(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
他部材と当接する複数の当接面を有する裏壁と、前記裏壁と間隔をおいて対向する表壁と、を有し、且つ、前記表壁の肉厚は前記裏壁の肉厚よりも薄肉であり、且つ、前記表壁が略フラットである樹脂製パネルを、一対の分割金型を用いて成形する成形方法であって、
一方の分割金型のキャビティには、他方の分割金型に向かって突出する複数の長方形状の突出部が設けられており、前記一方の分割金型側に、前記裏壁を構成する第1の溶融樹脂シートが位置し、前記他方の分割金型側に、前記表壁を構成する第2の溶融樹脂シートが位置し、且つ、前記表壁の肉厚が前記裏壁の肉厚よりも薄肉となるように前記第2の溶融樹脂シートの肉厚を前記第1の溶融樹脂シートの肉厚よりも薄肉にして、前記第1の溶融樹脂シートと前記第2の溶融樹脂シートとを押し出す押出工程と、
前記第1の溶融樹脂シートを前記一方の分割金型のキャビティに沿った形状に賦形し、
前記第1の溶融樹脂シートを前記突出部に沿った形状に引き伸ばして長方形状のリブを形成する賦形工程と、
一対の分割金型を型締めして、前記裏壁を構成する前記第1の溶融樹脂シートと、前記表壁を構成する前記第2の溶融樹脂シートと、の周縁同士を溶着すると共に、前記第1の溶融樹脂シートに形成した前記リブの先端を前記第2の溶融樹脂シートに溶着し、前記樹脂製パネルを成形する型締工程と、を有し、
前記リブは、前記表壁との溶着面が平坦状であり、
前記突出部の頂部は、平坦状であり、
前記押出工程は、前記型締工程で成形される前記樹脂製パネルにおいて、前記表壁の平均肉厚が1.2mm以下となり、前記裏壁の平均肉厚が1.1mm以上1.7mm以下となるように、前記第1の溶融樹脂シートと前記第2の溶融樹脂シートとを押し出す、
ことを特徴とする成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本実施形態の樹脂製パネル1の概要>
まず、
図1、
図2、
図6、
図9を参照しながら、本実施形態の樹脂製パネル1の概要について説明する。
図1は、本実施形態の樹脂製パネル1の構成例を示し、
図2は、
図1に示す樹脂製パネル1を成形する成形装置60の構成例を示し、
図6、
図9は、樹脂製パネル1の成形工程の一部を示す。
【0018】
本実施形態の樹脂製パネル1は、
図1に示すように、他部材(図示せず)と当接する複数の当接面31を有する裏壁3と、裏壁3と間隔をおいて対向する表壁2と、を有する樹脂製パネル1である。
【0019】
本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3の一部を表壁2に向けて窪ませて表壁2の内面に溶着した複数のリブ3aを有しており、表壁2の肉厚は、裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉である。また、表壁2は、裏壁3よりも軽くなっている。
【0020】
本実施形態の樹脂製パネル1は、例えば、
図2に示す成形装置60を用いて成形することができる。
図2に示す成形装置60を構成する型締装置14は、一方の分割金型32Bのキャビティ116Bに、他方の分割金型32Aに向かって突出する複数の突出部33が設けられている。この突出部33で
図1に示すリブ3aを形成する。
【0021】
本実施形態の樹脂製パネル1を成形する場合は、まず、
図2に示すように、分割金型32B側に、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1が位置し、分割金型32A側に、表壁2を構成する第2の溶融樹脂シートP2が位置し、且つ、第2の溶融樹脂シートP2の肉厚を第1の溶融樹脂シートP1の肉厚よりも薄肉にして、第1の溶融樹脂シートP1と第2の溶融樹脂シートP2とを押出装置12から押し出す。このため、裏壁3と表壁2とを同一の樹脂で構成する場合は、最終的に成形される樹脂製パネル1の表壁2は、裏壁3よりも軽くなる。
【0022】
次に、
図6に示すように、第1の溶融樹脂シートP1を分割金型32Bのキャビティ116Bに沿った形状に賦形し、第1の溶融樹脂シートP1を突出部33に沿った形状に引き伸ばしてリブ3aを形成する。これにより、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1にリブ3aが形成される。
【0023】
次に、
