(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ステップにおいて、基本BOXに接続可能な複数の付足しBOXの中から、使用する付足しBOXを選択して接続することを特徴とする請求項1に記載の建物の設計方法。
【背景技術】
【0002】
建物の設計にあたっては、建物のスケルトン(柱、梁、床等の構造躯体)についての構造設計と、インフィル(住戸内の内装、設備等)についての意匠設計を行う必要がある。本来、構造設計と意匠設計とは同時に行うことが理想であるが、施主の窓口となる比較的小規模の工務店等では、間取りの相談を受けて意匠設計をすることはできても、最終的な構造設計をして構造計算を行うことができない場合が多い。従って、一旦基本となる構造計算を行ったとしても、施主の要望より間取りが変更されて新たな意匠設計を行うと、柱や耐力壁の配置も変更されて、新たに構造計算を行う必要があり、時間も費用も余分に必要となっていた。
【0003】
また近年は、建物のスケルトン・インフィル化(建物のスケルトンとインフィルとを分離した設計手法。以下、「SI化」という。)の要請が、木造の一戸建住宅にも及んでいる。一戸建住宅の1階及び2階をSI化するためには、大きな柱スパンを有する大空間の設計を必要とし、構造設計の難易度も高くなる。さらに、性能表示基準の耐震等級の確保も標準となりつつある。
【0004】
これに対して特許文献1には、基準長の整数倍の外形寸法からなる機能別に分類された箱型ユニットを組み合わせた、ユニット化住宅に関する発明が記載されている。また、特許文献2には、用途別の複数種の基本区画の長さに基準を設けて、居住区域に複数の基本区画を隙間なく配置するようにした、建物の間取りの設計方法に関する発明が記載されている。
【0005】
一方、特許文献3には、耐力壁を含む壁線である耐力壁線によって区画を分けて、それぞれの区画内に複数種類のユニットを設置する、工業化住宅の設計方法に関する発明が記載されている。また、特許文献4には、建物の外壁線よりも内側に基本線を設定し、構造柱と耐力壁を基本線上にのみ配置するようにした、建物の設計方法に関する発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明によれば、箱型ユニットが機能別に規格品として用意されており、意匠設計の自由度が低い。また、特許文献2に記載された発明によれば、間取りの設計の効率化はできるが、構造設計への対応が不明である。
【0008】
さらに、特許文献3に記載された発明によれば、耐力壁線で区画を分けた後は、複数種類のユニットから選択したユニットを配置するので、意匠設計の自由度が低い。また、特許文献4に記載された発明によれば、基本線上の構造柱や耐力壁の配置をどうするか別途構造計算に基づいた設計が必要である。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、意匠設計の自由度を高めて施主の要望に柔軟に対応しつつ、構造設計と意匠設計とを効率的に行うことの可能な建物の設計方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の建物の設計方法は、予め所定の耐震性能を確保するように構造設計が行われ、必要な耐力壁の枚数と、耐力壁の選択可能な配置パターンとが指定された複数の基本BOXの中から、使用する基本BOXを選択する第1ステップと、選択した基本BOXの耐力壁の配置を決定する第2ステップと、耐力壁の配置を決定した基本BOXの間取りを決定する第3ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記第1ステップにおいて、基本BOXに接続可能な複数の付足しBOXの中から、使用する付足しBOXを選択して接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、第1ステップにおいて、複数の基本BOXの中から、使用する基本BOXを選択する。その複数の基本BOXは、予め所定の耐震性能を確保するように構造設計が行われ、必要な耐力壁の枚数と、耐力壁の選択可能な配置パターンとが指定されているので、耐力壁の枚数と配置パターンに従うだけで、基本BOXの耐震性能を容易に確保することができる。そして、第2ステップにおいて、選択した基本BOXの耐力壁の配置を決定するので、予め用意された基本BOXであっても耐力壁の配置に選択肢があるため、意匠設計の自由度を高めることができる。そして、第3ステップにおいて、耐力壁の配置に合わせて間取りを決定することができる。
