特許第5963570号(P5963570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963570
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】地下水浄化装置及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20160721BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   C02F1/44 D
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 520B
   C02F1/50 531P
   C02F1/50 550C
   C02F1/50 550H
   C02F1/50 550L
   C02F1/50 560E
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-145423(P2012-145423)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-8435(P2014-8435A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】596136316
【氏名又は名称】株式会社ウェルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 智
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−192004(JP,A)
【文献】 特開2007−152271(JP,A)
【文献】 特開2011−152544(JP,A)
【文献】 特開2005−074418(JP,A)
【文献】 特開2001−120966(JP,A)
【文献】 特開平06−023356(JP,A)
【文献】 特開2010−137209(JP,A)
【文献】 特開2000−064371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚水ポンプと、該揚水ポンプによって汲み上げられた地下水を一時的に貯留する原水槽と、該原水槽に貯留された地下水をろ過する膜ろ過装置と、前記原水槽から前記膜ろ過装置へと送水するための送水ポンプと、該送水ポンプを含む装置全体の制御に係る制御手段とを含み、
該制御手段による前記送水ポンプの運転制御モードに、揚水規制時において前記送水ポンプの送水量を規定量以下に制限する規制モードと、揚水規制解除時において前記送水ポンプの送水量を前記規定量よりも増加する規制解除モードとを含むことを特徴とする地下水浄化装置。
【請求項2】
前記膜ろ過装置を並列に複数系統備え、各系統の配管には、選択的に通水を行なうためのバルブを備え、
前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御し、前記規制解除モードにおいて、複数系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御することを特徴とする請求項1記載の地下水浄化装置。
【請求項3】
前記複数系統の膜ろ過装置の各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段を備え、
前記制御手段は、少なくとも前記規制モードから前記規制解除モードへのモード切り替えに際し、前記試験手段を作動させる試験モードを含み、かつ、該試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御することを特徴とする請求項2記載の地下水浄化装置。
【請求項4】
前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管に、前処理装置を、選択的にバイパス可能に配置し、
前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記前処理装置への通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記前処理装置に通水制御を行なうことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の地下水浄化装置。
【請求項5】
前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管の、前処理装置の下流位置にて分岐する中水配管が設けられ、該中水配管の分岐部と前記原水槽との間の配管に塩素濃度センサが設置され、かつ、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管又は前記中水配管の一方又は双方に対し、選択的に通水を行なう中水切り替えバルブが設置され、
前記制御手段は、前記塩素濃度センサによる塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、前記中水配管にのみ通水を行なうように、前記中水切り替えバルブを切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の地下水浄化装置。
【請求項6】
前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、ブースターポンプを、選択的にバイパス可能に配置し、
前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記ブースターポンプへの通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記ブースターポンプに対しても通水を行ない、前記ブースターポンプを作動させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の地下水浄化装置。
【請求項7】
前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、薬品タンクと、該薬品タンク内の薬品を前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管へと供給するための、主供給ポンプ及び該主供給ポンプと並列配置された副供給ポンプを備え、
前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記主供給ポンプのみ作動させ、前記規制解除モードにおいて、前記主供給ポンプに加えて前記副供給ポンプを作動させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の地下水浄化装置。
【請求項8】
前記制御手段は、上水道の圧力に応じて、前記送水ポンプの運転制御モードを切り替えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の地下水浄化装置。
【請求項9】
揚水ポンプと、該揚水ポンプによって汲み上げられた地下水を一時的に貯留する原水槽と、該原水槽に貯留された地下水をろ過する膜ろ過装置と、前記原水槽から前記膜ろ過装置へと送水するための送水ポンプと、該送水ポンプを含む装置全体の制御に係る制御手段とを含む地下水浄化装置の運転方法であって、
前記制御手段により、揚水規制時において前記送水ポンプの送水量を規定量以下に制限する規制モードで運転し、揚水規制解除時において前記送水ポンプの送水量を前記規定量よりも増加する規制解除モードで運転することを特徴とする地下水浄化装置の運転方法。
【請求項10】
