(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パルスレーダ装置は、マグネトロン等の発振器で生成した高周波のパルス信号をアンテナから送信し、周囲のターゲットから返ってきたエコー(反射波)をアンテナで受信して検波することにより、前記ターゲットを探知するものである。従来のレーダ装置の構成を、
図3に示す。
【0003】
図3に示すように、従来のレーダ装置1の受信機10では、検波器4の前段にフロントエンド部3を備えた構成が一般的である。フロントエンド部3は、アンテナ2で受信した高周波信号RFを中間周波数信号IFにダウンコンバートするものである。このフロントエンド部3は、局部発振器信号LOを出力する局部発振器5と、受信した高周波信号RFに前記局部発振器信号LOを混合するミキサ6と、を備える。なお、このようなフロントエンド部を備えた受信機は、例えば特許文献1から4に記載されている。
【0004】
ところで、マグネトロン19や局部発振器5は温度変化によって不安定になるため、信号の送受信を行う前には予め通電して予熱しておかなければならない。そこで従来のレーダ装置は、マグネトロン19や局部発振器5に通電のみ行い、信号の送受信は行わないモード(以下、スタンバイモード)を有している。
【0005】
スタンバイモードの役割は主に2つある。1つ目は、レーダ装置1の電源投入時に、マグネトロン19や局部発振器5に通電して予熱を行うことである。即ち、レーダ装置1に電源を投入した直後にスタンバイモードへと移行することにより、マグネトロン19や局部発振器5を予熱できる。そして、当該予熱が十分に行われた後でスタンバイモードを解除して送受信を開始することで、適切に送受信を行うことができる。
【0006】
スタンバイモードの役割の2つ目は、マグネトロン19や局部発振器5への通電を継続しつつ、レーダアンテナ2からのパルス信号の送信を一時的に中断することである。例えば、寄港したときなどにレーダ装置1の送受信を一時的に中断したい場合があるが、このとき仮にマグネトロン19や局部発振器5への電気の供給を遮断してしまうと、送受信を再開するときに再び予熱が必要になってしまう。そこで、送受信を一時的に中断する際にスタンバイモードに移行すれば、マグネトロン19や局部発振器5への通電を継続した状態で、送受信を中断できる。これによりマグネトロン19や局部発振器5が温度変化で不安定になることを防止できるので、必要に応じて即座に(予熱無しに)送受信を再開できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示す従来のレーダ受信機10では、局部発振器5からの局部発振器信号LOがミキサ6を介してアンテナ2側に漏洩し、当該アンテナ2から放射される場合がある。このように局部発振器信号LOがアンテナ2から放射されてしまうと、自船や近くの船に装備された他のレーダ装置に干渉映像として妨害を与えるおそれがある。
【0009】
ただし、アンテナ2から漏洩する局部発振器信号LOは、マグネトロン19によって生成されるパルス信号に比べると微弱である。このため、レーダ装置1の通常の送受信時であれば、アンテナ2から漏洩する局部発振器信号LOはパルス信号に埋もれてしまい、観測されることはない。以上のような事情があったため、局部発振器信号の漏洩は大きな問題になりにくく、その対策も殆ど行われていなかった。
【0010】
しかし、レーダ装置1がスタンバイモードのときは、パルス信号の送受信は行われないので、アンテナ2から漏洩する局部発振器信号LOが観測され易くなる。また、漏洩する局部発振器信号LOが微弱であったとしても、例えば港内のように他船との距離が近い状況では、当該他船のレーダ装置に妨害を与え易くなる。港内ではレーダ装置1がスタンバイモードに切り換えられていることが多いと考えられるので、スタンバイモードにおける局部発振器信号LOの影響を無視できず、その漏洩対策が必要である。
【0011】
そこで、例えば
