(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963575
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ノートブック型パーソナルコンピュータ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20160721BHJP
H05K 5/04 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G06F1/16 312E
H05K5/04
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-150028(P2012-150028)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-13467(P2014-13467A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2014年4月1日
【審判番号】不服2015-19670(P2015-19670/J1)
【審判請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】梅津 秀隆
【合議体】
【審判長】
和田 志郎
【審判官】
高瀬 勤
【審判官】
千葉 輝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−3875(JP,A)
【文献】
特開2009−277282(JP,A)
【文献】
特開2004−46964(JP,A)
【文献】
特開2011−58074(JP,A)
【文献】
特開2011−156587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
H05K5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マザーボードを備えるノートブック型パーソナルコンピュータにおいて、
前記ノートブック型パーソナルコンピュータの表面を構成し、鋳造による金属部品からなる第1の筐体部品、及び、前記ノートブック型パーソナルコンピュータの裏面を構成し、プレス加工による金属部品からなる第2の筐体部品を有する下部筐体を有し、
前記マザーボードが、前記第1の筐体部品に取り付けられることを特徴とするノートブック型パーソナルコンピュータ。
【請求項2】
前記第2の筐体部品がマグネシウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載のノートブック型パーソナルコンピュータ。
【請求項3】
前記マグネシウム合金がLA141であることを特徴とする請求項2に記載のノートブック型パーソナルコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートブック型パーソナルコンピュータに関し、特に、ノートブック型パーソナルコンピュータの筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、ノートPC)の技術分野においては、軽量化、及び、薄型化の要求が厳しく、ユーザが納得のいく性能を提供できる範囲で可能な限りの軽量化、薄型化が求められている。ところが、従来のものよりも相対的に薄いノートPCを開発するにあたって、従来顕在化されてこなかった新たな課題が見出された。
【0003】
ノートPCの薄型化に伴う課題として、筐体の剛性が不足しがちになってしまうという問題がある。ノートPCの筐体の構造を略直方体と捉え、最大長辺を横、次に長い辺を縦とし、残る辺を高さとすると、薄型化とは、高さを可能な限り低くすることと捉えることができる。すると、略直方体は、薄型化により、縦横で構成される面積に対して、高さの長さが相対的に短くなるので、ひねりや割れに弱くなる。
【0004】
また、ノートPCの筐体を構成する各面の厚みを可能な限り薄くすることも、薄型化を実現する一つの手段である。この場合も、各面が従来のものより相対的に非常に薄くなるので、割れやすくなったり撓みやすくなったりする。
【0005】
本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1を挙げる。特許文献1は、携帯型電子機器の筐体素材として、マグネシウムリチウム合金を用いることについて記載がある。しかしながら、実際にどのような部品にそれを用いるとよいのかといった考察がなく、剛性に関する課題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−119787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のノートPCは、塑性加工しやすく、安価であるといった理由などから、筐体をプラスチックで構成することが普通であった。筐体に金属を用いることについては、例えば、米国アップルコンピュータ社に製品例があるが、このような従来例よりも軽量化、及び、薄型化を進めたい。
【0008】
ところで、ノートPCは、ディスプレイを備える上部筐体と、演算装置や記憶装置を内蔵する下部筐体とに分かれているものが通常である。本願では特に、下部筐体の軽量化と高剛性化を課題とすることにする。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、ノートブック型パーソナルコンピュータの下部筐体において、軽量性と、剛性とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、発明者らは試行錯誤を繰り返した結果、下記の構成を特徴とすることで上記課題が解決されることを見出し、発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明によれば、
マザーボードを備えるノートブック型パーソナルコンピュータにおいて、前記ノートブック型パーソナルコンピュータの表面を構成し、鋳造による金属部品からなる第1の筐体部品、及び、
前記ノートブック型パーソナルコンピュータの裏面を構成し、プレス加工による金属部品からなる第2の筐体部品を有する下部筐体を有し、前記
マザーボードが、前記第1の筐体部品に取り付けられることを特徴とするノートブック型パーソナルコンピュータが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ノートブック型パーソナルコンピュータの下部筐体において、軽量性と、剛性とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による実施形態の外観を示す図である。