【0013】
耐力壁の配置は、構造計算により予め定められた必要枚数と配置パターンに応じて決定すればよいので、構造設計についての知識をあまり持ち合わせていなくても、容易に行うことができる。そして、設計過程で施主の注文等により間取りを変更する場合には、再度第1ステップから開始して基本BOXを変更して対応してもよいし、同じ基本BOXを使用して第2ステップにおいて耐力壁の配置を変更して対応してもよい。いずれにしても、耐力壁の配置に選択肢があるため、耐震性能を確保しながら容易に間取りを変更することができる。
【0014】
さらに、構造設計についての知識をあまり持ち合わせていなくても、一戸建住宅の1階及び2階をSI化するための、大きな柱スパンを有する大空間の設計への対応が容易となる。
【0015】
また本発明によれば、第1ステップにおいて、基本BOXに接続可能な複数の付足しBOXの中から、使用する付足しBOXを選択して接続するので、基本BOXだけではなく付足しBOXを接続して設計することができ、意匠設計の自由度をさらに高めることができる。
【0016】
このように、本発明の建物の設計方法は、構造設計に従事する専門職の者ではなく、広範な設計者等による耐震性能を考慮したプラン設計を可能とするものである。また、部材の標準化とアイテム削減ができるので、積算、見積りの効率化、施工の標準化につながり、コストダウンが達成できる。さらに、受注段階での営業スキルの平準化とスピードアップが実現できる。
【0017】
以上、本発明によれば、意匠設計の自由度を高めて施主の要望に柔軟に対応しつつ、構造設計と意匠設計とを効率的に行うことの可能な建物の設計方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施形態に係る建物の設計方法について説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る建物の設計方法で使用する基本BOX10について説明する。
図1は、基本BOX10の構成を示す平面図である。
【0020】
基本BOXとは、本実施形態に係る建物の設計方法における建物の基本構成となるものである。
図1に示すように、基本BOX10は、正方形の複数のマスからなる格子状のBOXであり、このうち
図1(a)に示す基本BOX11は、6マス(行)×8マス(列)の格子状BOXであり、
図1(b)に示す基本BOX12は、6マス×10マスの格子状BOXである。1マスの辺の長さ(1モジュール)は、例えば、設計単位として使用されることの多い910mmとすることができる。
図1に示した基本BOX10は一例であり、その他にも様々な大きさの基本BOX10を使用することができる。
【0021】
基本BOX10には、予め複数の柱3の位置が指定されている。柱3の数は、
図1(a)に示す基本BOX11では9本、
図1(b)に示す基本BOX12では12本となっている。
【0022】
また、基本BOX10には、階段室5が設けられている。階段室5は、4マス分の広さの区画であり、対向する辺には太線で示す「階段コア耐力壁」1a,1bが配置されている。
【0023】
さらに、基本BOX10の周縁部の4辺(図面における左辺、右辺、上辺、下辺)には、矢印とともに各辺に配置する必要のある耐力壁の枚数が示されている。これらは、耐力壁の選択可能な配置パターンであり、
図1(a)に示す基本BOX11の場合、左辺に3枚、右辺に0枚、上辺に3枚、下辺に3枚がそれぞれ表示されている。従って、例えば左辺であれば、6マス分の長さの左辺のどこかに、耐力壁を3枚配置する必要がある。このとき、3枚の耐力壁は連続して配置してもよいし、分離して配置してもよい。
【0024】
また、
図1(b)に示す基本BOX12の場合、左辺に2枚、右辺に2枚、上辺に4枚、下辺に4枚がそれぞれ表示されている。従って、例えば上辺であれば、10マス分の長さの上辺のどこかに耐力壁を4枚配置する必要がある。このとき、4枚の耐力壁は連続して配置してもよいし、分離して配置してもよい。