図3に示す低雑音増幅器7の前段にPINダイオードなどの減衰器を挿入して、アイソレーションを確保して漏洩対策することも考えられる。しかし、このような対策は問題を根本的に解決するものではなく、アンテナから局部発振器信号が漏洩することを完全に防ぐことはできない。
【0012】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、局部発振器信号がアンテナから漏洩することを確実に防止したレーダ受信機を提供することにある。
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0014】
本発明の観点によれば、以下の構成のレーダ
装置が提供される。即ち、
このレーダ装置は、アンテナと、レーダ送信機と、レーダ受信機と、を備える。前記レーダ送信機は、前記アンテナに対して送信信号を出力する。前記レーダ受信機には、エコーが前記アンテナで受信された信号が入力される。前記レーダ受信機は、局部発振器と、ミキサと、緩衝増幅器と、モード切換部と、を備える。前記局部発振器は、局部発振器信号を出力する。前記ミキサは、
前記アンテナで受信した高周波信号と、前記局部発振器信号とを混合する。前記緩衝増幅器は、前記局部発振器と前記ミキサの間に配置される。前記モード切換部は、前記局部発振器に電力を供給し、前記緩衝増幅器には電力を供給しないスタンバイモードと、前記局部発振器及び前記緩衝増幅器の両方に電力を供給する受信モードと、を少なくとも切り換える。
信号の送受信を中断するときは、前記レーダ受信機が前記スタンバイモードに切り換わる。信号の送受信を再開するときは、前記レーダ受信機が前記受信モードに切り換わる。
【0015】
このように、局部発振器とミキサの間にある緩衝増幅器の電源をOFFにすることで、スタンバイモードにおいて局部発振器信号がミキサを介して漏洩することを確実に防止できる。また、上記スタンバイモードでも局部発振器の電源はONの状態とするので、当該局部発振器が温度変化によって不安定になることを防止できる。なお、緩衝増幅器は、ミキサと局部発振器との間の結合度を下げるためのものであり、一般的に温度変化の影響を受けにくい。従って、上記のように緩衝増幅器の電源をOFFにしたとしても、当該緩衝増幅器が不安定になるおそれはない。
【0016】
上記のレーダ
装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、
前記レーダ受信機は、前記アンテナで受信した高周波信号を増幅して前記ミキサに出力する低雑音増幅器を備える。前記モード切換部は、前記スタンバイモード及び前記受信モードの両方において、前記低雑音増幅器に電力を供給する。
【0017】
即ち、低雑音増幅器は温度変化によって不安定になるおそれがあるので、スタンバイモードでも電源をONにしておく。これにより、低雑音増幅器の温度変化を防止できるので、スタンバイモードから受信モードに切り換わった段階で、すぐに安定した受信を開始できる。
【0018】
上記のレーダ
装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記モード切換部は、レーダ送信機の送信を開始する操作が行われたときに出力されるトリガ信号を取得する。そして、前記モード切
換部は、前記トリガ信号を取得したときに、前記スタンバイモードから前記受信モードに切り換える。
【0019】
このように、送信機側において送信開始の操作が行われたときに、これに連動して受信機が受信モードに切り換わることで、レーダの送受信を開始できる。
【0020】
上記のレーダ
装置は、以下のように構成することもできる。即ち、
前記レーダ受信機は、前記アンテナによる信号の受信の有無を検出する受信検出部を備える。そして前記モード切換部は、前記信号の受信が検出されたときに、前記スタンバイモードから前記受信モードに切り換える。
【0021】
このように、信号が受信されたときに、受信機が受信モードに切り換わることで、レーダの送受信を開始できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す本実施形態のレーダ装置20は、船舶用のパルスレーダ装置であり、レーダアンテナ2と、送信部(レーダ送信機)8と、サーキュレータ9と、受信部(レーダ受信機)21と、操作部15と、電源部14と、を備えている。