図9に示すように、一対の分割金型32を型締めして、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1と、表壁2を構成する第2の溶融樹脂シートP2と、の周縁同士を溶着すると共に、第1の溶融樹脂シートP1に形成したリブ3aの先端を第2の溶融樹脂シートP2に溶着する。これにより、
図1に示す樹脂製パネル1を成形することができる。
【0024】
本実施形態の樹脂製パネル1は、表壁2の肉厚が裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉であり、また、表壁2は裏壁3より軽いため、例えば、樹脂製パネル1の平均肉厚(表壁2の平均肉厚と裏壁3の平均肉厚との平均値)を1.5mm未満にし、樹脂製パネル1の軽量化を図ることができると共に、裏壁3の当接面31を変形し難く割れ難くすることができる。
【0025】
例えば、特許文献2のラゲッジボードである樹脂製パネルは、裏壁側にインナーリブと丸リブとを形成し薄肉部が発生するため、ラゲッジボードの裏壁側を他部材上に載置して使用する際に、他部材と当接する裏壁の当接面が変形し易く割れ易くなる。このため、当接面を変形し難く割れ難くするためには、裏壁側に発生する薄肉部に合わせて円筒パリソンの厚みを厚く設定する必要がある。しかし、裏壁側に発生する薄肉部に合わせて円筒パリソンの厚みを厚く設定した場合は、表壁側にはリブを形成しないため、表壁側には余分な厚みが発生すると共に、表壁側を無駄に重くすることになる。その結果、特許文献2で得られるラゲッジボードの樹脂壁の平均肉厚は1.5mmが限界となる。
【0026】
これに対し、本実施形態の樹脂製パネル1は、最終的に成形される
図1に示す樹脂製パネル1において、表壁2の肉厚が裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉となるように、また、表壁2が裏壁3よりも軽くなるように、表壁2を構成する第2の溶融樹脂シートP2の肉厚を、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1の肉厚よりも薄肉にして押し出して成形することで、樹脂製パネル1の壁部の平均肉厚を1.5mm未満にすることができる。その結果、樹脂製パネル1の軽量化を図ることができると共に、裏壁3の当接面31を変形し難く割れ難くすることができる。従って、樹脂製パネル1の強度を落とすことなく、効果的に樹脂製パネル1の軽量化を図ると共に、他部材と当接する裏壁3の当接面31が変形し難く割れ難い樹脂製パネル1を得ることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の樹脂製パネル1について詳細に説明する。
【0027】
<樹脂製パネル1の構成例>
まず、
図1を参照しながら、本実施形態の樹脂製パネル1の構成例について説明する。
図1は、樹脂製パネル1の構成例を示す図であり、
図1(a)は、樹脂製パネル1の全体斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示す樹脂製パネル1の上面図であり、
図1(c)は、
図1(a),(b)に示す樹脂製パネル1のA-A'断面図であり、
図1(d)は、
図1(a),(b)に示す樹脂製パネル1のB-B'断面図である。
【0028】
本実施形態の樹脂製パネル1は、
図1(a)に示すように、表壁2と裏壁3と周囲壁4と補強材ユニット5とを有して構成する。本実施形態の樹脂製パネル1は、
図1(c),(d)に示すように、表壁2と裏壁3とが所定の間隔をおいて対向し、表壁2と裏壁3との周囲を周囲壁4で繋いでいる。また、表壁2と裏壁3との間に中空部6を有し、補強材ユニット5は、表壁2と裏壁3との間に配置している。
【0029】
また、本実施形態の樹脂製パネル1は、
図1(a)に示すように、表壁2の表面に装飾などのための化粧部材7が貼着されており、
図1(c),(d)に示すように、裏壁3、表壁2、化粧部材7で積層構造を構成している。なお、化粧部材7を貼着しないようにすることも可能である。
【0030】
また、本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3に当接面31を有し、その当接面31を掛け渡すように補強材ユニット5の端部が当接面31上に配置される。当接面31は、例えば、自動車内の別部材上に樹脂製パネル1を載置する際にその別部材と接する部分であり、この当接面31が別部材と当接し、樹脂製パネル1を別部材上に載置する。このため、当接面31を掛け渡すように補強材ユニット5を配置することで、樹脂製パネル1の強度を向上させることができる。また、補強材ユニット5の長手方向と直交する方向に対する強度を向上させることができる。なお、当接面31の形状や位置は、
