(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に配設される複数の電極部とを備え、当該複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態とし、使用者の皮膚に対しエレクトロポレーションを用いて非イオン性の物質を移動させる美容装置において、
あらかじめ設定されたnビット(nは自然数)のデジタル信号を一定間隔でそれぞれ出力するデジタル制御部と、
当該デジタル制御部から出力されたデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号を得るD/A変換部とを少なくとも備え、
前記複数の電極部が、当接した皮膚に対し前記D/A変換部で得られたアナログ信号に基づく波形の電圧を電極部間で印加して通電状態とし、
前記デジタル制御部が、エレクトロポレーション用モードとして、デジタル信号の2n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を所定の基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせ、且つ、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの前記一定間隔ごとの各増加量又は減少量を、デジタル信号の値が前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間内で略一定とすると共に、デジタル信号の値の前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの前記一定間隔ごとの各減少量又は増加量を、デジタル信号の値が前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの時間内で略一定とし、さらに、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って、前記極大値を初期値から徐々に増加させていき、又は、前記極小値を初期値から徐々に減少させていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせ、
前記電極部が、当接した皮膚に対し、前記D/A変換部でデジタル信号をデジタル−アナログ変換して得られたアナログ信号のみに基づく、直線状の単調増減変化を組合わせた略三角形の凸形状又は凹形状の繰返しとなる波形変化で、且つ、通電開始直後は、略三角形の波形が電圧のピークの絶対値を徐々に大きくしながら繰返され、前記一定時間経過後は略三角形の波形が変化せずに繰返される定常状態に移行する波形変化、をなす電圧を印加して、エレクトロポレーションを進行させることを
特徴とする美容装置。
使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に配設される複数の電極部とを備え、当該複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態とし、使用者の皮膚に対しエレクトロポレーションを用いて非イオン性の物質を移動させる美容装置において、
あらかじめ設定されたnビット(nは自然数)のデジタル信号を一定間隔でそれぞれ出力するデジタル制御部と、
当該デジタル制御部から出力されたデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号を得るD/A変換部とを少なくとも備え、
前記複数の電極部が、当接した皮膚に対し前記D/A変換部で得られたアナログ信号に基づく波形の電圧を電極部間で印加して通電状態とし、
前記デジタル制御部が、エレクトロポレーション用モードとして、デジタル信号の2n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を所定の基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせ、且つ、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの前記一定間隔ごとの各増加量又は減少量を、デジタル信号の値が前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間内で略一定とすると共に、デジタル信号の値の前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの前記一定間隔ごとの各減少量又は増加量を、デジタル信号の値が前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの時間内で略一定とし、さらに、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を、繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記一連の変化が繰返されるに従って前記一連の変化の繰返し周期を初期値から徐々に小さくしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせ、
前記電極部が、当接した皮膚に対し、前記D/A変換部でデジタル信号をデジタル−アナログ変換して得られたアナログ信号のみに基づく、直線状の単調増減変化を組合わせた略三角形の凸形状又は凹形状の繰返しとなる波形変化で、且つ、通電状態の開始直後は、略三角形の波形が繰返しの間隔を徐々に短くしながら繰返され、前記一定時間経過後は略三角形の波形の間隔が変化せずに繰返される定常状態に移行する波形変化、をなす電圧を印加して、エレクトロポレーションを進行させることを
特徴とする美容装置。
使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に配設される複数の電極部とを備え、当該複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態とし、使用者の皮膚に対しエレクトロポレーションを用いて非イオン性の物質を移動させる美容装置において、
あらかじめ設定されたnビット(nは自然数)のデジタル信号を一定間隔でそれぞれ出力するデジタル制御部と、
当該デジタル制御部から出力されたデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号を得るD/A変換部とを少なくとも備え、
前記複数の電極部が、当接した皮膚に対し前記D/A変換部で得られたアナログ信号に基づく波形の電圧を電極部間で印加して通電状態とし、
前記デジタル制御部が、エレクトロポレーション用モードとして、デジタル信号の2n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を所定の基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせ、且つ、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの前記一定間隔ごとの各増加量又は減少量を、デジタル信号の値が前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間内で略一定とすると共に、デジタル信号の値の前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの前記一定間隔ごとの各減少量又は増加量を、デジタル信号の値が前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの時間内で略一定とし、さらに、
前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って、前記一連の変化に要する所定時間を初期値から徐々に長くしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせ、
前記電極部が、当接した皮膚に対し、前記D/A変換部でデジタル信号をデジタル−アナログ変換して得られたアナログ信号のみに基づく、直線状の単調増減変化を組み合わせた略三角形の凸形状又は凹形状の繰返しとなる波形変化で、且つ、通電状態の開始直後は、略三角形の波形が一波形の継続時間を徐々に長くしながら繰返され、前記一定時間経過後は略三角形の一波形の継続時間が変化せずに繰返される定常状態に移行する波形変化、をなす電圧を印加して、エレクトロポレーションを進行させることを