【0025】
送信部8は、マグネトロン19からなる発振器を備えており、当該マグネトロン19によって高周波のパルス信号(送信信号)を所定の周期で生成してレーダアンテナ2に印加する。これにより、レーダアンテナ2からパルス信号が放射される。レーダアンテナ2は、所定の回転周期で回転しながら、電波の送受信を繰り返す周知の構成である。
【0026】
サーキュレータ9は、送信部8からの高エネルギーのパルス信号が受信部21に入力されないように、また、レーダアンテナ2で受信された信号が受信部21に適切に入力されるように、信号の経路を適宜切り換えるように構成されている。
【0027】
操作部15は、例えば複数の操作ボタン等を備えた構成であり、ユーザが各種の操作を行うことができるように構成されている。
【0028】
続いて、受信部21の構成について説明する。
【0029】
受信部21は、フロントエンド部3と、IF増幅器12と、検波器4と、表示部13と、を備えている。
【0030】
フロントエンド部3は、低雑音増幅器7と、ミキサ6と、局部発振器5と、緩衝増幅器11と、を備えている。
【0031】
低雑音増幅器7は、レーダアンテナ2で受信された高周波信号(RF信号)を、高SN比で増幅する。低雑音増幅器7で増幅された高周波信号RFは、ミキサ6に出力される。
【0032】
局部発振器5は、局部発振器信号(LO信号)を生成してミキサ6に出力する。また、局部発振器5とミキサ6との間には緩衝増幅器11が設けられている。これにより局部発振器5とミキサ6との間の結合度を下げ、引き込み減少によって局部発振器信号LOの周波数が不安定になることを防止している。なお、本実施形態のフロントエンド部3では、緩衝増幅器11を複数段設けている。
【0033】
ミキサ6は、低雑音増幅器7からの高周波信号RFと、緩衝増幅器11からの局部発振器信号LOを混合することにより、中間周波数信号(IF信号)を生成して出力する。中間周波数信号IFは、IF増幅器12で適宜増幅された後、検波器4に入力される。
【0034】
検波器4は、中間周波数信号IFの検波を行い、サンプリングを行ってデジタルの波形データ(受信データ)を得る。受信データは、表示部13に出力される。表示部13は、前記受信データに適宜の信号処理を行うことでレーダ映像を生成し、適宜の表示手段(例えば液晶ディスプレイ)によって表示するように構成されている。なお、受信データに基づいてレーダ映像を生成する構成は公知であるから、詳細な説明は省略する。
【0035】
また、上記の送信部8と受信部21は、電源部14から電気の供給を受けて動作する。電源部14には、適宜の外部電源から電気が供給されている。電源部14から送信部8及び受信部21への電気の供給は、ユーザが適宜の操作を行うことによりON/OFFを切り換えることができる。電源部14をOFFとした状態(即ち、レーダ装置20の電源を切った状態)では、送信部8及び受信部21には電気が供給されない。従って、この状態では、レーダ装置20による信号の送受信は行われない。一方、電源部14をONにした状態(即ち、レーダ装置20の電源を入れた状態)では、送信部8及び受信部21へ電気を供給してレーダ装置20を動作させることが可能になる。
【0036】
続いて、送信部8の動作モードの切り換えについて説明する。本実施形態のレーダ装置20において、送信部8は、「送信モード」と「スタンバイモード」の少なくとも2つの動作モードを切り換えて動作を行うことができる。
【0037】
「送信モード」は、送信部8のマグネトロン19からパルス信号を出力して、レーダアンテナ2に印加するモードである。このモードでは、レーダアンテナ2から前記パルス信号が送信されるので、レーダ装置20における信号の送信を通常通り行うことができる。
【0038】
一方、「スタンバイモード」は、送信部8のマグネトロン19への通電のみを行い、パルス信号の出力は行わないモードである。このようにマグネトロン19に通電することで、当該マグネトロン19の温度を安定させることができる。
