(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1によるショベルの管理装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1によるショベルの管理装置でショベルから収集されるサンプルの一覧表である。
【
図3】
図3は、実施例1によるショベルの管理装置で実行される異常検出方法で使用されるデータ及び異常検出方法の処理の流れを示す図である。
【
図4】
図4Aは、変数A及び変数Bの検出値の類似の程度でサンプルを分類する手法を示すためのサンプルの分布図の例であり、
図4Bは、機械負荷を表す変数Cの詳細なデータ形式を示す図であり、
図4Cは、変数Cの検出値の類似の程度でサンプルを分類する手法を示すためのサンプルの分布図の例である。
【
図5】
図5Aは、複数のサンプルを分類した結果を示すサンプルの一覧表であり、
図5Bは、評価対象サンプルを分類した結果を示す図表である。
【
図6】
図6は、複数のサンプルを分類する効果を説明するための変数kのヒストグラムである。
【
図7】
図7は、実施例2によるショベルの異常検出方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例3によるショベルの異常検出方法で使用されるデータ及び異常検出方法の処理の流れを示す図である。
【
図9】
図9は、サンプルのデータ構造及び着目変数のみを含むサンプルのデータ構造を示す図である。
【
図10】
図10Aは、複数のサンプルの分類、及び複数の変数から着目変数を抽出した後のサンプルの一覧表であり、
図10Bは、複数の変数から着目変数を抽出した後の評価対象サンプルのデータ構造を示す図である。
【
図11】
図11は、複数の変数から着目変数を選定する方法で用いられるデータ及び処理の流れを示す図である。
【
図12】
図12は、サンプル群と故障情報とを、機番及び日付情報で関連付けて生成されたサンプル群の一覧表である。
【
図13】サンプルを構成する複数の変数と、遺伝的アルゴリズムで用いられる染色体の遺伝子との対応を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例3によるショベルの異常検出方法で用いられる遺伝的アルゴリズムのフローチャートである。
【
図15】遺伝的アルゴリズムで染色体の評価を行う処理の流れ、及び用いられるデータを示す図である。
【
図16】
図16は、実施例4によるショベルの異常検出方法で使用されるデータ及び異常検出方法の処理の流れを示す図である。
【
図17】
図17は、実施例4による方法で選定された着目変数を示す図表である。
【
図18】
図18は、各変数が、ショベルの個体ごとの着目変数リストに選定される頻度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
図1に、実施例1によるショベル管理装置の概略ブロック図を示す。ショベル管理装置20は、処理装置21、故障情報記憶装置22、サンプルデータ記憶装置23、入力装置24、及び出力装置25を含む。複数のショベル26の各々が、稼働状態または周囲の環境の稼働条件に依存する複数の項目(変数)を計測する。ショベル26で計測された種々の変数の検出値が、電気通信回線28を経由して、入力装置24に入力される。なお、入力装置24として、オペレータが操作するキーボード、リムーバブル記憶装置からデータ
を読み取る入力インタフェース等を用いてもよい。
【0010】
処理装置21は、入力装置24から入力された種々の変数の検出値をサンプルデータ記憶装置23に記憶させるとともに、ショベルの異常検出処理を行う。故障情報記憶装置22に、過去の故障事例の情報が記憶されている。故障事例の情報には、ショベルの個体を特定する機番、故障発生の日付情報、及び故障内容等が含まれる。処理装置21は、異常検出結果を、出力装置25に出力する。出力装置25には、例えば画像表示装置、発音装置等が用いられる。
【0011】
図2に、ショベルから収集されたサンプルの一例を示す。サンプルの各々は、ショベルの機番、検出値を取得した日付情報、及び複数の変数の検出値で構成される。稼働条件に依存する変数には、例えば環境に依存する変数、及び運転状況に依存する変数が含まれる。環境に依存する変数として、例えば大気圧(変数A)、吸気温度(変数B)等が挙げられる。運転状況に依存する変数として、例えば機械負荷(変数C)、走行時間比率(変数D)等が挙げられる。
図2は、例えば機番1のショベルから2012年4月1日に収集された変数A〜変数Gの検出値が、それぞれx(1,1)〜x(1,7)であることを示している。変数の数は、一般的に100以上である。
【0012】
図3に、実施例1によるショベルの異常検出方法の処理の流れ、及び用いられるデータを示す。ステップST1において、処理装置21(
