【実施例】
【0028】
つぎに本発明の実施例によるサーマルプリンター、その用紙片ピッチ計測方法およびその印字用紙連続体位置検出方法を
図1ないし
図9にもとづき説明する。
図1は、サーマルプリンター1の概略側面図であって、サーマルプリンター1は、プリンター本体2と、用紙検出部3と、用紙案内部4と、印字部5と、操作部6と、表示部7と、制御部8と、を有する。
【0029】
プリンター本体2は、筐体部9と、蓋部10と、を有するとともに、その内部に移送路11を形成しており、移送路11の最上流側に導入口12を、移送路11の最下流側に排出口13をそれぞれ形成し、導入口12から排出口13までほぼ直線状の移送路11としている。
【0030】
蓋部10を筐体部9に対して開放および閉鎖可能としてあり、蓋部10の開放状態でラベル連続体14(印字用紙連続体)を移送路11に挿通可能とし、蓋部10を筐体部9に閉鎖することによってラベル連続体14を移送路11上に移送して印字可能とする。
すなわち、ラベル連続体14を移送路11に送り込む導入口12と、移送路11からプリンター本体2の外部にラベル連続体14を排出する排出口13と、の間においてラベル連続体14の検出および印字を行う。
【0031】
プリンター本体2の導入口12側には、用紙供給部15を設けることができる。
たとえば、ラベル連続体14がファンホールドタイプの印字用紙である場合に、用紙供給部15として、プリンター本体2の導入口12側に供給箱16を設け、供給箱16から導入口12および移送路11に向かってラベル連続体14を供給可能とする。
【0032】
図2は、ラベル連続体14の平面図、
図3は、
図2のIII−III線断面図であり、ラベル連続体14は、帯状の台紙17と、台紙17上に仮着した複数枚の同一ピッチのラベル片18(用紙片)と、を有する。
台紙17の裏面側には、ラベル片18の先端部18Aに位置するように位置検出用マーク19をあらかじめ印刷してあるとともに、互いに隣り合うラベル片18の間にギャップ20を設け、ギャップ20の移送方向中央部に位置して台紙切断用のミシン目21を形成している。
なお、ギャップ20は、位置検出用としてこれを利用することができる。
図3に示すように、ラベル片18は、感熱発色可能なラベル基材22と、ラベル基材22の裏面側の粘着剤層23と、を有し、粘着剤層23においてラベル片18を台紙17上に仮着している。
ラベル基材22として、加熱によっても感熱発色しない一般的な基材を用いる場合には、熱転写インキリボン(図示せず)などを用いた印字部5とすることができる。
【0033】
用紙検出部3は、印字部5に対するラベル連続体14の相対的位置を検出するもので、用紙検出部3は、第1の上流側センサー24(第1の用紙センサー)および第2の上流側センサー25(第1の用紙センサー)と、下流側センサー26(第2の用紙センサー)と、を有する。
【0034】
第1の上流側センサー24および第2の上流側センサー25は、印字部5の上流側に位置して、ラベル連続体14の位置検出用マーク19およびラベル連続体14のギャップ20をそれぞれ検出可能である。
すなわち、用紙案内部4の上流側において、位置検出用マーク19あるいはギャップ20のいずれの被検出部を有するラベル連続体14が移送されてきても、第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25のいずれかによりラベル連続体14の位置を検出可能である。
下流側センサー26は、印字部5の下流側に位置しており、ラベル連続体14の先端部14Aを検出可能である。
これらの第1の上流側センサー24、第2の上流側センサー25および下流側センサー26は、反射型あるいは透過型の光学センサーのいずれかを採用することができるが、たとえば、第1の上流側センサー24は反射型センサー、第2の上流側センサー25は透過型センサー、下流側センサー26は反射型センサーである。
【0035】
用紙案内部4は、プリンター本体2内の移送路11に沿って、導入口12ないし用紙検出部3から印字部5に向かってラベル連続体14を案内するもので、上側案内片4Aおよび下側案内片4Bを有し、この間の案内通路4Cを移送路11としてラベル連続体14を印字部5の方向に案内する。
