特許第5963369号(P5963369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963369
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/02 20060101AFI20160721BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G03G21/02
   G03G21/00 500
   G03G21/00 384
   G03G21/00 390
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-179433(P2013-179433)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-49284(P2015-49284A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(74)【代理人】
【識別番号】100143476
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 則夫
(72)【発明者】
【氏名】渕本 信行
【審査官】 野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−56562(JP,A)
【文献】 特開2005−352090(JP,A)
【文献】 特開2007−86423(JP,A)
【文献】 特開2009−65540(JP,A)
【文献】 特開2004−361866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/02
G03G 21/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送し、搬送中の原稿を読み取り、読み取った原稿の画像を用紙に印刷するコピージョブの実行が可能な課金式の画像形成装置であって、
読取台と、
前記読取台上を経由する原稿搬送路を有し、前記原稿搬送路に沿って原稿を搬送する原稿搬送ユニットと、
前記読取台上の原稿を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部による原稿の読み取りと並行して前記画像読取部が読み取った原稿画像を用紙に印刷する第1モード、および、前記画像読取部により読み取られた原稿が前記原稿搬送路から排出された後に前記画像読取部が読み取った原稿画像の用紙への印刷を開始する第2モード、のうちいずれかのモードで前記コピージョブを実行する印刷部と、
前記原稿搬送ユニットが原稿を搬送しているときに原稿搬送エラーが発生したか否かを検知し、前記原稿搬送エラーの発生を検知すると、前記原稿搬送ユニットによる原稿の搬送を停止させるエラー発生検知部と、
前記印刷部が印刷を行う毎に原稿のコピー料を課金し、前記エラー発生検知部が前記原稿搬送エラーの発生を検知すると、前記原稿搬送エラーの発生検知時に搬送されていた原稿のコピー料については課金しない課金装置と、を備え、
前記エラー発生検知部は、前記第1モードでの前記コピージョブの実行時に前記原稿搬送エラーの発生を検知したとき、前記原稿搬送エラーが使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められた特定エラーであるか否かを判断し、
前記印刷部は、前記原稿搬送エラーが前記特定エラーであると前記エラー発生検知部が判断した場合、前記エラー発生検知部が前記原稿搬送エラーの発生を検知して以降に開始する前記コピージョブを前記第2モードで実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記原稿搬送ユニットは、前記読取台に対して開閉可能に支持されており、
前記エラー発生検知部は、前記第1モードでの前記コピージョブの実行時に前記原稿搬送ユニットの開閉を検知し、前記原稿搬送ユニットが開状態になったことを検知すると、前記原稿搬送エラーが発生したと認識するとともに、前記原稿搬送エラーが前記特定エラーであると判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿搬送ユニットは、前記原稿搬送路を露出させるための開閉カバーを含み、
前記エラー発生検知部は、前記第1モードでの前記コピージョブの実行時に前記開閉カバーの開閉を検知し、前記開閉カバーが開状態になったことを検知すると、前記原稿搬送エラーが発生したと認識するとともに、前記原稿搬送エラーが前記特定エラーであると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2モードでの前記コピージョブの実行時に印刷された印刷枚数を検知する印刷枚数検知部を備え、
前記印刷部は、前記印刷枚数検知部が検知した印刷枚数が予め定められた所定枚数に到達するまでは前記第2モードで前記コピージョブを実行し、前記印刷枚数検知部が検知した印刷枚数が前記所定枚数に到達した後に開始する前記コピージョブからは前記第1モードで実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1モードでの前記コピージョブの実行時に発生した前記原稿搬送エラーが前記特定エラーであると前記エラー発生検知部が判断したとき、前記原稿搬送エラーの発生検知時点からの経過時間を計時する計時部を備え、
前記印刷部は、前記計時部により計時された前記経過時間が予め定められた所定時間に到達するまでは前記第2モードで前記コピージョブを実行し、前記計時部により計時された前記経過時間が前記所定時間に到達した後に開始する前記コピージョブからは前記第1モードで実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
使用者の認証を行うための予め登録された認証情報と使用者が入力した認証情報とを比較して、前記認証情報を入力した使用者が認証可能と判断すれば、前記認証情報を入力した使用者に画像形成装置の使用許可を与える認証部を備え、
前記印刷部は、前記第1モードでの前記コピージョブの実行時に発生した前記原稿搬送エラーが前記特定エラーであると前記エラー発生検知部が判断した後、認証された使用者が代わると、前記第1モードで前記コピージョブを実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記認証部は、前記コピージョブの実行時に発生した前記特定エラーの発生頻度を含む使用履歴データを使用者毎に記憶し、
前記印刷部は、前記認証された使用者に対応する前記使用履歴データで示される前記特定エラーの発生頻度が所定値以上である場合、前記第2モードで前記コピージョブを実行することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、課金装置を備えた画像形成装置(コピー機)が知られている。このような画像形成装置は、店舗や公共施設などに設置されており、原稿のコピーが行われる毎に、予め定められた原稿のコピー料を使用者に課金する(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
たとえば、課金装置を備えた画像形成装置には、原稿搬送ユニットを装着する画像読取部や印刷部がコピージョブの実行部として設けられる。コピージョブが実行されると、原稿搬送ユニットは、画像読取部の読取位置に原稿を搬送し、画像読取部は、読取位置を通過する原稿を読み取る。印刷部は、画像読取部により読み取られた原稿画像を用紙に印刷して排出トレイに排出する。そして、課金装置は、印刷部が印刷を行う毎に(印刷済みの用紙が排出トレイに排出される毎に)、使用者に対して原稿のコピー料を課金する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−347533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、課金装置を備えた画像形成装置では、画像読取部による原稿の読み取り(原稿搬送ユニットによる原稿の搬送)と並行して、画像読取部が読み取った原稿画像の用紙への印刷を印刷部に行わせる。これにより、コピージョブの開始から終了までの時間が短縮されるため、使用者にとっては利便性が良い。
【0006】