図1(a),(b)に示す平坦形状や位置に限定せず、樹脂製パネル1を別部材上に載置する際の樹脂製パネル1と別部材との当接関係に応じて任意に変更することが可能である。
【0031】
また、本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3の一部を表壁2に向けて窪ませて表壁2の内面に溶着した複数のリブ3aを有して構成し、樹脂製パネル1の剛性および強度を向上させることにしている。本実施形態のリブ3aは、有底であり、リブ3aの底部が表壁2の内面に溶着している。なお、リブ3aの形状は、特に限定せず、樹脂製パネル1の仕様に応じて任意の形状で構成することが可能である。リブ3aの形状としては、例えば、楕円形状、四角形状、多角形状など任意の形状で構成することが可能である。また、
図1では、リブ3aとして、スリットリブを設けることにしたが、インナーリブを設けることも可能である。また、リブ3aの数も特に限定せず、樹脂製パネル1の形状に応じて任意の数のリブ3aを設けることが可能である。なお、
図1に示す樹脂製パネル1は、補強材ユニット5の長手方向に対して非平行な長方形状のリブ3aを設けている。これにより、補強材ユニット5の長手方向と平行な方向に対する強度を向上させることができる。
【0032】
本実施形態の樹脂製パネル1は、樹脂製パネル1の軽量化を図りつつ、当接面31を有する裏壁3に複数のリブ3aを形成している。このため、裏壁3の当接面31を変形し難く割れ難くするために、裏壁3の平均肉厚を1.1mm以上1.7mm以下の範囲で構成している。また、表壁2は、裏壁3のようにリブ3aを形成しないため、表壁2の平均肉厚を0.7mm以上1.2mm以下の範囲で構成している。これにより、樹脂製パネル1の軽量化を図ると共に、他部材と当接する裏壁3の当接面31が変形し難く割れ難い樹脂製パネル1を得ることができる。
【0033】
例えば、裏壁3の平均肉厚を1.1mm未満で構成すると、リブ3aが形成される部分は更に薄肉になるため、ピンホールが発生し易くなったり、また、当接面31が変形し易くなったり割れ易くなったりしてしまう。このため、裏壁3の平均肉厚を1.1mm以上で構成している。また、裏壁3の平均肉厚を1.7mmより厚く構成すると、無駄に厚くなり、樹脂製パネル1の軽量化を図ることが困難になる。また、裏壁3と表壁2との肉厚差が大きくなり、裏壁3と表壁2との間の距離が変化し、当接面31が変形し易くなってしまう。このため、裏壁3の平均肉厚を1.1mm以上1.7mm以下の範囲で構成している。また、表壁2も裏壁3とほぼ同様な理由で表壁2の平均肉厚を0.7mm以上1.2mm以下の範囲で構成している。これにより、樹脂製パネル1の軽量化を図ると共に、他部材と当接する裏壁3の当接面31が変形し難く割れ難い樹脂製パネル1を得ることができる。なお、本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3の平均肉厚を1.1mm以上1.7mm以下の範囲で構成し、表壁2の平均肉厚を0.7mm以上1.2mm以下の範囲で構成することで、化粧部材7がない状態での成形品重量を2.5〜4.2kg/m
2にし、樹脂製パネル1の軽量化を図ることを可能にすると共に、裏壁3の当接面31を変形し難く割れ難くさせることを可能にしている。但し、成形品重量は、表壁2が裏壁3よりも軽くなっている。
【0034】
なお、本実施形態において、表壁2、裏壁3の平均肉厚とは、表壁2および裏壁3の長手方向に沿って略等間隔に設定された少なくとも10箇所(但し、リブ3aが形成されていない
図1(b)に示すa1〜a10の10箇所)で測定された肉厚の平均値を意味する。例えば、
図1に示す樹脂製パネル1の構成例の場合は、
図1(b)に示すように、表壁2においてリブ3aが設けられていない各部位a1〜a10の10箇所で測定された肉厚の平均値である。裏壁3は、表壁2で測定した各部位a1〜a10と対向する位置の各部位で測定された肉厚の平均値である。
【0035】