用紙案内部4は、ラベル連続体14の幅方向に上側案内片4Aおよび下側案内片4Bの左右一対を有し、ラベル連続体14の幅方向左右のいずれかの上側案内片4Aおよび下側案内片4Bに第1の上流側センサー24および第2の上流側センサー25を取り付け固定している。
なお、下流側センサー26は、プリンター本体2の筐体部9において、ラベル連続体14の幅方向中央部に位置してこれを設けてある。
【0036】
印字部5は、移送路11に沿ってラベル連続体14を移送するとともにラベル連続体14(ラベル片18)に印字を行うもので、サーマルヘッド27およびプラテンローラー28を有する。
サーマルヘッド27は、これを蓋部10に取り付け、プラテンローラー28は、これを筐体部9に取り付けており、蓋部10を筐体部9から開放することによりラベル連続体14をサーマルヘッド27とプラテンローラー28との間にセット可能とし、蓋部10を筐体部9に閉鎖することによりラベル連続体14を移送路11上を移送して印字可能としている。
【0037】
印字部5のプラテンローラー28は、ステッピングモーター29によりこれを正逆方向いずれかに回転駆動するもので、ステッピングモーター29を制御部8からの制御信号により駆動制御することによって、ラベル連続体14を下流側センサー26方向(下流側)に移送する正移送動作と、ラベル連続体14を第1の上流側センサー24ないし第2の上流側センサー25方向(上流側)に移送する逆移送動作と、を行うことができる。
具体的には、用紙案内部4に挿通されてくるラベル連続体14を第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25のいずれか一方が検出した際に、プラテンローラー28の回転駆動を開始し、下流側センサー26がラベル連続体14の先端部14Aを検出した際に、ラベル連続体14を印字部5の印字開始位置5A(プラテンローラー28の部位すなわち、少なくとも先端部14Aがサーマルヘッド27とプラテンローラー28との間で挟持されて移送および印字が開始可能な位置、
図4を参照)まで逆移送する。
かくして、ラベル連続体14を用紙案内部4に通し、用紙検出部3において検出するだけで、印字部5の印字開始位置5Aに自動的にセットすることができ、装填作業を容易かつ迅速に実行可能であるとともに、以下に説明するように、とくに先頭に位置するラベル片18にも印字が可能であって、これを無駄にすることがない。
【0038】
前記操作部6は、サーマルプリンター1を操作するための各種キー(図示せず)を備えており、前記表示部7が必要なデータないしコマンドを表示可能である。
【0039】
前記制御部8は、上述の用紙検出部3、用紙案内部4、印字部5、操作部6および表示部7などを制御するが、必要に応じて外部のパソコン30などと接続して、データおよびコマンドの交信を行うことができる。
【0040】
なお、サーマルプリンター1には、プリンター本体2の排出口13に臨んで、下流側センサー26の下流側に切断部31を設けることができる。
切断部31としては、当該サーマルプリンター1の使用者が手動により前記台紙切断用のミシン目21の部分でラベル連続体14を単葉のラベル片18に分離する用紙ちぎり用刃32を設ける構成、あるいは固定刃33および可動刃34を設けて可動刃34を所定ピッチP(
図4参照)で(所定の切断タイミングで)制御部8により駆動する構成、などを採用可能である。
台紙ちぎり用刃32は、プリンター本体2の筐体部9あるいは蓋部10のいずれか一方の内壁面あるいは外壁面に設けることが一般的であり、固定刃33および可動刃34についても、必要に応じてプリンター本体2の外方部あるいは内方部のいずれに設けてもよい。
【0041】
図4ないし
図6は、印字部5に移送されてくるラベル連続体14のラベル片18が小ピッチである場合(
図4)、小ピッチでも複数枚(
図5に図示の例では、二枚印字)のラベル片18に所定の印字データを印字する場合(
図5)、あるいはラベル片18が大ピッチである場合(
図6)などについて図示している。
図4は、用紙検出部3(第1の上流側センサー24、あるいは第2の上流側センサー25)および印字部5に対するラベル連続体14の相対的位置を示す概略説明図であって、
図4(1)は、ラベル連続体14(ラベル片18)の先端部14Aが印字開始位置5Aにあるラベル連続体14の装填時点の説明図、