図1)がショベルからサンプルを収集し、サンプルデータ記憶装置23(
図1)に記憶させる。これにより、ショベル管理装置20に複数のサンプルからなるサンプル群30が準備される。ステップST2において、複数のサンプルを、変数の検出値の類似の程度に基づいて複数のサンプル群に分類する。
【0013】
図4Aを参照して、複数のサンプルの分類方法の一例について説明する。
図4Aは、変数A(大気圧)及び変数B(吸気温度)に着目したサンプルの分布図を示す。大気圧が低い領域に分布するサンプルは、例えば高地での作業を示唆する。吸気温度が低い領域に分布するサンプルは、例えば寒冷地での作業を示唆する。このように、作業環境が異なると、作業環境に応じて変数の検出値が異なる場合がある。例えば、大気圧が50kPa未満で、かつ吸気温度が0℃未満のサンプルを第1のサンプル群31に分類する。吸気温度が50℃以上のサンプルを第3のサンプル群33に分類する。第1及び第2のサンプル群31、33のいずれにも含まれないサンプルを、第2のサンプル群32に分類する。第1のサンプル群31に分類されたサンプルが収集された環境は、高地でかつ低温の過酷なものである。第3のサンプル群33に分類されたサンプルが収集された環境は、気温50℃以上の過酷なものである。
【0014】
図4B及び
図4Cを参照して、分類方法の他の例について説明する。
図4Bは、機械負荷を示す変数Cのデータ形式の一例を示す。機械負荷率0%から100%までの範囲が10段階に区分され、各区分ごとに、当該区分の機械負荷率で稼働した時間t1、t2、・・・が格納される。例えば、機械負荷率70〜80%、80〜90%、90〜100%で稼働した時間t8、t9、t10を加算すると、機械負荷率70%以上で稼働した時間t(C≧70)を算出することができる。
図4Cは、変数C(機械負荷)に着目したサンプルの分布図を示す。
図4Cの横軸は、70%以上の機械負荷率で動作している時間を表し、縦軸は頻度(サンプルの個数)を表す。
図4Cに示した例では、70%以上の機械負荷率で動作している時間が2〜3時間の頻度が最も高いことを示している。例えば、70%以上の機械負荷率で動作している時間が5時間以上のサンプル、1〜5時間のサンプル、及び1時間未満のサンプルを、それぞれ第1のサンプル群31、第2のサンプル群32、及び第3のサンプル群33に分類する。第1のサンプル群31に分類されたサンプルが収集された稼働条件は、例えば硬い岩盤の掘削等、機械負荷が過酷な稼働条件である。
【0015】
図4Aでは、変数A及び変数Bに着目してサンプルを分類し、
図4Cでは、変数Cに着目してサンプルを分類したが、
図2に示した変数D(走行時間比率)に着目してサンプルを分類してもよいし、その他の変数に着目してサンプルを分類してもよい。
【0016】
図3に示すように、サンプル群30に含まれる複数のサンプルが、第1のサンプル群31、第2のサンプル群32、及び第3のサンプル群33のいずれかに分類される。
図5Aに、複数のサンプルを分類した後のサンプルの一覧を示す。
図5Aに示した例では、サンプル番号1、5、7のサンプルが第1のサンプル群31に分類され、サンプル番号4のサンプルが第2のサンプル群32に分類され、サンプル番号2、3、8、9、10のサンプルが第3のサンプル群33に分類されている。
【0017】
図3に示したステップST3において、評価対象のショベルから、評価対象サンプル35を収集する。
図5Bに、評価対象サンプル35のデータ構造を示す。評価対象サンプル35の変数A〜変数Gの検出値は、y(1)〜y(7)である。ステップST4において、評価対象サンプル35が属するサンプル群を決定する。
図3及び
図5Bに示した例では、評価対象サンプル35が第1のサンプル群31に属する。
【0018】
ステップST5において、評価対象サンプル35が属する第1のサンプル群31の複数のサンプルから、ショベルが正常に動作している期間に収集されたサンプルのみを抽出する。正常に動作している期間に収集されたサンプルのみを含むサンプル群を標準サンプル群34ということとする。
【0019】
ステップST6において、標準サンプル群34を基準として、評価対象サンプル35を評価する。評価方法として、種々の多変量解析手法を適用することができる。この評価により、評価対象サンプル35が、標準サンプル群34内で異常であるか否か、すなわち評価対象のショベルに異常が発生しているか否かが評価される。評価結果を、出力装置25から出力する。
【0020】
なお、ステップST2での分類前に、全体のサンプル群30から故障時のサンプルを取り除き、正常動作時のサンプルのみを分類の対象としてもよい。この場合には、第1のサンプル群31に正常動作時のサンプルのみが含まれる。このため、ステップST5を省略し、第1のサンプル群31を標準サンプル群として用いることができる。
【0021】
図6に、変数kに着目したサンプルの分布図(ヒストグラム)の一例を示す。
