特許第5963377号(P5963377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 水野 善郎の特許一覧

<>
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000002
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000003
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000004
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000005
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000006
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000007
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000008
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000009
  • 特許5963377-センサ固定システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5963377
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】センサ固定システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20160721BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20160721BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G01D11/24 B
   G01D21/00 D
   G01C15/00 104Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-99549(P2015-99549)
(22)【出願日】2015年5月14日
【審査請求日】2016年4月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399005482
【氏名又は名称】水野 善郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】水野 善郎
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−059263(JP,A)
【文献】 特開2014−084642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
G01C 15/00
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)先端に地中に挿し込む挿し込み部、長手方向軸心に沿って内部にシリンダー形状の収納部、後端に該収納部の開口部が設けられた杭と、
b)上端に叩き面を有するフランジ部と前記シリンダー形状に適合したピストン形状の軸部とからなる衝撃受け手段とから構成され、
前記杭の挿し込み作業時に、前記軸部を前記収納部に挿入し、前記衝撃受け手段が叩き頭を形成し、
前記杭の挿し込み作業後は、前記軸部を抜いて、前記衝撃受け手段を取り外し、前記開口部から前記シリンダー形状に適合したピストン形状のセンサケースを前記収納部に挿入し、キャップを前記開口部に装着し、閉塞することを特徴とするセンサ固定システム。
【請求項2】
前記軸部と前記開口部には、互いに係合するねじ切りが設けられ、前記杭の挿し込み作業時の軸部挿入は、ねじ締め方式によって行われることを特徴とする請求項1に記載のセンサ固定システム
【請求項3】
前記杭、前記キャップ、前記センサケース及び前記衝撃受け手段は、超高分子ポリエチレンをCNC加工により削り出して形成されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野外においてセンサを固定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害の予防、電源施設等の保守等の観点から、野外の自然環境を計測するシステムが強く求められるている。近年は、自然環境を正確に把握するために、野外に多くのセンサが固定されるようになった。
また、通信技術の発達により、野外に配置されたセンサを無線通信でつなぎ、センサネットワークを構成することが多くなった。そのため、無線通信の妨げとならないセンサ固定方法に対するニーズも多い。
【0003】
従来、野外においてセンサを固定する場合、スタンドや柱などを地盤に設置し、その設置した構造物にセンサを固定する方式が通常であった。
センサ等を自然環境に固定するためには、雨による水の侵入、風による落下・転倒、或いは虫の侵入などに対する対策が必須である。そのため、耐環境ケースにセンサを収納した上で、その耐環境ケースを地盤に設置した構造物に固定する方式が望ましいとされていた。
スタンドや柱などの構造物を設置した上で、耐環境ケースにセンサを収納し、構造物に固定するという手間のかかる手順が必要であり、設置する構造物と耐環境ケースと別々のためコスト面でも安価とは言えない。