ここで、原稿搬送ユニットは、原稿の搬送中にジャムなどの原稿搬送エラーが発生すると、原稿の搬送を停止する。このとき、原稿の後端が読取位置を既に通過していた場合には、画像読取部による原稿の読み取りが終わっているので、原稿画像が正常に印刷された用紙が排出トレイに排出される。一方で、原稿の後端が読取位置を通過していなかった場合には、画像読取部による原稿の読み取りが終わっていないので、原稿画像が正常に印刷されていない用紙が排出トレイに排出される。したがって、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿のコピー料を使用者に課金すると、使用者に不利益をもたらす。このため、コピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生した場合には、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿のコピー料については使用者に課金しないようにするのが一般的である。
【0007】
しかし、使用者によっては、原稿の後端が読取位置を通過したタイミング(画像読取部による原稿の読み取りが終わったタイミング)で原稿搬送エラーを意図的に発生させることにより、課金逃れを図ろうとする場合がある。このような課金逃れを図る不正使用者に画像形成装置が使用され続けると、その間、原稿画像が正常に印刷された用紙が取得されるにもかかわらず原稿のコピー料を徴収することができない。したがって、画像形成装置の設置者(原稿のコピー料を徴収する者)にとっては都合が悪い。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、印刷部が印刷を行う毎に原稿のコピー料を課金する構成において、課金逃れが繰り返し行われるのを防ぐことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿を搬送し、搬送中の原稿を読み取り、読み取った原稿の画像を用紙に印刷するコピージョブの実行が可能な課金式の画像形成装置であって、読取台と、読取台上を経由する原稿搬送路を有し、原稿搬送路に沿って原稿を搬送する原稿搬送ユニットと、読取台上の原稿を読み取る画像読取部と、画像読取部による原稿の読み取りと並行して画像読取部が読み取った原稿画像を用紙に印刷する第1モード、および、画像読取部により読み取られた原稿が原稿搬送路から排出された後に画像読取部が読み取った原稿画像の用紙への印刷を開始する第2モード、のうちいずれかのモードでコピージョブを実行する印刷部と、原稿搬送ユニットが原稿を搬送しているときに原稿搬送エラーが発生したか否かを検知し、原稿搬送エラーの発生を検知すると、原稿搬送ユニットによる原稿の搬送を停止させるエラー発生検知部と、印刷部が印刷を行う毎に原稿のコピー料を課金し、エラー発生検知部が原稿搬送エラーの発生を検知すると、原稿搬送エラーの発生検知時に搬送されていた原稿のコピー料については課金しない課金装置と、を備える。そして、エラー発生検知部は、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーの発生を検知したとき、原稿搬送エラーが使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められた特定エラーであるか否かを判断し、印刷部は、原稿搬送エラーが特定エラーであるとエラー発生検知部が判断した場合、エラー発生検知部が原稿搬送エラーの発生を検知して以降に開始するコピージョブを第2モードで実行する。
【0010】
コピージョブのジョブモードが第1モードである場合、画像読取部による原稿の読み取りと並行して画像読取部が読み取った原稿画像が用紙に印刷される。このため、画像読取部による原稿の読み取りが終わったタイミングで原稿搬送エラーが発生すると、原稿画像の用紙への印刷が正常に行われるにもかかわらず、原稿のコピー料は課金されない。したがって、第1モードでのコピージョブの実行時に発生した原稿搬送エラーが特定エラー(使用者によって意図的に生じさせ得るものとして予め定められたエラー)であると、その原稿搬送エラーが課金逃れを図る不正使用者によって意図的に発生されられた可能性がある。
【0011】
一方で、コピージョブのジョブモードが第2モードである場合には、画像読取部により読み取られた原稿が原稿搬送路から排出された後に画像読取部が読み取った原稿画像の用紙への印刷が開始される。この第2モードでは第1モードに比べて、コピージョブの開始から終了までにかかる時間が長くなってしまう。しかし、課金逃れを図る不正使用者によって原稿搬送エラーが意図的に発生させられたとしても、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿画像の用紙への印刷は開始していないので、課金逃れを防げる。
【0012】
そこで、本発明では、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生した場合、その原稿搬送エラーが特定エラー(使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められたエラー)であれば、以降に開始するコピージョブを第2モードで実行する。これにより、課金逃れが連続して繰り返し行われるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、印刷部が印刷を行う毎に原稿のコピー料を課金する構成において、課金逃れが連続して繰り返し行われるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略図
図2図1に示した画像形成装置に備えられる画像読取部(原稿搬送ユニット)の概略図
図3図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図
図4図1に示した画像形成装置(画像読取部)のハードウェア構成を説明するためのブロック図
図5図1に示した画像形成装置においてコピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更する場合の制御の流れを説明するためのフローチャート
図6図1に示した画像形成装置においてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる場合の制御の流れを説明するためのフローチャート
図7図1に示した画像形成装置においてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる場合の制御の流れを説明するためのフローチャート
図8図1に示した画像形成装置においてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる場合の制御の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、原稿搬送ユニット1が装着された画像読取部2と、印刷部3(給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6および定着部7)と、操作パネル8とを備える。
【0016】
原稿搬送ユニット1が装着された画像読取部2は、図2に示すように、搬送読取用のコンタクトガラス20aおよび載置読取用のコンタクトガラス20bが嵌め込まれた読取台20を有する。そして、画像読取部2は、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dを読み取る搬送読取およびコンタクトガラス20b上に載置された原稿Dを読み取る載置読取の実行が可能になっている。
【0017】
原稿搬送ユニット1は、読取台20に開閉可能(回動可能)に支持される。そして、コンタクトガラス20a上への原稿Dの搬送は、原稿搬送ユニット1が行う。具体的には、原稿搬送ユニット1は、原稿セットトレイ11、原稿排出トレイ12、給紙部13および原稿搬送部14を含む。また、原稿搬送ユニット1には、原稿Dを搬送するための原稿搬送路10が設けられている。
【0018】
原稿セットトレイ11は、原稿Dがセットされるトレイであり、原稿搬送路10の一端側に配置される。原稿排出トレイ12は、読み取りの終わった原稿Dが排出されるトレイであり、原稿搬送路10の他端側に配置される。搬送読取時には、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dが原稿搬送路10に供給されるとともに、原稿搬送路10に沿って搬送され、最終的に原稿排出トレイ12に排出される。ここで、搬送読取時の読取位置RP(コンタクトガラス20a上の位置)は、原稿搬送路10に沿って搬送される原稿Dの搬送経路の途中の位置とされている。すなわち、原稿搬送路10に沿って原稿Dが搬送されると、原稿Dがコンタクトガラス20a上を通過する。これにより、画像読取部2によって原稿Dの一方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に上方に向けられた面)が読み取られる。