前記膜ろ過装置を並列に複数系統設け、各系統の配管に、選択的に通水を行なうためのバルブを設け、
前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御し、前記規制解除モードにおいて、複数系統の膜ろ過装置への通水を行なうことを特徴とする請求項9記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項11】
前記複数系統の膜ろ過装置の各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段を設け、
前記制御手段により、少なくとも前記規制モードから前記規制解除モードへのモード切り替えを行なうに際し、前記試験手段を作動させ、該試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御することを特徴とする請求項10記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項12】
前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管に、前処理装置をバイパス可能に配置し、
前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記前処理装置への通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記前処理装置に通水制御を行なうことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項13】
前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管の、前処理装置の下流位置にて分岐する中水配管を設け、該中水配管の分岐部と前記原水槽との間の配管に塩素濃度センサを設置し、かつ、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管又は前記中水配管の一方又は双方に対し、選択的に通水を行なう中水切り替えバルブを設置し、
前記制御手段により、前記塩素濃度センサによる塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、前記中水配管にのみ通水を行なうように、前記中水切り替えバルブを切り替えることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項14】
前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、ブースターポンプを、選択的にバイパス可能に配置し、
前記制御手段により、前記規制モードにおいて前記ブースターポンプへの通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記ブースターポンプに対しても通水を行ない、前記ブースターポンプを作動させることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項15】
前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、薬品タンクと、該薬品タンク内の薬品を前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管へと供給するための、主供給ポンプ及び該主供給ポンプと並列配置された副供給ポンプを備え、
前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記主供給ポンプのみ作動させ、前記規制解除モードにおいて、前記主供給ポンプに加えて前記副供給ポンプを作動させることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項記載の地下水浄化装置の運転方法。
【請求項16】
前記制御手段により、上水道の圧力に応じて、前記送水ポンプの運転制御モードを切り替えることを特徴とする請求項9から15のいずれか1項記載の地下水浄化装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水浄化装置及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地下水を汲み上げて浄化し、浄水として供給することが可能な地下水浄化装置が用いられている(例えば、特許文献1)。
一方、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下を防止するために、地下水の揚水量を規制する法律や条令(以下、「揚水量を規制する法令等」という。)が制定されており、例えば、東京都の揚水規制で認められる揚水量は、10トン/日(月平均)、20トン/日(日量最大)に制限されている。従って、地下水浄化装置の揚水量も、設置場所に定められた揚水規制の範囲内での運転が義務付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地震その他の原因によって水道管が断裂し、浄水の供給が途絶えるような非常時においては、地域に十分な水の供給ができるだけの地下水の揚水量を確保すべく、揚水量を規制する法令等による揚水規制が一時的に解除される場合がある。
しかしながら、従来の地下水浄化装置は、通常時の揚水規制に合致したシステム構成となっており、昨今の危機管理上の要請から、地下水浄化装置をより柔軟に運用することが必要となる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、揚水規制が掛けられた通常時のみならず非常時の揚水量規制解除にも対応可能で、地下水から適切な量の浄水を確保することが可能な、地下水浄化技術を提供することにある。
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)揚水ポンプと、該揚水ポンプによって汲み上げられた地下水を一時的に貯留する原水槽と、該原水槽に貯留された地下水をろ過する膜ろ過装置と、前記原水槽から前記膜ろ過装置へと送水するための送水ポンプと、該送水ポンプを含む装置全体の制御に係る制御手段とを含み、該制御手段による前記送水ポンプの運転制御モードに、揚水規制時において前記送水ポンプの送水量を規定量以下に制限する規制モードと、揚水規制解除時において前記送水ポンプの送水量を前記規定量よりも増加する規制解除モードとを含む地下水浄化装置(請求項1)。
【0007】
本項に記載の地下水浄化装置は、揚水ポンプによって地下水を汲み上げ、汲み上げられた地下水を一時的に原水槽へと貯留し、原水槽に貯留された地下水を送水ポンプによって膜ろ過装置へと送水し、膜ろ過装置でろ過して浄水化するものである。原水槽から膜ろ過装置へと地下水を送水するための送水ポンプは、装置全体の制御に係る制御手段によって制御される。しかも、制御手段による送水ポンプの運転制御モードに、規制モードと規制解除モードとを含むものである。そして、揚水規制時においては、前者、すなわち送水ポンプの送水量を規定量以下に制限する規制モードで、送水ポンプを運転する。他方、揚水規制解除時においては、後者、すなわち送水ポンプの送水量を規定量よりも増加する規制解除モードで、送水ポンプを運転する。これにより、通常は、揚水量を規制する法令等を遵守して、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下を防止する。又、揚水規制が一時的に解除される非常時には、地域に十分な水の供給ができるだけの地下水の揚水量を確保するものである。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記膜ろ過装置を並列に複数系統備え、各系統の配管には、選択的に通水を行なうためのバルブを備え、前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御し、前記規制解除モードにおいて、複数系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御する地下水浄化装置(請求項2)。