センサを固定する手間やコストを低くすると同時に耐侯性が確保されるセンサ固定技術が求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1は、地盤に埋め込まれる杭に収納されるセンサの検知情報をタグ情報と共に発信する情報発信杭、ならびに崖崩れの発生、土石流の発生、地滑りの発生などの地盤変動を早期に検出する情報発信杭を用いた地盤変動の検知技術に関する。
ここでは、アクティブ型ICタグ、およびこれと一体もしくは別体のセンサが設けられ、前記アクティブ型ICタグが、前記センサの検知情報をタグ情報と共に、検知情報を管理する管理サーバに発信する、情報発信杭が記載されている。
また、杭後端のキャップの内面と前記杭本体の間に衝撃緩衝材が介装する構成も記載されている。この構成によれば、杭を地盤に打ち込む際の衝撃をこの衝撃緩衝材が吸収することができるので、杭に収納されたICタグが衝撃を受けにくくすることができる。
しかしながら、杭の挿し込み時における衝撃でセンサやセンサに付随する電子機器が破壊されてしまうリスクが残る。
【特許文献1】特開2009-211631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、センサを固定するための杭を地盤に挿し込む作業のときの衝撃をセンサやセンサに付随する電子機器に与えないセンサ固定システムを提供することである。
上記衝撃をセンサ等に与えないと同時に、センサと外部との電波による通信を妨げないセンサの固定を実現するシステムとすることも課題となる。
さらには、本システムをセンサを保護すると同時に、固定システムを構成する部材自身も腐食等に強く対候性に優れるシステムとすることも課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点の発明では、
a)先端に地中に挿し込む挿し込み部、長手方向軸心に沿って内部にシリンダー形状の収納部、後端に該収納部の開口部が設けられた杭と、
b)上端に叩き面を有するフランジ部と上記シリンダー形状に適合したピストン形状の軸部とからなる衝撃受け手段とから構成され、
上記杭の挿し込み作業時に、上記軸部を上記収納部に挿入し、上記衝撃受け手段が叩き頭を形成し、
上記杭の挿し込み作業後は、上記軸部を抜いて、上記衝撃受け手段を取り外し、上記開口部から上記シリンダー形状に適合したピストン形状のセンサケースを上記収納部に挿入し、キャップを上記開口部に装着し、閉塞することを特徴とするセンサ固定システムが提供される。
【0007】
ここで、上記軸部と上記開口部には、互いに係合するネジ切が設けられ、上記杭の挿し込み作業時の軸部挿入は、ねじ締め方式によって行われるとしてもよい。
【0008】
また、上記杭、上記キャップ、上記センサケース及び上記衝撃受け手段は、超高分子ポリエチレンをCNC加工により削り出して形成されるとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、センサ固定システムを構成する部材の全体を示す図である。
図2図2は、杭本体の詳細構成を示した図である。
図3図3は、図2A−A線で切った杭本体の長手方向軸心に沿った杭本体断面図である。
図4図4は、衝撃受け部の詳細構成を示した図である。。
図5図5は、センサケースの詳細構成を示した図である。
図6図6は、キャップの詳細構成を示した図である。
図7図7は、杭本体を地盤に挿し込む作業を示したイメージ図である。
図8図8は、地盤に挿し込まれた杭本体にセンサケースを収納し、固定する作業を示したイメージ図である。
図9図9は、野外に固定されたセンサの測定データをサーバに送るための構成を示したイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態につき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係るセンサ固定システムを構成する部材の全体を示す図である。
杭本体1001、衝撃受け部1002、環境を測定するセンサとして傾斜センサを封入したセンサケース1003、キャップ1004という構成である。センサケースに封入するセンサは、ここでは傾斜センサとしたが、本発明で採用可能なセンサはこれに限定されるものではなく、位置センサ、放射線センサ、温度センサなどが適宜採用されうる。これらの部材はすべて超高分子ポリエチレンをCNC加工された材料により制作されている。
【0012】
超高分子ポリエチレンは、衝撃に強く、ハンマー等による叩きによっても割れないので、後で説明する杭本体を地盤に叩き込む作業のときも破壊されない。 また、本システムを構成する部材に金属が含まれていないので、後で説明するように杭本体に収納して固定するセンサと外部との通信を妨げない効果がある。
【0013】
図2は、杭本体1001の詳細構成を示した図である。 地盤に挿し込むために鋭角な先端状に形成された挿し込み部2001、杭本体の長手方向軸心に沿って内部にシリンダー形状に形成された収納部2002、この収納部の開口部2003という構成である。
【0014】
図3は、図2A−A線で切った杭本体の長手方向軸心に沿った杭本体断面図である。開口部2003の内側面にネジ切3001が設けられている。収納部2002の底面3002の開口部上端面から長手方向軸心に沿った長さは、後で説明する衝撃受け部1002の軸部の長さに等しい。ここでは、内側面にネジ切が施されているが、本発明の開口部のネジ切はこれに限定されるものではない。後で説明する衝撃受け部およびキャップに設けられたネジ切と係合するのであれば、外側面にネジ切を設けても良い。