【0019】
給紙部13は、原稿搬送路10の最も上流側に設けられている。この給紙部13は、ピックアップローラー13a、給紙ベルト13bおよび分離ローラー13cを含む。ピックアップローラー13aは、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dと当接した状態で回転する。これにより、原稿セットトレイ11から原稿Dが引き出され、給紙ニップに進入する。給紙ベルト13bは、駆動ローラー13dと従動ローラー13eとによって張架され、分離ローラー13cとの間で給紙ニップを形成する。そして、給紙ベルト13bは、駆動ローラー13dが回転することで周回し、給紙ニップに進入した原稿Dを原稿搬送路10に供給する。分離ローラー13cは、原稿搬送方向と逆方向に原稿Dが進行するよう回転する。このため、原稿セットトレイ11から原稿Dが複数枚重なって引き出されたとしても、複数枚重なった原稿Dが1枚ずつに分離される。
【0020】
原稿搬送部14は、原稿搬送路10に沿って配置された複数の搬送ローラー対14a〜14eを含み、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する。なお、搬送ローラー対14a〜14eは、この順番で原稿搬送路10の上流側から配置されている。搬送ローラー対14a〜14eのうち給紙部13に最も近い搬送ローラー対14aは、レジストローラー対14aである。レジストローラー対14aは、原稿Dの進行を一旦停止させ、原稿Dを撓ませて原稿Dの斜行を補正する。
【0021】
これら給紙部13および原稿搬送部14を含む機構部は、外装カバーで覆われている。外装カバーの上側部分は開閉可能となっており、外装カバーの開閉可能な部分(以下、開閉カバーCVと称する)が開けられると、原稿搬送路10が露出される。このため、ジャムが発生したときに開閉カバーCVを開けると、ジャム処理を容易に行える。なお、図2には図示しないが、原稿搬送ユニット1には、開閉カバーCVの開閉を検知するためのカバー開閉検知センサーCS(図4参照)が設けられている。
【0022】
また、原稿搬送ユニット1には、原稿搬送路10の複数の検知位置DP1〜DP4において原稿Dの有無(到達および後端通過)を検知するための複数の原稿検知センサーDS1〜DS4が設けられている。原稿検知センサーDS1〜DS4は、たとえば、検知対象に向けて光を発光する発光部および検知対象からの反射光を受光する受光部を有する反射型の光センサーである。そして、原稿検知センサーDS1〜DS4の各出力は、対応する検知位置DPに原稿Dが有るときと無いときとで変動する。
【0023】
画像読取部2は、ランプ21、イメージセンサー22、ミラー23およびレンズ24を含み、読取台20上の原稿Dを光学的に読み取る。これら画像読取部2の各部材は、読取台20を成すフレーム内に配置される。
【0024】
ランプ21は、複数のLED素子を有し、原稿Dに照射する光を生成する。複数のLED素子は、図示しないが、読取ライン方向である主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列されている。なお、冷陰極管などをランプ21として用いてもよい。そして、ランプ21は、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dを読み取るときには、コンタクトガラス20aに向けて光を照射する(コンタクトガラス20aを透過した光が原稿Dを照射する)。一方で、ランプ21は、コンタクトガラス20b上に載置された原稿Dを読み取るときには、コンタクトガラス20bに向けて光を照射する(コンタクトガラス20bを透過した光が原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー23で反射され、レンズ24に導かれる。レンズ24は、反射光を集光する。
【0025】
イメージセンサー22は、原稿Dで反射された反射光(レンズ24で集光された光)を受光することにより原稿Dをライン単位で読み取る。このイメージセンサー22は、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなり、反射光を受光すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー22は、蓄積電荷に応じたアナログ信号を出力する。すなわち、イメージセンサー22の画素毎のアナログ出力は、反射光の光量に応じて変動する。
【0026】
ランプ21およびミラー23は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な保持部材26によって保持される。保持部材26は、ワイヤー27の一端と連結される。ワイヤー27の他端は、回転することでワイヤー27を巻き取る巻取ドラム28に連結される。これにより、巻取ドラム28が回転することによって保持部材26が副走査方向に移動し、ランプ21およびミラー23が保持部材26と共に副走査方向に移動する。なお、保持部材26には複数本のワイヤー27が連結されており、複数本のワイヤー27が架けまわされる。ただし、図2では、便宜上、ワイヤー27を1本のみ図示している。
【0027】
搬送読取時には、保持部材26がコンタクトガラス20aの下方に移動して静止する。その後、原稿搬送ユニット1がコンタクトガラス20a上に原稿Dを搬送する。このとき、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dに対してランプ21が光を照射し、原稿Dで反射された反射光の光電変換をイメージセンサー22が連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの一方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に上方に向けられた面)の読み取りがライン単位で行われる。
【0028】
一方で、載置読取時には、保持部材26が副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。そして、保持部材26が副走査方向に移動している最中に、コンタクトガラス20b上に載置された原稿Dに対してランプ21が光を照射し、原稿Dで反射された反射光の光電変換をイメージセンサー22が連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dのコンタクトガラス20bと対向する面の読み取りがライン単位で行われる。
【0029】
また、読取台20には、原稿搬送ユニット1の読取台20に対する開閉を検知するためのユニット開閉検知センサーUSが設けられている。ユニット開閉検知センサーUSは、たとえば、発光部、受光部、および、発光部と受光部との間を上下方向に移動するとともに読取台20上の領域(原稿搬送ユニット1側の領域)に向かって突出するアクチュエーターを有する光センサーである。また、ユニット開閉検知センサーUSは、原稿搬送ユニット1を開閉可能に支持するヒンジ(図示せず)の近傍に配置される。ユニット開閉検知センサーUSのアクチュエーターは、原稿搬送ユニット1の傾きが所定角度よりも小さくなると、原稿搬送ユニット1により押圧されて下方に移動し、発光部と受光部との間の光路を遮断(または、開放)する。一方で、ユニット開閉検知センサーUSのアクチュエーターは、原稿搬送ユニット1の傾きが所定角度よりも大きくなると、原稿搬送ユニット1による押圧が解除されることで上方に移動し、発光部と受光部との間の光路を開放(または、遮断)する。
【0030】
なお、原稿搬送ユニット1には、原稿Dの一方面とは反対側の他方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に下方に向けられた面)を読み取るためのCISユニット15が設けられている。CISユニット15は、原稿搬送路10に沿った所定箇所に配置される。これにより、原稿Dの両面の読み取りを同時に行うことができるようになる。
【0031】
