(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1〜
図5は本発明を携帯型キーボードに採用した第1の実施形態を例示する。この携帯型キーボードは入力情報を無線又は有線により携帯情報端末、その他の電子情報端末へと送信するためのものであって、
図1、
図2に示すように、偏平矩形状に形成された本体部1と、この本体部1の裏側に左右に配置された左手指用操作部群2及び右手指用操作部群3と、本体部1の表側に左右に配置された左手指用表示部群4及び右手指用表示部群5とを備えている。
【0015】
本体部1は、
図3に示すように左右両側から掌で挟んで保持可能な大きさであり、この本体部1の裏側が操作面6となり、表側が表示面7となっている。本体部1の操作面6には左手指用操作部群2と右手指用操作部群3とが設けられ、また本体部1の表示面7には左手指用操作部群2と右手指用操作部群3とに対応する左手指用表示部群4と右手指用表示部群5とが設けられている。
【0016】
左手指用操作部群2、右手指用操作部群3は間に所定の間隔をおいて左右両側に配置されており、その各操作部群2,3には、上下方向及び左右方向に所定の間隔を置いて近接する多数(複数個)の操作部8が配列されている。各操作部群2,3の操作部8は、左右の掌を本体部1の左右両側面に当てて保持した状態で、人指し指から小指までの4本の手指を動かして操作可能な範囲に配置されている。
【0017】
なお、各操作部群2,3の操作部8は、例えば本体部1の左右方向の中央側の上下方向の5個がテンキーであり、それ以外がQWERTY配列のキーとなっている。各操作部群2,3は、左右両端側の操作部8の操作時に手指を動かし易くなるように、本体部1の左右両端縁から若干離して設けることが望ましい。
【0018】
左手指用表示部群4、右手指用表示部群5の表示部9は、各操作部群2,3の操作部8と表裏に相対応する位置に配置されており、その位置で本体部1の裏側の対応する操作部8の配置位置を示すと共に、操作部8を手指で操作したときに、その操作された操作部8を示すようになっている。
【0019】
なお、操作部8、表示部9には、例えばそれらがZ用の場合に「Z」の英文字を付す等、それらに割り付けられた入力データを示す表示が付されている。
【0020】
本体部1、操作部8及び表示部9は、
図4、
図5に示すように構成されている。本体部1は二つ割り可能な表ケース体11と裏ケース体12とを表裏に結合して構成され、その両ケース体11,12間に各操作部8が組み込まれ、また各操作部8に対応してその略中央に表示部9が設けられている。
【0021】
表ケース体11の表側には光透過性を有する表シート13が、裏ケース体12の裏側には光透過性と可撓性又は弾性とを有する裏シート14が夫々装着されている。表シート13は少なくとも各表示部群4,5に対応する範囲に、裏シート14は少なくとも各操作部群2,3に対応する範囲にあればよい。
【0022】
各操作部8は2枚の電極シート15,16に蒸着その他により形成され且つ対向して配置された一対の電極17,18と、電極シート15,16間に介在され且つ一対の電極17,18間の間隔を確保する絶縁シート19と、電極17,18に対応して裏ケース体12に装着された操作体20とを備え、操作体20を裏側から押圧操作したときに一対の電極17,18が接触して電気的に導通するようになっている。
【0023】
2枚の電極シート15,16は操作部群2,3の略全体に跨がる大きさの透明シートにより構成され、また少なくとも操作体20に対応する電極シート16は弾性を有する。各電極シート15,16には電極17,18と、この電極17,18を外部回路に接続する接続線が印刷等により設けられている。電極17,18は不透明な金属膜からなり、表示部9に対応する領域を除いてリング状又は円弧状に形成されている。
【0024】
絶縁シート19には保形性を有する薄板等からなり、操作体20を操作したときに電極17,18同士が接触するように、電極17,18を含む所定範囲に対応して通孔23が形成されている。操作体20は裏側へと突出して裏ケース体12の開口21に嵌合されると共に、電極シート16の弾性力により裏側へと付勢されており、電極シート16の弾性力に抗して裏側から押圧操作するようになっている。裏シート14には、操作体20に沿って操作用突部22が設けられている。
【0025】
なお、電極シート15,16は両操作部群2,3に跨がって一体に設けてもよいし、各操作部群2,3毎に別々に設けてもよい。また電極17,18が光透過性を有する蒸着膜等の場合には、電極17,18は各操作部8で交差するように縦横のマトリクス状に設けてもよい。電極シート15,16、絶縁シート19は、外周部及び中間部の適当位置で表ケース体11と裏ケース体12とにより両側から挟持されている。
【0026】