また、表壁2と裏壁3とは、後述する樹脂シートP1,P2を用いて構成する。表壁2と裏壁3とを構成する樹脂シートP1,P2の材料は特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリング・プラスチックおよびこれらをブレンドした混合樹脂などが好適であり、また、適宜にガラス繊維、カーボンファイバ、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの充填材を添加することができる。また、表壁2と裏壁3とは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生するのを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
また、化粧部材7を構成する材料も特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維およびこれらのブレンドからなる繊維を加工して得られる編物、織物、不織布、または、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)または熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPO)などの熱可塑性エラストマ(TPE)、ポリエチレンポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる樹脂シートおよびこれらの積層シートから適宜選択可能である。
【0037】
また、補強材ユニット5を構成する材料も特に限定せず、公知の材料が適用可能である。例えば、金属製(アルミ等)、あるいは、硬質のプラスチック製が適用可能である。また、補強材ユニット5の形状も
図1に示す形状に限定せず、任意の形状で構成することが可能である。例えば、筒形状、C型、コの字型等の形状で構成することも可能である。但し、本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3にリブ3aを形成するため、リブ3aが形成されていない箇所に補強材ユニット5を配置する必要がある。
【0038】
<樹脂製パネル1の成形方法例>
次に、
図2〜
図10を参照しながら、本実施形態の樹脂製パネル1の成形方法例について説明する。
図2は、樹脂製パネル1を成形する成形装置60の構成例を示し、
図3〜
図10は、樹脂製パネル1を成形する工程例を示す図であり、
図2に示す押出装置12のTダイ28側から樹脂シートPと分割金型32とを見た状態を示す。
【0039】
本実施形態の樹脂製パネル1は、
図2に示す成形装置60を用いて成形することができる。
図2に示す成形装置60は、押出装置12と、型締装置14と、を有し、押出装置12から押し出された溶融状態の樹脂シートP1,P2を型締装置14に送り、型締装置14で樹脂シートP1,P2をブロー成形し、
図1に示す樹脂製パネル1を成形する。樹脂シートP1は、裏壁3を構成し、樹脂シートP2は、表壁2を構成する。
【0040】
本実施形態の樹脂製パネル1は、裏壁3にリブ3aが形成されるため、
図2〜
図10に示すように、リブ3aを形成するための突出部33が裏壁3側を成形する一方の分割金型32Bのキャビティ116Bに複数設けられている。突出部33は、裏壁3に形成されるリブ3aに応じた形状で構成し、表壁2側を構成する他方の分割金型32Aに向かって突出するようにキャビティ116Bに設けられる。
図2に示す突出部33は、
図1に示す樹脂製パネル1の長手方向のリブ3aを形成するものであり、
図3〜
図10に示す突出部33は、
図1に示す樹脂製パネル1の短手方向のリブ3aを形成するものである。
【0041】
また、本実施形態の樹脂製パネル1は、表壁2よりも裏壁3の肉厚を相対的に厚くして構成するため、表壁2を構成する樹脂シートP2よりも裏壁3を構成する樹脂シートP1の肉厚を厚くしている。以下、本実施形態の樹脂製パネル1の成形方法例について詳細に説明する。
【0042】
図1に示すように、表壁2の表面に化粧部材7を設ける場合は、
図3に示すように、シート状の化粧部材7を、分割金型32Aに設けた仮止ピン(図示せず)により、分割金型32Aのキャビティ116Aを覆うように仮止めする。
【0043】
次に、
図2に示すように、樹脂シートP1,P2を押出装置12のTダイ28から押し出し、その押し出した樹脂シートP1,P2を一対のローラ30を通過させて樹脂シートP1,P2の肉厚を調整し、一対の分割金型32の間に垂下させる。
【0044】