図1に戻って、印刷部3は、給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6および定着部7によって構成される。そして、印刷部3は、用紙搬送路30に沿って用紙Pを搬送し、画像読取部2による読み取りによって得られた画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する(コピージョブ)。
【0032】
給紙部4は、用紙カセット41に収容された用紙Pを用紙搬送路30に供給する。この給紙部4は、ピックアップローラー42および給紙ローラー対43を含む。ピックアップローラー42は、用紙カセット41に収容された用紙Pを給紙ローラー対43の給紙ニップに送り、給紙ローラー対43は、給紙ニップに進入した用紙Pを用紙搬送路30に供給する。
【0033】
用紙搬送部5は、用紙搬送路30に供給された用紙Pを転写ニップおよび定着ニップの順番で搬送し、排出トレイ51に排出する。この用紙搬送部5は、用紙搬送路30に沿って用紙Pを搬送するための搬送ローラー対52を複数含む。複数の搬送ローラー対52のうち1つの搬送ローラー対52は、レジストローラー対53である。レジストローラー対53は、用紙Pを転写ニップの手前で待機させ、タイミングを合わせて用紙Pを転写ニップに送り出す。
【0034】
画像形成部6は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。この画像形成部6は、感光体ドラム61、帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラー65およびクリーニング装置66を含む。
【0035】
画像形成時には、感光体ドラム61が回転し、その感光体ドラム61の表面を帯電装置62が所定電位に帯電させる。また、露光装置63は、感光体ドラム61の表面を走査露光し、感光体ドラム61の表面に静電潜像を形成する。現像装置64は、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
【0036】
転写ローラー65は、感光体ドラム61の表面に圧接し、感光体ドラム61との間で転写ニップを形成する。その状態で、レジストローラー対53がタイミングを計り、転写ニップに用紙Pを進入させる。これによって、感光体ドラム61の表面のトナー像が用紙Pに転写される。クリーニング装置66は、用紙Pへのトナー像の転写が終わると、感光体ドラム61の表面に残留するトナーなどを除去する。
【0037】
定着部7は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。定着部7は、加熱ローラー71および加圧ローラー72を含む。加熱ローラー71は、発熱源を内蔵する。加圧ローラー72は、加熱ローラー71に圧接し、加熱ローラー71との間で定着ニップを形成する。そして、トナー像が転写された用紙Pは、定着ニップを通過することにより、加熱および加圧される。
【0038】
また、印刷部3には、用紙搬送路30の複数の検知位置において用紙Pの有無(到達および後端通過)を検知するための複数の用紙検知センサーが設けられている。これら複数の用紙検知センサーは、たとえば、検知対象に向けて光を発光する発光部および検知対象からの反射光を受光する受光部を有する反射型の光センサーである。そして、複数の用紙検知センサーの各出力は、対応する検知位置に用紙Pが有るときと無いときとで変動する。なお、複数の用紙検知センサーのうち所定の用紙検知センサーDS10の検知位置DP10は、定着ニップよりも用紙搬送方向下流側の位置(排出トレイ51に至る直前の位置)とされている。図1には、図面の簡略化のため、複数の用紙検知センサーのうち所定の用紙検知センサーDS10のみを図示している。
【0039】
操作パネル8は、タッチパネル付きの液晶表示部81を含む。液晶表示部81は、ユーザーから各種設定などを受け付けるためのソフトキーやメッセージなどを表示する。さらに、操作パネル8には、テンキー82やスタートキー83などのハードキーも設けられている。
【0040】
ここで、画像形成装置100は、ケーブルCBを介して接続された課金装置9を備えており、画像形成装置100でコピーを行う使用者に対して原稿Dのコピー料を課金する。たとえば、課金装置9は、コインベンダーであって、金銭投入口91、金額表示部92および金銭返却口93を含む。なお、課金装置9がプリペイドカード方式であってもよい。
【0041】
課金装置9は、金銭投入口91に金銭が投入されると、投入額を金額表示部92に表示する。そして、課金装置9は、コピージョブが実行されると、印刷部3が印刷を行う毎に原稿Dのコピー料を投入額から差し引き、差し引いた額を金額表示部92に表示する(印刷部3が印刷を行う毎に金額表示部92の表示金額が減っていく)。コピージョブが終了した後、課金装置9は、金銭返却口93から残金を返却する。
【0042】
(画像形成装置のハードウェア構成)
図3に示すように、画像形成装置100は、装置全体の制御や印刷部3の印刷動作の制御を行う主制御部110を備える。主制御部110は、メインCPU111、画像処理部112、計時部113および記憶部114を含む。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。計時部113は、RTC(real−time clock)であり、時間を計時する。記憶部114は、ROMおよびRAMなどからなり、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。
【0043】
この主制御部110には、用紙検知センサーDS10を含む複数の用紙検知センサーが接続される。そして、主制御部110は、複数の用紙検知センサーの各出力に基づき、用紙搬送路30の検知位置DP10を含む複数の検知位置において用紙Pの有無(到達および後端通過)を検知し、用紙搬送路30において用紙搬送エラーが発生したか否かを判断したり、用紙Pの搬送タイミングを計ったりする。
【0044】
また、主制御部110には、スキャン制御部210が接続される。スキャン制御部210は、図4に示すように、CPU211および記憶部212を含む。そして、スキャン制御部210は、主制御部110から指示を受け、原稿搬送ユニット1の原稿搬送動作および画像読取部2の画像読取動作を制御する。なお、スキャン制御部210は、本発明の「エラー発生検知部」に相当する。
【0045】
具体的には、スキャン制御部210は、給紙部13や原稿搬送部14の各ローラーを回転させるための搬送モーターM1と接続され、給紙部13や原稿搬送部14の各ローラーを適切に回転させる。また、スキャン制御部210は、巻取ドラム28を回転させるための巻取モーターM2と接続され、巻取ドラム28を適切に回転させる。すなわち、スキャン制御部210は、保持部材26を副走査方向に移動させ、ランプ21の照射位置を制御する。
【0046】
また、スキャン制御部210は、ランプ21およびイメージセンサー22と接続され、ランプ21およびイメージセンサー22の各動作を制御する。さらに、スキャン制御部210は、イメージセンサー22のアナログ出力を処理するため、アナログ処理部221、補正部222および画像メモリー223と接続される。アナログ処理部221は、増幅回路やA/D変換回路などを含む。そして、アナログ処理部221は、イメージセンサー22のアナログ出力を増幅し、デジタルの画像データに変換して出力する。補正部222は、シェーディング補正などの補正を行う。画像メモリー223は、画像データを蓄積し、主制御部110(画像処理部112)に転送する。
【0047】
画像データを受けた主制御部110(画像処理部112)は、画像データに対して画像処理を施し、露光用の画像データ(露光装置63の発光素子を点消灯させるためのデータ)を生成する。そして、主制御部110は、露光用の画像データを印刷部3に出力する。
【0048】
また、スキャン制御部210は、原稿検知センサーDS1〜DS4と接続され、原稿検知センサーDS1〜DS4の各出力に基づき、原稿搬送路10の検知位置DP1〜DP4において原稿Dの有無(到達および後端通過)を検知する。そして、スキャン制御部210は、原稿搬送路10において原稿搬送エラー(ジャム)が発生したか否かを判断したり、原稿Dの搬送タイミングを計ったりする。
【0049】
さらに、スキャン制御部210は、ユニット開閉検知センサーUSおよびカバー開閉検知センサーCSと接続される。そして、スキャン制御部210は、ユニット開閉検知センサーUSの出力に基づき原稿搬送ユニット1の開閉を検知し、カバー開閉検知センサーCSの出力に基づき開閉カバーCVの開閉を検知する。
