(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963536
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】垂直方向の工具スピンドルを有する自動積み込式の工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 3/06 20060101AFI20160721BHJP
B23B 15/00 20060101ALI20160721BHJP
B23B 25/00 20060101ALI20160721BHJP
B23Q 11/08 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
B23B3/06
B23B15/00 A
B23B25/00 A
!B23Q11/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-117136(P2012-117136)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2012-245609(P2012-245609A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】10 2011 103 321.5
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502323988
【氏名又は名称】エマーク・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・ヘスブリュゲン
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−084701(JP,A)
【文献】
特開2001−287102(JP,A)
【文献】
特開2006−102910(JP,A)
【文献】
特開2010−253591(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/076122(WO,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02370009(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/00−11/00
B23B 15/00
B23B 25/00
B23Q 11/08
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転的に駆動される加工材料(8、9)の加工のための工作機械(1)であって、
この工作機械が、
機械フレーム(2)、
この機械フレームの垂直方向の前壁(6)および側壁、
モータスピンドル(7)、
作業スペース(17)、および少なくとも1つの工具(14)、
加工材料(8、9)のための移送装置(11)、
収容位置(12)および載置位置(13)を備えており、
このモータスピンドル(7)が、X方向案内部(5)およびZ方向案内部(4)に沿って、機械フレーム(2)における水平方向および垂直方向内において、垂直方向スライダー(3)にわたって、移動可能に設けられており、
前記Z方向案内部が、前記垂直方向スライダーを案内し、
前記モータスピンドル(7)が、加工材料(8、9)のグリップ、収容、駆動、および載置の役目を果たし、
このモータスピンドル(7)が、作業スペース(17)から収容位置(12)および載置位置(13)内へと移動可能であり、
前記X方向案内部(5)が、前記垂直方向スライダー(3)に沿って設けられていること、
前記Z方向案内部(4)並びに少なくとも1つの前記工具(14)が、前記垂直方向の前壁(6)に沿って設けられており、
前記垂直方向スライダー(3)に、少なくとも1つの保護壁(18)が、設けられており、且つ、この垂直方向スライダー(3)と共に、垂直方向に移動可能である様式の上記工作機械において、
少なくとも1つの前記保護壁(18)内において、摺動部材(19)が、移動可能に設けられており、前記側壁のすぐ傍を通って、閉鎖された位置から開放位置内へと移動可能であることを特徴とする工作機械(1)。
【請求項2】
垂直方向スライダー(3)は、幅において、
作業スペース(17)から、収容位置(12)及び/または載置位置(13)の上方のスペース内に至るまで延在していることを特徴とする請求項1に記載の工作機械(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの保護壁(18)は、作業スペース(17)を、収容位置(12)及び/または載置位置(13)に向かって密閉していることを特徴とする請求項1に記載の工作機械(1)。
【請求項4】
工作機械(1)が切削屑捕集槽(20)を有しており、
保護壁(18)が、垂直方向スライダー(3)からこの切削屑捕集槽(20)内に至るまで延びていることを特徴とする請求項1または3に記載の工作機械(1)。
【請求項5】
摺動部材(19)が開放位置(22)内において存在する場合、モータスピンドル(7)は、作業スペース(17)から、収容位置(12)および載置位置(13)内へと、保護壁(18)の傍らを通って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の工作機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、回転的に駆動される加工材料の加工のための、自動積み込式の工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップ原理に従い作動する工作機械は、多数の構造様式において公知である。
これら全て工作機械において、加工材料スピンドルが、
スライダーの上で機械フレームにおける水平方向の案内部に沿って移動可能であり、
この加工材料を移送手段から取り出し、
この加工材料を加工部に供給し、且つ引き続いて再び、この加工材料をこの移送手段の上に載置(ablegt)することは共通である。
【0003】
このような様式の機械は、ドイツ連邦共和国特許公開第10 2004 005 498A1号明細書(特許文献1)から公知である。