【0009】
本項に記載の地下水浄化装置は、膜ろ過装置を並列に複数系統備えることで、揚水規制解除時において必要とされる、単位時間当たりの処理能力を確保するものである。しかも、各系統の配管に設けたバルブによって、各ろ過膜装置に対して選択的に通水を行なうことが可能に構成されている。そして、規制モードにおいては、制御手段によって、複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御することで、揚水規制時において必要とされる、必要最小限の単位時間当たりの処理能力を発揮しながら、休止中の系統の膜ろ過装置の健全性を維持する(細菌の増殖や膜ろ過能力の低下を防ぐ)ものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段によって、複数系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御することで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応する運転を行ない、処理能力の最適化を図るものである。
【0010】
(3)上記(2)項において、前記複数系統の膜ろ過装置の各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段を備え、前記制御手段は、少なくとも前記規制モードから前記規制解除モードへのモード切り替えに際し、前記試験手段を作動させる試験モードを含み、かつ、該試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御する地下水浄化装置(請求項3)。
【0011】
本項に記載の地下水浄化装置は、複数系統の膜ろ過装置の各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段を備え、制御手段によって、試験手段を作動させる試験モードを実行するものである。上記(2)項のように、規制モードにおいては、制御手段によって、複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なうものである。このため、通水休止中の膜ろ過装置については、通水開始(再開)前に、圧力保持試験を行ない、健全性が維持されていることを確認することが望ましい。そこで、少なくとも、規制モードから規制解除モードへのモード切り替えに際して、試験モードを実行し、膜ろ過装置の不具合の有無を確認するものである。そして、試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御するものである。
なお、試験モードの実行は、規制モードから規制解除モードへとモード切り替えを行なう場合のみならず、複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水切り替えを行なう際に実行することとしても良い。
【0012】
(4)上記(1)から(3)項において、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管に、前処理装置を、選択的にバイパス可能に配置し、前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記前処理装置への通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記前処理装置に通水制御を行なう地下水浄化装置(請求項4)。
【0013】
本項に記載の地下水浄化装置は、原水槽と膜ろ過装置とを連通する配管に、前処理装置を、選択的にバイパス可能に配置し、必要に応じて、前処理装置による処理能力の調整を可能としている。すなわち、規制モードにおいては、制御手段によって前処理装置への通水をバイパス制御することで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する運転を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段によって前処理装置に通水制御を行なうことで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応して、膜ろ過装置への負荷の軽減を図るものである。
【0014】
(5)上記(1)から(4)項において、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管の、前記処理装置の下流位置にて分岐する中水配管が設けられ、該中水配管の分岐部と前記原水槽との間の配管に塩素濃度センサが設置され、かつ、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管又は前記中水配管の一方又は双方に対し、選択的に通水を行なう中水切り替えバルブが設置され、前記制御手段は、前記塩素濃度センサによる塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、前記中水配管にのみ通水を行なうように、前記中水切り替えバルブを切り替える地下水浄化装置(請求項5)。
【0015】
本項に記載の地下水浄化装置は、原水槽と膜ろ過装置とを連通する配管の、前処理装置の下流位置にて分岐する中水配管を設け、中水配管の分岐部と原水槽との間の配管に塩素濃度センサを設置して、前処理装置による前処理済みの水の塩素濃度を、制御手段によって監視するものである。そして、通常は、原水槽と膜ろ過装置とを連通する配管又は中水配管の一方又は双方に対し、選択的に通水を行ない、膜ろ過装置を経た浄水、及び、膜ろ過装置を介さない中水の、一方又は双方の供給を可能とするものである。他方、塩素濃度センサによる塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、制御手段によって、中水配管にのみ通水を行なうように、中水切り替えバルブを切り替えることで、中水配管から中水の供給については、継続して行なうものである。
【0016】
(6)上記(1)から(5)項において、前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、ブースターポンプを、選択的にバイパス可能に配置し、前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記ブースターポンプへの通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記ブースターポンプに対しても通水を行ない、前記ブースターポンプを作動させる地下水浄化装置(請求項6)。
【0017】
本項に記載の地下水浄化装置は、揚水ポンプと原水槽とを連通する配管に、ブースターポンプを、選択的にバイパス可能に配置し、必要に応じて、揚水能力の調整を可能とし、揚水規制解除時において必要とされる、単位時間当たりの揚水能力を確保するものである。すなわち、規制モードにおいては、制御手段によって、ブースターポンプをバイパス制御することで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する運転を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段によって、ブースターポンプに対しても通水を行ないブースターポンプを作動させることで、揚水規制解除によって許容される揚水量に対応して、揚水量の増大を図るものである。