【0015】
図4は、衝撃受け部1002の詳細構成を示した図である。斜視図4001と正面図4002に示されるように、挿し込み作業でハンマー等の打ち込みを受ける叩き面4003、この叩き面を上端に有するフランジ部4004、収納部2002に挿入されたときに先端4006が収納部底面2004に達する長さの軸部4005そしてこの軸部外側面に設けられたネジ切4007という構成である。 ここでネジ切4007は、杭本体のネジ切3001と係合するように加工されている。衝撃受け部を杭本体に装着するとき、軸部4005を収納部2002に挿入し、収納部底面2004に先端4006が達するまで締め込んでいく。この締め込みにより、挿し込み作業時にハンマー等で叩き面に加えた力が効率よく挿し込み部2001に伝わっていき、地盤への杭本体の挿し込みが効率的に行える。ここでは、ネジ切を軸部外側面に設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。先に説明した開口部のネジ切を開口部外側面に設けて、フランジ部の外側内側にネジ切を設けた溝を形成し、溝内のネジ切と開口部外側面に設けたネジ切とを係合させるように構成するなど適宜変更されうる。
【0016】
図5は、センサケース1003の詳細構成を示した図である。センサケースは、センサケース本体5001とセンサケース蓋5002に分かれており、ケース本体内へセンサ基板5003が封入される。対候性素材で形成されたセンサケースに封入されて、外の湿気等からセンサが保護される。
【0017】
図6は、キャップ1004の詳細構成を示した図である。斜視図6001と正面図6002に示すように、開口部2003を保護するフランジ6003とネジ切が設けられた固定軸6004とから構成されている。ここで、固定軸6004に設けられたネジ切は、開口部2003に設けられたネジ切と係合するように加工されている。キャップを杭本体に装着するとき、固定軸6004をフランジ6003の下端が開口部上端に達するまで締め込んでいく。このように締め込むことにより、収納部2002を外部の環境から保護することができる。
【0018】
図7は、杭本体1001を地盤に挿し込む作業を示したイメージ図である。7001は、挿し込み作業前に杭本体1001に衝撃受け部1002を装着するイメージである。矢線で示すように衝撃受け部1002を開口部2003から収納部2002へねじ込んで装着する。7002は、挿し込み作業を示したイメージ図である。杭本体の後端に装着された衝撃受け部1002が、杭の叩き頭7003を構成している。この叩き頭をハンマー7005で、作業者7004が叩くことにより、杭本体1001が地盤7006に挿し込まれる。
【0019】
図8は、地盤に挿し込まれた杭本体にセンサケースを収納し、固定する作業を示したイメージ図である。8001は、衝撃受け部1002を取り外し、センサを格納したセンサケース1003を収納部2002へ収納するイメージである。2本の矢線は、衝撃受け部の取り外しとセンサケースの収納を示す動的イメージである。8002は、センサを収納した杭本体の開口部2003にキャップ1004を装着するイメージである。矢線は、キャップの装着を示す動的イメージである。キャップ1004の固定軸6004にもネジ切が設けられており、捩じり込まれることにより、開口部2003が封止される。キャップが装着されて、センサの固定が完了する。
【0020】
このようにして地盤に固定されたセンサは、同様に固定された複数のセンサ群をともにセンサネットワークが形成されて、この地域の地盤変動を観測する。図9は、野外に固定されたセンサの測定データをサーバに送るための構成を示したイメージ図である。地盤7006に挿し込まれた杭本体1001内のセンサ基板5003は、無線通信により基地局9001に接続される。動作中のセンサを含むセンサ基板5003と無線基地局9001とは、無線通信によって接続されている。無線基地局9001は、ネットワーク9002を介して、管理サーバ9003に接続している。このような構成により、センサの観測データは、管理サーバ9003に送信され、管理される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、自然環境の観測産業、防災産業、電力施設等の保安業など様々な業界において、適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1001 杭本体
1002 衝撃受け部
1003 センサケース
1004 キャップ
【要約】
【課題】
本発明の課題は、センサを固定するための杭を地盤に挿し込む作業のときの衝撃をセンサやセンサに付随する電子機器に与えないセンサ固定システムを提供することである。
上記衝撃をセンサ等に与えないと同時に、センサと外部との電波による通信を妨げないセンサの固定を実現するシステムとすることも課題となる。
さらには、本システムをセンサを保護すると同時に、固定システムを構成する部材自身も腐食等に強く対候性に優れるシステムとすることも課題となる。
【解決手段】
先端に地中に挿し込む挿し込み部、長手方向軸心に沿って内部にシリンダー形状の収納部、後端に該収納部の開口部が設けられた杭と、上端に叩き面を有するフランジ部と上記シリンダー形状に適合したピストン形状の軸部とからなる衝撃受け手段とから構成されるセンサ固定システムを提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9