特徴とする美容装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の美容機器は前記各特許文献に示される構成となっており、こうしたエレクトロポレーションを用いる機器では、皮膚に対し電極を当接させて通電することとなるが、エレクトロポレーションによる皮膚への穿孔の効果は、通電の際の印加電圧が大きいほど高くなることが知られており、皮膚への有効成分の導入を重視した場合、皮膚への印加電圧を大きくするのが好ましい。
【0006】
しかしながら、印加電圧を大きくすると、痛みとして感じる皮膚への刺激が増大し、こうした機器の使用に対する抵抗感を与えてしまうこととなる。一方、痛みを感じにくくするために印加電圧を抑えると、皮膚における孔の形成に影響して、有効成分の経皮導入効果が十分に得られないという問題もあることから、前記特許文献2などに見られるように、痛みの抑制と導入効果の両立を図ることを目指して、印加電圧波形を特殊なものとする提案もなされていた。
【0007】
ただし、好ましい効果を得るために特殊で複雑な印加電圧波形を発生させようとすると、波形生成回路が複雑、大規模化すると共に、使用する人に応じた波形の調整も難しくなり、機器のコストアップや使い勝手の悪化を招いてしまうという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、皮膚への
エレクトロポレーションに係る通電の際に、印加電圧波形を適切なものとして、痛みとして感じる刺激を抑えつつ、
非イオン性有効成分の経皮導入を効率よく実行でき、優れた美容効果を得られる美容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る美容装置は、使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に配設される複数の電極部とを備え、当該複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態とし、使用者の皮膚に対しエレクトロポレーションを用いて物質を移動させる美容装置において、あらかじめ設定されたnビット(nは自然数)のデジタル信号を一定間隔でそれぞれ出力するデジタル制御部と、当該デジタル制御部から出力されたデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号を得るD/A変換部とを少なくとも備え、前記複数の電極部が、当接した皮膚に対し前記D/A変換部で得られたアナログ信号に基づく波形の電圧を電極部間で印加して通電状態とし、前記デジタル制御部が、エレクトロポレーション用モードとして、デジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を所定の基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせ、且つ、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの前記一定間隔ごとの各増加量又は減少量を、デジタル信号の値が前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間内で略一定とすると共に、デジタル信号の値の前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの前記一定間隔ごとの各減少量又は増加量を、デジタル信号の値が前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの時間内で略一定とするものである。
【0010】
このように本発明によれば、皮膚へのエレクトロポレーションの適用について、デジタル信号の値が基準値から極大値又は極小値に至り、さらに極大値又は極小値から基準値に至る一連の単調変化を周期的に繰返す信号出力状態から、D/A変換により得られる、略三角形の凸形状又は凹形状の繰返しとなる波形変化をなす電圧を皮膚に印加すると、他の波形と比べて痛みは小さい一方で物質の皮膚内への浸透性に優れる事象を、本出願人が知見したことに基づいて、エレクトロポレーションに係る皮膚への電圧印加にあたり、デジタル信号の値をその増加量又は減少量が略一定となるよう調整しつつ増減出力し、これをD/A変換したアナログ信号波形の電圧変化を電極部から出力することで、皮膚には略三角形の繰返し波形の電圧印加によるエレクトロポレーションが生じることとなり、通電時の痛みとして感じる刺激を抑えると共に、エレクトロポレーションによる皮膚への穿孔を適切に進めて、皮膚への導入対象の有効成分を皮膚を通じて確実に導入でき、大きな美容効果を与えられる。
【0011】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間を、前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまでの時間以上に設定するものである。
【0012】
このように本発明によれば、デジタル信号の値の一連の変化の中で、基準値から極大値又は極小値に達するまでの変化にかかる時間を、極大値又は極小値から基準値に達するまでの時間以上に長く設定して、デジタル信号の極大値までの変化の割合を極大値以降の変化の割合と同じかこれより小さくし、D/A変換を経て電極部から繰返し印加される略三角形の電圧変化波形が、増加割合の緩やかな三角波又は鋸歯波となることにより、皮膚に対する通電の各波形ごとに電圧印加当初から大きな電圧が加わるのを抑えて、通電の刺激を緩やかに変化させ、通電に係り皮膚で痛みを感じる状況の抑制が図れる。
【0013】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の前記極大値又は極小値を、通電状態の複数の電極部間での印加電圧のピークの絶対値が2Vないし20Vの範囲をとり得る、複数段階の値に切替可能に設定するものである。
【0014】
このように本発明によれば、デジタル信号の値を、その極大値又は極小値が、デジタル信号をD/A変換して最終的に電極間で得られる電圧波形において、エレクトロポレーションの効果があると認められる2V以上となり、且つ痛みを感じにくい20V以下となる電圧が印加される程度にあらかじめ調整することにより、通電に伴う刺激の発生を抑えられ、通電の刺激を感じにくい状態を維持しつつエレクトロポレーションを進行させられ、高い美容効果と痛みの抑制とを両立できる。
【0015】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化に要する所定時間を、0.26msないし0.4msの範囲として設定するものである。
【0016】
このように本発明によれば、デジタル信号の値に一連の変化を与える期間を、デジタル信号をD/A変換して最終的に電極間で得られる電圧波形において、波の一つ一つにおいてエレクトロポレーションの効果があると認められる範囲の継続時間で電圧が印加される程度に、あらかじめ設定することにより、連続の通電時間を適切な長さとして刺激を感じにくい状態を維持しつつ、皮膚への通電に伴うエレクトロポレーションを効率よく進行させられ、高い美容効果と痛みの抑制とを両立できる。
【0017】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、繰返し周波数が1.2kHzないし1.5kHzとなる周期で繰返し行わせるものである。
【0018】
このように本発明によれば、デジタル信号の値の増減する一連の変化が繰返す周期を、デジタル信号をD/A変換して最終的に電極間で得られる電圧波形において、エレクトロポレーションの効果があると認められる範囲の波の繰返し周期で電圧が印加される程度に、あらかじめ設定することにより、時間あたりの通電回数を適切な頻度として刺激を感じにくい状態を維持しつつ、皮膚への通電に伴うエレクトロポレーションとそれに伴う有効成分の浸透を効率よく進行させられ、高い美容効果と痛みの抑制とを両立できる。
【0019】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、筋肉刺激用モードとして、デジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を前記基準値から所定値に移行させ、当該所定値をとる状態を所定時間継続後、さらに前記所定値から前記基準値に移行させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせるものである。