【0018】
(7)上記(1)から(6)項において、前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、薬品タンクと、該薬品タンク内の薬品を前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管へと供給するための、主供給ポンプ及び該主供給ポンプと並列配置された副供給ポンプを備え、前記制御手段は、前記規制モードにおいて、前記主供給ポンプのみ作動させ、前記規制解除モードにおいて、前記主供給ポンプに加えて前記副供給ポンプを作動させる地下水浄化装置(請求項7)。
【0019】
本項に記載の地下水浄化装置は、揚水ポンプと原水槽とを連通する配管に、薬品タンクと、薬品タンク内の薬品を揚水ポンプと原水槽とを連通する配管へと供給する、主供給ポンプ及び該主供給ポンプと並列配置された副供給ポンプを備え、必要に応じて、薬品処理能力の調整を可能としている。すなわち、規制モードにおいては、制御手段によって、主供給ポンプのみ作動させことで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する薬品処理を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段によって、主供給ポンプに加えて副供給ポンプを作動させることで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応した、薬品処理能力の最適化を図るものである。
【0020】
(8)上記(1)から(7)項において、前記制御手段は、上水道の圧力に応じて、前記送水ポンプの運転制御モードを切り替える地下水浄化装置(請求項8)。
本項に記載の地下水浄化装置は、上水道の圧力が通常の圧力である場合には、制御手段において、上水道が平常に機能しており、揚水規制が掛けられた平常時であると判断し、送水ポンプの運転制御モードを規制モードで運転、維持する。他方、揚水規制が解除され上水道の水圧低下を確認した時点で、制御手段において、送水ポンプの運転制御モードを規制解除モードに切り替えるものである。なお、上記判断の基準となる上水道の圧力については、本装置の設置環境を考慮して、適宜設定される。
【0021】
(9)揚水ポンプと、該揚水ポンプによって汲み上げられた地下水を一時的に貯留する原水槽と、該原水槽に貯留された地下水をろ過する膜ろ過装置と、前記原水槽から前記膜ろ過装置へと送水するための送水ポンプと、該送水ポンプを含む装置全体の制御に係る制御手段とを含む地下水浄化装置の運転方法であって、前記制御手段により、揚水規制時において前記送水ポンプの送水量を規定量以下に制限する規制モードで運転し、揚水規制解除時において前記送水ポンプの送水量を前記規定量よりも増加する規制解除モードで運転する地下水浄化装置の運転方法(請求項9)。
【0022】
(10)上記(9)項において、前記膜ろ過装置を並列に複数系統設け、各系統の配管に、選択的に通水を行なうためのバルブを設け、前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御し、前記規制解除モードにおいて、複数系統の膜ろ過装置への通水を行なう地下水浄化装置の運転方法(請求項10)。
(11)上記(10)項において、前記複数系統の膜ろ過装置の各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段を設け、前記制御手段により、少なくとも前記規制モードから前記規制解除モードへのモード切り替えを行なうに際し、前記試験手段を作動させ、該試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブを制御する地下水浄化装置の運転方法(請求項11)。
【0023】
(12)上記(8)から(11)項において、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管に、前処理装置をバイパス可能に配置し、前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記前処理装置への通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記前処理装置に通水制御を行なう地下水浄化装置の運転方法(請求項12)。
(13)上記(12)項において、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管の、前処理装置の下流位置にて分岐する中水配管を設け、該中水配管の分岐部と前記原水槽との間の配管に塩素濃度センサを設置し、かつ、前記原水槽と前記膜ろ過装置とを連通する配管又は前記中水配管の一方又は双方に対し、選択的に通水を行なう中水切り替えバルブを設置し、前記制御手段により、前記塩素濃度センサによる塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、前記中水配管にのみ通水を行なうように、前記中水切り替えバルブを切り替える地下水浄化装置の運転方法(請求項13)。
【0024】
(14)上記(8)から(13)項において、前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、ブースターポンプを、選択的にバイパス可能に配置し、前記制御手段により、前記規制モードにおいて前記ブースターポンプへの通水をバイパス制御し、前記規制解除モードにおいて、前記ブースターポンプに対しても通水を行ない、前記ブースターポンプを作動させる地下水浄化装置の運転方法(請求項14)。
(15)上記(8)から(14)項において、前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管に、薬品タンクと、該薬品タンク内の薬品を前記揚水ポンプと前記原水槽とを連通する配管へと供給するための、主供給ポンプ及び該主供給ポンプと並列配置された副供給ポンプを備え、前記制御手段により、前記規制モードにおいて、前記主供給ポンプのみ作動させ、前記規制解除モードにおいて、前記主供給ポンプに加えて前記副供給ポンプを作動させる地下水浄化装置の運転方法(請求項15)。
【0025】
(16)上記(8)から(15)項において、前記制御手段により、上水道の圧力に応じて、前記送水ポンプの運転制御モードを切り替えることを特徴とする地下水浄化装置の運転方法(請求項16)。
そして、上記(8)から(16)項に記載の地下水浄化装置の運転方法によれば、各々、上記(1)から(8)項の地下水浄化装置に対応する作用効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明はこのように構成したので、揚水規制が掛けられた通常時のみならず非常時の揚水量規制解除にも対応可能となり、地下水から適切な量の浄水を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置の構成を示す模式図である。
図2図1に示される地下水浄化装置の、膜ろ過装置及び膜ろ過装置の圧力保持試験を行なう試験手段を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置の、運転方法を例示するフローチャートである。
図4図1に示される地下水浄化装置の応用例を示す、要部模式図である。
図5図4に示される地下水浄化装置の、運転方法を例示するフローチャートである。