【
図2】
図1の第1の筐体部品109を裏面から見た概念図である。
【
図3】
図1の第2の筐体部品110を裏面から見た概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による実施形態を説明する。
図1を参照すると、本実施形態の外観が示されている。本実施形態に係るノートPC1は、上部筐体101と下部筐体102がヒンジ部104で連結した構成をしている。
【0015】
上部筐体101にはディスプレイ103が設けられている。下部筐体102は、ディスプレイ103に向かって手前側にタッチパッド107、奥側にキーボード108が設けられている。
【0016】
なお、本実施形態における物理的な配置関係は、一例であって、発明を限定するものではない。
【0017】
上部筐体101と下部筐体102は、ヒンジ部104を中心に回動可能である。
図1では、上部筐体101がヒンジ部104を中心に下部筐体102に対して135°程度の角度をつけて回動している。
【0018】
上部筐体101は、ディスプレイ枠105と天面106とでディスプレイ103を挟持する構成である。なお、天面106は、ディスプレイ枠105の裏側に配置されており、
図1では見えない位置にある。
【0019】
下部筐体102は、第1の筐体部品109と第2の筐体部品110とを有する構成である。第1の筐体部品109と第2の筐体部品110とで略直方体の下部筐体102が構成され、下部筐体102の内部に中空の空間が形成される。この中空の空間に、ノートPC1の演算装置や記憶装置、例えば、バッテリパックや中央演算装置やマザーボード、SSD(Solid State Drive)や各種ファンが設置される。
【0020】
この第1の筐体部品109と第2の筐体部品110は、双方とも、剛性の高い金属部品であることが好ましい。従来公知公用であるプラスチックによるものと比べて、同じ厚みで剛性が高まる。また、熱伝導性も高まり、廃熱に有利である。
【0021】
図2に、第1の筐体部品109を裏面から見た概念図を示す。裏面とは、ここでは、
図1のように組み立てたときに外側になるほうを表面とした場合に裏面となる側の面を言う。
図2に示すように、第1の筐体部品109は、立壁111と、タッチパッド設置部107aと、キーボード設置部108aとを有する。
【0022】
タッチパッド設置部107aは、タッチパッド107を設置するために第1の筐体部品109に設置された孔である。同様に、キーボード設置部108aは、キーボード108を設置するための部位であるが、剛性の観点から、孔でないほうが好ましい。
【0023】
剛性の観点から、キーボード108はいわゆるアイソレーションキーボードであることが好ましく、この場合、キーボード設置部108aは各キーをアイソレートする格子状の部材である。また、この場合、キーボード設置部108aは、第1の筐体部品109と一体成型されて形成されるものである。
【0024】
このような、タッチパッド設置部107aやキーボード設置部108aといった、ユーザインタフェースを設置するための部分を設ける必要があるため、第1の筐体部品109は、金属部品であり、且つ、その製造方法は、鋳造(特に、プレッシャーダイカスト法)であることが好ましい。鋳造による金属部品であると、比較的高い剛性を持った筐体部品を、コスト安く得られるというメリットがある。
【0025】
図3に、第2の筐体部品110を裏面から見た概念図を示す。
図3に示すように、第2の筐体部品110は、立壁112を有する。また、組み付け後の強固さを得るためにねじ止めする場合は、ねじ孔を任意の箇所に有する。
【0026】
第2の筐体部品110は、プレス加工による金属部品であることが好ましい。プレス加工によれば、単なる鍛造によるものよりも材料の無駄が少なく、加工能率がよい。
【0027】
また、第2の筐体部品110の素材としては、さらに、マグネシウム合金であることが好ましい。マグネシウム合金の中でもさらに好ましくは、下に述べるような理由で、LA141(Mg−14%Li−1%Al)合金や、LZ91(Mg−9%Li−1%Zn)合金などのマグネシウムリチウム合金が好ましい。
【0028】
マグネシウムやアルミニウムは、鉄よりも比重が低く、その合金は、筐体の重量を軽くすることができる。鉄の比重が約7.9であるのに対し、アルミニウムは約2.7、マグネシウムは約1.8である。一般的に、比重の低い軽金属であるほど筐体の重量を軽くでき、且つ、同じ質量で筐体を作成した場合にはその剛性を増すことができる。マグネシウム合金を用いて筐体部品を作製することで、堅牢性と軽量性を両立させることができる。
【0029】
実用化されているマグネシウム合金(比重約1.8)は、筐体材料として実用化されている材料の中では、最も軽量な金属材料であると考えられる。しかしながら、マグネシウムリチウム合金は、これよりも比重が低い(比重約1.3付近)。例えば、LA141合金においては比重1.34である。金属による筐体として、マグネシウム合金(マグネシウムリチウム合金を含む)を用いることによって、さらなる軽量化が実現する。
【0030】
しかしながら、マグネシウムリチウム合金は、リチウム合金の含有により、マグネシウム合金より一段と化学的に活性であり扱いが難しい。したがって、プレス加工がとりわけ有利である。
【0031】
ただし、プレス加工して得られた第2の筐体部品110は、ボスやリブを設けにくい。また、扱いが難しい素材なので比較的高価であり、材料の無駄を可能な限り少なくしなければならない。そこで、本実施形態においては、内蔵部品をすべて、第1の筐体部品109に取り付ける。内蔵部品とは、下部筐体102の中に収められる部材をいい、ノートPC1の演算装置や記憶装置、例えば、バッテリパックや中央演算装置やマザーボード、SSD(Solid State Drive)や各種ファンなどのことを指す。
【0032】
内蔵部品は、下部筐体102内に固定されなければならないが、本実施形態においては、内蔵部品が第1の筐体部品109に取り付けられることによって、第2の筐体部品110は、単なる蓋のように機能する。したがって、第2の筐体部品110によってきわめて高い軽量性が実現する一方で、下部筐体102全体の剛性も保てる。
【符号の説明】
【0033】
1 ノートPC
101 上部筐体
102 下部筐体
103 ディスプレイ
104 ヒンジ部
105 ディスプレイ枠
106 天面
107 タッチパッド
107a タッチパッド設置部
108 キーボード
108a キーボード設置部
109 第1の筐体部品
110 第2の筐体部品
111 立壁
112 立壁