【0050】
図3に戻って、主制御部110は、操作パネル8と接続され、操作パネル8の表示動作を制御したり、操作パネル8に対して使用者が行った操作を検知したりする。たとえば、主制御部110は、課金装置9に金銭が投入されていなければ、金銭の投入を要求するメッセージを液晶表示部81に表示させ、課金装置9に金銭が投入されると、コピージョブに関する設定画面を液晶表示部81に表示させる(画像形成装置100でのコピーが可能になる)。そして、主制御部110は、課金装置9に金銭が投入され、スタートキー83が押下されると、その押下操作をコピージョブの実行指示として認識する。あるいは、主制御部110は、コピージョブに関する設定画面を液晶表示部81に常時表示させ、課金装置9に金銭が投入されていない状態でスタートキー83が押下されると、金銭の投入を要求するメッセージを液晶表示部81に表示させる。
【0051】
また、主制御部110は、I/F部120を介して、課金装置9と通信可能に接続される。そして、課金装置9は、金銭が投入されると、金銭が投入された旨の情報(金銭受領情報)を主制御部110に通知する。金銭受領情報の通知を受けた主制御部110は、スタートキー83が押下されると、コピージョブを実行させる。
【0052】
主制御部110は、コピージョブの実行時に印刷部3が1枚分の印刷を完了させると、その都度、1枚分の原稿Dのコピーが完了した旨の情報(コピー完了情報)を課金装置9に通知する。たとえば、主制御部110は、用紙検知センサーDS10の出力に基づき、検知位置DP10を用紙Pの後端が通過したか否かを検知する。そして、主制御部110は、検知位置DP10において用紙Pの後端通過を検知すると、印刷部3による1枚分の印刷が完了したと判断し、コピー完了情報を課金装置9に通知する。コピー完了情報の通知を受けた課金装置9は、1枚分の原稿Dのコピー料を課金する。
【0053】
(コピージョブのジョブモード)
主制御部110は、第1モードおよび第2モードのうちいずれかのジョブモードをコピージョブの実行モードとして設定する。第1モードに設定された場合、印刷部3は、画像読取部2による原稿Dの読み取りと並行して、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像を用紙Pに印刷する。第2モードに設定された場合、印刷部3は、画像読取部2により読み取られた原稿Dが原稿搬送路10から排出された後、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像の用紙Pへの印刷を開始する。以下に、コピージョブの実行時の動作について詳細に説明する。
【0054】
まず、主制御部110は、課金装置9に金銭が投入され、操作パネル8がコピージョブの実行指示を受け付けると、スキャン制御部210にコピージョブ(原稿Dの読み取り)の実行を指示する。
【0055】
スキャン制御部210は、主制御部110からコピージョブ(原稿Dの読み取り)の実行指示を受けると、給紙部13に給紙動作を行わせ、原稿搬送部14に搬送動作を行わせる。すなわち、給紙部13は、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dを原稿搬送路10に供給する。また、原稿搬送部14は、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する。
【0056】
原稿セットトレイ11から原稿搬送路10に供給された原稿Dが原稿搬送路10に沿って搬送され、その原稿Dが検知位置DP3(図2参照)に到達すると、原稿検知センサーDS3の出力レベルが変動する(原稿Dが有ることを示すレベルになる)ので、スキャン制御部210が検知位置DP3において原稿Dの到達を検知する。そして、スキャン制御部210は、原稿Dが読取位置RP(図2参照)に到達するタイミングで、画像読取部2による原稿Dの読み取りを開始させる。その後、スキャン制御部210は、原稿Dの後端が読取位置RPを通過し切るタイミングで、画像読取部2による原稿Dの読み取りを終了させる。なお、画像読取部2による読取開始タイミングは、検知位置DP3と読取位置RPとの間の距離および原稿搬送速度に基づき求めることができる(検知位置DP3で原稿Dの先端到達を検知した時点を基点として原稿Dの先端が読取位置RPに到達するタイミングを計る)。また、画像読取部2による読取終了タイミングは、原稿Dの長さおよび原稿搬送速度に基づき求めることができる。あるいは、画像読取部2による読取終了タイミングは、検知位置DP3と読取位置RPとの間の距離および原稿搬送速度に基づき求めることができる(検知位置DP3で原稿Dの後端通過を検知した時点を基点として原稿Dの後端が読取位置RPを通過し切るタイミングを計る)。
【0057】
画像読取部2による原稿Dの読み取りが開始された後、原稿Dが検知位置DP4(図2参照)に到達すると、原稿検知センサーDS4の出力レベルが変動する(原稿Dが有ることを示すレベルになる)ので、スキャン制御部210が検知位置DP4において原稿Dの到達を検知する。続いて、原稿Dの後端が検知位置DP4を通過すると、原稿検知センサーDS4の出力レベルが元に戻る(原稿Dが無いことを示すレベルになる)ので、スキャン制御部210が検知位置DP4において原稿Dの後端通過を検知する。スキャン制御部210は、検知位置DP4において原稿Dの後端通過を検知すると、原稿Dが原稿搬送路10から排出された(原稿排出トレイ12に排出された)と判断する。
【0058】
ここで、第1モードでは、主制御部110は、画像読取部2が原稿Dの読み取りを行っている最中に、印刷部3による印刷を開始させる。これにより、画像読取部2による原稿Dの読み取りと並行して、画像読取部2により読み取られた原稿Dの画像が用紙Pに印刷される。一方で、第2モードでは、主制御部110は、原稿Dの後端が検知位置DP4を通過した後、すなわち、画像読取部2により読み取られた原稿Dが原稿搬送路10から排出された後、印刷部3による印刷を開始させる。
【0059】
印刷部3による印刷が開始された後、用紙Pが検知位置DP10(図1参照)に到達すると、用紙検知センサーDS10の出力レベルが変動する(用紙Pが有ることを示すレベルになる)ので、主制御部110が検知位置DP10において用紙Pの到達を検知する。続いて、用紙Pの後端が検知位置DP10を通過すると、用紙検知センサーDS10の出力レベルが元に戻る(用紙Pが無いことを示すレベルになる)ので、主制御部110が検知位置DP10において用紙Pの後端通過を検知する。そして、主制御部110は、検知位置DP10において用紙Pの後端通過を検知すると、1枚分の印刷が完了したと判断する。
【0060】
その後、主制御部110は、コピー完了情報を課金装置9に通知する。この通知を受けて、課金装置9は、1枚分の原稿Dのコピー料を課金する。
【0061】
(原稿搬送エラーの発生検知)
スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に検知位置DP1〜DP4(図2参照)において原稿Dの到達および後端通過を検知し、原稿搬送エラー(ジャム)が発生したか否かを判断する。たとえば、スキャン制御部210は、検知位置DP1〜DP4のうち或る検知位置(第1検知位置とする)において原稿Dの到達を検知してから計時を開始する。そして、スキャン制御部210は、第1検知位置において原稿Dの到達を検知してから所定時間が経過したときに、第1検知位置よりも原稿搬送方向下流側の検知位置(第2検知位置とする)において原稿Dの到達を検知できなければ、原稿搬送エラーが発生したと判断する。この場合の所定時間というのは、第1検知位置と第2検知位置との間を原稿Dが進行するのに要する予定時間であり、第1検知位置と第2検知位置との間の距離および原稿搬送速度に基づき予め算出することができる時間である。
【0062】
あるいは、スキャン送制御部210は、検知位置DP1〜DP4のうち或る検知位置において原稿Dの到達を検知してから、所定時間が経過しても同じ検知位置において原稿Dの後端通過を検知できなければ、原稿搬送エラーが発生したと判断する。この場合の所定時間というのは、或る検知位置に原稿Dが到達してから同じ検知位置を原稿Dの後端が通過するのに要する予定時間であり、原稿Dの長さおよび原稿搬送速度に基づき予め算出することができる時間である。
【0063】
