(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(トラクタの全体構成)
図1に示すように、本発明のトラクタは、エンジン21と、エンジン21の前部に、車体前方向きに延出するように固定支持されている前部フレーム3と、エンジン21の後部に連結されているクラッチハウジング4と、クラッチハウジング4の後部に、車体後方向きに延出するように連結されている中間伝動ケース5と、中間伝動ケース5の後部に連結されているミッションケース90とを備えてある。
また、トラクタは、駆動自在であると共に前部フレーム3に支持された左右一対の前輪8と、駆動自在であると共にミッションケース90に支持された左右一対の後輪9とが備えられ、四輪駆動仕様に構成されている。
【0017】
図1に示すように、前部フレーム3、クラッチハウジング4及び中間伝動ケース5の前端部によって構成される機体の前半部には、原動部20が備えられており、さらに、原動部20を上方から覆うことが可能なボンネット60が配備されている。
また、機体の後半部に相当する中間伝動ケース5の前端部より後側の上方には、使用者が搭乗可能な運転部10が備えられている。
そして、機体の後端部には、耕耘ロータやプラウなどの作業装置(図示しない)を連結可能な連結装置6と、連結装置6に連結された作業装置に動力を伝達可能なPTO軸7が備えられている。
【0018】
(前部フレームの構成)
図2及び
図4に示すように、前部フレーム3は、平面視において門形状となるように形成されている。
具体的には、前部フレーム3は、エンジン21の左右の側部から車体前方向きに延出された左右一対の縦向きの板材からなる第一部材3Aと、左右の第一部材3Aの前端部を接続するように溶接固定されている縦向きの板材からなる第二部材3Bとで構成されている。
そして、
図4に示すように、前部フレーム3の前部、即ち、エンジン21の前側には、左右の第一部材3Aに亘って横向きのプレート部材からなる支持プレート3Fが溶接固定されて配備されている。
【0019】
(原動部)
図1、
図6及び
図7に示すように、原動部20は、エンジン21と、燃料タンク22と、ラジエータ23と、エアクリーナ24と、マフラー25とで構成されている。
【0020】
(燃料タンク)
具体的には、
図1、
図6及び
図7に示すように、クラッチハウジング4の上方、即ちエンジン21の後側には、エンジン21とエンジン21の後側とを仕切る板材からなる第一仕切部材5Aが備えられており、燃料タンク22は、第一仕切部材5Aの後側に備えられている。即ち、エンジン21と燃料タンク22とは、第一仕切部材5Aによって仕切られている。
また、燃料タンク22の後部は、運転部10の後述のカバー12の内部に位置している。
【0021】
(エアクリーナ)
また、
図4に示すように、エアクリーナ24は、エンジン21の上方において、機体左右方向における一側方に配備されており、エアクリーナ24から前方へ延出されている吸気管24Aのうち、吸気口24Bを有する先端部は、後述する第二仕切部材3Cの切り欠き3Dに通されている。
【0022】
(マフラー)
そして、
図4に示すように、エンジン21に連結されているマフラー25は、エンジン21の上方において、機体左右方向における他側方、即ち、機体左右方向においてエアクリーナ24の逆側の位置に配備されている。そして、
図3乃至
図7,
図9に示すように、マフラー25から延びる排気管25Aは、後述する第二仕切部材3Cの後側とエンジン21との間を通り、排気管25Aの排気口25Bが、支持プレート3Fの下方において、前部フレーム3の第一部材3A(本実施形態においては、機体左側の第一部材3A)の機体横外側に位置するように延出されている。
【0023】
(ラジエータ)
図4、
図6及び
図7に示すように、ラジエータ23は、エンジン21の前側、即ち、支持プレート3Fの上面後部に、後述する第二仕切部材3Cと対面するように立設固定して配備されている。そして、ラジエータ21の後側には、ラジエータ21に外気を供給するための冷却ファン23Dがエンジン21に取り付けられている。
なお、
図4に示すように、ラジエータ23の上端部の左右方向中央部には、ラジエータ23に冷却液を給水可能な給水口23Aが設けられている。
【0024】
(第二仕切部材)
また、
図4、
図6及び
図7に示すように、ラジエータ23の後側、即ち、支持プレート3Fの後端部には、ラジエータ23と冷却ファン23Dと対面する部分を除いて、ラジエータ23とエンジン21との間を仕切る縦向きの第二仕切部材3Cが備えられている。
図4に示すように、第二仕切部材3Cの一方側の上端側部には、エアクリーナ24の吸気管24Aの先端部が通される切り欠き3Dが上端から所定の高さ位置まで形成されており、第二仕切部材3Cの切り欠き3Dを除く縁部には、ボンネット60が後述の閉姿勢となった場合にボンネット60の上部の裏面に当接するシールからなる弾性体3Eが沿うように取り付けられている。
【0025】
この場合、ラジエータ23は、第二仕切部材3Cの切り欠き3Dに通されているエアクリーナ24の吸気管24Aの先端部よりも下方に位置する。これによって、エアクリーナ24の吸気管24Aの先端部とラジエータ23とが干渉しないので、エンジン21の側とラジエータ23とを機体前後方向においてコンパクトに配置することができる。
【0026】
(バッテリ,オーバーフロータンク)
図1、
図4乃至
図7に示すように、前部フレーム3の支持プレート3Fの上面において、ラジエータ23の前側にはバッテリ46が置かれて配設されている。
また、
図4、
図5に示すように、バッテリ46の一方側の横側方には、ラジエータ23のためのオーバーフロータンク23Bが配設されている。オーバーフロータンク23Bの上端部とラジエータ23の給水口とは、オーバーフローパイプ23Cによって連結されており、ラジエータ23から溢れた冷却液をオーバーフローパイプ23Cを通してオーバーフロータンク23Bに貯めることができるように構成されている。
【0027】
(支持フレーム)
図4、