【0025】
以下において、基本BOX10の周縁部の4辺に配置する耐力壁を「通り指定耐力壁」と称する。
【0026】
なお、
図1に示す基本BOX10には示されていないが、さらに大きな基本BOXの場合には、必要に応じて基本BOX内で自由に配置することのできる耐力壁を「BOX内耐力壁」として設定し、必要枚数を表示することもできる。「BOX内耐力壁」は、例えばX方向とY方向の枚数をそれぞれ表示することができる。
【0027】
「通り指定耐力壁」や「BOX内耐力壁」の必要枚数と、どこに何枚配置するかという耐力壁の選択可能な配置パターンは、予め所定の耐震性能を確保するように構造計算が行われた結果、指定されるものである。例えば、耐震性能として耐震等級2とするか耐震等級3とするか、柱の太さや耐力壁の厚み等の使用する材料の強度、軽屋根と重屋根、その他の設計ルールの存在等により異なる。従って、本実施形態に係る建物の設計方法を実施するにあたっては、予めこれらの諸条件を設定しておく必要がある。
【0028】
次に、
図2乃至
図4を参照して、本実施形態に係る建物の設計方法で使用する付足しBOXについて説明する。付足しBOXには、
図2に示す付足し部屋BOX20、
図3に示す付足し玄関ポーチBOX30、及び
図4に示す付足し持出BOX40がある。付足しBOXは、本実施形態に係る建物の設計方法における建物の追加構成となるものである。なお、付足しBOXは、これら以外の用途のものであってもよい。
【0029】
付足し部屋BOX20は、基本BOXに接続して部屋としての区画を提供するBOXである。
図2に示すように、付足し部屋BOX20は、正方形の複数のマスからなる格子状のBOXであり、このうち
図2(a)に示す付足し部屋BOX21は、1マス(行)×2マス(列)の格子状BOXであり、
図2(b)に示す付足し部屋BOX22は、1マス×3マスの格子状BOXである。1マスの辺の長さは、基本BOX10と同一の長さであり、例えば、設計単位として使用されることの多い910mmとすることができる。
図2に示した付足し部屋BOX20は一例であり、その他にも様々な大きさの付足し部屋BOX20を使用することができる。
【0030】
付足し部屋BOX20には、予め複数の柱3の位置が指定されている。柱3の数は、
図2(a)に示す付足し部屋BOX21では4本、
図2(b)に示す付足し部屋BOX22も同様に4本となっている。また、付足し部屋BOX20の上辺部分が基本BOX10との接続部になっている。
【0031】
付足し玄関ポーチBOX30は、基本BOXに接続して玄関ポーチとしての区画を提供するBOXである。
図3に示すように、付足し玄関ポーチBOX30は、正方形の複数のマスからなる格子状のBOXであり、このうち
図3(a)に示す付足し玄関ポーチBOX31は、1マス(行)×2マス(列)の格子状BOXであり、
図3(b)に示す付足し玄関ポーチBOX32は、1マス×3マスの格子状BOXである。1マスの辺の長さは、基本BOX10と同一の長さであり、例えば、設計単位として使用されることの多い910mmとすることができる。
図3に示した付足し玄関ポーチBOX30は一例であり、その他にも様々な大きさの付足し玄関ポーチBOX30を使用することができる。
【0032】
付足し玄関ポーチBOX30には、予め複数の柱3の位置が指定されている。柱3の数は、
図3(a)に示す付足し玄関ポーチBOX31では4本、
図3(b)に示す付足し玄関ポーチBOX32も同様に4本となっている。また、付足し玄関ポーチBOX30の上辺部分が基本BOX10との接続部になっている。
【0033】
付足し持出BOX40は、基本BOXに接続して、バルコニーや居室等としての区画を提供するBOXである。
図4に示すように、付足し持出BOX40は、正方形の複数のマスからなる格子状のBOXであり、このうち
図4(a)に示す付足し持出BOX41は、1マス(行)×2マス(列)の格子状BOXであり、
図4(b)に示す付足し持出BOX42は、1マス×3マスの格子状BOXである。1マスの辺の長さは、基本BOX10と同一の長さであり、例えば、設計単位として使用されることの多い910mmとすることができる。
図4に示した付足し持出BOX40は一例であり、その他にも様々な大きさの付足し持出BOX40を使用することができる。
