【実施例】
【0013】
図1および
図2に示すように、ヘッドレスト10は、箱状に形成されたヘッドレストコア12と、このヘッドレストコア12の外側を覆い得る袋状に形成された表皮14と、ヘッドレストコア12および表皮14の間で発泡成形され、クッション性を発現する弾性体16とを備えている。また、ヘッドレスト10は、底面から下方に延出する2本のステー(部材)18,18を有し、ステー18をシートにおけるシートバッグに設けられた支持部に夫々挿入して、シートに対して取り付けられる。ステー18は、ヘッドレストコア12の内側に臨む上部が図示しない支持機構によって左右の軸線回りに回動可能に支持され、ヘッドレスト10は、シートに取り付けた際にシートに対して角度を調節し得るようになっている。
【0014】
前記ヘッドレストコア12は、前後2つの合成樹脂製の半体を組み付けて構成され、支持機構およびステー18の上部を収容し得る収容空間12aが画成されている(
図2参照)。ヘッドレストコア12の底部には、左右方向に離間して並設された一対のステー18,18に対応して、収容空間12aに連通する挿通口20aを夫々画成する一対の挿通部20,20が形成されている。挿通口20aには、ヘッドレストコア12の内側に上端部が支持されたステー18が挿通されて、該挿通口20aを介してステー18の下端部が外方に臨むようになっている。ここで、挿通口20aは、ヘッドレストコア12に対して前後方向に相対的に動くステー18に対応して、前後方向に大きく開口している。挿通部20は、挿通口20aにおける外側(下側)の周縁部に、水平方向(後述するカバー部材34の挿通口20aへの挿入方向と交差する面方向)に延在する受片22が形成されている。また、挿通部20の前部内面には、後方へ向けて水平方向に延在する取付片24が形成され、この取付片24に上下に貫通する取付孔26が開設されている。
【0015】
前記表皮14は、天然または合成樹脂製の皮革やファブリックを材質にしており、所定形状に裁断された単一または複数の表皮片を縫合して、袋状に形成されている。表皮14の底面には、左右の挿通口20a,20aに合わせた位置に該挿通口20aよりも一回り小さいステー開口28,28が形成されると共に、表皮14内へのヘッドレストコア12の挿入口となる切れ目30が左右のステー開口28,28間に形成されている(
図1参照)。表皮14における切れ目30の中央部には、弾性体16を発泡成形する際に、弾性体原料の注入口となる注入開口32が形成されている。なお、切れ目30および注入開口32は、得られたヘッドレスト10において封止されている。
【0016】
前記ヘッドレスト10には、略筒形状のカバー部材34が挿通部20に対して下方から嵌め合わせてあり、カバー部材34によって表皮14が挟まれると共にステー18が囲われている(
図1〜
図3参照)。カバー部材34は、上下に連通する筒形状の筒状部36を本体として、この筒状部36の外周面下縁に外側方(前記受片22と並行する方向)に延出形成されたフランジ部38を備えている。カバー部材34は、筒状部36を挿通口20aのに挿入して挿通部20に取り付けた際に、フランジ部38と受片22との間で表皮14を挟持するよう構成される(
図2または
図3参照)。なお、筒状部36の前部は、前側に連なるフランジ部38に向けて前記取付片24と干渉しないように湾曲形成されている(
図2参照)。また、カバー部材34は、筒状部36の外周面後部に位置すると共にフランジ部38の上方に所要間隔離間して後方へ延出するよう形成された板状の第1取付部40と、フランジ部38の前部における挿通口20aの内側に臨む部位に上方へ延出するように形成された第2取付部42とを備えている(
図2参照)。第2取付部42は、フランジ部38の上面に立設された挿入軸部42aの上端部に、挿入軸部42aよりも外側方に延出するよう形成された爪部42bを有し、爪部42bから上端に向かうにつれて先細り形状になっている。なお、カバー部材34には、筒状部36における第1取付部40とフランジ部38との間に、後方へ延出する調節リブ48が形成され(