図4(2)は、印字部5においてラベル連続体14の一枚目のラベル片18への印字を開始し、用紙検出部3において後続(図示の例では、四枚目)のラベル片18の先端部18Aを検出した状態の説明図、
図4(3)は、一枚目のラベル片18の印字が終了し、後続(図示の例では、四枚目)のラベル片18のピッチPを検出するまでラベル連続体14の移送を継続した状態の説明図、
図4(4)は、ラベル片18のピッチPを検出後、ラベル連続体14の移送(正移送)を一時的に停止した状態の説明図、
図4(5)は、一枚目のラベル片18の上流側において、後続の(二枚目以降の)ラベル片18について仮想エッジEを演算設定した状態の説明図、
図4(6)は、ラベル連続体14を上流側に逆移送して、二枚目のラベル片18を印字部5における印字開始位置5Aにセットした状態の説明図、
図4(7)は、印字部5において二枚目のラベル片18について印字が終了した状態の説明図である。
ただし、
図4においては、ラベル片18のピッチPが、印字部5と、用紙検出部3(第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25)との間の第1センサー印字間隔D1より小さい小ピッチである場合を示しており、それぞれのラベル片18の領域中央部に先頭から順番符号(1、2、3、4、・・・)を付してあるとともに、台紙17の図示はこれを省略してある(上記順番符号および、台紙17の図示省略については、
図5および
図6も同様)。
【0042】
図5は、
図4と同様の、用紙検出部3(第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25)および印字部5に対するラベル連続体14の相対的位置を示す概略説明図であって、
図5(1)は、ラベル連続体14(ラベル片18)の先端部14Aが印字開始位置5Aにあるラベル連続体14の装填時点の説明図、
図5(2)は、印字部5においてラベル連続体14の一枚目のラベル片18への印字を開始し、用紙検出部3において後続(図示の例では、四枚目)のラベル片18の先端部18Aを検出した状態の説明図、
図5(3)は、一枚目および二枚目へのラベル片18の印字が終了し、後続(図示の例では、四枚目)のラベル片18のピッチPを検出するまでラベル連続体14の移送を継続した状態の説明図、
図5(4)は、ラベル片18のピッチPを検出後、ラベル連続体14の移送(正移送)を一時的に停止した状態の説明図、
図5(5)は、印字部5におけるラベル片18への印字データ(印字長)が二枚にわたることを検知し、後続のラベル片18について仮想エッジEを演算設定した状態の説明図、
図5(6)は、ラベル連続体14を下流側に正移送して、三枚目のラベル片18を印字部5における印字開始位置5Aにセットした状態の説明図である。
ただし、
図5においては、ラベル片18の連続する複数枚(図示の例では、二枚)のラベル片18にわたって印字データを印字する例を示している(
図5(3)ないし
図5(5)において一枚目および二枚目のラベル片18にわたる矢印で示している)。
【0043】
図6は、
図4、
図5と同様の、用紙検出部3(第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25)および印字部5に対するラベル連続体14の相対的位置を示す概略説明図であって、
図6(1)は、ラベル連続体14(ラベル片18)の先端部14Aが印字開始位置5Aにあるラベル連続体14の装填時点の説明図、
図6(2)は、印字部5においてラベル連続体14の一枚目のラベル片18への印字を開始し、用紙検出部3において後続(図示の例では、二枚目)のラベル片18の先端部18Aを検出した状態の説明図、
図6(3)は、一枚目へのラベル片18の印字が終了しても、後続(図示の例では、二枚目)のラベル片18のピッチPを検出してはいないが、用紙検出部3においてその先端部18Aを検出している二枚目のラベル片18が用紙検出部3から印字部5に第1センサー印字間隔D1だけ移送されて印字開始位置5Aに到達している状態の説明図、
図6(4)は、一枚目へのラベル片18の移送をさらに継続するとともに、後続(二枚目)のラベル片18への印字を開始して、そのピッチPを検出した状態の説明図、