各表示部9は操作部8の略中央を経て本体部1の表裏方向に透視可能に設けられた透視窓24を有し、本体部1の裏側の操作体20を手指で操作したときに、その手指による操作を本体部1の表側から目視により確認できるようになっている。透視窓24は表ケース体11に形成された透視孔25と、操作体20に形成された透視孔26と、透明な電極シート15,16、表シート13及び裏シート14を経て透視するようになっている。
【0027】
なお、電極シート15,16に各透視窓24に対応して開口を形成する場合には、電極シート15,16は光透過性のないシートを使用してもよい。表シート13、裏シート14の内面には、各透視窓24を除く領域に不透明なインク、金属メッキ等の遮蔽膜が形成されている。
【0028】
本体部1の表側には、その左手指用表示部群4、右手指用表示部群5の下側に左親指用操作部群2A、右親指用操作部群3Aが設けられており、その操作部群2A,3Aにシフトキー、その他の所定の操作部8Aが複数個配置されている。また本体部1の上面側は前下りの傾斜面1Aとなっており、その傾斜面1Aにはファンクションキー等の左手指用、右手指用の操作部8Bが左右方向に一列状に配置されている。更に本体部1の左右両側面にはタブキー、エンターキー等の操作部8Cが配置されている。なお、本体部1の表側にカーソルキー等その他の操作部を設けてもよい。
【0029】
この携帯型キーボードでは、
図3に示すように、左右の両手の掌を本体部1の両側に当てた状態で本体部1を保持し、左右の手指、特に人指し指から小指の4本の指を動かしながら、その手指により本体部1の裏側の左手指用操作部群2、右手指用操作部群3の各操作部8を押圧操作して順次データを入力する。なお、各操作部8の操作により入力された入力データは無線又は有線を介して電子端末に送信されて行く。
【0030】
このようにすれば、左右両手の4本の手指を使いながら入力できるので、入力速度の高速化を図ることができる。各操作部8の操作に際しては、手指により裏シート14の操作用突部22を介して操作体20を裏側から押圧すると、この操作体20の移動により電極シート16が弾性変形して一対の電極17,18が接触し、その操作部8に割り付けられたデータが入力される。
【0031】
一方、各操作部8の操作に際して手指が操作用突部22を押圧するまでは、透視窓24の裏側が塞がれていないので、本体部1の表側から見れば透視窓24を経て裏側の光を透視できる。そして、操作部8に手指が接近して透視窓24の透視領域に入れば、透視窓24を経て手指の接近を視認できる。続いて手指が操作用突部22に接触して操作体20を押圧操作すると、透視窓24の透視領域が塞がれるため、裏面側からの光が遮光されて透視窓24内が暗くなる。
【0032】
従って、表示部9は透視窓24を経て手指の接近及び/又は透視窓24内の暗転により、それに対応する操作部8が操作されたことを表示することができる。なお、表示部9は透視窓24が暗転する大きさであれば十分であり、必ずしも操作部8に接近する手指を透視できる大きさである必要はない。
【0033】
このように構成することによって、本体部1の裏面側にある操作対象の操作部8の位置を表側の表示部9の位置で把握できるだけでなく、その表示部9の暗転等の表示により、目的とする操作対象の操作部8が操作された事実を容易且つ確実に把握することができる。そのため習熟度の低い操作者でも、目的とする操作部8を容易に操作でき、ブラインドタッチ等の練習を容易に行うことができる。
【0034】
また表示部9は操作部8の略中央に設けられた透視窓24を経て表側から裏側を透視可能になっているため、その表示によって裏側で操作された操作部8を容易に特定することができる。更に表示部9は各操作部8毎にその略中央に透視窓24を設けるだけでよいので、構造的にも簡単であり、容易且つ安価に製作することができる利点がある。
【0035】
しかも、表ケース体11、操作体20に透視孔25,26を形成して表示部9を構成しているが、表側は表シート13により、裏側は裏シート14により夫々塞いでいるため、その透視孔25,26から内部にゴミその他のものが侵入する等の惧れもない。なお、透視窓24は本体部1の表裏両側に貫通する貫通孔により構成してもよい。
【0036】
図6は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態では、表ケース体11は透明な合成樹脂材により構成され、表示部9を除く領域に金属メッキ等の遮蔽膜28が形成されている。裏ケース体12にも金属メッキ等の遮蔽膜29が形成されている。なお、遮蔽膜28,29は各ケース体11,12の表面又は裏面の何れに設けてもよい。また裏ケース体12の開口21に嵌合する操作体20は、透明な合成樹脂材料により構成されており、この操作体20の表示部9に対応する部分にレンズ30が設けられている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0037】