【0020】
このように本発明によれば、デジタル信号の値を、エレクトロポレーションの場合とは別に、所定値をとる状態を継続する期間を含む一連の変化を繰返し生じさせて出力し、これをD/A変換したアナログ信号波形の電圧変化を電極部から出力することで、皮膚には略矩形の繰返し波形の電圧印加による通電刺激が生じることとなり、エレクトロポレーションによる皮膚への有効成分の導入に加えて、皮膚下の筋肉に対しマッサージ効果を与えることができ、筋肉を活性化でき、皮膚への有効成分の浸透を促すことに加え、皮膚に張りを与えて引上げるリフティングの効果を生じさせることもできる。
【0021】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から前記基準値に至るまで徐々に減少させる一連の変化と、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極小値に至るまで徐々に減少させ、さらに前記極小値から前記基準値に至るまで徐々に増加させる一連の変化とを、所定周期ごとに入替えるものである。
【0022】
このように本発明によれば、デジタル信号の値が、極大値まで増加し、その後減少する一連の変化と、これとは逆に信号値が極小値まで減少し、その後増加する別の一連の変化とが、所定周期ごとに入れ替る状態で繰返し出力され、D/A変換を経て、略三角形の凸形状の波形と凹形状の波形とが所定周期ごとに入れ替る波形変化、すなわち、正電圧の波形が一又は複数回あらわれた後に、逆の負電圧の波形があらわれる波形変化をなす電圧が皮膚に印加されることにより、電極部で印加される電圧の正負が所定周期ごとに変って、皮膚の電荷の偏りを打消すこととなり、同じ極性の波形変化が繰返される電圧印加に伴う皮膚の分極、帯電状態を防止でき、帯電の影響で皮膚における印加電圧波形が乱れた波形となるのを抑制し、印加電圧波形を確実に0電位を基準に変化する波形として、皮膚に対し適切にエレクトロポレーションを実行でき、有効成分の経皮導入効率をさらに高められる。特に、デジタル信号の値の調整に基づいて、印加電圧の波形において正電圧の波形と負電圧の波形が交互に繰返される変化を与える場合には、電極部の正負の関係が均等となって、各電極部周辺の皮膚におけるエレクトロポレーションの進行及び皮膚への有効成分の浸透について、電極部の極性による偏りが生じず、一様な結果を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から前記基準値に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返し行わせた後、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極小値又は極大値に至るまで徐々に減少又は増加させ、さらに前記極小値又は極大値から前記基準値に至るまで増加又は減少させる一連の変化を、前記周期で前記複数回繰返し行わせ、さらに続けて、前記前者の一連の変化を前記周期で前記複数回繰返す状態と、前記後者の一連の変化を前記周期で前記複数回繰返す状態とを、交互に繰返すものである。
【0024】
このように本発明によれば、デジタル信号の値が、増加後減少する、又は、減少後増加する、一連の変化を複数回繰返す状態と、これとは逆の増減関係となる別の一連の変化を複数回繰返す状態とを、交互に繰返し生じさせて、デジタル信号のD/A変換を経て得られる電極部からの印加電圧波形が、略三角形の波形が繰返される状態を、所定時間ごとに極性を反転させつつ生じさせるものとなることにより、電極部で印加される電圧波形の基本パターンはそのままに、波形の正負を所定時間ごとに逆に入替えた波形変化を与え、使用者の皮膚を介した通電状態における各電極部の極性を入替える状態が得られることとなり、電極部の電圧印加における極性が一方に偏ることがなく、皮膚への電圧印加において電極部の極性の影響が及ぶのを防止して、各電極周辺の皮膚におけるエレクトロポレーションの進行及び皮膚への有効成分の浸透について、電極の極性による偏りを生じさせることなく、一様な効果を与えることができる。さらに、デジタル制御部によるデジタル信号値の調整のみで、複雑なアナログ波形生成回路を用いることなく、印加電圧波形の繰返し変化における正負を入替えるといった複雑な処理が可能となり、変化に富んだ適切な電圧印加状態を容易に実現できる。
【0025】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って前記極大値又は極小値を初期値から徐々に増加又は減少させていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせるものである。
【0026】
このように本発明によれば、デジタル信号の値が、増減する一連の変化を繰返す中で、前記複数の電極部間での皮膚を介した通電状態が開始した直後は、信号値の増減変化における極大値又は極小値を、前記一連の変化が繰返されるごとに、初期値から徐々に増加又は減少させて、所定の定常値に近付ける変化を与えることにより、デジタル信号のD/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部から皮膚に印加される電圧の波形が、通電開始直後は、略三角形の波形がそのピーク値を徐々に大きくしながら繰返される波形変化を生じるものとなり、皮膚に印加される電圧を徐々に大きくして、通電開始直後の通電に係る皮膚への刺激を抑えられ、痛みや違和感をできるだけ感じさせずに通電を開始させて定常状態に移行でき、使用感の面での品質向上が図れる。さらに、デジタル制御部によるデジタル信号値の調整のみで、複雑なアナログ波形生成回路を用いることなく、印加電圧波形のピーク値を徐々に変化させるといった複雑な処理が可能となり、変化に富んだ適切な電圧印加状態を容易に実現できる。
【0027】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を、繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記一連の変化が繰返されるに従って前記一連の変化の繰返し周期を初期値から徐々に小さくしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせるものである。
【0028】
このように本発明によれば、デジタル信号の値が、増減する一連の変化を繰返す中で、前記複数の電極部間での皮膚を介した通電状態が開始した直後は、信号値の増減する一連の変化の繰返しの周期を、この一連の変化が繰返されるごとに、初期値から徐々に短くして、所定の定常周期に近付ける変化を与えることにより、デジタル信号のD/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部から皮膚に印加される電圧の波形が、通電開始直後は、繰返される略三角形の波形の間隔が大きく空いた状態から、次第に間隔が詰った状態に移行する波形変化を生じるものとなり、通電開始直後は皮膚への電圧印加の頻度を抑え、通電開始直後の通電に係る皮膚への刺激を抑えられ、痛みや違和感をできるだけ感じさせずに通電を開始させ、時間経過と共に電圧印加の頻度を徐々に大きくして定常状態に移行できることとなり、使用感の面での品質向上が図れる。さらに、デジタル制御部によるデジタル信号値の調整のみで、複雑なアナログ波形生成回路を用いることなく、印加電圧波形の繰返し周期を徐々に変化させるといった複雑な処理が可能となり、変化に富んだ適切な電圧印加状態を容易に実現できる。
【0029】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って、前記一連の変化に要する所定時間を初期値から徐々に長くしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせるものである。
【0030】