図6の太線34は、標準サンプル群34に属する複数のサンプルの分布を示し、破線30は、全体のサンプル群30に属する複数のサンプルの分布を示す。評価対象サンプル35の変数kの検出値はy(k)である。全体のサンプル群30の分布を判定の基準とすると、変数kの検出値y(k)は異常な値ではなく、一般的な値であると考えられる。ところが、標準サンプル群34の分布を判定の基準とすると、変数kの検出値y(k)は、最頻度を示す値から大きく外れた異常値であることがわかる。
【0022】
図6に示したように、評価対象サンプル35を評価する際に、全体のサンプル群30を評価基準として用いると、評価対象サンプル35の変数kの検出値y(k)が異常であることを見逃してしまう。実施例1では、予め、全体のサンプル群30が、複数のサンプル群31〜33に分類されている。評価対象サンプル35は、評価対象サンプル35が計測された環境や動作条件と類似する標準サンプル群34が評価基準として用いられる。このため、異常の見逃しを低減することができる。
【0023】
[実施例2]
図7を参照して、実施例2によるショベルの異常検出方法について説明する。実施例2では、
図3に示したステップST6の評価方法が具体化される。
【0024】
ステップSA1において、標準サンプル群34(
図3)に基づいて、マハラノビスタグチ法で用いられる単位空間を生成する。ステップSA2において、単位空間の中心から、評価対象サンプル35(
図3)までのマハラノビス距離MDを算出する。マハラノビス距離MDを算出する際に、サンプルを構成するすべての変数(
図2)を用いてもよいし、一部の変数のみを用いてもよい。
【0025】
ステップSA3において、算出されたマハラノビス距離が、閾値より大きいか否かを比較する。マハラノビス距離MDが閾値以下である場合、ステップSA4において、評価対象サンプル35は正常であると判定する。マハラノビス距離MDが閾値より大きい場合、ステップSA5において、評価対象サンプル35は異常であると判定する。
【0026】
実施例2のように、評価対象サンプル35が正常であるか異常であるかの評価を行う手法として、マハラノビスタグチ法を用いることが有効である。
【0027】
[実施例3]
図8〜
図15を参照して、実施例3によるショベルの異常検出方法について説明する。実施例1では、
図3に示したステップST6で、サンプルを構成するすべての変数A、B、C、・・・(
図2)に着目して評価を行った。実施例3では、複数の変数から一部の変数のみを用いて評価を行う。
【0028】
図8に示すように、サンプル群30、故障情報40、及び評価対象サンプル35が準備されている。サンプル群30及び評価対象サンプル35は、実施例1で取り扱ったサンプル群30及び評価対象サンプル35(
図3)と同一のものである。
図3に示した実施例1の方法と同様に、サンプル群30から標準サンプル群34を生成する。故障情報40は、ショベルに生じた過去の故障事例を含んでいる。故障事例の各々は、ショベルの機番、故障の発生した日付情報、及び故障内容を含む。
【0029】
ステップST10において、サンプル群30に含まれる各サンプルを構成する複数の変数から一部の変数を選定する。選定された変数を着目変数50ということとする。
【0030】
図9に、選定された着目変数50の一例を示す。サンプル群30(
図8)の各サンプルは、機番、日付情報、変数A、B、C、・・・の検出値を含む。一例として、複数の変数のうち、変数E、H、J、L、M、P、・・・が除かれ、変数A、B、C、D、F、G、I、K、N、Oが着目変数50として選定されている。
【0031】
図10A及び
図10Bに、それぞれ着目変数50を明示した標準サンプル群34の一覧、及び評価対象サンプル35の一例を示す。
図10Aに示すように、標準サンプル群34の複数のサンプルは、実施例1のステップST2(
図3)で分類される手法と同一の手法で、複数のサンプル群に分類されている。標準サンプル群34は、第1のサンプル群31(
図3)に分類されたサンプル番号1、5、7、・・・のサンプルを含む。着目変数50として、変数A、B、C、D、F、G、I、K、O、・・・が選定されている。
図10Bに示すように、評価対象サンプル35においても、着目変数50として、変数A、B、C、D、F、G、I、K、O、・・・が選定される。
【0032】
ステップST12において、標準サンプル群34を評価基準とし、着目変数50のみを用いて、評価対象サンプル35の評価を行う。この評価は、実施例1で採用されたステップST6(
図3)の評価手法、または実施例2で採用された評価手法(
図7)と同一であ
る。評価後に、ステップST13において、出力装置25(
図1)に評価結果を出力する。
【0033】
図11〜
図15を参照して、ステップST10(
図8)において複数の変数から一部の着目変数を選定する方法について説明する。
【0034】