図5に示すように、支持プレート3Fの上面には、正面視門形状に形成された支持フレーム40が、バッテリ46と、オーバーフロータンク23Bとを跨ぐようにして溶接固定されている。
具体的には、
図5に示すように、支持フレーム40は、バッテリ46とオーバーフロータンク23Bとを横側方から挟むように立設固定された縦向きの帯板材からなる左右一対の支持部材41と、
図4乃至
図7に示すように、左右の支持部材41の上端部を接続するように溶接固定されている横向きの板材からなる接続部材42とで構成されている。
なお、
図4及び
図6に示すように、側面視において、接続部材42は、前部が支持部材41から前方に出ており、前端部42Aが機体下方向きに屈曲されている。
【0028】
図4乃至
図7に示すように、支持フレーム40のうち、機体上下方向において、バッテリ46及びオーバーフロータンク23Bと、接続部材42との間に位置する部分には、左右の支持部材41に亘って横向きの板材からなる補助部材43が溶接固定されている。
具体的には、
図4及び
図6に示すように、補助部材43は、前部が左右の支持部材41から前方に出るように固定され、前端部43Aが機体上方向きに屈曲されており、前記前端部43Aは、接続部材42の機体下方向きに屈曲させた前端部42Aよりも、側面視において機体前方に位置するように構成されている。
【0029】
(ライト)
図4乃至
図7に示すように、支持フレーム40の上部、即ち、接続部材42と補助部材43とには左右一対のライト44が前向きに支持されている。
具体的には、
図4乃至
図6に示すように、ライト44の上端中央部には、機体上方向きに突出した第一取付部44Aが形成され、ライト44の左右の下端側部には、車体下方向きに突出した第二取付部44Bが形成されている。そして、
図4乃至
図6に示すように、第一取付部44Aが、接続部材42の車体下方向きに屈曲した前端部42Aに機体後側からボルト固定され、左右の第二取付部44Bが、補助部材43の車体上方向きに屈曲した前端部43Aに機体前側からボルト固定されることで、ライト44は支持されている。
即ち、支持フレーム40の上部に相当する支持フレーム40の接続部材42及び補助部材43は、ライト44を支持するためのステーに相当し、左右一対のライト44は、第一取付部44Aと左右の第二取付部44Bとによって三点支持されている。
なお、本実施形態においては、ライト44は、ハーネス(図示しない)と、ライト44の点灯及び消灯を制御可能な制御装置(図示しない)を介して、バッテリ46に接続されている。
【0030】
(ホーン)
図4及び
図5に示すように、支持フレーム40の接続部材42の中央部には、左右一対のライト44の間に位置するようにホーン45が取り付けられている。
具体的には、接続部材42の機体下方向きに屈曲された前端部42Aの機体左右方向中央部にホーン45用のステー42Bが機体下方向きに延出するようにボルト固定されており、ホーン45用のステー42Bにホーン45が前向きに取り付けられている。
【0031】
なお、本実施形態においては、
図4乃至
図7に示すように、支持フレーム40の補助部材43は、バッテリ46の上面及びオーバーフロータンク23Bの上面との間に隙間ができるような位置に固定されている。また、
図5に示すように、左右の支持部材41もバッテリ46及びオーバーフロータンク23Bと機体左右方向において隙間ができるように固定されている。さらに、
図5に示すように、バッテリ46及びオーバーフロータンク23Bも、夫々の間に機体左右方向において隙間ができるように配設されている。そして、
図6及び
図7に示すように、バッテリ46及びオーバーフロータンク23Bは、ラジエータ23の前面と、バッテリ46の後面及びオーバーフロータンク23Bの後面との間に隙間ができるように配設されている。
図5に示すように、左右一対のライト44及びホーン45も、機体左右方向において、夫々の間に隙間ができるように配設されている。
これによって、ラジエータ23の前方にバッテリ46、オーバーフロータンク23B、支持フレーム40、ライト44及びホーン45を配設しながらも、機体前方からの外気がこれらに遮られることなく、前記隙間を通ってラジエータ23に供給されるようになっている。
【0032】
(固定部材)
図4乃至
図7に示すように、支持フレーム40には、前部フレーム3に置かれて配設されているバッテリ46を動かないように固定可能な固定部材50が備えられている。
図4乃至
図6に示すように、固定部材50は、バッテリ46の上面に当接する押え具51と、バッテリ46を押え具51と支持プレート3Fとによって、機体上下方向から締め付け固定させる締付手段である締付具52とによって構成されている。
【0033】
押え具51は、
図4乃至
図6に示すように、平面視U字状の前部51Aと、前記U字状の前部51Aの左右の後端部から機体斜め上方横外向きに延出され、かつ、機体後方向きに延出されている左右の後部51Bとを備えるように屈曲形成された丸棒材からなる。そして、押え具51の前記左右の後部51Bの後端部は、
図5に示すように、機体左右向きに屈曲形成されており、前記左右の後端部は、支持フレーム40の補助部材43の下面に突出形成されている左右のブラケット43Bに、上下揺動可能に支持されている。
なお、
図4乃至
図6に示すように、押え具51は、上下方向に揺動された場合、前記U字状の前部51Aがバッテリ46の上面に当接し、かつ、前記U字状の前部51Aの先端部が、バッテリ46の上面の前縁部から前方に出るように構成されている。
以下、押え具51の前記U字状の前部51Aを当接部51Aと称する。
【0034】
図5に示すように、締付具52は、丸棒材からなる締付用ロッド52Aと、締付用蝶ナット52Bからなり、
図4及び
図5に示すように、締付用ロッド52Aの下端部はフック状に形成され、上端部にはネジ部が形成されている。そして、
図5に示すように、締付用蝶ナット52Bは、締付用ロッド52Aの前記ネジ部に螺合可能に構成されている。
また、
図4及び