このように本発明によれば、デジタル信号の値が、増減する一連の変化を繰返す中で、前記複数の電極部間での皮膚を介した通電状態が開始した直後は、信号値の増減する一連の変化の所要時間を、この一連の変化が繰返されるごとに、初期値から徐々に長くして、所定の定常値に近付ける変化を与えることにより、デジタル信号のD/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部から皮膚に印加される電圧の波形が、通電開始直後は、繰返される略三角形の一波形の継続時間が極めて短い状態から、次第に継続時間が長くなった状態に移行する波形変化を生じるものとなり、通電開始直後は皮膚への電圧印加の続く時間を短くして、通電開始直後の通電に係る皮膚への刺激を抑えられ、痛みや違和感をできるだけ感じさせずに通電を開始させ、時間経過と共に電圧印加の継続時間を徐々に長くして定常状態に移行できることとなり、使用感の面での品質向上が図れる。さらに、デジタル制御部によるデジタル信号値の調整のみで、複雑なアナログ波形生成回路を用いることなく、印加電圧の一波形の継続時間を徐々に変化させるといった複雑な処理が可能となり、変化に富んだ適切な電圧印加状態を容易に実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る美容装置を前記
図1ないし
図6に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る美容装置1は、使用者により保持される本体部11と、本体部11の端部に配設されて皮膚50への美容に係る通電に用いられる二つの電極部12、13と、本体部11とは別体で配設されて電極部12、13間での使用者の皮膚を介した通電状態を調整制御する制御部15とを備える構成である。
【0033】
前記本体部11は、前記電極部12、13が一端に配設される一方、他端側所定長さ範囲は使用者が使用時に手で把持して装置全体を保持するのに適した太さの把持部11aとされてなり、この把持部11aの長手方向末端となる本体部他端部に、前記制御部15との電気的接続用のケーブル14が連結される構成である。この本体部11には、バイブレータ等の振動源を内蔵して、通電と共に皮膚50に振動を付加し、美容効果を高められるようにすることもできる。
【0034】
前記電極部12、13は、金属等の導電性を有する材質からなり、皮膚50に接触可能な略球状の曲面部分を有して本体部11端部から突設される構成であり、皮膚50に直接当接し、皮膚50に対しエレクトロポレーションをはじめとする通電に係る美容動作を実行するものである。これら電極部12、13は本体部11及びケーブル14を介して制御部15と電気的に接続されており、二つの電極部12、13の間で使用者の皮膚を介して通電可能とされる構成である。
【0035】
通電については、制御部15により二つの電極部12、13の相互間に電圧が印加されて通電が起こり得る状態とされた上で、必要に応じて皮膚に浸透させたい成分を含む化粧水等の液剤が塗布された顔の皮膚50に対し、直接電極部12、13が接触すると、電極部12、13同士が使用者の皮膚50を介して通電状態となる仕組みである。この場合、人体が導体をなすこととなる。
【0036】
この電極部12、13としては、チタン等の通電に対し安定した材質を用いるのが望ましい。すなわち、安定性の高いチタンを電極表面に用いれば、皮膚への通電を経ても、通電により電気分解が生じて電極部12、13表面に金属イオンが溶出するようなことはなく、安全に使用できる。この電極表面材料は、純チタンが望ましいものの、チタン化合物であってもよい。また、チタン以外に金などの金属を用いる他、導電性樹脂や導電性ゴム、あるいはゴム等の弾性体表面に金属等の導体を貼付けたり導体の薄膜を配置して形成した構造とすることもできる。
【0037】
前記制御部15は、本体部11とは別筐体として配設され、本体部11とケーブル14を介して接続され、電極部12、13相互間の通電を、それぞれ制御するものである。この制御部15は、電極部12、13相互間の通電に係る具体的な制御機構として、あらかじめ設定されたnビット(nは自然数)のデジタル信号を一定間隔、例えば10μs間隔でそれぞれ出力するデジタル制御部16と、このデジタル制御部16から出力されたデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号を得るD/A変換部17と、このD/A変換部で得られたアナログ信号を皮膚への電圧印加用の所定の電圧振幅とする増幅部18とを備える構成である。
【0038】
この制御部15は美容用途ごとに通電動作のモードを設定しており、本実施形態においては、皮膚の深部に化粧水等の有効成分を浸透させるエレクトロポレーション用モード、及び、通電の刺激で筋肉を動かす活性化する筋肉刺激用モードの二つがある。
【0039】
前記デジタル制御部16は、前記エレクトロポレーション用モードとして、nビット(nは自然数)のデジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲、例えば、8ビットの場合、2
8=256段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を前記基準値としての0の値から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、この一連の変化に要する所定時間が0.26msないし0.4msの範囲の長さになると共に、一定周期、例えば、繰返し周波数が約1.2kHzないし1.5kHzの所定値となる周期で、所定の休止期間を挟みながら複数回繰返すように設定して、こうしたデジタル信号を出力するものである。
【0040】
このエレクトロポレーション用モードで、デジタル制御部16は、デジタル信号の値の0から前記極大値に至るまでの、前記一定間隔ごとの各増加量を、デジタル信号の値が0から前記極大値に至るまでの時間内で略一定としている。同様に、デジタル信号の値の前記極大値から0に至るまでの前記一定間隔ごとの各減少量を、デジタル信号の値が前記極大値から0に至るまでの時間内で略一定としている。さらに、デジタル制御部16は、デジタル信号の値の0から前記極大値(又は極小値)に至るまでの時間を、前記極大値(又は極小値)から0に至るまでの時間と同じに設定している。これにより、このデジタル信号をD/A変換して得られるアナログ信号の電圧変化の波形は、直線状の単調増減変化を組合わせた二等辺の三角形状の波が繰返す三角波となる。
【0041】
このエレクトロポレーション用モードでの、電極部12、13相互間での皮膚50を介した三角波状の電圧変化を生じる通電に伴って、あらかじめ皮膚表面に塗布した化粧水等の液剤中に含まれる、比較的大きい分子からなる有効成分を、皮膚への電圧印加に基づくエレクトロポレーションによって皮膚に生じた微小孔を通じて、皮膚内部に導入、浸透させられる仕組みである。このエレクトロポレーションによる、物質の経皮導入の手法自体は公知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0042】
また、デジタル制御部16は、デジタル信号のビット数に応じた複数段階、例えば2
8=256段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の前記極大値(又は極小値)を、複数の大きさ、例えばレベル0からレベル9までの10段階の値に切替可能としており、各段階の極大値は、増幅部18を経て最終的に二つの電極部12、13間で印加される電圧のピークの絶対値が、2Vないし20Vの範囲をとり得るようにそれぞれ設定される。
【0043】
極大値をレベル0からレベル9までの10段階の値に切替可能とする場合、レベル0のデジタル信号の極大値に対応する印加電圧のピークは2Vとなり、レベルの段数が上昇するごとにデジタル信号の極大値に対応する印加電圧のピーク値も上がっていき、レベル9のデジタル信号の極大値に対応する印加電圧のピークは20Vとなる(
図4参照)。そして、極大値の設定に合せて、デジタル信号の値の前記一定間隔ごとの増加量や減少量も増減設定され、印加電圧波形は、デジタル信号の極大値を増減変化させても、ピークに向けて直線状に単調増加し、またピークから直線状に単調減少する状態を維持することとなる。
【0044】
この他、デジタル制御部16は、前記筋肉刺激用モードとして、nビット(nは自然数)のデジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲、例えば、8ビットの場合、2
8=256段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の値を0から所定値に中間の値をとることなく移行させ、この所定値をとる状態を所定時間継続後、さらに前記所定値から0に中間の値をとることなく移行させる一連の変化を、一定又は変化する周期で複数回繰返すように設定し、こうしたデジタル信号を出力することとなる。