また、スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に、ユニット開閉検知センサーUSの出力に基づき原稿搬送ユニット1の開閉を検知する。そして、スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に原稿搬送ユニット1が開状態になったことを検知したときにも、原稿搬送エラーが発生したと判断する。さらに、スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に、カバー開閉センサーCSの出力に基づき開閉カバーCVの開閉を検知する。そして、スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に開閉カバーCVが開状態になったことを検知したときにも、原稿搬送エラーが発生したと判断する。
【0064】
スキャン制御部210は、コピージョブの実行時に原稿搬送エラーの発生を検知した場合、原稿搬送ユニット1の原稿搬送動作を停止させるとともに、画像読取部2の画像読取動作を停止させる。また、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーの発生を主制御部110に通知する。
【0065】
スキャン制御部210から原稿搬送エラーの発生通知を受けると、主制御部110は、操作パネル8に指示し、原稿搬送エラーが発生した旨を報知させる。たとえば、操作パネル8は、原稿搬送エラーが発生した旨のメッセージや、原稿Dの再セットを促す旨のメッセージなどを表示する。また、主制御部110は、原稿搬送エラーが発生したコピージョブを停止状態にする。
【0066】
原稿搬送エラーが発生したコピージョブを停止状態にして以降、主制御部110は、原稿搬送エラーが発生したコピージョブをキャンセルするためのキャンセル操作が使用者によって行われたか否かを判断する。たとえば、コピージョブをキャンセルするためのキャンセルキー84が操作パネル8に設けられ、主制御部110は、キャンセルキー84の押下を検知するとキャンセル操作が行われたと判断する。そして、主制御部110は、操作パネル8に対してキャンセル操作が行われると、原稿搬送エラーが発生したコピージョブをキャンセルし、コピージョブの実行が可能な状態に戻す(コピージョブの実行指示の受け付けを操作パネル8に行わせる)。これにより、使用者は、コピージョブを再開することができる。
【0067】
(コピージョブのモード設定)
主制御部110は、第1モードおよび第2モードのうち第1モードをデフォルトのモードとして設定する(通常では第1モードに設定されている)。その理由は、コピージョブの開始から終了までにかかる時間を短縮し、使用者の利便性を向上させるためである。
【0068】
ただし、第1モードに設定されていれば、画像読取部2による原稿Dの読み取りが開始され、印刷部3による印刷が開始された後、原稿Dの後端が読取位置RP(図2参照)を通過し切る前に原稿搬送エラーが発生することがある。そして、このようなタイミングで原稿搬送エラーが発生すると、原稿Dのうち読取位置を通過した部分の画像だけが印刷された用紙P(原稿Dの画像が中途半端に印刷された用紙P)が出力されてしまう。このため、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿Dのコピー料が課金されると、使用者に不利益をもたらす。
【0069】
したがって、主制御部110は、コピージョブの実行時にスキャン制御部210から原稿搬送エラーの発生通知を受けると、用紙Pの後端が検知位置DP10(図1参照)を通過しても、コピー完了情報を課金装置9に通知しない。すなわち、課金装置9は、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿Dのコピー料については課金しない。
【0070】
しかし、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生したときに、原稿Dの後端が読取位置RPを既に通過していれば、原稿Dのコピー料は課金されないが、原稿Dの画像が正常に印刷された用紙Pが出力される。この点を利用し、使用者によっては、原稿Dの後端が読取位置RPを通過したタイミングで意図的に原稿搬送エラーを生じさせ、原稿Dのコピー料の課金を免れようとする場合がある。そして、このような不正な課金逃れは、連続して繰り返し行われる可能性がある。したがって、画像形成装置100の設置者(原稿Dのコピー料を徴収する者)にとっては都合が悪い。
【0071】
そこで、本実施形態では、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生した場合、その原稿搬送エラーが使用者によって意図的に生じさせ得るエラーであれば、次に開始するコピージョブからはジョブモードを第2モードに設定変更して実行する。なお、第2モードでは、印刷部3は、画像読取部2により読み取られた原稿Dが原稿搬送路10から排出された後、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像の用紙Pへの印刷を開始する。したがって、第2モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生しても、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿Dの画像の用紙Pへの印刷は開始されていないので、課金逃れを行うことはできない。以下に、コピージョブのモード変更動作について詳細に説明する。
【0072】
まず、スキャン制御部110は、第1モードでのコピージョブの実行時に、原稿搬送エラーが発生したか否かを検知する。そして、スキャン制御部110は、原稿搬送エラーの発生を検知したとき、その原稿搬送エラーが使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められた特定エラーであるか否かを判断する。
【0073】
ここで、原稿搬送ユニット1や開閉カバーCVの閉状態から開状態への変化を原稿搬送エラーの発生として検知する構成では、原稿Dの後端が読取位置RPを通過したタイミングで意図的に原稿搬送エラーを生じさせ易い(原稿Dの後端が読取位置RPを通過したタイミングで原稿搬送ユニット1や開閉カバーCVを開けるだけでよい)。すなわち、不正使用者は、原稿搬送ユニット1や開閉カバーCVを開けることで原稿搬送エラーを意図的に生じさせる可能性が高い。このため、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが原稿搬送ユニット1や開閉カバーCVの閉状態から開状態への変化に起因するものであれば、原稿搬送エラーが特定エラー(使用者によって意図的に生じさせ得るエラー)であると判断する。
【0074】
スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが特定エラーであると判断すると、原稿搬送エラーが特定エラーであった旨を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、次に開始するコピージョブからは第2モードで実行するようジョブモードを設定変更する。すなわち、印刷部3は、第1モードでのコピージョブの実行時に発生した原稿搬送エラーが特定エラーであるとスキャン制御部210が判断した場合、スキャン制御部210が原稿搬送エラーの発生を検知して以降に開始するコピージョブを第2モードで実行することになる。
【0075】
以下に、図5に示すフローチャートを参照して、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生したときの制御の流れについて説明する。なお、図5のフローチャートのスタートは、第1モードでのコピージョブの実行時に、スキャン制御部210が原稿搬送エラーの発生を検知したときである。
【0076】
ステップS1において、スキャン制御部210は、原稿搬送ユニット1の原稿搬送動作を停止させる。そして、ステップS2において、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められた特定エラーであるか否かを判断する。すなわち、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが原稿搬送ユニット1や開閉カバーCVの閉状態から開状態への変化に起因するものであるか否かを判断する。その結果、原稿搬送エラーが特定エラーであれば、ステップS3に移行し、原稿搬送エラーが特定エラーでなければ、ステップS4に移行する。