このように表ケース体11、操作体20に透明な合成樹脂材を使用することにより、第1の実施形態のように表ケース体11、操作体20に透視孔25,26を設ける必要がないので、表シート13、裏シート14を省略することができるか、また表ケース体11、操作体20に透視孔25,26を設ける必要がないため、表示部9の表示領域を大きく採ることも可能であり、しかも操作体20にレンズ30を設けることにより、手指が操作体20に接触する直前にそれを拡大して把握することも可能である。なお、レンズ30は省略してもよい。
【0038】
図7〜
図9は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態では、操作部8の中心部を除く周辺部分、例えば操作部8の外周近傍に周方向に複数個の透視窓24が設けられ、この複数個の透視窓24により、その操作部8に対応する表示部9が構成されている。なお、透視窓24はC字状に構成する等により、周方向に1個設けてもよい。
【0039】
操作部8は電極シート15,16にマトリクス状に設けられた透明な一対の電極17,18を有し、その電極シート15,16間に絶縁シート19が介在されている。裏シート14は弾性を有し、裏シート14には裏ケース体12の開口21内に配置された操作突起33が装着されている。
【0040】
表ケース体11には、一対の電極17,18に対応する部分で電極シート15を受ける受け部34と、この受け部34の外周に形成された複数個の透視孔25とが設けられている。そして、表ケース体11の透視窓24、透明な電極シート15,16及び裏シート14、裏ケース体12の開口21等により、操作部8の外周近傍の表示部9が構成されている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0041】
操作部8を操作する際には、裏シート14の操作部8に対応する部分を押圧する。すると操作突起33を介して電極シート16が押圧されて一対の電極17,18同士が接触する。従って、第1の実施形態と同様に使用することができる。また表示部9は操作部8の外周近傍に複数個の透視窓24があるため、その透視窓24全体の透視領域を広くできる。そのため例えば透視窓24の一部領域が手指により塞がれても他の領域から光が入るので、透視窓24内の暗転で操作部8の操作を把握する他、操作部8に接近する手指、又は操作部8を押圧した状態にある手指を直接視認して把握することもできる。
【0042】
図10は本発明の第4の実施形態を例示する。この実施形態では裏ケース体12内に、操作突起33を有する透明な弾性シート36が設けられ、裏ケース体12の開口21に透明な操作体20が嵌合されている。他の構成は第2の実施形態と略同様である。
【0043】
この場合には、操作体20を押圧すると、弾性シート36の操作突起33を介して電極シート16が押圧され一対の電極17,18が導通する。このような構成の操作部8の場合でも、表ケース体11、操作体20、弾性シート36、電極シート15,16等により表示部9を構成することができる。
【0044】
図11は本発明の第5の実施形態を例示する。この実施形態では、操作部8の操作体20は裏ケース体12の開口21に嵌合され、また一対の電極17,18は表ケース体11と操作体20とに対向して設けられている。操作体20は表ケース体11との間に介在されたバネ37により、電極17,18の離間方向に付勢されている。表示部9は透視窓式であって、表ケース体11に設けられた透視孔25と、操作体20に設けられた透視孔26と、透明な表シート13及び裏シート14とにより構成されている。他の構成は各実施形態と同様である。
【0045】
このように表ケース体11と裏ケース体12との間に操作部8を設け、その操作部8の略中央に透視窓式の表示部9を設けてもよい。
【0046】
図12は本発明の第6の実施形態を例示する。この実施形態では、表ケース体11と裏ケース体12との間にプリント基板38が介在され、このプリント基板38の裏面側に、裏ケース体12の開口21から裏側に突出し且つ裏シート14を介して押圧操作可能なスイッチ39が装着され、前面側にLED等の発光手段40が装着されている。そして、スイッチ39により操作部8が構成され、発光手段40と表シート13とにより表示部9が構成されている。
【0047】
なお、本体部1の適当箇所に、電源スイッチの他、表示部9で操作部8の操作の有無を表示するか否かを選択する選択スイッチ(図示省略)が設けられており、この選択スイッチにより表示、非表示の何れかを選択できるようになっている。発光手段40が指向性の強いLED等の場合には、表シート13の裏側に発光手段40からの光を拡散する拡散板を設けてもよい。
【0048】
この場合には、本体部1の裏面側の操作部8を操作すると、そのスイッチ39がオンして、表示部9を構成する発光手段40が発光するため、発光手段40の発光によって操作部8の操作を表示することが可能できる。従って、表示部9は第1〜第5の実施形態に例示するような透視式である必要はない。
【0049】
図13、
図14は本発明の第7の実施形態を例示する。この実施形態では、