【0045】
このデジタル信号をD/A変換して得られたアナログ信号の波形は、D/A変換部17でデジタル信号をD/A変換して得られたアナログ信号は、0から所定の最大値に急峻な立ち上がりで移行し、最大値が所定時間継続後、最大値から0に急峻な立ち下がりで移行して、0と最大値をとる状態とを交互に繰返す矩形波となる。
【0046】
この筋肉刺激用モードでの、電極部12、13相互間での皮膚50を介した矩形波状の電圧変化を生じる通電に伴って、皮膚下の筋肉に通電刺激に伴う動きを生じさせることとなり、筋肉に対しマッサージ効果を与えられる仕組みである。この通電による、皮膚下の筋肉を動かしてマッサージ効果を得る手法自体は公知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0047】
前記D/A変換部17は、デジタル信号をデジタル−アナログ変換して、電圧の連続する波形変化を有するアナログ信号として出力する公知のものであり、詳細な説明を省略する。このD/A変換部17の変換回路方式としては、デジタル制御部16から出力されるデジタル信号に対応した所定の連続する電圧変化を得られるものであれば、公知の抵抗ラダー型やデルタ・シグマ型等、いずれの方式を用いてもかまわない。
【0048】
この制御部15におけるデジタル制御部16及びD/A変換部17は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを各制御手段として動作させる仕組みである。このデジタル制御部16及びD/A変換部17をなすコンピュータは、通常は、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとされて実装される。
【0049】
前記増幅部18は、D/A変換部17から出力されたアナログ信号の電圧を、二つの電極部12、13間で印加される電圧のピークの絶対値が、2Vないし20Vの範囲となる電圧振幅が得られるまで増幅する増幅回路であり、増幅回路自体は公知のものを用いており、詳細な説明を省略する。
【0050】
こうして、デジタル制御部16でのデジタル信号値の変化をD/A変換部17でD/A変換したアナログ波形に基づいて印加電圧波形を得ていることで、アナログ回路のみで波形を生じさせる場合より簡略な回路構成で複雑な波形生成、例えば、エレクトロポレーション用の波形と筋肉刺激用の波形をそれぞれ生じさせたり、波形の振幅、すなわち印加電圧の大きさを適宜調整したりすることができ、同様の機能をアナログ回路のみで実現しようとする場合より大幅に回路規模の縮小とそれに伴うコンパクト化、低コスト化が実現することとなる。
【0051】
一方、前記制御部15の筐体には、使用者の入力操作を受けて、電源のON、OFFを切替える電源スイッチ15bの他、電極部12、13相互間の通電動作の種類を切替えるモード切替スイッチ15c、通電動作の強弱を切換える強弱切替スイッチ15d、通電動作の開始又は中断を指示する開始/中断スイッチ15e等が配設される。
【0052】
次に、本実施形態に係る美容装置の通電動作状態について説明する。前提として、美容装置1が使用者による電源スイッチ15b操作により起動し、使用者が把持部11aを持って電極部12を使用したい顔の所定部位に向けられる状態にあるものとする。
【0053】
まず、使用者が制御部15側のモード切替スイッチ15cを操作してエレクトロポレーション用モードを選択すると、制御部15はエレクトロポレーション用モードに対応した電圧波形を印加可能な制御状態となる。そして、使用者が強弱切替スイッチ15dを操作してエレクトロポレーションの強弱を選択すると、制御部15のデジタル制御部16は、デジタル信号の極大値をレベル0からレベル9までのいずれかに設定して、二つの電極部12、13間で印加される電圧のピークの絶対値が、2Vないし20Vの範囲で前記レベルに対応する10段階の所定値のいずれかとなるようにする。
【0054】
この後、使用者が電極部12、13を皮膚50に密着させた状態で、開始/中断スイッチ15eを操作して通電開始を指示すると、制御部15は電極部12、13間で電圧印加を行う状態に移行し、皮膚を介して閉じた回路となっている電極部12、13相互間で、皮膚を介した通電が開始する。
【0055】
この場合、制御部15のデジタル制御部16は、デジタル信号の値を、基準値である0から前記設定されたレベルの極大値に至るまで、そのレベルに応じた増加量で徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまでそのレベルに応じた減少量で徐々に減少させる一連の変化を、この一連の変化に要する所定時間が0.26msないし0.4msの範囲の長さ、より好ましくは0.33ms、になると共に、一定周期、例えば、繰返し周波数が約1.2kHzないし1.5kHzの所定値となる周期で、短い休止期間(約0.33ms)を挟みながら複数回繰返すようにして、デジタル信号を出力する。
【0056】
また、D/A変換部17は、デジタル制御部16から出力されたデジタル信号をD/A変換して、二等辺の三角形状の波が繰返す三角波となる電圧変化の波形を有する、アナログ信号を出力する。このアナログ信号を増幅部18が増幅することで、設定したレベルに対応するピーク値に達する電圧を二つの電極部12、13間に印加できる状態となっている。
【0057】
皮膚に対し、電極部12、13が相互間で三角波状の波形変化(
図3、
図5参照)をなす電圧を印加する通電実行状態では、エレクトロポレーションにより電極周囲の通電された皮膚に微小な孔を生じさせることとなり、化粧水中の非イオン性の有効成分(例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸など)を、皮膚に生じた孔を通じて、皮膚の内側へ速やかに浸透させる経皮導入が実現する。
【0058】
使用対象となる顔の皮膚50のうち、鼻と頬の境界部分など凹部となっている箇所については、電極部12、13をより小型のもの(曲面の曲率がより大きいもの)に持替えて使用することで(
図1参照)、確実に電極部12、13を顔の凹部の皮膚50へ当接させることができ、偏りなくエレクトロポレーションを進行させて、有効成分を皮膚に導入することができる。
【0059】
このエレクトロポレーション用モードの通電が、電極部12、13を皮膚50に密着させている間、前記繰返し周波数となる一定周期で複数回繰返され、さらにこの繰返し状態が、連続する休止期間(例えば10ms程度)を介在させつつ順次繰返されることとなる(
図5参照)。
【0060】
電極部12、13を皮膚50に当接させたまま皮膚上で少しずつ移動させると、通電状態のまま有効成分の経皮導入の対象位置を変えられる。この動作を中断するために、使用者が開始/中断スイッチ15eを操作して通電中断を指示すると、制御部15は電極部12、13間で電圧印加を行う状態をいったん停止することとなる。電極部12、13を当接させる皮膚50の位置を変えたりした後、使用者が開始/中断スイッチ15eを操作して通電開始を指示すると、再び、電極部12、13間で皮膚50を介した通電が前記同様に再開され、エレクトロポレーションが進行する。
【0061】
通電を最初に開始してから所定時間が経過すると、制御部15は電極部12、13間での電圧印加を停止し、このエレクトロポレーション用モードによる有効成分の経皮導入が終了となる。この後、使用者がモード切替スイッチ15cで動作モードを他に切替えるか電源スイッチ15bをOFF状態とすることとなる。
このエレクトロポレーション用モードの終了後は、必要に応じて電極部12を清浄化すればよい。
【0062】
続いて、使用者がモード切替スイッチ15cを操作して筋肉刺激用モードを選択した場合について説明する。使用者は、筋肉刺激用モードの実行に先立ち、必要に応じて皮膚に乳液又はクリームを付けてなじませた状態としておく。
【0063】
使用者がモード切替スイッチ15cを操作して筋肉刺激用モードを選択すると、制御部15は筋肉刺激用モードに対応した電圧波形を印加可能な制御状態となる。そして、使用者が強弱切替スイッチ15dを操作して刺激の強度を選択すると、制御部15のデジタル制御部16は、デジタル信号の2
n段階にわたる信号値の大きさの範囲、例えば、8ビットの場合、2