【0034】
付足し持出BOX40には、予め複数の柱3の位置が指定されている。柱3の数は、
図4(a)に示す付足し持出BOX41では2本、
図4(b)に示す付足し持出BOX42も同様に2本となっている。また、付足し持出BOX40の上辺部分が基本BOX10との接続部になっている。
【0035】
なお、
図2乃至
図4に示す付足しBOX20,30,40には示されていないが、さらに大きな付足しBOXの場合には、必要に応じて基本BOX10と同様に、周縁部の4辺に配置する「通り指定耐力壁」や、付足しBOX内で自由に配置することのできる「フリー耐力壁」を設定し、必要枚数を表示することもできる。
【0036】
次に、
図5乃至
図7を参照して、本発明の実施形態に係る建物の設計方法の各ステップについて説明する。
【0037】
(第1ステップ)
第1ステップでは、
図1に示す複数の基本BOX11,12の中から、使用する基本BOXを選択する。本実施形態では、
図1(a)に示す基本BOX11を選択して、1階と2階の基本構成とする。なお、1階と2階の基本BOXは、同じものを使用する。また、第1ステップでは、
図2乃至
図4に示す複数の付足しBOX21,22,31,32,41,42の中から、使用する付足しBOXを選択する。本実施形態では、1階用に、
図2(a)に示す付足し部屋BOX21を1つ、
図2(b)に示す付足し部屋BOX22を2つ、
図3(a)に示す付足し玄関ポーチBOX31を1つ選択する。また、2階用に、
図4(a)に示す付足し持出BOX41を選択する。
【0038】
図5は、選択した基本BOXと付足しBOXとを接続した構成を示す平面図である。このうち、
図5(a)は1階を示しており、基本BOX11に、付足し部屋BOX21、付足し部屋BOX22,22、及び付足し玄関ポーチBOX31が接続されている。また、
図5(b)は2階を示しており、基本BOX11に、付足し持出BOX41が接続されている。なお、本実施形態においては、2階の柱の直下には必ず1階の柱が存在するようになっている。
【0039】
(第2ステップ)
第2ステップでは、第1ステップで選択した基本BOXの耐力壁の配置を決定する。
図6は、基本BOXに耐力壁(太線)を配置した状態を示す平面図である。なお、付足しBOXの大きさによっては、付足しBOXにも耐力壁を配置する必要があり、その場合には付足しBOXについても同様に耐力壁の配置を決定する。
【0040】
図6(a)は、1階における耐力壁の配置を示しており、「通り指定耐力壁」として、上辺に耐力壁1cが、左辺に耐力壁1d,1eが、下辺に耐力壁1f,1gが、それぞれ配置されている。
【0041】
図6(b)は、2階における耐力壁の配置を示しており、「通り指定耐力壁」として、上辺に耐力壁2cが、左辺に耐力壁2d,2eが、下辺に耐力壁2f,2gが、それぞれ配置されている。
【0042】
なお、本実施形態においては、2階の耐力壁の直下には、必ず1階の耐力壁が存在するようになっている。また、1階の耐力壁1e及び2階の耐力壁2c,2e,2fを配置するために、1階及び2階に黒塗りの四角形で示す複数の柱4が追加されている。
【0043】
図7は、別のパターンとして、基本BOXに耐力壁を配置した状態を示す平面図である。前述したように、耐力壁は連続して配置してもよいし、分離して配置してもよい。
【0044】
図7(a)は、1階における耐力壁の配置を示しており、「通り指定耐力壁」として、上辺に耐力壁1h,1iが、左辺に耐力壁1j,1kが、下辺に耐力壁1l,1mが、それぞれ配置されている。
【0045】
図7(b)は、2階における耐力壁の配置を示しており、「通り指定耐力壁」として、上辺に耐力壁2h,2iが、左辺に耐力壁2j,2kが、下辺に耐力壁2l,2mが、それぞれ配置されている。
【0046】
なお、本実施形態においては、2階の耐力壁の直下には、必ず1階の耐力壁が存在するようになっている。また、1階の耐力壁1i,1j,1l及び2階の耐力壁2i,2j,2k,2lを配置するために、1階及び2階に黒塗りの四角形で示す複数の柱4が追加されている。
【0047】
(第3ステップ)
第3ステップでは、耐力壁の配置を決定した基本BOXの間取りを決定する。また、付足しBOXについても同様に間取りを決定する。以上の各ステップにより、本実施形態に係る建物の設計方法による設計が行われる。