図5に示すように、締付用ロッド52Aの前記フック状の下端部は、支持プレート3Fの上面において、バッテリ46の機体前側に固定されている後述のロック機構80のロック用ブラケット81の下端部に、車体前後方向に貫通して形成されている孔に係合されている。そして、前記上端部のネジ部は、押え具51の当接部51Aがバッテリ46の上面に当接している状態で、バッテリ46の上面の前縁部から前方に出ている当接部51Aの先端部に挿通可能となっている。
なお、締付用ロッド52Aのフック状の下端部は、後述のロック機構80を構成する各部材に干渉しないような位置に係合されている。
【0035】
上記のように固定部材50が構成されているので、バッテリ46の上面の前縁部から前方に出ている押え具51の当接部51Aの先端部に挿通されている締付具52の締付用ロッド52Aの上端部のネジ部に、当接部51Aの上方から締付用蝶ナット52Bを螺合していくことで、バッテリ46の上面を押え具51で押さえつけると共に、バッテリ46の下面を支持プレート3Fによって押さえつけることができる。
即ち、バッテリ46は、支持フレーム40に備えられている固定部材50によって機体上下方向から締め付け固定することができる。
【0036】
なお、
図5及び
図6に示すように、押え具51によるバッテリ46の上面の押さえつけを更に確実にするために、押え具51の当接部51Aには、バッテリ46の上面前縁から前方に出ている先端部が覆われないように、ゴムなどからなる環状の弾性部材51Cを嵌めてもよい。
【0037】
(支持ピラー)
図1、
図6、
図7及び
図13に示すように、中間伝動ケース5の前端部には、背面視門形状に形成されている帯板材からなる支持ピラー5Bが燃料タンク22の後部を跨ぐようにして固定されている。
具体的には、中間伝動ケース5の前端部の上面に、左右のブラケット5Fが機体上方向きに延出するように固定されており、支持ピラー5Bの左右の下部が左右のブラケット5F(以下、固定用ブラケット5Fと称する)に固定されている。
【0038】
(第三仕切部材)
図1、
図6、
図7及び
図13に示すように、支持ピラー5Bの前部には、機体上下方向及び機体左右方向において燃料タンク22の周囲を囲むように縦向きの板材5Cが取り付けられており、板材5Cの後面には、運転部10の後述するカバー12が取り付けられている。
即ち、板材5Cは、後述するカバー12と後述するカバー12の前側とを仕切る仕切部材を兼ねている(以下、板材5Cを第三仕切部材5Cと称する)。そして、第三仕切部材5Cの前面上部には、左右一対のブラケット5D(以下、第一ブラケット5Dと称する)が前方に延出されている。
【0039】
(ボンネット)
図1及び
図3に示すように、ボンネット60は、ボンネット60の前部の下部が支持プレート3Fに当接しながら、原動部20、バッテリ46、オーバーフロータンク23B、支持フレーム40、ライト44及びホーン45を上方から覆う下側の閉姿勢と、
図7に示すように、ボンネット60の前部が支持プレート3Fから機体上方に離間し、原動部20、バッテリ46、オーバーフロータンク23B、支持フレーム40、ライト44、ホーン45の上方を開放する上側の開姿勢とに亘って上下揺動可能であるように、第三仕切部材5Cの左右の第一ブラケット5Dに軸支されている。
【0040】
具体的には、
図6乃至
図8に示すように、ボンネット60は、後述する第一ボンネット部61の裏面の後端部に、左右一対のブラケット61A(以下、第二ブラケット61Aと称する)を備え、
図6及び
図7に示すように、左右の第二ブラケット61Aが、第三仕切部材5Cの左右の第一ブラケット5Dに機体左右方向軸芯周りに揺動可能に軸支されることで、後支点周りに上下揺動できるように構成されている。
【0041】
図2乃至
図4に示すように、ボンネット60は、天板である第一ボンネット部61と、第一ボンネット部61の前端部の下側に位置する第二ボンネット部62と、第二ボンネット部62の機体左右横側に位置する板材からなる左右一対の第三ボンネット部63と、第二ボンネット部62の下側に位置する板材からなる第四ボンネット部64とで構成されている。
【0042】
具体的には、
図2乃至
図4に示すように、第一ボンネット部61は、左右一対の側部61Bを備えるように構成されている。
そして、
図2乃至
図4に示すように、左右の第三ボンネット部63は、機体側面視において、第一ボンネット部61の左右の側部61Bの前端部から機体斜め下方前向きに延出し、夫々が機体左右方向において対面するように構成されており、ボンネット60の前部の側部に相当する。
図2乃至
図4、
図9に示すように、第四ボンネット部64は、左右の第三ボンネット部63の前方下端部を接続するように構成されており、ボンネット60の前部の前端部の下部に相当する。
【0043】
また、
図6及び
図7に示すように、第一ボンネット部61の裏面前端部と第四ボンネット部64の裏面の機体左右方向中央部とには、両者を接続するように帯板状のステー69が機体上下向きに固定されている。
図2乃至
図4に示すように、第二ボンネット部62は、第一ボンネット部61、左右の第三ボンネット部63及び第四ボンネット部64によって機体前後向きに形成される空間に嵌まるように、前記ステー69と、左右の第三ボンネット部63及び第四ボンネット部64とによって固定支持されている。即ち、第二ボンネット部62は、ボンネット60の左右の側部及び前端部に相当する。
【0044】
なお、
図1、
図3及び
図9に示すように、ボンネット60は、閉姿勢である場合、第四ボンネット部64及び左右の第三ボンネット部63の下端部が、支持プレート3Fの前縁部及び左右の側縁部の直上に沿って位置するように構成されている。
即ち、ボンネット60は、閉姿勢である場合、第一ボンネット部61の前部、第二ボンネット部62、左右の第三ボンネット部63及び第四ボンネット部64によって、支持プレート3Fの機体両横側方と、前方と、上方とを覆うことができるように構成されている。
【0045】
図1、
図3、
図4、
図6及び
図9に示すように、第二ボンネット部62の下部には、ボンネット60が閉姿勢の場合に、前方から通気することができるフロントグリル部62Aが備えられている。また、
図1、
図3、
図4及び