図4参照)、この調節リブ48の延出寸法を変更することで、挿通部20に対するカバー部材34の取り付け具合を調節している。
【0017】
前記カバー部材34は、筒状部36の外側に上下方向(筒状部36における挿通口20aへの挿入方向)に沿って延在するよう形成された係合部44,46を有している(
図2または
図3参照)。係合部44,46は、挿通部20において下方に開口した挿通口20aの内側に折り返された表皮14の端縁を、筒状部36の挿通口20aへの挿入に際して引っ掛けて引き込み得るよう構成されている。ここで、実施例のカバー部材34は、第2取付部42の挿入軸部42a前面に上下に延在するよう形成された第1係合部44と、筒状部36の左右の側面に上下に延在するよう形成された第2係合部46とを備えている。各係合部44,46は、該係合部44,46が繋がる面(挿入軸部42aまたは筒状部36)から立ち上がるリブ形状であって、挿通部20の内面に臨む係合端縁
(端縁)44a,46aが凹凸形状になっている。ここで、実施例の係合端縁44a,46aは、表皮14に食い込みやすいように係合部44,46の側面視において凸部が複数形成された鋸刃形状となっており、挿通部20との間で表皮14が引っ掛かり易くなっている。係合端縁44a,46aの各凸部は、係合部44,46の側面視において略直角三角形状であって、鋭角の1つが表皮14に臨むと共に斜辺が下方向(ヘッドレスト10の外方)に指向するように形成されている。
【0018】
次に、実施例に係るヘッドレスト10の製造方法について説明する。ステー18,18が配設されたヘッドレストコア12を、袋状に形成された表皮14の切れ目30から挿入し、ステー18,18をステー開口28,28を介して外方に突出させる。筒状部36の内側にステー18を通し、カバー部材34を後から前方に向かうにつれて下方傾斜する姿勢として、カバー部材34の後部に設けた第1取付部40とフランジ部38との間に挿通部20の受片22および表皮14の端縁を挟む(
図4(a)参照)。カバー部材34を第1取付部40側を支点としてヘッドレストコア12側へ回動することで、挿通部20の内側に折り返された表皮14の端縁が第1係合部44の係合端縁44aおよび第2係合部46の係合端縁46aに押されて、挿通部20の内側に沿って上方へ引き込まれる。第2取付部42を取付孔26に嵌め込むことで、カバー部材34がヘッドレストコア12に取り付けられた中間品が得られる(
図4(b)参照)。このとき、表皮14の端縁が係合部44,46の係合端縁44a,46aと挿通部20の内面との間で挟持されると共に、カバー部材34のフランジ部38と挿通部20の受片22との間で表皮14が挟持されて、ヘッドレストコア12と表皮14との間が密にシールされる。得るべきヘッドレスト10の外形に合わせて形成されたキャビティを有する成形型(図示せず)に中間品をセットし、注入開口32から弾性体原料を注入して発泡成形することで、ヘッドレストコア12と表皮14との間に弾性体16が充填される。
【0019】
このように、カバー部材34をヘッドレストコア12に取り付ける際に、第1係合部44および第2係合部46によって表皮14の端縁を引き込んで、表皮14を張る方向にテンションをかけることができる。ここで、カバー部材34の前部と左右の3箇所に係合部44,46が設けられているので、第1取付部40を引っ掛けて第2取付部42を取付孔26に挿入する作業において、バランスよく表皮14にテンションをかけることができる。これにより、弾性体16の発泡成形に際して、表皮14にたるみができ難く、またヘッドレストコア12と表皮14とを隙間なく密着させて、ヘッドレストコア12と表皮14との間を適切にシールし得る。更に、表皮14は、係合部44,46によって挿通部20の内側に折り返して挟持されているので、弾性体16の発泡成形時に発泡圧が表皮14に加わっても、表皮14が位置ずれしたり、抜けたりすることなども防止し得る。しかも、係合部44,46の係合端縁44,46は、凹凸形状になっているので、表皮14をより確実に保持し得る。更にまた、実施例では、カバー部材34のフランジ部38と挿通部20の受片22との間でも表皮14を挟んでいるので、表皮14をより確実に保持し得る。すなわち、得られたヘッドレスト10は、弾性体16の発泡成形時の表皮14のたるみに起因して該表皮14にシワが生じることを回避でき、また適切にシールされるので弾性体原料の漏出による汚損なども防止することができる。従って、ヘッドレスト10の見栄えを向上し得る。