【0048】
本実施形態に係る建物の設計方法では、第1ステップにおいて、複数の基本BOX10の中から、使用する基本BOX11を選択する。その複数の基本BOX10は、予め所定の耐震性能を確保するように構造設計が行われ、必要な耐力壁の枚数と、耐力壁の選択可能な配置パターンとが指定されているので、耐力壁の枚数と配置パターンに従うだけで、基本BOX10の耐震性能を容易に確保することができる。そして、第2ステップにおいて、選択した基本BOX11の耐力壁1,2の配置を決定するので、予め用意された基本BOX11であっても耐力壁1,2の配置に選択肢があるため、意匠設計の自由度を高めることができる。そして、第3ステップにおいて、耐力壁1,2の配置に合わせて間取りを決定することができる。
【0049】
耐力壁1,2の配置は、構造計算により予め定められた必要枚数と配置パターンに応じて決定すればよいので、構造設計についての知識をあまり持ち合わせていなくても、容易に行うことができる。そして、設計過程で施主の注文等により間取りを変更する場合には、再度第1ステップから開始して基本BOX10を変更して対応してもよいし、同じ基本BOX11を使用して第2ステップにおいて耐力壁1,2の配置を変更して対応してもよい。いずれにしても、耐力壁1,2の配置に選択肢があるため、耐震性能を確保しながら容易に間取りを変更することができる。
【0050】
さらに、構造設計についての知識をあまり持ち合わせていなくても、一戸建住宅の1階及び2階をSI化するための、大きな柱スパンを有する大空間の設計への対応が容易となる。
【0051】
また本実施形態に係る建物の設計方法によれば、第1ステップにおいて、基本BOX10に接続可能な複数の付足しBOX20,30,40の中から、使用する付足しBOX21,22,31,41を選択して接続するので、基本BOX11だけではなく付足しBOX21,22,31,41を接続して設計することができ、意匠設計の自由度をさらに高めることができる。
【0052】
このように、本実施形態に係る建物の設計方法は、構造設計に従事する専門職の者ではなく、広範な設計者等による耐震性能を考慮したプラン設計を可能とするものである。また、部材の標準化とアイテム削減ができるので、積算、見積りの効率化、施工の標準化につながり、コストダウンが達成できる。さらに、受注段階での営業スキルの平準化とスピードアップが実現できる。
【0053】
以上、本実施形態に係る建物の設計方法によれば、意匠設計の自由度を高めて施主の要望に柔軟に対応しつつ、構造設計と意匠設計とを効率的に行うことの可能な建物の設計方法を提供することができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、基本BOXに付足しBOXを接続して設計したが、基本BOXだけで構成して設計してもよい。また、選択する基本BOXは1種類だけでなく、複数種類を選択して組み合わせてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、2階の柱の直下には必ず1階の柱が存在するようにし、2階の耐力壁の直下には必ず1階の耐力壁が存在するようになっており、基本的には耐震性能の観点からこのように構成することが効果的である。ただし、設計上の諸条件によっては、これに限定されるものではない。
【0056】
例えば、「梁を支える柱の間隔が所定の間隔(例えば4モジュール=3640mm)を超えるような梁の上には耐力壁を配置しないという条件の下で、1階と2階の耐力壁の異なる位置への配置を認める。」とか、「1本の柱を1モジュールずつ左右に分割して2本にすることができるという条件の下で、1階と2階の柱の異なる位置への配置を認める。」といったルールを別途定めることが可能である。
【0057】
ただし、こうした別途定めるルールは、「通り指定耐力壁」や「BOX内耐力壁」の必要枚数と、どこに何枚配置するかという耐力壁の選択可能な配置パターンの決定に影響を与える事項である。従って、耐震性能として耐震等級2とするか耐震等級3とするか、柱の太さや耐力壁の厚み等の使用する材料の強度、軽屋根と重屋根、その他の設計ルールの存在等と合わせて、全体として所定の耐震性能を確保できるように定めることが必要である。