図6に示すように、第二ボンネット部62の上部には、ボンネット60が閉姿勢の場合に、支持フレーム40の上部に取り付けられている左右一対のライト44と対向する左右一対の開口部62Bが貫通形成されている。
具体的には、
図1、
図3、
図4及び
図6に示すように、左右一対の開口部62Bは、第2ボンネット部62の前面から機体後方へ延出する上面、下面及び左右の側面を備え、
図3に示すように、ライト44の前面の形状と一致するように貫通形成されている。なお、
図6に示すように、開口部62Bの上面、下面及び左右の側面の後端部は、ボンネット60が閉姿勢である場合に、ライト44の前面の周縁部に近接するように構成されている。
上記のように構成することで、左右一対のライト44をボンネット60ではなく支持フレーム40に支持しながらも、機体前方をライト44によって照らすことができる。
【0046】
(作用効果)
本実施形態のトラクタでは、上記のように、左右一対のライト44がボンネット60ではなく、支持フレーム40に取り付けられている。これによると、ボンネット44を開姿勢にしても、左右一対のライト44は高い位置に移動することがないので、交換やメンテナンスがし易く、整備性が良いという利点がある。
また、左右一対のライト44がボンネット60の前端部に取り付けられている場合、ライト44と制御装置(図示しない)とを連結するハーネス(図示しない)をボンネット60の裏面に沿わして配備することになるので、ボンネット60の開閉に伴うライト44の移動に対応するように、ハーネスの長さに余裕を持たせる必要がある。しかし、本実施形態においては、ライト44が支持フレーム40に固定されており、ボンネット60の開閉に伴って移動することがないので、ハーネスに上記のような構成を持たせる必要が無いという利点もある。
【0047】
(持ち部)
図3、
図4、
図6、
図7、
図9及び
図10に示すように、ボンネット60の前部の下部のうち、第四ボンネット部64の下端部の機体左右方向中央部には、使用者がボンネット60を閉姿勢から開姿勢に開ける場合に手をかけることが可能な、機体内側向きに形成された凹部からなる持ち部65が設けられている。
【0048】
具体的には、
図9、
図10に示すように、持ち部65は、左右の側面65Aと後面65Bとを有するように、機体前方向き及び機体下方向きに開口するように形成されており、前記後面65Bが側面視において前傾姿勢となるように構成されている。なお、持ち部65の前記左右の側面65Aは、機体前方に向かうほど左右の側面65Aの間の幅が広がるように形成されている。
なお、持ち部65は使用者が手をかけることのできる大きさに形成されている。
【0049】
上記構成によると、凹部からなる持ち部65をボンネット60に一体形成してあるので、使用者がボンネット60を閉姿勢から開姿勢に開ける場合に手をかけるための専用の部材などを用意する必要がなく、コストの高騰化を抑制できる。
【0050】
図10に示すように、前記ボンネット60の前部において、持ち部65の下側におけるボンネット60の下端部及び持ち部65の両横側におけるボンネット60の下端部、即ち、第四ボンネット部64の下端部及び左右の第三ボンネット部63の下端部には、機体内側向きに屈曲されて突出している突出部66(左右の第三ボンネット部63の突出部66は図示しない)が、ボンネット60の前部の下縁部として形成されている。
なお、第四ボンネット部64の突出部66のうち、持ち部65での突出部66は、持ち部65の左右の側面の下端部及び後面の下端部に沿うように突出形成されている。
【0051】
図3、
図4、
図6、
図7、
図9及び
図10に示すように、ボンネット60の前部の下縁部である、第四ボンネット部64及び左右の第三ボンネット63の下端部の突出部66には、弾性部材からなるシール部材67が突出部66に沿うように取り付けられている。
具体的には、
図10に示すように、シール部材67は、突出部66に沿うように嵌めて取り付け可能な上部と、ボンネット60が閉姿勢の状態において、支持プレート3Fの前縁部及び左右の側縁部の上面に沿って当接する下部とで構成されている。
【0052】
なお、
図3、
図6、
図9及び
図10に示すように、シール部材67の下部は、後述のロック機構80によってボンネット60が閉姿勢に保持されている場合、左右の第三ボンネット部63及び第四ボンネット部64と、支持プレート3Fとで機体上下方向から挟まれることによって機体上下方向において圧縮変形されている状態となる。
つまり、ボンネット60の前部の下部と、支持プレート3Fとの間は密封された状態となり、ラジエータ23にほこりなどが供給され難くなっている。
【0053】
また、持ち部65での突出部66は、上記のように持ち部65の下端部に沿うように突出形成されているので、
図9及び
図10に示すように、持ち部65の突出部66でのシール部材67は、支持プレート3Fの前縁部より後側の上面に当接するようになっている。
これによると、ボンネット60が閉姿勢である場合、持ち部65の下側を密封しながらも、持ち部65と、支持プレート3Fの前縁部の上面との間に隙間を形成することができ、使用者が持ち部65に手をかけやすくすることが可能となっている。
【0054】
そして、上記のようにボンネット60が構成されているので、後述のロック機構80によるボンネット60の閉姿勢の保持を解除すると、圧縮変形されていたシール部材67が元に戻り、ボンネット60の前部が押し上げられ、持ち部65と支持プレート3Fの上面との間の隙間が大きくなる。これによって、持ち部65に更に手をかけやすくすることができる。
【0055】
(支持機構)
図6乃至
図8に示すように、上記構成のボンネット60の後部には、ボンネット60を開姿勢で保持することのできる支持機構70が備えられており、支持機構70は、ボンネット60の側に配備されている丸棒材からなる支持用ロッド71と、支持用ロッド71に配備されるコイルバネ73と、エンジン21の側の支持用ブラケット72とで構成されている。
【0056】
図6乃至