図6(5)は、二枚目のラベル片18への印字を終了して、三枚目のラベル片18が印字部5における印字開始位置5Aに到達している状態の説明図である。
【0044】
こうした構成のサーマルプリンター1について、
図4ないし
図6を参照しながら、
図7にもとづき、その用紙片ピッチ計測方法およびその印字用紙連続体位置検出方法とともに、説明する。
図7は、前記切断部31(
図1)を操作しない場合(あるいは切断部31を設けていない場合)の、サーマルプリンター1の操作のフローチャート図であって、ステップS1において、ラベル連続体14の一枚目のラベル片18を印字部5の印字開始位置5Aにセットする(
図4(1)、
図5(1)、
図6(1)に相当する)。
すなわち、第1の上流側センサー24あるいは第2の上流側センサー25(
図4に図示の例では、第2の上流側センサー25により検出している)によりラベル片18を検出し、プラテンローラー28を正回転駆動してラベル連続体14を正移送し、下流側センサー26によりラベル片18を検出することによりプラテンローラー28を逆転駆動して、ラベル連続体14を印字部5方向に逆移送することによりラベル連続体14における一枚目のラベル片18を印字部5の印字開始位置5Aにセットする。
【0045】
ステップS2において、この一枚目のラベル片18への印字を開始し、一枚目のラベル片18の移送および印字が進行するにともない、ステップS3において、後続のラベル片18の先端部18Aを用紙検出部3が検出する。
このステップS3の処理は、
図4においては、その
図4(2)に相当し、
図5においては、その
図5(2)に相当し、
図6においては、その
図6(2)に相当するもので、この時点では、ラベル片18が小ピッチであるか、大ピッチであるかの判断はまだついていない。
【0046】
つぎのステップS4において、ラベル片18のピッチPを計測する。
すなわち、印字開始位置5Aにある一枚目のラベル片18への印字を開始してから、第1の用紙センサー(第2の上流側センサー25あるいは第1の上流側センサー24)が後続する(必ずしも二枚目とは限らない)二枚のラベル片18の先端部18Aを検出するまで(後続するラベル片18の先端部18Aを二回検出するまで)一枚目のラベル片18の移送を継続することにより、ラベル片18のピッチPを計測する(
図4(3)、
図5(3)、
図6(4))。
【0047】
つぎのステップS5において、ラベル片18が小ピッチであるか否かを判断する。
ラベル片18が小ピッチか否かは、上述のようにして計測したラベル片18のピッチPが、印字部5と第1の用紙センサー(第2の上流側センサー25あるいは第1の上流側センサー24)との間の第1センサー印字間隔D1以下であるか否かによりこれを判断する(
図4(3)、
図5(3))。すなわち、P≦D1であれば、ラベル片18が小ピッチであると判断する。逆にP>D1であれば、ラベル片18が大ピッチであると判断する。
このように、当該サーマルプリンター1においては、印字部5による一枚目のラベル片18への印字にともなって、第2の上流側センサー25により後続のラベル片18の移送路11における移送方向のピッチPを検出可能としているので、一枚目のラベル片18からこれを印字可能であり、ラベル片18に印字を行わずにそのままプリンター本体2外に排出してしまうという無駄がない。
さらに、ラベル連続体14を印字部5において移送および印字しながら後続のラベル片18のピッチPを計測するようにしているので、サーマルプリンター1の実稼働状態でピッチPを計測および判断可能であり、安定した計測を実行可能である。
なお、後続のラベル片18のピッチPの検出は、隣り合うラベル片18どうしの間のギャップ20、あるいはラベル片18にあらかじめ設けた位置検出用マーク19を検出することによりこれを行うもので、
図4に示した例では、第2の上流側センサー25がギャップ20を検出する例として図示している。
また、ピッチPとしては、ラベル片18自体の長さLにギャップ20のギャップ間隔Gを加算した長さである(P=L+G)。
【0048】