図6図1に示される地下水浄化装置の別の応用例を示す、要部模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
図1に示される地下水浄化装置10は、井戸12に設置された揚水ポンプ14と、揚水ポンプ14によって汲み上げられた地下水を一時的に貯留する原水槽16と、原水槽16に貯留された地下水をろ過する膜ろ過装置18と、原水槽16から膜ろ過装置18へと送水するための送水ポンプ20とを備えている。送水ポンプ20はインバータ22によって制御されるものである。原水槽16には水量センサが設けられており、原水槽16内の水量が一定量以下となったときに、後述の制御手段46により、原水槽16の上限貯水量になるまで揚水ポンプ14を運転し、井戸12から井戸水を揚水する。このため、送水ポンプ20の送水量が増加することで、揚水ポンプ14の揚水量も増加する関係にある。
【0029】
又、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24には、前処理装置26が配置されている。この前処理装置26は、後述する理由から、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24に対して選択的にバイパス可能に配置されている。このための構成として、前処理装置26の内部には、前処理用配管経路とそれをバイパスするバイパス管路とが平行に配置され、双方の管路に対して選択的に通水を行なう切り替えバルブが設けられている。そして、この切り替えバルブは、後述する制御手段46によって、適宜、切り替え制御されるように、電磁バルブが用いられる。
又、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28には、薬品供給手段として、薬品タンク30と、薬品タンク30内の薬品を揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28へと供給する、主供給ポンプ32及び主供給ポンプ32と並列配置された副供給ポンプ34とを備えている。そして、これら主供給ポンプ32及び副供給ポンプ34は、インバータ36によって制御されるものである。
【0030】
又、膜ろ過装置18の下流には、膜ろ過装置18によってろ過された水を一時的に貯留する処理水槽38が配置され、膜ろ過装置18と処理水槽38とを連通する配管40には、ろ過された水量を測る流量計42が配置されている。そして、処理水槽38の下流には、受水槽44が配置されており、インバータ22、36(及び後述する制御手段46)に計測データが送信される。
更に、送水ポンプ20を制御するインバータ22、主供給ポンプ32及び副供給ポンプ34を制御するインバータ36、その他、後述する制御弁等を含む装置全体の制御に係る制御手段46を備えている。この制御手段46としては、マイクロコンピュータ等の電子演算器、PLC(programmable logic controller)、リレー回路等を適宜選択し、又はこれらを組み合わせて構成されるものである。そして、受水槽44にも水量センサが設けられており、受水槽16内の水量が一定量以下となったときに、制御手段46から、送水ポンプ20を運転するための指令が、インバータ22に出力される。
【0031】
膜ろ過装置18は、図2にも示されるように並列に複数系統が備えられている。図示の例では3系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cを具備しており、膜ろ過装置18Aの配管にはバルブB1、B2が、膜ろ過装置18Bの配管にはバルブB3、B4が、膜ろ過装置18Cの配管にはバルブB5、B6が、各々設けられている。そして、各バルブを適切に切り替えることで、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cに対し、選択的に通水を行なうことが可能となっている。なお、図示の例に係るバルブB1〜B6としては、制御手段46からの制御信号を受けて作動することが可能な、電磁バルブと連動する空気作動バルブが用いられる。
又、膜ろ過装置18には、複数系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cの各々に対して圧力保持試験(PDT:Pressure Decay Test)を行なうための、試験手段48を備えている。試験手段48及びPDTについては、追って詳述する。
【0032】
又、制御手段46の制御ロジックには、送水ポンプ20の運転制御モードとして、規制モードと規制解除モードとを含んでいる。規制モードは、揚水規制時において送水ポンプ20の送水量を規定量以下に制限するものである。他方、規制解除モードは、揚水規制解除時において送水ポンプ20の送水量を規定量よりも増加するものである。
そして、本実施の形態では、制御手段46によって上水道の圧力を監視し、上水道の圧力に応じて、送水ポンプ20の運転制御モードを切り替えるように構成されている。
【0033】
又、制御手段46は、規制モードにおいて、複数系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cのうちのいずれか一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、順番に別系統の膜ろ過装置への所定時間の通水を行なうように、各系統のバルブを制御する。他方、規制解除モードでは、制御手段46は、複数系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cへの通水を同時に行なうように、各系統のバルブをB1〜B6を制御する。
しかも、制御手段46は、少なくとも規制モードから規制解除モードへのモード切り替えに際し、試験手段48を作動させる試験モード(後述する)を含んでおり、かつ、膜ろ過装置18A、18B又は18Cのうち、試験モードにおいて不具合が検知されない全ての系統のろ過装置へと通水を行なうように、各系統のバルブB1〜B6を制御するものである。
【0034】
併せて、膜ろ過装置18と処理水槽38とを連通する配管40には、流量計42と直列又は並列に濁度計(図示省略)が配置されており、制御手段46によって、ろ過水の濁度が常時監視されている。そして、膜ろ過装置18全体の健常性を常時監視し、厚生労働省の「クリプトスポジウム等対策指針」に準じて、膜ろ過水の濁度が0.1度以下であることが確認された場合に、規制モード及び規制解除モードの、いずれかの運転モードを続行するものである。
加えて、制御手段46は、規制モードにおいて、薬品供給手段を構成する主供給ポンプ32のみ作動させ、規制解除モードにおいて、主供給ポンプ32に加えて副供給ポンプ34を作動させるように、インバータ36を制御する。
【0035】
ここで、試験手段48及びPDTについて、詳しく説明する。図2に示される試験手段48は、膜ろ過装置18を構成する膜やフィルター(UF膜)を十分に濡らし、膜ろ過装置18に空気又は窒素ガス(以下、「空気等」という。)を注入してバブルポイント以下の圧力(通常バブルポイントの80%)を加えたとき、拡散により二次側へと通過する気体によって生じる、一次側の圧力低下を測定するものである。そして、PDTは上記試験手法であって、ろ過膜の完全性を検討するための、非破壊試験の一種である。
なお、バブルポイントは、フィルターの最大孔径を表す指標であり、多孔質膜を十分に濡らして、片側を空気加圧して反対側から連続して気泡が発生してくるときの圧力をいう。このバブルポイントが高いほど、膜の孔径が小さいことを意味するものである。
【0036】