図8に示すように、具体的には、支持用ロッド71は、一端部が機体左向き(あるいは機体右向き)に屈曲されて、第一ボンネット部61の裏面後部に前後揺動可能に軸支されている。そして、支持用ロッド71の他端部は、鉤フック状に屈曲形成されている。
コイルバネ73は、支持用ロッド71の屈曲された一端部に取り付けられており、支持用ロッド71を機体後方向きに付勢するように構成されている。
また、支持用ブラケット72は、エンジン21の上部に機体上方向きに延出するように連結固定されており、支持用ブラケット72の上端部には、機体前後方向に貫通して形成された機体上下向きの長孔72Aが形成されている。
そして、支持用ロッド71は、支持用ブラケット72の長孔72Aに挿通されている。
【0057】
上記構成の支持機構70によれば、
図7に示すように、ボンネット60を後支点周りに機体上方向きに揺動させて開姿勢とした場合、
図7及び
図8に示すように、コイルバネ73によって機体後方向きに付勢されている支持用ロッド71の鉤フック状の他端部が、支持用ブラケット72の長孔72Aの下端部に自動的に係り合うので、ボンネット60を開姿勢で保持することができる。
上述のように開姿勢で保持したボンネット60を、
図6に示すように、後支点周りに機体下方向きに揺動させて閉姿勢に戻すには、支持用ロッド71の鉤フック状の他端部と支持用ブラケット72の長孔72Aとの係り合わせを解除し、ボンネット60を機体下方向きに揺動させると共に、支持用ロッド71を前記長孔72Aに挿通させていくことで可能となる。
【0058】
(ロック機構)
図4乃至
図7に示すように、支持フレーム40の支持プレート3Fの上面におけるバッテリ46の前側の部分には、ボンネット60を閉姿勢で保持することのできるロック機構80が備えられている。
具体的には、
図4、
図5、
図10乃至
図11に示すように、ロック機構80は、支持プレート3Fに機体左右向きに立設固定されているロック用ブラケット81と、ボンネット60の側に設けられている後述の被係止体68を係止可能な抜止係止体82と、抜止係止体82を後述の抜止作用姿勢に付勢するバネ83と、抜止係止体82を後述の抜止作用姿勢から後述の抜止解除姿勢に操作可能な操作具としての操作レバー84とで構成されている。
なお、
図6、
図7及び
図10に示すように、被係止体68は、ボンネット60の第二ボンネット部62を支持している前記ステー69の下端部に、機体後方向きに延出するように固定されている丸棒材からなる。
【0059】
図5、
図11に示すように、ロック用ブラケット81の上部には、機体前後向き及び機体上方向きに開口している凹部81Aが形成されている。即ち、前記凹部81Aは、ボンネット60が閉姿勢である場合には、
図11(a)に示すように、被係止体68が機体上方側から係入され、ボンネット60が開姿勢である場合には、
図11(b)に示すように、被係止体68が機体上方側に離間するように構成されている。
以下、ロック用ブラケット81の前記凹部81Aを、係合凹部81Aと称する。
【0060】
なお、
図11に示すように、ロック用ブラケット81の係合凹部81Aの機体左右両側には、係合凹部81Aから機体横外側に離れるほど高くなる傾斜面81Bが形成されてあり、ボンネット60が閉姿勢にされる場合、被係止体65が確実に係合凹部81Aに案内されるように構成されている。
また、ロック用ブラケット81の一方の横側部(本実施形態においては、機体右側)には、抜止係止体82の後述するストッパー部82Bを突入するための切り欠き81Cが機体左右向きに形成されている。
【0061】
図11に示すように、抜止係止体82は、下部がロック用ブラケット81の下端部に軸支され、ロック用ブラケット81に対して左右揺動可能に構成されている。
また、
図11に示すように、抜止係止体82の上部のうち、一方の側部(本実施形態においては、機体左側)には、抜止係止体82を揺動させた場合に、係合凹部81Aに係入されている被係止体68の上側に位置して、被係止体68が機体上方向きに抜け出すことを規制することができるように突出形成された抜止突部82Aが備えられている。
即ち、抜止係止体82は、
図11(a)に示すように、被係止体68が機体上方向きに抜け出すことを規制することができる抜止作用姿勢と、
図11(b)に示すように、抜止突部82Aが被係止体68の上側から離間して、被係止体68が機体上側方向に抜け出すことができる抜止解除姿勢とに亘って揺動可能に構成されている。
【0062】
また、
図11に示すように、抜止係止体82の他方側の側部(本実施形態においては、機体右側)には、機体後方向きに延出するように突出させられた突出片からなるストッパー部82Bが設けられている。そして、ストッパー部82Bは、ロック用ブラケット81の前記切り欠き81Cに突入されており、
図11(a)に示すように、抜止係止体82が抜止作用姿勢である場合に、ロック用ブラケット81の切り欠き81Cの上端縁に当接するように構成されている。
さらに、抜止係止体82には、機体上方側から係合凹部81Aに向けて係入するように下降移動する被係止体65との当接によって、抜止係止体82自体を抜止作用姿勢から抜止解除姿勢に揺動させるような分力を与えるための傾斜面82Cが形成されている。
【0063】
図5及び
図11(a)に示すように、バネ83は、ロック用ブラケット81の一方側の横側方(本実施形態においては、機体左横側方)において、抜止係止体82の下部に機体前後向きに貫通して形成されている孔と、支持プレート3Fとに亘って取り付けられており、抜止係止体82を抜止作用姿勢側に付勢するように構成されている。
即ち、ロック機構80は、被係止体68が係合凹部81Aに係入されている場合においても、されていない場合においても、ストッパー部82Bとバネ83とによって、抜止係止体82が抜止作用姿勢に保持されるように構成されている。
【0064】
図11に示すように、丸棒材からなる操作具である操作レバー84は、一端部がフック状に形成され、他端部には人為操作用の操作部84Aが形成されている。
そして、操作レバー84は、
図11に示すように、フック状の一端部が、抜止係止体82の先端側に機体前後向きに貫通形成されている孔に係合され、
図4、