押出装置12の押出の能力は、成形する樹脂製パネル1の大きさ、樹脂シートP1,P2のドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリットからの樹脂シートP1,P2の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは、700kg/時以上である。また、樹脂シートP1,P2のドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、樹脂シートP1,P2の押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値、MT値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは、10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、押出スリットからの単位面積、単位時間当たりの樹脂シートP1,P2の押出量は、50kg/時cm
2以上、より好ましくは、150kg/時cm
2以上である。
【0045】
本実施形態の押出装置12は、表壁2の肉厚が裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉となるように、また、表壁2が裏壁3よりも軽くなるように、表壁2を構成する第2の溶融樹脂シートP2の肉厚を、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1の肉厚よりも薄肉にして押し出す。例えば、表壁2を構成する樹脂シートP2の肉厚は、最終成形品の樹脂製パネル1の表壁2の平均肉厚が0.7mm以上1.2mm以下の範囲となるように調整する。また、裏壁3を構成する樹脂シートP1は、最終成形品の樹脂製パネル1の裏壁3の平均肉厚が1.1mm以上1.7mm以下の範囲となるように調整する。樹脂シートP1,P2の肉厚は、押出スリットの間隔、ローラ30の間隔、ローラ30の回転速度を調整することで変更することができる。
【0046】
但し、樹脂シートP1,P2は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で分割金型32への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。例えば、樹脂シートP1,P2は、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは、0.3〜1.5g/10分のもの、または、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは、30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻取速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0047】
また、樹脂シートP1,P2には衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものがよい。
【0048】
更に、樹脂シートP1,P2には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0049】
本実施形態の成形装置60は、一対のローラ30の回転により一対のローラ30間に挟み込まれた樹脂シートP1,P2を下方に送り出すことで、樹脂シートP1,P2を延伸薄肉化することが可能であり、樹脂シートP1,P2の押出速度と、樹脂シートP1,P2が一対のローラ30により下方に送り出される送出速度と、の相対速度差を、一対のローラ30の回転速度で調整することで、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能である。このため、樹脂の種類、特に、MFR値およびMT値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることができる。
【0050】
本実施形態の成形装置60は、樹脂シートP1,P2を分割金型32の間に配置し、枠部材駆動装置(図示せず)により枠部材128を対応する樹脂シートP1,P2に向けて移動し、
図4に示すように、枠部材128を樹脂シートP1,P2に当接し、樹脂シートP1,P2を枠部材128で保持する。枠部材128は、開口130を有しており、枠部材128で樹脂シートP1,P2を保持する。
【0051】
次に、枠部材128を分割金型32に向けて移動し、
図5に示すように、分割金型32のピンチオフ部118に樹脂シートP1,P2を当接し、樹脂シートP1,P2、ピンチオフ部118、キャビティ116により密閉空間117を形成する。また、マニピュレータ(図示せず)の吸着盤119で保持された補強材ユニット5(
図1参照)を、