この機械の場合、上側フレームにおいて、水平方向のスライダー案内部が、X方向スライダーのために設けられており、このX方向スライダーにおいて、加工材料担持体を有するZ方向スライダーが、垂直方向に移動可能である。このX方向案内部は、この上側フレームにおいて、両方の側面で、側方へと作業スペースを越えて延在しており、従って、加工材料担持体は、一方の側で加工材料収容位置内へと、他方の側で加工材料載置位置(Werkstueckablageposition)内へと、移動可能である。このことは、必然的に、幅広に延伸された機械フレームを誘起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第10 2004 005 498 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、コンパクトな構造様式、および改善された機械剛性を有する、請求項1の上位概念に従う工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の有利な観点に従い、
回転的に駆動される加工材料の加工のための工作機械であって、
この工作機械が、
機械フレーム、
この機械フレームの垂直方向の前壁および側壁、
モータスピンドル、
作業スペース、および少なくとも1つの工具、
加工材料のための移送装置、
収容位置および載置位置を備えており、
このモータスピンドルが、X方向案内部およびZ方向案内部に沿って、機械フレームにおける水平方向および垂直方向内において、垂直方向スライダーにわたって、移動可能に設けられており、
前記Z方向案内部が、前記垂直方向スライダーを案内し、
前記モータスピンドルが、加工材料のグリップ、収容、駆動、および載置の役目を果たし、
このモータスピンドルが、作業スペースから収容位置および載置位置内へと移動可能であり、
前記X方向案内部が、前記垂直方向スライダーに沿って設けられていること、
前記Z方向案内部並びに少なくとも1つの前記工具が、前記垂直方向の前壁に沿って設けられており、
前記垂直方向スライダーに、少なくとも1つの保護壁が、設けられており、且つ、この垂直方向スライダーと共に、垂直方向に移動可能である様式の上記工作機械において、
少なくとも1つの前記保護壁内において、摺動部材が、移動可能に設けられており、前記側壁のすぐ傍を通って、閉鎖された位置から開放位置内へと移動可能である。
【発明の効果】
【0007】
上記のことによって、この機械フレームは、特別にスリムに支柱として構成され得る。この垂直方向スライダーは、この垂直方向スライダーの側で、加工材料担持体のための水平方向の案内部を担持している。この垂直方向スライダーは、加工材料スピンドルが、少なくとも1つの作業位置から、荷を積み込む位置および積み荷を降ろす位置内へと移動され得るように幅広に設備されている。
これら垂直方向の案内部は、作業スペースの後ろに設けられており、従って、作業位置の領域内において、遠くに突き出した垂直方向スライダーにもかかわらず、必要な機械剛性は、常に保証されている。それら縁部領域内において荷積みが行われる、この垂直方向スライダーの該縁部領域において、この機械剛性は重要なことではない。
【0008】
次に、実施例に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、工作機械1の概略的な図において示している。機械フレーム2は、正方形の断面および垂直方向の壁部を有する支柱として構成されている。
前壁6に、垂直方向のZ方向案内部が、垂直方向スライダー3のために設けられている。Z方向内における移動のための数値的に制御された駆動は、モータ15、およびボールローラースピンドル16を介して行われる。この垂直方向スライダーは、X方向案内部5を有して、側方に、作業スペース17を越えて延在している。
従って、モータスピンドル7は、モータ15′によって、垂直方向スライダー3におけるボールローラースピンドル16′を介して、X方向案内部5に沿って、作業スペース17から外へ、収容位置12、および載置位置13内へと移動され得る。
【0011】
図1に従い、収容位置12および載置位置13は、作業スペース17の向かい合って位置する側に設けられている。これら収容位置および載置位置は、しかしながら、同様に、一方の側に互いに並列して設けられていることは可能である。
モータスピンドル7の下側において、チャック10が、加工材料8、9のグリップおよび締付けのために設けられている。従って、未加工の加工材料9は、収容位置12内において把持され、作業スペース17内における加工部に供給され、且つ引き続いて載置位置13内において、再び載置される。
【0012】
この作業スペース17内において、工具14が、加工材料8の加工のために設けられている。工具14として、フライス加工、穿孔加工または研削加工のために駆動される工具と同様に、旋盤加工のために駆動されない工具も考慮に値する。
図1内において、3つの工具14を有するブロック鋼製保持体が図示されている。同様に、工具タレット、または駆動される工具を有する旋回可能なモータスピンドルが設けられ得る。
この作業スペース17は、両方の側において、保護壁18によって遮蔽されている。有利には、これら保護壁は、垂直方向スライダー3に設けられており、且つ、この垂直方向スライダーと共に、垂直方向に移動可能である。
【0013】
モータスピンドル7は、作業スペース17から外へと、収容位置12および載置位置13内へと移動され得るために、これら保護壁18内において、摺動部材19が設けられている。
これら摺動部材は、空気圧シリンダー21でもって、閉鎖された位置から、開放位置内へと移動され得、従って、モータスピンドル7が、チャック10と共に、開口部を通り抜けて移動可能である。切削屑捕集槽20は、ホッパー形状に、上方へと広がっている。両方の保護壁18は、この切削屑捕集槽20に至るまで下方へと延びており、且つ、堆積する切削屑を、直接的に、この切削屑捕集槽内へと導く。
【0014】
図2内において、工作機械1が、側面図において図示されている。この図から、保護壁18および摺動部材19の配設が見て取れる。
この保護壁18は、垂直方向スライダー3の下側において固定されており、且つ、この垂直方向スライダーと共に、垂直方向(Z軸)に移動可能である。この摺動部材19は、
図2内において、閉鎖された位置内において図示されている。
空気圧シリンダー21は、この摺動部材19を、この閉鎖された位置から開放位置22内へと移動する役目を果たす。
【符号の説明】
【0015】
1 工作機械
2 機械フレーム
3 垂直方向スライダー
4 Z方向案内部
5 X方向案内部
6 前壁
7 モータスピンドル
8 加工された加工材料
9 未加工の加工材料
10 チャック
11 移送装置
12 収容位置
13 載置位置
14 工具
15、15′ モータ
16、16′ ボールローラースピンドル
17 作業スペース
18 保護壁
19 摺動部材
20 切削屑捕集槽
21 空気圧シリンダー
22 開放位置