図11に示すように、操作部82を有する他端部側が、支持プレート3Fのうち、ロック用ブラケット81の他方側の横側方(本実施形態においては、機体右横側方)に位置する部分に、機体上下向きに貫通形成されている機体左右向きの長孔3Gに挿通されている。
つまり、
図3及び
図5に示すように、操作レバー84の操作部84Aは、支持プレート3Fの下方、且つ、前部フレーム3の第一部材3A(本実施形態においては、機体右側の第一部材3A)の機体横外側に位置しており、操作レバー84の他端部の操作部84Aを引っ張ることにより、
図11に示すように、抜止係止体82をバネ83の付勢作用に抗して抜止作用姿勢から抜止解除姿勢に揺動操作できるようになっている。
【0065】
なお、上述のように、操作レバー84の操作部84Aは、支持プレート3Fのうち、前部フレーム3の右側の第一部材3Aの機体横外側に位置しており、前部フレーム3の左側の第一部材3Aの機体横外側に位置しているマフラー25の排気管25Aの排気口25Bとは離れているので、操作レバー84の周りは熱くならない。
【0066】
上記構成のロック機構80によれば、開姿勢の状態にあるボンネット60を機体下方向きに揺動させていくと、ボンネット60の被係止体68が、バネ83の付勢作用によって抜止作用姿勢にある抜止係止体82の傾斜面82Cに当接する。次に、ボンネット60を更に機体下方向きに揺動させると、下降する被係止体65に連動して抜止係止体82が抜止解除姿勢側に揺動され、被係止体68がロック用ブラケット81の係合凹部81Aに係入される。そして、被係止体68から抜止解除姿勢側に揺動される力を受けなくなった抜止係止体82が、バネ83の付勢作用によって抜止作用姿勢に戻る。この場合、
図11(a)に示すように、係合凹部81Aに係入されている被係止体68の機体上側には、抜止係止体82の抜止突部82Aが位置しており、さらに、抜止係止体82がバネ83によって抜止作用姿勢に付勢されているので、被係止体68が機体上方向きに抜け出すことが規制され、ボンネット60を閉姿勢に保持することができる。
【0067】
上述のように、ロック機構80によって閉姿勢に保持されているボンネット60を、開姿勢に揺動させるには、
図11(b)に示すように、ロック機構80に備えられている操作レバー84の操作部84Aを引っ張り、抜止係止体82を抜止解除姿勢に揺動させ、被係止体65を係合凹部81Aから抜け出せるようにすればよい。
【0068】
(運転部)
図1に示すように、運転部10には、運転座席11と、運転座席11に座る使用者が足を載せることができる左右一対のステップ5Eと、踏み込み操作可能なアクセルペダル14と、回動操作可能なアクセルレバー16と、踏み込み操作可能なブレーキペダル15と、左右の前輪8を操向操作可能なステアリングホイール13とが備えられている。
【0069】
具体的には、
図1に示すように、運転座席11は、ミッションケース90の上方に配設され、
図1、
図2及び
図14に示すように、左右のステップ5Eは、中間伝動ケース5の後半部に機体左右方向に延出するように固定されている。
図14に示すように、ブレーキペダル15及びアクセルペダル14は、一方(本実施形態においては、機体右側)のステップ5Eの前方に配設されている。
そして、
図1、
図2及び
図14に示すように、運転座席11の前方には、内部中空に形成されている前記カバー12が配備されており、カバー12にステアリングホイール13及びアクセルレバー16が備えられている。
【0070】
(ステアリング機構)
ステアリング機構は、
図1、
図13及び
図14に示すように、運転部10の側の構成部品として、前記ステアリングホイール13と、ステアリングホイール13によって左右の前輪8を操向操作する場合の操舵力を補助するパワーステアリング装置31と、ステアリングポスト32の内部を通りながら、ステアリングホイール13及びパワーステアリング装置31を連結するステアリングシャフト13Aと、パワーステアリング装置31に連結されているピットマンアーム33と、ピットマンアーム33及び左右の前輪8のナックルアーム(図示しない)を連結するドラッグリンク34とが備えられている。
【0071】
図13及び
図14に示すように、パワーステアリング装置31は、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向における一側方寄り(本実施形態においては、機体左側寄り)に位置するように、左右の前記固定用ブラケット5Fに固定されている。
そして、ステアリングシャフト13Aは、ステアリングホイール13の下部から機体斜め前方下向きに延出され、パワーステアリング装置31の上端部の入力部に連結されている。
【0072】
また、
図1、
図12及び
図13に示すように、パワーステアリング装置31の機体横外側端部(本実施形態においては、機体左側端部)の出力部には、ピットマンアーム33の一端部が機体前後揺動自在に連結されており、ピットマンアーム33の他端部には、ドラッグリンク34の一端部が機体上下揺動自在に連結されている。そして、ドラッグリンク34の他端部(図示しない)は、左右の前輪8のナックルアーム(図示しない)に連結されている。
【0073】
即ち、ステアリング機構が備えるステアリングホイール13と、ステアリングシャフト13Aと、パワーステアリング装置31と、ピットマンアーム33と、ドラッグリンク34と、ナックルアームとは連動するように構成されている。これによって、ステアリングホイール13を操作する場合、パワーステアリング装置31によって操舵力を補助されながら左右の前輪8を操向操作できるようになっている。
【0074】
なお、上述のように、パワーステアリング装置31は、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向における一側方寄り(本実施形態においては、機体左側寄り)に配備されているので、
図13及び
図14に示すように、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向におけるパワーステアリング装置31と逆側方の側(本実施形態においては、機体右側)には、空きスペースができる。