図5に示すように分割金型32の間に挿入する。なお、
図5に示す補強材ユニット5は、
図1(c)に示す補強材ユニット5を示す。補強材ユニット5を吸着盤119で保持する位置は特に限定せず、任意の位置で保持することが可能である。
【0052】
次に、分割金型32Bを通じて密閉空間117B内を吸引し、裏壁3を構成する樹脂シートP1をキャビティ116Bに対して押圧し、
図6に示すように、裏壁3を構成する樹脂シートP1をキャビティ116Bの凹凸表面に沿った形状に賦形する。本実施形態の分割金型32Bの内部には、真空吸引室(図示せず)が設けられており、真空吸引室は、吸引穴を介してキャビティ116Bに連通し、真空吸引室から吸引穴を介して吸引することにより、樹脂シートP1をキャビティ116Bに向かって吸着させ、樹脂シートP1をキャビティ116Bの外表面に沿った形状に賦形している。また、キャビティ116Bの外表面に設けた突出部33により、樹脂シートP1の外表面にリブ3aを形成している。これにより、樹脂シートP1に複数のリブ3aが形成される。
【0053】
また、マニピュレータを分割金型32Bに向けて移動し、
図7に示すように、分割金型32Bのキャビティ116Bに吸着された樹脂シートP1に補強材ユニット5を押し付け、補強材ユニット5を樹脂シートP1に貼り付ける。この時、補強材ユニット5の両端が裏壁3の当接面31(
図1参照)上に位置するように補強材ユニット5を樹脂シートP1に貼り付ける。
【0054】
本実施形態の樹脂シートP1,P2は、フィラーを含んでおり、フィラーとしては、無機または有機フィラーが挙げられ、補強効果を得る観点から、繊維状のフィラーとしては、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、炭素繊維などが挙げられ、板状のフィラーとしては、タルク、マイカ、モンモリロナイトなどが挙げられ、粒状のフィラーとしては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。針状のフィラーとしては、マグネシウムなどが挙げられる。炭酸カルシウムは、曲げ弾性率、曲げ強さ、熱変形温度、寸法安定性などの補強効果を得ることができる。また、タルク、モンモリロナイトは、曲げ弾性率、曲げ強さ、熱変形温度、寸法安定性などの補強効果を得ることができる。マイカは、曲げ弾性率、曲げ強さ、熱変形温度、寸法安定性、圧縮強さなどの補強効果を得ることができる。ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、炭素繊維は、曲げ弾性率、曲げ強さ、引張り弾性率、熱変形温度、寸法安定性、圧縮強さなどの補強効果を得ることができる。このため、補強効果を得る観点から繊維状のフィラーを用いることが好ましい。
【0055】
繊維状のフィラーは、例えば、繊維長0.2〜0.5mmの短繊維、繊維長3〜12mmの長繊維を用いることができる。なお、繊維状のフィラーを用いる場合は、繊維状のフィラーは、樹脂シートP1,P2の押出方向に配向することになるが、補強材ユニット5と同一方向に繊維状のフィラーを配向させるように樹脂シートP1,P2を押し出すことが好ましい。これにより、繊維状のフィラーを配向と同一方向の補強材ユニット5を軽量化することができる。
【0056】
次に、吸着盤119を補強材ユニット5から脱着し、マニピュレータを2つの分割金型32の間から引き抜くと共に、表壁2を構成する樹脂シートP2をキャビティ116Aに対して押圧し、
図8に示すように、樹脂シートP2をキャビティ116Aに沿った形状に賦形する。なお、本実施形態の分割金型32Aの内部にも、真空吸引室(図示せず)が設けられており、真空吸引室は、吸引穴を介してキャビティ116Aに連通し、真空吸引室から吸引穴を介して吸引することにより、樹脂シートP2をキャビティ116Aに向かって吸着させ、樹脂シートP2をキャビティ116Aの外表面に沿った形状に賦形している。
【0057】
次に、金型駆動装置により2つの分割金型32を型締めし、
図9に示すように、分割金型32Aのキャビティ116Aに吸着された樹脂シートP2に補強材ユニット5およびリブ3aを押し付け、補強材ユニット5およびリブ3aを樹脂シートP2に貼り付ける。また、2枚の樹脂シートP1,P2同士の周辺が溶着されパーティングラインPLが形成される。
【0058】
なお、本実施形態では、分割金型32で型締めし、補強材ユニット5と樹脂シートP1,P2とが一体化した樹脂製パネル1を成形する際は、分割金型32により補強材ユニット5と樹脂シートP1,P2とを圧縮することが好ましい。これにより、補強材ユニット5と樹脂シートP1,P2との接着強度を更に向上させることができる。
