(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963569
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】布団乾燥マット及び布団乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
D06F58/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-143642(P2012-143642)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-4266(P2014-4266A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】稲見 淳一
(72)【発明者】
【氏名】粂谷 学
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−116994(JP,A)
【文献】
特開2011−062247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非通気シートの片面にロ字状に形成された非通気シートを接合して構成された風路を有し、前記風路内に温風が送り込まれると前記風路がロ字状に膨らんで布団を乾燥する布団乾燥マットにおいて、
前記ロ字状の非通気シートの内周縁のうち、互いに対向する角部の長辺側の内周縁及び互いに対向する角部の短辺側の内周縁にそれぞれ吹出口が設けられ、
前記吹出口は、前記風路内に温風が送り込まれると、互いに対向する角部で温風の吹き出し方向が逆方向になることを特徴とする布団乾燥マット。
【請求項2】
前記吹出口の開口は、前記ロ字状の非通気シートの長辺側に設けられた吹出口よりも当該非通気シートの短辺側に設けられた吹出口の方が大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の布団乾燥マット。
【請求項3】
前記吹出口は、前記ロ字状の非通気シートの内周縁側であって、当該ロ字状の非通気シートの各幅の半分より短い位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の布団乾燥マット。
【請求項4】
前記吹出口のうち開口の小さい吹出口の近傍にホース差込口を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の布団乾燥マット。
【請求項5】
請求項4に記載の布団乾燥マットと、
前記布団乾燥マットに設けられたホース差込口に着脱自在に差し込まれるホースと、
室内空気を送風機で吸引し、ヒーターで加熱して前記ホースから温風を吹き出す乾燥機本体と
を備えたことを特徴とする布団乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団等を乾燥するための布団乾燥マット及び布団乾燥マットを備えた布団乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の布団乾燥マットとして、略長方形の非通気シートの片面に、ロ字状の非通気シートを縫い合わせてロ字状の風路を構成したものがある。略長方形の非通気シートとロ字状の非通気シートの接合部の外周縁にはホース差込口が設けられ、その接合部の内周縁には温風を吹き出す吹出口が設けられている。布団乾燥機本体からの温風は、ホースを介して布団乾燥マット内に送り込まれ、前述の吹出口から温風を吹き出して布団に浸透させ、この温風の熱で布団を乾燥させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−141458号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の布団乾燥マットは、吹出口が一カ所だけであるため、吹き出された温風が、吹出口に対向する風路の近傍に移動するにしたがい温度が下がり、ロ字状の風路で囲まれて形成された凹みの上の敷き布団の温度ムラと乾燥ムラが発生する。