そして、前記空きスペースは、
図13及び
図14に示すように、後述のアクセル機構の構成部品のうち、アクセルペダル14、後述のアクセル用ブラケット101、後述のアーム部材17及び後述の第一連結部材102の配設位置として有効利用されている。
【0075】
(アクセル機構)
アクセル機構は、
図12及び
図13に示すように、前記アクセルレバー16と、前記アクセルペダル14と、アクセルレバー16及びアクセルペダル14を支持するアクセル用ブラケット101と、アクセルペダル14に固定されている第一連結部材102と、第一連結部材102をエンジン21のアクセル(図示しない)に連結する第二連結部材103とが備えられている。
【0076】
具体的には、
図13及び
図14に示すように、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向におけるパワーステアリング装置31とは逆側方側の前記空きスペース、即ち、中間伝動ケース5の前端部のうち、パワーステアリング装置31とは逆側の側端部の上方に位置するように、アクセル用ブラケット101が、一方の前記固定用ブラケット5F(本実施形態においては、機体右側)に固定されている。
【0077】
図13及び
図14に示すように、アクセルペダル14は、平面視コの字状に屈曲形成されている丸棒材からなり、屈曲された前端部側の部分がアクセル用ブラケット101に軸支され、その支持軸芯P1周りに上下揺動できるように構成されている。
【0078】
図13及び
図14に示すように、アクセルペダル14の前記前端部側の部分のうち、アクセル用ブラケット101より機体外側に位置する部分には、丸棒材からなる第一連結部材102の上端部側寄りの一部分が溶接固定されている。
即ち、
図15に示すように、第一連結部材102は、その上端部と下端部とが、相対的、且つ、アクセルペダル14と一体的に、アクセルペダル14の支持軸芯P1周りに前後揺動するように構成されている。
【0079】
図13及び
図15に示すように、第一連結部材102の下端部には、丸棒材からなる第二連結部材103の一端部が、上下揺動可能に連結されており、第二連結部材103の他端部(図示しない)は、エンジン21の側のアクセル(図示しない)に連結されている。
【0080】
即ち、アクセルペダル14と、第一連結部材102と、第二連結部材103と、エンジン21のアクセルとが連動するように構成されている。これによって、アクセルペダル14が、
図15(a)に示すような、「上側のアイドリング姿勢」と、
図15(b)に示すような、「下側の高速側の姿勢」とに亘って、支持軸芯P1周りに揺動操作され、その揺動操作に伴って第一連結部材102、第二連結部材103及びエンジン21のアクセルが連動するようになっている。
【0081】
なお、
図13及び
図15に示すように、アクセルペダル14の前記前端部側には、コイルバネ104が外嵌されており、コイルバネ104の一端部がアクセル用ブラケット101の下部に機体後側から係着され、他端部が第一連結部材102の上端部に機体後側から係着されている。
即ち、
図13乃至
図15に示すように、第一連結部材102は、その上端部が支持軸芯P1周りに機体後側から機体前側に向けて揺動付勢されながら、後述のアーム部材17の先端部17Aに当接するように構成されている。
これによると、第一連結部材102が固定されているアクセルペダル14も一体的に揺動付勢されて、上側のアイドリング姿勢側に自動復帰するように構成されている。
【0082】
図13及び
図14に示すように、アクセルレバー16は、アクセルレバー16の回動部に相当する丸棒材からなるシャフト部16Aと、シャフト部16Aに傾斜姿勢で固定されている握り部16Bとを備えて構成されている。
そして、アクセルレバー16は、機体前後方向において後傾斜姿勢となるように、シャフト部16Aの下部がアクセル用ブラケット101の上部に軸支されており、シャフト部16Aの中心軸芯P2周りに回動操作できるように構成されている。
【0083】
図13乃至
図15に示すように、アクセルレバー16のシャフト部16Aの下部には、アーム部材17が備えられている。
具体的には、アクセル用ブラケット101の上部の直上において、アーム部材17の一端部がアクセルレバー16の下部に固定されており、アーム部材17の他端部である先端部17Aが、シャフト部16Aと一体的に、中心軸芯P2周りに前後揺動するように構成されている。
【0084】
上述のように、第一連結部材102の上端部は、コイルバネ104によって揺動付勢されながらアーム部材17の先端部17Aに当接するように構成されているので、アクセルレバー16を回動操作して、アーム部材17の先端部17Aを中心軸芯P2周りに前後揺動させると、
図15に示すように、第一連結部材102の上端部をアーム部材17に当接させながら支持軸芯P1周りに前後揺動させることができる。この場合、
図15に示すように、第一連結部材102が固定されているアクセルペダル14も、第一連結部材102の上端部の前後揺動に伴って一体的に支持軸芯P1周りに上下揺動する。
つまり、アクセルレバー16は、その回動操作によって、アクセルペダル14をアイドリング姿勢と、高速側の姿勢とに亘って揺動操作可能に構成されている。
【0085】
なお、本実施形態のトラクタのアクセルレバー16には、アクセルレバー16の回動操作姿勢を保持できる操作姿勢保持機構(図示しない)が備えられており、アクセルレバー16から手を離しても、アクセルレバー16の回動操作姿勢が保持されるように構成されている。
【0086】
これによると、コイルバネ104によって揺動付勢されながらアーム部材17の先端部17Aに当接するように構成されている第一連結部材102の上端部も、その揺動位置を保持されるので、アクセルペダル14の揺動姿勢も保持される。
【0087】
そして、上記のように、操作姿勢保持機構によって、アクセルペダル14が保持されている状態から、アクセルペダル14をさらに下側に踏み込み操作することで、エンジン21の回転数を更に大きくすることができる。