【0039】
送信モードとスタンバイモードの切り換えは、ユーザが操作部15を操作することにより行うことができる。例えば本実施形態の操作部15は、「送信/スタンバイ切換ボタン」(以下、単に切換ボタン)を有している。ユーザが切換ボタンを操作するたびに、操作部15は、スタンバイモード切換トリガ信号と、送信モード切換トリガ信号と、を交互に出力する。前記トリガ信号は、送信部8に入力される。
【0040】
送信部8は、送信モード切換トリガ信号を受信した場合、マグネトロン19からのパルス信号の出力を開始する。これにより、レーダ装置20による信号の送信が開始される。つまり、ユーザが操作部15の切換ボタンを操作することにより送信モード切換トリガ信号が出力されたときには、送信部8の動作モードが「送信モード」に切り換わるように構成されている。
【0041】
一方、送信部8は、スタンバイモード切換トリガ信号を受信した場合、マグネトロン19からのパルス信号の出力を行わず、当該マグネトロンへ19の通電のみを行う。つまり、ユーザが操作部15の切換ボタンを操作することによりスタンバイモード切換トリガ信号が出力されたときには、送信部8の動作モードが「スタンバイモード」に切り換わるように構成されている。
【0042】
なお、レーダ装置20に電源が入れられたとき(電源部14がOFFの状態からONの状態になった場合)には、自動的にスタンバイモード切換トリガ信号が出力されるようになっている。即ち、レーダ装置20の送信部8は、電源投入時には自動的にスタンバイモードになる。このように、電源投入時に自動的にスタンバイモードに移行することで、マグネトロン19への通電を行って当該マグネトロン19を予熱できる。
【0043】
本実施形態のレーダ装置20は、電源が入れられたときには、マグネトロン19の予熱が完了するまでの予想時間を、適宜の表示手段によってカウントダウン表示するように構成されている。ユーザは、マグネトロン19の予熱が完了したことを確認したあと、所望のタイミングで操作部15の切換ボタンを操作することにより、送信部8を「送信モード」に切り換えてパルス信号の送信を開始できる。
【0044】
また、送信部8が送信モードにある場合、ユーザは所望のタイミングで操作部15の切換ボタンを操作することにより、送信部8を「スタンバイモード」に切り換えてパルス信号の送信を中断できる。この場合であっても、マグネトロン19への通電は継続されるので、当該マグネトロン19が温度変化によって不安定になることはない。従って、ユーザは、所望のタイミングで操作部15の切換ボタンを再度操作することにより、送信部8を再び「送信モード」に切り換えて、すぐに(予熱無しで)安定した送信を再開できる。
【0045】
続いて、本実施形態のレーダ装置20の特徴的な構成について詳しく説明する。
【0046】
本実施形態のレーダ装置20において、受信部21は、「受信モード」と「スタンバイモード」の少なくとも2つの動作モードを切り換えて動作を行うことができるように構成されている。
【0047】
「受信モード」は、フロントエンド部3の各構成(局部発振器5、低雑音増幅器7、緩衝増幅器11など)に電力を供給するモードである。このモードでは、フロントエンド部3が通常通り動作するので、レーダ装置20における信号の受信を通常通り行うことができる。
【0048】
一方、「スタンバイモード」は、フロントエンド部3の緩衝増幅器11への電力の供給を行わないモードである。このように緩衝増幅器11への電力を遮断した場合、局部発振器5からミキサ6への局部発振器信号LOの漏洩は全く発生しなくなる。従って、以上の構成によれば、スタンバイモードにおいて局部発振器信号LOがミキサ6を介してレーダアンテナ2から漏洩することを、確実に防止できる。
【0049】
続いて、本実施形態の受信部21の構成についてより詳しく説明する。本実施形態の受信部21は、モード切換部16と、スイッチ部17を備えている。
【0050】
スイッチ部17はトランジスタのスイッチング回路として構成されている。スイッチ部17は、電源部14と緩衝増幅器11との間に配置されている。このスイッチ部17によって、緩衝増幅器11に対する電力の供給をON/OFF切り換えることができるようになっている。