8=256段階にわたる信号値の大きさの範囲で、デジタル信号の0でない前記所定値をレベル0からレベル9までの10段階のいずれかに設定し、二つの電極部12、13間で印加される電圧の連続する最大値の絶対値が、2Vないし20Vの範囲で前記レベルに対応する10段階の所定値のいずれかとなるようにする。
【0064】
この後、使用者が電極部12、13を皮膚50に密着させた状態で、開始/中断スイッチ15eを操作して通電開始を指示すると、制御部15は電極部12、13間で電圧印加を行う状態に移行し、皮膚を介して閉じた回路となっている電極部12、13相互間で、皮膚を介した通電が開始する。
【0065】
この場合、制御部15のデジタル制御部16は、デジタル信号の値を、所定の基準値から前記設定されたレベルの所定値に移行させ、この所定値をとる状態を所定時間継続後、さらに前記所定値から前記基準値に移行させる一連の変化を、一定周期、例えば、繰返し周波数が約1.2kHzないし1.5kHzの所定値となる周期で、短い休止期間(約0.33ms)を挟みながら複数回繰返すようにして、デジタル信号を出力する。
【0066】
また、D/A変換部17は、デジタル制御部16から出力されたデジタル信号をD/A変換して、電圧値が0か最大値のいずれかをとる矩形波となる電圧変化の波形を有する、アナログ信号を出力する。このアナログ信号を増幅部18が増幅することで、設定したレベルに対応する最大値に達する電圧を二つの電極部12、13間に印加できる状態となっている。
【0067】
皮膚に対し、電極部12、13が相互間で矩形波状の波形変化をなす電圧を印加する通電実行状態では、電極周囲の通電された皮膚下の筋肉に通電による刺激が加わり、筋肉が波形変化に対応して周期的に動く状態となり、筋肉を活性化してマッサージ効果を与える他、皮膚に張りを与えて引上げるリフティングの効果を与えることとなる。
【0068】
この筋肉刺激用モードにおいても、通電が電極部12、13を皮膚50に密着させている間、前記繰返し周波数となる一定周期で複数回繰返され、さらにこの繰返し状態が、連続する休止期間(例えば10ms程度)を介在させつつ順次繰返されることとなる。
【0069】
電極部12、13を皮膚50に当接させたまま皮膚上で少しずつ移動させると、通電の対象位置を変えられる。この動作を中断するために、使用者が開始/中断スイッチ15eを操作して通電中断を指示すると、制御部15は電極部12、13間で電圧印加を行う状態をいったん停止することとなる。電極部12、13を当接させる皮膚50の位置を変えたりした後、使用者が開始/中断スイッチ15eを操作して通電開始を指示すると、再び、電極部12、13間で皮膚50を介した通電が前記同様に再開され、通電に伴って筋肉に刺激を与える状態が得られる。
【0070】
通電を最初に開始してから所定時間が経過すると、制御部15は電極部12、13間での電圧印加を停止し、この筋肉刺激用モードによる通電刺激が終了となる。この後、使用者がモード切替スイッチ15cで動作モードを他に切替えるか電源スイッチ15bをOFF状態とすることとなる。
【0071】
このように、本実施形態に係る美容装置は、皮膚50へのエレクトロポレーションの適用について、デジタル信号の値が0から極大値に至り、さらに極大値から0に至る一連の単調変化を周期的に繰返す信号出力状態から、D/A変換により得られる、略三角形の凸形状の繰返しとなる波形変化をなす電圧50を皮膚に印加すると、他の波形と比べて痛みは小さい一方で物質の皮膚内への浸透性に優れる事象を、本出願人が知見したことに基づいて、エレクトロポレーションに係る皮膚50への電圧印加にあたり、デジタル制御部16でデジタル信号の値をその増加量又は減少量が略一定となるよう調整しつつ増減出力し、これをD/A変換したアナログ信号波形の電圧変化を電極部12、13から出力することで、皮膚50には略三角形の繰返し波形の電圧印加によるエレクトロポレーションが生じることとなり、通電時の痛みとして感じる刺激を抑えると共に、エレクトロポレーションによる皮膚50への穿孔を適切に進めて、皮膚50への導入対象の有効成分を皮膚を通じて確実に導入でき、大きな美容効果を与えられる。
【0072】
なお、前記実施形態に係る美容装置において、制御部15のデジタル制御部16は、デジタル信号の出力における基準値を0とし、デジタル信号の値を前記基準値としての0の値から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を繰返すように設定して、こうしたデジタル信号を出力する構成としているが、これに限らず、デジタル制御部が基準値を0でない値とし、デジタル信号の値を前記基準値から所定の極小値に至るまで徐々に減少させ、さらに前記極小値から基準値に至るまで徐々に増加させる一連の変化を、一定周期で複数回繰返すように設定し、こうしたデジタル信号を出力するようにして、D/A変換部でデジタル信号をD/A変換して得られたアナログ信号の正負を前記実施形態の場合と入替え、皮膚に対し電圧を印加する電極部の極性を前記と逆にする構成とすることもでき、電極部の構造や状態に応じて、デジタル制御部からのデジタル信号出力状態を適宜設定できる。
【0073】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、デジタル制御部16が、デジタル信号の値を基準値0から所定の極大値又は極小値に至るまで徐々に増加又は減少させ、さらに前記極大値又は極小値から0に至るまで減少又は増加させる一連の変化を、繰返し周波数が1.2kHzないし1.5kHzの値となる所定の一定周期で繰返し行わせる設定でデジタル信号を出力する構成としているが、これに限らず、デジタル制御部で信号値の一連の変化の繰返し周期を変えて、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧波形の周期を調整する構成とすることもでき、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、エレクトロポレーションモードとして電極部で印加される電圧の三角波として単位時間あたりにあらわれる頻度を減らして休止期間を多くしたり、
図7に示すように、三角波のあらわれる頻度を増やして休止期間がほとんど無い状態としたりすることで、皮膚に対するエレクトロポレーションの効果の度合を調整できる。
【0074】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、電極部12、13を、本体部11端部から突設し、その先端の曲面部分を皮膚に当接させる構成としているが、この他、
図8に示すように、電極部12a、13aを本体部11の端部に、それぞれ皮膚に接触可能な状態で並べて配設する構成とすることもでき、各電極部を皮膚の広い範囲に当接させた状態でそのまま通電が行えることとなり、皮膚の広い部分に対しエレクトロポレーション等の通電に係る美容動作を実行する場合には都合がよい。
【0075】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、制御部15のデジタル制御部16から出力されたデジタル信号をD/A変換部17でD/A変換してアナログ信号を得ると共に、この得られたアナログ信号を、さらに増幅部で増幅して、電極部で適切な大きさの電圧が印加されるようにしているが、この他、D/A変換部でのD/A変換の方式が、デジタル制御部から出力されたデジタル信号をパルス幅変調データに変換すると共に、この変換出力をローパスフィルタに通して、アナログ信号波形を得る、いわゆるパルス幅変調型となっている場合には、D/A変換部の後段に増幅部を用いない構成とすることもでき、D/A変換部におけるパルス幅変調出力の電圧振幅を大きくすることで、ローパスフィルタ通過後のアナログ出力振幅も十分大きくすることができ、増幅なしにそのまま問題なく電極部から適切な電圧印加が行えることとなる。
【0076】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態においては、制御部15のデジタル制御部16が、デジタル信号の値を基準値の0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化の中で、デジタル信号の値の0から前記極大値に至るまでの時間を、前記極大値から0に至るまでの時間と同じに設定して、デジタル信号をD/A変換し、得られたアナログ信号を増幅した後の、電極部12、13相互間における印加電圧の波形として、ピークまでの右上がり部分とピーク以降の右下がり部分とが対称形となる、三角波を得る構成としているが、これに限らず、第2の実施形態として、デジタル制御部16が、デジタル信号の値の基準値から前記極大値又は極小値に至るまでの時間を、前記極大値又は極小値から基準値に至るまでの時間以上に設定して、デジタル信号をD/A変換し、得られたアナログ信号を増幅した後の、電極部における印加電圧の波形を、