【0059】
以上の工程により、補強材ユニット5を溶融状態の樹脂シートP1,P2で挟み込んで成形した樹脂製パネル1が完成する。
【0060】
次に、
図10に示すように、2つの分割金型32を型開きし、完成した樹脂製パネル1からキャビティ116を離間させ、パーティングラインPLの周りに形成されたバリを除去する。以上で、
図1に示す樹脂製パネル1の成形が完了する。
【0061】
<本実施形態の樹脂製パネル1の作用・効果>
このように、本実施形態の樹脂製パネル1を成形する場合は、まず、
図2に示すように、最終的に成形される
図1に示す樹脂製パネル1において、表壁2の肉厚は、裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉となるように、また、表壁2が裏壁3よりも軽くなるように、表壁2を構成する第2の溶融樹脂シートP2の肉厚を、裏壁3を構成する第1の溶融樹脂シートP1の肉厚よりも薄肉にして押出装置12から押し出す。
【0062】
次に、
図6に示すように、第1の樹脂シートP1を分割金型32Bのキャビティ116Bに沿った形状に賦形し、第1の樹脂シートP1を突出部33に沿った形状に引き伸ばしてリブ3aを形成する。これにより、裏壁3を構成する第1の樹脂シートP1にリブ3aが形成される。
【0063】
次に、
図7に示すようにリブ3aが形成された第1の樹脂シートP1に補強材ユニット5を貼り付ける。
【0064】
次に、
図9に示すように、一対の分割金型32を型締めして、裏壁3を構成する第1の樹脂シートP1と、表壁2を構成する第2の樹脂シートP2と、の周縁同士を溶着すると共に、第1の樹脂シートP1に形成したリブ3aの先端を第2の樹脂シートP2に溶着する。また、補強材ユニット5を第2の樹脂シートP2に貼り付ける。これにより、
図1に示す樹脂製パネル1を成形することができる。
【0065】
本実施形態の樹脂製パネル1は、表壁2の肉厚は、裏壁3の肉厚と略同じ、または、薄肉であり、また、表壁2が裏壁3よりも軽いため、例えば、樹脂製パネル1の平均肉厚(表壁2の平均肉厚と裏壁3の平均肉厚との平均値)を1.5mm未満にし、樹脂製パネル1の軽量化を図ることができると共に、裏壁3の当接面31を変形し難く割れ難くすることができる。
【0066】
また、補強材ユニット5を表壁2および裏壁3の内面に貼り付けて樹脂製パネル1を成形しているため、補強材ユニット5のずれを防止することができる。
【0067】
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0068】
例えば、上述した実施形態の樹脂製パネル1は、
図1に示すように、直線形状の補強材ユニット5を1本だけ配置した。しかし、
図11に示すように、複数の補強材ユニット5を配置することも可能である。
図11に示す樹脂製パネル1は、補強材ユニット5を2本配置して構成している。また、補強材ユニット5の間に非平行に長方形状のリブ3aを6つ形成して構成している。この
図11に示す樹脂製パネル1の構成であっても、表壁2の平均肉厚は、1.2mm以下であり、裏壁3の平均肉厚は、1.7mm以下にすることで、樹脂製パネル1の平均肉厚(表壁2の平均肉厚と裏壁3の平均肉厚との平均値)を1.5mm未満にし、樹脂製パネル1の軽量化を図ることができ、且つ、当接面31を変形し難く割れ難くすることができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、1枚の樹脂製パネル1を例に説明した。しかし、例えば、第1の樹脂製パネルと第2の樹脂製パネルとをヒンジ部を介して連結した樹脂製パネルを構成することも可能である。
【0070】
また、上述した実施形態では、溶融状態の樹脂シートP1,P2に補強材ユニット5を貼り付けて型締めすることで樹脂製パネル1の内部に補強材ユニット5を配置することにした。しかし、樹脂製パネル1を成形した後に、樹脂製パネル1の側面から補強材ユニット5を挿入して樹脂製パネル1の内部に補強材ユニット5を配置することも可能である。但し、
図1、
図11に示すように長方形状の補強材ユニット5の場合は、成形後の樹脂製パネル1の側面から挿入することも可能であるが、互いに異方向を向く複数の補強材で構成した梯子形状の補強材ユニット等の形状の場合は、上述した実施形態の成形方法のように、溶融状態の樹脂シートP1,P2に梯子形状の補強材ユニットを貼り付けて成形することが好ましい。