ステップS5において、後続するラベル片18が小ピッチであると判断された場合には、ステップS6において、用紙検出部3と印字部5との間(第1センサー印字間隔D1内)に単葉で小ピッチのラベル片18が何枚あるか演算するとともに、この演算にもとづき、一枚目のラベル片18の上流側におけるラベル連続体14にラベル片18用の仮想エッジEをそれぞれ設定することにより、二枚目以降のラベル片18の印字部5に対する位置を検出する。
仮想エッジEは、後続する単葉のラベル片18の先端部18Aそれぞれにこれを設定するもので、この仮想エッジEが単葉のラベル片18の先端部18Aであると想定して、以後のラベル連続体14の移送および印字を行うことになる。
【0049】
第1センサー印字間隔D1内におけるラベル片18の上記枚数は、商(第1センサー印字間隔D1/ピッチP)を演算して、その整数部により得ることができる。
さらに、ピッチPを検出したラベル片18(
図4(3)では、四枚目のラベル片18)の先端部18Aは、その上流側のラベル片18(五枚目のラベル片18)の先端部18Aを検出してから、上記演算を終了してラベル連続体14の移送を一時的に停止するまでの四枚目のラベル片18の下流方向への移送長さ(あるいはステッピングモーター29による移送回転数)は把握可能であるため(
図4(4))、この四枚目のラベル片18から、ラベル連続体14の下流側に向かう三枚目および二枚目のラベル片18の先端部18Aにそれぞれ仮想エッジEを設定することにより、それぞれの仮想エッジEにラベル片18の先端部18Aが位置しているものとすることができる(
図4(5))。
【0050】
図4においては、一枚目のラベル片18の印字ののち、後続の(すなわち二枚目の)ラベル片18を印字開始位置5Aまで逆移送する(
図4(6))。
すなわち、
図7のステップS7において、二枚目(後続)のラベル片18を印字開始位置5Aにセットして、ステップS8において二枚目(後続)のラベル片18の移送および印字を行う。
この印字開始位置5Aへの逆移送の量としては、
図4(3)に示すように、一枚目のラベル片18の印字開始からその印字および移送中に後続のラベル片18のピッチPを検出した時点までのラベル連続体14の移送量をZとし、印字部5の下流側に位置しているラベル片18の枚数をnとすれば、移送量Zからこの枚数n分の長さ(n×P)を差し引いたもの(Z−nP)である(
図4に図示の例では、n=1であるので、Z−P)。
かくして、
図4(3)から
図4(6)の状態にラベル連続体14を逆移送して、印字部5の印字開始位置5Aに二枚目のラベル片18の先端部18Aをセットする。
【0051】
ただし、
図5に示すように、当該サーマルプリンター1の印字方式として、ラベル片18の連続する複数枚(
図5に図示の例では、二枚)のラベル片18にわたって印字データを印字する場合がある(既述のように、
図5(3)ないし
図5(5)において一枚目および二枚目のラベル片18にわたる矢印で示している)。たとえば、一枚目には商品ないし配送品などの管理情報を印字し、二枚目にはその商品や配送品に関する詳細情報を印字する場合などである。
【0052】
このような複数枚印字方式の場合には、ラベル連続体14の上記移送量Zが、印字部5によるラベル片18への印字によりラベル片18のピッチP計測完了までに少なくともその一部が印字部5からその下流側に移送された後続のラベル片18の枚数m分(あるいは印字部5により印字されたラベル片18の枚数m分)の合計ピッチ(m×P)より小さい場合であり、このようなときは、ステップS7においては、ラベル連続体14を正移送して、つぎのラベル片18を印字開始位置5Aにセットする。
この印字開始位置5Aへの正移送の量としては、とくに
図5(3)に示すように、少なくともその一部が印字部5の下流側に位置しているラベル片18の枚数分の長さ(m×P)から、ラベル連続体14の移送量Zを差し引いたもの(mP−Z)である(
図5に図示の例では、m=2であるので、2P−Z)。
なお、この二枚印字の場合には、上記移送量Zが単葉のラベル片18のピッチPよりは大きいため、一枚目に連続して印字した二枚目のラベル片18に前記仮想エッジEを設定しないものとする。
【0053】
図7の上記ステップS5においてラベル片18が小ピッチではない(大ピッチである)と判断される場合は、たとえば