【0020】
前記ヘッドレスト10によれば、表皮14が係合部44,46によって挿通部20の内側に折り返して挟持されているので、使用時に表皮14に引っ張り力が加わっても、表皮14が位置ずれしたり、抜けたりすることなどを防止し得る。しかも、係合部44,46の係合端縁44,46は、凹凸形状になっているので、表皮14をより確実に保持し得る。また、実施例では、カバー部材34のフランジ部38と挿通部20の受片22との間でも表皮14を挟んでいるので、表皮14をより確実に保持し得る。ここで、係合部44,46と挿通部20の内面とによって表皮14を挟持する方向と、フランジ部38と受片22とによって表皮14を挟持する方向とを異ならしており、これによりカバー部材34から表皮14がずれ難くなっている。第1係合部44は、フランジ部38から立設された第2取付部42とフランジ部38のフランジ面とを繋ぐように連設されたリブ状に構成されているので、第2取付部42とフランジ部38を繋ぐ補強部として機能する。同様に、第2係合部46は、筒状部36の外周面とフランジ部38のフランジ面とを繋ぐように連設されたリブ状に構成されているので、筒状部36の外周面とフランジ部38を繋ぐ補強部として機能する。これにより、フランジ部38の表皮14を挟む力を向上して、張力のかかった状態の表皮14をより安定して挟持できる。
【0021】
(変更例)
前述した実施例に限定されず、以下のように変更することもできる。
(1)ステーが挿通するステー開口を囲うカバー部材に係合部を設けたが、例えば支持機構によってステーを所定角度で規制し得る構成において、支持機構による規制状態を解除するボタンを外方へ臨ませるボタン開口を囲うカバー部材に係合部を設けてもよい。
(2)係合部の数は、実施例の構成に限定されず、例えば係合部が1つや2つであっても、4つ以上であってもよい。
(3)係合部の位置は、実施例の構成に限定されず、カバー部材の後部に設けてもよい。
(4)係合端縁は、カバー部材を挿通口に取り付ける際に、表皮の端縁を引っ張り易いように、実施例と反対向きの鋸歯状であってもよい。また、係合端縁の凹凸は、細かい溝状など表皮に対して抵抗になる構成であれば採用し得る。
(5)係合端縁に形成した凸部の形状は、表皮の厚み、硬さおよび表面の摩擦抵抗によって変更される。例えば表皮が厚い場合や硬い場合もしくは表面の摩擦抵抗が大きい場合には、カバー部材を挿通部に嵌める際の抵抗が大きいので斜辺を下向きに設けることが好ましい。逆に表皮が薄い場合や硬度が低い場合もしくは摩擦抵抗が小さい場合には、表皮に対する圧力が弱くなるので、斜辺を上向き(カバー部材を取り付ける方向)に設けることが好ましく、表皮の厚み、硬さおよび表面状態にあわせて適宜調整される。また、凸部における表皮に臨む角の角度は、鋭角、直角、鈍角のいずれであってもよく、前述した如く、表皮の厚み、硬さおよび表面の摩擦抵抗によって角度を調整変更することが好ましい。表皮が厚い場合や硬い場合もしくは摩擦抵抗が大きい場合には、カバー部材を挿通部に嵌める際の抵抗が大きいので角度が大きく(鈍角側)なるように設定し、逆に表皮が薄い場合や硬度が小さい場合もしくは摩擦抵抗が小さい場合には、表皮に対する圧力が弱くなるので、角度が小さく(鋭角側)なるように設けることが好ましく、表皮の厚み、硬さおよび表面状態にあわせて適宜調整される。
(6)実施例では、ステー等の部材をヘッドレストコアに予め配設した状態で表皮に挿入する例を挙げたが、ヘッドレストコアを表皮に挿入した後に、ステー等の部材をヘッドレストコアに配設してもよい。