に対する重量比(重量%)である。また、シリコーン乳化物において、粘度測定温度は、25℃である。さらに、シリコーン乳化物の不揮発分の割合(%)は、シリコーン乳化物の総重量に対する重量%を表し、各シリコーン乳化物を105℃で3時間乾燥させた後の不揮発分(残渣)の重量に基づいて測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
[ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)の製造]
以下のようにして、ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を製造した。
【0049】
(実施例3)
まず、2Lガラスビーカーに水道水450gを仕込んだ後、直径約5cmの3枚プロペラ羽を備えた攪拌機で200rpmの速度で攪拌した。撹拌しながら、前記水中に、実施例1で製造した粉末状のゴム用離型剤(タイヤ内面用離型剤)550gを投入し、30分間攪拌して分散させることで、本実施例のゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を製造した。
【0050】
(実施例4および比較例4〜6)
実施例1のゴム用離型剤(タイヤ内面用離型剤)に代えて、実施例2または比較例1〜3のいずれかのゴム用離型剤(タイヤ内面用離型剤)を用いることと、水(水道水)との重量比を下記表2のとおりとする以外は、実施例3と同様にしてゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を製造した実施例4および比較例4〜6)。
【0051】
【表2】
【0052】
[評価:ゴム(未加硫ゴム)の離型処理]
以下の方法により、実施例3〜4および比較例4〜6のゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)の剥離性(離型性)、スプレー性、塗布面外観、起泡性および水分散液安定性をそれぞれ評価した。
【0053】
(剥離性(離型性))
前記各ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を、4cm×7cm×0.2cmの未加硫インナーライナーゴムシートに、乾燥後塗布量が10g/mとなるようにスプレー塗布した。つぎに、この未加硫ゴムシートに同じ大きさのブラダーゴムシートを重ね合わせ、卓上型テストプレス機にセットし、金型温度180℃、圧力20kg/cmで20分間加圧し、加硫した。その後、加硫済みの前記ゴムシートを引き剥がした。剥離性(離型性)は、密着無く容易に離型できたものを◎、離型できたものを○、一部密着し離型しがたいものを△、全面密着し離型不可能なものを×と評価した。
【0054】
(スプレー性)
前記各ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を、ノズル口径φ1.0mmのスプレーガンを用い、エアー圧0.5MPaにて10秒間連続スプレーし、スムーズさ(スプレー性)を評価した。スプレー性は、ノズル詰まりなくスムーズに10秒間スプレーできたものを○、スプレー10秒間の内スプレー詰まりが2〜3回のものを△、スプレー詰まりが5回以上のものを×と評価した。
【0055】
(塗布面外観)
前記各ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を、4cm×7cm×0.2cmの未加硫インナーライナーゴムシートに、乾燥後塗布量が10g/mとなるようにスプレー塗布した時の外観を目視により評価した。塗布面外観は、ハジキ、オイルスポットが無く均一にスプレーできているものを良好と評価した。なお、この塗布面外観が良好であるか否かは、未加硫ゴムへの付着性の良否を反映していると考えられる。
【0056】
(起泡性)
前記各ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を、密閉できる透明容器に充填率50%になるように入れ、10回振倒させた後、24時間放置後の泡の状態を観察した。観察の結果、泡が無いものを起泡性○と評価し、泡があったものを起泡性×と評価した。
【0057】
(水分散液安定性(7日後))
前記各ゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)を、7日間、室温で、大気中に静置した。その後、目視により、分散状態を維持していたか(変化なし)、または維持していなかったか(分離)を評価した。
【0058】
前記各評価結果を、下記表3に示す。表3に示すとおり、実施例のゴム用離型剤水分散液(タイヤ内面離型剤処理液)は、全ての特性が良好であった。これに対し、水膨潤性無機粉末を用いたが、非イオン性界面活性剤が高曇点の(曇点が30℃を超える)比較例4〜5では、剥離性、スプレー性、塗布面外観および起泡性の全てに問題があった。また、水膨潤性無機粉末を用いず、非イオン性界面活性剤が低曇点の(曇点が30℃以下)比較例6では、剥離性に問題があり、かつ、水分散液安定性に欠け、7日後に懸濁状態を維持できず、分離してしまった。
【0059】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上、説明したとおり、本発明によれば、分散安定性、スプレー性、ゴムへの付着性および剥離性の全てに優れたゴム用離型剤、ならびにそれを用いたゴム用離型剤水分散液、ゴム、ゴムの製造方法、加硫タイヤの製造方法、および加硫タイヤを提供することができる。本発明のゴム用離型剤およびそれを用いた本発明のゴム用離型剤水分散液は、特に、タイヤ内面用離型剤として、加硫タイヤの製造の用途に適するが、この用途に限定されず、どのようなゴムの離型用に用いても良い。