図11に示すように、ステップST20において、サンプル群30と故障情報40とを、機番及び日付情報で関連付けて結合する。これにより、故障情報に含まれている故障内容を変数として含むサンプル群41が得られる。
【0035】
図12に、変数として故障内容を含むサンプル群の一覧を示す。各サンプルは、機番、日付情報、変数A、B、C、・・・、及び故障内容を含む。故障内容の変数は、各サンプルの機番の変数で特定されるショベルにおいて、日付情報で特定される日に発生した故障の内容を示している。故障内容の変数に「0」が設定されているサンプルは、故障が発生していないことを示している。
【0036】
図11のステップST21において、変数として故障内容を含むサンプル群41の複数のサンプルを、第1〜第3の故障内容含有サンプル群42〜44のいずれかに分類する。分類の手法は、実施例1で用いたステップST2(
図3)の手法と同一である。
【0037】
ステップST22において、評価対象サンプル35(
図8)の属するサンプル群を決定する。この決定手法は、実施例1で用いたステップST4(
図3)の手法と同一である。
図11では、評価対象サンプル35が、第1の故障情報含有サンプル群42に属する例を示している。
【0038】
ステップST23において、第1の故障情報含有サンプル群42のサンプルのうち故障内容に「0」が設定されているものを、正常時サンプル群45に分類し、故障内容に何らかの故障が設定されているものを、故障時サンプル群46に分類する。正常時サンプル群45及び故障時サンプル群46に基づいて、遺伝的アルゴリズムを適用することにより、着目変数を選定する。
【0039】
図13に、遺伝的アルゴリズムで用いる染色体(個体)60の遺伝子61を示す。複数の遺伝子61は、それぞれサンプル群30(
図11)に含まれるサンプルを構成する複数の変数に対応する。遺伝子は、「採用」、「不採用」の2値を取り得る。例えば、「1」及び「0」を、それぞれ「採用」及び「不採用」と定義する。
【0040】
図14に、実施例3で用いる遺伝的アルゴリズムのフローチャートを示す。ステップSB1において染色体60の初期解(初期世代)を生成する。初期世代の複数の染色体60の各遺伝子の値は、ランダムに設定してもよいし、着目変数として採用すべきと考えられる変数に対応する遺伝子61に「採用」を設定した染色体60の数を多くしてもよい。ステップSB2において、染色体60の各々の評価を行う。
【0041】
図15を参照して、ステップSB2の詳細な手順を説明する。ステップSB21において、複数の染色体から1つの染色体60を、評価対象として選定する。評価対象の染色体60で「採用」の値を持つ遺伝子に対応する変数のみを用いて、正常時サンプル群45に含まれるサンプルに基づいて単位空間を生成する。
【0042】
ステップSB22において、故障時サンプル群46の複数の故障時サンプルの各々について、単位空間47の中心からのマハラノビス距離48を算出する。ステップSB23において、故障時サンプルの各々のマハラノビス距離48と、マハラノビス距離の閾値49
とを比較する。閾値49を超えるマハラノビス距離を持つ故障時サンプルの数に基づいて、染色体60の適合度を決定する。
【0043】
閾値49を超えるマハラノビス距離を持つ故障時サンプルの数が多いということは、故障時サンプルを、正常時サンプルから区別しやすいことを意味する。従って、閾値49を超えるマハラノビス距離を持つ故障時サンプルの数が多い染色体ほど、適合度を高くする。
【0044】
図14に示すステップSB3において、複数の染色体60から、適合度の高い染色体を選択する。なお、選択方法として、エリート選択、ルーレット選択等の手法を適用してもよい。ステップSB4において、選択された複数の染色体60に対して、交叉または突然変異を生じさせることにより、新しい染色体を生成する。ステップSB5において、終了条件を満たすか否かを判定する。一例として、染色体の世代が、予め定められている世代に達した場合に、終了条件を満たす。
【0045】
終了条件を満たさない場合は、ステップSB6において、染色体の世代更新を行う。具体的には、ステップSB3で選択された染色体を残し、選択されなかった染色体を削除する。さらに、ステップSB4で交叉または突然変異によって生成された新しい染色体を、新しい世代の染色体として加える。新しい世代の染色体に基づいて、ステップSB2からステップSB5までの手順を繰り返す。
【0046】
ステップSB5で終了条件を満たすと判定された場合には、ステップSB7において、最終世代の染色体に基づいて、複数の変数から選定する着目変数の組み合わせを決定する。一例として、最終世代の染色体のうち、最も適合度の高い染色体において、「採用」の値が設定されている遺伝子に対応する変数を、着目変数として選定する。
【0047】