膜ろ過装置18の内部には、複数のストロー状のUF膜(限外ろ過膜)が複数束ねられるようにして配置され、かつ、UF膜には孔径0.005μm程度の孔が多数開いている。そして、膜ろ過装置18に供給された水は、重力方向下方から上方へ向けて、ストロー状のUF膜の中を通り、孔からUF膜の外側へと出て行く。そのとき、UF膜の孔が非常に小さいことから、細かいゴミや微生物も、確実にろ過されて浄化水となる。
そして、膜ろ過装置18に対しPDTを実施する際には、UF膜の外(二次側)から空気等を噴きつける。このとき、空気等はUF膜の外側から内側へと向けて通過しようとするが、UF膜が濡れているとUF膜の孔が非常に小さいことから、空気は一次側へと通過しない。しかしながら、UF膜が破れてしまっていると、その破れた部分を空気等が通過することにより一次側の圧力が上昇する。PDTはこの、一次側の圧力上昇の有無から、膜ろ過装置18の不具合の有無を判断するものである。なお、UF膜に換えてMF膜その他の膜を用いる場合も同様である。
【0037】
上記PDTを実施するための試験手段48としては、図2に示されるように、膜ろ過装置18と処理水槽38とを連通する配管40を介して、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cに圧縮空気等を供給する空気等配管52を備えている。又、各膜ろ過装置18A、18B、18Cに設けられた一次側空気等出口配管54に接続された圧力計56と、各膜ろ過装置18A、18B、18C毎に、一次側空気等出口配管54に設けられたバルブB7〜B9とを備えている。更に、膜ろ過装置18と処理水槽38とを連通する配管40に設けられたバルブB10を備えている。なお、バルブB7〜B10についても、制御手段46からの制御信号を受けて作動するように、電磁バルブが用いられる。そして、制御手段46の試験モードにおいて、後述する手順でPDTを実施する。
【0038】
ここで、図3を参照しながら、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10の運転フローについて説明する。
S100(揚水規制の確認):制御手段46によって上水道の圧力を常時監視する。上水道の圧力が通常の圧力に維持されている場合には、上水道により十分な水の供給量が確保されているとして、送水ポンプ20の送水量が規定量以下となるようにインバータ22に対して制御指令を出力する。
S110(バルブ全て閉):上記S100において、送水ポンプ20の運転制御モードが規制モードに設定された場合には、制御手段46によって、各系統の膜ろ過装置18A、18B又は18Cに係る、全てのバルブB1〜B6を一端閉じる。
【0039】
S120(バルブB1バルブB2開):制御手段46によって、膜ろ過装置18Aにのみ通水がなされるように、バルブB1、B2を開放する。
S130(ポンプON):制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転指令を出力する。そして、膜ろ過装置18Aのみに通水し、膜ろ過を行なう。
S140(所定時間後ポンプOFF):上記S130の運転状態を所定時間継続した後、制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転停止指令を出力する。なお、上記S130の継続時間については、他の停止中の膜ろ過装置18B、18Cに不具合が生じないように、地下水浄化装置10の設置環境、井戸水の水質、気候、天候等を考慮して、適宜設定されるものである。このため、急な天候変化があったような場合には、上記S130の継続時間を適宜変更するように調整することも可能である(以下、S170、S210も同様)。
S150(バルブB1バルブB2閉):制御手段46によって、膜ろ過装置18Aの通水を停止するべく、バルブB1、B2を閉じる。
【0040】
S160(バルブB3バルブB4開):制御手段46によって、膜ろ過装置18Bにのみ通水がなされるように、バルブB3、B4を開放する。
S170(ポンプON):制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転指令を出力する。そして、膜ろ過装置18Bのみに通水し、膜ろ過を行なう。
S180(所定時間後ポンプOFF):上記S170の運転状態を所定時間継続した後、制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転停止指令を出力する。
S190(バルブB3バルブB4閉):制御手段46によって、膜ろ過装置18Bの通水を停止するべく、バルブB3、B4を閉じる。
【0041】
S200(バルブB5バルブB6開):制御手段46によって、膜ろ過装置18Cにのみ通水がなされるように、バルブB5、B6を開放する。
S210(ポンプON):制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転指令を出力する。そして、膜ろ過装置18Cのみに通水し、膜ろ過を行なう。
S220(所定時間後ポンプOFF):上記S210の運転状態を所定時間継続した後、制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転停止指令を出力する。
S230(バルブB5バルブB6閉):制御手段46によって、膜ろ過装置18の通水を停止するべく、バルブB5、B6を閉じる。以後、S100〜S230の各ステップを繰り返す。
【0042】
S300(膜の圧力保持テスト):上記S100において、送水ポンプ20の運転制御モードが規制解除モードに設定された場合には、制御手段46は、各系統の膜ろ過装置18A、18B又は18Cに対して順番にPDTを実施するための、試験モードを起動させる。
まず、膜ろ過装置18Aに対しPDTを実施する際には、バルブB1、B7以外のバルブを締めて、空気等配管52から圧縮空気等を膜ろ過装置18Aに供給する。このとき、圧力計56により空気等の圧力を検知しなければ、UF膜の損傷はなく、膜ろ過装置18Aの不具合は生じていないと判断される。同様に、膜ろ過装置18BのPDTを実施する際には、バルブB3、B8以外のバルブを締め、膜ろ過装置18CのPDTを実施する際には、バルブB5、B9以外のバルブを締めて、同様の検査を行ない、膜ろ過装置18B、18Cの不具合の有無を判断するものである。
S310(バルブ全て開):上記S300のPDTの結果、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cに不具合が認められなかった場合には、全系統の、膜ろ過装置18A、18B、18Cに通水を行なうべく、各系統に係る全てのバルブB1〜B6(及びB10)を開放する。
S320(揚水規制再開まで運転):制御手段46によって、インバータ22に対し送水ポンプ20の運転解除モードに係る運転指令を出力する。そして、バルブが開放された系統の膜ろ過装置18の各々に通水し、膜ろ過を行なう。
又、送水ポンプ20の送水量の増加にあわせて、制御手段46によって、前処理装置26の内部の切り替えバルブを、バイパス回路への送水から前処理用配管経路への送水となるように切り替え制御し、前処理装置26による予備的な浄化も平行して行なう。
S330(使用可能膜のみで運転):上記S300のPDTの結果、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cのいずれか不具合が認められた場合には、不具合が認められなかった系統の、膜ろ過装置18にのみ通水を行なうべく、制御手段46によって、不具合が認められなかった系統に係る全てのバルブを開放する。
【0043】