また、その乾燥ムラを防ぐために、吹出口から吹き出される温風の風速を高めると、吹出口に対向する風路と敷き布団との間から温風漏れが発生して、敷き布団の乾燥が非効率的になるため、温度ムラと風速の調整に労力が必要であった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、布団との隙間から温風漏れを起こすことなく、効率よく布団乾燥ができる布団乾燥マット及び布団乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る布団乾燥マットは、非通気シートの片面にロ字状に形成された非通気シートを接合して構成された風路を有し、その風路内に温風が送り込まれると風路がロ字状に膨らんで布団を乾燥する布団乾燥マットにおいて、ロ字状の非通気シートの内周縁の
うち、互いに対向する角部の長辺側の内周縁及び互いに対向する角部の短辺側の内周縁にそれぞれ吹出口が設けられ、吹出口は、
風路内に温風が送り込まれると、互いに対向する角部で温風の吹き出し方向が逆方向にな
る。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、風路内に温風が送り込まれると風路がロ字状に膨らむと共に、各吹出口から温風が吹き出し、ロ字状の風路により形成される凹部内を旋回する。その温風の旋回により、布団と凹部とで形成される空間内をまんべんなく均一に温度を上げることができ、同時に布団に浸透して内部を乾燥させることができ、効率良く布団を乾燥することが可能になる。
また、布団を短時間で乾燥させるためにロ字状の風路で形成された凹部内に勢いよく温風を吹出しても布団乾燥マットと布団の隙間から温風漏れを起こすことなく、効率的に布団乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る布団乾燥マットを裏面から見て示す平面図。
【
図2】
図1の布団乾燥マットをA−A方向から見て示す断面図。
【
図3】
図1の布団乾燥マットに設けられた吹出口の位置及び大きさの関係を示す平面図。
【
図4】実施の形態1に係る布団乾燥マットの使用例を示す図。
【
図5】
図1の布団乾燥マットにおける温風の流れを示す平面図。
【
図6】実施の形態2に係る布団乾燥マットに設けられた吹出口の位置及び大きさの関係を示す平面図。
【
図7】実施の形態2に係る布団乾燥マットの使用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る布団乾燥マットを裏面から見て示す平面図、
図2は
図1の布団乾燥マットをA−A方向から見て示す断面図、
図3は
図1の布団乾燥マットに設けられた吹出口の位置及び大きさの関係を示す平面図である。
【0010】
実施の形態1の布団乾燥マット4は、例えば
図1に示すように、略長方形状に形成された非通気シート5と、非通気シート5の片面に設けられ、略長方形状に形成されたロ字状の非通気シート6と、そのロ字状の非通気シート6に設けられたホース差込口8とで構成されている。この布団乾燥マット4は、後述する乾燥機本体1からの温風がホース差込口8から吹き込まれると、
図2に示すように、2枚の非通気シート5、6により構成された風路7がロ字状に、かつ円弧状に膨らむ。
【0011】
風路7は、前述したようにロ字状の非通気シート6を非通気シート5の片面に重ね合わせて、そのロ字状の非通気シート6の内周縁と外周縁とを非通気シート5に接合して構成されている。ロ字状の非通気シート6の内周縁の各角部には、それぞれ吹出口9(9a、9b、9c、9d)が設けられている。これらの吹出口9は、略長方形の非通気シート5とロ字状の非通気シート6の未接合により形成されている。
【0012】
各吹出口9は、
図3に示すように、互いに対向する角部に温風の吹き出し方向が逆方向になるように配置されている。即ち、吹出口9a、9cは、互いに対向する角部の長辺側の内周縁に設けられ、吹出口9b、9dは、互いに対向する角部の短辺側の内周縁に設けられている。吹出口9a、9cの開口幅W1、W2は、吹出口9b、9dの開口幅Z1、Z2よりも小さくなっている。これにより、非通気シート5と温風により膨らんだロ字状の風路7とで形成される略長方形状の凹部A内には、温風の直進する距離の長い吹出口9b、9dからの風量が温風の直進する距離の短い吹出口9a、9cからの風量よりも多く吹き出される。
【0013】
ホース差込口8は、