【0051】
モード切換部16は、スイッチ部17のON/OFFを切り換え制御することにより、受信部21の動作モードを切り換えるものである。即ち、受信部21の「受信モード」においては、モード切換部16はスイッチ部17をONにして緩衝増幅器11に電力を供給させる。一方、受信部21の「スタンバイモード」においては、モード切換部16はスイッチ部17をOFFとして緩衝増幅器11に電力を供給しない状態とする。
【0052】
なお、局部発振器5や低雑音増幅器7は温度変化によって特性が変化するため、電気の供給をOFFにしてしまうと温度変化によって不安定になるおそれがある。そこで、局部発振器5及び低雑音増幅器7に対しては、動作モードにかかわらず常に電力が供給されるように構成されている。即ち、本実施形態のフロントエンド部3において、モード切換部16によって電力の供給の有無が切り換えられるのは、緩衝増幅器11のみである。このように、温度による特性変化が懸念される部位に対しては、動作モードにかかわらず常に電力を供給することで、温度変化による不安定化を防止できる。
【0053】
一方、緩衝増幅器11は、ミキサ6と局部発振器5との間の結合度を下げるためのものであり、一般的に温度変化の影響を受けにくい。従って、上記のように緩衝増幅器11の電源をOFFにしたとしても、当該緩衝増幅器11が温度変化によって不安定になるおそれはない。
【0054】
本実施形態の以上の構成によれば、スタンバイモードから受信モードに切り換わったときに、フロントエンド部3の各構成(局部発振器5、低雑音増幅器7、及び緩衝増幅器11)が温度変化によって不安定になることはない。従って、受信部21がスタンバイモードから受信モードに切り換わったときには、安定した受信を即座に開始できる。
【0055】
また、モード切換部16は、受信部21の動作モードの切り換えを、送信部8の動作モードの切り換えに連動して行うように構成されている。送信部8の動作モードの切り換えに連動させるために、モード切換部16には、操作部15からの前記トリガ信号が入力されている。そしてモード切換部16は、前記トリガ信号に応じて、スイッチ部17のON/OFFを切り換えるように構成されている。
【0056】
具体的には以下のとおりである。モード切換部16は、送信モード切換トリガ信号を受信した場合(送信部8の送信を開始する操作が行われたとき)、スイッチ部17をONにして緩衝増幅器11に電力の供給を行うように構成されている。つまり、送信部8が「送信モード」に切り換わるのに連動して、受信部21も「受信モード」に切り換わるように構成されている。これによれば、送信部8がパルス信号の送信を行う際は、受信部21においても信号の受信を通常通り行うことができる。
【0057】
一方、モード切換部16は、スタンバイモード切換トリガ信号を受信した場合(送信部8の送信を中断する操作が行われたとき)、スイッチ部17をOFFにして緩衝増幅器11に電力を供給しないように構成されている。つまり、送信部8が「スタンバイモード」に切り換わるのに連動して、受信部21も「スタンバイモード」に切り換わるように構成されている。また前述のように、レーダ装置20の電源投入時には自動的にスタンバイモード切換トリガ信号が出力されるので、受信部21は電源投入時に自動的にスタンバイモードへと移行する。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態の受信部21は、局部発振器5と、ミキサ6と、緩衝増幅器11と、モード切換部16と、を備えている。局部発振器5は、局部発振器信号LOを出力する。ミキサ6は、レーダアンテナ2で受信した高周波信号RFと、局部発振器信号LOとを混合する。緩衝増幅器11は、局部発振器5とミキサ6の間に配置される。モード切換部16は、局部発振器5に電力を供給し、緩衝増幅器11には電力を供給しないスタンバイモードと、局部発振器5及び緩衝増幅器11の両方に電力を供給する受信モードと、を少なくとも切り換える。
【0059】