なお、上記S300のPDTの結果、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cのいずれか不具合が認められた場合には、適宜、不具合が認められた膜ろ過装置の修理を行ない、膜ろ過可能な状態へと保全することとする。
又、試験モードの実行は、規制モードから規制解除モードへとモード切り替えを行なう場合(S300)のみならず、複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水切り替えを行なう際(S110とS120の間、S150とS160の間、及び、S190とS200の間。)に、実行することとしても良い。この場合には、不具合が認められた膜ろ過装置については上記フローから外し、その間に、不具合が認められた膜ろ過装置の修理を行ない、膜ろ過可能な状態へと保全することとする。
又、本実施の形態では、上記フローを全て制御手段46によって統合制御する構成を有しているが、それぞれの判断及び操作を、適宜、手動操作を織り交ぜて、若しくは全て作業者による手作業で行なうように、構成することも可能である。
【0044】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、揚水ポンプ14によって地下水を汲み上げ、汲み上げられた地下水を一時的に原水槽16へと貯留し、原水槽16に貯留された地下水を送水ポンプ20によって膜ろ過装置18へと送水し、ろ過して浄水化するものである。原水槽16から膜ろ過装置18へと地下水を送水するための送水ポンプ20は、装置全体の制御に係る制御手段46によって制御されるものである。しかも、制御手段46による送水ポンプ20の運転制御モードに、規制モードと規制解除モードとを含むものである。そして、揚水規制時においては、送水ポンプ20の送水量を規定量以下に制限する規制モードで、送水ポンプ20を運転する。他方、揚水規制解除時においては、送水ポンプ20の送水量を規定量よりも増加する規制解除モードで、送水ポンプ20を運転する。これにより、通常は、揚水量を規制する法令等を遵守して、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下を防止し、揚水規制が一時的に解除される非常時には、地域に十分な水の供給ができるだけの、地下水の揚水量を確保することが可能となる。
【0045】
又、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、膜ろ過装置18を並列に複数系統備えることで、揚水規制解除時において必要とされる、単位時間当たりの処理能力を確保することが可能である。しかも、各系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cの配管に設けたバルブB1〜B6によって、各ろ過膜装置18A、18B、18Cに対して選択的に通水を行なうことが可能となっている。そして、規制モード(S110〜S230)においては、制御手段46によって、複数系統の膜ろ過装置の一系統にのみ、所定時間通水を行なった後、別系統の膜ろ過装置への通水を行なうように、各系統のバルブB1〜B6を制御することで、揚水規制時において必要とされる、必要最小限の単位時間当たりの処理能力を発揮しながら、休止中の系統の膜ろ過装置18の健全性を維持するものである。
他方、規制解除モード(S300〜S330)においては、制御手段46によって、複数系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cへの通水を行なうように、各系統のバルブB1〜B6を制御することで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応する運転を行ない、処理能力の最適化を図ることが可能となる。
【0046】
又、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、複数系統の膜ろ過装置18A、18B、18Cの各々に対して圧力保持試験を行なう試験手段48(図2)を備え、制御手段46によって、試験手段48を作動させる試験モードを実行するものである。そして、規制モードにおいては、上述のごとく、複数系統の膜ろ過装置18の一系統にのみ、所定時間通水を行なうことから、試験手段48により、通水休止中の膜ろ過装置に対して、通水開始(再開)前にPDTを行ない、健全性が維持されていることを確認するものである。このために、制御手段46は、少なくとも、規制モードから規制解除モードへのモード切り替えに際して、試験モードを実行し、膜ろ過装置18の不具合の有無を確認するものである。そして、試験モードにおいて不具合が検知されない膜ろ過装置18への通水を行なうように、各系統のバルブB1〜B6を制御するものである。
【0047】
又、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24に、前処理装置26を、選択的にバイパス可能に配置し、必要に応じて、前処理装置26による処理能力の調整を可能としている。すなわち、規制モードにおいては、制御手段46によって、前処理装置26への通水をバイパス制御することで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する運転を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段46によって、前処理装置26に通水制御を行なうことで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応して、膜ろ過装置18への負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0048】
又、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28に、薬品タンク30と、薬品タンク30内の薬品を、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28へと供給する、主供給ポンプ32及び主供給ポンプ32と並列配置された副供給ポンプ34とを備え、必要に応じて、薬品処理能力の調整を可能としたものである。すなわち、規制モードにおいては、制御手段46によって、主供給ポンプ32のみ作動させことで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する薬品処理を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段46によって、主供給ポンプ32に加えて副供給ポンプ34を作動させることで、揚水規制解除によって増加する処理水量に対応した、薬品処理能力の最適化を図ることが可能となる。
【0049】
又、本発明の実施の形態に係る地下水浄化装置10は、上水道の圧力が通常の圧力である場合には、制御手段46において、上水道が平常に機能しており、揚水規制が掛けられた平常時であると判断し、送水ポンプ20の運転制御モードを規制モードで運転、維持するものである。他方、揚水規制が解除され上水道の水圧低下を確認した時点で、制御手段46において、送水ポンプ20の運転制御モードを規制解除モードに切り替えるものである。このようにして、揚水規制の有無に応じた運転モードで、送水ポンプ20を運転して、膜ろ過を行なうことが可能となる。
【0050】
さて、図4には、図1に示される地下水浄化装置10の応用例として、揚水ポンプ14と原水槽16と、これらを連通する配管28の部分のみ、抜粋して示している。図示以外の部分の構成については、図1の例と同様であることから、詳しい説明を省略する。
【0051】