図9に示すような、波形の右上がり部分の傾きが緩やかでピーク位置が後にずれた三角波状としたり、
図10に示すようなピークからの立ち下がり部分を有する鋸歯波状とする構成とすることもできる。
【0077】
前記
図10の鋸歯波の場合でより具体的に説明すると、デジタル制御部16は、デジタル信号の値の基準値0から前記極大値に至るまでの前記一定間隔ごとの各増加量を、デジタル信号の値が0から前記極大値に至るまでの時間内で一定としながらも、前記第1の実施形態の場合におけるデジタル信号の値の増加量より小さくして、デジタル信号の値が0から前記極大値に至るまで増加するのに約0.26msないし0.4msの長さの時間が経過する状態に設定している。一方、デジタル信号の値が前記極大値から0に至るまで減少させる変化は、中間の値をとらずに、ほぼ0に近い極めて短時間で生じるようにしている。
【0078】
ただし、波形の時間的条件、すなわち、デジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで減少させる一連の変化に要する所定時間が、0.26msないし0.4msの範囲の長さとなり、且つ、前記一連の変化を、繰返し周波数が1.2kHzないし1.5kHzとなる周期で繰返すように、デジタル制御部16が設定する点については、前記第1の実施形態と同様である。
【0079】
こうして、デジタル信号の値の0から極大値に達するまでの変化にかかる時間を極大値から0に達するまでの時間以上に長く設定して、デジタル信号の極大値までの変化の割合を極大値以降の変化の割合より小さくし、D/A変換を経て電極部12、13から繰返し印加される略三角形の電圧変化波形が、ピークまでの増加割合が緩やかな三角波又は鋸歯波となることにより、皮膚に対する通電の各波形ごとに通電開始当初から大きな電圧が加わるのを抑えて、通電の刺激を緩やかに変化させ、通電に係り皮膚で痛みを感じる状況の抑制が図れる。
【0080】
(本発明の第3の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係る美容装置においては、デジタル制御部16がデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、所定の周期で繰返し行わせることで、D/A変換部17及び増幅部18における処理を経て、エレクトロポレーション用モードとして電極部で印加される電圧の波形を、正電圧の三角波状の変化が所定の周期で繰返されるようにする構成としているが、これに限らず、第3の実施形態として、デジタル制御部16が、デジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化と、デジタル信号の値を順次0から所定の極小値に至るまで徐々に減少させ、さらに前記極小値から0に至るまで徐々に増加させる別の一連の変化とを、所定周期ごとに入替えることとして、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、エレクトロポレーションモードとして電極部で印加される電圧の波形変化を、
図11に示すように、正電圧の三角波状の波形が所定周期で複数回繰返された後、負電圧の三角波状の波形が生じるようにしたり、
図12及び
図13に示すように、正電圧の三角波状の波形と負電圧の三角波状の波形とが交互に繰返されるようにしたりする構成とすることもできる。
【0081】
この場合、電極部で印加される電圧の正負が所定周期ごとに入れ替ることで、皮膚における電荷の偏りを打消して分極を防止でき、帯電の影響で皮膚における印加電圧波形が乱れた波形となるのを抑制し、皮膚での印加電圧波形を確実に0電位を基準に変化する波形として、皮膚に対し適切にエレクトロポレーションを実行でき、有効成分の経皮導入効率をさらに高められる。
【0082】
特に、デジタル制御部におけるデジタル信号の値の調整に基づいて、印加電圧の波形において正電圧の波形と負電圧の波形が交互に繰返される変化を与える場合(
図12、
図13参照)には、各電極部の正極である時間と負極である時間が均等となって、通電状態での各電極部周辺の皮膚におけるエレクトロポレーションの進行及び皮膚への有効成分の浸透について、電極部の極性による偏りが生じず、一様な結果を得ることができる。
【0083】
(本発明の第4の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係る美容装置においては、エレクトロポレーション用モードの波形として、デジタル制御部16がデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、所定の周期で繰返し行わせて、D/A変換部17及び増幅部18における処理を経て電極部12、13で印加される電圧の波形を、正電圧の三角波状の波形が繰返しあらわれるものとする構成としているが、これに限らず、第4の実施形態として、デジタル制御部が、デジタル信号の値を増加後減少させる、又は、減少後増加させる、一連の変化を複数回繰返させる状態と、これとは逆の増減関係となるデジタル信号値の別の一連の変化を複数回繰返させる状態とを、交互に繰返し生じさせて、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧の波形が、
図14に示すように、所定の三角波状の波形変化が所定周期で繰返される状態と、これと正負極性を反転させた三角波状の波形変化の繰返される状態とを、交互に入替えつつ繰返されるものとなる構成とすることもできる。
【0084】
この場合、電極部で印加される電圧波形の基本パターンはそのままに、波形の正負を所定時間ごとに逆に入替えた波形変化を与え、使用者の皮膚を介した通電状態における各電極部の極性を入替える状態が得られることとなり、電極部の電圧印加における極性が一方に偏ることがなく、皮膚への電圧印加において電極部の極性の影響が及ぶのを防止して、各電極周辺の皮膚におけるエレクトロポレーションの進行及び皮膚への有効成分の浸透について、電極の極性による偏りを生じさせることなく、一様な効果を与えることができる。さらに、デジタル制御部によるデジタル信号値の調整のみで、複雑なアナログ波形生成回路を用いることなく、印加電圧波形の繰返し変化における正負を入替えるといった複雑な処理が可能となり、変化に富んだ適切な電圧印加状態を容易に実現できる。
【0085】
(本発明の第5の実施形態)
また、前記第1の実施形態に係る美容装置においては、エレクトロポレーションモードの波形として、デジタル制御部がデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、所定の周期で繰返し行わせて、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧の波形が、ピークが一定の三角波状の変化を所定の周期で繰返すものとしているが、これに限らず、第5の実施形態として、デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、前記複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って前記極大値又は極小値を初期値から徐々に増加又は減少させていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせる構成とすることもできる。
【0086】
この場合、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧の波形が、
図15に示すように、通電状態が開始した直後は、所定の三角波状の繰返しで、且つそのピークが徐々に大きくなる変化を生じるものとなり、
そして、一定時間経過後は、波形が変化せずに繰返される定常状態となる。こうして、皮膚に印加される電圧が小さい値から徐々に大きくなることで、通電開始直後の通電に係る刺激を抑えられ、
エレクトロポレーションに係る通電を効率的に実行できる状態を確保しつつ、使用者の通電に伴う痛みや違和感を小さくして、使用感の面で品質の向上が図れる。また、デジタル制御部による調整のみで、複雑なアナログ発振回路を用いずに変化に富んだ適切な電圧印加状態を実現できる。