このように、局部発振器5とミキサ6の間にある緩衝増幅器11の電源をOFFにすることで、スタンバイモードにおいて局部発振器信号LOがミキサ6を介して漏洩することを確実に防止できる。また、上記スタンバイモードでも局部発振器5の電源はONの状態とするので、当該局部発振器5が温度変化によって不安定になることを防止できる。なお、緩衝増幅器11は、ミキサ6と局部発振器5との間の結合度を下げるためのものであり、一般的に温度変化の影響を受けにくい。従って、上記のように緩衝増幅器11の電源をOFFにしたとしても、当該緩衝増幅器11が不安定になるおそれはない。
【0060】
以上のように、本実施形態の受信部21は、緩衝増幅器11の電源をON/OFF切り換えるという簡単な構成により、スタンバイモードにおいて局部発振器信号LOがレーダアンテナ2から漏洩することを確実に防止し、かつ、スタンバイモードから受信モードに切り換わったときには安定した受信を即座に開始できるという特異な効果を実現したものである。
【0061】
次に、上記実施形態の変形例について、
図2を参照して説明する。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0062】
上記実施形態の受信部21では、操作部15からのトリガ信号に応じて、受信部21の動作モードを切り換える構成としている。これに代えて、
図2に示す変形例の受信部31では、レーダアンテナ2での信号の受信の有無に応じて、動作モードを切り換えるように構成されている。
【0063】
具体的には以下のとおりである。この変形例の受信部31は、高周波信号RFの有無を検出する受信検出部33を、ミキサ6の前段に設けている。受信検出部33の検出結果は、モード切換部32に出力される。
【0064】
モード切換部32は、受信検出部33で高周波信号RFが検出された場合、スイッチ部17をONにして緩衝増幅器11に電力の供給を行うように構成されている。即ち、受信検出部33で高周波信号RFが検出されたということは、送信部8が「送信モード」でパルス信号の送信を行っていると判断できるので、受信部31も「受信モード」に切り換えて信号の受信を行うのである。
【0065】
一方、モード切換部32は、受信検出部33で高周波信号RFが検出されなくなってから所定時間経過した場合は、スイッチ部17をOFFにして緩衝増幅器11に電力を供給しないように構成されている。即ち、受信検出部33で高周波信号RFが検出されなくなって所定時間経過した場合には、送信部8が「スタンバイモード」である(パルス信号の送信を行っていない)と判断できるので、受信部31も「スタンバイモード」に移行するのである。
【0066】
以上の構成によれば、操作部15からのトリガ信号を受信部31側で取得しなくても、送信部8の動作モードに連動させて、受信部31の動作モードを切り換えることができる。
【0067】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0068】
上記実施形態では、送信部8の発振器はマグネトロンであるとしたが、これ以外の発振器によって送信信号を送信するレーダ装置にも本願発明の構成を利用できる。
【0069】
電源部14、スイッチ部17、及びモード切換部16の構成は一例であって、上記の構成に限定されない。緩衝増幅器11への電力の供給をON/OFF制御できる構成であれば、適宜の構成を採用できる。
【0070】
図1及び
図2では、複数段の緩衝増幅器11に対する電気の供給をスイッチ部17によって制御するように示しているが、少なくとも何れか1つの緩衝増幅器11に対する電気の供給をON/OFF制御できれば良い。もっとも、緩衝増幅器11は多段である必要はなく、1段であっても良い。
【0071】
また、図に示したレーダ装置の構成は一例であって、必要に応じて増幅器やフィルタなどを適宜追加しても良いことは言うまでもない。
【0072】
上記実施形態では、送信部と受信部とを備えたレーダ装置について説明したが、本発明の構成は、送信部を備えない単独のレーダ受信機にも適用できる。また、本発明の構成は、船舶用レーダ装置に限らず、他の用途のレーダ装置にも適用できる。