図13に示すように、本体部1の裏側には左手指用操作部群2、右手指用操作部群3を構成するタッチパネル42が設けられ、また本体部1の表側には左右の各表示部群4,5を構成する液晶式その他の表示パネル43が設けられている。タッチパネル42には縦横に所定の間隔を置いて多数の操作部8が設けられている。表示パネル43には各操作部8に対応する表示部9が設けられている。なお、タッチパネル42、表示パネル43は左右で別々に設けてもよい。
【0050】
タッチパネル42の各操作部群2,3の操作部8のタッチスイッチは、
図14に示すように入力部45に接続されると共に、変換部46を介して表示パネル43の各表示部群4,5の表示部9に接続されており、タッチパネル42の何れかの操作部8を操作したときに、その操作部8に対応する表示パネル43の表示部9が発光して表示するようになっている。表示パネル43は選択スイッチ47により表示、非表示を選択可能である。
【0051】
このように本体部1の裏側の操作部群にタッチパネル42を、表側の表示部群4,5に液晶パネル等の表示パネル43を夫々用いてもよい。
【0052】
図15、
図16は本発明の第8の実施形態を例示する。この実施形態では、本体部1の裏側には、
図16に示すように、左手指用操作部群2、右手指用操作部群3に分けて各操作部8が設けられ、その各操作部8は0〜9の表示、QWERTYの表示からも判るように縦列に配置されている。
【0053】
本体部1の表側には、
図15に示すように、その上部側に左手指用表示部群4、右手指用表示部群5が左右に連続して配置されている。各表示部群4,5は液晶パネル等の表示パネル43により構成され、各操作部8に対応する各表示部9は左右方向に配列されている。なお、本体部1の表側の下部側にはカーソル用その他の操作部を設けてもよい。
【0054】
この場合には、左手指用操作部群2、右手指用操作部群3の各操作部8が縦列であるのに対して、左手指用表示部群4、右手指用表示部群5の各表示部9が横列となっており、操作部8と表示部9は位置的には対応していない。
【0055】
しかし、操作部8を操作すれば、その操作部8に対応する表示部9が発光等により操作を表示するため、操作した操作部8が何であるかを把握することができる。従って、操作部8と表示部9は必ずしも位置的に対応させる必要はない。
【0056】
なお、この実施形態では、左手指用表示部群4と右手指用表示部群5とを表示パネル43に左右方向に連続状に設けているが、左手指用操作部群2と右手指用操作部群3とに対応して左手指用表示部群4と右手指用表示部群5とを左右に分離して設けてもよい。
【0057】
図17、
図18は本発明の第9の実施形態を例示する。この実施形態は、携帯電子端末の入力部に採用したものである。携帯電子端末は第1本体部1Bとこの第1本体部1Bにヒンジ49により開閉自在に枢着された第2本体部1Cとを有する。第1本体部1Bの裏側に各実施形態と同様に左手指用操作部群2と右手指用操作部群3とが設けられ、また表側には親指で操作可能な操作部群2A,3Aが左右に設けられている。
【0058】
第2本体部1には開状態のときの表側に液晶等の表示パネル43が設けられており、この表示パネル43は、選択スイッチ47等の操作による選択に従って、各操作部群2,3の各操作部8に対応する表示部9を有する表示部群4,5と、その他の通信画像等の各種画像とを選択的に表示するようになっている。
【0059】
このように第1本体部1Bと第2本体部1Cとを開閉可能に備えた携帯電子端末においても、その入力用として採用することが可能である。従って、キーボード自体である必要はなく、携帯電子端末、携帯電話その他のものを採用することもできる。また多数の操作部8A,8Bを有する操作部群と、その各操作部8に対応する多数の表示部群4,5とを本体部1の表裏に設けるに当たって、その本体部1は共通のものである必要はない。
【0060】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明はこの各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各操作部群2,3の操作部8の配列は、QWERTZ配列等、QWERTY配列以外のものでもよい。また操作部8は、それに対応する電子信号を出力できるものであればよく、特定のスイッチの構造、形式に限定されるものではない。
【0061】
更に表示部群4,5の表示部9は透過式の他、発光式その他のものを採用してもよい。例えば、表示部9に可動部をを設けて、本体部1の裏側から操作部8を操作したときに、対応する表示部9の可動部が動いて操作の事実を表示するようにしてもよい。
【0062】
また実施形態では、本体部1を両手で保持して左右の手指により操作部8を操作する場合を例示しているが、本体部1を両手で保持して左右何れか一方の手指により操作部8を操作するようにしてもよいし、本体部1を片手で保持して、操作部8を片手の手指により操作するものでもよい。例えば片手式の場合には本体部1に保持孔を設けて、その保持孔に通した親指と掌等で本体部1を保持しておき、その手の手指により操作部8を操作するようにしてもよい。