図3に示すように、ロ字状の非通気シート6のうち、吹出口9aに近い外周縁の角部の近傍に設けられている。即ち、ホース差込口8を吹出口9dよりも近い吹出口9a側に設けている(X<Y)。その位置にホース差込口8を設けるのは、ホース差込口8から風路7内に送り込まれた温風の多くが吹出口9d側の風路7内よりも吹出口9a側の風路7内を直進するようにするためである。このホース差込口8は、乾燥機本体1のホース2が着脱自在に差し込まれる。このホース2は、ホース差込口8に差し込まれた後、例えばマジックテープ(登録商標)などによって密閉された状態で、そのホース差込口8に固定される。
【0014】
前述の乾燥機本体1は、内部にヒーター及び送風機を備え、室内空気を送風機により吸引し、その空気をヒーターにより加熱して温風にし、ホース2の先端に設けられた吐出口3から吹き出す。
【0015】
次に、実施の形態1の布団乾燥マット4で布団を乾燥する場合の温風の流れについて、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は実施の形態1に係る布団乾燥マットの使用例を示す図、
図5は
図1の布団乾燥マットにおける温風の流れを示す平面図である。
【0016】
布団乾燥マット4を用いて布団を乾燥する場合、
図4に示すように、敷き布団101の上に布団乾燥マット4のロ字状の非通気シート6を対向させて敷き、その上に掛け布団102を掛ける。次に、乾燥機本体1のホース2を布団乾燥マット4のホース差込口8に差し込んで固定する。
【0017】
この状態で乾燥機本体1を運転すると、乾燥機本体1により温風が発生し、その温風はホース2を介して吐出口3から非通気シート5とロ字状の非通気シート6との間の風路7に送り込まれる。その風路7に送り込まれた温風は、吹出口9a側の風路7と吹出口9d側の風路7へと二方に分離して流れる。なお、この場合、ホース2の吐出口3の向きが吹出口9a側の風路7に向いているため、温風は吹出口9a側の風路7に多く流れ、ロ字状の風路7を膨らませて、掛け布団102を敷き布団101から浮かせる(
図4参照)。温風により風路7が膨らむ際、ロ字状の風路7で形成された凹部Aと敷き布団101とにより形成される空間内に、各吹出口9から温風が吹き出す。
【0018】
各吹出口9から前記空間内に吹き出された温風は、
図5に示すように、隣接する風路7に沿って流れ、各吹出口9から吹き出される温風によって流れ方向が変わり、反時計方向に旋回する。温風の旋回により、前述した空間内をまんべんなく均一に温度が上がり、同時に敷き布団101に浸透して敷き布団101の内部を乾燥させる。
【0019】
さらに、布団乾燥の時間を短縮させるために風量を増やした場合は、各吹出口9から吹き出される温風の量が増加する。その場合、吹出口9a、9cから吹き出る温風は直進するが、吹出口9b、9dから吹き出る温風がエアーカーテンとなって向きが変わり、また、吹出口9b、9dから吹き出る温風も直進するが、吹出口9a、9cから吹き出る温風がエアーカーテンとなって向きが変わる。そのため、布団乾燥マット4と敷き布団101の隙間から温風が漏れることなく旋回し、布団乾燥用マット4から吹き出された温風は全て敷き布団に浸透する。
【0020】
以上のように実施の形態1によれば、ロ字状の風路7の内周縁に形成された各角部のうち互いに対向する角部に、各吹出口9の吹き出し方向が逆方向となるように配置しているので、布団乾燥の際には、ロ字状の風路7で形成された凹部Aと敷き布団101とで形成される空間内に吹き出された温風は旋回する。その温風の旋回により、前述した空間内をまんべんなく均一に温度を上げることができ、同時に敷き布団101に浸透して敷き布団101の内部を乾燥させることができ、効率良く布団を乾燥することが可能になる。
【0021】
また、ホース差込口8の最も近い角部に開口の小さい吹出口9aを設けているので、乾燥機本体1から吹き出された温風が風路7内を循環することができ、そのため、風路7内の圧力が均一となり、重い掛け布団102でも十分に持ち上げることができる。
【0022】
実施の形態1では、前述の空間内の温風が反時計方向に旋回するように、各角部に吹出口9を設けたが、空間内の温風が時計方向に旋回するように、各角部に吹出口9を設けるようにしても良い。
【0023】
実施の形態2.