【0077】
ステップS3に移行した場合、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが特定エラーである旨を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、次に開始するコピージョブからは第2モードで実行するようジョブモードを設定変更する。
【0078】
一方で、ステップS4に移行した場合、スキャン制御部210は、原稿搬送エラーが特定エラーではない旨を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、次に開始するコピージョブも第1モードで実行するようジョブモードの設定を維持する。
【0079】
(ジョブモードの復帰)
コピージョブのジョブモードが第2モードに設定されていれば、課金逃れを防ぐことができる。しかし、コピージョブのジョブモードが第2モードに維持されていると、コピージョブの開始から終了までにかかる時間が長くなるので、課金逃れを意図していない使用者の利便性を損なってしまう。そこで、主制御部110は、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更した後、予め定められた復帰条件が満たされたとき、以降に開始するコピージョブからは第1モードで実行するようジョブモードの設定を変更する。
【0080】
たとえば、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更してもコピージョブが行われていれば、特定エラーを生じさせた使用者が不正使用者ではなかった、あるいは、不正使用者が特定エラーを生じさせたがその不正使用者は画像形成装置100から既に立ち去っている、と考えられる。すなわち、第2モードでのコピージョブの実行時に印刷された印刷枚数が数枚〜数十枚に達していれば、コピージョブのジョブモードを第1モードに戻しても、課金逃れが行われる可能性は低い。
【0081】
そこで、主制御部110は、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更して以降、第2モードでのコピージョブの実行時に印刷された印刷枚数を検知する。この構成においては、主制御部110が本発明の「印刷枚数検知部」に相当する。たとえば、主制御部110は、検知位置DP10(図1参照)において用紙Pの後端通過を検知し、その検知回数を印刷枚数として記憶部114に記憶させる。そして、主制御部110は、第2モードでのコピージョブの実行時の印刷枚数に基づき、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させるか否かを判断する。以下に、図6に示すフローチャートに沿って説明する。なお、図6のフローチャートは、原稿搬送エラー(特定エラー)が発生したとき、すなわち、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更したときにスタートする。
【0082】
ステップS11において、主制御部110は、第2モードでのコピージョブの実行時に印刷された印刷枚数をカウントする。そして、ステップS12において、主制御部110は、第2モードでのコピージョブの実行時に印刷された印刷枚数が予め定められた所定枚数(数枚〜数十枚)に到達したか否かを判断する。その結果、印刷枚数が所定枚数に到達していれば、ステップS13に移行し、主制御部110は、復帰条件が満たされたものとしてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。一方で、印刷枚数が所定枚数に到達していなければ、ステップS11に戻る。すなわち、印刷部3は、主制御部110が検知した第2モードでのコピージョブの実行時の印刷枚数が所定枚数に到達するまでは第2モードでコピージョブを実行し、所定枚数に到達した後に開始するコピージョブからは第1モードで実行する。
【0083】
また、仮に特定エラーを生じさせた使用者が不正使用者であっても、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更すれば、課金逃れを行えないので、不正使用者が何時までも画像形成装置100を使用し続けることはないと考えられる。すなわち、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更した後、ある程度の時間が経過すれば、コピージョブのジョブモードを第1モードに戻しても、課金逃れが行われる可能性は低い。
【0084】
そこで、主制御部110は、第1モードでのコピージョブの実行時に発生した原稿搬送エラーが特定エラーであるとスキャン制御部210が判断したとき、原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間を計時部113に計時させる。そして、主制御部110は、原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間に基づき、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させるか否かを判断する。以下に、図7に示すフローチャートに沿って説明する。なお、図7のフローチャートは、原稿搬送エラー(特定エラー)が発生したとき、すなわち、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更したときにスタートする。
【0085】
ステップS21において、主制御部110は、原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間を計時部113に計時させる。そして、ステップS22において、主制御部110は、原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間が予め定められた所定時間(数十分〜1時間)に到達したか否かを判断する。その結果、経過時間が所定時間に到達していれば、ステップS23に移行し、主制御部110は、復帰条件が満たされたものとしてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。一方で、経過時間が所定時間に到達していなければ、ステップS21に戻る。すなわち、印刷部3は、計時部113により計時された原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間が所定時間に到達するまでは第2モードでコピージョブを実行し、所定時間に到達した後に開始するコピージョブからは第1モードで実行する。
【0086】
なお、画像形成装置100には、たとえば、使用者認証機能(ログイン機能)が搭載される。使用者認証機能を搭載する画像形成装置100では、使用者の認証を行うための認証情報が予め登録され、記憶部114に記憶される。そして、認証を受ける使用者は、まず、操作パネル8を操作し、自身の認証情報(たとえば、ユーザー名やパスワード)を入力する。
【0087】
主制御部110は、使用者が認証情報を入力すると、その使用者が入力した認証情報と予め登録された認証情報とを比較し、認証情報を入力した使用者が認証可能か否かを判断する。そして、主制御部110は、認証情報を入力した使用者が認証可能と判断すれば、認証情報を入力した使用者に画像形成装置100の使用許可を与える。この構成においては、主制御部110が本発明の「認証部」に相当する。
【0088】
ここで、画像形成装置100にログインした使用者が不正使用者であっても、その使用者(不正使用者)が画像形成装置100からログアウトした後に別の使用者が画像形成装置100にログインすれば、現在の使用者が従前の使用者(不正使用者)と異なっていることは明らかである。このため、使用者認証機能を画像形成装置100に搭載する場合には、図8に示すフローチャートに沿って、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させるか否かを判断してもよい。なお、図8のフローチャートは、原稿搬送エラー(特定エラー)が発生し、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更した後、認証を受けた使用者に画像形成装置100の使用許可を与えたときにスタートする。
【0089】