この場合、第一連結部材102の上端部は、操作姿勢保持機構によって揺動状態が保持されているアーム部材17の先端部17Aから離間して、支持軸芯P1周りに後側に揺動されている。
即ち、上記状態からアクセルペダル14の踏み込み操作が解除されると、第一連結部材102の上端部は、コイルバネ104の付勢作用によってアーム部材17の先端部に当接するまで自動復帰されるので、アクセルペダル14もアイドリング姿勢側に揺動して、踏み込み操作される前の揺動姿勢に自動復帰する。
【0088】
(ウインカー用ステー)
図13及び
図14に示すように、前記支持ピラー5Bの左右の側部の、下側寄りの部分には、左右のウインカー110が左右のウインカー用ステー111を介して支持されている。
具体的には、
図12乃至
図14に示すように、左右一対のウインカー用ステー111は、板材からなり、縦向きの前面と、前記前面の上端部から機体斜め後方下向きに屈曲されている上面111Aとを備えるように形成されている。そして、左右一対のウインカー用ステー111は、支持ピラー5Bの左右の側部に、機体横外側向きに延出するように固定されており、
図3、
図12乃至
図14に示すように、左右のウインカー110が左右のウインカー用ステー111の前面の先端部に機体前向きに取り付けられている。
【0089】
上記構成によると、
図1、
図2及び
図14に示すように、左右のウインカー用ステー111は、左右のステップ5Eの機体前側上方に位置する。そして、上記のように左右のウインカー用ステー111は、
図12に示すように、機体斜め後方下向きに屈曲されている上面111Aを備えるように形成されている。
これによると、使用者は、運転座席11に座った状態でステップ5Eから足を機体前方に伸ばすことで、ウインカー用ステー111Aの上面に足を載せることができる。
つまり、ウインカー用ステー111は、使用者が足を載せることができるフットレストを兼ねている。
【0090】
図3、
図13及び
図14に示すように、一方のウインカー用ステー111(本実施形態においては機体右側)には、バックミラー112が備えられている。
具体的には、一方のウインカー用ステー111の上面の基端部側の部分には、機体上方向きに延出するブラケット113が溶接固定されている。そして、バックミラー112の裏面には、棒材からなる支持棒112Aが、機体下方向きに延出するように固定されており、支持棒112Aの下端部が前記ブラケット113に固定されている。
即ち、ウインカー用ステー111は、バックミラー112用のステーを兼ねている。
【0091】
上述のように、本実施形態のトラクタでは、ウインカー用ステー111と、バックミラー112用のステーと、フットレストとが、一つの部品として共通化されているので、部品点数を削減でき、製造コストを抑制することができる。
【0092】
〔別実施形態〕
〔1〕
本実施形態において、
図3、
図4、
図6、
図7、
図9及び
図10に示すように、凹部からなる持ち部65は、ボンネット60の前部の下部のうち、第四ボンネット部64の下端部の機体左右方向中央部に形成されているが、その形成位置は、第四ボンネット部64の下部(下端部以外も含む)、及び、左右の第三ボンネット部63の下部(下端部以外も含む)であれば、上記に限定されるものではない。
また、本実施形態において、凹部からなら持ち部65は、左右の側面65Aと後面65Bとを有するように、機体前方向き及び機体下方向きに開口するように形成されているが、使用者が手をかけられる大きさであれば、その形状は上記のように限定されるものではない。
さらに、本実施形態において、持ち部65は一つとしているが、複数形成してもよい。
【0093】
〔2〕
本実施形態において、操作レバー84の操作部84Aは、支持プレート3Fのうち、前部フレーム3の右側の第一部材3Aの機体横外側に位置し、マフラー25の排気管25Aの排気口25Bは、前部フレーム3の左側の第一部材3Aの機体横外側に位置するように構成されているが、操作レバー84の操作部84Aが、支持プレート3Fのうち、前部フレーム3の左側の第一部材3Aの機体横外側に位置し、それに合わせてロック機構80の各構成も左右逆となるように構成してもよい。
上記のように、操作レバー84の操作部84Aが、支持プレート3Fのうち、前部フレーム3の左側の第一部材3Aの機体横外側に位置するように構成する場合、マフラー25の排気管25Aの排気口25Bは、前部フレーム3の右側の第一部材3Aの機体横外側に位置するように構成する。
【0094】
〔3〕
本実施形態において、パワーステアリング装置31は、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向における機体左側寄りに位置するように、左右の前記固定用ブラケット5Fに固定されているが、機体右側寄りに位置するように固定してもよい。
この場合、パワーステアリング装置31の出力部もパワーステアリング装置31の機体右側端部に位置する。
そして、上記のように、パワーステアリング装置31が中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向における機体右側寄りに位置するように、左右の前記固定用ブラケット5Fに固定される場合、機体左右方向におけるパワーステアリング装置31と逆側方の側の前記空きスペースは、中間伝動ケース5の前端部の上方において、機体左右方向における機体左側にできるので、アクセル機構を構成するアクセルペダル14、アクセル用ブラケット101、アーム部材17、第一連結部材102及び第二連結部材103の配設位置や構成は、本実施形態とは左右逆となる。
【0095】
〔4〕
本実施形態において、バックミラー112は、機体右側のウインカー用ステー111に、支持棒112Aを介して固定されているが、機体左側のウインカー用ステー111に固定するように構成してもよい。
【0096】
〔5〕
本実施形態においては、左右の前輪8と左右の後輪9とを駆動輪とする四輪駆動仕様に構成されているが、左右の後輪9のみを駆動輪とする二輪駆動仕様に構成してもよい。