実施例3では、故障時のサンプルを異常と判定し易くなる変数を着目変数として用いているため、評価対象サンプル35の異常を、より的確に異常と判定することができる。
【0048】
[実施例4]
図16〜
図18を参照して、実施例4によるショベルの異常検出方法について説明する。以下、実施例3との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。実施例3では、
図8に示したステップST10において、ショベルの機番を区別することなく1つのサンプル群として、着目変数50を選定した。このため、
図10Aに示したように、ショベルの機番によらず、稼働条件に依存する複数の変数から同一の着目変数50が選定された。実施例4では、ショベルの機番(個体)ごとに着目変数を選定する。
【0049】
図16に、稼働条件に依存する複数の変数から、着目変数を選定する処理と、データとの関係を示す。着目変数を選定するにあたって、
図8に示した実施例3と同様に、サンプル群30、及び故障情報40のデータを利用する。サンプル群30に格納された各サンプルは、
図2に示したように、ショベルの機番(個体)を識別する情報を含んでいる。従って、複数のサンプルを、機番ごとに分類して、機番ごとのサンプルリストを生成することができる。同様に、故障情報40から、機番ごとの故障情報リストを生成することができる。
【0050】
ステップST30において、稼働条件に依存する複数の変数A、B、C、D、・・・(
図2)から、ショベルの機番ごとに着目変数を選定する。着目変数を選定する方法として、例えば、
図11〜
図15を参照して説明した実施例3の方法と同一の方法を適用することができる。ただし、実施例4の場合には、機番i(i=1、2、3、・・・)の着目変数を選定する処理では、サンプル群30の複数のサンプルのうち、機番iのサンプルリス
トのみを用い、故障情報40に蓄積された複数の故障情報のうち、機番iの故障情報リストのみを用いる。これにより、機番1の着目変数リスト50A、機番2の着目変数リスト50B、機番3の着目変数リスト50C、・・・が選定される。機番1の着目変数リスト50Aと、機番2の着目変数リスト50Bとは、同一であるとは限らない。
【0051】
図17に、ステップST30(
図16)で選定された着目変数の一例を、表形式で示す。
図17では、着目変数として選定されなかった変数を網掛けで示し、着目変数として選定された変数を白抜きで示す。
図17に示した例では、変数A、B、C、D、F、G、I、K、O等が、機番1の着目変数リスト50Aに含まれ、変数A、C、D、E、I、J、M、O、P等が、機番2の着目変数リスト50Bに含まれ、変数A、B、C、D、F、G、J、K、L等が、機番3の着目変数リスト50Cに含まれる。このように、ショベルの機番が異なると、選定される着目変数も異なる。
【0052】
ステップST31(
図16)において、機番ごとに選定された着目変数リスト50A、50B、50C・・・から、共通着目変数51を抽出する。次に、
図18を参照して、ステップST31で、共通着目変数51を抽出する方法について説明する。稼働条件に依存する複数の変数の各々について、機番ごとの着目変数リスト50A、50B、50C・・・に選定される頻度を求める。
【0053】
図18に、各変数が、機番ごとの着目変数リスト50A、50B、50C・・・に選定される頻度を示す。横軸は、稼働条件に依存する変数を表し、縦軸は、着目変数として選定された頻度(回数)を表す。横軸の変数は、選定された頻度が多い順番に並び替えられている。着目変数として選定された頻度に基づいて、複数の着目変数から一部の着目変数を、共通着目変数として採用する。一例として、着目変数として選定された頻度の多い変数を優先的に、共通着目変数として採用する。
図18では、頻度の多い変数から順番に、複数(例えば50個)の変数を共通着目変数51として採用した場合を示す。
【0054】
ステップST32(
図16)において、標準サンプル群34を評価基準とし、共通着目変数51を用いた評価モデルで、評価対象サンプル35を評価する。標準サンプル群34及び評価対象サンプル35は、それぞれ実施例3で用いた標準サンプル群34及び評価対象サンプル35(
図8)と同じものである。ステップST32の処理は、実施例3のステップST12(
図8)の処理と同一である。
【0055】
ステップST33において、ステップST32で行った評価結果を出力する。ステップST33の処理は、実施例3のステップST13(
図8)の処理と同一である。
【0056】
実施例4では、判定結果への影響が小さい着目変数が、評価モデルから事前に排除される。評価結果への影響度が大きいと考えられる共通着目変数を用いた評価モデルで、評価対象サンプルの評価が行われる。このため、より少ない着目変数で、精度の高い評価を行うことができる。
【0057】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。