ステップS31において、主制御部110は、画像形成装置100の使用許可を与えた使用者(画像形成装置100にログインした使用者)が代わったか否かを判断する。その結果、使用者が代わっていれば、ステップS32に移行し、使用者が代わっていなければ、ステップS33に移行する。ステップS32に移行すると、主制御部110は、復帰条件が満たされたものとしてコピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。一方で、ステップS33に移行すると、主制御部110は、コピージョブのジョブモードを第2モードのまま維持する。すなわち、印刷部3は、画像形成装置100の使用許可が与えられた使用者が代わると、第1モードでコピージョブを実行する。これにより、従前の使用者が不正使用者であったためにコピージョブのジョブモードが第1モードから第2モードに設定変更されたとしても、次の使用者の使用時にはコピージョブのジョブモードが第1モードに復帰しているので、次の使用者はコピージョブを速やかに終わらせることができる。
【0090】
なお、ステップS31からステップS33に移行し、コピージョブのジョブモードを第2モードのまま維持する場合、第2モードでのコピージョブの実行時の印刷枚数が予め定められた印刷枚数に達した後、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させてもよい(図6に示した制御を行ってもよい)。あるいは、原稿搬送エラーの発生検知時点からの経過時間が予め定められた所定時間に到達した後、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させてもよい(図7に示した制御を行ってもよい)。
【0091】
ところで、不正使用者は、課金逃れを繰り返し行う場合がある。したがって、課金逃れを図る不正使用者が画像形成装置100を使用すると、コピージョブの実行時に発生する特定エラーの発生頻度が高くなる。
【0092】
そこで、主制御部110は、コピージョブの実行時に発生した特定エラーの発生頻度を含む使用履歴データを使用者毎に記憶する。そして、主制御部110は、認証した使用者に対応する使用履歴データで示される特定エラーの発生頻度が所定値以上である場合、認証した使用者が課金逃れを行えないように、コピージョブのジョブモードを第2モードに設定変更する(印刷部3が第2モードでコピージョブを実行する)。
【0093】
たとえば、主制御部110は、特定エラーの発生率(たとえば、原稿搬送枚数に対する特定エラーの発生回数の割合)を特定エラーの発生頻度を示す値として記憶する。そして、主制御部110は、特定エラーの発生率が所定発生率以上であれば、特定エラーの発生頻度が所定値以上であると判断し、コピージョブのジョブモードを第2モードに設定変更する。
【0094】
あるいは、主制御部110は、特定エラーが発生して以降に特定エラーが発生することなく搬送された原稿枚数を特定エラーの発生頻度を示す値として記憶する。そして、主制御部110は、特定エラーが発生して以降に特定エラーが発生することなく搬送された原稿枚数が所定枚数以下であれば、特定エラーの発生頻度が所定値以上であると判断し、コピージョブのジョブモードを第2モードに設定変更する。この場合、特定エラーが発生して以降に特定エラーが発生することなく搬送された原稿枚数が所定枚数を超えれば、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させてもよい。
【0095】
本実施形態の画像形成装置100は、上記のように、原稿Dを搬送し、搬送中の原稿Dを読み取り、読み取った原稿Dの画像を用紙Pに印刷するコピージョブの実行が可能な課金式の画像形成装置であって、読取台20と、読取台20上を経由する原稿搬送路10を有し、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する原稿搬送ユニット1と、読取台20上の原稿Dを読み取る画像読取部2と、画像読取部2による原稿Dの読み取りと並行して画像読取部2が読み取った原稿Dの画像を用紙Pに印刷する第1モード、および、画像読取部2により読み取られた原稿Dが原稿搬送路10から排出された後に画像読取部2が読み取った原稿Dの画像の用紙Pへの印刷を開始する第2モード、のうちいずれかのモードでコピージョブを実行する印刷部3と、原稿搬送ユニット1が原稿Dを搬送しているときに原稿搬送エラーが発生したか否かを検知し、原稿搬送エラーの発生を検知すると、原稿搬送ユニット1による原稿Dの搬送を停止させるスキャン制御部210と、印刷部3が印刷を行う毎に原稿Dのコピー料を課金し、スキャン制御部210が原稿搬送エラーの発生を検知すると、原稿搬送エラーの発生検知時に搬送されていた原稿Dのコピー料については課金しない課金装置9と、を備える。そして、スキャン制御部210は、第1モードでのコピージョブの実行時に搬送エラーの発生を検知したとき、その原稿搬送エラーが使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められた特定エラーであるか否かを判断し、印刷部3は、原稿搬送エラーが特定エラーであるとスキャン制御部210が判断した場合、スキャン制御部210が原稿搬送エラーの発生を検知して以降に開始するコピージョブを第2モードで実行する。
【0096】
コピージョブのジョブモードが第1モードである場合、画像読取部2による原稿Dの読み取りと並行して、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像が用紙Pに印刷される。このため、画像読取部2による原稿Dの読み取りが終わったタイミングで原稿搬送エラーが発生すると、原稿Dの画像の用紙Pへの印刷が正常に行われるにもかかわらず、原稿Dのコピー料は課金されない。したがって、第1モードでのコピージョブの実行時に発生した原稿搬送エラーが特定エラー(使用者によって意図的に生じさせ得るものとして予め定められたエラー)であると、その原稿搬送エラーが課金逃れを図る不正使用者によって意図的に発生されられた可能性がある。
【0097】
一方で、コピージョブのジョブモードが第2モードである場合には、画像読取部2により読み取られた原稿Dが原稿搬送路10から排出された後、画像読取部2が読み取った原稿Dの画像の用紙Pへの印刷が開始される。この第2モードでは第1モードに比べて、コピージョブの開始から終了までにかかる時間が長くなってしまう。しかし、課金逃れを図る不正使用者によって原稿搬送エラーが意図的に発生させられたとしても、原稿搬送エラーの発生時に搬送されていた原稿Dの画像の用紙Pへの印刷は開始していないので、課金逃れを防げる。
【0098】
そこで、本実施形態では、第1モードでのコピージョブの実行時に原稿搬送エラーが発生した場合、その原稿搬送エラーが特定エラー(使用者により意図的に生じさせ得るものとして予め定められたエラー)であれば、以降に開始するコピージョブを第2モードで実行する。これにより、課金逃れが連続して繰り返し行われるのを防ぐことができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、コピージョブのジョブモードを第1モードから第2モードに設定変更した後、予め定められた復帰条件(コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる条件)が満たされると、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。これにより、課金逃れを意図していない使用者の利便性が損なわれるのを抑制することができる。たとえば、第2モードでのコピージョブの実行時に印刷された印刷枚数が予め定められた所定枚数に到達した場合や、原稿搬送エラー(特定エラー)の発生検知時点からの経過時間が予め定められた所定時間に到達した場合に、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。あるいは、使用者認証機能を搭載する画像形成装置100では、認証された使用者が代わると、コピージョブのジョブモードを第1モードに復帰させる。
【0100】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 原稿搬送ユニット
2 画像読取部
3 印刷部
9 課金装置
10 原稿搬送路
20 読取台
110 主制御部(印刷枚数検知部、認証部)
113 計時部
210 スキャン制御部(エラー発生検知部)
CV 開閉カバー
D 原稿
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8