本応用例では、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28に、ブースターポンプ58を、選択的にバイパス可能に配置している。具体的には、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28(バイパス配管28A)と、これに平行な配管28Bと、この配管28Bに対して選択的に通水を行なうためのバイパスバルブB11、B12と、平行な配管28Bに配置されたブースターポンプ58とを備えるものである。又、バイパスバルブB11、B12についても、制御手段46からの制御信号を受けて作動する電磁バルブと連動する、空気作動バルブが用いられる。
【0052】
そして、本応用例に係る地下水浄化装置10は、規制解除モードにおいて、図5に例示される手順で動作するものである。
S500(揚水規制解除命令):制御手段46は、規制解除モードにおいて、バイパスバルブB11、B12に対して、平行な配管28Bをバルブ開放するための制御信号を出力する。
S510(バルブ開):上記S500の制御信号を受けて、バイパスバルブB11、B12が開放され、平行な配管28Bに対しても通水可能となる。
S520(揚水ポンプON):制御手段46によって、揚水ポンプ14に対し運転指令信号が出力され、揚水ポンプ14が運転開始(ON)される。
S530(ブースターポンプON):制御手段46によって、ブースターポンプ58に対し運転指令信号が出力され、ブースターポンプ58が運転開始(ON)される。
S540(原水槽からの送水停止信号):原水槽16内の水量が上限貯水量となると、原水槽16に設けられた水量センサから、その旨の検知信号が制御手段46へと出力される。
S550(ブースターポンプOFF):制御手段46によって、ブースターポンプ58に対し運転停止指令信号が出力され、ブースターポンプ58が運転停止(OFF)される。
S560(揚水OFF):制御手段46によって、揚水ポンプ14に対し運転停止指令信号が出力され、揚水ポンプ14が運転停止(OFF)される。
S50(原水槽からの送水信号):原水槽16内の水量が一定量以下となると、原水槽16に設けられた水量センサから、その旨の検知信号が制御手段46へと出力される。そして、規制解除モードにおいて、上記S520以降の各ステップが繰り返される。
【0053】
本応用例によれば、揚水ポンプ14と原水槽16とを連通する配管28に、ブースターポンプ58を、選択的にバイパス可能に配置することで、必要に応じて、揚水能力の調整が可能となっており、揚水規制解除時において必要とされる、単位時間当たりの揚水能力を確保するものである。すなわち、規制モードにおいては、制御手段46によって、ブースターポンプ58をバイパス制御することで、揚水規制下での少ない処理水量に対応する運転を行なうものである。他方、規制解除モードにおいては、制御手段46によって、ブースターポンプ58に対しても通水を行ない、ブースターポンプ58を作動させることで(S500〜S570)、揚水規制解除によって許容される揚水量に対応して、揚水量の増大を図ることが可能となる。このため、揚水ポンプ14として、規制解除モードにおける大揚水量に対応した、大容量のポンプを用いる必要がなくなるものである。
【0054】
又、図6には、図1に示される地下水浄化装置10の更なる応用例として、中水配管60を設けた例を示している。図示以外の部分の構成については、図1の例と同様であることから、詳しい説明を省略する。
【0055】
本応用例では、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24の、処理装置26の下流位置にて分岐するように、中水配管60が設けられている。又、中水配管60の分岐部62と原水槽16との間の配管の、適切な位置に、塩素濃度センサ64が設置されている。塩素濃度センサ64の検出信号は、制御手段46へと送信され、塩素濃度が把握される。又、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24、又は、中水配管60の一方又は双方に対し、選択的に通水を行なう中水切り替えバルブB13、B14が設置されている。図示の例では、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24にはバルブB13が、中水配管60にはバルブB14が、各々配置されている。これらの中水切り替えバルブB13、B14についても、制御手段46からの制御信号を受けて作動するように、電磁バルブが用いられる。
【0056】
そして、塩素濃度センサ64による塩素濃度の検出値が所定値を超えているときは、制御手段46は、膜ろ過装置18へと通水を行なうように、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24のバルブB13を開放し、中水配管60のバルブB14を閉じる(若しくは開放する)ように、各中水切り替えバルブを制御する。他方、塩素濃度センサ64による塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24のバルブB13を閉じ、中水配管60のバルブB14のみ開放するように、各バルブを制御する。
【0057】
さて、本応用例では、前処理装置26による前処理済みの水の塩素濃度を、制御手段46によって監視するものである。そして、通常は、原水槽16と膜ろ過装置18とを連通する配管24又は中水配管60の一方又は双方に対し、選択的に通水を行ない、膜ろ過装置18を経た浄水、及び、膜ろ過装置18を介さない中水の、一方又は双方の供給を可能とするものである。他方、塩素濃度センサ64による塩素濃度の検出値が所定値を下回るとき、制御手段46によって、中水配管60にのみ通水を行なうように、中水切り替えバルブB13、B14を切り替えることで、中水配管60から中水の供給については、継続して行なうことが可能となる。
【0058】
上記構成によれば、災害発生時に予想される交通障害に起因して、本地下水浄化装置10の薬品タンク30への薬品の供給が滞ってしまうような場合には、薬品(本例では次亜塩素酸ナトリウム)の不足を、制御手段46によって、塩素濃度センサ64による塩素濃度の検出値から把握するものである。そして、塩素濃度が所定値『水道法第22条に基づく水道法施行規則(厚生労働省令)第17条第3号:給水栓における水が、遊離残量塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上に保持するように塩素消毒をすること。』を下回る場合であっても、膜ろ過装置18による膜処理を行なうことなく、中水配管60から、中水(雑用水)として供給することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10:地下水浄化装置、12:井戸、14:揚水ポンプ、16:原水槽、18:膜ろ過装置、 20:送水ポンプ、 24:原水槽と膜ろ過装置とを連通する配管、26:前処理装置、28:揚水ポンプと原水槽とを連通する配管、30:薬品タンク、32:主供給ポンプ、34:副供給ポンプ、40:膜ろ過装置と処理水槽とを連通する配管、46:制御手段、48:試験手段、50:UF膜、52:空気等配管、54:一次側空気等出口配管、56:圧力計、58:ブースターポンプ、60:中水配管、62:中水配管の分岐部、64:塩素濃度センサ、 66、68:中水切り替えバルブ、 B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10:バルブ、 B11、B12:バイパスバルブ、 B13、B14:中水切り替えバルブ
図1
図2
図3
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図5
図6