図6(3)に示しているように、一枚目のラベル片18への印字が終了した段階で、後続(二枚目)のラベル片18のピッチPを検出していない場合であって、この場合には、後続のラベル片18のピッチPが、印字部5と、第2の上流側センサー25との間の第1センサー印字間隔D1より大きい大ピッチであると判断し、ステップS7に進んで、二枚目のラベル片18を印字部5の印字開始位置5Aにセットし(
図6(3))、上述のステップS8のようにその移送および印字を行う。
【0054】
さらに、ステップS9において、ラベル片18の印字枚数が終了したか否かを判断し、終了していなければ、ステップS8に戻って、後続のラベル片18について印字を行う。
【0055】
つぎに、当該サーマルプリンター1には、ラベル片18を所定ピッチPで切断する切断部31を、下流側センサー26の下流側に設けている場合があり、印字部5によるラベル片18への印字ののちに、この切断部31における切断位置31A(
図9)にラベル連続体14を移送してセット可能とし、この切断部31によるラベル片18の切断を行う。
【0056】
図8は、サーマルプリンター1の印字および切断操作を示すフローチャート図であって、ステップS11からステップS16までは、
図7のステップS1からステップS6までと同一である。
すなわち、ステップS11において一枚目のラベル片18を印字部5の印字開始位置5Aにセットし、ステップS12においてラベル片18への印字を開始するとともに、ステップS13において後続のラベル片18の先端部18Aを検出し、ステップS14においてラベル片18のピッチPを計測する。
【0057】
ステップS15において、ラベル片18が小ピッチであるか否かを判断し、小ピッチであれば、ステップS16において、第1センサー印字間隔D1におけるラベル片18の枚数を演算するとともに、後続のラベル片18の先端部18Aに仮想エッジEを設定する。
【0058】
つぎのステップS17において、切断部31によるラベル連続体14(ラベル片18)の切断を行うか否かを判断する。
切断を行う場合には、ステップS18において、ラベル連続体14を切断位置31Aにセットする。
【0059】
図9は、用紙検出部3(第1の上流側センサー24、あるいは第2の上流側センサー25)、印字部5および切断部31に対するラベル連続体14の相対的位置を示す概略説明図であって、切断位置31Aにラベル連続体14のギャップ20の中央部(台紙切断用のミシン目21)をセットするには、印字部5の印字開始位置5Aと切断部31の切断位置31Aとの間の間隔をD2としたときに、一枚目のラベル片18の印字開始からその印字および移送中に後続のラベル片18のピッチPを検出した時点までのラベル連続体14の移送量Zから、間隔D2、さらには印字部5の下流側に位置するラベル片18の枚数分の長さ(n×P)(ただしnは、印字部5の下流側に位置しているラベル片18の枚数、Pはラベル片18のピッチ)を減算した距離に、ギャップ20のギャップ間隔Gの半分(G/2)を加算した距離、すなわち、(Z−D2−nP+G/2)、だけ逆移送する(
図9に図示の例では、n=1であるので、Z−D2−P+G/2)。
このように逆移送することにより、ラベル連続体14において隣り合うラベル片18の間の中央部に位置する台紙切断用のミシン目21を切断部31の切断位置31Aにセットすることができる。
【0060】
ついで、ステップS19において可動刃34を駆動するか、あるいは用紙ちぎり用刃32の部分でラベル連続体14をちぎることにより台紙17を切断する。
さらに、ステップS20において、
図7のステップS7と同様に、二枚目のラベル片18を印字開始位置5Aにセットし、ステップS21において、
図7のステップS8と同様に、後続(二枚目)のラベル片18に印字し、ステップS22において、
図7のステップS9と同様に、印字枚数が終了したかを判断し、終了していなければ、ステップS17に戻って切断か否かを判断し、上述の操作を繰り返す。
【0061】
かくして、本発明によれば、印字部5におけるラベル連続体14(ラベル片18)への印字にともなって後続のラベル片18のピッチPを検出するようにしたので、とくに小ピッチのラベル片18を有するラベル連続体14であっても、その一枚目のラベル片18から無駄にすることなく、すべてのラベル片18に印字を行うことができるとともに、ラベル片18のピッチPの計測、およびラベル連続体14の位置検出を安定して行うことができる。