【0087】
(本発明の第6の実施形態)
また、前記実施形態に係る美容装置においては、エレクトロポレーションモードの波形として、デジタル制御部16がデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、所定の周期で繰返し行わせて、D/A変換部及び増幅部における処理を経て電極部で印加される電圧の波形が、三角波状の変化を、その繰返し周波数が1.2kHzないし1.5kHzのいずれかの値となる一定周期で繰返すものとしているが、これに限らず、第6の実施形態として、デジタル制御部16が、デジタル信号の値の前記一連の変化を、繰返し行わせる中で、複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って前記変化の繰返し周期を初期値から徐々に小さくしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせる構成とすることもできる。
【0088】
この場合、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧の波形が、
図16に示されるように、通電状態が開始した直後は、三角波状の繰返しで、且つその繰返し周期が徐々に小さくなる変化を生じるものとなり、
そして、一定時間経過後は、波形の間隔が変化せずに繰返される定常状態となる。こうして、皮膚に印加される電圧の印加間隔が大きく空いた状態から徐々に短く詰った状態となることで、通電開始直後の通電頻度を抑えて通電に係る刺激を抑えられ、
エレクトロポレーションに係る通電を効率的に実行できる状態を確保しつつ、使用者の通電に伴う痛みや違和感を小さくして、使用感の面で品質の向上が図れる。また、デジタル制御部による調整のみで、複雑なアナログ発振回路を用いずに変化に富んだ適切な電圧印加状態を実現できる。
【0089】
(本発明の第7の実施形態)
また、前記実施形態に係る美容装置においては、エレクトロポレーションモードの波形として、デジタル制御部がデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで徐々に減少させる一連の変化を、所定の周期で繰返し行わせて、D/A変換部及び増幅部における処理を経て電極部で印加される電圧の波形が、0.26msないし0.4msのいずれかの長さとなる一定長の三角波状の変化を所定の周期で繰返すものとしているが、これに限らず、第7の実施形態として、デジタル制御部が、デジタル信号の値の前記一連の変化を繰返し行わせる中で、複数の電極部間で使用者の皮膚を介した通電状態が開始した直後においては、前記変化が繰返されるに従って、前記一連の変化に要する所定時間を初期値から徐々に長くしていき、一定時間経過後に、所定の定常値に至らせる構成とすることもできる。
【0090】
この場合、D/A変換部及び増幅部における処理を経て、電極部で印加される電圧の波形が、
図17に示すように、通電状態が開始した直後は、三角波状の繰返しで、且つその波の継続時間が徐々に長くなる変化を生じるものとなり、
そして、一定時間経過後は、一波形の継続時間が変化せずに繰返される定常状態となる。こうして、皮膚に印加される電圧の一波形あたりの印加時間が小さい値から徐々に大きくなることで、通電開始直後の連続通電時間を短くして通電に係る刺激を抑えられ、
エレクトロポレーションに係る通電を効率的に実行できる状態を確保しつつ、使用者の通電に伴う痛みや違和感を小さくして、使用感の面で品質の向上が図れる。また、デジタル制御部による調整のみで、複雑なアナログ発振回路を用いずに変化に富んだ適切な電圧印加状態を実現できる。
【実施例】
【0091】
本発明の美容装置で、電極部による皮膚を介した通電に基づくエレクトロポレーションを行った場合の皮膚への物質の浸透度合を、通電における印加電圧の波形を変えて実際に測定し、印加電圧波形の違いが、通電を痛みとして感じる度合や経皮吸収効果の差異を生じるか否かについて評価した。
【0092】
皮膚のうち、最外層に位置する角層は、人間の生体としての活動を維持するために、内外の物質移動に対するバリアの役割を果しているが、これは美容面において化粧水等の有効成分浸透の最大の障壁となることも意味する。この角層は、エレクトロポレーション、すなわち、電圧印加により微小な孔を生じさせる手法で、電解質成分を皮膚に浸透させる技術であるイオン導入によっては皮膚に浸透させられない、非電解質で大きい分子、例えばコラーゲンやヒアルロン酸などの分子を、孔を介して内側へ通過させられる状態にできることが知られている。
このため、化粧剤等の使用の際にエレクトロポレーションを併用すれば、有効成分の浸透の促進が期待できることとなる。
【0093】
測定としては、皮膚サンプル(ユカタンブタ背側皮)に蛍光色素(カルセイン)他を混合した水溶性高分子ゲルを付けたものに対し、本発明の美容装置を適用し、室温下15分間の通電動作を、デジタル信号の調整により印加電圧波形を三角波状とした場合、同じく印加電圧波形を矩形波状とした場合、同じく印加電圧波形を正弦波状とした場合の各例について実施し、通電後に各皮膚サンプルを洗浄し、両電極部の中間にあたる箇所から皮膚片を切出し、さらに薄片化して蛍光顕微鏡による観察画像及び通常光源による透過顕微鏡像を取得する手順で行う。なお、皮膚サンプルへの電圧印加は、美容装置の電極部先端の球形状部分の径φ7.5mmのものとφ22mmのものの二種類を用いてそれぞれ実施した。
また比較例として、皮膚サンプルに前記高分子ゲルを付けたのみで通電を行わないものについても、同様に測定を実施する。
【0094】
測定結果である有効成分の浸透度合は、皮膚サンプルにおける蛍光色素の到達深度としてあらわされており、これを示す各画像(左:透過顕微鏡像、右:蛍光顕微鏡像)を、電極部先端径φ7.5mmの場合を
図18に、電極部先端径φ22mmの場合を
図19に、それぞれ上から三角波、矩形波、正弦波の順で示す。なお、比較例における蛍光色素の到達深度に対して、各実施例はいずれも有意な差が得られており、比較例の画像は省略する。
【0095】
図18及び
図19より、各実施例はいずれも、大小どちらの電極を用いた場合でも、画像右側の蛍光顕微鏡像で明るく現れる蛍光色素が皮膚に浸透している様子がわかり、三角波、矩形波、正弦波の順で蛍光が強く観察されている。各実施例の結果比較から、デジタル信号の調整で電圧印加波形を三角波状とした場合に、浸透促進効果がより強まることが見て取れ、デジタル信号の調整で適切な電圧印加波形を与えることにより、有効成分の肌への浸透促進効果が得られたことがわかる。
【0096】
次に、通電に伴う刺激について感覚評価試験を行った。本発明の美容装置を適用し、複数の使用者において、前腕内側部の皮膚への電極を接触させての通電動作を、デジタル信号の調整により印加電圧波形を三角波状とした場合、同じく印加電圧波形を矩形波状とした場合、同じく印加電圧波形を正弦波状とした場合の各例について、電圧を10V程度から少しずつ上げながらそれぞれ実施して、違和感や痛みなどの不快を感じる最小の電圧を記録し、評価した。
【0097】
いずれの使用者においても、不快を感じる最小の電圧の値は、矩形波の場合が最も小さく、また、正弦波と三角波との間に明確な差は見られなかった。すなわち、通電に伴う痛み等の不快さは、矩形波で最も強く感じやすく、人に適用可能な最大電圧は、矩形波の場合で最も小さくなり、正弦波や三角波ではこれより大きくすることができるといえる。また、この結果から、印加電圧波形による刺激の強さと物質の経皮吸収促進性とは関連性に乏しいことがわかる。
【0098】
このように、各測定結果から、本発明の美容装置を用いて、デジタル信号の調整により印加電圧波形を三角波状として皮膚への通電を行った場合、他の波形による通電の場合より、エレクトロポレーションに伴う物質の皮膚への吸収が優れたものとなる上、痛み等の不快な刺激を抑制することができ、エレクトロポレーションに適した波形であるといえる。
【0099】
こうして、本発明の美容装置で、デジタル制御部によるデジタル信号の値を順次0から所定の極大値に至るまで徐々に増加させ、さらに前記極大値から0に至るまで減少させる一連の変化を、繰返し行わせつつ、このデジタル信号をD/A変換してアナログ信号とし、このアナログ信号に基づく三角波状の波形の電圧を電極部間で印加して皮膚への通電状態とし、エレクトロポレーションを実行することによって、痛みを抑えながら、皮膚に各種有効成分をより確実に浸透させられ、美容効果を高められることは明らかである。