図6は実施の形態2に係る布団乾燥マットに設けられた吹出口の位置及び大きさの関係を示す平面図である。
実施の形態2における布団乾燥マットの吹出口9(9a、9b、9c、9d)は、
図6に示すように、ロ字状の非通気シート6に各角部の近傍に切り込みを入れて形成されている。各吹出口9は、ロ字状の非通気シート6の内周縁からM1、M2、M3、M4の位置にそれぞれ設けられている。なお、M1、M2、M3、M4は同じ距離である。
【0024】
吹出口9aの位置M2は、風路7の幅L1の1/2よりも短い距離に位置し、吹出口9bの位置M3は、風路7の幅L3の1/2よりも短い距離に位置し、吹出口9cの位置M4は、風路7の幅L4の1/2よりも短い距離に位置し、吹出口9dの位置M1は、風路7の幅L1の1/2よりも短い距離に位置する。各吹出口9は、実施の形態1と同様に、互いに対向する角部の近傍に吹き出し方向が逆方向になるように配置されている。
【0025】
次に、実施の形態1の布団乾燥マット4で布団を乾燥する場合の温風の流れについて、
図7を用いて説明する。
図7は実施の形態2に係る布団乾燥マットの使用例を示す図である。
【0026】
乾燥機本体1のホース2を布団乾燥マット4のホース差込口8に差し込んで固定し、その状態で乾燥機本体1を運転すると、乾燥機本体1により温風が発生し、その温風はホース2を介して吐出口3から非通気シート5とロ字状の非通気シート6との間の風路7に送り込まれる。その風路7に送り込まれた温風は、吹出口9a側の風路7と吹出口9d側の風路7へと二方に分離して流れる。なお、この場合もホース2の吐出口3の向きが吹出口9a側の風路7に向いているため、温風は吹出口9a側の風路7に多く流れ、ロ字状の風路7を膨らませて、掛け布団102を敷き布団101から浮かせる(
図7参照)。温風により風路7が膨らむ際、ロ字状の風路7で形成された凹部Aと敷き布団101とにより形成される空間内に、各吹出口9から温風が吹き出す。
【0027】
各吹出口9から前記空間内に吹き出された温風は、
図7に示すように、実施の形態1より敷き布団101の表面に近いところで、隣接する風路7に沿って流れ、各吹出口9から吹き出される温風によって流れ方向が変わり、反時計方向に旋回する。温風の旋回により、前述した空間内をまんべんなく均一に温度が上がり、同時に敷き布団101に浸透して敷き布団101の内部を乾燥させる。
【0028】
さらに、実施の形態1と同様に、布団乾燥の時間を短縮させるために風量を増やした場合は、各吹出口9から吹き出される温風の量が増加する。その場合、吹出口9a、9cから吹き出る温風は直進するが、吹出口9b、9dから吹き出る温風がエアーカーテンとなって向きが変わり、また、吹出口9b、9dから吹き出る温風も直進するが、吹出口9a、9cから吹き出る温風がエアーカーテンとなって向きが変わる。そのため、布団乾燥マット4と敷き布団101の隙間から温風が漏れることなく旋回し、布団乾燥用マット4から吹き出された温風は全て敷き布団に浸透する。
【0029】
以上のように実施の形態2によれば、ロ字状の風路7の内周縁に形成された各角部のうち互いに対向する角部の近傍に、各吹出口9の吹き出し方向が逆方向となるように配置しているので、布団乾燥の際には、ロ字状の風路7で形成された凹部Aと敷き布団101とで形成される空間内に吹き出された温風は旋回する。その温風の旋回により、実施の形態1より早く空間内をまんべんなく均一に温度を上げることができ、より効率良く布団を乾燥することが可能になる。
【0030】
また、ホース差込口8の最も近い角部の近傍に開口の小さい吹出口9aを設けているので、乾燥機本体1から吹き出された温風が風路7内を循環することができ、そのため、風路7内の圧力が均一となり、重い掛け布団102でも十分に持ち上げることができる。
【0031】
実施の形態2では、前述の空間内の温風が反時計方向に旋回するように、各角部の近傍に吹出口9を設けたが、空間内の温風が時計方向に旋回するように、各角部の近傍に吹出口9を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 乾燥機本体、2 ホース、3 吐出口、4 布団乾燥マット、5 略長方形状の非通気シート、6 ロ字状の非通気シート、7 風路、8 ホース差込口、9 吹出口、101 敷き布団、102 掛け布団、A 凹部。